狗尾草の約束

登場人物一覧

名前：狗尾草 み猫
一人称：うち
二人称：～はん
口調： 〜やにゃあ、〜やねぇ、〜なんちゃう？（はんなり関西弁風）
特徴：黒檀の如き艶を帯びた毛並みを持つ猫の獣種。二本の脚で立てども姿は猫寄り、
右目は黄金、左目は青のオッドアイ。しなやかな身に異国風（和風）の装束を好んで纏う。
設定：ラサの裕福な布生地問屋の娘として生を受ける。
幼い頃より商いのイロハを叩き込まれてきた兄達とは違い、み猫は『女は家を守るもの』という家訓により、何処に嫁に出しても恥ずかしくないよう家事や礼儀作法、それから接客を学ばされてきた。

《海洋》の輝く南の海。《深緑》の神秘の森。《天義》の荘厳な大聖堂。
店を訪れた商人や行商から帰ってきた兄達が語ってくれる異国の話は、元来知識欲と好奇心が旺盛なみ猫の憧憬を掻き立てる。
どうしたら自分も砂漠を越えて異国へ行けるのか。
どうしたら自分も自由に旅して回ることが出来るのかと。

彼と出会ったのはそんな矢先のこと。
行商から戻った兄が連れてきたのは、《海洋》で知り合ったという有力な商人の息子、それが彼。

『次に航海から戻ったら船を貰えることになっている。そうしたら一緒に世界中を商いして回ろう』

彼をもてなし接待するうちに親しくなったみ猫は、別れ際に彼からプロポーズを受ける。
家に縛られた自分を解放するため、同情から自分に求婚したのだと最初は疑った。
それから何故自分なのか、自分の何処がいいのかと何度も問いただした。

初めての恋に素直になれないみ猫。
親の言いなりに嫁がされるものと思っていただけに、彼からの急な申し出に戸惑いは隠せない。
それでも彼の熱烈なアプローチと、外の世界への憧れがみ猫の背を押した。

君の尻尾は僕の故郷の狗尾草に似ていると言った人。
君の瞳は船の上から見る太陽と空の色だと言った人。

たが運命は無情にも二人を結ばせることなく、彼の船は《絶望の青》と呼ばれる海に沈み、み猫を迎えに来ることはなかった。
彼を失い失意のみ猫はローレットからの召喚を受ける。

イレギュラーズとなって広い世界をどこまでも見て回ろう。
そして行方知れずとなって戻らないあの人を探しに行こう。

こうしてみ猫はローレットの一員となった。
彼が自分の尻尾に触れながら似ていると言っていた、狗尾草と名を変えて。