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Karte 【K】
登場人物一覧
【年齢】
16歳
【性別】
女性
【生年月日】
2004 4/8
【氏名】
K氏
【種族】ブルーブラッド(トナカイ)
<S>
【主訴】
腕の先に変な黒い斑点がある。
痛くはないがどんどん増えている気がする。
年々大きくなっている気がする。
肌色の部分がほぼなくなってきている。
【現病歴】
出生時より前腕部に黒斑あり。
初期はシミ程度の大きさと濃さだったものが徐々に増殖及び濃化。
前医では塗り薬などで経過観察、治療実施するも効果はなく当院へ来院。
【既往歴】
特になし
<O>
【身体所見】
前腕部の皮膚の一部分が黒く変色。
患部に触れても痛みは無し、色素異常以外に健康状態に問題なし。
双子の姉(トナカイのブルーブラッド)と比べ
角が髪で隠れる程極端に短い。
瞳の形と色が異なる。(姉が金色の目に対し患者はマゼンダの中にシアンの星型の瞳孔)
胸部が平坦かつ大きくならない。
<A>
身体動作に異常は無く自立した活動が可能であり、痛みは無し。
また脳への異常等も特になく、他者とのコミュニケーションも可能。
また、患部への三種のプリズム光の照射検査を行った結果
メラニン色素が通常よりも高い数値で検出。
メラニン色素の異常生成および、異常活性化による先天性黒斑症の疑いがある。
なるべく患部を清潔な布で覆い、日光に触れさせないようにする必要あり。
身長は伸びてはいないが体重の増加は見られるため健康状態は良好とみられる。
<P>
抗生物質による治療。
上腕部のリハビリテーション。および触診。
週に一度、患部によるプリズム光照射検査の実施。
問診による経過観察。
<診察時の様子>
初診時
非常に泣いて怯えており、自ら腕を出すのを躊躇う。
身内や友人にも絶対に見せたくないし見せないと強い拒否を示す。
治療という事で説得し確認したところ申告通りの黒点確認。
なお見せたくない理由については本人の希望により未記載とする。
身体所見事項を伝え、下記三点については直接的な関係は薄いこと
専門外であることから当院では不干渉の旨を伝える。
診察を重ねるうちに患部を自ら見せるようになる。
また世間話をする、好きなものについて話すなど、精神的な安定も見受けられる。
生活習慣に問題は無し。
物理的な痛みを積極的に受けたがる。
複数個所に打撲痕、鬱血痕あり。依頼で負ったと申告。
<対応上での注意>
注射を自ら強請る様になり、針を挿入する際に恍惚とした症状が見受けられる。
薬の影響ではなく、治療法にも誤りはないが人格に影響を及ぼしている可能性がある為要観察。
注射器を見つめ流涎が見受けられる際は速やかに注射器を片付けること。
基本的にはきはきと対応するが、突然無表情で沈黙することが多々見受けられる。
その状態での受け答えはほぼ不可能かつ、覚えていないとの申告あり。
一時的な記憶喪失、もしくは意識の消失を繰り返しているものと見受けられる。
ここ最近は頻度が増しており応答までの時間も長くなっている傾向がある。
現在投与している抗生物質の副作用の可能性もあるため量を減らすなどして対応。経過観察。
――診察日x月x日
こちらの質問に対しく最後までしっかりと応答。
以前のように突然無表情になることは無く表情も明るい。
腕の黒点はまだ残るが健康状態に異常は無し。
また顔色も以前より良く、血色も良い。
なお、順調に体重は増えている模様。
最近の様子を聴取すると、とても良いことがあったとのことだが詳細は語ろうとせず。
ただ、推しが尊かったと繰り返しており(※推し=双子の姉のことを指す)彼女のおかげで生き延びたとの申告。
以前よりは改善傾向にあるとはいえ黒点については患者が20歳を迎えるまでは観察を続ける。
なお注射器を見つめ流涎が見受けられる際は速やかに注射器を片付けること。
また痛みを感じる治療を望むが、現在患者の治療には不要の為落ち込んでも無視すること。
【先天性黒斑症】
メラニン色素の過剰生成により皮膚の一部が黒くなる色素異常の一種。
身体的な障害は確認れおらず大半は成人する頃には症状の進行は完全に止まる。
患者の場合は両腕、肘から先全て。
徐々に変色部分が拡大、現在ほぼ前腕部が黒点にて覆われている状態。
なおここまで重症化しても身体の動作に影響はない。
※当カルテは担当医、及びその他の助手セキュリティクリアランスバイオレット以上が
確認できるものとし、一切の口外を禁ずるものとする。
また当カルテの内容は随時更新される為情報のバージョンに注意すること。
また患者本人希望により、親族友人等にもこの情報は非公開とする。
なお当カルテは患者の20歳の定期健診終了をもって破棄すること。