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ミステリー

 血生臭い話も薄布で覆えば口当たりの良い寓話となる。
 虚構の思い出が量産される場に男は辟易していた。
 眇めた視線の先には虚栄心を満たした老人の肖像画が掲げられている。
 いかに金持ちであろうと死は平等だ。
 偏屈な老人の遺産がどうなろうが興味がない。
 流し込んだ酒が喉を焼く。強い辛みの中に仄かな木の甘みを感じ、男は感嘆の息を吐いた。

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