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シナリオ詳細

<天使の梯子>うさぎさんにならねばならぬ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●イースター・プログラム
 イースター。
 復活祭のことである。
 もちろんこれは、地球世界での宗教的行事であり、混沌世界では何の関係もない。
 ないのだが、まぁ、地球由来の文化をちょっと取り込んでみたりした地域も、あったりなかったりする。
 なので、ここ、天義でも、イースターをモチーフとしたお祭りが開かれている場所があるのだ。
 天義の中央に近い街。マステリアム。ここは長閑な田舎風の景色が広がる、牧歌的な街――あるいは村に近い――場所である。
 此処では、毎年このくらいの時期に、イースターのお祭りを行う。このお祭りは絶対であり、外から来たものも例外なく、このイースターのしきたりに従ってもらう必要があるのだ。
 復活祭。今は何が復活するのかもわからない――たぶん天義のローカル聖人とかが復活する伝説とかがあるんだろう――、そんな、名前だけのイベント。
 混沌世界は、マステリアムのイースター。今回は、この祭りが舞台である――。
「というわけで、この村に滞在するものは、皆バニーガールになるしきたりがあるのです」
 と、御年70のおじさん聖職者が真面目な顔でバニーガールになったので、何名かのイレギュラーズたちはここでパンドラを減らし、何名かは「ああ、こういう依頼か」と頭を抱えた。
「まって?」
 ソア (p3p007025)が声を上げた。ソアはバニーであった。
「イースター……聞いたことがあるよ。なんかこう、地球世界の旅人たちのお祭り。でも、卵を探すお祭りで、兎は関係なくない?」
「実は、イースターバニーというのもあるらしいのです」
 おじさん(バニーガール)は言った。
「なので、これは問題ない。僕は悪くない、と洗井落雲が」
「洗井落雲ですか」
 ボディ・ダクレ (p3p008384)が言った。ボディも早くバニースーツの全身ください。どちらでも大丈夫です。
「なるほど。帰っても?」
「いえ、その、ハイルール違反になりますので……」
 おじさんがそういうのへ、ボディは頭を抱えた。
「ハイ・ルール……よくできた制度ですね。
 ……仕事の話をすれば、確かに再現性東京でも、イースター……は、メジャーではありませんが、そういったものを行う地域はあると聞いたことがあります。
 兎をモチーフにしたチョコなどを食べるとも。多産の象徴、ということらしいです。
 バニースーツを着る催しなど聞いたことはありませんが」
「ところ変わればなんとやらと言いましょうか」
「なんとやらで何でも解決できると思ってる?」
 ソアががるるって言った。
「とはいえ、やってもらうことは仕方がありません。それに、皆さんには私の護衛をしてもらわないとならないのです――」
 そもそもの事の起こりは、遂行者と名乗る集団による、天義、あるいはその近辺への攻撃に発端するのだ。
 天義と鉄帝の国境での事件を始まりとしたこの一連の事件は、港町への攻撃、リンバス・シティの顕現といった、恐るべき事態を巻き起こしていた。
 そして、この事態に際し、遂行者、討つべしとの機運が高まる中、そういった『タカ派』の聖職者たちを狙う暗殺事件が発生したのである。もちろんこれは、遂行者一味の仕業であることが発覚しており、そういった聖職者たちの護衛も、ローレットにもたらされる依頼として発布されていたのだ。
 これは、そんな『護衛依頼の一つ』になる。
「だからと言ってこんなことになるなんて」
 ボディが頭を抱えた。
「どうして……こんなことに……」
「そうでしょう。そうでしょう。許されることではありません」
 ふと――声が上がった! そこにいたのは、どう見ても遂行者である!
「私は遂行者『バニーガール大好きおじさん』!」
「バニーガール大好きおじさん」
 ソアがいやそうな顔をした。
「天義の歴史において、天義の市民は全員、バニーガール美少女であるべきである! それが正しい歴史なのです!」
「何言ってんだテメェ! 不正義か!」
 バニーガールのおじさんががるる、って言った。
「不正義かはわかりませんが、変態では?」
 ボディが首をかしげる。
「食らえ! 我らが遂行者のバニービームを!」
 遂行者バニーガール大好きおじさんが、謎の光線を放つ! するとどうだろう! 世界がその姿を一変させた。まるで、レイヤーを被されてしまったような感覚――!
「リンバス・シティ化!?」
 ソアが叫ぶのへ、おじさん(味方)が叫んだ。
「どうやら、この街も裏で『神の国』を構築されていたようです! たまたま持っていた聖遺物、『兎のしっぽ』が反応したようです……!」
「女の子のお守りみたいな聖遺物ですね……うん?」
 と、ボディが突っ込みつつ、目を丸くした。
「おじさん……? いえ、美少女……? あれ? 美少女? おじさん……?」
 ボディが混乱した様子を見せる! そう! そこにいたのは! 先ほどまでバニースーツを着ていた聖職者のおじさんではなく!
「え、ええ~~~! ワシ、美少女になっちゃったの~~~~!?」
 きゃん、とおじさん……いや、バニー美少女おじさんが可愛らしいポーズをとる!
「これはいったい!?」
 ソアがさすがにドン引きしているのへ、バニーガール大好きおじさんが笑った。
「これこそ、我が真なる歴史の姿よ! みんなバニーガール美少女になって、バニーガール美少女はバニーガール美少女とイチャイチャすればいいと思うの」
「くぅ、なんとおそろしい」
 流石のボディも戦慄した様子を見せた。
「ここにいれば、皆バニーガール美少女になってしまう! それが我がバニーガール大好きおじさんの目指す正しい歴史です。
 というわけで! 愚から悪魔(ローレット・イレギュラーズ)どもよ!
 もし私を倒したくば、皆さんは、バニーガール・ハプニングコースを突破しながら、中央にあるバニーガール御殿を目指し、私を最終的にていやーしてもらうことになります!」
 ばぁ、と窓から飛び降りるバニーガール大好きおじさん! そのまますたたたと、街中を走っていく! それを追って外を見てみれば、街の外では老若男女問わず、皆バニーガール美少女になっているではないか!!
「こ、このままではマステリアムの街が大変なことに……!」
 バニーガール美少女になったおじさんがわなわなと震えた。
「イレギュラーズの皆さん! 皆さんも直にバニーになると思いますので、どんなバニーガール美少女になるのか、うきうきでプレイングに描いておいてください!
 そして、この街を救うために、戦ってほしいのです!
 私はここで、思いのほかかわいい自分を自撮りしておきますので……!」
 おじさんがそういって自撮りを始めたので、ソアはため息をついた。
「でも、正直人間の格好でかわいくなれたので、ボクは満足だよ」
(くそう! バニーなんて許せないよ! ボクがやっつけてやる!)
「本音と建前が逆ですが」
 ボディが突っ込んだ。
「とにかく――行きましょう」
 その言葉に、仲間たちはうなづくのであった――!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはイースターのリクエストシナリオなので、僕は悪くないです。

●成功条件
 遂行者、バニーガール大好きおじさんをみつけてていやーってする。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はB(バニー)です。
 老いも若きも大人も子供もおねーさんもみんなバニーガール美少女になります。

●状況
 イースターのお祭りでにぎわうマステリアム。ここは、イースターのしきたりで、この時期は皆バニーガールで過ごさなければなりません。
 そんな村にやってきた、聖職者のおじさんと、イレギュラーズの皆さん。聖職者のおじさんを暗殺から守るための護衛としてやってきた皆さんですが、皆さんもバニーガールにならなければなりません。
 嫌だなぁ、と思っていたところ、街に異変が起こります。いえ、厳密にいえば、皆さんは町ごと『神の国』へと引きずりこまれたのです。そこは、老若男女問わず『バニーガール美少女になる』、遂行者、バニーガール大好きおじさんが支配する場所でした。
 その影響は皆さんも逃れられることはなく、皆さんはすでに『バニー美少女になっています』。男性も性別不明も『バニー美少女になります』。このバニー美少女とは『うさ耳でうさしっぽのついた女の子』です。かわいいね。
 さぁ、大変です! 皆さんは遂行者をていやーするために、この街をバニー姿で駆け抜けるのです!

●障害
 以下のような障害があります。好きな場所にアタックしてください。

 1.どきどき❤洋服選び
  街の洋服店で、まずバニーガールが着ていても違和感のない感じの服を買います。
  いわゆるバニーガール衣装でも構いません。ウサギ美少女によく似合う可愛い感じの服を選んでもかまいません。
  キャッキャウフフしてください。僕はそれで幸せです。

 2.ぴょんぴょんあすれちっく
  ウサギなんだからぴょんぴょんすんのに決まってんだろ! うさぎの跳躍力を活かしたジャンピングアスレチックをしてください。
  ぴょんぴょん飛んで、浮島とかを飛び乗ったり、高いところに飛び乗ったり飛び降りたりして、こう、いろいろ揺らせばいいんじゃないかな……? ちなみに、落ちるとローションプールです。
  あ、飛行しないでください。撃ち落とします。

 3.どきどき❤撮影会
  可愛い女の子になったらやることは決まってるよな! 写真撮影だよ!
  此処で登場するのが、ワールドイーター、ウサギの写真撮りたいマンです。
  このワールドイーターが満足するような、いい感じの可愛かったりえっちだったりする写真を撮って後世にタトゥーとして残してあげてください。その後イラストとか頼んだりするとさ……楽しいと思うよ……?
  ワールドイーターは満足する写真を撮ると死にます。

●エネミーデータ
 遂行者、バニーガール大好きおじさん
  ていやーってすると死にます。


 以上となります。
 それでは、あとはよろしくお願いいたします。

  • <天使の梯子>うさぎさんにならねばならぬ完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年05月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

武器商人(p3p001107)
闇之雲
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
※参加確定済み※
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
※参加確定済み※
ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー
ミレイ フォルイン(p3p009632)
うさぎガール
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
メリッサ エンフィールド(p3p010291)
純真無垢

リプレイ

●これまでのあらすじ
 え~~~っ!?
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)
 『無尽虎爪』ソア(p3p007025)
 『ぬくもり』ボディ・ダクレ(p3p008384)
 『散華閃刀』ルーキス・ファウン(p3p008870)
 『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
 『カレー担当』ミレイ フォルイン(p3p009632)
 『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)
 『純真無垢』メリッサ エンフィールド(p3p010291)
 が、バニー美少女になっちゃったの~~~~!?

●本編
「わあ! 皆さんうさみみ衣装で素敵です!」
 ぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねるメリッサ(かわいい)。メリッサの言う通り、皆はあっという間にうさ耳美少女になってしまったのである。男性女性は関係ない。皆「うさみみ美少女」という存在になっているのである。
「どうして……」
 ボディ(雛菊の姿)がつぶやく。ぴょこん、と頭から伸びたうさみみが、悲しげにうなだれた。
「こんなのでも立派に街の危機なのが釈然としませんが……。
 私知ってます。この類いはすぐ受け入れなきゃいけないのだと」
「そうですね。混沌ではよくこの手の変態が現れますから」
 あきらめた顔をしているのは、ルーキスも同様である。御姿は https://rev1.reversion.jp/illust/illust/79103 この辺りを参考にしてくださいということです。カワイイ。
「寒気が」
 ルーキスが肩を震わせた。邪悪な思念を感じたのである。
「なんか遂行者って、こう……ちょっとアレな人が多くないですか? 気のせい?」
「たしかに最近、人間を全員幼児化させる遂行者が出たって噂で聞いたけど」
 武器商人がうなづく。
「……なんかこう、ここの遂行者の影響だったりする?」
「ここのって、洗井落雲のってこと?」
 ソアが言った。
「わかんない……確かに洗井落雲なら「幼児もいいですよね」って肯定しそうな気がする」
「あれは何なんですか?」
 ボディが首を傾げる。
「世のため人のために討伐した方がいいのでは?」
「なんにしても討伐は確定よ!」
 ミレイが顔を真っ赤にしながら、答える。
「なんなのよ遂行者って! 遂行者って書いて変態って読むに間違いないわ!」
 それはほかの遂行者の皆さんに大変申し訳ない気がするが、しかし洗井落雲は変態を書いてしまったので何とも言えないのである。たぶん、上層の遂行者はもっとまじめだと思うので安心してください。
「どうしてこんなことになるのかしら……いえ、冷静に考えたら、遂行者がかかわる前から、この街っておかしかったわよね……?」
「それはそう」
 咲良がうんうんとうなづく。
「もとから……変な街だったし……変な風習もあったし……となると、つまり、これは……最初から変な依頼なのでは?
 だれ? これリクエストした人?」
「うーん、リクエストしたのはボクじゃないけど、たぶんリクエスト文はは「うさ耳美少女になりたい!」くらいのことしか書いてなくて、こんな変態的なシナリオになったのは、洗井落雲の趣味だと思うよ。ボクはリクエストした人じゃないけど」
 ソアがうんうんとうなづいて、隣でボディもうんうんとうなづいた。
「でも、うさうさなの、ちょっとたのしいかも、うさー」
 祝音がうさみみをちょんちょんと触りながら言った。
「普段着ないような服も着られそうだし……」
「まぁ、確かに……なんだか、変わった服も似合いそうな気がするよね……」
 咲良が苦笑する。もとより、普段とは『違う』姿だからだろうか、その姿に似合う服を着てみたい……という気持ちもわいてくる。あるいはこれも、神の国の変容の影響なのかもしれないが、しかし変態おじさん遂行者は、こういうのを見てると弱体化して死ぬので、理にかなっているわけだ!
「じゃあ、洋服屋さんに行ってみよう……?
 せっかくだから、似合う服、えらんでみたい、うさー」
 祝音がそういうのへ、ひとまず仲間たちはうなづいた。そんなわけで、さっそく一行は、ブティックへと向かったのである――!

●着せ替えとアスレチックと
「ふぅむ……バニー……そして我(アタシ)……となると、これかねぇ?」
 と、 https://rev1.reversion.jp/illust/illust/77555 の格好をして見せる武器商人である。ゴスロリバニー。クールながらも、多数のフリルは可愛らしさを同居させている。
「いやぁ、お気に入りなんだよね。露出ばかりが美徳とは限らないとも皿倉の方」
 ヒヒヒ、と笑ってみせる武器商人へ、咲良は、むー、と唇に人差し指を当てつつ。
「でもやっぱりほら、多少の露出はほしい……というか。
 いや、なんかこの考え、本当に神の国パワーに侵食されてる気がしてきた……」
 むむむ、とうなる咲良。武器商人が、ふむん、とうなる。
「とはいえ――言い方は悪いけれど、ここの商品は、結構サイズが大きめじゃないかい?」
「だれがちっぱいだ! ああ、でも、確かに――合わない。だれがちっぱいだ」
 ぐぬぬ、と咲良がうめいた。視線はセクシー目なところから、結局可愛らしい系の方へと向いていく。まぁ、それでもいいだろう。可愛らしい、というのは無敵である。
「……スチームパンクっぽい、っていうのかな。こういうの? なんとなく、鉄帝っぽい感じかも」
「とってもかわいいとおもいます!」
 メリッサが、目をキラキラさせながらそう言う。ちなみにメリッサは、 https://rev1.reversion.jp/illust/illust/79972 なかっこうをしている。バニースーツ的なイメージを残しつつも、可愛らしさを前面に押し出した形だろうか。メリッサによく似合っているといえた。
「みなさん、とってもお似合いです……!
 私も、こういった衣装を着ることができてとっても嬉しい!」
 くるり、とまわってみると、スカートもくるりと回る。ぴょん、とうさ耳が揺れて、メリッサの喜びをアピールしているようにも見えた。
「うう、私は素直にワンピース系にしようかしら……露出、っていうのはさすがに……」
 ミレイがハンガーに手を伸ばしながらそう言う。体に洋服を当ててみれば、シンプルながら暖かな色のワンピースは、春のそれにちょうどいい。
「……あ、このウサギしっぽが見える服じゃないとだめなのかしら……?」
「なくてもいいかもだけど、見えた方が可愛い!」
 ソアがうんうんとうなづきながらそう言う。ちなみにソアはこんなかっこう https://rev1.reversion.jp/illust/illust/78958 だ。とうぜんながら、しっぽもかわいらしく見える。
 ソアが随分とうきうきしているように見えたが、普段の姿とは違い、両手両足までっすっかり人間と同様であることがうれしいのだろう。ソアにとっては、新鮮な感覚だ。
「えへへ、似合うかな?」
「とってもにあうとおもう、うさー」
 祝音がこくこくとうなづく。祝音は、不思議の国のアリスなどをイメージとした、かわいらしいロリータ系の服を着ている。これもまた、なぜかうさ耳によく似合うものである。
「……そうだ、予備の洋服も、用意した方がいいかな?
 なんか、汚れそうだし」
「そうですね」
 ボディがうなづく。ちなみにボディは、潔くバニースーツである。ありがとう。
「なんか……よごれそうですからね。間違いなく」
 服の角度などを気にする。なんというか、大切な部分が随分と角度が覚悟が決まっている。なんというか、覚悟が決まっている角度のバニースーツしかなかったので、そういう角度の決まった覚悟のバニースーツを着ているのだ!
「飛行系への明確な殺意を感じるからねぇ」
 武器商人がうんうんとうなづいた。
「では、2,3着見繕っていきますか」
 ルーキスがうなづく。
「となると……色々楽しめそうですね。いえ、楽しむというのもなんともあれですが。
 しかし、うーん、神様洗井落雲様、どんな服がいいでしょうか……?」
 今洗井落雲のマイブームは地雷系の服です。
「何か天啓が下りました。地雷系の服にしましょう」
「大丈夫? その天啓、とってもやばい奴じゃないの?」
 ミレイがうう、とうなって見せた。ルーキスが苦笑する。
「もう、この手の依頼に参加した時点で、とってもやばいですよ」
「それはそうだけど……うう」
 ミレイが恥ずかしげに唸った。大丈夫? この手の依頼初めて? 話聞こうか?
「うるさい洗井落雲!!」
 がーっ、と吠えるミレイ。ひとまずパンツスタイルの洋服なども用意しつつ、ミレイは嘆息した。
「えーっと、洋服選びはこんな感じかしら……?」
「そうだね。えへへー、みんな可愛いねぇ」
 ソアがにこにこと笑う。確かにみんな可愛いのである。眼福だ。
「えーと、この後は……アスレチックだって」
 咲良が言うのへ、メリッサが楽しそうに笑顔を見せる。
「わぁ、私、アスレチック頑張ります!」
「何か邪悪な意図を感じますが」
 ボディが嘆息する。
「次行きましょう」
 その言葉に、仲間たちはうなづいた。
 果たしてブティックを出てしばらく歩けば、街中に露骨にローションプールを称えたアスレチックが現れたので、皆ドン引きしていた。
「わかりやすいねぇ」
 武器商人がさすがに表情を引きつらせた。あまりにも露骨だったので、ドン引きしているのである。
「揺らしてください、って書いてある」
 咲良が、ぎりり、と奥歯を噛みしめた。
「だれがちっぱいだ」
「だいじょうぶ? はなしきく?」
 ソアが言うのへ、咲良が頭を振る。
「結構――なんにしても、ぴょんぴょん飛び跳ねながら行く感じだよね?」
「飛行すると撃ち落されるからねぇ」
 武器商人が苦笑する。この手のアトラクションからの、飛行への殺意はなぜか高い。
「じゃあ、僕……私……僕……? ええと、とにかく、僕、やってみるね、うさー」
 ぴょん、ぴょん、と飛び跳ねながら、祝音が置き石を飛んでいく。かわいい。揺れないけど可愛い。
「あ、けっこう、行けそう……あっ」
 つるん、と足を滑らせた祝音が、どぼん、とローションプールに落下する。ぶくぶくと慌てた様子で外に這い出してみれば、べたべたぬるぬるとしたローションに、体を汚されてしまった祝音が、半分涙目で、せき込む様子で声を上げる。
「げほっ、げほっ……うう、べたべた……」
「なんだかすごく危ない絵面な気がしますね」
 ルーキスが戦慄した様子で声を上げた。危ない。
「ですが、任せてください。ローションアスレチックなんて言うものは、洗井落雲の依頼でさんざんやってきました。慣れています」
「慣れるほどにこんな仕事を?」
 ボディがかわいそうなものを見るような眼でそういった。その視線、僕にもください。
「縁というものは意外と紡がれてしまうものです……というわけですから、ここは俺……私……俺……いや、一人称はどうすればいいんですかね? 俺にしておきます」
 オレっこもかわいいよね。
「さぁ、ノーコンティニューでクリアして見せましょう! 行きますよ!」
 ぴょんぴょんぴょん、とルーキスが飛び跳ねる。緩急をつけて。勢いが必よな所は強く勢いを。そうでないところは慎重に。
「へぇ、慣れてるねぇ。本当に慣れてるねぇ」
 武器商人が可哀そうなものを見るような眼でそういった。
「……これになれるまでに、どれほどの代償を……?」
 ソアが可哀そうなものを見るような眼でそういった。
「そう言わないでください、皆さん。なんだか悲しくなってしまいます。
 ですが、もうすぐクリアです。油断しなければ、こうやって――あ」
 油断したわけではない。ノーコンティニューでクリアされたら面白くなかったので、ここでダイスがファンブったのだ。ルーキスがそのまま、足を滑らせてローションプールに沈んでいく。慌ててはい出せば、体中がべたべたとしたもので包まれたうさ耳の女の子が現れる。
「げほっ、げほっ……べたべたします……」
「絵面がやばい!!!」
 咲良が叫んだ。
「うう、なんて恐ろしいアスレチックなんだ……!」
 ソアが戦慄する。
「すっごく嫌な感じするけど、ボクも行ってみるよ……! 大丈夫! ボクはうさぎ!」
 ぴょん、と飛び出したソアが、ローション塗れになって帰ってくるのに、さほど時は必要としなかった。

●撮影会
「あー、いいですね皆さん、すっごくいいですよ」
 そういうのは、赤羽でお酒飲んでそうな感じのアライグマである。彼はワールドイーター、写真撮影おじさんであった。
 写真撮影おじさんが何をしているのかといえば、イレギュラーズたちの写真を撮っているのである。うさみみ美少女になったら写真撮影! これは当然ですよね。
「えっと、こういうポーズでいいんでしょうか?(可愛い系ポーズ)
 今度はこう?(上目遣いで見上げる系ポーズ)
 ふぇー、色々なポーズがあるんですね。
 今度はこう?(元気いっぱいな決めポーズ)
 えへへ、なんだか楽しくなってきちゃいました♪」
 メリッサがしっかりとポーズを決めて写真を撮ってくれる。ありがとう。このプレイングだけで救われる命があるのです。うさみみメリッサちゃん可愛すぎんか?
「完全に欲望が漏れ出てるじゃない!」
 ミレイが威嚇するような表情でそういう。ミレイちゃんもかわいいよ。
「キモイ……うう、なんて辱めを受けている気分だわ……!」
「あー、その悔しげな表情良いですね。こっちに視線ください」
「ポーズで取ってるんじゃないわよ! 本気でなんか悔しいのよ!」
 わーっ、とミレイが叫んだ。ルーキスが結構大胆なポーズをとりながら、
「ですが、性別も違う、髪型も違う、となれば実質別人なので、これが後世に残っても問題ない奴ですよね?」
「いや、あなたはそうかもしれないけど、私は割とそのままだから!」
 恥ずかしげに言うミレイ。確かに、ルーキスや祝音あたりは、性別が違うので他人認定される可能性はある。
「まぁまぁ、ここまで来たら楽しもうじゃないか」
 武器商人がヒヒヒ、とわらった。
「どうだろう、ここで皆で、集合写真なんて言うのは?」
「ああ、いいね! 8人で一緒に撮れば、恥ずかしさとかも薄れるだろうし」
 咲良がそういうので、横でぴょんぴょん飛び跳ねながら揺らしていたボディが声を上げる。
「ちょっとまってくださいね、今ぴょんぴょんしてローションを落としますので」
 すごいぴょんぴょんしているので、すごい揺れている。これも写真に収めておきますね。ありがとうございます。
「じゃあ、皆で並んで写真とろっか!」
 寝っ転がってお腹を見せて、なにかとろんとした表情で写真撮影していたソアが、嬉しそうに手を上げた。
「えーと、じゃあ、皆並んで並んで!」
 ソアが皆を手招きするのへ、ボディがむ、と口をつぐんだ。
「私は、その。後列で」
「わ、私も、後ろでいいわ!」
 ミレイも慌ててそういう。が、メリッサと祝音が、
「えーっ!? みんなで並んでとりましょう! 一列で!」
「うん……八人なら、並んでとれると思う、うさー」
 と、屈託のない表情でナイスアシストしてくれた。ありがとう、純真無垢なる笑顔。こういわれては、ボディとミレイも断るに断れない。
「う、うう……せめて端っこの方で……」
「一緒にうつりましょう! ミレイさんも、ボディさんも!」
 と、メリッサが二人の手を引っ張って真ん中に連れていくナイスアシストをしてくれる。ありがとう。
「えっと、撮影は、ワールドイーターの赤羽の洗井落雲にお願いすればいいのかな、うさー」
「あ、はい、任せてください。ちなみに僕はこの撮影をしたら爆発して死にます」
「うーん、ちょうどいい感じだね」
 咲良がうんうんとうなづく。
「それじゃ、皆でポーズとろう、ポーズ!」
 ソアが言った。
「ウサギっぽいのとかどうかな? ぴょん!」
「こ、こうかい? ううん、やってみると恥ずかしいねぇ」
 武器商人が、頭に、うさ耳を模して手を当てる。
「片足も上げた方がいいかい?」
「ああ、いいですね」
 ルーキスがうなづいた。
「とってもいいと思いますよ」
 にこやかに笑う。他人がうつっているようなものだと思えば、もうやりたい放題である。
「あー、それじゃ、写真撮りますね!
 はーい、ちーず!」
 ぱしゃ、とカメラがフラッシュをたいて写真を撮った。八人のうさうさポーズが写真に収められた瞬間、ワールドイーターは爆発四散!!!! ソアがてこてこと歩いて行ってカメラを覗くと(デジカメだったので)すぐに写真の出来栄えを確認する。
「うーん、皆いい感じだね~! 思い出になった感じする!」
 嬉しそうに、笑った。その笑顔に、なんだかみんなも、自然と笑顔になっていた。
 なんだかんだ、楽しかったのかもしれない。普段と違う姿。普段と違う気持ち。そういった開放感のようなものは確かにイレギュラーズたちの中にあったし、さながらちょっとした休日のような――全員パンドラは減らすけど――気持ちもあった。
「どうでしたか、うさみみの一日は」
 おじさんが言った。
「楽しかったでしょう? この楽しさを、僕は正しい歴史としてみんなに知ってほしかった――」
『死ねーーーーッ!!』
 連鎖行動で一斉に、イレギュラーズたちは思い思いの業を次々と叩きこんだ。
 おじさんは死んだ。
 めでたしめでたし。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 眼福でした。

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