PandoraPartyProject

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ここは限界高校


 アカンもうだめだ。少年はリズミカルにトイレのドアを三三七拍子で叩いた。
 ドアは開く気配が無い、どうやら誰か先客がいる様子だった。
 しかし、余裕たっぷりに謝罪を述べる状況ではない。既に少年のダムは今にも崩壊を迎えようとしていた。
「ァッ、オォッ……!?」
「なんて?」
 早く出てくれ。そう口に出そうとすると別の物が相棒から出てしまいそうになった。
 少年は股を閉じたまま震える。
 もはやこれまでだと。そう諦めた時だった。
「なー、紙持ってない?」
「ホァァァアァ」
 今は遠き理想郷にも大事件が起きていた。
 少年は何も言わずにその場を後にした。仮にメガ粒子砲を解放したとしても、肝心のメカニックが不在では格納庫に収容されたまま朝を迎えてしまうに違いないと考えたからだった。

(く、この状態で別のトイレに行こうにも遠過ぎる! かくなる上は……もう)
 嗚呼、マイファーザーマイファーザー。魔王が追ってくるよ。
 坊やそこに女子トイレが見えるよ。わあすごいや父さん!

 彼が最後の希望に縋ろうと足早にピンクの看板の付いた扉を開けた、瞬間。
 王立混沌学園は炎の柱を立て、超爆発を起こして地図上から消えたのだった。

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