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純潔たるトレランティア
登場人物一覧
名前:アイシャ(p3p008698)
一人称: 私 二人称
二人称:名前+さん
口調:です、ます、ですか?
特徴:花の髪飾りとヴェールをまとう穏やかで優しい白兎の少女
設定:
それは、世界にとってはちっぽけな。
でも、彼女にとっては大きすぎる、切っかけ。
彼女の仕事は下品な酒場の給仕である。
毎日のように腰や胸を撫でられ、下卑た暴言を撫でられ、時には暴力によって純潔を奪われそうになったこともある。
しかし、この酒場の給料はかなりの金額だ。この金額があれば病床に伏せる母の薬も買えるし、大切な妹や弟たちの食い扶持にもなる。
大切な家族のためアイシャは長女として我慢をする。
妹たちが自分が作った料理を笑顔でたべる毎日がくるのであれば我慢はできる。
ある日アイシャが家に帰るとあらゆるところが散らばり壊れていた。
アイシャは妹の名を呼び部屋を探す。
寝室から細い悲鳴が聞こえた。
いやな予感がする。
アイシャは慌て寝室に向かえば――。
おさない妹が一糸まとわぬ姿で、男に乱暴されていた。
その男はかつてアイシャが誘われても袖にした男。
なんども誘われて辟易していたがいつも笑顔で応対していた。しかし毎日酒場に通っていた男がぱたりと来なくなった。
諦めたのだと、ホッとした矢先のことだった。
――おねえちゃん、たすけて。
――お前のねえちゃんが純潔をやけに守ってたからな。おねえちゃんの純潔はお前も大事だよな?
だったらお前がかわりに純潔を俺にくれよ。
世界が真っ白になる。
なにも考えることができずにその場にへたりこむ。
いもうとたちが、おかされている。
なのに、なのに。
私はきれいなままだ。
どうして、どうして。
困ったもんだなあ。
ふと、懐かしい聲が聞こえた。
お前は我慢しすぎだったんだよ。いつもいつもいつも。自分のことは棚上げでな。
で、結局こうなる。おまえの我慢があいつらを不幸にした。
だからな、我慢なんてするなよ。
それは懐かしい父親の聲。甘い毒をもった聲。
なあ、アイシャ、こいよ。こっちにきたらあいつらを汚したあいつを殺す力を分けてやるよ。
なんたって俺はお前の父親だからな。
だから、我慢なんてするな。
その甘い聲にアイシャは――。