PandoraPartyProject

シナリオ詳細

35日目のメリークリスマス

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●名も無き雪国
「むにゃむにゃ……」
 ここは何処かの雪国、レンガで造られた小さなお家。
 ベッドの中でむにゃってるのはまだまだ子供と呼ばれても仕方ない少年。名前はサン・拓郎。
 これでも立派なサンタクロース……を夢見る見習いなのです。

 ──prrrr!! prrrr!!

 おやおや、実は先程からずっと鳴っていたのですが、またかかってきたようですね。
 黒電話って、まだあったんだぁ。
 ほらほら、起きて起きて、鼻ちょうちん膨らませてる場合じゃないよ。
「う〜ん……うるさいなぁ……折角いい夢見ていたのに……」
 やっと目が覚めたみたい! 目を擦りながら、サンはふらふらと立ち上がり、電話を取ります。
「おつかれーっす。めりくりぃ」
「や、やっと繋がった!! お前、今までどこいってたんだ!?」
 あら、どうしたのでしょう。電話先の方は大層慌ててるではないですか。サンはわけも分からず、まだ半分寝ている声で返します。
「どうしたんすか部長、またサンタ会議で詰めれたんです? だからあれだけクリスマスプレゼントに刺身はやめろって……」
「ち、ちがう! プレゼントだよ、プレゼント! クリスマスから何日経っても、お前の担当地区だけプレゼントが届いてねぇってクレーム来てんだよ!!」
 クリスマスにプレゼントが届いていない。
 そうです。今、この世界の月は年を跨いで一月……既にクリスマスから一ヶ月も過ぎてるのです!
「あばばばばばば……ね、寝坊だぁ……」
 サンタ達が汗流しながらソリ引いてる獣をシバきながら働いている間、サンは惰眠を貪っていた。プレゼントは盗難防止の為にサンしか封を開けられない為、代わりに届けてあげる事もできないのでした。
「はぁはぁ……」
 配っても配っても終わらないプレゼント。これでも他のサンタ達に頼んで手伝ってもらってるのですが、全然人手が足りません。
 どうしたものでしょう。このままでは、鬼に豆を投げつける祭にまで突入してしまいます。それだけは避けないと、イベント過多で皆が疲れちゃう。
 何とかならないか、そう思った時、サンの目の前に一人の吟遊詩人が立っていて。


「皆、クリスマスというものを御存知かな?」
 吟遊詩人カルヴァンが大仰なポーズをとりながら説明を続ける。
「シャイネンと似た催し物でね。その中に、寝ている子供達の枕元にプレゼントを置く、というイベントがあるんだ」
 寝坊してしまったサンタクロースのプレゼント運びを手伝って欲しいとのことだ。
「サンタの彼が言うには、プレゼントは物であったり、少年少女が望む何かであるらしい。プレゼントと書いた願い事を叶える、みたいだね」
 とある家の少年。
 また別の家には、病弱な少女。
 はたまた、身寄りのない子供達が住まう教会。
 子供達が欲しがっている物を渡してあげよう。大丈夫、これは一夜限りの夢。
 姿を見られたとて、会話したからとて、寝て起きたら忘れていることだろう。プレゼント以外の事は。
「あはは、手伝いたいのは山々なのだけれど、僕は語り部でしか無いからね。配るのは手伝えない分、君達の活躍を謳い継がせてもらうよ」
 よろしくね、と特異運命座標達を送り出すのだ。

NMコメント

 メリークリスマス。
 節分も近いですね。皆様は恵方巻食べるのでしょうか。私は食べさせられます。
 胡狼蛙と申します。
 久しぶりのラリーとなっております。一章で完結予定となっており、気楽に楽しめるクリスマス物となっております。

●名も無き世界
 この世界には名はありません、皆さんと冒険していく内に何かがわかるかもしれない。
 プレゼントが配り終わるまで、クリスマスは終わらないらしいです。

●ステージ
 大きめの街で、再現性東京と同じ様な時代背景となります。携帯電話もあれば、ゲームもある。なんでもあります。銃等の武器は禁止されています。

●目的
 プレゼントを運び、子供達に届ける。
 トナカイ達に運ばれ、不思議な力で部屋に入る所から開始します。

●ミッション
 下記の項目から選び、遅れてきたクリスマスを終わらせましょう。
 どんなプレゼントかは皆様で考えて頂き、子供達がそれにどう反応するかという流れとなります。
 子供達の簡単な反応もお任せ致します。そこを含めてプレイングに記載して頂ければ嬉しいです。
 必ずしも物ではないといけないという訳ではなく。踊りや遊び相手、特異運命座標が得意な事を披露しても良いかもしれません。
 喜べばええねん。

【元気な少年】
 欲しい物はかっこいい玩具。ゲーム。
 ぐうぐう寝ていて起きる様子はありません。話しかけたり、物音がすれば起きて、皆様をサンタと思って興味を持つでしょう。

【病弱な少女】
 欲しい物は絵本、人形、踊りが見たい。
 身体が弱く、ベッドで寝たきりの少女。眠りが浅く、部屋へと入れば目が覚めて皆様に。
「サンタさん?」
 と、問いかけるでしょう。どんな物が貰えるのか、ドキドキしているようです。

【施設の子供達】
 欲しい物は皆で分けられるもの、お菓子や玩具。お絵描きの道具等。
 皆起きてます。プレゼントを届けに来た皆様を見れば、群がって何をくれるのかと矢継ぎ早に聞いてくるでしょう。

【その他】
 こんな子供にあんなプレゼントを送ります。自由枠です。

●サンプルプレイング
【元気な少年】
 男の子だったらゲームソフトが良いだろう! 寝てる間にこっそり置こうとしたら、目が覚ましてしまった。
 ねだられて、ちょっとだけ一緒にプレイしてしまったよ。
【病弱な少女】
 部屋に入れば、まだ起きていた。
 持ってきた絵本を渡してみれば、読んでくれと頼まれてしまった。
 お姫様になる絵本を読み聞かせてあげよう。
【施設の子供達】
 ノートを全員分用意した。
 どんな事を書くのか、子供達に聞いてみたら、お手伝い帳にしたり、文字の書く練習にすると思い思いに言っていた。
 どうしてもと言うので、少しだけ書き方を教えてあげたよ。

 子供達は基本的に特異運命座標サンタに好意的です。
 ここまでお読み下さりありがとうございました。
 ご縁ありましたらよろしくお願い致します。


何処に運ぶか
 以下の選択肢の中からプレゼントの配達先を選択して下さい。

【1】元気な男の子
 欲しい物はかっこいい玩具。ゲーム。
 ぐうぐう寝ていて起きる様子はありません。話しかけたり、物音がすれば起きて、皆様をサンタと思って興味を持つでしょう。

【2】病弱な少女
 欲しい物は絵本、人形、踊りが見たい。
 身体が弱く、ベッドで寝たきりの少女。眠りが浅く、部屋へと入れば目が覚めて皆様に。
「サンタさん?」
 と、問いかけるでしょう。どんな物が貰えるのか、ドキドキしているようです。

【3】施設の子供達
 欲しい物は皆で分けられるもの、お菓子や玩具。お絵描きの道具等。
 皆起きてます。プレゼントを届けに来た皆様を見れば、群がって何をくれるのかと矢継ぎ早に聞いてくるでしょう。

【4】その他
 こんな子供にあんなプレゼントを送ります。自由枠です。

  • 35日目のメリークリスマス完了
  • NM名胡狼蛙
  • 種別ラリー(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年02月05日 20時10分
  • 章数1章
  • 総採用数5人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

観音打 至東(p3p008495)

「(まだまだ足りないメリクリ気分で、お前の部屋にぃ……観音打流スニークエンターーーーーッ!)」
 同席していたバイトのトナカイもびっくりなテンションで窓を開ける至東。
 ちゃんと小声である。子供も起きておらず、ぐっすりと眠ったままだ。
「(観音打流にかかれば、この様に静寂の中でも賑やかしができるのですヨ)」
 トナカイの猜疑的な視線を感じるが、気づかない振りをした。観音打流は多分関係無い。
 ベッドまで向かえば、すやすやと寝息を立てた男の子。枕元には赤い靴下が置かれている。
「(サンタさん、ずっと待っててくれたのですネ……)」
 めげずに待っていてくれた子に微笑みつつ、大袋から取り出したるは男の子なら喜ぶあの玩具。
「(DX楠切村正、大小二本セット特装版〜)」
 観音打印の妖刀が君の元に!
 振れば刀身が光る!
 ボタンを押せば振動するぞ!
 当たっても痛くない!
「(連動して赤と青に光るので暗闇の中でも目印になりますネ)」
 そこは想定していないと思うが、男子なら二刀流なんて渡されれば確かに興奮してしまうだろう。起こさないように置いてあげれば、後は撤退するのみ。
「ふふふ、強さと優しさを兼ね備えた良いサムラーイになるんですヨ……それではサヨウナラ!」
 ステルスキメながら、次のお宅へダッシュするのだ。

「うおー! サンタが、めーけんくれたぁ!」
 男の子はぶんぶんと、楽しそうに剣の修行をしているようですよ。

成否

成功


第1章 第2節

クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい

 今日も来ない。
 寝たきりの少女は、数少ない楽しみを今でも諦めきれなかった。

「よぅ、麗しのリトル・レディ? 夜も遅いが、眠れねーのか」
 もどかしい気持ちに眠れず、窓から星を眺めていれば、誰かの声。
 それはしゃがれた老人のものでもなく、からかうような、それでも何処か優しい声音。
「さ、さんたさん、ですか……?」
 小さな願望に彼は、カラカラと笑いながら。
「ハハッ! オマエさんがサンタと思うなら、俺はきっとそうなんだろうよ」
 待たせちまったな。
 その言葉と同時、彼が指を振るい、ぷかぷかと浮かびあがるのは、彼が持ってきた王子と姫の人形と、ふかふかした兎のぬいぐるみ。ペラペラ頁が捲れている、色彩豊かな風景が載っている絵本。
「今宵、この部屋はオマエさんの為のパーティー会場だ」
 少女の目の前で手と手を取って踊る人形とぬいぐるみ。
 青年が楽しそうに読み聞かせてくれる絵本は、本当にその場で駆けている気分になれた。
 そして最後、彼が渡してくれたのは真っ白の何も描かれていない本。
「何時か、自分自身で物語を紡ぎたくなった時の為に。コイツらも俺もオマエさんの味方だ」
 シャカシャカと、少女の腕の中に納まる人形達が反応する。
「そろそろ終演だ。じゃ、元気になれよ」
「あ、た、たのしかったです! ありがとう! おれい……!」
「その言葉だけで充分だ」
 青年──。
 陽気な悪霊。クウハは、笑顔でその場から溶けて消えるのだ。

成否

成功


第1章 第3節

プエリーリス(p3p010932)

 それはとても不思議な体験で。
 少女にとって、忘れられない一時になったのだ。

「うふふ、こんばんは、こんばんは。今夜は冷えるわね」
 プエリーリスは、少女と変わらないくらいの背丈。なのに幼い声の中には、何処かに落ち着かせてくれる雰囲気がある。彼女は、自らをサンタと名乗り。
「私はね、見習いなの。貴方が本当に喜んでくれたら、本当のサンタになれるのよ」
 鼻歌を歌いながら白い布袋に手を入れてぐるぐる。
「何が良いかしら。貴方は何が欲しいの」
 絵本、魅入られた少女は高鳴る心を言葉に出して。
「絵本、絵本にしましょう。とっても素敵なものを知っているの」
 取り出したのは一冊の絵本。
「うふふ、読んで欲しいのね。甘えん坊さん」

 ──ちいさな町に住む女の子が、一人で旅立つの。
 ──ある時はお菓子が沢山の国。その先には宝石の国もあったわ。
 ──海に行けば人魚と詩を謳い、森で妖精と踊ったり、楽しい楽しい旅を続けて。
 ──最後はお城に着いて……王子様と結婚し、二人で幸せに暮らしました。
 読み進めていく中で、少女は笑い、悲しみ、哀しんだ。物語を大いに楽しんだ彼女は、訪れる別れに不安そうな表情を浮かべる。
「大丈夫。大丈夫よ。大きくなったら、きっとお外に出られるようになるわ。だから……」
 そうしたら、貴方も自分の王子様を探してね。

 幾年重ねた未来。女性の家の本棚には、大事に取ってある絵本が飾られているかもしれない。

成否

成功


第1章 第4節

ピリア(p3p010939)
欠けない月

「わからないことがあったらきいてね! おしえてあげるの! ピリアのほうがおねえさんなので!」
 えー、そんなかわらないじゃん〜。という声に、ピリアは持ってきた玩具の楽器を掲げて。
「なんとー、このベルはおなじかたちでも、おとがちがうのー!」
 施設の子供達は十人程で、ベルを持たせてあげて目の前で振ってみれば、真似してベルを振ってくれる。
「ホントだぁ! どうなってんだろぉ」
 同じ形でも、違う音色で響くベルを不思議そうに眺める子供達に、むふーっと満足気なピリア。
「むふーっ! こっちはカスタネット! ぽんぽんたたけば、カンカンたのしい!」
 小気味よいカスタネットの音と、ベルが合わされば、気分は高揚して口ずさむ歌。
 それはクリスマスソングかもしれないし、全く関係ないものかもしれない。でもそんな事は些事であり、子供達は釣られて楽しい気持ちになる。自然と貰った楽器で小さな演奏会が始まるのだ。
 ピリアは楽器を持ってなかった子の近くに寄り、一緒にメロディを乗せていく。
 持ち込んだ長靴に入ったお菓子を開け、ケーキに刺さったロウソクの灯火は儚げに揺れている。遅くやってきたクリスマスを子供達は堪能できたことだろう。
 とても楽しい、暖かい空間。
 何時しかピリアの周囲を浮かんでは弾けて消える泡は、彼女の"たのしい"の表れ。
 大人になるまで、否、なっても、この楽しいは忘れられることなく伝えられるだろう。

成否

成功


第1章 第5節

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera

 年も明け、いつも通りの日常が戻ってきていたある日の夜。
 施設では、夕食も終えて各々団欒を過ごしていた。
「足りないなぁ」
 お腹をくぅくぅ鳴らせた子供は一人では無い。決して裕福とは言えない施設では、なんとか三食つけるので精一杯という所も少なくはない。
 しかし、まだまた育ち盛りの少年少女等には足りないと思うのもまた、仕方の無いことだろう。
 沢山のお菓子、ケーキ、特別な日にしか出ないメニューを夢想する。
 そんな子供達のいる部屋の窓が突然開いて。

 ──ハッハッハッハッ!

 高笑いと共にサンタ服姿の美人。モカが現れた。
「やぁ子供たち、サンタのおねーさんだよ! ハッハッハッハッ!」
 めっちゃ笑う。
 呆気に取られる子供達を前に彼女が取り出すのは大きなケーキと、沢山の小袋に包まれたクッキー。
「遅れてしまったが、メリークリスマス! こう見えておねーさんは料理も得意なんだ、何か食べたいものはあるかな?」
 驚きから喜び、興奮冷めぬ子供達が思い思いに食べたいものを口にすると。
「わかったわかった。キッチンを少し借りるよ」
 何処でも見るような料理でもそれは、子供達にとってはキラキラしたご馳走で。
 沢山食べて、モカのお話や踊りを楽しんだ後は子供達も眠そうに目を擦る。

 ──ありがと……さんたのおねえさん……
 眠る子供達に毛布をかけ、遅れてきたサンタクロースは去る。
「またクリスマス会おうね。おやすみなさい」

成否

成功


第1章 第6節

「な、なんとか配り終えた……」
 涙目で特異運命座標達に礼を述べるサン。
 大量にあったプレゼント達は全て配られ、漸くこの街も時の流れが進み始めたのだ。
 こっぴどく叱られ、罰として暫くは雑用もさせられることになってしまったサン。
 何時か未来、彼が立派なサンタとして夜空を駆ける日がくるのだろうか。

PAGETOPPAGEBOTTOM