PandoraPartyProject

サンプルSS詳細

何もないから、誰かになれる。/No-Fate,No-Face

有原卮濘。特異運命座標として──

『そう言えばよ、オマエって何なんだ?」
『え、急に何さ』
『ふと気になったんだがオマエはいつも「私を使え」だの「望み通りに変わる」だの変な事ばかり言うだろ』
『うん、それがどーかした?』
『ならよ、今のオマエも"何かに望まれた"姿なのか?』


──生まれた、生物ナマモノ

『さぁ、わかんなーい♪』

 なんて言ってはみたけれど、"そんなわけ"はない。"私"の原本は、誰かにいて欲しいと思われて初めて存在できる……ある意味幻や蜃気楼と云えるような、本当は実在し得ないあやふやなカゲだ。

<前提:この物語は本編とは関係の無いIfである>

 っていう前置きがないと出演すら許されない。勿論、この語り地の文だってそう。こんなものは、何にも成れず無為に消えてゆく一つの具体例サンプルケース。"私"は物語に居てはいけない存在──だった。

「……はぁ。これ、どーいう事?」

 混沌ゲームの外。混沌サイトの外。"私"の居場所プリズン。何をするでもなく霧散していた"私"の意識は叩き起こされた。

「PPP……? ……なんだ、また新しい"役割ロール“が増えるだけか」

 "私"は数多の世界ゲーム登録セーブされてきた。様々な性癖フォームを象ってきた。

「どうせ、今回も同じでしょ。背負わされるものは勇者? 女騎士? それとも魔女?」

 だから、そう。きっと、"私"はどこか侮っていた。ため息混じりに飛び込んだ"私"は思いもしていなかった。

「――ここは『空中神殿』でごぜーますよ」

 "私"が、"私"のまま、If二次創作でない、本編作品のキャラクターの一人として、出演できるなんて。

 キャラクターとしてあるべき背景、人格、その他諸々がない、"私"のまま。誰かに望まれ求められ使われる事でしか慰めにもならない"罅割れ枯れた器"のままに。『有原卮濘』という登場人物ナマモノとして。

 そのまま混沌に降り立った『有原卮濘』は、『夢野幸潮』と合流。『夢野幸潮』は宝具意思堕とし身スケールダウンたる"万年筆"を片手にこの混沌ゲームを楽しんでいた。

 ちなみに、"私"と"彼方“では"無垢なる混沌"への向き合い方がまるっきり異なる。
 "私"、『有原卮濘』は純然たる登場人物ナマモノとして出演している。自由奔放で火力マスターキーを携えた人物。
 "彼方"、『夢野幸潮』は完璧な登場人物キャラデータに止まっている。居ると描写されればそこに居て、着ていると描写されればそれを着ている。
 ま、何が違うんだ、って話だけど。一言で例えば熱血か冷徹かってだけ。

 そこからは色々あってバニー着たり、赤いのとつるんだり、クルーザー転覆したり、幽霊煽ったり、etc。『有原卮濘』っていう登場人物キャラクターは、意外に経験を積める奴だったらしい。

 このお話が、関わった"キャラクター"の誰にも伝わらないとしても、聞こえないとしても、触れられないとしても。

 改めて礼を言おう。

 ありがとう。そして、よろしくね。

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