PandoraPartyProject

シナリオ詳細

氷の花で夏を

完了

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オープニング

・フローズンフラワー

 海洋のとある浜辺。海水浴客で賑わうその場所には、行列のできる屋台がある。

「オレンジジュースください」
「はーい」

 店員がまず取り出したのは、花の形に固められた氷。それをカップにぽんぽんと入れて、オレンジジュースを注ぐ。花の形は色の濃いジュースに隠されてしまうけれど、ストローでかき混ぜたりジュースを飲み干したりしたときに顔を覗かせる仕組みになっている。

「ジェラートください、ベリー味の」
「はい、ちょっと待っててね」

 店員は笑顔で頷くと、ジェラートの容器を開ける。ジェラートを細くすくっては容器のふちに貼りつけるように乗せていき、花が咲いたような形に整えていく。

「綺麗」

 客がジェラートに見惚れる。その様子に店員はにこりと笑って、「夏バテに気を付けて」と言いながら客を見送った。

 この店の名前は「フローズンフラワー」という。花からイメージを膨らませた氷菓や、花のような形の氷を入れた飲み物を販売する屋台で、若者を中心に人気を博している。
 海水浴をしに人々が砂浜に訪れる時期のみの屋台であり、売上も好調なのだが、問題が一つあった。人手が足りないのである。

「みっちゃん体調大丈夫かなあ」

 元々この店は店主と店主の妹の二人で始めたものである。しかし妹は夏の暑さに体調を崩し、現在休んでいるのであった。
 店は忙しい。妹に早く戻ってきてもらいたい気持ちはあるが、それよりも身体を休めていてほしい。要するに助っ人がいなくて困っているのである。

「手伝ってくれたらジェラートでもジュースでも何でも奢るから、ほんとに」

 店主の呟きは一人の青年の耳に届いた。


・夏の花

「暑い時って冷たいものが欲しくなるよねえ」

 ジュースのカップを傾けているのは『茨の棘』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)である。赤いジュースを凍らせて作った花を眺めながら、彼はにこりと微笑みかける。

「海水浴場にある屋台の手伝いをしてほしいんだ」

 花をモチーフにしたジュースやアイスなどを提供する出店なのだが、人気な上に店員が一人夏バテで休んでいるため、人手が足りなくて困っているのだという。

「お会計の手伝いでもいいし、商品の準備でもいいし。お店が落ち着いてきたらお客さんとしてアイスとかを楽しんでもいいってさ」

 お店の手伝いをしたり盛り上げたりしてくれた人には、ジュースやアイスなどが奢ってもらえるそうだ。

「というわけだから、よろしくね」

 手元のジュースを一口飲んで、アレンはゆったりと笑った。

NMコメント

 こんにちは。椿叶です。
 最近は毎日アイスが食べたくなります。

 このラリーは一章構成です。

目的:
 出店「フローズンフラワー」の手伝いをしてください。花をイメージした氷菓やジュースなどを扱う店で、若者を中心に人気があります。しかし店員が一人現在夏バテで休んでおります。
 商品の準備の手伝いやお会計、列の誘導などをしてもらえたらと思います。店が落ち着いたら客として氷菓などを楽しんでも良いですし、お店の宣伝などをしても良いです。
 お店を手伝った人は、お礼に氷菓やジュースなどを奢ってもらえます。

状況:
 海洋のとある浜辺で、海水浴客で賑わっています。「フローズンフラワー」以外にも屋台はありますが、氷菓を扱う店はこの店だけです。

店員について:
 店主は「さっちゃん」ことサチです。療養中の妹は「みっちゃん」ことミチです。二人ともお洒落で美味しい食べ物が好きで、日々研究しているそうです。


サンプルプレイング:

 今日も暑いねえ。暑い日に食べるアイスは格別だからね、この店が人気なのも分かるな。
 僕はお会計と商品の受け渡しをしようかな。注文の受付もね。お客さんへの笑顔も忘れずに。
 手伝いが終わったら、かき氷を食べたいな。花の形の果物が綺麗だからね、楽しみだ。


 それではよろしくお願いします。

  • 氷の花で夏を完了
  • NM名椿叶
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月06日 21時40分
  • 章数1章
  • 総採用数3人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

獅子若丸(p3p010859)
百獣剣聖

「ほう、花の形をした氷菓であるか」

 慌ただしく動いている店主の前に現れたのは獅子若丸である。獅子若丸は店主が用意しているジェラートをじっと眺め、なるほどと頷いた。目で楽しむこともできる上に、冷たいものは身体を冷やすためにも役立つ。人気が出るというものだ。

 さて、何をしたものか。自らの身体が毛皮に覆われていることを考えると、食品を扱うのには躊躇いがある。営業スマイルも不得手となると、思いつくのは二つだけだ。

「吾は列の誘導をすることとしよう」
「ありがとう、助かる」

 獅子若丸の一言に、店主はぱっと笑顔を浮かべてくれた。

 長くなった列を折りたたむような形に誘導させ、獅子若丸は「最後尾」の札を持つ。溢れる汗を拭い、海水浴場を見回すと、男性客がちらちらとこちらを伺っているのに気が付く。氷菓が欲しいのかと思ったが、違った。彼らは店主を冷やかしに来たのだ。

「姉ちゃん美人じゃん。俺たちと遊ぼうぜ」

 いかにもお決まりらしい台詞である。そしてそれらしい台詞にはそれらしい結末が待っているのだ。

 獅子若丸が男性客に近づく。身体は小さくなってしまったが、その気迫は失われていない。一睨みきかせれば男性客はすごすごと帰っていく。

「まったく、冷やすのは氷だけで十分である」

 獅子若丸の一言に、店主は小さく笑った。


 手伝った礼はサイダーだった。弾ける炭酸の上に浮かぶ薄く色づいた花は風流で、獅子若丸も表情を綻ばせた。

成否

成功


第1章 第2節

レイン・レイン(p3p010586)
玉響

「お手伝いに来たよ……」

 店にひょこりと顔を出したのはレインだ。淡い色のグラデーションの髪が陽光を受けて細やかな光を浮かべる。
 レインがどんなことを手伝いたいのかを伝えると、サチは嬉しそうに笑った。
 サチに少しでも休ませてあげたい。彼女が休憩の時でもなんとかお店をまわせるように頑張りたいと思う。

 まずはお店の看板猫になるように、猫を呼び出した。南国らしい花の飾りの首輪をつけて、客側からよく見える場所の日陰にいてもらう。次は店の手伝いだ。

「冷たいニュルニュルをやってみたい……」

 この店のソフトクリームは少し難しい。食用花を氷で閉じ込めたものを覆うようにソフトクリームを絞るのだが、なかなか綺麗な形にならない。何度か練習してやっと思うような形になったソフトクリームに、サチと客は嬉しそうに笑ってくれた。

 ソフトクリームが作れるようになったら、ミキサーで氷をがりがりと削ってみる。難しくはないのだが、手がぷるぷるとしてしまう。毎日たくさん作っているサチはすごいと思った。
 かき氷を客に渡す時にお会計もしてみる。レジの扱いは慣れていなくて早くできないのが申し訳なかったが、かき氷を渡したときに客が喜んでくれているのは嬉しかった。

 沢山お客さんが来ても良いように、サチが大変じゃなくなるようにもっと頑張りたい。サチが早く良くなるように、安心して休めるようにしたい。そう思いながらレインは次の客に微笑んだ。

成否

成功


第1章 第3節

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

 気温が上がってくるとこの店の忙しさは増す。店主がわたわたとジェラートの準備をしている時に現れたのはイズマだった。

「夏バテは大変だよな……。お大事に、と伝えてほしい」

 爽やかな笑みを浮かべ、イズマは店の手伝いを始める。
 並んでいる人たちにもメニュー表を配り、予め注文を決めてもらう。受けた注文はメモを取り、お客さんの顔と一致するように瞬間記憶も使う。店主にそれらを順番通りに伝えて、スムーズに商品の提供ができるようにした。

 お客さんは一人ひとりが大切で、しかも暑い中並んで待ってくれているのだ。正しく素早く商品を提供したい。

「オレンジのジェラートだ。どうぞ」
「ありがとう」

 会計も間違いのないように取り扱い、客を見送る。店主はイズマの手際の良さにほっとして、にっこりと微笑むのだった。


 夕方になって店が落ち着き、店主に食べたいものは何かと聞かれた。
 店のメニューの花をモチーフにした氷菓やジュースは、どれも見た目も華やかで素敵だが、氷菓を食べさせてもらうことにする。爽やかな味のものが好みだと伝えると、店主は凍らせたレモンを氷と共に削り始めた。ふんわりとしたかき氷に花の形にカットした果物が添えられる。

「今日は手伝ってくれてありがとう」

 かき氷を口に運ぶと、レモンのさっぱりとした味と香りが口の中に広がる。暑い中で冷たいものを食べるのは、やはり夏の楽しみの一つだ。

「美味しかったよ、ありがとう!」

成否

成功


第1章 第4節

 陽が傾き、辺り一面が橙色に染め上げられる頃。海水浴客たちの多くは帰路につき、打ち寄せる波の音が静かに響き始める。
 波が反射させる夕日の輝きに目を細め、店主は「営業終了」の看板を立てる。

 ここ最近、客が途切れることはなかった。妹がいない中で営業を続けるのはとても大変で音をあげそうだったけれど、今日は手伝ってくれる人がいた。皆頼もしくて、一生懸命で、一緒にお店をやっていて楽しかった。

「みんなありがとう」

 暑い夏はまだしばらく続く。妹からそろそろ復帰できると連絡があったし、またこれからも頑張ろうと店主は意気込むのだった。


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