シナリオ詳細
おらたち鉄帝さいくだ
オープニング
●男たちの晩夏
「オラたちは、もっとつよくなんなきゃいげね」
海。燦々と、海。
黙々と浜辺で鍛錬をしていた男たち。突然方言で喋り出したのは、その中でもひときわ体の大きな男だった。
「おらたちは日々、鉄帝さ目指して鍛錬を進めてきたぁ……強いといえば鉄帝、鉄帝といえば強い……んだが、最近は幻想がすげぇっていうでねが。最近女王さまが幻想のやつを招き入れてるのがその証拠だぁ」
「そうだぁ…おらも見ただよ、すんげぇ強そうなやつだっただ……おらたちももっと強ぐなっで、女王さまと海洋をお守りしてえだよ!」
うんうん! 男たちが一様に強く頷く。
その様は見てるだけで暑い。
「そごでだ! おらたちには、せんせぇが必要だぁ!」
「せんせぇ?」
「そうだ! ローレットのやつ…じゃながった、ローレットの方ぁ呼んで、直接鍛錬してもらうだよ!」
「んだべ! おらたちこうして毎日鍛えてっけど、そこからどうしたらいいが正直わがんねがったもんな!」
「んだんだ!」
「お、おらにも望みあるだか? 鍛えてるのになぜか筋肉がつかねぇおらにも……」
「勿論だぁ! ローレットは何でもできる! きっと! たぶん!」
「先生…手取り足取り…つまり…先生との一夏のラブロマンスも」
「それはない」
●というわけで
「熱心な海洋の若者から、面白い依頼が来てるわよ」
『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が面白げな顔で差し出したのは、丁寧な文字で書かれた手紙。
……丁寧な文字で書かれてはいるのだが、書き慣れている様子はない。教本の文句を真似して書きました、というような文面だ。
「彼らは強くなって、将来的には鉄帝の技術や思考を取り入れ、海洋を守るというつもりだったらしいの。でも肝心な“先生”がいなかったんですって。その先生をあなた達にお願いしてきてるわ」
人数はざっと十人。身体的に優れたものが三、スタミナに優れたものが四、鍛えても何故か筋肉のつかなかったものが三、という割合らしい。
恐らく筋肉のついていないものは、神秘に適性があるのだろう。
「彼らは十人だから…こちらからも十人送り出せば十分じゃないかしら? と思っているのだけど。必ずしも自分が得意な分野を教える事はないわよ。得意だった人より苦手だった人の方が良い先生になれる、って言うものね」
これを機会に、自分の適性を振り返るのも良いんじゃないかしら。
プルーは場所の示された文をとんとんと爪先で叩き、小首を傾げた。
- おらたち鉄帝さいくだ完了
- GM名奇古譚
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年10月01日 21時55分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●熱血! 出迎え!
「あ、あれがせんせぇだか!?」
「せんせぇー! こっちだぁー! よっくきてくなすったー!」
海洋の浜辺に降り立ったイレギュラーズ達を出迎えたのは、男たちの歓声だった。その声は純粋で、希望と決意に満ちている。
「ああ、彼らだね。……って、何で泣いてるんだい」
太陽の眩しさに目を細めながら確認したのは『特異運命座標』秋宮・史之(p3p002233)。共に来た仲間たちを見回して、一点で二度見した。
「拙者は、拙者は今……猛烈に感動しているッ! 我等が海洋にもこんなに熱き魂を持った益荒男達がいたのかと!」
「あー、取り敢えず挨拶からいこうかの」
『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)は男泣きしていた。そこを『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)は熱くスルー。
「せんせぇ方、よくきてくなすった! ここには料理や催しものはないけんども、楽しんでいって欲しいだよ!」
「かたじけない。拙者達も全力を尽くす所存」
「はい…! 未熟者ですが、師匠として頑張らせて頂きます…! …え? 『ドジな貴様がどこまで出来るか楽しみだ』? もう、インったら!」
『忍豹』豹藤 空牙(p3p001368)がうむと頷き、『Life is fragile』鴉羽・九鬼(p3p006158)が拳を握り決意を新たにする。周囲を飛ぶ人魂が面白げに明滅し、九鬼は頬を膨らませた。
「旅人で竜のヨルムンガンドだ…ヨルって呼んでくれると嬉しいぞ…!」
「マリナでごぜーます。短い間ですが、宜しくお願いするです」
『聡慧のラピスラズリ』ヨルムンガンド(p3p002370) の挨拶に続き、『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)がぺこりとお辞儀をする。体躯の小さな彼女だが、そこは海の男スピリッツ。屈強な男たちも(そうでない者も若干名いるが)同じように深々とお辞儀する。
その時、突如として砂浜の一角が爆発した。
「うわぁぁ!」
「なんだべ!?」
「オーッホッホッホッホッホッ!」
爆風の去った後、涼し気な顔をして現れたのはルフト=Y=アルゼンタム(p3p004511)。『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)の高笑いが響き、そして――
「――勝利を齎す眩き愛の息吹! 魔法少女インフィニティハート、ここに見参!」
爆風を振り払うようにポーズを決めるのは『魔法少女インフィニティハート』無限乃 愛(p3p004443)だ。
「お、おぉぉぉ…!」
「教えを請う殊勝な心掛け! わたくし感じ入るものがありましたわ! ええ、ええ! わたくしも全力で教鞭を振るいましょう! そう! このわたくし!」
タントが指を鳴らせば、そう! どこからともなく!
\きらめけ!/\ぼくらの!/
\\\タント様!!///
「……が、皆さまをきらめかせてさしあげますわー!」
声に合わせてなんかブリリアントなポーズをタントがとると、更にどこからともなく聞こえてくる歓声。海の男たちはもはや声も出ない。
「さて、では各自トレーニングの後、私たちとの模擬戦闘となります。頑張りましょう」
さっきの愛らしい?名乗り口上は何処へやら、真顔に戻った愛が淡々とプログラムを説明する。完全に雰囲気に飲まれていた男たちはハッと意識を引き戻すと、異論ないと頷いた。
「せんせぇ方に教えて貰えるだけでもありがてぇ! よろしくたのみますだ!」
「宜しい。では、私は筋肉がつかないという貴方で」
「俺は体力に自信がある君に教えようかな」
海の男たちの成長物語がいま、始まる……!
●戦慄! 熱血指導!
そうして始まったイレギュラーズの指導。戦い方が様々なら、鍛え方も様々だ。
例えば――
「ぐふっ…!?」
筋肉を誇る大男が膝から崩れ落ちる。何故だ、と見上げた先にいるのは史之だ。
「な、なんで…おら、全力で撃ち込んだだよ…!」
「今のはカウンターだからね。全力であればあるほど痛いんだ」
さあ立って、と手を伸ばした史之の手は白く細い。その胸に燦然と輝くのはイザベラ派バッジ。
「女王陛下のために頑張ろうという気持ちは素晴らしいものだ。気持ちはよく判るし、これまでよく頑張ったと思う。次は防御技術を高める番だ」
「防御だべか?」
「そうだ。防御技術を上げれば生存率が上がる。君が倒れなければ仲間も倒れない。君のその体力なら十分にグレートウォールを目指せるよ。……そうだな……まずは装備を整えるのと、お茶の煎れ方を教えよう」
「お、お茶だべ?」
「ああ。戦士には気品も必要だし……試されるのはもてなしの心、相手の心を読み、最善を提示する力だ。それは戦場にも通じる……君に出来るかな?」
「お、おら、やるべ! お茶頑張っていれるだよ!」
「よし、その意気だ。まずは装備を見に行くとしようか」
「はぁ~……あっちはすげぇだよ……ドカンって音がこっちにも聞こえ……あいて」
「こら、むっきー…! ちゃんとこっちに集中しないか…!」
史之と男のやりとりをぽかんと見ていた男に、ヨルムンガンドが軽い拳骨をする。「むっきー」は本名ではなく、ヨルムンガンド命名だ。
「君もグレートウォール…海洋を守る壁になるんだ…! 絶対倒れないという心が大事なんだぞ、負けてられないぞぉ…!」
「そ、そうだべ! おら、海洋の壁になる……けんども、せんせぇ、この練習はちょっと……」
「ん? どうした、何も遠慮する事はないぞ…! もっと覆いかぶさるように、抱えるぐらいの勢いでいかないと、仲間は庇えないぞ…!」
「け、けんども、おなごにそんなこと……」
「女とかは関係ない…! 私は君と同じ戦場に立つ仲間だと考えるんだ…! さぁ!」
このむっきー、純情である。照れながらも言われた通り、ヨルムンガンドを庇う練習を始めるのだった。
「はわわっ!」
「せ、せんせぇ! 大丈夫だべか!?」
「うぅ、すみません……! 大丈夫です!」
こちらは九鬼(とイン)組だ。板と棒を盾と得物代わりに、どちらかというと攻撃寄りな指導を行っている。の、だが。
「せんせぇ、砂浜は苦手だか? さっきから足を取られてるだよ」
「だ、大丈夫です……! そうだ、もうそろそろお昼みたいですし、腹ごしらえしませんか?」
転んでぶつけた鼻をさすりながら、九鬼が盾を下ろした。ならうように男も盾を下ろし、頷く。
「んだんだ! 食事は大事だなぁ!」
「ふふ、お弁当を作って来たんです。一緒にご飯を食べたりして、信頼を築くのも大事ですよ」
「おぉぉぉ! せ、せんせぇの手作りだか……!? おらぁ幸せものだぁ! ありがとうごぜえます! ところで、せんせぇの周りに飛んでるのは……」
「ああ、この子はインと言って……」
ほのぼのとした雰囲気の二人。しかしその傍では――
「ううっ……!」
「まだだ、もっと打って来い」
ルフトの猛攻に、男はなすすべなく膝を突いていた。幾度となく吹き飛ばされ、打ち転がされ、傷だらけだ。
ルフトは問う。戦闘は命の奪い合い。そうしてまで何を叶えるのかと。もがきながらも男は幾度となく立ち上がる。何がしたいのか、何を欲するのか、己に問いながら。
「おらは……おらは……! 海洋を守りてぇだ! 女王さまもみんなも、守りてぇだよ! だからこんなところでじっとしてられねぇ!」
男は立ち上がり、拳を振り翳す。例え先生であろうとも、この夢を否定させはしない――!
「……よく届かせたな」
その拳は蒼華氷刃を捉えていた。ルフト自身には届いていなくとも、その心には。彼が初めてみせた僅かな笑みがその証左。
「お前が掴んだもの、決して忘れるなよ」
「……せんせぇ……」
「さて、お主。名は何と申す?」
「ガインっていうだよ! よろしくおねげぇします!」
うむ、と重々しく空牙は頷く。
「ガインよ。戦いに大事なのは腕っ節だけではないでござる」
「えっ! な、何がいるべ!?」
「素早さでござる。即ち“当たらなければどうってことはない”」
「……!」
雷が落ちたような顔をするガイン。
「反復横飛びとダッシュ、これでござる。腕力は十分でござるからな、あとは素早さと反応の速さがあれば屠れぬ獲物はおるまいでござる」
「は、はい! おらぁがんばるだよ!」
「うむ! ではまず200回を5セット、ここからでござる」
「ぷはー! だ、だめだぁ!」
男が噛みしめていた歯を緩め、息を吐く。眼前には下呂左衛門。最初のオーダーは、下呂左衛門を砂浜に引き倒すこと。けれど下呂左衛門は引いても押しても動かない。
「な、何故だべ? まったく動かないだよ…!」
「ふっふっふ、そうでござろう。では次はお主の番でござる、そこで精一杯踏ん張るでござるよ」
「わ、わかっただ! よし、どこからでも――」
下呂左衛門が体をトンと押す。するとどうだろう。精一杯踏ん張っていたのに男は軽い木の板よろしく砂浜に倒れてしまったではないか。
「え、え!? な、なんでおらぁ倒れてるだ!?」
「身体の急所を押したのでござる。これが武器であったらもっと大変な事になっていたでござるな? このように、己自身の身体について知る段階にお主は来ているのでござる。」
「お、おら自身…! どこを押せば倒されるか、とか」
「そうでござる! まずは己の体幹――重心を意識して拙者を先程のように倒してみせよ! その後に昼飯を取ったら、座禅で己と向き合うのでござる」
「お……おう! よろしくおねげぇしますだ!」
「昼食は拙者のとっておきでござる。楽しみにしているとよかろう」
なお、そのとっておきは「おにぎりにバナナをぶっさしたもの」なのだが……男はまだそれを知る由もない。
「うむ、なかなかじゃの!」
「あ、あの、せんせぇ、これは……」
「なんだべではないぞ? 「なんですか」じゃ! なんじゃ、セバスチャン」
「せ、せばす?」
「うむ、お主は今日からセバスチャンなのじゃ」
一方、デイジー組。まずは見た目が大事! とデイジーが用意したのはスーツ服。海洋の暑い砂浜で着替えたセバスチャン(仮称)は眼鏡をかけて髪も七三に。困惑ここに極まれりである。しかし文句など言えない。デイジーのカリスマ性によってなされるがまま。
「先程NOUKIN…脳みそまで鍛えて筋肉にするというのは説明したな? 頭に自信があるお主はNOUKINになる資格ありありじゃ! 妾と共にNOUKINを目指すのじゃ!」
「の、NOUKIN…! お、おらやるだよ! セバスチャンとして頑張るだ!」
「言葉遣いは気になるが……うむ、その意気じゃ! まずはヘドバン素振りを100回じゃ! 頭突きで瓦を割れるまでやるぞ!」
「おおーっ!」
七三を乱しながら頭を振るうセバスチャン。そのある意味すさまじい光景を、デイジーは満足そうに見つめるのだった。
少しでもサボればスピーカーボム。……ここもある意味ではスパルタかもしれない。
「では、よろしくおねがいするです」
筋肉隆々とした男の前、ちょこん、と立つマリナ。男はつぶらな瞳を瞬かせ……疑うというより、不思議そうにマリナをもう一度まじまじと見た。
「よ、よろしく……? あの、本当におらのせんせぇになってくれるべか?」
「あ、その目は疑ってますね。でーじょうぶです。こう見えても私は部下をたくさん持つ船長…!」
にいずれなるつもりです。
ぼそり、と言った言葉は男には聞こえていなかったのか、おお!と男は感銘の声を上げる。
「船長さんに教わるなんて、海洋の男の誉だぁ!」
「うむうむ、宜しい。まずは戦闘の基本から教えるのです。真っ直ぐ行ってブッ飛ばせばOK、な時代はもうすぎたのです。いまは各個撃破、これが熱い」
「各個撃破…!」
「そうです。皆が狙ってる相手を集中して一緒に殴るのです。柔い相手ならなおよし。この海だって、最後には強いものが生き残るのです。卑怯だなんて気にする必要はねーです」
「な、なるほど……みんなで力を合わせて倒すんだべな!」
「そうでごぜーます。なかなか見所があるですね」
うむ、とマリナが頷く。意外と真面目な戦闘講義は、しばらく続いた。
「魔法少女に必要なのはイメージ力です」
「!?」
愛は真顔で修行グッズを取り出しながら講義を始める。ちょっと待って、いま魔法少女って言った?
「可愛い魔法弾を放つイメージ、そして基本となる変身へのイメージ。これを覚えて頂きます。大丈夫、無理な事はしません。活劇の鑑賞と礼拝、決め台詞に決めポーズの考案が主になります」
「ま、待って欲しいだよ! なんでおらが魔法少女に!?」
「魔法少女初心者は皆そう言うのです。大丈夫、変身のイメージがついて脳と視界が蛍光ピンクに染まったらそこからは勢いですよ」
「えええ……ええ……」
よもや先生を頼んだら魔法少女にされるなんて思ってもみなかった青年は、着々と進む準備に怯えるしかない。愛は「Magen-Ai」の鑑賞準備を済ませてから少し笑みを浮かべてみせた。
「大丈夫ですよ、ちゃんと実演も行います。あなたは神秘攻撃に才能があるようですから、そちらの練習をしましょう」
「よ、よろしくおねげぇしますだ…?」
「はい。ではここに座ってください。始まりますよ」
流されるままに、男は脳と視界を蛍光ピンクに染めていくのであった。正直不安しかない。
「ちがーう! もっと指先まで力を入れなさい!」
「す、すまねぇだよ! おら、こんなポーズしたことねぇから…!」
タント組もなかなかにかっとばしていた。何はともあれポージング指導。ポージングこそ基本。その確固たる意志を御天道様の元に恥じることなく示す事。
言ってる事は間違っていないような気がしてきたが、根本がそもそもおかしい気もする。しかし、男は大人しくタントに従っている。だって先生だし。カリスマを感じるし。
「自信をもつのですわ! そうすればその姿は必ずやきらめきをまとうのですわー!」
「お、おう! こうだべか!?」
「足元がお留守! 指先から足の先までしっかり意識するのですわ!」
男は考える。何故自分はポーズをとっているのだろう。我こそは今、ここにあり。そんな自信を持つ事が果たして可能なのか? そもそも己とは何なのか? 何のために強くなるのか、どうして、何のために……
「そう、それですわ!」
「はっ!?」
「なかなかうまくできていますわよ! さすがはわたくしの見込んだ方ですわね、オーッホッホッホッホッ!」
タントが高笑いする。思考に耽っていたことを怒られると思っていた男は、無意識に完成していたポーズのまま少し唖然とする。
「もうそろそろ模擬戦の時間……御天道さまであるわたくしに勝てますかしら!」
「お、おら……おら、やるだよ! せんせぇを超えてみせるだ!」
「その自信、グーですわ! やってごらんなさい!」
ポーズを取ったまま話すその様は、一種異様である。男が見回せば、ほかの仲間たちも講義に一旦区切りを付けているようだった。
いざ、模擬戦――!
●激烈! 模擬戦を終えて
「せんせぇ、ありがとうごぜぇました!」
「ありがとうごぜぇました!」
各自練習の後の模擬戦では、男たちは歴戦のイレギュラーズ達に見事にボッコボコにされた。戦闘経験の差は埋められない。けれど、男たちの顔は晴れやかだ。しっかりと装備を揃えた者、何故かお嬢様然としたポーズをとっている者、、乱れた七三髪を直す者――様々だけれど、皆、先生を出迎えたときよりも成長した面立ちをしている。
「うむ! 見事なNOUKINぶりであった! 妾も鼻が高いぞ!」
「あなたのポージング……悪くありませんでしたわ! 次に会う時までには、きらめきに当たり判定がつくように精進なさい! オーッホッホッホッホッ!」
「仲間を庇う大事さ、気付いてくれたかなぁ…! 仲間を護るのか、敵と戦うのか、その見極めを磨くんだぞ…!」
「弟子の成長が、これほど感動するものだとは……! 拙者、先生冥利に尽きるでござるッ!」
デイジー、タント、ヨルムンガンドがうんうんと頷く。下呂左衛門は弟子の成長に感涙しているのを隠そうともしない。
「出来ればこの後も、訓練してくれる集団につくのが望ましいですね。勿論ローレットでも良いのですが、鉄帝にそういった組織があるといいですね」
「そうだね。鉄帝に行っても、俺たちが教えた事を忘れないでいてくれると嬉しいよ。そして共に、女王陛下のために頑張ろう」
九鬼と史之が穏やかに笑う。ルフトは自分が担当していた生徒にメモを一枚渡した。そこには観察して判った男の長所・短所が判りやすく記されている。
「せ、せんせぇ…!」
「いつか背中を任せる日が来るかもしれない。楽しみにしている」
「惜しいですね、船があれば皆さんを船員に勧誘したのですが…今は勘弁です。でも、海での冒険に興味が出たら遠慮なく相談してくだせー」
マリナが言う。はいと声を揃えて返事する生徒たちは、矢張り海の男か、嬉しそうな顔をしていた。
「おらたち、絶対にせんせぇ方の事忘れねぇだよ!」
「んだんだ! 鉄帝に行ってもぜってぇ忘れねぇ!」
「先生に教わったことを生かして頑張るだよ!」
「魔法少女になれて嬉しいだよ! おらのところにも不思議なステッキこねぇかなぁ!」
海洋の海に陽が沈む。影絵のように立つ海洋の男たちは、一回りも二回りも大きくなって見えた。
お疲れ様、先生!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。
皆さん個性的な練習方法でしたね。書いていてとても楽しかったです。
一人何だか違う路線に目覚めたのもいますが、海洋の若者はこれからも切磋琢磨して未来の為に強くなる事でしょう。
ご参加ありがとうございました!
GMコメント
こんにちは、海洋大好き奇古譚です。
海洋の男たちに気合いを入れてみませんか?
●目的
海洋の男に武を叩き込め
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●立地
ザ・砂浜! です。
砂はきめ細かくしかし重みがあり、走り込みには最適です。
●エネミー
腕力に自信があるヤツx3
体力に自信があるヤツx4
頭脳に自信があるヤツx3
それぞれマンツーマンで教えても、集団対集団で教えても構いません。
彼らは先生には素直ですが、素直すぎて肉体しか鍛えていません。
はっきりいって今のままでは鉄帝に向かっても門前払いでしょう。
戦い方やコツ、心構えを教えたり、得意武器や戦闘方法などをプレゼンしてもいいかもしれません。
●その他
彼らの呼称はお好きにどうぞ。
ラブロマンスはありません。ありませんよ!
目指せ、海洋の戦士!
では、いってらっしゃい。
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