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シナリオ詳細

マールちゃんと井さんと竜宮の試練

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●兎年の井さんの野望
「バニーさんを”増やし”てぇな……!」
 と、井みたいな物体が言った。
 彼は井(p3n000292)。紳士である。ここは竜宮に設置されたローレットの出張所。今は平和を取り戻した竜宮だが、そこそこお仕事はあるのである。そんな出張所でぐるぐる回っていた井であったが、こいつはいつも通りにろくでもなことを考えていた。具体的には、どうしたらもっとバニーさんが増えるかな、みたいな。
「どうしたらもっとバニーさんが増えるかなぁ~~~~~!?
 兎年だからな……欲を言えば、全人類がバニーさんになってほしいんですよね~~~~~~!」
 欲望全開で井が回った。竜宮の善良なバニーさんスタッフも、ドン引きした様子で井さんを見ている。
「あ、井さんだ」
 と、声が上がった。井がぎゅるん、とそちらの方を見てみれば、そこにいたのはマール・ディーネー(p3n000281)だ。竜宮の少女は、今日も元気そうである。
「なにしてんのー? 新しい遊び?」
「これはですね、僕が新しい依頼を考えるときの儀式です」
 ぎゅるるん、と回る。マールが、「おお……」といいつつ回ってみようとしたが、目が回りそうなのですぐにやめた。
「新しい依頼?」
「そうです! こう、バニーさんがばぁ、っと増えるような!」
 と、井が言うので、むむ、とマールがうなった。
「バニーさん? あ、バニーさんといえば、そろそろ竜宮嬢と竜宮男子の試験が近いよ」
「男子と女子!?」
 ぎゅるん、と井が回転する。うん、とマールがうなづいた。
「ほら、毎月やってるんだけど、ちゃんと竜宮の使者として恥ずかしくないように~って。
 毎年試験内容が違うから、考えなきゃな~、ってメーアとも話してたんだ」
「おお! これは渡りに船!」
 ぎゅるる、と井が回転する。
「その試験内容、私に任せてはいただけませんか?」
 声を低くしてイケメン感を出しつつ、井が言う。こういう時の井の提案はろくなものではないはずだった。だが、マールは純粋だったので、
「ほんとに!? 外の人の意見とか聞きたかったんだ~! ありがとう!」
 と、にこにこ笑顔でうなづいてしまうのであった。

「ここに来れば精神修行になると聞いた」
 うむ、と声を上げるのはレオナ (p3p010430)である。ここは竜宮のお城。度重なる戦いでボロボロになっていたが、今はすっかり再建され、ダガヌを封じるという役割が終わった今となっては、ちょっと神聖な観光地というか、街のシンボルのような状態になっている。
「ええ、ええ! すっごい精神修行になると思います!!!」
 ぎゅるるん、と井が回転する。ああ、だまされたのだな、とレオナ以外の参加者は思ったかもしれないし、あるいは精神修行になると一緒に信じているかもしれない。
「うん! というわけで、皆には竜宮嬢・男子の試験のテストをしてもらいたいんだよね~」
 と、マールが言う。
「試験内容は、井さんが秘密にしてたからあたしもよくわからないんだけど。
 でも、ローレットの人だからちゃんとしてるよね!」
 にこにこと笑うマールちゃん。その判断は間違いである。
「ええ、しっかりしていますよ! 名付けて、『ストッキングを伝線させたら負けアスレチック』!!!!」
「ストッキングを伝線させたら負けアスレチック……!?」
 レオナが驚愕するように声を上げた。
「意味が分からないが……?」
「説明しましょう!」
 ぎゅるん、と井が回転する。
「竜宮といえばバニー! バニーといえばストッキングです! 網タイツでもいいですが、僕はストッキングとかタイツが好きなのでストッキングを推します! というわけで、ストッキングを履いてください! バニーの恰好の上で!」
 そして、と井は回転した。
「その恰好のまま、このちょっとえっちな竜宮城アスレチックを突破してもらいます! その過程で、ストッキングが伝線したら負けです!」
「負けって何?」
 マールが小首をかしげた。
「あっ、失格ってこと?」
「深く考えてませんでしたが、まぁそういうことです!!」
 井が回った。頭が痛くなる気がした。だまされたのだな、と思った人もいるかもしれないし、
「ふむ……つまり、羞恥心をあおる格好で平常心を鍛えつつ、ストッキングとかいう破れやすいものを守りながら戦う肉体修行か……」
 レオナみたいになんか納得してる人もいるかもしれない。
「そうですね!!!!!」
 井もそういうことにした。
「では、さっそく皆さんにはこのアスレチックを超えてもらいます! バニーでストッキングを履いて! あとは流れでよろしくお願いします!!!」
 ぎゅるぎゅると回転する井。
「これ、うまくいったら正式に竜宮嬢・男子のテストにするからね! みんなも感想お願いね~!」
 信じ切ったキラキラした瞳でそう言うマール。このままではある種の竜宮クライシスが訪れようとしている。
「ふむ……突破して見せよう! この試練を!」
 レオナは完全に騙されていた。
 こうなっては仕方ない! これは依頼なのだ! みんなはこのアスレチックをストッキングを伝線させぬように突破して、最終的に井をぼこぼこにして留飲を下げよう!!

GMコメント

 洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオだからな~~~~僕は悪くないな~~~~~!

●成功条件
 ストッキングを伝線させないように注意しながらアスレチックを攻略する
  オプション――終わったら井を死なない程度にぼこぼこにする

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ちなみに
 このシナリオの名声は豊穣に入ります。竜宮は豊穣に近いので。

●状況
 ストッキングを守りながらエッチなアスレチックを突破するぞ!
 皆さんは、バニースーツにストッキング(デニールは、性癖に合わせて好きにしてください。どうせ謎パワーで伝線する)を履いた状態で参加してもらいます! そして、エッチなアスレチックに挑むのです!
 エッチなアスレチックを突破する際に注意してほしいのは、なんといってもストッキングの伝線です! ストッキングはバニーの命。伝線したらエッチになってしまいます! そう、過度にエッチなのはバニーさんでも厳禁なのです! バニーさんはいかなる状況でも、このストッキングを伝線させないように戦わなければならない。バニーさんになるというのは過酷な試練を超えなければならないのです。だからストッキングを守りましょう。守りなさい。守るのです。
 あ、ストッキングが似合うなら、バニーさんの服の代わりにえっちなOLみたいな格好してきても許します。これは試練設計担当者の井さんの特権で今決めました。

●えっちなアスレチックの内容
 だいたい以下のような感じです! プレイングと、パラメーターのこじつけで何とか突破してください!!

 1.ローション100m走
  説明いる? ローションでべたべたのコースを100m全力疾走してもらいます。規定タイム以内に走れなければ何度でも再走してもらいます。規定タイムは井のその時の気分で決まります。
  当然、転べばストッキングが伝線してしまいます。雑に滑って行ってもストッキングが伝線してしまいます。いかにストッキングを守りながら走るのかが重要です。あ、飛行しないでください。撃ち落とします。

 2.ローションジャングルジム
  説明いる? ローションでべたべたのジャングルジム(スゴイタカイ)を頂上まで登ってもらいます。カメラアングルは下から上からのぞき込むような感じになります。
  規定タイムは井のその時の気分で決まります。また、落ちないように体を過度に擦り付けたりすると、ストッキングが伝線してしまうかもしれません。いかに素早く、大胆に、頂上を目指すかが重要です。あ、飛行しないでください。撃ち落とします。

 3.ローション一本橋わたり
  説明いる? ローションでべたべたの一本橋を頑張ってわたってもらいます。橋は丸太みたいなスポンジ棒が一本通ってるやつです。カメラアングルは覗き込むような感じになります。
  規定タイムは井のその時の気分で決まります。落ちないように張ったりしていると、ストッキングが伝線してしまいます。ストッキングが伝線したら、その代償はパンドラで払ってもらう。いかに素早く、バランスよく、進むかが重要です。あ、飛行しないでください。撃ち落とします。

 4.ローション相撲
  説明いる? ローションでべたべたの土俵の上で、ローション相撲マシンと戦ってもらいます。規定タイムは井のその時の気分で決まります。あまり激しく動いたりすると、ストッキングが伝線してしまうかもしれません。大変ですね。頑張ってはっけよいしてください。
  あ、飛行しないでください。撃ち落とします。

 5.井
  井がいます。気が済むまでぼこぼこにしてやってください。


●同行NPC
 マール・ディーネー(p3n000281)
 マールちゃんが一生懸命応援してくれます。誘ったら一緒にアスレチックを楽しんでくれます。いい子ですね。でも、こんないい子をこんなひどい依頼に巻き込むつもりですか?

 以上となります!!!!
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております!!

  • マールちゃんと井さんと竜宮の試練完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年01月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ルーキス・ファウン(p3p008870)
蒼光双閃
ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
春色の砲撃
山本 雄斗(p3p009723)
命を抱いて
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
レオナ(p3p010430)
不退転
※参加確定済み※
セレナ・夜月(p3p010688)
夜守の魔女
トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス

サポートNPC一覧(1人)

マール・ディーネー(p3n000281)
竜宮の少女

リプレイ

●いざ、試練へ!
 今回の試練参加者は――。
 『散華閃刀』ルーキス・ファウン(p3p008870)
 『雪花の燐光』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)
 『命を抱いて』山本 雄斗(p3p009723)
 『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)
 『つまさきに光芒』綾辻・愛奈(p3p010320)
 『亜竜祓い』レオナ(p3p010430)
 『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)
 『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)
 となっております――。

「くっ……修行依頼だと聞いていたのに、こうやってリプレイ冒頭に雑に初出フルネームを記載される系の依頼に参加することになるなんて……!」
 判断を誤った、とルーキスが悔しがる。一方で、その足元で井さんがぐるぐる回った。
「そういいつつ、ちゃんとOL衣装を着ていらっしゃるところに好感が持てますね」
 そう、ルーキスは『胸元が開いた白シャツに短いタイトスカート、ストッキングは40デニールでお願いします!』とのことなので、そういう衣装を着ているのだ!(ちなみに7ヶ月ぶり2度目のOL衣装である)。
「仕方ないでしょう! そういう依頼なのですから!」
「ふっ。何をうろたえている」
 と、腕組で、どん、と構えているバニー・ガールがレオナである。ストッキングは20デニール
「このような格好、如何なものかと思ったが――つまり精神面はもちろん、防御面でも心許なくすることでそれを鍛えようというわけだ。
 井よ――移動や戦闘の要となる脚への注意を如何に発揮するか、肉体かつ精神集中の両面を鍛えられるとは……流石であるな!」
「あ、はい」
 井がうなづいた。
「そういう方向性でお願いします!」
「任せるといい」
「いいの、あれ? 完全に信じてるわよ?」
 セレナが肩を落としつつ、言う。
「こう……良心の呵責とか」
「ないですね!」
 井がいい笑顔を見せた。
「やっぱり最低だわ……この生き物……」
 そういうセレナも、しっかりとバニーな格好である。詳しくはこちら→ https://rev1.reversion.jp/illust/illust/69639 眼福である。
「……というか。なんでわたしここにいるのかしら。
 バニーでアスレチックで、しかも撮られるとか、羞恥プレイ以外の何物でもないじゃない……!」
 ほほを赤らめながらそう言う仕草は可愛らしい。
「……井さん、いい加減落ち着きません?」
 愛奈がひどくまじめな顔で言った。
「今はまだいいですけど……そのうち本当に、その。怒られますよ? 誰からとは言いませんが」
「構いません。心中してやりますよ、リバージョンとね」
 いい声でそう言ったので、ああ、こいつはもうだめなんだな、と愛奈はさとった。せめてこれ以上傷口を広げないうちに、なるべく近寄らないようにしようかな、とも思った。
「はぁ……せめて、誰にもけがはさせないように……特に、セレナさんとトールさんは女の子なのですから、絶対に守らなければなりません。
 ね、トールさん?」
「ひゃい!?」
 トールがびくりとした様子でいう。トールも当然ながらバニースーツ(ミニスカフリル付きで相性もいい)に0デニールのストッキング……もう見えてるんじゃないの……?
「あ、ああ……はい、そうですね! 女の子ですからね! あはは! はい! 女の子です!」
 と、そういうので、愛奈は不思議気に小首をかしげる。
「さておき」
 と、ヒーロースーツ組のムサシが言う。もう一人のヒーロースーツ組は、雄斗である。
「男にはやらなければならない時があるでありますね。
 で、ふと思ったのですが、洗井落雲が以前のリプレイで、『竜宮ではヒーロースーツはエッチなかっこう』と書いていたわけでありまして……。
 ここでヒーロースーツを装着すれば何も問題ないのでは? ほら、アンテナもうさ耳っぽいでありますし、問題ないのでは!?
 なんなら、スーツの中にバニースーツを着ておくのでなおさら問題ないのでは!?」
 必死である。
「そっか! そのりくつでいけばヒーロースーツを着てても問題ないんだね!」
 雄斗が心底感心した様子でいう。
「スーツがえっちっていうの、正直よくわかんないけど……これで完全防御だね! どうかな、マールさん!?」
 雄斗がそういうので、マールが、「んー」と小首をかしげて見せた。
「いいと思」
「駄目です」
 井が割って入った。
「でも」
「駄目です」
 井がプレッシャーをかけたので、マールは苦笑して返す。
「駄目だって……」
「そんなぁ……あ、でも、そもそも僕のスーツはオーバーホール中だった……」
 がっくりと肩を落とす雄斗。一方、ムサシもぐぬぬってした。
「なんという……これが竜宮の試練でありますか! 自分に勇気とかをください! シェームさん!!!」
 雄たけびを上げるムサシ。「儂もそこまで面倒見きれんわ……」と、声が聞こえた気がしたがさておき。
「竜宮でヌメヌメするのに包まれるの、二度目なんだけどぉ……?」
 ノアはがっくりと肩を落とす。ノアにとって竜宮とはそういう場所になってしまうのだろうか。竜宮の危機である。竜宮は健全なので、もっとちゃんとしたときに遊びに来てほしい。
「これもお仕事だからね……うん、やるしかないわよね……」
「そうですね! ノアさんがいてくれれば百人力です!」
 と、井がぐるぐる回転したので、ノアがいやそうな顔をした。
「はぁ……じゃぁ、皆。がんばりましょ?」
 ノアがそういうのへ、皆はいやいや頷いた。マールちゃんは「がんばってー!」とキラキラした瞳で応援して、井は濁ったオーラを出しながら皆を応援してくれていた。

●竜宮の試練(ベータテスト)
「ローションぬるぬる百メートル走……何をどうしたらこんな発想が出てくるのかしら……」
 うんざりした様子のセレナ。セレナの言うとおり、ここはローションでぬるぬるの道を走る百メートル走コースである。
「うむ……機敏さを競い、戦場で最も求められてくる競技。常在戦場の精神のもとに生まれた修行だろう」
 うんうんと満足げにレオナがうなづく。セレナが困惑したような表情を浮かべる。
「……突っ込み待ちってやつかしら?」
「つっこむ? うむ、ここは堂々と突っ込むのがいいだろうな」
「あ、ディスコミュニケーション」
 セレナが頭を抱えた。レオナは本気である。
「まぁ、見てみるがいい。そこのムサシなどはさっきからひたすら走り込みをしている……あっ、滑った。おお、ローションの海にどぶん、だ。ハハハ、まだまだだな」
 遠くの方でムサシがローションの海に親指を立てて沈んでいく。宇宙保安官のバランス感覚をもってしても、突破は難しいのである。
「それで、どうしたものかしらね?」
 セレナがむむむ、とうなった。ムサシと同じ轍は踏みたくない。レオナがうなづく。
「言ったはずだ。つっこむ、と」
「いや、それじゃ」
 セレナが上半身からローションの海に沈んでいくムサシを指さしながら言った。
「あの人の二の舞よ?」
「任せろ。私にはEXAがある」
「EXA」
 レオナが言うので、セレナはおうむ返しにEXAっていった。
「つまり、延々と動くことができる。転びそうになったらEXA判定に成功すればいい。そして転ぶ前に立ち上がり走る。これの繰り返しだ」
「そんなうまく」
「行ける!」
 レオナが自信満々に言うので、なんか行けるんじゃないかなぁ、という気持ちになってきた。レオナは叫ぶと同時に走り出した。滑った。が、なんかこらえた。そのままバランスを整えると、再び走り出す。「あ、いけそうね」と、ちょっとわくわくした気持ちになっていたセレナが、なんとなく応援の気持ちを持ち始めたあたりで、レオナが盛大にすっころんで、ローションの海に転げ落ちていった。そうだよね。そうなるよね。
「……」
 セレナがため息をつくと、ゆっくりとほうきにまたがった。
「飛ぶのではないの」
 ふぁさ、と髪をかき上げ、
「滑るのよ。
 足は地に着けたまま箒に跨って飛ぶように走る。飛行じゃないわ、滑走よ」
「あっ、ずるい! ルールの穴を突くような言葉遊び!」
 井が言ったので、セレナが「べぇっ」と舌を出した。
「あなたの思い通りになんてならないんだから! 私は! さっさと! 終わらせるの!」
 つるん、と滑り出すセレナ。そのまま順調に滑走していたようだが、
「セレナさん、胸元の食い込みが凄いです。激写します」
 とか井が突然言い出したので、
「えっ!?」
 と顔を真っ赤にして胸元を抑える。そのままバランスを崩して、
「あっ、ずるい――」
 ローションの海に頭から突っ込んでいった。

「皆さんひどい目にあっていますね……」
 ルーキスがそういう。あたりはすでに惨澹としたありさまである。ローション塗れ的な意味で。
 そんなわけで、OLであるルーキスは、ジャングルジムに上っていた。
 ちなみに、ルーキスは白のシャツに大量のローションをかぶっていた。これも訓練。そういう気持ちで。そんなわけだから、シャツからは肌が透ける。すごくいいよ。
「ええ、このままでは皆さん大変な目に……具体的に言うと雑にパンドラを削られてしまいます」
 と、ムサシが言う。ムサシはバニーだった。もうバニーが戦闘スーツでいいんじゃないだろうか。そんなバニーがジャングルジムに上る。上った。
「あっ」
 と、声を上げた刹那、手がローションで滑った。そのまま落下していく。(安全性を考慮して、床は竜宮嬢も安心の柔らか素材とローションプールで構成されていおります。イレギュラーズの皆さんはケガをしませんが、良い子のみんなは絶対にまねをしないでください)。
 ムサシが親指を立ててローションプールに沈んでいくのを見ながら、ルーキスがため息をついた。どうしてこうなってしまったのか。その姿は、仕事に疲れて公園で暴れている疲れたOLにも似ていたが、しかし足下にのぞくストッキングはえっちだ。えっちだ……すごくえっちだよ、ルーキス君……。
「やめろやめろ!」
 ルーキスが叫んだ。(虚空に向かって)。それはさておき、ルーキスも手を滑らせ足を滑らせ、ストッキングを伝線させてしまったのでパンドラを削り、ジャングルジムの上でストッキング換装を行うという技を見せながら、何とか上に昇って行った。
「俺には跳躍があります! 更に竜宮の携行品でEXAもプラス! これなら一気に――」
 登れる! ルーキスが、ぐっ、と足に力を込めた。滑る前に一気に力を解放し、跳躍する! ジャングルジムの頂上には、『井』と書かれたクソみてぇな旗がたっていた。これにタッチすれば終わりである。
「突破します!」
 OLが跳ぶ。OLが叫ぶ。OLが手を伸ばす。OLが、OLが! 今、クソみてぇな旗にタッチした! やった! やったのだ!
「これで、攻略ですね……!」
 ルーキスは満足げな顔をしながら、落下していく。ああ、足から着地するとストッキングが伝線するかもしれないので、頭から落下した。
 ずどむ、という音とともに、ルーキスの頭が地面に突き刺さって、直立不動の逆さOLとなった。(よい子は頭から落ちないでね)。

 ローション一本橋わたり――ローション一本橋を渡るアスレチックである――。
 そんな一本橋に挑戦するのは、雄斗とトールちゃんだ!!!!
「トールさん、一緒に頑張ろうね!」
 と、雄斗が言うので、トールがびくりとしながら、
「は、はい!」
 とうなづく。ちなみに雄斗の格好は『黒い耳に同じ色に蝶ネクタイでかなり裾の短い短パンにストッキングは黒の伝線しにくそうな200デニールの物』である。『えっ、200デニールはストッキングじゃなくてタイツ? そんなことないよ! これはストッキングだよ!』とクソデカボイスで言っていたのでこれはストッキングである。
「しかしねぇ、我々としてはタイツもまた好物でねぇ。特に君のような子がつけるタイツはね……」
 と井さんがぐるぐる回ったので、雄斗はいやそうな顔をした。
「困った……ちょっと勝てない」
「さておき、一本橋、どうしましょう?」
 トールが言う。
「ここは、その。私が何とか行ってみます」
「大丈夫?」
 雄斗が言った。
「女の子にはつらいと思うけど……」
「男の子にもつらいですよこれ」
 トールの言うとおりである。そもそもどっちも男の子なのだが。二倍お得だな!
「任せてください。私にはこの、お守り代わりに持ち込んだ怪盗リンネ敗北本があります。これを読んで心を落ち着かせ――いや落ち着かないよ! 余計に興奮しちゃうよ! どうして持ってきちゃったんだ!?」
 なんか股間を抑えて座り込んでしまうトールくんちゃん。かわいい。
「だ、大丈夫!?」
「だ、大丈夫です!」
 トールがたちあがる。
「み、見ててくださいね! すぐに攻略してきます!」
 と、一本橋に抱き着く形で、ゆっくりと進む。必然的に体こすれ、0デニールのストッキングは崩壊していく。もう自ら死にに来たのだろうか。
「うぅ、こんな格好で進むの恥ずかし過ぎるよ……ひんっ♡」
 一歩一歩進むたびに、なんかこすれる。何がとは言わないが。トールくんちゃんは敏感であった。追従するカメラが、なめあげるようにトールを撃つので、それもなんか快感に続くような気がした。快感っていった?
「あうっ♡ き、気持ちよくなんかないもん……ひぅっ♡
 あ♡ や♡ そんな風に写さないで……♡
 だめ、だめなのぉ……恥ずかしいのにぃ……♡ もっと……うぅ♡
 もうやだぁ♡ おうちかえるぅ……♡ お家行く、いく、おう、ち、いくのぉぉ♡」
「あぶなーい!!!」
 本能的な危機感を覚えた雄斗が、一本橋を蹴りつけた。トールが滑ってローションプールに落下して沈んでいく。
「危ない、危ないよ! 絶対ドキドキしちゃう奴だったよ! 絶対危ないやつだったよ今の! だめだよ! 女の子がそういうことしちゃ!」
 顔を真っ赤にしながら、雄斗が叫んだ。トールが沈んでいく。
「こ、ここは僕が何とかするから、トールさんは下がっててね! 大丈夫! 僕は進める……逆立ちで!」
 と、逆立ちで一本橋を渡り始める雄斗。いいの? 上から見下ろすように、逆立ちを映して……!?
「嫌に決まってるけど、トールさんの方が危ないから……僕は我慢するよ……!」
 ヒーローとは、勇気あるものである。ショートパンツのバニーで逆立ちをして仲間を守る。それが勇気だ。
 違うかもしれない。

 ローション相撲――それが最後の関門である。
「……」
 愛奈が嘆息する。すでにローション相撲会場はひどいことになっていた。具体的に言うとノアがやられていた。
「とりあえず相撲マシンは私が担当するわ。メタル・カオス・ワイバーンに乗ってね!」
 そういって、意気揚々と出ていったのはほんの数秒前である。
「井さぁん? 飛ぶつもりかって言いたそうですけど、この子にはバイク形態があるんですよぉ? ほぉら、張り手の一つでも当ててみなさぁい?」
 得意げにバイクのエンジン音をふかして見せるノア。
「ぬぅ! 確かに飛んでませんね! いいでしょう!」
 井が納得したのでOKです。ノアはバイクに乗ったまま、相撲ロボに突撃する! 突撃する! 普通に張り手を当てられた。
「あ、やばぁっ♡」
 普通に横転するノア。ちなみにノアは、紐水着にストッキングである。どうしてそんな恰好で参戦したんですか?
「んっ……やだぁ、ヌメヌメするぅ……♡
 あっ、待って、今、胸、膨らんじゃダメっ♡
 あっ……ああっ……いやぁぁん♡」
 ノアのギフトが反応する。膨らむ胸。ローション塗れのぬるぬるの胸が
「あぶなーい!!!」
 愛奈が叫んでカーテンを引いた。ノアの姿が隠れる。カーテンの後ろでシルエットになったノアがなんかやっていた。
「くっ……さっきから何なのですか! 私も一本橋では落下し! ジャングルジムでは棒に絡んであられもない姿をさらし! 100m走ではローションに塗れてぐちゃぐちゃになりました! 何が目的なんですか! 井さんは!」
「そういうところ」
「この人はっ!」
 ぴーっ、と怒る愛奈。そのまま、相撲マシーンに怒りのタックルをかます! 突然の行動に、相撲マシーンも対応できない! 相撲マシーンが吹っ飛ばされ、井さんの上に落下した。
「うわーーーっ!」
 潰される井!
「貴方こんな危険な種目をイレギュラーズ以外にさせる気ですか?
 そうでなくとも……うら若き乙女の柔肌に傷でも残したらどう責任取るんですか!?」
 マジで怒った愛奈が、潰された井さんに延々と説教を始める。いつもは大人しい愛奈の、打って変わったかのようなその権幕には、仲間たちもおびえていたが、怒っていたのはセレナも一緒である。
「何が試練よ! 煩悩全開のアスレチックなんか用意して!
 OL姿でも良いとかもう竜宮嬢関係無いし!
 大体これが竜宮嬢の何の役に立つのよ!」
 セレナのド正論に、井はないも言い返せない。
「うむ、いい訓練だったな」
 レオナが満足げに言う。
「そう……かなぁ……?」
 雄斗が小首をかしげた。
「まぁ、ひとまずこれで終わりということで……」
 ルーキスがそういう。ノアはカーテンの裏でまだおっぱいが大きくなっていたし、ムサシはローションの海に沈んでいたが、めでたしめでたしということでひとつ。

成否

成功

MVP

綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者

状態異常

なし

あとがき

 大変素敵な映像をありがとうございます!!!!

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