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シリアス

 ——あの時の呼び声が頭にこびりついてならない。
 甘美で、優美で、艶美で、己の信念を棄てても欲しくなるほどの禁断の果実。
 嗚呼、何故、私は呼び声に応えなかったのかと後悔までしてしまうほどの甘言。
 そして、妄想するのだ。あの人と一緒に壊れた世界で二人っきりになれたなら、と。

 だけど、私はどうしても呼び声に応えることなど、できなかった。
 何故なら、私には大切な仲間がいるから。愛してた貴方と私のために命を差し出す人が何人もいてくれたから。
 私の手の内に貴方を呼び戻そうと奇跡を起こそうとしてくれた人が何人もいたから。
 その人達を裏切ってまで貴方の元へは行けなかった。

 だけど、そうまでしても奇跡は起こらなかった。
 だから、誰よりも先んじて貴方の喉笛を掻き切ってやったわ。
 手に入らないなら、貴方の死体だけでも手にいれたかったから。
 ——だから、貴方は地獄で待っててね。私もいつか堕ちるから。

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