PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ゴブリンの討伐

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●発端
 幻想(レガド・イルシオン)。イレギュラーズが所属するギルド、ローレットの本拠地である事は既知の事実であり、国の実態はともかく一般的に慣れ親しまれた場所でもある。
 多くのイレギュラーズがこの場所より最初の一歩を踏み出した偉大な地。大規模召喚が起こった当時のピークは過ぎているが、今なお特異なる運命の座標に選ばれた者がギルドメンバーとして加入し続けている。
 強大な力を持つローレットが存在するにも関わらず世間の、世界の問題事は無神経に増えている。利さえあれば善悪を問わず飛びつく組合に今日もまた一つの依頼が迷い込む。

 依頼人は若者とは言えない男だった。泥に汚れた着衣、がっしりとした体格から十中八九は力仕事を生業としている者である。仕事を持ち込んだ人物ながら、大抵のことは自身で解決してしまうのではないかと思える活力がある偉丈夫であった。
 聞き取りによると男は農家であり、何十回と繰り返してきたであろう自己紹介に一つのテンプレートを持っているようで、農作物の種類や居住地を淡々と答えた。
 そして、問題事は捻る事なく男の所有する畑で起きていた。作物泥棒に困っているとの事で、並の泥棒であれば丸太のような腕で捻り上げそうな男が頼み込む問題事とはそういう事である。

「ゴブリンって奴がよ、俺ン所のナスをかじり散らかすんだわ」
 汗水垂らして生育させた農作物には黄金の価値があると言わんばかりに、難を逃れたそれを手土産として持ち込んでいた。

● 知性の低い後先を考えない緑色の薄汚い姑息な魔物
「ゴブリンだって、定番だね」
 居合わせたヨハン=レーム(p3p001117)は請け負ったイレギュラーズへ紅茶を出しながら、討伐目標について語った。
 ゴブリンとは見解が人によってまちまちな、意外と複雑な魔物で一括りにはできないのだが目撃情報を精査した所によるとステレオタイプの厄介者、下級モンスターのようだ。
 社会コミュニティに融和するゴブリンの名誉を傷つけない言い方であれば、知性の低い後先を考えない緑色の薄汚い姑息なゴブリンとは無関係な魔物、と配慮するべきだが悲しいかな、悪事を働く薄汚い姑息な魔物は一括りにゴブリンなのである。

「まぁ、血の気が多いイレギュラーズもこの辺には多いから、放っておいても新技の実験がてらに爆殺されると思うけどね。シンプルなモンスターハントだし、戦闘の練習や調整がてらに行っても良いんじゃない?」
 高みの見物を決め込んでいるメイド服(p3p001117)は仕事内容をまとめ、イレギュラーズの大勝利で終わったと始めてもいない仕事の日報を書き始めた。このメイド服は情報屋の手伝いと称して大義名分を振りかざし、比較的涼しい室内で全力でサボるつもりなのである!

「一番の危険はアレだね、熱中症。水分はちゃんと取って行った方が良いよ」

NMコメント

新規ノベルマスターのねこくんです。
誰でも食べれるハンバーガーのようなシナリオを出すと思います。

最近PPPを始めたプレイヤーさんのプレイングの練習、長年PPPを遊んでいる熟練プレイヤーさんの息抜き、どちらでも参加して頂ければ嬉しいです。これからよろしくお願いします。

●状況説明
畑でゴブリンを待ち受けます。無鉄砲に突っ込んできます。
見晴らしも良く、戦闘にマイナスに働くものはありません。
何か必要な下準備をする時間も充分にあります。
メチャクチャに暑いです。もうゴブリンも暑くてしんどいです。

●目標
【必須】畑を荒らすゴブリンの討伐
【任意】仕事内容に関わるサービス

●敵
・ゴブリン
6匹程度。尖った石や棒切れで攻撃してくるやや素早い魔物。
投石などによる遠距離攻撃と、劣勢時に逃走を図る程度の知性を持つ。
和解不可。

●サンプルプレイング
話し合いもできないモンスターが相手なら迷うことは無いぜ!
堂々と畑で待って、現れた所に俺のクロスボウで精密射撃だな。
「ナスとは夏の風物詩。それを掠め取る悪党、許さンーッ!」
畑がグチャグチャになっちまったな……いっちょ俺の農業テクで整備しとくか!

  • ゴブリンの討伐完了
  • NM名ねこくん
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月04日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ソア(p3p007025)
無尽虎爪
クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)
葡萄の沼の探求者
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい
アリカ(p3p011038)
お菓子の魔法使い

リプレイ

●バーニングモーニング
「あっつ……」
 うだるような暑さが約束された早朝、『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)が振り絞るように声を発した。現場にいるイレギュラーズ4人誰もが感じている事柄であったが、それでも半ば義務のように照り付ける陽光に憤りをぶつけなければ気が済まなかった。また、それは人手が充分と言う理由で同行をかわした知人への怒りも含まれていた。

「うぅ……。と、とんでもない暑さです……」
「日陰がないと死んじゃうよこれ。大丈夫?」
日傘にクーラーボックス、ビーチパラソルと完全武装で臨んだ『無尽虎爪』ソア(p3p007025)は『お菓子の魔法使い』アリカ(p3p011038)を横目にさりげなく気遣った。歴戦の猛虎である彼女の場合、この状況を一種のレジャー体験のように受け止めているが、準備物や気配りの抜け目のなさが本質的な性格を物語っていた。アリカにしても考えうる限りの対策を行ったつもりであり、大きな麦わら帽子から暑さに屈しないという確固たる意志を放っていた。

 『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)はその美貌に汗をにじませながらも
避難所を形成し、氷結呪文アブソリュート ゼロを唱え、状況の改善に向けて淡々と作業を進めている。妖精印の林檎ジュースにサマービール、アイスにコーラと各々が持ち寄った物を眺め、その多彩さにくすりと微笑んだ。
「ゴブリンもご苦労様って感じね……」
「俺も労ってもらえねぇかなァ!?」
 クウハが落とし穴を掘りながらやや芝居がかった悲鳴をあげた。女性陣に対する差し入れを持参し頼れるお兄さんポジションを演出したが、やはり女性陣はこの手の下準備に優れている。炎天下の中拗ねたふりをする青年に、そちらも頑張ってという意味を込め手を振った。よく見るとソアもエールを送っているのか穴掘り労働者に水をかけている。

●出オチ
 ぴくりと体が反応する。アリカは最大の敵が真上に輝く恒星である事を理解していたが、新たに複数の敵を感知した。正確には敵かどうか判別できないが、こちらに向かってくる6つの生命反応は依頼内容どおりの物だろう。気を引き締め、茹で上がっているソア達に襲来を告げた。
「て、敵……ですね。6匹、で数え方は大丈夫ですよね。あちらの方から来るみたいです」
 聞こえるはずもないのに小声になってしまう所に初々しさを覚えたが、そこに触れる事なく3人はアリカの手柄を賛辞した。

「見てあれ!ボク知ってるよ!くねくねっていう怪異!」
「あの怪談は日射病でフラフラしてる人って言う説は聞いたことあるけど、あれはね……」
「おい、俺が穴掘るまでもなかったんじゃねえの?」
 敵襲に一度は緊張し、体温が数度下がったような感覚がしたアリカだったが、先輩達の落胆と眼の前に広がる光景に自身も思わず笑みがこぼれ、むせてしまいそうになった。
 もはや干物と化しているゴブリンの群れはアリカでもなんとかなりそうな相手だ。クウハが掘った穴にでも落ちたらそれだけで倒せてしまうかもしれない。むしろ自分が落ちないように気をつけねば。再度クウハに落とし穴の場所を確認したが、敵がいるにも関わらず面倒臭そうに穴の場所を一つ、二つほど指で伝えた。

 クアトロも最初からこれを脅威とは思っていないようで、何の脈絡もなく魔法を叩き込み、この茶番からの脱出を目論んでいた。爆音が響いた後に涼しい顔で喋る。
「たぶんあと5匹よ。よろしくね」
「始める前に何か言えよ!!」
 出鼻を味方に挫かれたクウハはストレス解消の相手が一匹減った事を嘆き、無謀に突進する。ここで言う無謀とは激しい攻撃に晒される位置取りの事ではなく、無論炎天下の中激しい運動をする行為そのものにある。矢が飛んでこようが刃が振り下ろされようがクウハには必勝の算段があった。サヨナキドリで交わした契約、その妖艶な権能は使うまでもなさそうであった。
(こんなザコ相手にはもったいねェか?)

 地獄が広がっていた。かすれば死ぬ、当たれば死ぬ、十中八九、十中百億は死ぬ虎の爪が獲物を追いかけ回し、楽しそうな声と半狂乱の悲鳴が夏を彩るハーモニーとなって畑のあちらこちらで響いている。夏のホラーといえば先程ソアが述べた怪談だが、スプラッターも負けてはいないだろう。出演オファーが届くなら間違いなく後者である。
「待て待て~!ひっく!くっそ~、地面をぐるぐる回すのは卑怯だぞぉ~」
 酒が入っている。ひとおもいに一撃を叩き込んでくれた方がゴブリン側としても助かったのだが。

「死ねば暑さに苦しむ事も飢える事も無くなるんだぜ?」
地獄絵図に反してハンターのように確実に追い詰めたクウハがゴブリンと対峙する。ゴブリンの猛攻を自力で弾き返し、一歩一歩近づいて行く。攻めている側が後退する奇妙な光景であり、力の差は歴然である。ゴブリンの息が切れ、自身は平然と立っている。期待していない仕事だったがこれはこれで確かな愉悦を感じる。
「退屈しのぎにはなったぜ。それじゃあな、ワールドエンド・ル」
「えいやーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
 クウハの目先、鼻先に光が走る。視界が真っ白になり、思わず悪態をつく。ゴブリンに慈悲なしというスローガンが掲げられていたが、同様に慈悲のない魔砲が眼の前にぶちこまれた。眼の前で炭化したゴブリンだったものと魔砲の発生源を交互に眺め、状況の整理に脳を働かせた。思い浮かぶ自身の言動。

(攻撃に関しちゃ少なくとも、俺の事は遠慮なく巻き込んでくれて構わんよ)

 ここまでするか、麦わらのお嬢ちゃん。いや、これくらい思い切りが良い方が将来楽しみだが。直撃しても何のことはないと思うが肝が冷えた。遠方で慌てふためくアリカにクウハは色々な感情のこもったサムズアップを返した。

●キリングタイム・ランチタイム
「終わったわよ、ソアちゃん」
「ふぇ?」
酒気帯び運転大爆走猛虎にクアトロが声をかける。作業終了を告げねば掴んでいるしなびたキュウリのようなもの、かつてゴブリンだったものを何時までも振り回しかねない。いったいどんな罪を前世で犯したらこんな目に合うのかとアリカは慄いた。悪霊を自称する男は罪や罰といった概念を使った冗句の一つでも飛ばそうと思ったが、結局日陰に逃げ込むことを優先した。

 戦闘に対する準備よりも準備された物資である。ベーコンとチーズの香りが漂い、食に関してはクアトロの独壇場であった。もう少し落ち着いた場所で自慢のピザを振る舞いたくもあったが、イレギュラーズの繋がりはこれも奇妙な物で、一度依頼を達成して解散すると同じメンバーで集まる機会に恵まれない事も珍しくない。なればこそ、畑を眺めながらのピザパーティーも一期一会の思い出として悪くないではないか。食材にされる事を待ち望むナスを諭しながらクアトロはピザを焼き上げる。

 その間、クウハは魔砲をぶちこんできたちんちくりんの暑苦しい謝罪を押しのけながら罠の後始末に向かっていた。食事を終えてからでも良いと思ったが面倒な作業は一気に終わらせるに限る。足で土を蹴り、簡素な落とし穴を塞いだ所でコーラに一口つける。このような青空重労働は柄ではないが、この時だけは喉を潤す柑橘の香りが、何か崇高で清らかな気持ちをクウハに与えていた。直後クウハはむせ返った。

 畑のそばにビーチパラソルやベンチがあり、ここまでは打ち合わせ通りに準備された避暑地であったが、水着の女までは聞いていなかった。そういえば依頼人に大きな桶をお願いしていたなと記憶が蘇る。畑仕事の手伝いにでも使うのだろうと気にもとめなかったが、まさか浸かるとは。

「あーん、生き返る~~!! 」
 水着で我が世の夏を謳歌するソアは片手にサンセットビーチ、片手にジュエリービーチ、両足を広げて子供のようにはしゃいでいた。桶の中に引き込まれそうになっていたアリカは先程から感じていたアルコール臭に思う所があったが、そういう事なのだろう。イレギュラーズは外見からは想像がつかない、恐るべし虎!
 適切なタイミングで桶のぬるま湯を呪文で冷やし、自慢のピザを盛り付けるクアトロのマルチタスクも目を見張るものがあった。
「クアトロさん!そろそろピザ、できたみたいですっ!?」
 アリカは強靭な前足(両手)、そして豊満な胸部から逃れるようにクアトロに問いかける。
「うふふ、そうね。マルゲリータっていうのよ秘宝種ちゃん。私はクウハ君を呼んでくるから、もうちょっとジタバタしててね?」
「オッケー!ボクのはチーズたぁっぷりでお願いね!!」
「あ~っ!?」
 アリカは桶の中に引き込まれた。

 クウハはマルゲリータを頬張りながら、先程到着した依頼人と農産物の交渉を進める。あまりにも早く仕事が終わったので、依頼人も若干表情に疑念が生じていたが、ズタズタのキュウリ(ゴブリンだったもの)に炭化したゴミ(ゴブリンだったもの)を見て完遂とした。ここでもクアトロはピザの布教にしたたかで、強面の男が小洒落たピザを頬張る姿はアリカにとっても微笑ましいものであった。

「それとオジサマ?このナスちゃん達は早く食べられたいそうよぉ?」
 面白いねだり方をするな、と男は笑みを浮かべた。クアトロにとっては事実を述べただけの、ただの話題の一つであったが好意的に受け止められたならば種明かしはせずとも良いだろう。それに、テーブルに置かれた農産物の数々は嫌と言っても持ち帰らされるのだから。

「こんなに良いの!?ローレットにもこれとは別に支払ってるんだよね?」
「そうですよ!農家さんの生活も大変と聞きアッ!ソアさんお酒くさっ!!」
「なにを!うりうり~」
 男は気さくに返事をしようとしたが桶の中で少女二人がタコのように絡み合っているもので言葉に詰まった。その光景を肴にクウハは涼しげに、やれやれとコーラを飲み干すのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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