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シナリオ詳細

<黄昏の園>天地の声

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<黄昏の園>天地の声
 竜種達が棲まう地、『覇竜領域デザストル』。
 つい先日に発生した『ラドンの罪域』の戦いに勝利を収め、ラドネスチタによる『選別』を受けたイレギュラーズ達は、竜種達に『黄昏の地』と呼ばれる『ヘスペリデス』の領域に到達する。
 経た罪域の光景からは一変し、とても美しい風景と、見た事の無い色鮮やかな花や植物が咲き乱れるこの地。
 黙って居れば観光地だ……と言えなくもない。
 ただ、積み上げられた岩の遺跡のようなものは、竜種達が歩けばぐらぐらと揺れて、いつ崩れてもおかしくない程に不安定で、所々の遺跡は既に崩落してしまっている。
『……人の営みを真似して作った遺跡は不格好……咲く花はデザストル特有の、名も知らぬ花であっただろう。だが、風光明媚なこの場所は、いつかは幌実に向かうのだ……』
 ここは『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオスにより作られた、竜種と人を繋ぐ地。
 だが『花護竜』テロニュクスの言葉に因れば、この地は滅びを約束されていると言う……。
 勿論、滅びが約束されているからといって、この地を捨てるわけには行かない。
 ベルゼーに近づくために……そしてラドンの罪域を越えた、次なる拠点を確保するべく、イレギュラーズ達は『ヘスペリデス』の活動を始めるのである。


「……ここだね」
 立ち止まるイレギュラーズ。
 森の中に見え始めたのは、不安定な石積みで作られた、遺跡の様な建造物。
 いつからこの地にあったのかは分からないが……少し古そうなたたずまい。
 『ラドンの罪域』を越えたイレギュラーズ達は、ベルゼーの居ると言われて居る『ヘスペリデス』へと辿り着き……ベルゼーの影を探す。
 だが未だその影は見えない……だが、立ち止まっている訳には行かない。
 故にイレギュラーズ達は、新たにこの地を拠点にする為にヘスペリデスの地の探索を開始。
 この地の成り立ちを調べるが為に訪れたのは、湖の畔にある遺跡。
 そしてその遺跡に立ち入ろうとした、その瞬間。
『グガァゥウゥゥ……!!』
 遠くから響いてきた、獣の咆哮。
 その咆哮と共に、空から舞い降りてきてのは……多数のワイバーンの群れ。
 遺跡の上空をグルグルと回っていた彼らはイレギュラーズ達に気付き、まるでこの遺跡を守るが為。
 更にその咆哮に誘い出されるが如く……イレギュラーズ達の後方から三首の狼達。
『ガルゥゥ!!』
『グガァァ……ガアアアア……!!』
 ワイバーンと、ケルベロスがイレギュラーズ達を挟む形で対峙。
 更にその咆哮により、石積みの遺跡の岩の継ぎ目からはポロポロと石の葛が零れ落ちる。
 いまにも崩れそうな遺跡の探索をするが為に、イレギュラーズ達は武器を取るのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 皆様のおかげで到達出来た『ヘスペリデス』の地……まだまだ未探索の地が多く、その探索依頼となります。

 ●成功条件
  最終目標としては遺跡調査です。
  ですがその為には立ちはだかる亜竜(ワイバーン)や魔物(ケルベロス)達を倒さねば鳴りません。。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  今回舞台となるのは『ヘスペリデス』の平原の一角です。
  傍らには湖、見た事の無い花々が咲き乱れている『美しい場所』になります。
  そんな美しい場所に亜竜と魔物が入り乱れて大乱闘状態で、彼らは説得に耳を傾ける事無く見敵必殺の方針だけで動きます。
  更に探索目的の遺跡はかなり不安定な石造りなので、亜竜、魔物達が暴れ回れば崩落してしまう可能性が高いです。
  勿論崩落したとしても岩を片付ければ探索は出来ますが、ちょっと時間が掛かってしまいます。

 ●討伐目標
 ・空より降りし亜竜の『ワイバーン』の群れ
   竜種に似た翼を持った小型のドラゴンの様な者達です。
   空を飛び、近づいてくるモノを完膚なき迄に殺そうと行動し、炎や雷のブレスを前方範囲に吹き付けて攻撃します。
   特に周りの仲間達と連携したりはしません。
   体力が危険になれば飛んで逃げる可能性はあります。
 
 ・触発された魔物の『ケルベロス』達
   ワイバーンに何か対抗心を燃やしている魔物達です。
   三つの首を持ち、炎、毒、麻痺のブレスを常に連続で攻撃してきます。
   又彼らはワイバーンとは違い群れの意識が強く、連携した行動を取り、仲間を庇うような行動を取る事もあります。
   ただ、体力はそこまで高く有りません。
 
 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <黄昏の園>天地の声完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月21日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
ユーフォニー(p3p010323)
誰かと手をつなぐための温度
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

リプレイ

●竜の花
 竜種棲まう地、覇竜領域デザストル。
 ラドンの罪域を越えた、至るは『黄昏の地』と呼ばれし『ヘスペリデス』の領域。
 厳しい高地にありながら川や湖が流れ、その畔には美しくも彩り豊かな花々が咲き誇っており、ここが観光地なのではないか……と勘違いしそうな程に風光明媚な土地。
 ……しかし、そんなヘスペリデスの地にはまだまだ出自不明な者が沢山あり、未探索領域も多い。
 そんな未探索領域の一つである、湖の畔にぽつんと存在している遺跡に向かうイレギュラーズ達。
 その道すがらにある花や、陽に煌めく湖の輝きに目を奪われているのは『あたたかな声』ニル(p3p009185)。
「……」
「ニルさん……?」
「……あ、すいません。見とれてました……」
 『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)に肩を叩かれて、振り返るニルの表情は、ほんわか嬉しそう。
 そんなニルにうんうんと頷く咲良。
「うんうん、その気持ち、分かるよ。綺麗なところだね!」
「ええ。湖も、お花畑も、とってもとってもきれいな場所……こんな場所があるなんて、知りませんでした」
「アタシもだよ! なんていうか、ここが滅ぶとか言われてるけど、でも放って起きたくないなぁって気持ちになるよね! そんな湖の畔にぽつんと建つ遺跡とかも、良い感じに鰺を出してて探索するのが凄く楽しみだよ!」
「ええ……」
 こくり、と頷くニル。
 イレギュラーズ達へ、『花護竜』テロニュクスから伝えられた言葉……この地は将来滅ぶとの話。
 こんな美しい風光明媚な所が滅ぶなど、すぐには信じられない様な事ではある。
 ただ、だからといってこの地の探索の手を止める訳にもいかないだろう。
「……ベルゼーさんが望んでくれるなら、私は彼を助けたい。それが……倒すより困難でも。その足がかりになるのなら」
 胸に手を当てて、自分自身に向けて決意を口にする『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)。
 その言葉を木板『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)は……蒼天の空を見上げながら。
「そうだな……変な話だが、俺、ベルゼーには親近感が湧くんだよな。一度会って話すためにも、欠片だけでも手がかりが見つかればいいな」
「そうですね……」
 ……ベルゼーが創り出した地……彼を救うための手がかりもある筈、そう信じて進む。

●湖の畔
 そしてイレギュラーズ達は寄り道する事無く、湖の畔の遺跡へと到着。
 人の背丈よりも数倍の高さの入口は、竜種が創り出したもの、と言うのを如実に示しており、ここが覇竜領域なのを感じさせる。
「これは凄いな……竜でも入れる様にデカいって訳か? あんだけデカくて飛べて力も強いんなら、作るのもなんとかなるんだろうなぁ」
 そのたたずまいに『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)が感心していると、それに目を光らせた『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)が。
「うん。それにしても遺跡調査、わくわくするね……!」
 と言うと、それにクウハも。
「ああ、そうだな。遺跡調査にはロマンがあるな」
 頷くクウハ……だがその遺跡に近づいてみると、その構造は至極単純で、単純に岩を積み重ねただけの様に見える。
 逆に言えば強い衝撃や振動があると、積み重なった岩のバランスが崩れて、一気に崩れ墜ちる……と言うことは、十分にあり得るだろう。
「ワイバーンやケルベロス達が現れて近くで暴れたりしたら崩れそうだね」
「ええ、確かに……とは言え外から見ているだけでは何の手がかりも得られません。遺跡というのは、中に何かが描かれていたり、設置されていたり……ですからね。何かめぼしい手がかりを見つけられれば良いのですが」
 何処か流麗な仕草で、『竜は視た』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)が遺跡へと足を踏み入れようとした……その時。
『グゥゥォオオオン……!』
 近くの空から響きわたる、地を震わせる咆哮。
『ガルゥゥゥ……!!』
 逆の方角よりは、獰猛な獣の鳴き声。
「ワイバーンと、ケルベロス……ッスね」
 『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)が唇を噛みしめる。
 空からはワイバーンの群れ、左右の陸続きからは、挟撃するかの如く三つ首の狼、ケルベロスの群れ。
 どちらも、この『遺跡』は俺達のものだ、と言わんばかりに威嚇しており、イレギュラーズ達に明らかな敵意を向ける。
「うーん……遺跡探索をするにも、この魔物達をなんんとかしないと探険出来なさそう……かな?」
「そうですね。調査の前に……まずは争うのを、やめてもらわなきゃ、ですね」
「ええ。これらをどうにかしないといけませんねぇ……美しい私が傷つく前に、追い払ってしまいましょうねぇ……」
 咲良とニルの言葉に、流し目をするヴィルメイズ。
 勿論ワイバーンとケルベロス達は、イレギュラーズ達の話などどうでもいい……この遺跡に足を踏み入れる者は敵、殺す、排除する……それだけの事。
 だが、そんなワイバーンに向けて、ユーフォニーが。
「調査だけさせてもらえませんか? 私達は、戦うつもりはないんです……!」
 と疎通を通じ話しかける……だが、既に彼等は聞く耳を持つ意思は無い様で。
「仕方ないッスね。ワイバーンやケルベロス達には申し訳無いっスけど、こっちも仕事をしなきゃならないっスからね。ちょっとこの場からはご退場願うっスよ!」
「そうだな。楽しみの為にも張り切って一仕事するとしようか」
「うん、ワイバーンも、ケルベロスも倒すよ……!」
 ライオリット、クウハ、祝音それぞれも覚悟を決めて、武器を取る……そして咲良が。
「よっしゃ! ぱぱっとやっつけちゃって、あとから楽しく遺跡探索するぞ! その為にも遺跡が壊れないように、この子達にはとっととお引き取り願うよ!」
「ああ。ロマンをわかってない獣共には退場して貰わないとな!」
 咲良とカイトの気合い一喝、対する敵陣は咆哮で再度威嚇。
 ……地を震わす振動故に、後方の遺跡の岩の間から、ポロポロと小さい岩が零れ落ちる。
「ニル、遺跡を護ります……! 遺跡が壊れるのも、花畑とかが荒れるのも、ニルはいやなのです」
 とすぐさまニルがその場に強力な保護結界を展開する……すると護られた入口は、少なくとも振動からは護られているようで、零れ落ちていた岩も収まる。
「うん……皆の保護結界、本当に助かる……! でも余り悠長に構えては居られないよね。それじゃあさっさと始めるよ!」
 と祝音の言葉に頷き、早速咲良が。
「それじゃ皆、続いてきてね!」
 と皆のスピードを引き上げ行動開始。
 先ず敵の攻撃が来る前に、ライオリットは己の限界の限界を突破させ、風を纏い、亜竜に向けて特攻を仕掛ける。
 素早い動きから繰り出され、流石に避けられないワイバーン……続けてヴィルメイズも。
「乗るしか無い、このビックウェーブに! でございますよ~」
 何処かしらうれしそうにしながら、地上よりワイバーンに向けて舞い、その動きを停滞。
 とは言え停滞させられるのは一体のみで、残るワイバーン達は一斉に降下し、イレギュラーズ達に向けて炎と雷のブレスを吐く。
 当然乍らそのブレスによって、足元の芝、花に延焼。
 それに、カイトが更に結界を自分達の足元に展開して遺跡を保護する領域を拡大しつつも、ワイバーンに向けて。
「お前等、空は竜のものと思ってるだろう? でもオレの方が『上』だぜ?」
 彼等を嘲笑うかのように、空を縦横無尽に飛び回るカイト。
 当然巨体を誇るワイバーン達は悠々と空を飛ぶのは得意だが、牡蠣とのように小回り効く様に飛ぶことは出来ない。
 そんなちょこまかとした動きに自尊心を傷付けられた様で、それを追い立てようと再び飛行するワイバーン。
 追いかける彼等に地上より熱冷合わさったブレスで反撃し、傷ついた所でユーフォニーが神々しき光で不殺効果で殺さずに倒そうとする。
 ……とは言え、流石に体力は高い者達故、咆哮を更にあげて怒り狂い、イレギュラーズ達の排除に暴れ回る。
 その一方で、地上側のケルベロス達は両面襲撃。
 基本的にはその三つ首から三種のブレスを次々と吐きつけて戦域全体を常に攻撃。
 カイトとニルの結界のお陰もあり、建物に大きな被害が及ぶ事は無いものの、全体的にダメージを与え少しずつ、確実に削る戦法。
「もう、熱かったり寒かったり、ビリビリしたり忙しないなぁっ!」
「ああ……咲良、ちょっと移動するぞ。ここで戦うと、ワイバーンと闘う方にも影響が出かねん」
「そうだね!」
 祝音とクウハの言葉に咲良は頷き、ケルベロス達を上手く引き付ける様に回り込んで、一方向に纏めた上で遺跡の前からはズレるように行動。
 その間に喰らいしダメージは、祝音が。
「君達はただ縄張りを護っているだけかもしれないけどさ、遺跡を壊すな、ばかー!!」
 そんな言葉を零しながらも、仲間達の回復だけに手を裂く。
 そして上手い具合にワイバーンとケルベロスの陣容を分断出来れば、後はそれぞれ本気で戦う時。
「さぁ、アタシ達が相手だよっ! 遺跡探索の為にも、脅威は排除するんだから!」
 そう咲良は喝を入れると共に、居並ぶケルベロス達を直線上に攻撃。
 その攻撃に続きクウハは敢えてケルベロス達へ大口を叩き、自分への怒りを買い続けて彼等がばらつかないようにする。
 続けて祝音が糸を張りて足止めすると、そこにニルの濁泥の波を投じて彼等に多くのバッドステータスを積み重ねていく事で、ケルベロスの体力を、総じて確実に削る。
 どちらの敵にも、総じて体力を削る作戦を取りつつも、出来る限り遺跡に被害が及ばない様に工夫。
 数刻の後に、先ず崩れたのはケルベロスの一角。
 ただ瀕死の仲間を庇うようにしながらも、ケルベロス達は決して撤退はしない。
 一方のワイバーンは、仲間同士庇う様な行動は取らないものの……瀕死ナ状態になればその場を早々に後にする。
「勇猛果敢なケルベロス、命を大事にするワイバーン……ってな訳でしょうかねぇ?」
「そうみたいッスね。でも、こっちも進んで殺したい訳じゃないッスし……逃げて貰えるなら逃げて貰った方が良いんッスけどね」
「ええ……深追いはしません。だから……遺跡探索をさせてください」
 ヴィルメイズ、ライオリット、ユーフォニーの言葉……しかし、ワイバーン達は、頑なにその言葉を聞き届けようとはしない。
 故に瀕死に至るまで体力を削り、彼等を逃し……一体ずつワイバーンの数を減らして行く。
 一方のケルベロス達については、倒す他には無い。
「僕達は遺跡を調査しないと……誰も倒れずに、皆揃って遺跡を調査するんだ!」
 と祝音は強い気概と共に仲間達の回復に奔走し、咲良、クウハ、ニルがケルベロスを削る。
 ……彼等が襲撃してから十数分の後、ワイバーン達は全て逃げ去り、残るのはケルベロス達だけ。
『グルゥゥゥ……!』
 戦意は未だ失っていない彼等だが、その数は最早片手で数えられるだけ。
 ワイバーン達と戦っていた仲間達が戦列に加わり……圧倒的不利な状況であるのに、彼等は諦めない。
 そんな彼等の気概にヴィルメイズは。
「いや、確かにその気概素晴らしいですねぇ。ですが、こちらもおいそれと帰る訳にはいきません……大人しくしてください」
 その手より放つ呪縛に縛られ、動きを止めしケルベロス、そして。
「さぁ、行くッスよ!」
「ああ。全員逃しはしねえぜ!」
 ライオリットとカイトが呼応し、残るケルベロスに攻撃し……彼等も草原の上に臥した。

●花遺跡
 ワイバーンとケルベロスを討ち倒し……周りを見渡すユーフォニー。
「脅威は、去った様ですね……」
 ほっとした半面……まだまだやるべき事があるのを再確認。
 結界を解いてみると、少しだけ積み重なった岩がズレてたりはするが、入口を塞ぐような大崩落は未然に抑えられた様である。
「それじゃあ遺跡探索だな。この遺跡、湖の畔にあるって事は……水龍さまが作ったとかかもな? ほら、よくあるだろ、海底遺跡とか。もしかしたらこの遺跡が地底湖に繋がっていて、海に行くことが出来るとかあったりして、そういうのロマンあるよなぁ。逆に天空行きってのも面白そうだ」
 嬉しそうなカイトの言葉の通り、湖の畔にあるなら、その先が湖に繋がっている……なんて事は十分にありそうな事。
 勿論誰一人として、まだこの遺跡の中に足を踏み入れたことが無い故に、その真実を知る者は誰もいない。
「取りあえず、安全確保しながら遺跡探索と行こうか。遺跡の中、どんな風になってるかな? ベルゼーの手がかりや、女神の欠片とか、あるのかな……?」
「女神の欠片……ですか。確かに……あるかもしれませんね祝音の言葉にユーフォニーはふと考える。
 テロニュクス、そして琉珂から聞いた話、このヘスペリデスの地にはベルゼーの苦しみを和らげる『女神の欠片』がある、という。
 ただそれがどこにあるのかは、分かったものもあれば不意に見つかるものもある。
 とは言え、その真相はまだ良く分からない。
「まぁ何にせよ調査調査ッスよ!」
 とライオリットが仲間達を促し、イレギュラーズ達は遺跡の中へと侵入。
 ……入口から続く遺跡内部は、土を掘り出したトンネルの様な形状。
 ただ荒削りで、所々には天上の土が堕ちている……下手に衝撃があれば、いつ崩れるかも分からない程に不安定な場所……ただ、罠とかは無い。
 そんな洞窟状の遺跡の内部にクウハは。
「この遺跡は、本当いつ誰が、一体何の為に作ったんだろうな……? ベルゼーが作り出した、とは言うが……こんなにボロボロなのには理由があるんだろうか……?」
 首を傾げる彼に対し、ニルはこくり、と頷きながら。
「そうですね……はじめて見たものはわくわくします。でも……ぼろぼろになってしまった遺跡は、さみしい……ベルゼー様、どんなひとだったのでしょう。ニルは……ベルゼー様のことがすきなひと、たくさん知って居ます。でもニルは、ベルゼー様のこと、知らないから、知りたいって思うのです」
 クウハに対し、ぼんやりとベルゼーを想像すニル。
 それにヴィルメイズは。
「確かに……ベルゼー様は優しい方です。魔種として生まれてこなければ、これからもずっと、亜竜種達と交流を深めていけたのでしょう……」
 琉珂から話を聞く『里おじさま』と呼ばれていたベルゼーは、とても優しい人であろう。
 だが魔種である彼故に、その呵責の中に……この『ヘスペリデス』が生み出されたのかもしれない、そう考えると……彼の良心が具現化したのが、この地なのだろうか?
「確かにベルゼーって、本当に魔種なのかなって気がするよね。慈しんで、人と架け橋になろうとして……それがこの地。でもその地が滅びに近づいているって言うしさ」
 と咲良が首を傾げると、カイトは。
「その滅びって言うのも良く分からない所はあるよな。滅ぶって言うなら、島が崩壊したり、悪天候になって生物が死に絶えたり、ってな事が考えられるが、見る限りそういう気配も無いし」
「そうだよね。勿論琉珂ちゃんの話を信じて無い訳じゃないけど。まぁ……日常を過ごしていたら滅びが近づいていたなんて事、この世界には幾つも例があるしね」
 二人の言う通り、突如魔種が牙を剥いて滅びかけた例は数多。
 故に日常があるから安心出来る……という訳にはならない。
 ともあれ此処が、そんなベルゼーの残した『人との架け橋』を担う何かが具現化した所、なのだろう。
「まぁ、謎は謎だが、それを解き明かすのが面白いんだ。骨の髄までしゃぶりつくしたいって気分になってくるのが遺跡の面白い所だしよ!」
「そうですね。冒険で出逢う新たな発見って、ふと心が呼ばれた先にあったりします。今はその好奇心と天啓に身を任せ、調査を勧めましょう」
 クウハの言葉にユーフォニーが微笑み、そして。
「そうだね。彼が『存在した証』を、しっかりと目に焼き付けないと!」
 咲良もぐっと拳を握りしめ、そして……イレギュラーズ達は遺跡内部を隅々まで調査。
 女神の欠片は見つからないものの、竜の姿をした偶像の様なものが、その最奥部で発見される。
「これ……か?」
 クウハとユーフォニーが、その解析を試みてはみるが……何か不思議に暖かい力を感じる以上の事は判らない。
「分からないッスか……取りあえず、これは持ち帰ってみるッス」
 他にも幾つかの、解析不能な偶像やぼんやりと輝く石を拾い、回収。
 そして……別の脅威が来る前に、イレギュラーズ達は遺跡を後にするのであった。

成否

成功

MVP

祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー

状態異常

なし

あとがき

覇竜領域探索お疲れ様でした。
ベルゼーの創り出した場所……彼が何を思いこの領域を創り出したのかは意図は分かりません。
ですが、少なくとも……誰かを傷付ける為ではない様です。

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