PandoraPartyProject

シナリオ詳細

欲望パーティは夜に咲く

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ゴールド&プラチナ
 潮風のかおる海洋の港町。
 蒸気船の声に背を向けて街灯のならぶ町を歩けば、あちこちにきらびやかな店が見えるだろう。
 ケーキショップ、ドレスショップ、靴屋にオモチャ屋。文化の華開く海洋の港町。
 むろんそれはコインの裏表のように、欲望あふれる裏の側面……華の蜜ともいうべきエリアも存在する。
 海洋のアンダーグラウンド的社会。欲望の歓楽街『リリスガーデン』。
 ひとたび赤いゲートを潜ったなら、ネオンサインと色香溢れる美女が手招きするように迎えてくれるだろう。
 今宵はそんな街の一角、ホストクラブ『ゴールド』とキャバレー『プラチナ』からの依頼である。
 太陽の日常からひととき離れ、非日常の夜に溶けるが如く……さあ、扉を開こう。

●光り輝く裏世界
「よく来て下さいました。ローレットの皆様。お噂はかねがね……」
 白く上品なスーツを纏った金髪の男。彼はホストクラブ『ゴールド』の店長にしてナンバーワンホスト、ジョナサン氏。
「どうか肩の力を抜いてくださいな。これから一緒に働くことになるんですもの」
 一方で真っ赤なドレスに身を包んだプラチナブロンドの美女。彼女はキャバレー『プラチナ』の店長兼ナンバーワンホステス、パルテナ氏である。
 シャンデリアに照らされ、豪華なソファと代理席のテーブル。
 きわめて上品な空間に、シャンパンを注いだグラスが並んでいる。小さなステージではムーディなジャズが演奏されている。
 ここは富裕層に向けた上品なクラブなのだ。
 その中央で、『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)はひときわ色鮮やかにこちらを手招きしていた。
「さあ、いらっしゃい。先に話していたとおもうけど……依頼内容は臨時スタッフ。この人たちと一緒に、ここで働くの」

 ホストクラブ『ゴールド』とキャバレー『プラチナ』はオーナーを同じくする二つの高級バーである。
 オーナーはJ&P。つまりこの二人による共同経営だ。
「僕らの仕事はお客様に上品な時間をお楽しみ頂くこと。金儲けは確かにしたいですが……それ以上に、この街のきらめきに惚れていましてね」
「私たちの店にやってきたお客様が幸せな気持ちで帰っていく。そうしてあちこちの町で精力的に働いて、社会を力強く回していく……。私たちはそういう場所を作っていますの。ここの彼との、共通の夢。絶えず毎日紡がれ続ける夢ですわ」
 J&Pの間には男女というより永年の戦友めいた、深い絆や信頼が感じられた。
「しかしひとつ問題がおきたんです。スタッフたちがこぞって風邪をひいてしまって、症状もやや重いときている」
「五日ほど休みを上げたのですけれど、その間にこの場所をカラにするわけには参りませんわ」
「そこであなた方だ。ローレット。魔種を倒すほどの戦闘能力もさることながら、あらゆることに通じた『何でも屋』」
「今宵は、その力をお客様がたの上品な時間のためにお使いくださいな」
 グラスを傾け、うっとりと目を瞑るプルー。
 全部言われてしまったわねという顔で目を開けた。
「そういうことよ。ローレットの引き受けた依頼として、力になってあげて」

GMコメント

 ホストやホステスとなって夜のきらびやかな町に溶け込む。
 これはそんなシナリオです。

 参加メンバーの男女比がまだ分からないので、男性はホストクラブ『ゴールド』に、女性はキャバレー『プラチナ』に助っ人として入る形になります。
 男女どっちか分からないひとは、好きな方を選択してください。
 極端に男性オンリーとかになった場合は「なにか知らない女性とかがプラチナの助っ人に入ったんだなあ」というつもりで全員ホストになって頂いて構いません。同じ理由で、男女同数にする必要もございません。
 得意なほう、気になるほう、やってみたい方をご選択くださいませ。

【日常業務】
 店にやってくる客に応じて接客をしましょう。
 対応非戦スキルはまああったほうがいいですが、『○○を使います』で終わると寂しいというか、キャラクターの魅力を引き出せなくてもったいないので、『どういう個性を出していくか』をプレイングに書いてください。
 スルメやガムを只管噛むが如く、キャラクターの個性をぐいぐい引き出していきましょう。
 ホストかくあるしみたいなお手本はありませんので、『これが私だぞ!』というスタイルを作ってしまってください。

 店長に教えを請うプレイングはなるたけカットしましょう。研修抜きでいきなり投入とかしないので、既に基礎訓練は済んでいるものとして扱われます。

【トラブル対策】
 接客業にはトラブルがつきもの。
 しかし邪険に扱うのではなくあくまで『(当人を含めた)全員に上品な時間を届ける』という目標に向かって努力、工夫してみましょう。
 おこるであろうトラブルを先に書き出しておくと
・客がセクハラをしてくることがある
・急に暴れ出す客がいる
・勘違いして交際を迫ってくる客がいる
 といったものです。両方に対応してもいいですが、『見せ場』という考えからすると分担しておくとステキかもしれません。

【未成年対策】
 このシナリオに年齢制限とかはないので、『気づいたら全員十代』みたいなこともあるやもしれませんが、お酒を飲まないというルールのもと働いてよいものとします。
 見た目十代年齢百歳みたいな人はノーカンです。というか、そういう人がごろごろいるのであんまり客も見た目で判断しません。要はちゃんとお仕事できるかどうかなのです。
 同じ理由で『人間じゃないひと』もOKです。ここは混沌。どんとこい。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 欲望パーティは夜に咲く完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年09月28日 23時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Suvia=Westbury(p3p000114)
子連れ紅茶マイスター
はぐるま姫(p3p000123)
儚き花の
狗尾草 み猫(p3p001077)
暖かな腕
レナ・フォルトゥス(p3p001242)
森羅万象爆裂魔人
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
十六女 綾女(p3p003203)
毎夜の蝶
沁入 礼拝(p3p005251)
足女
ワルド=ワルド(p3p006338)
最後の戦友

リプレイ

●夜は時として昼間よりもまぶしい(ある海洋資産家のことば)
 広い海と広い空。海洋のまぶしいほどにきらめいた港町とは裏腹に、夜は不気味で静かな海がどこまでも続くように見える。
 されど人は生き明かりを灯し、水面をはねるほどの明るさで町を照らしている。
 ここは島全土を覆う海洋の歓楽街リリスガーデン。
 昼よりも明るい町。

 赤いゲートを潜って大通りを歩けば、ネオンサインのひかる看板が目に入るだろう。
 ホストクラブ『ゴールド』。そしてキャバレー『プラチナ』。
 店の前に立ち、十六女 綾女(p3p003203)は長い髪をなまめかしくかき上げた。
「いいわね、この懐かしい空気……張り切ってお仕事しましょ」
 世界がかわろうともやることは変わらない。綾女はどこか遠い昔を思い出しながら、光り輝く町へと溶け込んでいく。
 続いて町へやってきたのは『足女』沁入 礼拝(p3p005251)。
「全ては一夜の夢のように……けれど」
(この煌びやかな夢は案外地道な行いによって成り立っているものでございます)
 キャバレー『プラチナ』の店構えは礼拝のいる宿とは少しも似ていないが、ただよう空気はどこか似ていた。
 金を持った男たちが訪れ、ひとときの夢を見て、そして日常へ帰って行く。
 ここはある意味、礼拝にとってなじみ深い場所にも思えた。

 キャバレー『プラチナ』では徹底した接客訓練が行なわれていた。
 共同経営者J&Pが古くより受け継ぎ時代とともに洗練させ続けた一流の接客術である。
 勿論基礎から全て教え込むことはできないが……一夜限り、この店の中だけで通じる技術を伝達することは、熟達した彼女たちには難しくなかった。
 そうして生まれた期間限定のホステスたちの中に、『軋むいのちと渦巻くこころ』はぐるま姫(p3p000123)はいた。
 海上貿易拠点にもなる海洋王国には様々な人種が様々な文化的価値観をもってやってくる。ゆえにこの店にも多様性が求められ、個性を伸ばす教育が成され、それぞれに『役割』が与えられた。
 はぐるま姫に与えられた役割は『お姫様』である。
 気品ある振る舞いと、時として見せる甘えた空気。幻想出の貴族などがよく好むが、はぐるま姫のきわめて小柄な体型とちらりと見える球体関節がひどくはかなげでどこか扇情的な魅力をもっていた。
 物語を夢見て人間以上に人間らしく作られたという意味合いでは、沁入ヒューマノイドスペシャルタイプ『礼拝』に通じるものがあったのかもしれない。
 一方で『年中ティータイム』Suvia=Westbury(p3p000114)は場に合わせた演技をあえてせず、持ち味の強かさと柔軟さをそのまま活かした役割を与えられていた。
「お金持ちの殿方と親密になれるチャンスもあるかもしれませんので、気合いを入れてがんばらないといけませんね。うふふ」
 自前の異国のメイド服をちょこちょこと飾り付け、綺麗にお化粧をして、美しく立たせる。それだけでSuviaの価値はぐっと高く引き上がった。
「何気に、ローレットも、幅が広いわね。まぁ、今も幻想では砂蠍やら動物異常繁殖やらで騒ぎがあるけど、それに比べて、海洋はまだ平和ってところかしらね」
 少し強めのデザインをした服を着てたつ『森羅万象爆裂魔人』レナ・フォルトゥス(p3p001242)。
 その横では『御猫街に彷徨ふ』狗尾草 み猫(p3p001077)が並んでいる。
 元々の和装をもう少し派手にした装束を纏い、綺麗に化粧をして見せる。
「お店にありますにゃろか?」
 鏡の前に立って回ってみるが、不思議と店内の雰囲気から逸脱しているようには見えなかった。
 多様性を求めるだけあって、み猫もその多様性の一部に溶け込んでいるのだろう。
「おやおやみゃあみゃあ……それにしても、うちらに来るお仕事もほんみゃに様々やねぇ。せにゃけど、必要とあらば、このみ猫の手ぇぐらい幾らでもお貸しします」
 よろしゅうにゃと言って手を招いてみせるみ猫。
 これよりキャバレー『プラチナ』の短い夢が始まるのだ。

 ホストクラブ『ゴールド』の店内には数名の臨時スタッフと店長のジョナサン氏。
 そして『世界の広さを識る者』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)と『はにかみ青年』ワルド=ワルド(p3p006338)が並んでいた。
「例えば骨董を扱うことがモノを売る以上に何より曰くを明かし来歴を語る……そんな風に言葉を商う仕事だとするなら、この仕事もまた私らしい仕事には違いない」
 イシュトカはいつもよりくっきりとしたネイビースーツを纏い、渋めに化粧を整える。
「こんな私でよろしければ、微力ながらこの店の即戦力となりましょう。ただ、お酒は好まないのでノンアルコールでお願いします」
 一方のワルドはいつものコートを綺麗にして着込んでいる。試しに袖を通したスーツがどうにも似合わない気がしたらしい。
 化粧のベクトルは少し甘めに。イシュトカがビターなチョコレートならワルドは甘いミルクチョコレートである。
 そも、常にほんわか笑っているワルドなので、無理にベクトルづけをしてもかえって邪魔になるだろうとジョナサン氏は判断したようだ。
 開店前。ジョナサン氏が皆の前に立った。
「ホストは世間から豪華でハンサムな仕事だと思われている。チャラついた仕事だと言う人もいる。それは間違ってない。俺たちはそう思わせることでお金を貰っているからだ。
 俺たちは役者であり、サービスマンであり、美術品だ。
 たとえ一年靴下を替えられない男でも、明日喰う飯がない奴でも、この店では輝かせてみせる。そのための訓練をしたつもりだ。
 さあ、今宵も……夢を見せよう!」

●美しい嘘は現実に溶けいる(ある海洋芸術家のことば)
「あやや、そりゃ大変やね。そちらのお兄さん、うちにもっとそのお話聞かせてぇな」
 手をぱたぱたと振って話に興じるみ猫。
 彼女の器量を気に入ったのか、頻繁に話をする者がいくらかあった。
 み猫自身、とても魅力的で異性同性関わらず引きつける華やかさがあったが、店長パルテナはそれのみでよしとしなかった。
 『花屋に美しい花があるのは当然のこと。どのように飾りどのように魅せ薫らすかが店の力ですわ』と語り、み猫に男性をおだてるテクニックを伝授した。
 一見、流石やにゃあとかほんみゃあとか適当な相づちを打っているように見えるが、重要なのはタイミング。
(相手が息を吐くときに、仕掛ける)
 人が反応を求める時、その呼吸がある。求める瞬間、かぶせるように高めの相づちを打つことで気分を上げることが可能なのだ。熟達すればかけるべき言葉瞬時に選ぶことが出来るが、話術に長けていないみ猫にはそれぞ求めず、たった三種類でいいからとにかく逃さず打てと教えた。
「うちにももっともっと、兄さんのお話を聞かせてくださいにゃ」
 み猫はにっこりと笑い客をひたすらに引きつけた。
「とにかくとして、ここは、ゆっくり酒の味を楽しみながら、大人の時間を堪能しましょうね」
 一方レナは特別な対応術を教わらなかった。
 彼女が教わったのは水割りの作り方やら料理の置き方、客を交えた座り位置その他諸々……つまりは店で働く上での基礎である。
 自分から積極的に話さずとも、花のごとくそこに座っているだけで価値をもつということは往々にしてあって、レナがその役割を担っていた。
 ついでにと教わったのは『交わし方』。客が積極的に接してきたらあえて冷たくするようにと言われていた。
 客は夢を見たいが、店を信頼しきった際に全体重を預けてくることがある。
 どこまで夢中になっても丁度いいところでとどめてくれると信じ切ってダイブしてくるのだ。例えるなら遊園地で着ぐるみマスコットに話しかけちゃう感覚に近い。
 それを受け止めつつ、ギリギリでセーブする。レナは放っておくと鋭すぎるところがあるので、静かに冷たい態度だけをとり続けることで丁度いいラインを保てると考えられたのだった。
 そんなレナとは対照的に、積極的に接するテクニックを教わったのがはぐるま姫とSuviaだった。
 特にSuviaは情報の取捨選択というかスルースキルが非常に高く、放っておくと双方の距離をどんどん開けてしまう性質があった。
 逆に言うとどこまで接触していっても圧力が働くということなので、積極的な接触や客が喜ぶ接し方をいくつか教わったのだった。
 そのため時には荒技も使える。
 例えば酔っ払った客が他の客と取っ組み合うようなトラブルを起こしそうになった時、Suviaはそっと後ろから抱きついて耳元になにかを囁く。
 『お店の女の子に嫌われちゃいますよ』だとか『良ければお店が終わってからお声掛けくださいませ』だとか、相手にスペシャルな感情をもたせるようなことを言って見る。
 勿論、調子に乗ってガン責めされても図太いSuviaは余裕でスルーできるので、得意の紅茶を入れて笑顔で接客というマイペースを保てるという寸法である。
 対してはぐるま姫はと言うと、元々浮き世離れした造形と精神性をもっているがゆえに人のドロッとした感情にもピュアな感情にも平等に接することができ、尚且つ球体関節人形という外見特徴から触れる相手が本能的に気遣ううごきが見られた。
 そんなはぐるま姫は、あえて客の膝の上に座ったり肩や膝に触れることを許したりといった接し方を伝授され、気品ある振る舞いをそのまま利用した『上品でない行ない』への牽制のしかたをも同時に伝授されていた。
「……もう。せっかくの、今宵限りの、わたしとあなたの舞踏会なのだから。『これから』より、今、わたしと楽しむことを考えてほしいわ?」
 手に入るようで入らない。そばにあるようで遠い。
 そんなファンタジックな位置こそが、彼女たちの立ち位置なのだ。

 一方で、ホストクラブ『ゴールド』の様子をご覧頂こう。
「今年はいいひとが見つかりそうですよ。素直になると吉……だそうです」
 ワルドがカード占いをして会話の引き出しを増やしている。
 ホストとホステスの立ち回りは基本的には同じとされていて、手に入るようで入らないラインを店長のジョナサン氏に徹底されていた。
 特に海洋は男性上位主義みたいなものもなく、男性に対してマウントをとりたがる女性もそこそこ多い。
 相手が言いたがっていることを引き出し、要求されていることに暗に応える。
 しかし全てに対してイエスとは言わず、丁度いいラインを見極めるのだ。
 例えば交際を迫るようなモーションをかけてきても、ナチュラルに友達として付き合うようなリアクションで返していく。
(相手も本当に私と交際したいわけでもなさそうなんですよね。奔放で積極的な自分を楽しんでいるというか……)
(口から出るのはいつも以上に嘘ばかりだとしても、いつもながらに善いと思えることを……)
 イシュトカは元々の渋い風合いもあって、相手をたしなめるすべに長けていた。
 こういう場所だからこそ開放的になろうとする女性や、自分をもてはやす存在に飢えている女性。承認欲求に飢えている女性。甘える対象を求めている女性などなど……。
 接し方はそれぞれだが、察して先回りすることがいつも求められた。
 イシュトカには、彼女たちにはそれぞれこの店にくる理由があり、目的があるように見えたのだ。
 勿論接待のために来てたりなんとなく豪華な場所でお酒が飲みたいだけの人もいる。そういうときは楽なのだが……。
(今は、この時間を楽しませよう……)
 イシュトカたちは、自分なりの持ち味と店長から伝授された接客法を駆使して、女たちの夢となりはてた。

 今更なことではあるが、ホストクラブ『ゴールド』とキャバレー『プラチナ』に指名数を競うシステムはない。
 リピーターを『店』単位で獲得するのが目的で、勿論指名ボーナスのようなものはあるが指名されることのみが価値だとは考えていないのだ。
 だがそんな環境でも、臨時メンバー内とはいえ指名数ナンバーワンを争う二人がいた。
 綾女と礼拝である。
 綾女は自分が個人的につかまえていたパトロンたちを、礼拝は日頃から懇意にしている『常連客』を店に呼び、いつもと気分の違う時間を過ごさせた。
 どちらもよりディープな世界の専門家であり、よりアンダーグラウンドな世界の住人である。(礼拝はちょっと意味合いが違うが)
 だからこそこの場所は彼女たちのパトロンにも新鮮で、遊園地にやってきたようなかわったはしゃぎかたをしていた。
 パルテナは彼女たちの資質や本質を早期に見抜き、店にとって刺激が強すぎることを危惧した。しかし研修を挟んでみたところ、二人ともこの場所の『浅さ』を理解しており、より深く潜りたがる客を外部にある自分のフィールドへ逃がすすべを心得ていた。
 綾女は『それ以上はダメよ。ここはそういうお店ではないの』と。礼拝は『私をお求めなら、この場所へ』と。それぞれ保有している個人スペースへのアドレスを伝えるのだ。
 パルテナはそんな『分別できる専門家』をいたく尊敬した。
「嬉しいけどここは一夜限りの夢を楽しむ所。目を覚ませば覚めてしまう夢の場所」
 綾女はあくまで男性を受け入れるやわらかいものでありつづけた。
「私の体を安く見られているのかしら? ここで出来るサービスは此処までと申しましたのよ?」
 一方で礼拝は男性をリードし続ける芯のある存在でありつづけた。
 頬を撫でる綾女と顎を掴む礼拝。その対比は端から見ても美しいものであったという。

 こうして、夢のような夜は過ぎていった。
 人々は彼ら彼女らの夢をみて、日常へと帰って行くだろう。
 自分が満たされた場所が確かにあったのだという、暖かさを胸に。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 皆様の持ち味があちこちで活かされていて、素敵でしたね。
 特に本領を発揮していらっしゃった礼拝様と綾女様には店長より『ミスプラチナ』の称号が与えられました。本来指名ナンバーワンの女性に与えられる称号ですが、技術とプライドをみて特別にとのことです。

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