遊ぶのじゃ、遊びたいのじゃ、楽しむのじゃ！

オープニング

●遊びたいのじゃ！
「ボードゲームとか昔の遊びしてキャッキャせんか？」

　練達のとある喫茶店、どーんっと『ナチュラルボーン食いしん坊！』ニャンタル・ポルタ （p3p010190）が胸を張って偶然その場に居合わせたメンバーに向かって言い放った。軽食や会話を楽しんでいたイレギュラーズたちは、急になんて？　って顔になる、なった。
　ニャンタルの後ろのテーブルにはボードゲームの箱が山と積まれている。どうやらどこかのボードゲーム屋から借りてきたものらしい。オセロ、花札らしき古そうな小箱、内容が見ただけではわからなさそうな箱の数々。さらに箱だけでなく大きな本が何冊もある。どうやって持ってきたのか謎だ。
「我、ボードゲームは人生ゲ〇ムしか知らん……。車で暴走して城に旗立ててルーレットでお金稼ぐやつじゃろ？　大得意じゃ！」
　お金を稼ぐゲームなのは正しいけれど、車で爆走するのはまずいのでは。そんなことしたら逆に罰金でお金失いそうだけれども。
　そんな視線に気づかずニャンタルは得意げに続ける。
「あとチンチロリンは、ありゃ何か賭けるのか？　じっちゃんが夢中でやってたし、朧気にルールは知っとるが……どんなんじゃ？」
　昔の遊び……なのか？　まぁ賭け事にしなければ健全だろうか。ちなみにチンチロリンとはサイコロを3つ転がして役を作り親と子が勝負する昔の賭博ゲームの一つである。良い子は遊ぶときはつま楊枝やお菓子なんかにして実際にお金をかけるのはやめようね！
「あ！　ドンジャラ〜は知っとるぞい！」
　思い出した！　とポンと手を打って。あったかどうかとボードゲームの山を探ろう……として山が崩れかけた。
　喫茶店に迷惑をかけるかもしれないから、ということで興味を持った数名と後日集まってボードゲーム会が開催されることとなった。

●実際に遊んでみよう！
　数日後、準備ができたと連絡を受けて意気揚々とニャンタルたちがやってくる。
「相談を受けましたので場所を用意させていただきました。後はルールも把握しましたので、わかる方がいらっしゃらなければ説明させていただきますね」
　水月・鏡禍(p3p008354)が二つのボードゲームにお菓子とジュースが用意された大きなテーブルを示して言った。騒いでも大丈夫なように防音のしっかりしている個室のようだ。
「楽しみなのじゃ！　まずはこれからじゃな！」
　ドンと広げられたのは、ニャンタルもルールを知っていものに似た『人間さんゲーム』だ。そのルーレットに手を伸ばしてニャンタルは言った。さぁ、ボードゲーム会の始まりだ！

参加者 : 4 人

冒険が終了しました！　リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧（4人）

リプレイ

●さぁ、遊ぶのだ！
　おやつの準備？
「みーおはクッキーを買ってきましたにゃ」
「私はシュークリームです」
　スナック菓子の隣に『ひだまり猫』もこねこ みーお（p3p009481）と『純真無垢』メリッサ エンフィールド（p3p010291）が持ってきたお菓子を並べる。ついでにスナック菓子を見た『特異運命座標』エーレン・キリエ（p3p009844）がいくらか持って席を立つ。せっかくなのでキッチンを借りてアレンジレシピを作るつもりのようだ。
　彼のアレンジレシピの完成は楽しみだが、とにかく準備よし！

　飲み物の準備？
「早速じゃがエーレン、我コーヒー牛乳〜！」
　キッチンに移動しようとしたエーレンの背に『ナチュラルボーン食いしん坊！』ニャンタル・ポルタ（p3p010190）が声をかけた。
　わかった、との返事を聞いてグッと親指を上げる。メリッサの前にはアイスココアが用意されており、みーおは自分で持ってきたサイダーを入れている。
「コーヒー牛乳……それも良さそうですにゃあ」
「お、なら後でエーレンに頼んでみんか？」
「でしたら、私も後でちょっとだけ……」
「ぜひですにゃ！」
　準備よし！

　これよりボードゲームの開幕だ！

●人間さんゲーム
　ルール説明は完璧だ。ニャンタルはこのゲームに関してはいくらか知っている。
「人が生きる為に必要な知恵と勇気で乗り越える奴じゃよな」
　しかし知らないものもある。例えばルーレットの横にあるダイス。後は隔離されるように存在している謎のミニマップとか。なんだろうあれ。
「我がやらぬ間にゲームも進化しとるんじゃなあ！」
　特にこの手のゲームは情勢に合わせて改訂されたり新盤が出ることも多かったりする。ブラックとか。
「すごろくすごろく、どんな人生になるかなーですにゃ！」
「お金をいっぱい稼いだ人が勝ちのゲームですか、よーし、負けませんよ！」
　みーおもメリッサもやる気十分だ。
「むむ、普通の道かお気楽の道か……みーおはこっちにしますにゃ」
　なんとなく楽しそうという理由で最初の分かれ道をお気楽なほうに進むみーお。しかしお気楽ルートは山あり谷ありのめちゃくちゃな道、でもよいのだ、楽しそうだから！
　メリッサは普通の道へ、そしてニャンタルもみーおと同じようにお気楽の道へ。
「幸運の女神に愛されとる我じゃ、何とかなるなる〜♪」
　ドヤ顔でぽんぽんと出た目の数だけ進めるニャンタル。そして止まった先は、お気楽の道にしかなかったなんだか禍々しい赤いマス。
「なんじゃ、これは」
「労働島で強制労働って書いてありますね」
「なんじゃと？！」
　哀れ、ニャンタルのコマは別エリアに招待されてしまった。ちなみにこちら最新版で追加された特殊エリアである。人間さんはお金が大事、いっぱいお金を稼ごうね。
「棒をぐるぐる回してお金が稼げるのか……？」
　作ったお菓子を持ってきたエーレンがその様子を見て呟いた。いいんです。意味はなくても棒を回すことに意味はあるんです。

　そんなエーレンが持ってきたのはたくさんのアレンジレシピで作られたおやつたちだった。
　ココアクッキーでバニラクリームを挟んだとあるお菓子を使って作られたレアチーズタルト。ココアクッキーはココアクッキー部分は砕いて溶かしバターと和えタルトの土台に、一方のバニラクリームは生クリームと砂糖、クリームチーズを加えて温めゼラチンを混ぜる。先ほどの土台と合わせて冷やせば完成だ。
　またヨーグルトにジャム、いちごチョコレート菓子をグラスに入れて、冷凍庫のアイスをいちご味をメインに加えればいちごづくしのアイスパフェ。
　甘いものだけではなくポテトチップスと卵、カルパスで作られたしょっぱいチップスオムレツもある。
「わぁ、美味しそうです！」
「とっても豪華ですにゃ」
　出来立てを食べないのは失礼だと、ゲームはいったん中断、おやつタイムに突入だ。
「どうぞ、召し上がれ」
「そういえば我もお菓子を持ってきておった。手が汚れないものじゃぞ」
「にゃー！　冷たいですにゃー！」
　キャッキャと喜んで食べ始めるみんな。さりげなくポテチ用の箸を取り出して驚かれるニャンタル。そんな様子を見てエーレンは思うのだ。
（イレギュラーズというのは命まで賭ける大変な仕事、たまにはこうして羽を伸ばす機会も大切だな）

　さてゲーム再開。抜けられないのじゃがー！？　と悲鳴を上げているニャンタルをよそに二人は順調（？）にコマを進めていた。
　何故かと言えばみーおは食べ物の運がなく（人間さんは生きていくのに食べ物が必要。それを買うお金ももちろん必要なのだ）やたら高いパンを買わされて出費がかさんだり、それなら小麦粉からパンを作ろうと思えば直前に不作のマスを踏んで値上がり。地道に溜めていたお金がどんどんなくなっていく。
「人生、山あり谷あり……またお金稼ぎますにゃー！」
　それでもめげない辺り楽しめているのがうかがえた。
　一方のメリッサはあまり稼ぐタイミングがなかった。いい目が出るように祈ってはいるのだが止まるマスは良くもなく悪くもなく。大幅な出費は防ぐが大きく稼ぐこともできずにいた。
「うー、出目さん頑張ってくださいー」
　手を組んで祈るメリッサ。祈りは果たして届くのか。
　そうこうしているうちにようやく島からの脱出をニャンタルは許された。二人からだいぶ遅れてしまったが、ゲームの目的は早くゴールすることではなくお金を稼ぐこと。だから不利にはならないのだ。
「恐ろしい島じゃった……」
「お金稼げましたかにゃ？」
「全然なのじゃ……島出るときに取られたのじゃ……」
「……恐ろしいところですね」
　二人は震えた。特にみーおは踏まなくてよかったと思った。遅れたニャンタルはそれでも棒をぐるぐるで手に入れた精神力を元に突き進む！
　ついには自宅をお城にして億万長者、トップを独走か。と思ったが。
「な、何ー？！　地震と火災、ダブルで来たじゃとー？！！」
　大損害のマスを踏みぬきせっかくのお城をパアにしてしまった。みーおの言う通り人生は山あり谷ありなのだった。保険金はおりるから諦めずにまた稼ごうね。
　ようやく全員がゴールしてお金の計算に入る。そして結果は……。
「みーおの勝ちですにゃ！」
　僅差であったがみーおの勝ちだった。お金を貯めようという意思が勝利へと導いたのだろう。

●パンドラニオン
　せっかくなら混ざるのじゃ、と声をかけられてここからはエーレンも参戦だ。
　カードが配られ、それぞれにじっと手札と場を見る。
「我、こういう系は知らんのよな！」
「私このゲーム初めてやるので楽しみです！」
　説明はされたものの、やってみないとピンとこないというのはそうだろう。
　とりあえず勝つために必要な勝利点をメリッサは集め始めた一方で、みーおは目についたカードを買っていく。
　最初に仕掛けたのはニャンタルだった。勝利点を買おうとしたメリッサに向けて妨害カードを発動。買おうとした勝利点を捨てさせてしまう。
「あっ、酷いです！」
「ファーハッハッハ！　掛かったな！」
「せっかく高い勝利点が買えそうでしたのに……」
「むふふ、我、中々の策士じゃろ？　ろ？」
「メリッサさん可哀そうですにゃ」
　呟きながらみーおは自分の手札を見た。おや、能力カードを組み合わせたら山札が圧縮できそうな……。
「だな、じゃあ山札増やしておくぞ」
「にゃーーーー！？」
　読まれたのか、さりげないエーレンの妨害でお邪魔カードの山を喰らったのであった。

　結局一回戦で勝利を収めたのは妨害にも負けず堅実に勝利点を集めたメリッサだった。
「ニャンタルさんがあんなことするなんて思わなかったですにゃ」
「むふふ、せっかくなら勉強も兼ねて普段出来ない事をしてみようと思ってな」
　なにせ我、光・善属性じゃからな！　と胸を張るニャンタル。
「確かに光はそうですね」
「明るいからな」
「じゃろー！」

　続く二回戦、今度は勝ったメリッサが別の動きを始める。
「勝利点はいいのか？」
「いいんです、今度は能力カードを使ってみようと思って……こうです」
　使用した能力カードで別の能力カードを手に入れ、それをまた使い……と俗に言うソリティアを繰り返してカードを集めていくメリッサ。
　するとその横で今度はニャンタルの妨害を喰らったみーおが仕返しとばかりに別の妨害カードを発動。
「お主いつの間に妨害カードなんぞ持っておったんじゃ？！」
「一枚だけ最初に買っておいたのですにゃ、お返しですにゃ」
「我の妨害カードがぁ！」
「お、なら捨てさせられたそのカードは俺が回収させてもらおうか」
「エーレンまで酷いのじゃ！」
　むきー、と踏んだり蹴ったりなニャンタルが吠えると笑いが巻き起こる。だがそれでもニャンタルは意地を見せ、勝利をもぎ取った。

　三回戦。今度は熾烈な妨害カードの奪い合いになった。
「それは我のものじゃ！」
「あぁ、買われてしまいました」
「すごいですにゃ、妨害カードが売り切れそうですにゃ」
　それもこれもメリッサが毎回戦い方を変えているためだ。最初は勝利点を集め、次は能力カードを使い、今度は妨害カードを使ってみようというわけだ。
「だが、妨害だけしていては勝てないな」
　しかし今度はエーレンが妨害の合間を縫って勝利。
「なるほど、こうなると負けちゃうんですね。でも、勝っても負けてもいろいろ試せるのは面白いですね！」

　気が付けば窓から差し込んでいた日の光はいつの間にか消えて、そろそろお開きの時間。
「はーー！　楽しかったー！　皆サンキューな♪」
「ボードゲーム、楽しかったですにゃ！」
「こんな日もいいですね、エーレンさんお菓子ありがとうございました」
「喜んでもらえたのなら幸いだ」
　バイバイと手を振って。明日からはまたいつもの日々だろうけど、また遊ぶのもいいかもしれない。

成否

成功

ＭＶＰ

なし

状態異常

なし

あとがき