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崩れる天秤
登場人物一覧
- 鹿ノ子の関係者
→ イラスト
名前:結紅(ゆいか)
種族:八百万(精霊種)?
性別:女
年齢(或いは外見年齢):15歳前後
一人称:わたくし、わたし
二人称:あなた、~様、~ちゃん
口調:(初対面、目上など)ですます、でしょうか、(慣れ親しんだ相手など)わ、よ、の、かしら
特徴:くすんだ黒に鮮やかな紅と白の花を浮かべる着物を纏った黒髪の少女。
設定:
鹿ノ子がカムイグラで活動中に出会った八百万の女の子。
近所の茶屋の看板娘だといい、実際にそうであった。
お淑やかで常連客からの評判も上々。
数年前まで病弱だったという身体も、
京の外での療養を経て今ではすっかり良くなったという。
「わたし、少し前までは身体が悪かったの。
もちろん、今はもう大丈夫よ。
京の外でゆっくり休んだらばっちり良くなっちゃったわ」
「あそこは良かったんだけど、もういけないわね。
聞いた話によれば、なんだかひどい事件もあったみたい」
――あぁ、だというのに。
どうしてだろうか、この纏わりつくような嫌な感覚は。
その正体は狂人。その経歴のほとんどに嘘偽りはなく。
ただあるとすれば、隠蔽した事件のみ。
療養先で起こった陰惨な事件。
傷口を文字通りに「焼かれて切り落とされた」殺人事件を行なった張本人。
ストレスから発されたただの狂気か、はたまた反転か。
どちらにせよ、京に戻った現在は今のところ耐えている。
彼女は気づいているのだ。
あの頃は病弱故に容疑者から外された事実を。
都合よく自分よりも犯人のように見える鬼人種がいた偶然を。
病の癒えた今、同じことをすれば今度こそ怪しまれると。
――けれど、その危うい天秤が、ぎりぎりの均衡がいつまで続くかは分からない。
「だって――だって、わたしだって! お年頃の子と同じように暮らしたかった!
でも、この貧弱な身体のせいで――わたしはそれが出来なかった!
そんなこと許せる? たったそれだけの事で、わたしの人生は何もできない。
そんなこと――そんなこと、許せないもの!」