PandoraPartyProject

シナリオ詳細

スカイフィッシュを捕獲しよう。或いは、UMA…それは浪漫…。

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●UMA捕獲大作戦
「Opa! ようこそ集まってくれたね!」
 海洋。
 とある無人島。
 港街から船で1時間から2時間ほど、沖へと進んだ位置にある小さな島だ。
 一面に広がる大草原を背に、エントマ・ヴィーヴィー(p3n000255)はカメラを構える。
「まずは後ろの草原を見てくれる? ほら、草原のところどころ、草が倒れたり、無くなったりしているところが見えるでしょ?」
 ほらほら! と指さした先には、なるほど確かに一定の法則のもと草原に何かが描かれている。上から見れば、草原全体に二重の円が描かれているように見えるだろう。
「“ミステリーサークル”……大地に描かれた円形(サークル)だね。一説には、宇宙人が描いたものだとか、宇宙との交信を目的に描かれたものだとか言われているけど、未だに正確な答えは出ていないんだって」
 港街からも船で1、2時間も離れた孤島でミステリーサークルが発見された。
 海洋に住む者であるなら、つい先日、新聞の片隅でそのような記事を目にした覚えもあるだろう。エントマもその1人だ。
「いいネタになると思って現地にまで足を運んだんだけど……ほら、アレが見えるかな?」
 広い草原……と、言っても400メートルトラックよりも多少広い程度だが……に描かれたミステリーサークル。その上を飛び回る“何か”が見えた。
 視界の隅を横切る影だ。
 あまりにも速く、その姿をしっかり視認することは出来ない。
「見えないよね。速すぎて……あれね、スカイフィッシュって言うの」
 スカイフィッシュとは、UMA(未確認生物)の名称である。
 一説には、長い棒状の身体を持ち、高速で飛行する、とされているが捕獲事例も無ければ、遺体が発見されたことも無い。
 ところによっては、高額な懸賞金もかけられているそうだ。
 存在するかどうかさえ不確かなスカイフィッシュだが、エントマ曰く、現在島にいるのはそれであるらしい。
「ミステリーサークルに“スカイフィッシュ”……この島には絶対、何かあるよ! ミステリーサークルがあるからスカイフィッシュが現れたのか、ミステリーサークルを作ったのがスカイフィッシュなのか……捕まえれば何か分かるかも知れない!」
 なので、スカイフィッシュを捕まえよう!
 そう言う話だ。
「というわけで、エントマChannel~スカイフィッシュ捕獲編~の時間だよ!」

GMコメント

●目的
スカイフィッシュを捕獲する

●ターゲット
・スカイフィッシュ(?)×?
長い棒状の身体を持ち高速で飛行する、とされている未確認生物。
視認できないほどの速度で飛行するため、捕獲難易度は高い。
また、どのような生態をしているかも不明。


●フィールド
海洋、とある無人島。
島の広さは400メートルトラックと同程度。
中央に泉がある以外は草原しかない。
草原にはミステリーサークルが描かれている。


動機
 当シナリオにおけるキャラクターの動機や意気込みを、以下のうち近いものからお選び下さい。

【1】エントマに雇われた
スカイフィッシュ捕獲隊としてエントマに雇われました。スカイフィッシュを捕獲しなければ、家に帰れません。

【2】ミステリーサークルを見学に来た
ミステリーサークルがあると聞いて見物に来ました。島に着いたら、エントマたちがスカイフィッシュを狩ろうとしていました。

【3】島に漂着した
何らかの理由により島に漂着しました。なんとも奇妙な島です。


スカイフィッシュを捕獲しよう
スカイフィッシュハント当日です。視界の隅を何かが飛翔しています。

【1】スカイフィッシュを捕獲する
スカイフィッシュを捕獲しようと頑張ります。皆さんには網が支給されました。素手で捕まえるのは大変ですからね。

【2】スカイフィッシュを調査する
スカイフィッシュを見学します。罠を仕掛けたり、魚の餌などで誘き寄せたりします。速すぎて見学どころではないですからね。

【3】ミステリーサークルを見学する
主にミステリーサークルを見学します。エントマから鎌を渡されました。草が伸びているところがあれば、刈ってほしいそうです。手入れしないと、ミステリーサークルが消えてしまいますからね。

  • スカイフィッシュを捕獲しよう。或いは、UMA…それは浪漫…。完了
  • GM名病み月
  • 種別 通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年05月14日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談0日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
武器商人(p3p001107)
闇之雲
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
彼女(ほし)を掴めば
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

リプレイ

●飛び出せ! スカイフィッシュの島!
 海洋。
 ミステリーサークルのあるとある孤島。
 ひゅん、と風を斬り裂く音がした。
「はやすぎて、つかぺっ!?」 
 べちん! と、『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)の額で鈍い音が鳴る。
 見えない何かがぶつかったのだ。
「びっくりですの」
「……見えなかったねぇ。捕まえて持ち帰ったら自分の猫が美味しく調理してくれるかもと思ったんだけど」
 転倒したノリアに手を貸しながら『闇之雲』武器商人(p3p001107)は肩を揺らした。
 ノリアにぶつかったスカイフィッシュは、もう近くにはいないようだ。見えないほどの速度でもって、どこかへ飛び去ってしまったらしい。
「あぁ。スカイフィッシュが生物であれば、捕獲し調理して食べてみたいものだ」
「スカイフィッシュの正体は虫だと聞いた覚えがあるんだが……まぁ、虫も食えるか。UMAってのは、どいつもこいつもよく分からねェ」
 周囲の警戒を続けながら『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)と『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)は言葉を交わす。
 UMA・スカイフィッシュ。今回、イレギュラーズが捕獲を依頼された孤島に住み着く謎生物だ。
 手に網を持ち、孤島を進むイレギュラーズを眺めながら、エントマは呟く。
「ローレットの人たちって、何でもとりあえず食べたがるよね。なんで?
 何でも食べたがるからイレギュラーズになったのか、イレギュラーズになったから何でも食べたがるのか……真偽のほどは不明だが、そう言えば豊穣の文化も似たようなものだったことをエントマは思い出した。
 豊穣の人たちったら、食べられるものは何でも食べるのだ。大豆なんて、あの手この手で食品に加工されている。毒のある魚を食べたいからと、数年間“ぬか”に漬けて毒を抜くとか……何があったら「数年“ぬか”に漬けたら毒が抜けるかも」なんて発想に至るのか。そして、数年間、放置したものを食べようと思ったのか。
 豊穣7大ミステリーの1つである。
「なぜ、と言われてもな……食べられるものは、多いに越したことないだろう? そして、それが美味しければ美味しいほどいい。違うか?」
 当然だ、という顔でモカは言う。
 そうかな? そうかも。

「U(ウルトラ)MA(マッチョ)な奴だって!?」
発揮揚々、『アイアムプリン』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)が網を掲げて駆けていく。狙うは当然、スカイフィッシュだ。
「おっと、待つんじゃ。見ての通り、この先にはミステリーサークルがあってな。手入れ中なんで、立ち入るのは遠慮してもらえんか?」
 プリンを呼び止めたのは、3メートルに迫る巨大な鮫だった。名を『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)という。
 手には鎌を、頭に麦わら帽子をかぶり、まるで農家のおじさんといった風体である。
「U(ウルトラ)MA(マッチョ)な奴だな! 月から来たのか!?」
「いやいや、面白いアートが見られると聞いてやって来たしがない鮫じゃよ。お魚さんもアートが好きだとしたら綺麗にしておかんとな」
「なるほど! ならば、お魚さんはプリンも好きだ! ぜひ渡しておいてくれ!」
 そう言ってプリンは、潮の手にプリンを持たせ元来た道を引き返す。ミステリーサークルを踏まないよう、気を付けながら……。
 なお、お魚さんがプリンを好むかどうかは不明だ。そもそも、魚かどうかから怪しい。

 孤島の中央には泉がある。
泉の端に腰を降ろして、『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)はチラと背後へ視線を向けた。
 島の外周付近を廻る“スカイフィッシュ捕獲隊”に、草原に描かれたミステリーサークルを手入れしている仲間たち。
 胡乱な視線を両方へ向け、小さな溜め息を零す。
「……このミステリーサークル、この間作ったやつじゃねぇか」
 ほんのしばらく前の話だ。
 エントマの依頼で、縁はこの島を訪れている。そして、エントマの指示で草を刈って、草原にミステリーサークルを描いた。
 つまり、実は、ミステリーでも何でもない。
「まぁ、ラサの地上絵も大昔の人が描いたもんだって言うしな。案外、不思議ってのはこういう風にして出来るのかもしれねぇ」
 それに、スカイフィッシュなんてものは、前回は生息していなかった。
 それらがどこからやって来たのか……少なくとも、そちらの方は依然として“謎”のままである。

 一閃。
『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)が居合を放てば、伸びかけていた青草がサクリと切られて散らばった。
「手入れしないとミステリーサークルが消えるってのが、じつに納得だよね」
 孤島のミステリーサークルは、草を刈ることで描かれている。
 だが、雑草の生命力は侮れない。一度、刈った草であっても気づけば伸びているのが常だ。それゆえ、ミステリーサークルを維持するためには、こうして時々、手入れをしなければいけない。
「ん? でも手を入れたらミステリーじゃなくなるんじゃ……」
いいんだよ。誰かが手入れしたなんてことが露見しなければ、謎は依然として謎のままなんだよ。
「……まあいいか」
 額の滲んだ汗を拭って、史之は草刈りに戻る。

●おいでよ! スカイフィッシュの島!
 クウハが地面に粘着シートを置いていた。
 それから、木の棒を拾って砂浜に絵を描いている。どうやらそれは、何十分の一ほどのサイズで描かれるミステリーサークルであるらしい。
 ミステリーサークルのある島に、スカイフィッシュが現れた。
 両者に何か関係があるのかどうか……現在のところ、それは不明だ。不明ではあるが、可能性の1つである。ならば、試してみなければいけない。
 一見して無関係、無意味であるようなことであっても、試してみなければ「無関係」「無意味」であるかどうかを確認することは出来ない。
 そうして、可能性を1つずつ消して、最後に残ったものがだけが“たった1つの真実”だ。例え、その真実がいかにも荒唐無稽であっても、意味不明なものであっても。
「ほぉ、上手いもんじゃの」
 クウハの頭上に影が差す。
「んァ?」
 顔を上げれば、そこには空を舞う鮫がいた。
 鮫が空を飛ぶものか……と、ほとんどの者はそう思うだろう。だが、飛ぶのだ。鮫は空を飛ぶし、大地を駆けるし、当然だが海を泳ぐ。鮫には無限の可能性が秘められていることは、誰でも知っている常識だ。
 どさ、と重たい着地音。
 クウハの前に降り立ったのは潮である。
「じいさんもスカイフィッシュを獲りに来たのか?」
「いいや。わしはミステリーサークルの見学じゃよ。お前さん、スカイフィッシュを捕ろうとしておったのか。てっきり何かの儀式かと思うたわ」
 顎に手を当て、潮はクウハの描いた絵を眺める。
 サイズはかなり小さいが、なるほどなかなか精緻に描かれているではないか。
「儀式ねェ。あながち間違ってもいないんじゃねェの? 実際、ミステリーサークルが出来て以降、スカイフィッシュが現れたんだろ?」
 それはまるで、悪魔召喚の儀式では無いか。
 クウハはそう言いたいのだ。
「一般的には宇宙人やUFOといった超常の存在が描いたものだとか、それらと交信するためのものだとかって言われているね」
 言葉を交わすクウハと潮のもとへ、武器商人が近づいて来る。
「後は魔術やプラズマ、霊の仕業という説もあるよ。もっとも、何より信憑性が高いのは……誰かの悪戯という線だけれども」
 くっくと肩を揺らして笑う。
 武器商人は、ちらと視線をエントマの方へと向けた。エントマは、モカやプリンと連携して見えない何かを追いかけ回しているようだ。
「悪戯でも何でも我(アタシ)はいいんだけどね。だって、実際にスカイフィッシュはいるわけだし」
 次に武器商人が見たのは、泉の傍でのんびりしている縁である。
 島に来てから、今の今まで縁は何やらミステリーサークルの方を努めて見ないようにしている風だ。
 何か知っているのか、隠しているのか。
「どうでもいいことだけどね」
 なんて。
 そう言って、武器商人は立ち去っていく。
 その背中を見送って、ふむ、と潮は顎に手を当て思案した。
「流石、俺の主は博識だな。ってか、霊の仕業って言うなら、俺がミステリーサークルに手を加えてもいいんじゃねェか?」
 そうと決まれば、ちまちまと砂に小さなミステリーサークルを描いている場合ではない。
 スケールは大きければ大きいほどいいのだ。
「では……手を加えてもいいならお魚さんの絵を追加してあげたいのう」
「魚。魚か……よし、俺様に任せときな!」
 かくしてクウハと潮の2人は、草原に新たなミステリーサークルを描き始めたのだった。

「何だって、ミステリーサークルを追加しようって話になってんだ?」
 空から潮が指示を出し、クウハが大地に絵を描く。
 その光景を遠目に見ながら、縁は「おや?」と首を傾げた。
「別にいいんじゃないかい? 何も問題は無いだろう?」
 縁の隣には、いつの間にやら武器商人が立っている。
「……さぁね。俺は知らねぇし、どうだっていいさ」
「そう言うことにしておくよ」
 武器商人の視線から逃げるように、縁は泉を覗き込む。
 澄んだ水だ。
 手を触れれば自棄に冷たい。
 きっと、湧き水か何かなのだろう。
 水に浸した縁の手に、見慣れない半透明の小魚が集まって来る。小魚に指を啄まれながら、縁は言った。
「スカイフィッシュか……フィッシュって言うからには水中に住処があるかもしれん。潜って調べようかと思うんだが?」
「いい案かも知れないね。もちろん我(アタシ)も手伝うよ」

 縁が泉の潜ってしばらく。
 泉の周辺には、武器商人とノリアが待機している。
「さて、スカイフィッシュが出て来たとして、追い込めると思うかい?」
 愉悦を含んだような声音で、武器商人がそう問うた。
 何しろ、スカイフィッシュは非常に速い。
 既に1度、逃がしているのだ。となれば、何らかの工夫がなければきっと捕獲には至らないだろう。
 泉の真上を飛び回りながら、ノリアは腰に手を当てる。
 どこか得意気な顔だ。
 どうやら、策があるらしい。
「速すぎて、つかまえられないのなら……あちらから、つっこんでこさせれば、いいですの!」
 例えば、つるんとしたゼラチン質のしっぽを囮に使うのはどうだ。
 生物、非生物を問わず数多の生物を魅了し、ぜひ味わいたいと思わせる、ノリア自慢のしっぽである。
 スカイフィッシュの正体が何であれ、魅惑の尻尾からはきっと逃れられない。
 これ見よがしに揺らしていれば、きっと向こうから食らいついて来る筈である。

 同時刻、水中。
 泉の底で、縁は奇妙なものを見つけた。
「なんだ、こりゃ?」
 それはどうやら、ガラスの箱だ。サイズとしては、人が1人でどうにか持ち運べる程度。蓋の部分は破損しており、当然ながら中身は空っぽ。
 そして、何よりも新しい。
 苔などが付着している様子もなく、例えば“つい最近、湖に沈められたばかり”のようにも見える。
「……さて。どうしたもんかな? スカイフィッシュってラベルが貼ってあるが」
 そう呟いて、ダラス箱へ手を伸ばす。
 と、その時だ。
「っ!?」
 縁の真横を、猛スピードで何かが通った。
 ガラスの箱の近くに潜んでいたらしい。
 それはまっすぐ水面目指して浮上していく。

「おっと、何かが昇って来たよ」
 水面をじぃと観察していた武器商人がそう告げる。
 武器商人が指差した位置へ、するりとノリアが泳いでいった。ノリアは空中に留まったまま「いつでも来い!」とでもいうように、ゆらゆらと尾を燻らせる。
 と、次の瞬間、水面が爆ぜた。
 否、高速で浮上して来た“何か”が、泉の中から空中へと飛び出したのだ。
「ばっちりですの! さぁ、スカイフィッ……ダツ!?」
 スパン! と小気味の良い音を立てて、ノリアの尾に魚が刺さる。
 槍のように尖った吻を持つ魚類……ダツだ。
「あ、危ないですの」
 ダツは全長1メートルほどの魚である。だが、決して油断していい相手ではない。事実、ダツの鋭い吻は、肉程度なら容易く貫く。過去には何件もダツが刺さったことにより、死者が出たという事件が起きた。
 それゆえ、釣り人などからは忌避されがちだ。
「ですが、美味しいですの。ダツの頭付近には小骨が多いので、食べるなら後部を。お刺身にするといいですね」
 尾に刺さったダツを引き抜き、ノリアは言った。
 いかにダツが危険だろうと、たった1匹ではノリアに大きな怪我を負わせることは出来ない。飛んで火にいるなんとやら……仕掛けて来たのはダツの方で、その上でこうして捕獲されたのだから、食べられても文句は言えない。
 悲しいけれど、これが自然の掟なのである。

 一方、その頃。
 島の端に立ち、史之は草原を睥睨している。
 大地に描かれたミステリーサークルを一望し、手入れが十分に行き届いているかどうか、確認しているのである。
 伸びていた草は余さず刈り取ったはずだ。
 元より、仕事は丁寧にこなす性質である。来た時よりも美しくをモットーに、誰に見せても恥ずかしくないミステリーサークルを完成させた自負はある。
 だが、何かが足りない。
「ふぅむ……」
 抜いた刀を水平に構え、大地と海とミステリーサークルとのバランスを見た。
 そして、史之は答えに至る。
 ふと、胸の内から自然と答えが浮かび上がって来る感覚だ。ある種の“ひらめき”とも呼べるその解を得た瞬間、史之の背筋に電撃が走った。
「あぁ、なるほど。うん……分かって来たぞ。そうか、空と海と大地とミステリーサークルとの関係はすごく簡単なことだったんだ」
 言葉を零す。
 それから史之は、何かに取り憑かれたかのように、ふらふらと歩き始めた。抜き身の刀をぶら下げたまま、ミステリーサークルへ歩み寄った彼は、何の躊躇いもなく斬撃を放つ。
 1回。
 2回。 
 3回。
 何度も、何度も、一心不乱に刀を振る。
「あれは……ミステリーサークルを追加していますの?」
 ダツを3枚に捌きながら、ノリアは呟く。
 ともすると史之は、ミステリーサークルの整備を通して何かを“受信”したのかもしれない。

●捕えろ! スカイフィッシュの島!
 モカが網を横に薙ぐ。
 空気を切り裂く音がした。
 だが、網の中は空っぽだった。
「ちっ……ミステリーサークルを見に来ただけなのに、どうしてこんなに疲れなきゃいけない」
 何度目だろうか。
 スカイフィッシュを逃がすのは。
 額に滲んだ汗を拭って、モカは思わず舌打ちを零した。
 何十、何百と網を振り回したせいで、すっかり腕が疲労している。エントマなどは、既に体力を使い果たして、ミステリーサークルの真ん中で大の字になって転がっている。
「あぁしていると静かでいいな。何かの前衛芸術のようだが」

 エントマの額に、マッチョ☆プリンは皿に乗ったプリンを置いた。
 ふるん、と震える魅惑の黄色。
 甘い香りに惹かれたのか、エントマがぼんやりと目を見開く。
「何を焦っている?」
 そう言ってマッチョ☆プリンは、エントマの鼻先へスプーンを突き付けた。
 エントマは額のプリンと、スプーンを手に取り、ゆっくりと上体を起こす。それから、恐る恐ると言った様子で、プリンを掬って口へと運んだ。
「話してくれ。オマエの言葉で」
 優しい声音で、プリンは問う。
 エントマは、僅かに逡巡した後に、以下のように語った。
「スカイフィッシュを島に運び込んだのは私なんだ。ミステリーサークルとスカイフィッシュの両方が揃えば、きっと今より多くの注目を集められると思ったから」
「だったら何の問題も無いのではないか?」
「ううん……そうなんだけど、やっぱり見えないものを“いる”と言い張るのは難しいし、何より生態系がね」
「であれば、任せておくがいい」

 ガラスケースを胸に抱えて、プリンは泉の縁に立つ。
 その正面から、走って来るのはモカだった。網を縦横に振り回しつつ、猛スピードで逃げる何かを追いかけている。
「こっちだ!」
 プリンが叫んだ。
「分かってる! 逃がすなよ!」
 スカイフィッシュがいかに速いとは言っても、その体力には限界がある。高速で飛び回っているのなら、身体も渇いて来るはずだ。
 事実、初めに比べるとスカイフィッシュの飛行速度は落ちていた。
 だから、きっと今が最大のチャンスなのだ。
 スカイフィッシュの速度が低下し、渇いた身体を潤すために水を求めている今が。
「追い込んだぞ」
 プリンから数メートルほど手間で、モカは足を止めた。
 まずは上段から、下段へ向けて網を一閃。
 刹那の間さえおかず、下段から上段へ網を引き戻す。
 燕返し……否、スカイフィッシュ返しとでも呼ぶべき刹那の神業である。戯れに、飛ぶスカイフィッシュを捕獲しようと豊穣の侍が編み出した妙技を、モカはこの時、確かにモノにしてみせた。
 だから、必然。
 その結末は、必然である。
 網を回避し、スカイフィッシュが高度を下げた。
 再び、風を捕えて飛び立つより先に、ガラスケースを構えたプリンが跳躍した。
 スカイフィッシュの上にガラスケースを被せたのだ。
 ビタン、と鈍い音がして。
「溶けて消えた? スカイフィッシュはカロリーゼロか?」
 ガラスケースの内側には、弾けて溶けたスカイフィッシュの残骸だけが残されていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様です。
スカイフィッシュは無事に捕獲されました。
皆さんの活躍により、孤島の生態系は守られました。

なお、スカイフィッシュは溶けました。

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