シナリオ詳細
<天使の梯子>かみちゃまのくにピヨピヨぐみ
オープニング
●
「新たな梯が見つかったそうだよ」
そう口にした劉・雨泽(p3n000218)へ、ニル(p3p009185)はこくんと頷いた。
「神の国、ですね。ニルは、おしごとがんばります」
「ニルが働き者でたすかるよ」
これ美味しかったよと、ついでにダックワーズを手渡される。ニルが『おいしい』を探しているから、雨泽は自身が美味しいと感じたものをこうして時折くれるのだ。
お礼を言ってはむりと口にすれば、ふわふわな柔らかさとともにほろりと口の中に解ける生地。おいしいかどうかはやっぱりよく解らないけど、ニルが食べる姿を見守る雨泽はいつだって笑みをうかべているから、これは『おいしい』なのだろう。
「なんかね、巻き込まれちゃったのか、行方不明者も出てるみたい」
「それは心配です」
お家に家族が帰ってこなくては、お家の人が心配してしまいます。
「元々の住人じゃない人もいるだろうから、出来るだけ攻撃行動は控えた方がいいかもしれないんだ」
人が人の形をしていればいいが、もしかしたら何らかの力で別の姿になっているかもしれない。それを攻撃してしまったら……と、雨泽が懸念していた。
「ニルは争いは好きではありません」
「うん」
だからこそ、君にお願いしたんだ。
行ってくれるよねと首を傾げた雨泽に、ニルははい! と元気に良い子の返事をした。
●ピヨピヨぐみ
優しいオルガンの音が流れ出す。
園庭で遊んでいた子どもたちは「お歌の時間だ!」と駆けていく。
「てあらいしなくちゃだめなんだよ」
「じゅんばん、じゅんばん」
お外で遊んだら、手を洗って入りましょう。
皆、お約束を守れるいい子たちばかり。
「皆、慌てないで。さあ、お歌を歌ったらおやつの時間にしましょうね!」
「「「 はぁい! 」」」
元気で明るく、無垢な声が重なった。
保育士のエプロンをした女性が微笑み、暖かな眼差しで園児を見つめ――おもむろに手で口と鼻を押さえた。
(やだ、無理、尊い……! うちの子たち尊いわ!? 何なの? 天使? 知ってた。天使よね、天使。あっ、駄目、鼻血が出そう。耐えろ、耐えるのよ、ネイ! 優しいこの子たちが心配しちゃうわ……!)
「せんせ、どうしたの?」
「おなかいたいのー?」
小さな無垢な瞳たちが女性――『ネイ先生』を見上げている。
(はーーーー優しすぎんかーーー!? 尊い。尊すぎるわ!! やっぱり神の国って最高よね。この力を授けてくださったあの御方に感謝しなくっちゃ)
ネイは神に感謝をし、「何でもないの。皆優しいわね」と微笑んだ。
因みに鼻が何とか耐えてくれて、鼻血は出なかった。セーーーーーフ!
- <天使の梯子>かみちゃまのくにピヨピヨぐみ完了
- GM名壱花
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2023年05月10日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
此処は『幼稚園・神様の国』。白い二階建ての建物に、赤い屋根。屋根にはポップな文字で『ようちえん・かみさまのくに』と書かれています。
「せんせい、おはよう!」
「あら、ツエリちゃん。おはよう、今日もとっても元気ね!」
「えへへ。せんせい、みてみて」
保育士のネイ先生のことは皆大好きです。『つえり』と書かれたヒヨコの名札と黄色の帽子をひとりで着けれたことに気付いて、『キラキラ星』ツエリ・ティルスター(p3p010990)ちゃんを褒めてくれます。
「ツエリちゃん、今日も元気に過ごせそうかな?」
「うん! あのね、ヒヨコさんがいるからだいじょうぶだよ!」
キラキラと輝く眩しい笑顔に、ネイ先生もにっこりと微笑んでおります。……心の中の雄叫びを天使たちに聞かせないように必死なのは内緒です。
幼稚園では、お迎えの時間が来ると――気が付けば朝で、門の前での行ってきますの時間。今日も入園を果たした子どもたちが元気に園庭や教室を駆け回っています。
(……えっ?)
そう、何故だか突然園児たちの中にイレギュラーズたちは放り込まれてしまいました。その異常に気がついた『幸運艦』雪風(p3p010891)くんは目を丸くします。
(確か新しい『神の国』の聖遺物を破壊に梯へ向かって、それから……これは……あんまりでは!?)
正しく理解し、吃驚。いつもよりもふくふくとした手を見下ろして、いつもよりもまぁるい瞳を見開いて、一緒に来た仲間たちが元気に駆け回っているのを見てしまいました。
(ゆきかぜがしっかりしないと!)
けれどそこで、パチリと誰かと目が合いました。
劉・雨泽(p3n000218)くんです。
(…………)
(…………)
お互いに見つめ合うこと、たっぷり10秒。互いに気持ちを理解し合い、こくりと頷き合いました。きっと、大人であることがバレてはいけない。皆子どもだけれど、頑張って依頼をこなそうね!
雪風くんと雨泽くんにとっての長い一日――皆にとっては楽しい一日が始まりました。
「俺の相手をできるやつはいねえのか!」
立派な新聞紙ブレードを作った『流浪鬼』桐生 雄(p3p010750)くんはガキ大将。誰の挑戦でも受けて立つと豪語して、朝から元気にお友達とチャンバラごっこ。
「ぼくがうけてたつよ」
「おお、いいぞ来い!」
何となく頭の片隅に『大事なこと』を覚えているようですが、雄くんは楽しげに雨泽くんへとお手製の剣を構えます。
「……やられたー」
「やったー! 俺がボスだー!」
程よいところでパタリと倒れてくれた雨泽くんと、元気にガッツポーズな雄くん。
「先生、見てた!?」
「うん、かっこよかったよ」
ネイ先生に褒められて、雄くんは嬉しくなりました。
(って、いけねえ! 喜んでどうする!)
雄くんは頭をブンブンと振って、やるべきことを必死に思い出します。
まず、多分この先生が『遂行者』であること、何処かに聖遺物があること。そしてそれを破壊すること。それが任務なのに、心が子どもだと楽しさが勝ってすぐに忘れてしまいそうになるのです。
「うわわわ、わわわわわわわわ、わーーー!」
「わ、どうしたの!?」
お庭から悲鳴が聞こえてきて、ネイ先生は慌てて駆けていきます。園庭で遊んでいた他の園児たちが見つめる先には、皆で作っている小さな畑で尻もちをついている『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)くんの姿。
「リュコスくん、どうしたの!?」
「せ、せんせい! こわいよ、にゅるにゅるがでて……」
瞳いっぱいに涙を溜めたリュコスくんが見上げてきて、ネイ先生が心臓を押さえます。ぐぅ、召天しそう! ……じゃなくて! ネイ先生はすぐにリュコスくんの側に膝を付きました。
「ああ、ミミズさんが出たのね。ミミズさんはね、お野菜の味方なのよ」
「Uhh……こわくない? おいかけてこない?」
「ええ、大丈夫。ミミズさんもリュコスくんに会って吃驚しちゃってるから、お家にバイバイってできるかな?」
リュコスくんはハッとします。お家で眠っていたところを起こしてしまったかも!
うんと大きく頷いて土を掛けてあげると、ネイ先生は優しくて偉いねと褒めてくれました。
「『お兄ちゃん、悪い女と付き合ってるって』『それ、本当なの? パパに相談しなくっちゃ』『パパも知らない女の人と……それからお姉ちゃんも』……」
「……Lilyちゃん、それは」
「あっ、ネイ先生!」
お人形を両手にフリフリ。楽しくおままごとをしていた『ささやかな祈り』Lily Aileen Lane(p3p002187)ちゃんは笑顔でネイ先生を見上げました。何やら『おままごと?』な感じでしたが、天使の笑顔です。
ネイ先生が気になっているようなので、Lilyちゃんはネイ先生に丁寧に教えてあげます。ドロドロな家族関係をにこやかに話すLilyちゃんを見て、ネイ先生は目頭を押さえました。教育、がんばらなくちゃ!
「せんせい! えほんよんでください!」
「はーい、今行くね!」
ネイ先生は大忙し。今度は『あたたかな声』ニル(p3p009185)くんに呼ばれてパタパタと向かいます。
「わたしも……いい?」
ネイ先生のお膝に座らせて貰ってニコニコのニルくんと可愛くお弁当が描かれた絵本を開いたネイ先生へ、ツエリちゃんが声を掛けました。
「はい、いいですよ」
にっこり笑って一緒に読もうと言ってくれるニルくんに、ネイ先生は泣きそうになりました。いえ、心の中では号泣してます。でも心の中で泣きすぎると赤い液体が垂れるので我慢です。先生って大変ですね。
「えっと……このもじはしってるよ! 『し』と『の』!」
「ニルも、『に』と『る』がわかります」
「ふたりともすごーい。かしこいのね。それじゃあこれは?」
「『あ』!」
早く大人になりたいツエリちゃんは勉強熱心。読めるところは一緒に読んでみようかと先生に誘われて、ニルくんとツエリちゃんは辿々しくも声を合わせて絵本を読みます。
「ちぇん……んん、てんて」
「あら、ファニーくん」
ツンと控えめに洋服を引っ張られたネイ先生が振り向けば、そこに居たのは『きらきらぼし』ファニー(p3p010255)くん。大事な猫のぬいぐるみと一緒にウサギが描かれた絵本を持っています。
「あの、あのね、ごほん読んでぇ……?」
「こうたい、するのです」
ネイ先生のお膝に座っていたニルくんが降りて、どうぞとファニーくんに譲ってくれます。だって先生のお膝は特等席だから、お気に入りの本は先生の腕に囲われて一緒に読むのが一番だから。
「ん、ありがとぉ」
はにかむファニーくんとどういたしましてと微笑むニルくん。ここが天国か? と一瞬真顔になりそうになりながらも、ネイ先生は皆を褒めて一緒に絵本を読みました。
午後に皆でお歌を歌う決まりがこの幼稚園にはあります。神様に捧げる聖歌だとネイ先生が言っていましたが、良い子たちにはよく解りません。けれど先生は上手に歌えば褒めてくれます。
「せんせえ~オルガンひいて~おうたうたって~」
コホンと咳払いして羞恥心をないないした雪風くん。ネイ先生を見上げれば、何やら赤い……おっと、先生が慌ててハンカチで押さえましたね。赤茶色の不思議な柄のハンカチでした。
(……今の、聖遺物では? えっ、聖遺物で鼻血拭いてるんですか?)
冷静に真顔になってしまいそうになりながらも、奏でられたオルガンの音色に合わせて雪風くんは元気に歌います。園児らしく、音を外して!
雪風くんが練習を始めると他の子どもたちも集まってきて歌い始めます。
(……よし、今なら!)
そこへ違和感なく紛れ込んだ『心に寄り添う』グリゼルダ=ロッジェロ(p3p009285)ちゃんも隅っこでこっそりお歌の練習です。
(下手じゃないかな……皆に変って思われていないかな……)
幼稚園のボスになりたいのに小さな声で歌うだなんて、ボスらしくないって解ってるグリゼルダちゃん。でもお歌を皆と歌うのは初めてで……あれ? 本当にそうだっけ? 毎日皆と歌ってない?
「グリゼルダちゃん、上手よ。もっと元気なお声が聞けると先生嬉しいな」
後ろを振り返った先生が微笑んでくれて、グリゼルダちゃんは練習を頑張りました!
午前があっという間に過ぎて、楽しい楽しい給食の時間がやってきました。
「せんせい、きょうのごはんはなぁに?」
「今日はね、皆大好きオムレツよ」
やったぁと両手をあげるツエリちゃん。配膳のお手伝いも積極的に行ってくれます。
「ネイせんせい、オムレツはおいしいですか?」
ニルくんはこっそりと先生に聞いてみました。皆もやったぁと喜んでいるからきっと『おいしい』のだろうと思うけれど。
「ニルくんはオムレツ苦手? 先生は好きよ」
「せんせいはすき……せんせい、あーんして!」
「え? ……あーん」
「えへへ、おいしいですか?」
ネイ先生にはその優しさと笑顔が美味しいです。
雄くんとリュコスくん、Lilyちゃん、雪風くんは好き嫌いはないのでしょう。元気にもぐもぐ食べて、ほっぺにお弁当をつけています。
「きらいなの、ある? こうかん、ちようか?」
オムレツの横に遭った赤い野菜と緑の野菜。それをちょいっと避けていた子に気がついて、ファニーくんは黄色のツブツブと交換してあげました。味がちょっぴりわからないファニーくんは苦いお野菜もへっちゃらです!
「私の皿に入れていいぞ」
先生が見ていない時にこっそりと、苦手なものを避けている子へグリゼルダちゃんも声をかけます。こうしたコツコツとした気遣いが人心を集めるコツなのだとか。……グリゼルダちゃん、難しいことを知っていますね? 武力でボスを目指す雄くんとどちらがテッペンを取れるのでしょうか?
「牛乳あまってる? 貰ってもいい?」
「プリン、しゅこちくれる、の……? えへへ」
目指せナイスバディ! なLilyちゃんは余っている牛乳を、ファニーくんは苦手なものを食べてあげた子からプリンを分けてもらえたみたいです。
ニコニコ笑い合いながら食べるその姿に、ネイ先生もニコニコでした。ああ、尊い。
給食を終えてちょっとお腹を休めたら、お昼寝の時間。
皆上手にお昼寝出来るかな~?
Lilyちゃんとリュコスくんはスヤスヤ。大きくなぁれ。
いっぱい動き回っていた雄くんは電池切れ。午後もいっぱい遊ぼうね!
「これなぁに?」
「これで寝ている間も身を守れるのだ! 私が守ってあげるぞ!」
「さすがボス~」
新聞紙の刀と兜で武装して、グリゼルダちゃんはちゃっかり作った部下(?)の皆と一緒に集まって……あっという間に意識を手放しました。きっと夢の中でかっこよくしていますね!
「ねむねむしない?」
「ん、てんて……」
お気に入りの猫さんをぎゅぅっとしても、ファニーくんはごろんごろん。寝返りを打つ姿に気付いたネイ先生が近寄れば可愛いお声が「……なでなでちてぇ……?」」とおねだりをして。
「ん……てんて……だいちゅき」
とろりと落ちていく瞼。舌っ足らずな好意。ネイ先生は神の国を幼稚園にして良かったなぁと心底思いました。
ファニーくんの隣では、雪風くんがクマちゃんぬいぐるみをぎゅっとしてすやぁ。子ども体力だから仕方がないよね!
「ゆーずぅぁさま、だいじょうぶですか?」
お友達の雨泽くんが何だか疲れているように見えて、ニルくんは小さな声で声を掛けました。大丈夫って雨泽くんは言うけれど、ニルくんはとても心配です。
「だいじょうぶ、こわいゆめはみません」
「ニル、ぼくは」
ニルくんは隣で横になっている雨泽くんの手をぎゅっと握りました。子どもの手はいつもより温かくて、柔らかくて。何だかふわふわ……ゆらゆらと思考が揺らいでいたら、ふたりともそのまま眠ってしまったようです。一緒に甘い物を食べる夢を見ているのかもしれませんね。
皆が眠っているのを確認して、ネイ先生はそっと教室を離れようとします。
――が。
「せんせい」
「ツエリちゃん」
どうしたのとしゃがんで声を掛ければ、ツエリちゃんは恥ずかしそうにモジモジと身体を揺らします。怖い夢を見るしおねしょもしちゃうかも……だなんて、もう年長さんのお姉ちゃんなツエリちゃんには言えません。
「せんせい、わたし『おとな』なの」
「うん、先生も知ってるよ。ツエリちゃん頑張りやさんだもんね」
「えへへ。……あのね、わたしはみんなのおねえちゃんだから、みんなをみまもりたい、の」
「そっかぁ。じゃあ、先生のお昼寝も見守ってくれる?」
ネイ先生が横になって、すぐ近くで見守ってほしいなとツエリちゃんを手招きします。一緒に横になってじいっと見つめていたけれど……いつの間にかツエリちゃんのまぶたも落ちて夢の中。
●
あああああああ、可愛い可愛い可愛い可愛い!
叫び出したいけれど叫べないこの気持ち、おわかりいただける!?
だって私は先生。皆の先生! 皆がキラキラな視線を向けてくれるように、いつでも優しくてステキなイイ先生でいないといけないわけ! その頑張りに無垢な子どもたちは全力で応えてくれるの! 尊い……マジ尊いっすわ……小さい子天使。知ってた。
お昼寝から目覚めたねむねむお目々も可愛いねぇ、うんうん。おねしょ? 大丈夫だよー。ほらほら涙を目に溜めないで、先生も心がキュンって……いやギュンッッ! ってなるわ、これ。新しい扉開きそう。いや開いてたわー。
「それじゃあ皆、お歌を歌おうか」
けれど私は皆の先生。ニコニコと笑顔を振りまいて、「はーい!」と元気に手を上げてお返事してくれる良い子たちの前でオルガンの椅子を引くの。
伴奏を鳴らせば、皆元気に歌い出す。うーん、いい子。ステキ。練習したグリゼルダちゃんも雪風くんも元気に歌えているみたい。子どもたちの成長が見れる時って本当にステキ。呼吸がぜえぜえしそうになっちゃうの、気をつけなくちゃ!
……あれ? Lilyちゃんは緊張しているのかな? おままごとは元気にしていたけれど、歌声はあんまり聞こえない気がするわ。一番前で元気に歌ってるリュコスくんとニルくん、伸び伸びと歌っている雄くんが元気だからかなー?
振り返ると目があったはずのLilyちゃんがパッと顔を伏せた。あ、これは自信がなさそうなやつね。小さい年頃のはじらいって本当に可愛い。
「Lilyちゃん、その調子よ。とってもステキ!」
はにかむその顔、プライスレス。
この神の国ではこんな日々が毎日続く。なんて幸せなのだろう。
最後のじゃーんを入れたら、皆ニコニコ。大変よくできました!
「せんせい、わたしがんばったよ!」
「先生、だいすき」
「てんて、うけとめて? えいやー!」
「次期園長の座は私のものだー」
「せんせい、だいすきです」
ほめてほめてと皆が私に抱きついてくる。えっ、なにこれ、天国? 神の国だけど、天国?
ぎゅっとされて、我慢していた赤い情熱が飛び散った。ああいけない。この無垢な子どもたちを汚してしまう。慌てて私は離れようとする……けど、駄目。やばい、これ出血多量すぎる……。きゃあと悲鳴をあげている子がいる。ごめんね、怖がらせちゃって。でも先生大丈夫、だって遂行者だもの。血の海に沈んだって……あ、でもこれ本当にやばい。色んな物がすり減りすぎて力が出ないや……。
「先生、遊ぼうぜ?」
あれ? 何でみんな雄くんとグリゼルダちゃんは他のお友達と新聞紙ブレード持ってるの? 今抱きついてくれたばかりなのにもうチャンバラ? ごめんね待って、先生ちょっと疲れ……あっ、やめ…………ん? 小さい子に殴られるのってそれはそれで幸せなのでは???
「あれ? ネイせんせいが……うごかなくなっちゃった」
「おふとん、かけてあげましょう」
どうしたことでしょう。ネイ先生はバタリと倒れたまま動かなくなってしまいました。けれどその顔は幸せそうで、ツンツンとつついたリュコスくんの横からニルくんがおふとんをかけてあげました。優しいね。
「これだね」
雨泽くんがネイ先生の懐からハンカチを取り出し、ビリっと破りました。えいやーっとはしたくなかったニルくんはちょっぴり悲しそうですが仕方がありません。ネイ先生は遂行者なのですから。
Lilyちゃんはハンカチがほしかったみたいですが、これも仕方がありません。神の国は聖遺物を破壊しないと消すことが出来ず、定着してしまうのですから。
幼稚園・神様の国――いいえ、『遂行者』ネイ先生の作った神の国が解けていきます。全てが解けた時、良い子たちは元の姿に戻り、行方不明者を回収して仕事を終えます。
「雨泽様」
「うん」
「疲れたお顔をされてます」
「……そうだね」
とても残念で素敵なことに、この記憶は消えてはくれません。
大きなお兄さんお姉さんになったローレットのイレギュラーズたちは顔を見合わせ、来た時よりも言葉少なくお家へ帰ります。帰ったらローレットへの報告をしないといけないので、大人は大変ですね。
ね!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
イレギュラーズのみんなー、どうだったかなー?
楽しく幼稚園で過ごせたかなー?
えっ、記憶にない? またまたー。
報告を怠っても皆さんの素敵な行動は雨泽がしっかり報告書を書いておくので大丈夫ですよ!
マスコメに注意がある通り、性別不明さんはプレイングへの記載がなかったため、全員「くん」で描写されています!
お疲れ様でした、イレギュラーズ!
GMコメント
ごきげんよう、壱花です。
神の国に可能性しか感じません……。
●目的
『遂行者』を倒し、聖遺物を破壊する
●シナリオについて
ごくり、この先が神の国……。
意を決してあなたたちは梯を登りました。
そのはずなのですが……あれれ~、身体が小さくなっちゃったぞ~?
気付けばそこは『幼稚園』。いえ、『幼稚園・神様の国』です。
どんな種族であろうと、あなたの姿は5歳位の子ども。そしてスモッグ姿に『ピヨピヨぐみ』の目印ヒヨコちゃんバッジ。
先生がにっこりと微笑みます。
「皆~、今日も楽しく過ごそうね~!」
……もしかしてこの人、遂行者では?
油断させ、倒してしまいましょう!
●フィールド:『幼稚園・神様の国』
お庭に遊具もある、幼稚園です。
ここに長時間いると『本当に』こどもになってしまいます。
顕現に巻き込まれた人は、既に自分たちが園児だと思って過ごしています。
聖遺物が破壊されて神の国が消えると、巻き込まれた人は元の場所に戻ります。
●行動選択
・おままごと
・チャンバラ
・絵本を読む
・おゆうぎ練習
・庭で遊ぶ(遊具や砂場等)
・お歌の練習
良い子の皆~、上記からひとつ選んでね~! 今日は何してすごそっか?
この↓二点↓は皆入るよ~。皆、どんな風にすごすのかな?
★給食&お昼寝
★お歌の披露
良い子にお昼寝できるかな? お気に入りのぬいぐるみはある?
お歌は上手に歌えるのかな~。先生に教えてね!
●エネミー:『遂行者』ネイ先生
女性保育士です。ロリショタ大好きです。ロリショタisジャスティス。
自らの楽園として園児たちが集う神の国を築きました。偉い人にバレたら粛清されると思います。
本来ならばそれなりに強いのですが、可愛いものを見る度に「ああああ~」と尊みで体力とか精神力とかゴリゴリ削れるし、皆さんがお歌を披露してくれると鼻血を出して息も絶え絶え。最後に皆で可愛くえいやー! すれば幸せそうに死にます。
小さい子には優しいですが、相手が大人となると厳しいです。「は? なんで私の楽園に大人がいるの? 粛清!」となります。中身が大人の人はバレないように頑張りましょう。
●聖遺物
ネイ先生と同じ趣味の聖人の(鼻)血が染み込んだハンカチーフ。
ネイ先生が所持しています。先生と一緒に燃やしていいです。
●劉・雨泽(p3n000218)
プレイングで話しかけられたりしているとついていっています。
特になければついていっていません。
頭脳は大人派。子どもの振りを頑張ります。
●ご注意
当シナリオは地の文が普段と違います。
性別不明さんは「くん」がつけられますことご了承の上ご参加下さい。
「ちゃん」がいい場合はプレイングに記してください。
●情報精度
このシナリオの情報精度はE(園児)です。
可愛くてもいいし、ツンツンしててもいいです。先生はそんな皆を愛します。
●EXプレイング
開放してあります。文字数が欲しい時に活用ください。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
精神
身体は子ども、頭脳は……
【1】いつも通り
恥ずかしい? 頑張ろうね!
【2】姿相応に子ども
すくすく成長期。
【3】姿より子ども
他の子たちより幼いかも?
Tweet