シナリオ詳細
えっ!? ファンブルに人権はないんですか!?
オープニング
●えっ!? ファンブルに人権はないんですか!?
「――もし。もし。そこのイレギュラーズの御方、お話をお聞きください」
街中を歩いていた貴方は呼び止められた。
――誰だ? そう思いて周囲を見渡せば……薄暗い路地裏の先に『何か』いるようだ。
覗く。だが姿が良く見えず、やむなく接近してみれば……
「ありがとうございます。私はF――ファンブルを司る一族です」
「はっ?」
――なんか宙に浮かぶ巨大な『F』の字が其処にいた。
え、何。何? 精霊? 多分、精霊、かな?
なんかファンブルを司る一族とか、超絶不穏な単語が聞こえたが……
「我々は常に影に潜み、皆様の前には絶好のタイミング以外で姿を現わさないのですが……どうしてもお願いしたい事があり馳せ参じた次第なのです」
「帰ってくれ。マジで帰ってくれ」
「どうか――悪のF一族を殲滅してくれませんか」
話聞かねぇぞ、このF一族とやら!!
というか……待て。なんだって? 悪のF一族? 何それ。
「まず、我々は善のF一族。皆さんが良いファンブルを行えるように、常日頃から祈っている者です」
「良いファンブルって何?」
「しかし奴ら……悪のF一族は、皆さんが致命的な失敗をするように願い行動する一族。しかも奴らの活動は日に日に増しており、近頃は絶好のタイミングでもないのに積極的に皆さんにファンブルの加護を与えているようなのです」
「えっ……じゃあ俺がこの前、ゴブリン討伐の時に剣を空ぶったのは……!」
「それは私です」
目の前のFをとりあえずぶちのめした方が良いんじゃないかと思って来た。
が、とりあえず話を聞いてみれば『悪のF一族』は精霊というよりも魔物に近しいようで――人間に不吉なる運を齎してくるらしい。『善のF一族』からすれば斯様な暴虐許せぬ、という事らしいが……でも善側も結局ファンブルさせてくるのは同じなんだよね?
「我々は皆さんの悲しい顔は望みません。しかし奴らは望むのです」
「でも結局ファンブルさせるんだよな? そう言う事なんだよな?」
「ただ只管皆さんの足を引っ張る事を目的とする、悪魔の道に進んでしまった者達を――どうか討伐してください。遠慮する事はありません。どうせ冬になったら畑から生えてきます」
畑って何!!? ファンブルって収穫できるの!!?
相も変わらず話を聞かず進める善のFは、イレギュラーズへと地図を渡す。それは幻想のバルツァーレク派領の山奥を指し示していた……その山の中を、特定の進み方をすれば悪のF一族の隠れ里に入れるらしい。
特殊空間の一種のようで――まぁだから被害は気にせず全力で殲滅していいそうだ。
例えば火を放ってもいいだろう。空間内の出来事が故に、山火事になったりする事はない。
「それから私共の支援としまして……善のファンブルの加護を皆様に与えようかと」
「いらない」
「一つは『ファンブル神の加護』です。これがあれば悪のF一族の加護に負けたりなどしません――なにせこちらの加護の出力の方が強いですから」
「いらないってば!!」
「もう一つは『ファンブルの祝福』です。悪のF一族がファンブルを齎してこようとも、攻撃を必ず成立させます。まぁその後に何か不幸な事が起こったりするかもしれませんが、些細な事だと思います」
「いらね――って言ってるの聞こえてる!!?」
「それでは皆様どうかよろしくお願いします……この世にFの恩寵のあらん事を……」
刹那。善のFが消えていく――あぁ言いたい事だけ言いやがって、こら、待て――!
えぇいクソ! でもローレットにちゃんと依頼料だけは置いているらしい。
依頼ならやらなければならないのか……!?
「畜生、ファンブルになんか絶対負けねーぞ……!!」
天を仰ぎながらイレギュラーズは声を張り上げる。
あぁ青空が広がる今日は、本当にいい天気だな――なんて思いながら。
- えっ!? ファンブルに人権はないんですか!?完了
- あるよね!?
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2023年06月30日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「わわわ。ええと、井様のお知り合い、ですか?
あっちを見てもこっちを見ても、井様にどこか似ているような……」
イレギュラーズ達は至る。悪のF一族の里へと――!
そこで『あたたかな声』ニル(p3p009185)は様子を窺ってみるものだ。彼ら……どこぞの『井』と似ている、と。しかし井とは異なる邪悪な気質を感じる。
うう。ファンブルと言えばよくない事だとニルは知っている……けれど。
「……Fの一族のみなさまだって、ちゃんと平和? に暮らしているん、ですよね。ニルたちのために祈って? くれているのですよね。なら……かなしい顔をつくらない為にも、悪いF一族のみなさまは、やっつけなくちゃって思います」
「ああ。なんとしても悪い方はどうにか倒さないといけないね。
きっとそれが――世界平和に繋がるだろうさ。たぶん」
意を決すニル。続け様には『気紛れ変化の道化猫』ナイアルカナン・V・チェシャール(p3p011026)も悪のF一族を見据えようか――だが情報通りなら一筋縄ではいかない。どうしたものかと悩む、そこへ。
――逆に考えるんだワモン……ファンブルしてもいいさと。
「ハッ、とーちゃん!? 今とーちゃんからアドバイスが届いた気がするぜ!!
分かったぜとーちゃん! ファンブルとは抗うものじゃねぇ!
一緒に生きていくものなんだな!」
イマジナリーとーちゃんが傍にいてくれる『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は確信した。ファンブル込みで戦えばいいってことだな!
「っしゃー! とことんファンぶりながら戦ってやるぜー!
って、ぐあ――! バナナが! こんな所に大量のバナナが――!」
「げー! なんでこんな山の中でガムが……! うわ、しかももう片方にも付いた!」
だけどダメ! ファンブルを受け入れようとすれば訪れるは不運の数々!
早速に謎の出現を果たしたバナナにスッ転ぶワモンを始めとして『ラッキージュート』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)は張り付くガムを踏んづけてしまう! えぇい早速か! しかしイレギュラーズ達も無策ではない。なにせ、そう、彼らには。
「ファンブルの祝福があるのですからねえええ! ふっふっふ……この依頼、絶対行動(自称)の名をほしいままにする私の為に在る様なものですね? これは正に天命。勝利は決まったようなモノですよおお!」
『消費期限10秒系女子高生』出オチちゃん(p3p010131)の言う通り善のF一族からもらった祝福がある故に! ――と、勢いよく行ければ良かったのだが。
「さぁ巨悪たるFの一族、いざ尋常にぐぁああッ!?」
「な、なんだ――!? 人間が爆散した!?」
「はぁはぁ、こ、この私にパンドラ復活を使わせるとは……やりますね!」
「え、いや我々はまだなにも……」
しかし出オチちゃんの出オチっぷりは半端じゃなかった――そう。装備している物の呪いと言ってもいい蝕みによって出オチちゃんは(勝手に)自爆してしまったのだ! 悪のF一族もドン引きですよ。
「これは、とんでもないのです……! でもイミナは諦めません! イミナが皆さんを全力でお守りしましゅ! ……いてて、噛んじゃった」
「ふふ……これがファンブルの祝福、ね。つまり私達の魅力を――更に引き立ててくれるのよね? そうでしょ? そうに違いないわ。可愛いをきっと、暴力的なまでに引き出してくれるはずよ」
でもこれだけでは終わらない――普段からファンブル力の高い『ただの』イミナ(p3p008692)は度重なる不運と共に在った。しかし行動だけは成立させる祝福を身に宿していれば……戦えるのだイミナも! かみさまとファンブルの二倍祝福で確定演出(?)です! まぁ早速舌を噛んでしまったようだが。
ともあれ悪のFを魔砲で薙ぎ払っていく――ぎゃあああ!
悪Fの悲鳴が轟けば『永遠の少女』ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)は、微笑もうか。ドジっ子不憫可愛いって言うじゃない――? 言うでしょ? ねぇ?
愛の反対は無関心。ええ、ええ、ならばこれも。
「私の愛。私から授ける祝福」
悪に堕ち憎まれ蔑まれ……数多の者達から愛されぬまま生きるだなんて悲しいでしょ?
「――だからせめて土に返してあげるわ」
彼女は放つ。全霊たる一撃を、不運と共に!
全滅させる勢いを胸に突き進むのだ――が。悪のF一族だって黙って討伐されたりなんかしない。イミナやルミエール……いや侵入してきたイレギュラーズを排さんと奥から大量に悪のFの若者集団(?)が湧いて来ている。
「そうはさせるか――こっちを見ろ、そう俺をだ」
瞬間。告げたのは『ファンブルハンター』ルーキス・ファウン(p3p008870)だ!
見ろ、と言ったのはそのステータスだが……なに……?
「ファンブル戦闘力……0だとぉ!?」
悪のF達がざわついている――ルーキスの辿り着いた境地に!!
そう。クラス補正やら装備やらなんやらに全力して0にしてやったのだ。
それが今回の敵は何だって? ファンブルを司る悪の一族?
「精霊か魔物か……そんなことはこの際関係無い。ファンブルを加護と称し、あまつさえ人に付与しようなど豪語道断。人々はファンブルに脅かされぬ日々を享受しなければならないというのに……害悪な存在、生かしてはおけない。ファンブルに人権無し! 罪ありし者達よ――死にたい奴からそこへ並べ!」
「何を言うか! あんなの異端だ! ファンブル力0など許されぬ、殺せ!」
然らばルーキスを滅ぼさんと悪のFが殺到する――! それこそがルーキスの狙いでもあった。連中の注意を引き付けるのだ! でも告げたのは大体本音である。Fとか許されぬ。絶許。
Fを付与したい者。F一族を滅したい者。
数多の思惑が交差しつつ――大激戦が始まらんとしていた!
●
「くらえええ必殺! AP偏重から放たれる全力のソウルストライク!
これぞロマンの極みぃぃぃい!」
「こ、こやつ! ファンブル112が出たぞ――!」
激戦の最中。出オチちゃんはもう楽しくて仕方なかった。たかがパンドラ復活一回使った程度で彼女はめげない。ダメ押しの一撃で敵を打ち倒すのみだ!
「これでジ・エンドってわけであバナナのかwうああッ!?」
「はう!? 血が、血がいっぱいあちこちに飛び散ってるりゅ!!」
――が。当然と言うかなんというか出オチちゃん、再びのピンチ!!
だめだ、このままでは出オチちゃんが出オチしちゃう!
ファンブルの祝福が彼女の出番を護らんとする――彼女の身を蝕む痛み、それ自体をファンブルさせんとするのだ。え、そんな所に判定入るのかって? 細かい事はいいんだ! 血飛沫凄くてイミナの傍にも降りかかってるけど気にするなー!
「うぉぉファンブルの祝福があれば関係ねー! 全員ひき逃げしまくるだけだぜ――!! とーちゃん見ててくれ。これがオイラのファンブル魂だ!」
「アシカだ! アシカの砲弾が襲い掛かって来るぞ!」
俺はアザラシだっ――!
そしてワモンは全霊のアザラシ突撃を披露。バナナで滑ろうが石鹸で滑ろうが関係ねー! むしろ勢いが増してダメージが……って、ぐわー! 万能のバナナ皮で軌道がそれたー!
ぐわー! 石鹸ですべって勢いつきすぎて壁をつきぬけたー!
「ぐわー! 顔面に突然パイ投げのパイがとんできて前がみえねぇ! あああ――! やべぇ、オイラ自身に回転が付きやがった! オイラは今前を向いてるのか!? 後ろを向いてるのか!? たすけてくれ――!」
「ああ! ワモンさまが、F一族のみなさまを巻き込みながら崖をとびこえて、ホームランを!」
大絶叫大混乱。それでもワモンはFをぶちのめしながら滑り滑っていく! 壁に大激突した彼をニルが慌てて治癒の術を巡らせようか。怪我はあぶないのです。
「えいえい! しかたありません、ニルも、たたかうのです――ひゃわぁ!!?」
直後にはニルもいつも通り魔力を伴いF一族に攻撃を……
仕掛けようとしたのだが、その時だ。ニルの足元に蟹さんがいた! なんで? そう思う間もなく蟹さんはニルの膝小僧へと飛び掛かり鋏をチョキチョキ。ひゃわあああ!
「やだ、なんで、うう……ファンブル……ファンブルはこわいのです。
蟹さんごめんなさい、ぺちぺちって払わせて、もらいます」
「うわわ、なんかすごい地面がぬるぬるしてりゅっ! どうして、なん……んにゃああ!」
「ふぉっふぉっ。我々を舐めたな人間共よ」
「むッ!? あの巨大なFは……まさか里長か!?」
更に(謎に多すぎるバナナの皮で転ぶけれど)攻撃が成立する事に楽しさを見出していたイミナにも不運が襲い掛かっていた――これはバナナ・フィールド! バナナ成分が地面に広がっている状態……ぬるぬるしている!
だがこんな大規模な不運が起こるのかと思っていれば――ルーキスは見た。
一際存在感を放つ巨大F。悪の里長を!
彼の脳髄が再び激情に昂らんとする。クッ! 落ち着け……!
「これ以上キャラ崩壊は……! これはファンブル一族の罠だ……!」
「いやそれは単純にお前さんの自爆じゃぞ」
「皆殺しにしてやる――お前の一族は根絶やしだ……!」
「ははは。確かに一刻も早く片付けないと、もうなんか魂もファンブルに染まってきそうな気がするね。さっきからこの場にいるだけで不運に染まってきている気がするし……よし。うねる雷撃は猫のように……あっ」
ルーキス。蝕んでくるFの加護に負けず、まずは小型Fを薙ごうか。
平常心の儘にファンブル共をMINAGOROSHI。許すか死ねー!
その動きを援護するようにナイアルカナンも術を紡ぐ。雷撃の一閃をもってしてFを焼き尽くさんと……するのだけどダメだ! 突風にあおられ飛んできたまたたびに気を取られ木に頭をぶつける――!
「ふぐっ! こんなものが一体どこから……混沌世界のファンブル……実に興味深い、ね゛っ」
「思い知ったか、そこな猫よ。どうじゃ、今なら年会費無料のファンブル教に入らぬか――? いつでも脳髄にファンブルキメる事が出来るぞ」
里長が何言ってんのか分からないがナイアルカナンがピンチだ!
「里長……そう思い通りにはさせないぜッ!!」
ならばとジュートが往く。彼が狙うのは……大博打一点ッ!
里長を討てば悪のF一族は瓦解する筈だ――故にラッキーアイテムを山盛り身に着けてきていたのだ。例えばモデル:マッチョ☆プリンとか……んんっ? でもジュートは信じる。幸運の女神サマ……!
「俺に、助言を――!」
『――宜しい。そのまま進むのです。ファンブルの神は、貴方を常に見る事でしょう……』
「オッケー……アレ!? これいいファンブルさんの助言じゃ、うわ――!」
戦いの加護を身に纏い手数を増やした――のが災いに転じる。行動すればする程不運に見舞われるのだ……! どこからか飛んできた新聞紙がジュートの顔面に張り付き、黒猫が現れたと思うや否や猫パンチ。
でも負けない。半端な不幸で挫けたりするものか!
「はぁ、はぁ、まだ……まだ俺はやれる……! つーか俺さ、今日この依頼がなけりゃ、今頃ケイクちゃんとお茶してる予定だったんだよな。それをモチベに一週間頑張ってきたのに……」
――流石にイラッ★だぜ!
底力を見せつけるジュート。立つ力も限界であろうに……!?
「馬鹿な。人間にこれほどの力が何処に――」
「舐めたわね――人間を。舐めたわね――私達の想いを」
刹那。言を紡いだのは、ルミエールである。
あのね、私思うのよ。お墓に入った後でなら、貴方をもっと愛してあげられるって。
お墓に花をお供えして『どうして死んでしまったの』って。
嘆き悲しんであげられるって。
「そうでしょ? 愛されぬ儘生きるなんて辛い事よ――だから此処で塵すら残さず消え去りたいというのなら、全霊の一撃を贈ってあげても宜しくてよ。これは慈悲よ。慈悲ですとも。理解しなさい。人の愛を。人の想いを」
「どういうことなのじゃ!?」
見苦しく騒ぐFの里長。嗚呼、死んでしまうにしても最後に幸せな夢は見たいわよね。
――私は魔法使いのムスメ、夢幻を操る永遠の少女。
その力の恩恵と意味を与えて差し上げるわ。
「せめて最後は幸福の中で――」
「うおー! 負けっぱなしじゃ終われねーぜ! さあ! そっちが先に全滅するか、オイラが壁に刺さって生け花あざらしになるか……勝負だぜ! って、ぬわー! またバナナがオイラを滑らせ、あ! 壁に刺さった抜けね――!!」
「イミナも……お役に立つのでしゅ! いて、いてて……
何度も舌を噛んでしまいますが、それでも……イミナは!」
故にルミエールは幻影の力を紡ぎながらFの里長に隙を作らんとする――直後には再びワモンが突進して案の定壁に刺さって現代芸術物として完成していれば、イミナもワモンを引っ張りださんと頑張りつつ魔力を紡ごうか。
つるりと滑ってぐるぐるしてしまい、魔砲の一撃がそこかしかにぐるぐる。
しかし彼女の力はかつてない程の極みにあった――彼女の装備とのシナジーが働き、正に最強で無敵なイミナになっているのである。只管に上がる攻撃力がF一族の家を燃え盛らせる――!
「一匹たりとも逃すか! 血祭りに……あ、倒壊する建物がこっちに、ぐえぇー!?」
「わ、わぁあ! 今度はカラスさんが、おそってくるのです! うう、ニルはたべものじゃ、ないのです! あっ、そこは、ダメです……! 突いたら、めっ、です!」
そうしていたら獅子奮迅の奮闘を見せていたルーキスが建物の崩落に巻き込まれ、Fのみんなと分かり合いたかったニルは何処からともなく訪れたカラスにコアを襲われているし、もう状況はカオスの極み。
あぁこれが――ファンブルの生み出す世界なのか?
「油断しましたね。アナタの足元を、よく見るのですよ!」
だが、その時。
(何も喰らってないのに)満身創痍の出オチちゃんが絶好のフラグを告げた。
そう――彼女の流血が辺りを満たしているのだ! とても滑りやすい環境。彼女自身は自らに宿るギフトの効力によって血は補填される……故に! 気づかれる事なく、自然に! 周囲を血で満たした!
「失敗とは要因があって起こるもの! こんな状況下でF一族たる貴方は……転ばずに要られますかね? いえ転ばずにいるのが――はたしてF一族の頂点に立つ者として正しい事でしょうか?」
「き、貴様アアア!」
案の定の展開。巨大なるFが倒れんとする――出オチちゃんは信じていたのだ。
例え自分が敵わなくったって!
「後続に希望を繋ぐ為に命を賭す! それが私達イレギュラーズだ!」
「さぁ――これで終わりね」
「俺だけじゃ死なね――! お前も……ファンブル地獄に道連れだ!」
そして。その隙をルミエールにジュートは見逃さなかった。ジュートが里長の身を掴みて全力で持ち上げんとする――畑からFが生えてくるならば畑の上で壊滅させてやろうと……! 同時に里長の抵抗を潰す為ルミエールの瞳から紡がれる魔力がFを誘惑せんとしようか。
ねぇ、貴方。私は貴方を愛してるわ。
貴方も私を愛してる。そうでしょう?
私は、愛する人の喜ぶ顔も悲しむ顔も見たいだけ。
「まあ! 私達お揃いね!」
転ばんとする里長に全霊の一撃を紡ぐ――愛の儘に死に、愛の世界の儘に果てなさい。
Ring-a-Ring-o' Roses♪
ポケットにはファンブルいっぱい♪
――みぃんな一緒に転びましょ♪
●
悪のF一族は滅んだ。しかし酷い目にあったものだ……
「うひー、流石にファンブルしまくって目が回ってきたぜーうぇっぷ」
「でもでもファンブルの祝福すごかったです……! イミナも皆さんのお役に立てました……! ずっとこの祝福があったらいいのに。だめですか? だめ……? しゅん……」
ワモンは疲労困憊。イミナはなんだか楽し気だが――この祝福は今回限りなのだろうと思えば気分も滅入るものだ。と、その時……イレギュラーズの前に黄金のFが現れた。アレは。
「皆さん……善のF一族を代表して御礼申し上げます」
「ああ礼には及ばない。新しい悪のF一族が生えてこないよう……あちこちに火も放つつもりだ。焼畑農業だな。『邪悪な敵を滅ぼすには、その住処に火を放つのが効果的』だと、この前読んだ本にも書いてあった気がする」
「冬に、はえてくるのでしたかね?
みなさま、もしももう一度お会いすることがあれば……善いFになりますように」
依頼人だ。が、まだ戦いは終わっていないとルーキスは松明片手に言を紡ごう。彼の目は本気だ。こわいよぉ……一方のニルは悪のF一族が正しい転生をする事を願って祈りを捧げようか……
何はともあれ戦いは終わった。後は帰るのみ――だが。
「ねぇ……気になってるんだけど、加護効果……どの位で解除されるの?」
「ご安心ください。一日~一週間ぐらいで切れます。たぶん」
「ちょっと、それは幾らなんでも幅がありすぎ……あ、勝手に消えッ」
叫ぶナイアルカナン。消えていく善のF。
ああ全く。余所にコレを持ち込む訳にはいかないというのに!
「帰り道、何回でFが収まるだろうね?」
乾いた笑み。どこか遠くを見据える様な瞳と共に――
山から無事に生きて降りれたらいいなぁ、なんて思うのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
ファンブル、ファンブル!
――ありがとうございました!
GMコメント
最近シリアスばかりで偶にはコミカルをやりたかったんです。以下詳細です!!
●依頼達成条件
悪のF一族を……倒せ!
●フィールド
悪のF一族の住まう里です。
幻想のとある山の奥を、特定の手順で進むと初めて侵入出来る隠れ里です。木造の家が幾つか立ち並んでおり、里には後述する『悪のF』が沢山います。連中は魔物みたいなものなので、遠慮する事はありません。火を放ってもいいですし、とにかく全滅させてください!
●敵勢力
・『悪のF』×たくさん
人間にファンブルの加護を齎してくる存在――らしいです。
精霊というか魔物らしく、要は【不吉系列】のBSを始めとしてファンブルが滅茶苦茶上昇する攻撃を振りまいてくる敵です。基本的な能力はあんまり高くありませんが、一体だけ超巨大な『Fの里長』が存在します。
Fの里長は――まぁHP沢山ある以外、別に強くはないんですが。ファンブルの値が意味分からんぐらい上昇する悪の加護を齎してきます。この加護が齎されると、本シナリオ中は解除不可の呪いです。
息するだけで何か不幸が襲ってきたりします。ナイフが飛んできたりとか……
まぁファンブルに負けず頑張ってください――!!
●情報精度
この依頼の情報精度はFです。
依頼人からの情報に嘘は一切ありませんが、ファンブルだらけです。
気を付けてください! 突然バナナとか踏んで滑ったりとか――うわあああ!!
F一族の加護
善のF一族から加護が齎されます。
是非どうぞご利用ください。是非、是非。
【1】ファンブル神の加護
ファンブル神とかいう存在からの加護です。
ファンブルの値が超上昇します。でも悪のF一族の里長加護を無効化出来るらしいです。要はこっちの加護の方が強く上書きできないらしいので……あれ、それどっちがマシなんだ……?
【2】ファンブルの祝福
ファンブルの祝福です。ファンブルの値がドン引くレベルで上昇します。
ですが悪のF一族に対する特攻性能を宿します。なんとファンブルしても攻撃自体は成立するのです。ただ攻撃した後に、なんか突然バナナの皮を踏んで転びそうになったり、お金落としたりするかもしれませんが。
【3】いらない!
F一族から加護を受け取りません。私は私の力だけで戦うんだ!!
いいか絶対加護なんていらないからな!! ――フリじゃないからな!!
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