PandoraPartyProject

シナリオ詳細

流れ星を指さして

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●とある夏の日
 星降る夜、とはこういうことを言うのだろうか。
 夜空を埋め尽くさんばかりの流星群に、あなたは目と心を奪われていた。
「――ってことで……ねぇ、聞いてる?」
 呆れたような声に、はっと我に返って振り向けば真白の浴衣に身を包んだ霧裂魁真が不服そうな顔で立っていた。
 
 そういえば、彼が『あんたが好きそうな依頼があるんだけど』と言っていたから、着いてきたのだった。
 海洋のどこかの星が綺麗な海辺の町で、数十年に一度の頻度の流星群が降る。
 その星々に願いを託す。

 たったそれだけ。
 たったそれだけの、飾り気のない小さな祭り。
「で、祭りでは食べ物とか貝殻を使ったアクセサリーも作れるよ……って話したんだけど。
 なーーんも聞いてなかったワケ?」
 そういえば彼の手にはりんご飴が握られている。
 彼の背後には屋台がずらりと並んでおり、幼子が父親に抱かれながら冷やした果物を齧っていたり、兄弟がソーセージの取り合いなどに勤しんでいる様だった。
 少し離れたスペースには白いテントがあり、その下には作業台が置いてあり一人の少女が桜貝でアクセサリーを作っている様だった。
「なんでも、そのアクセサリーにヒトデを使うと願いが叶うらしいよ。星になぞらえてるんだろうね」
 その少女を暫く二人で見守っていると、一人の少年が彼女の元にやってきた。
 不思議そうな顔で手元を覗き込む彼に、少女は真っ赤な顔で先ほどまで作っていたアクセサリーを手渡した。
 どうやらブレスレットだったらしい。暫く目を丸くしていた少年だが、やがて嬉しそうな顔でそれを受け取り手首に付けた。愛おし気にそれを見つめた後、少年は手を差し出し少女は頬を染めてその手を取った。
 初々しく手を繋いで歩いていく二人を見送り、魁真はそういえばと顎に手を遣った。
「桜貝を使って、相手に贈ると『貴方を愛しています』
 白蝶貝で作って贈ると『貴方は最高の友達です』って意味らしいよ」
 そこまで言って、魁真は一旦りんご飴に齧り着いた。
 バリ、と音を立てて割れた透明な飴の中から覗く真っ赤な林檎に唇を寄せてそのまま噛み砕く。
 甘い匂いに、なんだか腹が減ってきた気がした。暫く咀嚼し、そのままごくんと嚥下した魁真はあなたに向き直った。

「ご飯食べたり、星に祈ったり、アクセサリー作ったり。
 いろいろしてみたらいいんじゃないの?」
 
 流星群だって、まだまだ止みそうにないんだし。
 そういって空を見上げた魁真に釣られあなたはもう一度夜空を見た。
 確かに、まだまだ光の雨は止みそうになかった。

NMコメント

 初めましての方は初めまして、ノベルマスターの白です。
 毎年恒例(?)夏のイベシナ感覚ラリー、でました。ぜひ浴衣で起こしくださいな。
 勿論、持ってない場合も参加可能です。ご安心ください。
 レンタル希望の場合は【浴衣レンタル希望】とご記載ください。
 白と魁真が次元の壁を越えてコーディネイト考えます。大丈夫、そういうの得意だよ。

 二人以上で参加希望の方はプレイングに相手のお名前の記載をお願い致します。
 例)A子さんと一緒に参加希望
 ……A子さんとアクセサリーを作るよ!

 三人以上で参加希望の方はプレイングにグループタグ+人数の数字を付けてください。
 例)『夏』という三名のグループで参加希望
 ……【夏】(3)
 なお、白の独断でアドリブでソロ同士の方を絡ませることがあります。
【絡みNG】の表記が記載があれば完全に一人描写と致します。
 
●目的
 夏の夜を楽しむ。

 大切誰かと過ごすもよし。
 ひとりでのんびり過ごすもよし。
 わいわい仲良しグループを作って燥ぐも良しです。
 夏の素敵な思い出を作りましょう!

●できる事
 ・流星群を見る。
 ・屋台巡り。
 ・アクセサリーを作る。
 詳細は以下の選択肢を確認してください。

 やだやだやだ選べない!! 全部したい!! (´;ω;`)ブワッ!
 という方が居ましたら、リプレイ公開後もう一度プレイング送付お願いいたします。
 お手数ですが描写を濃くするためにもご協力お願いいたします……!

●舞台
 海洋のどこかにある田舎町です。
 数十年に一度と言われる流星群が夏の空を駆け抜けています。
 海は凪いでおり、波が寄せては返す穏やかな音が聞こえてきます。
 屋台のエリアは観光客や地元の人々で賑わっており、恋する乙女たちがアクセサリー作りに勤しんでいる様です。

●NPC霧裂 魁真(p3p008124)
 TOPの浴衣を着ている白い男性です。身長183cm。細身。
 指定が無ければリプレイに出ませんが、指定があれば着いてきます。
 素直になれないタチで何かと生意気、でも存外顔に出る。そんな男です。

 こんな感じです。
 今回の旅が、あなたの素敵な想い出の一助となれます様に。
 それではいってらっしゃい。


やりたいこと。
 以下の選択肢からやりたいことを選んでください。

【1】流星群を見る
 少し離れた場所の草原に座って、夜空を見上げて流星群を眺めます。
 真夏の星空に、あなたは何を願うでしょうか。

【2】屋台巡り
 お祭りの時に食べる食べ物は格別です。
 チョコバナナ、りんご飴、焼きそば、唐揚げエトセトラ。
 夏祭りを想起させるものなら何でもあります。
 射的やくじ引きなどの娯楽系もありますよ。

【3】アクセサリーを作る
 貝殻、ヒトデを使ってアクセサリーを作ります。

 あなたは自分用に作りますか?
 それとも大切な誰かに贈りますか?
 以下を参照の上プレイングにご記載ください。

【ヒトデ】
 自分用です。星をイメージしておりヒトデで作ったアクセサリーを身につける願いが叶うと言われています。

【桜貝】
 淡い桜色は恋心を現しています。
 相手に贈ると『貴方を愛しています』という意味になります。

【白蝶貝】
 一点の汚れもない白は純粋な好意を表します。
 相手に贈ると『貴方は最高の友達です』という意味になります。

  • 流れ星を指さして完了
  • 流星群が空を駆けていく夏の夜。あなたは何をしたいですか?
  • NM名
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月10日 22時00分
  • 章数1章
  • 総採用数6人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

レイン・レイン(p3p010586)
玉響

「……魁真」
「何?」
「草原……登るの大変そう……」
「それなら、向こうの」
 ベンチとかどう、と提案しようとした魁真が振り返るとレインが浮き輪を持って立っていた。この場所で浮き輪を使う場所なんて一つしかない。
「海から星をみたい……ぷかぷか……ゆらゆら……きっと心地いい……」
 しかし魁真の顔は眉間に皺がよっている。やはり海の上はダメなのだろうか。レインは少し肩を落とした。
「ダメなら……頑張って歩いて……」
「浮き輪じゃ二人は乗れないでしょ」
「え……?」
 そういうと魁真はゴムボートを借りてきた。
「何? 一緒に見るんじゃないの?」
「……見る」

 ゴムボートを浜辺から押し出し、二人で乗り込めば、波が優しく彼らを迎え入れた。
 ぷかりと浮かんで、ゆらゆら揺れる舟の上から、レインは夜空を見上げた。一つ、また一つと星が降っては水平線の彼方へ消えていく。
「星を見ると……不思議な気持ちになる……」
「不思議な気持ち?」
「少し怖い様な……僕の中心が弾む様な……」
 レインは自分の胸のあたりをさすりながら言った。
「アンタってクラゲなんだよね?」
「うん……」
「クラゲって『海の月』って書くんだよね。月と星って一緒に在るじゃん。だからかもね」
 自分で言ってて恥ずかしくなったのか、照れ隠しの様に魁真は再度空を仰いだ。釣られてレインももう一度空を見る。

 山の向こうに。
 海の向こうに。

 空から落ちた星達は何処へ行くのだろう。
 

成否

成功


第1章 第2節

レイン・レイン(p3p010586)
玉響

(陸ではクラゲは海の月……初めて聞いた……)
 海の月、自分が月。
 だから今もこうして、共に在るであろう夜空を彩る星に惹かれているというのか。
「魁真の言葉は……なんだか凄く面白い……」
「何、変だって言いたいの?」
「ううん……違う……」
 じったりと目を細めた魁真に、レインはふるふると首を振った。
「擽ったい様な……嬉しいような……優しいような……そんな感じ……」
「優しい……は、かけ離れてると思うけど」
 ふいと横を向いて、レインの言葉を否定した魁真だがレインはそうは思わなかった。

 自分の様子を見て海に連れて行ってくれたし、こうして二人で乗れる乗り物まで借りてきた彼をレインは『優しくない人』とは思えなかったのだ。
 先ほど魁真が自分を月に例えてくれたように、自分も彼を何かに例えられないだろうか。あの星の様に空からの贈り物――。

「魁真は……雪みたい……」
「俺が雪?」
 目を丸くして聞き返す魁真に、こっくりとレインは頷いた
「白くて……優しくて……少し冷たくて……でも……温かさもある気がする……」
「ねぇ……魁真……陸に戻ったら……白蝶貝の……アクセサリーを作りたい……」
 それでね、と一拍だけおいて少しだけ迷った後レインは切り出した。
「もし……良かったら……陸で初めての友達になってくれる……?」
「……アンタ、本当に変わってるよ」
 素直ではない言葉。
 けれど『嫌だ』と言わなかったことが、答えなのだ。

成否

成功


第1章 第3節

トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス

「魁真さん! 一緒にお祭りを回りましょう!」
 男同士で外出って一度でいいから経験してみたかったんです!」
「アンタ、変な事憧れてるよね」
「いつも女の子に囲まれているせいで中々機会に恵まれなくて……」
 キラキラとした目で魁真の腕を引いているトール。
 男同士でのお出かけにテンションが上がっている様子であった。
「その割には女装なんだ?」
「つい癖で……ちなみにこの浴衣、魁真さん的にどうですか?」
「そうだn「あっ! 魁真さん! アレやりたいです!」
「聞けよ」
 興奮気味のトールが指さしたのは、アクセサリーを作れるテントだった。
 意気揚々と乗り込んだトールは白蝶貝を選び、せっせとアクセサリーを作り始めた。
「意外だね。トールなら桜貝の方選ぶと思ってたけど」
「いつもは無意識に選んじゃいますね。でも」
 はい、とトールは魁真に白蝶貝のアンクレットを差し出した。
「これは魁真さんへのプレゼントなので! どうぞ!」
「……俺の?」
(魁真さん、今、笑った……?)
 一瞬だけ魁真の目元が和らいだ気がするのだが、気の所為だろうか。
 首を傾げるトールに、魁真は言った。
「浴衣」
「え?」
「似合ってるし、お姫様みたいだなって思うけどさ。
 アンタは『格好いい』って言われたいんでしょ?」

 差し出された手には白蝶貝のブレスレットがあった。
「今度空けといて。メンズ買いに行くよ、トール」
 彼の目が弧を描いているのを、今度は見逃さなかった。

成否

成功


第1章 第4節

アルチェロ=ナタリー=バレーヌ(p3p001584)
優しきおばあちゃん

 幾多の星が、命が、軌跡を描いて何処かへと墜ちていく。
 命が終わることをヒトは様々な言葉で表してきた。
(永遠の眠り、天に昇る、散る……そして)

「――星になる」
 空を仰いだアルチェロは、天から降り注ぐ流星に眩しそうに目を細めた。
 あの星々の中に、アルチェロの知っている者は居るだろうか。それはアルチェロにも分からない。

 アルチェロは人間には想像もつかぬほどの永い永い時を生きてきた。
 瞬き一つする間に一つの国が生まれ。
 瞬き一つする間に一つの国が滅んでいた。

 人が星に願いを託し、祈る意味をアルチェロは知らなかった。
 しかし今なら、その意味が分かったような気がした。
 
「流れゆく星に、燃え尽きる星に、ヒトの子は刹那を感じるのでしょうね」
 全ての命は何時か終わる。
 それは明日かもしれないし、何年も先かもしれないし、たった今かもしれない。
 ヒトの子はそれが分かっている。
 だからこそ、懸命に生きてあの星々の様に強く輝いて命を燃やすのだろう。
 屹度それは、永遠ともいえる命を持つ己には決して体験のできぬ事で、アルチェロは少しヒトという者が羨ましくなった。
 
「どうか、全ての子等に幸せな夢を」

 悪しきを成した魂も、善きを成した魂も、あらゆる全てに安寧を。
 その安らかな眠りが、何物にも邪魔されぬ様に。
「おばあちゃんは、いつまでも見守るわ」

 また一つ、誰かの魂が星となり海の向こうへ旅立っていった。

成否

成功


第1章 第5節

エステット=ロン=リリエンナ(p3p008270)
高邁のツバサ

 小さく口を開けて、串に刺さった大きなソーセージを一口食べてエステットは言った。
「うん、庶民の食べ物にしては上出来デスね」
 などと美食家を気取っているが、エステットは味音痴である。
 彼女にとっては超一流シェフが丹精込めて作ったステーキも、その辺の市場で安売りされてる肉の丸焼きもみな等しく「上出来」なのである。
 これまで泣かせてきた料理人の数は十を超えたあたりから数えていない。
「しかシェフに感想を伝えないというのはリリエンナ家の者としてどうなんでショウ?」
 たかが数百ゴールド、されど数百ゴールド。
 値段に貴賎は無く、レストランと屋台という違いはあれどエステットの為に料理を作ってくれたのは同じ。
 その働きに対し労い……否、感謝の言葉はかけるべきではなかろうか。
「かといって、お仕事を邪魔する訳にもいきマセンし……あっ」
 エステットの目に飛び込んできたのは、この祭りに対してのアンケートを行っている場所だった。
 目安箱も置かれており、エステットはそちらへ向かう。
 備え付けの安物のペンの描き心地は、普段使っている物とは比べ物にならないが、そんなことは今のエステットにはどうでも良かった。
「お料理が全て美味しかったデス……と。うん、これでいいでショウ」
 満足げに頷きペンを元の位置に戻す。
「次は射的をやってみたいデスね」
 お面やで買った梟を模した面をかぶって、エステットは人の波へと消えていった。
 

成否

成功


第1章 第6節

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結

「うーん、お願いか……」
 流れ星が見えなくなる前に三回、願い事を唱えられたら願いが叶う。
 有名な噺だが、はてさてそれはどのくらい前に聞いたのだったか。史之は厳密には覚えていなかった。
「でも、これだけたくさんの星が流れていれば、ひとつくらい願い事を聞いてくれるんじゃないかな」
 欲しい物が手に入る様に祈ろうか、それとも武芸が上達するように願おうか。
 どれもしっくりこなかった。大体、その程度なら星に願わずとも自分の努力でどうとでもなるではないか。
 となれば、自然に浮かび上がるのはやはりいつも傍らに在る大事な人。
「やっぱり、妻さんのために祈りたいな」
 今日は一緒には来れなかったが史之の帰りを待ってくれている妻。
 依頼の際に受けた烙印の後遺症で、御伽噺の吸血鬼宛ら史之の血を飲み続けなくてはならなくなった。
 史之からすれば、彼女の為ならば血を捧げるくらいどうということはないし、夫として妻を支えるのは当然だと思っている。
(けど、妻さんは優しいから。哀しそうな、申し訳なさそうな顔をするんだよね)

「あの子の心が穏やかでありますように……頼むよ」
 之ばかりは、自分自身の努力ではどうにもならないから。史之は星に祈った。
 彼女の幸福が、自分自身の幸せなのだから。
 彼女の笑顔を見るたびに、乾いた心が満たされていくのだから。

「俺は強欲だから、自分だけじゃなくあの子に幸せになってほしい」
 夏の夜の事だった。


 
 

成否

成功


第1章 第7節

 空を指さした幼子が「おほしさま、いっぱいだねぇ」
 と無邪気に笑っている。
 その子を抱いた母親が「ええ、そうね」
 と優しく微笑んでいる。
 星の行方を追ってみれば、水平線の彼方へ消えていき見えなくなった。

「ねぇ、おかあさん。おほしさまは、きえてしまったの?」
 潤んだ瞳で不安そうに母を見上げた我が子を頭を撫でてやりながら、母は答えた。
「そうね、消えたというより……還ったのよ」
「かえる? おほしさまのおうちは、おそらじゃないの?」
 今度は不思議そうに、首を傾げて幼子は問う。
「お星さまはね、命なの。命は海から始まったのよ。
 永い、永い旅をしていろんなものを見守って、そして最期は海に還るの」
 腕の中の愛しい我が子も、何時か還ってしまう時が来る。

(どうか、その時が。私の時よりもずっと後のことでありますように)
 母親は願った。

「初めての友達……嬉しかったな……」
 海の上でゆらゆら揺られて、みつめた星も。

「今すっごく大きい星が流れましたよ!! ……見間違いじゃないですってば!」
 白蝶貝の約束といっしょに、ながめた星も。

「おやすみなさい、可愛い子」
 魂の安寧と命の輝きを想い、いのった星も。

「ふふん、射的には自信があるのデス」
 行き交う人々の中に混ざり、みあげた星も。

「お土産何にしようかな、妻さんが喜んでくれるもの探さなきゃ」
 帰りを待つ愛する人の為に、ねがった星も。

 ――皆を等しく照らしている。
 

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