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シナリオ詳細

輝きをここに

完了

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オープニング

・輝きを閉じ込めて

 ラサで開かれたとある市。市の規模であったり場所であったりは目立った特徴があるものではないのだが、そこに並べられた品々は、いくらか目を引くものがある。

「そこのお兄さん、こいつに興味はないかい」

 話しかけられた青年が商人の方を見ると、商人はもったいぶった仕草で手に持った箱を開ける。

「腕のいい職人から買い付けた逸品さ」

 硝子で出来た花だった。薄く透明な花びらが今にも開こうとしている様子を切り取ったようなそれが、陽光を受けてきらりと輝く。

「とても綺麗だね」

 青年が呟くと、商人はそうだろうと笑みを浮かべた。

「硝子細工を扱う店はたくさんあるが、うちの店もよく見て行ってくれ」

 青年があたりをぐるりと見渡すと、確かに硝子細工の店は多い。それから宝石を扱う店も。どうやらここは、硝子細工や宝石などといった、華やかな輝きを集めた市のようだった。

「プレゼントにしたら喜ばれそうだね」
「そうだろう。実際、贈り物にすると言って買って行く人が多いのさ」

 からりと笑う商人に、青年もまた笑みを浮かべる。確かにそんな贈り物をすれば、喜んでくれる人は多いだろう。自分が贈り物をしたい人も、きっと。

「仕事が終わったら寄るね」
「取り置きしておくかい?」
「んー。その時ゆっくり見るからいいよ」

 じゃあね、と青年は手を振る。「ところで何の仕事だい?」と話しかけてきた商人に、民族衣装を纏った青年はゆるりと笑みを浮かべた。

「客寄せ、ってところかな」


・ショーのお願い

「イベントの手伝いをしてほしいんだよね」

 民族衣装を身に纏った青年――『茨の棘』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)がふわりと微笑む。手に持った薔薇の花弁が風に流されて、その先で消えていく。

 ラサのとある場所で、硝子細工や宝石を扱う市が開かれている。そこで扱われるのはどれも職人が趣向を凝らしたものであったり、光を閉じ込めたようにきらめくものであったりするのだが、特徴がもう一つある。

「市のいろんなところで、客寄せのショーをやることになっていてね」

 僕もそのメンバーの一人ってわけ。そう言ってアレンは衣装の裾を見せるように腕を広げた。

「ショーって言っても、そんなに大がかりなものじゃなくてもいいんだ。マジックショーとか、楽器の演奏とか、そういうのを想像してもらえると分かりやすいかな」

 客寄せのショーは、市が開かれている間何度も行われる。演目や演者が多ければ、客は何度もショーを楽しみに来るだろう。

「ショーをやってくれた人には、商人がちょっとサービスしてくれるみたい。終わったら好きなものを買うといいよ」

 それじゃあよろしくね。アレンはそう言って、にこりと笑みを浮かべた。

NMコメント

 こんにちは。椿叶です。
 客寄せのショーをして、買い物を楽しむ話です。このラリーは一章構成です。

目的:
 客寄せのためのショーをしてください。市が開催されている間に行われる客寄せのショーは、色々な人にやってもらいたいようです。
 道の真ん中で歌を歌ったり、演奏をしたり。少し空いた場所で演舞をしたり、マジックショーをしたり。何をするかは自由です。お気軽に参加していただければと思います。
 ショーをすると、その後のお買い物でちょっぴりサービスしてもらえます。買い物も自由に楽しんでください。

状況:
 ラサのとある場所で、期間限定で市が開かれています。硝子細工や宝石を扱う店が多いのが特徴です。
 道は広くとってあるため、多少派手な動きをしても大丈夫です。


サンプルプレイング:

 客寄せのショー、ね。あまり人に見られるのは照れ臭いけど、誰かに喜んでもらえるのは、ちょっと気分がいいよね。
 そうだなあ、ギフトを使って何かしてみようかな。うまく絵になるといいんだけど。


 それではよろしくお願いします。

  • 輝きをここに完了
  • NM名椿叶
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年12月29日 20時40分
  • 章数1章
  • 総採用数3人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊

 音楽での客寄せならば、自分は真骨頂を発揮することができる。フーガがまかせろ、とアレンの肩を叩くと、彼は嬉しそうに微笑んだ。

「そこの天然石の店の前。演奏するのに丁度いいよ」
「ほんとだ。それじゃ、演奏してくるぜ」

 早足にそこまで歩き、ギフト――愛しの弟を呼び出す。

 大きく息を吸い、トランペットに空気を吹き込む。奏でられる優しく明るい音色に、道を歩く人が一人、また一人と立ち止まる。

 陽光が降り注ぐ下に響く、黄金に煌めく福音。この音が、皆の心に響きますように。そう願いながらフーガは音に命を吹き込み続けた。


 演奏が終わると人々の拍手で包まれて、照れ笑いを浮かべながら買い物に行くことにした。すぐ近くの天然石を扱う店を眺めていると、二つの石が目に留まる。

 この石の黄色は、夜に浮かぶ月の色に似ている。親友へのプレゼントに丁度良いだろうか。
 この石の淡い青は、シレンツィオの海か、自分が元いた世界の海を思い起こさせる。ネックレスにはめ込んでもらって、愛しの妻に贈ろう。

 もちろん、妻や友達を誘ってここに来ることも考えていた。けれど、日頃の感謝の気持ちを籠めたプレゼントもあげたかったのだ。内緒にすれば驚いてくれるだろうから、こうして一人で来た。
 これは一人の男としての、ちょっとしたわがままで、意地なのだ。

 箱に収められた贈り物を抱えて、フーガは彼らの喜ぶ顔を思い浮かべた。

成否

成功


第1章 第2節

イルミナ・ガードルーン(p3p001475)
まずは、お話から。

「客寄せのショー……ッスか」

 ショーを披露し終わったばかりの青年に声を掛けられて、イルミナは思わず手に顎を当てていた。
 客寄せのショーをしていると聞いていたが、いざ自分が披露する側になると思うと、何をしたらいいか分からなくなる。どうしようかと思考を巡らせて、希望ヶ浜で買ったマジックグッズを持ち合わせていることを思い出した。

 これでなんとかなるだろうか。クラスメイトに披露するつもりだったからそれなりに練習はしているけれど、こうも大人数の前だと、さすがに少し緊張する。

 やるだけやってみよう。そう思って人混みの中に立ち、声を張り上げた。

「今からお見せするのは――」

 イルミナの声に、徐々に人が集まってくる。次は何をしてくれるのだろう、と皆が思っているようだ。
 ふう、と一つ息を吐き、観客の一人からペンを借りる。

「このペンを念力で浮かせてみせるッス」

 力を込めるような動作をしつつ、ペンを「浮かせて」みせる。すると目の前にいる人たちから歓声が上がった。よかった、うまくいった。
 観客に笑顔で挨拶をし、イルミナのショーは終わった。


 何か綺麗なアクセサリーでも買って帰りたい。学生の財布には厳しいから、あまり高いものは買えないけれど、手ごろなものがあれば欲しいものだ。
 出店を見て回っていると、小さな硝子細工を扱う店が目についた。これなら何とか手が届くと思い、イルミナはしばらくその店の前で悩むのだった。

成否

成功


第1章 第3節

ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん

「おや、アレン様。今日は何やらオリエンタルなお召し物でございますね? 良くお似合いですよ」

 軽い調子でアレンに話しかけたのはヴィルメイズだ。

「きっと私にも似合うと思います」

 堂々と言うヴィルメイズに、アレンは通りの一か所を指さした。

「それより早く客寄せしてくれる?」
「そんな人使いの荒い」

 まあでも客寄せと言えばこのヴィルメイズでございますからね! アレンの塩対応にもめげずにショーの準備をするヴィルメイズ。アレンを引きずっていくのも忘れない。

「いつも通りの踊りだと少々マンネリでしょうから、こうですね」

 手から炎を生み出すと、周囲を歩いていた観客が立ち止まる。おお、と歓声があがり、あっと今に輪ができる。アクロバットな動きを取り入れて派手な軽業を披露すると、その度に拍手が沸き上がった。
 観客の熱気に包まれて、ショーは終わりを迎えた。


「こんな面倒なの普段はやりませんけど、アレン様の為でしたからね? 代わりに何か奢っていただけると嬉しく思いますよ」
「おにぎりでいい? 明太子にしてあげるからさ」
「明太子は魅力的ですね~。あ、この紫の宝石とかどうですか?」

 市をふらふらと巡っていると、ヴィルメイズはある宝石商の店の前で立ち止まった。

「私に似合うでしょう」
「似合うけどさあ、値段見て言ってね?」

 やっぱり明太子じゃだめ? と尋ねるアレンに、ヴィルメイズは「そこを何とか~」とねだるのだった。

成否

成功


第1章 第4節

 夕方を過ぎると、市を訪れる人は少なくなる。店じまいをはじめる商人たちもちらほらと現れたとき、最後のショーが終わった。
 響く拍手。湧き上がる歓声。声を掛けてくる人たちの一人ひとりに挨拶をし、青年は演者の役を降りた。

 ショーを披露してくれた人が何人もいたおかげで、今日訪れた客は想定よりもずっと多い数だったと聞いている。売上が伸びた店も多かったとか。
 それならよかったと、青年は思う。自分たちが取り組んだことが誰かの役に立てるのなら、嬉しい。

 今日に残された時間は多くないけれど、少しくらい買い物をしていきたいものだ。
 そうだ、昼間に「仕事が終わったら行く」と言ったあの店。まだ店じまいをしていなければ、寄っていきたい。

 欲しい物。大切な人に贈りたいもの。それらを思い浮かべて、青年は夕日の輝く市を歩いた。

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