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シナリオ詳細

平原を行くフライングフィッシュ?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●人を襲う飛ぶ魚達
 それは見るものからすれば、異様な光景に見えたかもしれない。
 地面に影を落とすたくさんの物体。それは、空を飛ぶ青白い者達の群れだった。
「なっ……!?」
 それを見た旅人は唖然としてしまう。
 この無辜なる混沌において、空を飛ぶのは鳥だけではない。
 翼を持つ飛行種が飛ぶのはもちろんのこと、翼を持たずとも飛行能力を持つ者は珍しくはないとはいえ、沢山の魚が飛ぶ光景というのは、さすがに驚く者も少なくないだろう。
 日の光を受けて煌く魚達。ある世界においてはフライングフィッシュ、トビウオなどと呼ばれるそれらは、水面付近を跳躍するイメージが強い生物だ。
 また、食用としても知られ、塩焼きやフライにもできる。練り物にする地方もある。
 この生物からとれるダシはあごだしと呼ばれ、あっさりした味ながらもなかなかクセになる味だ。うどんやラーメンにして食べると、美味しいのだとか。
 しかし、相手は食われる気など全くないらしい。
 旅人が唖然としている間にも、フライングフィッシュ達は近場の集落に住んでいた人々を……人間を見つけて集団で突撃していく。
「魚に、魚に食われるううううっ!!」
 集落民は慌ててその場から逃げ出し、幻想のローレットを目指すのだった。

 しばらくして、その幻想のローレットにて。
『NEW! 平原のフライングフィッシュ討伐依頼』
 新しい依頼書が壁に貼られ、たまたまローレットを訪れていたイレギュラーズ達の目に留まることとなる。
「皆さん、依頼をお探しなのですか?」
 そこで、後から声をかけてきたのは、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)だ。
 彼女はイレギュラーズ達が興味を持つ依頼を察し、すぐに調べた情報をと愛用のメモ帳を開く。
 街道の安全確保依頼については、以前からパサジール・ルメスなどからあっている通り。
 さらに今回は街道やその近辺の集落にまで被害が及んでおり、住民などから駆除をと依頼が出ている状況とのこと。
「なんでも、フライングフィッシュの群れが人を襲っているそうなのですよ」
 現れるフライングフィッシュ……トビウオの群れは、大体50体ほど。
 うち、3体ほどは人間よりも大きな体躯を持つというから、危険な相手だ。
 トビウオ達は、街道をゆく人々や近辺の集落への襲撃が確認されている。
 元々、海にいる通常種は水中に漂う動物プランクトンなどを餌にしているという。陸上にはそれらが乏しいこともあって、食料を求めて動物や人間に襲い掛かっているのだろう。
「基本的に、羽根のような胸ビレを羽ばたかせて、突進や体当たりをしてくるようなのです」
 ただ、トビウオは空中で反転することもできる。
 大型は勢いに任せて旋回することもあるので、気をつけたい。
 手数で攻めて来る相手だけに効率よく対処せねば、傷ではすまないかもしれない。たかが魚と油断しないほうが身の為だろう。
 ところで、トビウオは食材としても実にいい魚だ。
 調理法を知っていれば、美味しく食べる事ができるかもしれないが、そこはイレギュラーズ達の腕の見せ所だろう。
「以上なのです。どうか、気をつけてなのですよ」
 ユリーカはにっこりと微笑み、現地に向かうイレギュラーズ達へと手を振るのだった。

GMコメント

イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいと申します。

●目的
フライングフィッシュ(トビウオ)の群れの討伐

●敵……フライングフィッシュ×50体ほど
この世界の種はどうやら、
胸ビレを羽根のように使って空を飛ぶ事ができるようです。

○大型……3体
全長3m程度あり、小型に比べて殺傷力も高く、
油断できない相手です。

・突進……物貫遠・万能
・体当たり……物中単・ブレイク
・羽ばたき旋回……神近域

○小型……50体弱
小型ですが、それでも通常種より大きめで、
全長50~70cmあります。
1体当たりはさほど強くありませんが、
手数で攻めて来るので非常に厄介な相手です。

・突進……物中単
・体当たり……物近単
・反転アタック……物中単・連

●状況
 街道のある広い平原にて、トビウオ達は集団で移動しています。
 多少の凹凸はありますが、足を取られるなどしたファンブルでもない限り、問題なく戦うことができるでしょう。
 普段は集団で飛行していますが、獲物襲撃時には上空から低空飛行に切り替え、襲ってくるようです。

●情報確度
 A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 平原を行くフライングフィッシュ?完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年09月23日 13時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

刀根・白盾・灰(p3p001260)
煙草二十本男
キュウビ・M・トモエ(p3p001434)
超病弱少女
セシリア・アーデット(p3p002242)
治癒士
ジョセフ・ハイマン(p3p002258)
異端審問官
クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
幻灯グレイ
しだれ(p3p005204)
特異運命座標
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
パーシャ・トラフキン(p3p006384)
召剣士

リプレイ

●空飛ぶトビウオの群れ
 幻想近辺の街道。
 そこから少し逸れた広い平原まで向かったイレギュラーズ達は、異様な光景を目の当たりにしていた。
「おぅ……、お魚が飛んでるんだね」
 前方の空を行く日の光を浴びて煌く集団に、白い魔術礼装を纏う『治癒士』セシリア・アーデット(p3p002242)は目を丸くしてしまって。
 胸ビレを羽ばたかせて飛ぶ、フライングフィッシュ……トビウオの群れだ。
「おさかな! 混沌はあれだな。正に混沌だな。頓痴気スーパー列伝だな」
 全くもって異端外法に満ちて地だと、筋肉質で大柄な『異端審問官』ジョセフ・ハイマン(p3p002258)は何処が無辜なのやらと笑ってみせていた。
「ほほう、これが噂に聞くフライングフィッシュ。私も実物を見るのは初めてね」
「へぇ、トビウオって本当に飛ぶのですな……。知っていたとはいえ、中々筆舌しがたい光景です!」
 和服を纏う病的な少女、『超病弱少女』キュウビ・M・トモエ(p3p001434)は頷きながら知識どおりだと見つめ、四肢を軍用の義肢とした鉄騎種の『特異運命座標』刀根・白盾・灰(p3p001260)もしばし、その群れに見とれている。
 悠然と空を行くフライングフィッシュの姿は、他世界からやってきた旅人だけでなく、無辜なる混沌の人間種達をも唸らせていたようだ。
「……どういう理屈で、陸に上がって来たんだか」
 『落ちぶれ吸血鬼』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)は鳥のファミリアを飛ばしながら、フライングフィッシュが空を泳ぐに至った経緯を推測する。
 ――果たして、あれは進化なのか変体なのか。それとも、飛ばないといけないほど過酷な環境だったのか。
「海を泳いでいてくれたら、きっと綺麗な光景だったのに……。お魚さん達も、もしかしたら海を追われてしまったのかも」
 青い髪を2つにして下ろす『召剣士』パーシャ・トラフキン(p3p006384)もその魚達の境遇を慮る。異様な光景には何かしらの理由があるものだ。
「空を飛ぶなんて、不思議な魚もいるんだね~」
 その佇まいには色気を感じさせながらも、儚げな印象も抱かせる『幽霊……?』しだれ(p3p005204)が素直な感想を口に出す。
 彼女はトビウオを見るのが始めてだったらしく、無害であればゆっくりと眺めていたかったと残念がる。
 というのも、このトビウオ達は平原の動物などを襲うこともあるのだ。
「まあ兎に角、塩ふってこんがり焼いて食べてしまいたいな」
「そ~だね~、見た目はなんとなく美味しそうだよ~」
 ジョセフには魚達が食材にしか見えぬようで、その調理法と味を想像すると、しだれも共感したのか全部倒したら食べてみたいと本音を漏らす。
「……というか、アレ食えるんスか……」
 ただ、クローネはあの空を行く魚の群れを食べると考えると、ややげんなりしてしまっていたようだ。
 彼女はそのまま相手の不意を突こうと距離をはかり、敵に気付かれる前にと傍にいたドレス姿の少女……性別は不詳だが……に呼びかける。
「……タント、サポートお願いします。……目一杯煌めいて下さい」
 遠距離が届く程度のギリギリの距離。
 傍の『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)はクローネの依頼に大きく頷いて。
「オーッホッホッホッ! 我が物顔で空を飛ぶ者は! 御天道様に地に墜とされますわよ!」
 タントが「このわたくしっ!」と叫び、指を鳴らすと。
 \きらめけ!/
 \ぼくらの!/
 どこからともなく、多数の声が聞こえてきた。
 \\\タント様!!///
「――が! それをご教示差し上げますわー!」
 ダイナミックファンタスティックな光輝絢爛ポーズで自らをアピールしてみせると、誰もいない平原から大きな握手が巻き起こる。
 フライングフィッシュの群れはイレギュラーズ達に気付いたらしく、一斉にこちらに向かって降下してきた。
「しかも、人を襲う。……無事に帰れますように……」
 いつの間にか、チームから1人距離を取っていた灰はトビウオに巻かれて終える人生を想像し、身を震わせてしまう。
「これが本当に食うか食われるかってやつなのかな? 食べられる気はないけどね!」
 セリシアは理力障壁を展開しつつ、戦闘態勢をとる。
 大型3体の存在に目をつけた彼女は、大きさは純粋な力になると警戒していたようだ。
「どっちが悪いなんてなくて。生きていくには……仕方ない事もあるよね」
「……考えるだけ無駄ッスね……」
 生存競争の上で成り立つ世界。
 パーシャはそう割り切りも見せるとクローネもファミリアを戻し、相手との間合いをはかり始める。
「海だけでなく陸でも生きられる……なんて逞しい」
 ただ、病的なトモエとしては、その逞しさに嫉妬心が湧き上がってしまったようで。
「殲滅しましょう」
 そのトモエの言葉のタイミングで、灰はタントに何か合図をしてから大声で名乗る。
「私の名は、刀根・白盾・灰。鉄帝の騎士です!」
 すると、彼に向かってフライングフィッシュ達が突撃してきた。
 灰が1人仲間から離れていたのは作戦のうち。
 メンバー達が小型のフライングフィッシュの数を減らせるようにと、巻き込まれる前提の作戦だ。
 すかさす、タントも灰の援護に動く。
 自身の戦闘スタイル、エスプリ「きらめきを齎すもの」の範囲中に灰が入るよう位置し、少しでも敵の攻撃を避けられるようにと支援の力を与えるようにしていたのだ。
「皆さん、お願いします」
 敵の接近を見て、遠距離攻撃が届くレンジまで相手が降下、接近してきたのを受け、クローネが仲間達へと攻撃開始の合図を出す。
 灰、クローネの動きに合わせ、トモエはタントの支援領域から出ないよう動きつつ集中して術式の展開を始める。
「ごめんね――召剣、ウルサ・マヨル」
 パーシャはフライングフィッシュに一言謝罪した上で、浮遊する2本の剣を召喚して臨戦態勢に入る。
「兎に角、やれる事をやるとしますか!」
 皆を癒すのが自身の仕事だと自負するセシリアは、仲間と無事に帰る為に術式を組み立て始めるのだった。

●群がる雑魚を散らせ!
 空から襲ってくるフライングフィッシュの数は、50体ほど。その多くが灰へと群がっていく。
 鉄壁のエスプリで作戦に臨む彼は危険を察し、防御重視の態勢を取る。
 そうして彼は、突進、体当たりしてくるトビウオ達の攻撃をやり過ごそうとしていた。
「刀根殿、統率の方、宜しく頼むぞ!」
 その灰に叫ぶジョセフはまず、この状況に合った戦い方へと自身を最適化させていく。
 文字通り、雑魚散らしの為に動くメンバー達。
 指示出しを行っていたクローネは集まる魚達へと有毒ガスの霧を展開して、複数の魚の身体を猛毒へと侵していく。
 当然ながら、その範囲内には灰の姿もある。彼は自分ごと攻撃してくれと言わんばかりに目配せする。
「悪いとは思いますが……、巻き込みは承知の上なので……」
「大丈夫、優先して回復するようにしないとね」
 とはいえ、傷つくメンバーはセシリアがしっかりと注視していた。
 毒は時間が経てば、なくなりはする。
 ただ、その分体力が削られるので、セシリアも警戒しながらも遠距離術式を発動して、個別にフライングフィッシュを狙い撃っていく。
 他のメンバー達も小型の数を減らすべく、平原を立ち回る。
「おーっほっほっほっ!」
 高笑いするタントは悠然と宙を飛ぶ大型目掛を、一条の雷撃で撃ち貫く。
 その前後の魚が巻き込まれて地面へと落ちる中、射抜かれた大型はその身を痺れさせていたようだ。
 彼女は仲間達の動きを見ながら、できる限り自らのエスプリの効果を発揮できるよう、細かく位置取りを行っていく。
 メンバーはそのタントを中心に、縁を描くよう布陣することになる。
 パーシャは遠距離より空を飛ぶ魚を落とそうと、集中してから攻撃へと当たっていた。
「ウルサ・マヨル、お願い!」
 自律して浮遊する2本の剣はパーシャが狙う敵の身体を切り裂き、1体ずつ切り落としていく。
 トモエも仲間達の情報や位置を確認して立ち止まり、そこから攻撃に集中する。
 自身の心の底に渦巻く悪意を殺傷の霧とし、トモエは離れた前方の一点に展開していった。
 霧を浴びたフライングフィッシュ達は、様々な症状を引き起こす。
 毒によって体表面が黒く変化する者。窒息の影響で口をパクパクしながら苦しむ者。そして、呪いを受けて急激に弱る者もいたようだ。
 そこに、前線へと切り込んでいくジョセフが棒状の武器「PKB」に擬似神性を下ろした上で、手近な位置にいる魚達を纏めて薙ぎ払う。
 数で押し寄せるフライングフィッシュは灰だけでなく、前線メンバーにも襲いかかろうとする。
 ジョセフも幾体かに襲われ、近づく大型1体に狙われていた。
 全長3mもある大型だが、軽やかに空中で反転した勢いで尻尾をしならせて殴りつけてくる。油断しているともう一撃食らってしまう為、ジョセフはうまく身を引いて連撃を防いでいた。
 その近場にいたしだれは近づいてくる敵に応戦し、後衛に通さないようにと細長い棒状の「卒塔婆うえぽん」でひたすら殴りかかる。
 数で群がってくる敵だ。手数が増える分には手痛いダメージとなってしまうが、各個撃破する分には1体当たりはさほど強い敵ではない。
 しだれはその後、灰の疲弊具合に気を払い、彼の周囲の敵を1体ずつ叩き落とす。
 セシリアも高度な治癒魔術を発動させて灰の癒しへと当たり、仲間の助けに、そして布陣の維持に努めていたようだ。
 なかなか倒せぬ相手と感じたのか、残るフライングフィッシュのほとんどが低空飛行に切り替えて、近づいてから羽ばたき旋回してその身で直接イレギュラーズ達の身体を痛めつけようとする。
 前線メンバー達がそれに耐えるのを後ろから見ていたパーシャは、浮遊する剣で確実に切り払い、身体を断ち切っていく。
「大分、減ってきましたね……」
 小型は確かにかなりの数が地面へと落ちている。
 しかし、その分、大型3体の存在感が増し、イレギュラーズ達を威圧してくるのだった。

●飛び回る魚を叩き落とせ!
 敵の数が減ってきたことで、敵の注目を浴びていた灰の負担も減ってきてはいた。
 仲間の範囲攻撃に関して、うまく巻き込まれないようにと立ち回ってはいたが、全てを避けるとはいかない。
「もう少し、話を詰めておくべきでしたかね……」
 とはいえ、仲間達の支援、手厚い回復もあり、なんとか倒れずには済んでいる。
 灰は防御態勢を取りながらも、統制を行って仲間達がうまく連携して効率のよい敵の撃破に当たれるようにと気がけていたようだ。
 セシリアも序盤こそ練達の治癒魔術も駆使して癒しに当たっていたが、徐々に攻撃にも回る余裕が出始めていたようだ。
 とりわけ仲間へと襲い掛かる大型へと、セシリアは術式を発して痛打を与えようとする。
 同じく、後衛に立つクローネ。
 彼女は現状でもすでに重傷の状態であり、満足には動けていない。
 それでも、彼女はうまく戦況を見定めて灰の回復の為にSPDを振り撒き、さらに攻撃にと指先から魔性の茨を伸ばして大型の足を止め、さらに傷から血を流させてその身を苛む。
 重傷のクローネを気遣って庇いつつ、タントは簡単な詠唱で仲間達へと簡易治癒魔法を施す。
「後は大型だけですわね!」
 タントが示すは、全長3mある大型3体。
 それ以外は全て、メンバー達の攻撃によって地面へと落ちてしまっている。
「大きい……」
 改めて、間近で敵影を見つめるパーシャ。
 大型フライングフィッシュは、この間戦った大きなクラゲよりは小さいとはいえ……。
 パーシャは自分の頬をぱんっと叩き、気合をチャージする。
「負けません! ウルサ・マヨル、皆を守って!」
 流れる赤き血潮によって自身の力の高まりを感じた彼女は、呼び出した二本の剣で相手の身体を切り裂く。特に、狙うは羽ばたく為に使う大きな胸ビレだ。
「一気にいくよ~」
 ここぞと、しだれがその直後を狙う。
 序盤は温存していた力を大型のフライングフィッシュへとぶつけるべく、彼女は「卒塔婆うえぽん」を大きく振りかぶる。
「豪腕粉砕しだれちゃんくらっしゅ~」
 しだれの強烈な位置打を浴び、その大型は昏倒してしまい、地面に落下して動かなくなってしまった。
 周囲では、続々とメンバーが大型を攻め入る。
 序盤から大型もイレギュラーズ達の範囲攻撃に巻き込まれており、傷はかなり深まってきていたようだ。
 仲間の攻撃に合わせ、ジョセフは大柄な相手を「PKB」で殴打をしていく。
 ジョセフが狙うは、態勢維持、推進力にと使う全身のヒレ。
 その中でも、胸ヒレは飛行に、左右のバランスをとるのにとフライングフィッシュの活動に重要な場所。ジョセフはそこに強い打撃を与え、相手の態勢を大きく崩す。
 だが、大型はそのままメンバー達へと突っ込み、痛手を与えようとして来る。
 トモエもその一撃を受けてしまってはいたが、すぐさま反撃に転じて。
 お返しとばかりに、トモエは全力で漆黒の閃光を発射して反撃に出て、相手の体を撃ち貫く。
 力の奔流を浴びた大型は堪える事ができず、重い音を立てて地面へと転がっていった。
 耐えながら戦ってきたイレギュラーズ達は、残る1体の大型フライングフィッシュを倒すまで、攻撃の手を緩めない。
「あと一息ですわ!」
 クローネの庇いにと、防御態勢を続けていたタント。
 ほぼ攻撃には加わらず、彼女は防御態勢を取り続けて仲間の治癒に当たる。
 彼女の役目は、仲間の支援の為に動かず立ち続けること。
 こうしてタントが立ち続ける限り、このチームに負けはないのだ。
 気付けば、目の前の大型も全身に傷が増え、飛び方が安定しなくなって来ている。
 仲間達が攻撃を続ける中、クローネもまたその一員として加わり、悪意を放って相手を追い詰める。
 どんなに胸ヒレを羽ばたかせようとも、クローネの一撃からは逃れられない。
 やがて、その悪意に全身を侵された大型フライングフィッシュは力なく草原に転がる。
 平原を飛んでいたトビウオ達は全て、イレギュラーズ達の手によってその動きを止めたのだった。

●皆でトビウオ料理を!
 なんとか、全てのフライングフィッシュを討伐したメンバー達。
「良かった! 本当に!」
 囮役を買って出ていた灰は、なんとか無事に討伐作戦が完了としたことに安堵し、胸を撫で下ろしていた。
「折角ですもの、お魚は美味しく頂きましょうか!」
「……で、本当に食うんスか……」
 沢山の魚の山を見て仲間に提案するタントの言葉を受け、クローネは自らのスキルで倒れた魚の残骸を見下ろし、多少引き気味に仲間達へと問う。
 すると、タントはそんなクローネをじーっと見つめて。
「どなたか、お魚を捌けて優しくて愛らしくて、陰のある美少女はいらっしゃらないかしらー!?」
「そ~だね~、お願いしたいな~」
 それに、トビウオ料理に興味があったしだれも便乗していたようだったが、クローネは敢えて視線を反らす。
「……魚を捌けるそんな都合のいい女は此処にはいないので、他の人にあやからせて貰いましょうかね……」
 例えば、血抜きなど手間もかかると、クローネは言い訳する。
「…………違います、血が吸いたい訳じゃ無いです。……流石にアレはアタシでも躊躇します……」
「……しょーがないですわね! ならば、わたくしが捌いて差し上げますわ!」
 無理強いは良くないと、タントも考えたようで。
「やったことは! ありませんがッ! お怪我を治すには栄養が必要! ですから!」
 言葉の端々を力ませる彼女は、お怪我を治すには栄養が必要だと魚を手にとってそれっぽく捌こうとしていく。
「調理はいいけど、とりあえずロベリアの花とかヴェノムクラウド食らった魚はやめときましょう?」
 時間が経てば、スキルによる毒素は消える。
 それでも、なんか汚くなってそうだと考えたトモエは、捌く魚を選ぶようにと仲間に促していた。
「この魚って、トビウオと一緒でいいんだよね?」
 それなら、フライや塩焼きで食べると美味しいのかなと呟くセシリア。時間があれば作りたいと、彼女も調理に興味を示す。
「アンチョビ作りたいですな。ゼシュテルパンに挟むものに悩んでいたのです!」
「私は先ほども言ったように、塩を振ってこんがり焼いて食べたいな」
「トビウオ料理は、美味しいって有名ですものね」
 灰は塩漬け発酵させてから美味しく頂こうと考えており、すでに楽しみにしている様子。
 大型の味がボケてないだろうかと気にもむジョセフが自身の食べ方を主張すると、パーシャも食べることがこのフライングフィッシュ達への供養になるかもしれないと、何か調理法を考えていたようだ。
 とはいえ、全てを食べるには余りに多すぎた上、倒した際の攻撃法に思う事のあるメンバーがいたこともあって、イレギュラーズ達は程ほどの量を持ち帰ることにする。
 集まってきた動物達に食料として託し、一行はこの場を後にしていくのだった。

成否

成功

MVP

クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
幻灯グレイ

状態異常

なし

あとがき

MVPは傷だらけの中、仲間の指示出しなど各所で活躍をみせたあなたへ。
フライングフィッシュ討伐お疲れ様でした。
ごゆっくりお休みくださいませ。

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