PandoraPartyProject

サンプルSS詳細

●サンプル(恋愛もの・ほのぼの)

●夢見心地
 晴れた日、曇りの日、雨の日。毎日変わる空模様、私の心を写しているみたい。そう想ったリリシャは、寝起きのベッドから身を出して、カーテンを勢いよく開ける。パっと入り込んだ日差し、今日は雲一つない快晴! 燻っていた夜の残滓も溶けてしまいそう。
 ベッドに横たわる相方は、目を擦りながら布団に潜ろうとするが、リリシャがそれを許さない。
「ん……眩しいよ」
「起きて、エクル。今日もこんなに良い日よ。眠ってばかりいたんじゃ勿体ないわ」
 ゆさゆさと身を揺すれば、う~う~呻いて、ようやっと観念したように布団を捲り這い上がる。下着しか身に着けていないユルい姿に、リリシャは母親のような気持ちになって、箪笥から新しい服を用意してベッドでぼうっとするエクルに放り投げた。ゆるゆると服を身に着けて、意識もはっきりしてきた。
「朝ご飯は」
「私が作るわ。エクルは新聞でも見ておいて」
 その通りにエクルはポストから新聞紙を持ってきて、今日の情勢を眺める。起き抜けに入ってくる情報なんてたかが知れているが、流し読むだけでも様になる姿に、リリシャはぞっこんだった。
 しっかりと服を着こんでエプロンまでつけたリリシャは、フライパンにベーコンを乗せて卵をコツンと割り入れる。ジュワジュワと焦げ付くベーコンの良い匂いに、半熟というにはすこし固めの目玉焼きが出来上がる。皿に盛りつけたらレタスとミニトマトを添えて、切り分けたパンと牛乳を共に出して軽い朝食の完成。
「おいしそ」
「ドレッシングは好きなの取って」
 テーブルに並べられたソースを、二人、それぞれ好みのもので味付けし。別に、同棲してるからって何でも一緒じゃなくてもいいのだ。そのくらいの距離感が、心地よかった。

 ――昨日はどしゃぶりの雨だった。二人ともずぶ濡れで家に帰ったが、お互い水も滴るいい大人。二人して真っ先にシャワーを浴びて、ごしごしと雑に髪を乾かす。
「ねぇ、もういいよ。どうせ汗かくんだし」
「君のそういうあけすけな所、嫌いじゃないけどねぇ」
 はやくベッドに行きましょう? そういうリリシャの手が、後頭部でタオルを操るエクルの顎に妖しく絡みつく。お互い下着もつけずガウンだけの姿。扇情的な恋人の姿に、抗えるはずもなく。
「明日晴れたら、出掛けようか」
「いいわね。あなた、寝起きが鈍いから、私がしっかり叩き起こしてげる」
 ほどほどに乾いた髪を靡かせ、抱き合いながらベッドに沈む。擽って、ぷにっと摘まんで、愛らしい接吻を交わして。雨でしとしとになった二人の時間を、次の日の朝が祝福してくれることを、まだ彼らは知らない――。

PAGETOPPAGEBOTTOM