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境界案内人セイジと言う男(1200字前後)
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「ここが……境界図書館か」
境界図書館……そこは
今回そんな様々な異世界を案内する
「気づいたらここにいたし、もうこれはやるしかないんだよね……」
草花を纏う妖精のような彼は気づいたらここに居て。先輩境界案内人であるカストル・ジェミニとポルックス・ジェミニの言われるがままに境界案内人をやる事になったのだ。
「元の場所に帰る方法も解らないし、そもそも僕自身どんな人物だったかも記憶があやふやなんだよね……」
この仕事をしていたらいつか自分がいた世界に辿り着き記憶を取り戻せるのでは? と淡い期待を抱いているが……さてはて。
図書館内を歩いてみる。まずは
「これは……ホラー、かな」
セイジは『
読み進めてみると年に一度のハロウィンの日に仮装しなかった者は怪物に襲われる……という一文に目が止まる。
「え、街の皆全員食べられるの?」
生き残ったのはこの話の主人公と数人。しかもイベント的な話ではあるが、メインの話としては何の変哲もないところでそんな大虐殺のような話が出ている。
セイジはそれがどうしても『不自然』に思えたのだ。
「これが
セイジのアテは外れるかもしれない。けれど特異運命座標と言う存在はこの物語にどう挑み、どう楽しむのだろう? と何となく興味が湧いた。
特異運命座標……選ばれた無辜なる混沌の勇者、或いは救世主、或いは──。……そんな存在がどう動くのか。
境界案内人が「この世界に受け入れられていない、外の世界の住人」だと聞かされた時に密かに抱いた特異運命座標への嫉妬。
大掛かりな運命を背負わずに済んだと安堵する一方で、同じ異世界人として何が足りなかったのだろうと気弱な身振りをするセイジは待ち受ける特異運命座標を遠目で見る。
「ま、関わればわかるよね」
初仕事の印象は大事だ。
精神を整えて……いざ向かおう、彼らの元へ。