シナリオ詳細
<ネメセイアの鐘>大人達の思惑
オープニング
●
天義の海沿いに聳え立つ独立都市アドラステイア。
その内部では、国内の争乱によって家族を失った子供達を数少ない大人が導き、創造されし神ファルマコンへの信仰を促されている。
我らの神よ――今日も幸福を与え給え。
鳴り響く鐘の音。今日もまた子供達は祈りを捧げる。
互いを監視する子供達が日々を過ごす都市の上層。
中世欧羅巴風を思わせる綺麗な町並みだが、気分が悪くなるような臭いも漂うその場所にはほとんど人の姿はない。
そこで活動しているのは、都市内を統べる大人が少数。彼等は様々な思惑を抱きながら活動する。
「はい。では――」
とある建物から出た修道服姿の女性。
一見すると清楚な印象を抱かせるが、その服は所々が赤黒く変色していた。
彼女の名はマリアンヌ・サリエル。都市内において、子供達を導くマザーの1人である。
じゃらり、じゃらりと彼女は歩く度に手足に装着した枷を繋ぐ鎖を鳴らす。
二度と神への信仰心を捨てないと自らを戒める為に装着した枷。
それが一層マザー・マリアンヌのファルマコンに対する信仰心の強さを感じさせる。
「マザー・マリアンヌ。よろしいですか?」
そこで声をかけてきた女性もまた修道服を纏うが、些か主張の激しい女性の体を覆うには布地が小さいようである。
彼女はティーチャー・ナーワル。旅人でありながら、この都市での地位を得た大人だ。
「……何か」
都市内の大人はそれぞれ思惑を抱いて活動しており、関係は決して良好とはいえない。2人の女性は互いを冷ややかに見つめて。
「直に天義及びローレットイレギュラーズが攻めてきます。今度はこの高層に至るかと」
ティーチャー・ナーワルの子飼いである潜水部隊は各地でスパイ活動を行っている。その情報制度は確かだ。
「そうですか。神の覚醒を邪魔されたくはありませんね」
素っ気なく返すマザー・マリアンヌ。知っていたと言わんばかりの態度だ。
「どうでしょう。共同戦線を張って彼らを迎え撃ちませんか」
ティーチャー・ナーワルの持ち掛ける作戦に、マザーはしばし考え込む。
「いいでしょう」
互いに相手の考えを見透かしてなお、利があると判断したマザーとティーチャー。
彼女達は戦いの準備を進める為、それぞれが導く子供達の元へと向かう。
彼女達のいなくなったその場所に白いものが舞い落ちる。
海合いにあるアドラステイアへ、冬の到来を感じさせる初雪となった。
●
天義フォン・ルーベング某所。
「地道な調査もなんとか形になったね」
ようやく都市の攻略がかなうと息巻くイレギュラーズ達を前に、『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)も嬉々として口を開く。
中層に至ったローレット。そこは、オンネリネンの子供達の本拠であった。
ある子供は魔女狩りによって、疑雲の渓へと落とされていく。
別の子はイコルを摂取したことで聖獣となり果てる。
一方で、オンネリネンの子供となった者は各地で活動し、新たな子供を勧誘する。
下層から抜擢される多数の聖銃士。
結果を残した一部の子供はプリンシパルとなり、都市の大人として認められるという話も……。
水面下で着々と準備を進めるアドラステイア。
依然としてそれらを操る大人達の思惑は分からぬままだったが、都市内の子供達の数が減ってきていたことを探偵や元アドラステイアの少女が突き止めていた。
「どうやら、これらによって犠牲となった子供はファルマコンの贄とされているらしい」
多くは疑雲の渓に落とされた子供達が対象となっている。
ファルマコンの覚醒が何を意味しているのかは不明だが、大人達がその為に動いているのは間違いなさそうだ。
「さすがに天義もアドラステイアの攻略へと動き出したようさ」
子供の数が減っていることもあり、数で攻めれば中層から高層へと至る事は可能だが、間違いなく戦力として強化した聖銃士やアドラステイアの子供達を引き連れた大人が立ち塞がるはずだ。
「これまで幾度も対したマザー・マリアンヌが出てくると見られているよ」
「…………」
ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)は何度もその姿を目にしながらも、魔種へと堕ちた彼女の行動が理解できず、歯痒さも感じていたようだ。
「さらに、ティーチャー・ナーワルという旅人女性も確認されてい
る」
「ティーチャー・ナーワル……」
リドニア・アルフェーネ(p3p010574)はその名を復唱する。何か思うことがあるのだろうか。
潜水部隊と呼ばれるスパイ組織を引き連れて活動していたこの女性はマザー・マリアンヌの部隊と共同戦線を張り、外敵の排除に当たるものと思われる。
今後の都市の攻略の為、大人らの活動を弱める為にも叩いておきたい。
「これから雪になる。潮風の中、寒さを感じながらの戦いとなる。防寒はしっかりするんだよ」
説明の最中、一行の頭上からは雪が舞い始めていた。
- <ネメセイアの鐘>大人達の思惑完了
- GM名なちゅい
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2022年12月16日 22時10分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
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季節は冬。しんしんと雪が降る中、幾つもの人影が足跡をつけつつ移動する。
それらは、アドラステイアへと突入し、下層から中層、そして上層へと駆け上がっていくイレギュラーズだ。
「敵は高層への道を護るようにいるかもしれませんね」
沢山の音を聞き分けながらも、ドラネコ達に囲まれて移動する『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)。
彼女はお腹に貸し出し用のひよこちゃんで暖を取りつつ、顔を上げて上層を仰ぐ。
ちなみに、気だるげな表情をした『隠者』回言 世界(p3p007315)が簡易式召喚陣を展開して可能な数の火の精霊を召喚し、防寒対策をしていない仲間の周囲に漂わせることで、防寒対策をとっていた。
「初めての地、注意して進みましょう」
何が起こるか分からない状況。ユーフォニーの言葉に頷く面々はさらに歩を進めていく。
「……ふむ」
マルコキアス・ゴモリー(p3p010903)はナイトメア家の忠臣。
その彼がここにいる理由は、主人の姉君であるメイヤ・ナイトメア……反転し、魔種へと堕ちたミリヤム・ドリーミングの代理として参加したからだ。
ミリヤムが聖女時代の部下であるマルコキアスは、かつて聖女であった今回の討伐対象の1人であるマザー・マリアンヌも既知の存在だ。
そのマザーを含め、大人達が統べるこのアドラステイアを始めて垣間見た彼の反応は。
「……アドラステイアがここまで堕ちていようとは」
マルコキアスがそう考えるのも仕方ないことだろう。
道端で倒れたまま放置された子供達の遺体。
生きている子供達も今なお大人達の言いなりとなっているはずだ。
「子供に道を説くのが大人の仕事でもあると思うし、それが神様を信じる信仰が拠り所になるならそれはそれって思うけど……」
それについて、元気が取りえのポニーテールとした髪の中でピント立ったアホ毛がチャーミングな『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)が徐に語る。
「子供たちを戦わせたりしてスパイとか魔女裁判とかで焚きつけて支配するのは、それはちょっと違うと思うんだよね」
この都市に流れ着いた子供達を敢えて敵対させ、一部は疑雲の渓と呼ばれる谷底へ。一部は鎧を纏って聖銃士、あるいは傭兵に。
「子供を兵士として仕立て上げ、あまつさえ亡くなったあとも安らぐことすら許さず糧とするアドラステイア……」
かつていた世界、宇宙にて風紀、規則を守るべく活動していた『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)はここでも、自らの生き方を貫き、理不尽なる混沌の事件に立ち向かう。
「今回前線で戦っている子の中には思うところがある子もいるみたいだし、心の安全が保障されてない環境って、幸せなのかな」
咲良はそこで、子供達はこの都市での暮らしをどう思っているのか疑問を抱くが、アドラステイアの実状に満足しているとは思えない。
そこで、天義の貴族である『剣の麗姫』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)がこう断言する。
「子供は大人達の都合の良い道具ではないわ」
例え、その行いが神であったとしても然り。
民の支えとなるわけでなく、清廉に生きるための教えを説くわけでもなく。
「『神』の名を借りて好き勝手にする奴等を、私は許すわけにはいかない」
アンナは創造した神ファルマコンの名を使うアドラステイアの大人達に対し、怒りを漲らせていた。
「大人が、子どもたちを盾にしたり利用したり、というのは――何度見たって許せません」
「マザーとティーチャーを名乗る人間が子供を盾とするなど言語道断ッ! 必ずや罰を受けてもらうであります……!」
やや幼く見える容姿をした音楽を奏でる銀髪の成人女性、『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)もまた都市の大人に憤れば、ムサシは彼らを断罪せんと強く拳を握った。
●
雪は止むことなく降り続ける。
そんな中、中層から駆け上がり、上層へと至ったメンバー達。
綺麗な街並みの中、何処か異臭を感じさせる場所を進む一行は前方に立ち塞がる集団を確認した。
「マザーにティーチャー。それに聖獣。部隊まで揃ってまあ選り取り見取りです事」
天義の騎士の生まれである『味のしない煙草』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)はその集団を、天に唾する大人達の従える集団と認識する。
「綺麗なお姉さん達に相手してもらえると聞いて飛んで来たが、随分と子沢山なようで……」
世界は、その集団を見回す。
その手前にいた2人の女性はいずれも修道服姿。
1人は手枷足枷を繋ぐ鎖をじゃらりと鳴らし、血に塗れた修道服を纏うマザー・マリアンヌ。
もう1人は弾けんばかりのスタイルを露出の少ない修道服で申し訳程度に隠すティーチャー・ナーワル。
彼女達はそれぞれ子飼いの集団を率いており、マザーは白銀の鎧を纏うニコラ小隊と赤毛の獅子を思わせる聖獣ミロイオンを、ティーチャーはスパイ活動を得意とする潜水部隊を従えている。
「ペットまでいるとはいやはや大所帯だな全く」
この部隊の制圧、撃退を目指すにしても骨が折れそうだと世界は思う。それこそ、苦労するだけでなく、物理的にも、だ。
「数が多いというのに殺さぬ様にというのもなかなか……」
前髪で目を隠し、ヒヒと笑いを浮かべてうさん臭さを醸し出す旅人、『闇之雲』武器商人(p3p001107)は事前の話を思い出す。
この地で信仰されている神、ファルマコンは厄介な存在であり、疑雲の渓に落とされた子供達の他、都市内で力尽きた者を贄としているという。
「なるべく生かすとしよう。……『なるべく』、ね」
武器商人は状況によってはやむなしと判断している節があるが、子供達を救い出したいと考えるメンバーは少なくなく、ユーフォニーもその1人。
(初めまして。みなさんの力になりたくて来ました)
ユーフォニーはハイテレパスを使い、ドラネコの使い魔であるリーちゃんと五感共有してできるだけ多くの子供達を視認しつつ語り始める。
それは子供達だけでなく、聖獣にも。
今のところ、反応する様子はない。まして、物陰に潜む潜水部隊は特に警戒する必要があり、ユーフォニーはその視認を急ぐ。
その索敵は他にも世界やマルコキアスも行う。
世界は先程の防寒対策用の精霊とは別の精霊を呼び出しており、自らのエネミーサーチと合わせて潜水部隊の居場所をとくていしようとする。
(……如何に隠密に優れようと敵対心は中々隠せまい)
マルコキアスもまたエネミーサーチを働かせる。仮に奇襲を仕掛けてきても、対策を講じていた彼に死角などない。
「ここまで来ましたか、ローレット……」
「我々が相手になります。ここは通しませんよ」
冷ややかにこちらを見回してくるマザー・マリアンヌ。ティーチャー・ナーワルもすました表情のまま後退しながら、武装をこちらに差し向けてきた。
ティーチャーに合わせ、姿を見せていた半数の潜水部隊もまた砲塔をこちらへと向ける。
「子どもの成長を見守ったり、手助けしたり、時には叱ったり。それが大人の役目なんじゃないんですか? なのに、貴方達は……!」
涼花は本音を大人2人にぶつけるが、意にも介する素振りを見せない。
「元聖女である貴女が『子供達を盾とする』『不正義』の体現者になってしまったのは嘆かわしい……マリアンヌ殿」
マルコキアスは主人だけでなく、自らの想いも交えてマザーへと呼び掛ける。
「あの子は……ミリヤムはどうしたのですか?」
幾度もその行いの真意を問うてきたミリヤムが不在であることに疑問を抱くマザーだったが、マルコキアスが断罪の鎖剣を構えて。
「故に元聖騎士兼異端審問官としてミリヤ様に変わり、貴方を止めましょう……それが我が主人の望みでもある」
ならば、ミリヤムは力尽きたか、あるいは……。
微笑を浮かべたマザーが鎖を鳴らして両腕を軽く上げれば、ニコラ小隊も武器を抜いて布陣を組む。
「……何故そんな禍々しいことを思いついたのです? なんて、そんなこと私は言えませんよね」
柔和な印象を抱かせるウェーブヘアの『未来への葬送』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)は言葉を投げかけるが、相手がその答えを返してくれるとはハナから考えていない。
ただ、悪意に満ちた輝かしい儀式は、マリエッタだからこそ危険なものだと察知して。
「血濡の聖女、血の魔女が相手となりましょう」
両腕に刻まれた印を輝かせ、マリエッタは魔力を高めていく。
「何はともあれ、アタシたちが『安全を確保してくれない』大人をちゃんとシバくっていうのも、大事なことだよね」
言葉には出さないが、もちろん、高層への進入路を確保するという目的も忘れず、咲良は目の前の部隊と対する。
「さあ、貴方達の家族を奪ったローレットへと復讐を遂げるときです」
「撃ち方始め!」
道の端へと移動したマザーの呼びかけに合わせ、ティーチャーもまた子供達へと指示を出す。
「貴方達は、子供達を盾に使ってしか戦えない臆病者共ですわ」
呆れるリドニアは首を横に振る。
「自分だけじゃまともに戦えない卑怯者共。偶には自分だけで戦ってみなさいな」
交戦を始めるメンバー達の中、リドニアはその大人2人へと殺意を向けるのだった。
●
雪降るアドラステイア高層で始まる戦い。
飛んでくる砲弾の中、イレギュラーズはそれぞれ担当とする相手に向かう。
素早い咲良は、後ろからついてくる武器商人と共にティーチャー・ナーワルへと対する。
姿を見せていた潜水部隊は10人にも満たず、接敵は比較的楽だと判断した咲良はエネミースキャンを使って敵情報を洗い出す。
(効率よく攻撃、ダメージ対策しないと)
機械式の外殻で飛んでくる砲弾を防ぐ咲良は、ナーワルの元を目指す。
その間にいる潜水部隊にはマリエッタやマルコキアスが対する。
天より降る光輪による至高の恩寵によってマリエッタが力を高める間に、世界やユーフォニーが索敵を完了していて。
「高台に3人」
「両サイドの建物内に2人ずついます!」
それを耳にし、マルコキアスは潜水部隊の無力化をはかる。
飛んでくる砲弾に眉一つ動かさぬ彼は断罪の鎖剣でそれらを軽く切り払って見せて。
「……我が断罪の鎖剣の前では児戯に等しい……」
自らもギフトによって潜水部隊を索敵していた武器商人は仲間達の情報をハイテレパスで聞き取り、隠れていた潜水部隊の引きずり出しと合わせてナーワルを引き付けるべく、破滅の呼び声を上げた。
物陰に隠れていた潜水部隊が姿を現し始めるが、ナーワルは平然と散弾で応戦していた。
その戦いを見ていた世界は、マザーの部隊と対するメンバーと合わせて回復支援に当たる。
前線はすでに弾丸の嵐。それらにさらされる仲間達の中で、世界は抑え役を請け負う武器商品を優先して癒す。
自らと自然の調和。それを賦活の力へと転じることで傷を塞ぐのだ。
「悪いねぇ、回言の旦那」
そんな武器商人の言葉に軽く笑みを浮かべて返す世界は他のメンバーに対しても癒しをもたらしていた。
(これ以上がないように、断ち切らなければ)
誤った大人に従う子供達が命を落としてしまわぬように。
この戦場で立ち回る涼花が任された役割……できることはいつだって変わらない。
「戦場に歌を、英雄たちに今できる最高の支援を届けます!」
涼花はタクトを振るい、何処からともなく響き始めた曲に乗せ、仲間の支援を行う。
まずは、夜闇に現れる輝かしい光を思わせる旋律。
刹那の栄光が仲間達の守りを固めれば、涼花はなおも華麗で優雅なる曲を奏で始める。
それらは主に、マザー・マリアンヌと対する者達を鼓舞する。
すでに乱戦模様となり始めていた戦場。自らの手数は限られていると自認する涼花は、いかにして仲間達へと支援の手を差し伸べるか、精一杯思考を巡らせていた。
そのマザー部隊には、早くもリドニアが仕掛けていて。
「道をお開けなさい。殺しはしませんわ」
彼女は蒼い炎に包まれた腕に霊力を纏わせて幾度も振るい、向かい来るニコラ小隊へと乱撃を浴びせかける。
「怯むな、盾で防げば耐えられない威力ではない」
「「うおおおおっ!」」
小隊を率いるニコラが鼓舞することで、小隊員は果敢にリドニアへと攻めてくる。
「宇宙保安官ッ! ムサシ・セルブライト!」
ただ、ムサシがリドニアの前に立ち塞がって名乗りを上げて。
「……君達の相手は、自分であります!」
ムサシへと攻撃対象を変えたニコラ小隊が長剣、長槍を突き出し、振り払ってくる。
さらに、頭上から翼を羽ばたかせて躍りかかってくる聖獣ミロイオン。
それらの攻撃を一身に受け止めるムサシだが、決して敵意を持たない。
(彼等はあくまで被害者であり大人達に惑わされているだけ……絶対に命を奪ってはならないであります)
特に、ムサシが注目していたのは、小隊長ニコラだ。
これまでの説得が通じていなくとも、着実にその心は揺らいでいるはずだと確信する。
「今なら、彼等への説得にも大きな効果があるはず……!」
ただ、それをマザー・マリアンヌ自ら邪魔してくる。
「なるほど。ニコルの心を揺さぶりに来ましたか」
マリアンヌの視線を感じていたニコル及び小隊員は逆らうことができない。
ただ、水晶の剣からソニック・インベイジョンを繰り出したアンナがニコラ小隊を切り払い、マリアンヌの前へと近づく。
「貴女の信じる神は、子供達に都合の良い真実を隠して、騙して、戦わせることを美徳としているの?」
「神の教えは絶対です。そこに疑問を挟む余地などありません」
マザー・マリアンヌの信仰は頑なだ。
天義の教えに深く絶望した彼女はファルマコンに救いを求めた。
この信仰の為なら、マリアンヌはいかなる所業をも厭わずに行うことだろう。
「乗り換え先としては最悪ね」
敢えて声を荒げ、アンナは周囲に聞こえる様にマリアンヌを挑発しつつ、次なる一撃を叩き込む。
(イコルによって子どもが聖獣にされた場面を仲間が直接見ています)
仲間達が戦う中、ユーフォニーはニコラ小隊の子供達を中心にハイテレパスで呼びかけ続ける。
(……そんな危ないもの、大切な人に渡さないと思うんです)
「…………!」
仲間と交戦していたニコラが表情を固まらせる。
彼女は時折、イレギュラーズへと襲い掛かる聖獣ミロイオンへと視線を傾ける。
「裁判も貶め合うような……それを促す大人もいて、そんな毎日、幸せですか?」
ここまで都市内で生き抜いてきたニコラだからこそ、ユーフォニーの感じることがある。
自分達は無実の子を踏み台にして今、ここにいる。
彼等は今、自分達をどのように思っているのか……。
「大切にされること、安心できること……これも幸せのひとつだと思うんです」
「でも、ローレットが私達の安息の日々を奪った!」
思わず叫ぶニコラ。
先の天義内での大戦で身内を失った者達も多く、ニコラもその1人だ。
生きる為、彼女を含めた子供達はアドラステイアという新天地へとたどり着いた。
……その結果、苦楽を共にしていた仲間を蹴落とさざるを得ない状態となり、互いを監視し合う日々が続いた。
逡巡し、攻撃の手が鈍り出すニコラと小隊員達。
動揺する子供達の様子をアンナは注視し、マリアンヌと対し続けるのである。
●
雪の降るアドラステイア高層で、ローレットイレギュラーズは子供達を率いる大人と交戦する。
大人達を排除したくとも、守るべき子供達が大人達の指示を受け、立ち向かってくるのが何とも心苦しい。
依然、破滅の呼び声を発する武器商人に、潜水部隊が攻撃を仕掛ける。
近距離にまでおびき寄せられた子供達は武器商人に砲弾を発するが、じっと耐える彼は世界の支援を受けながら引き付けるべき敵の注意を引き付けることを意識し、防御を固める。
世界も仲間の疲弊度合いをチェックし、満足に戦えぬ仲間が出れば号令を発して。
「まだここからだ」
子供達も戦い慣れしている以上、気を抜けば戦線が崩れてしまいかねない。こちらが崩れれば、子供達はもちろんのこと、大人が直々に仕留めに来るはずだ。
とはいえ、今はローレット側有利に戦況は運ぶ。
潜水部隊が姿をさらしたことで、それらをティーチャー・ナーワルと合わせて捉えたマリエッタの巻き起こす熱砂の嵐が襲う。
(可能な限り、命を奪わないように……)
ここでイレギュラーズが焦って子供達を手にかけてしまえば、大人2人の目論見通りとなってしまう。
マリエッタは不殺技術を持たぬ為、とにかく相手にちょっかいを仕掛けることで砲撃の手を減らすことを目的とし、攻撃を繰り返す。
同じ相手と対するマルコキアスもまた、むやみにファルマコンへの贄を増やす必要なしと判断する。
何より、無為に子供の命にまで手をかけることなど、マルコキアスの正義に反する行為でしかない。
「子供達よ……しばし寝ておきなさい」
この場はマルコキアスも連なる電撃によって潜水部隊を穿ち、神気を瞬かせることで部隊の子供達の意識を奪うに留めていた。
その間、ティーチャー・ナーワルに対し、早期決着をと数人が仕掛ける。
「噂に聞くローレット。流石ですね」
抵抗力の強いナーワルは、なかなか引き付けにも乗ろうとしない。
「碧熾の魔導書――起動」
距離をとった戦いを得意とするナーワルは、徐々に砲撃から炎を使う攻撃へとシフトしていた。
激しい閃光を発したかと思えば、今度は雷火を落としてくる。
それらを受け止める武器商人。世界が変わらず支えていたが、徐々に傷は深まっていたようだ。
「なかなか多彩な攻撃を得意とする相手だね」
炎を防ぐことができればと、降ってくる雪を使って対策しようとする咲良。ただ、ナーワルの攻撃は苛烈で防壁を幾度も作る余裕はない。
ならば直接叩くべきと判断した彼女はナーワルの懐へと潜り込んでから高く宙へと跳ね上げる。
「くっ……!」
やや表情を歪めたナーワルは空中で回転してから着地する。
手ごたえを感じた咲良は更なる攻撃を仕掛けていたが、ナーワルの瞳の奥には薄暗い炎が燃え上がり始めていた。
マザー以下、ニコラ小隊。
ユーフォニーの呼びかけもあり、攻撃の手が鈍り出していた子供達に、リドニアが攻め入る。
(今なら一気に……)
子供達には悪いが、引き付けに当たっているムサシへと切りかかっている以上無力化する必要がある。
リドニアはそう考えて一気に乱撃を見舞い、倒れそうな相手には覇道領域を展開することで意識を奪う。
仲間達が全力で戦うことができるようにと、涼花が安らぎ、あるいは勇ましい音色を響かせる中で、ユーフォニーによる呼びかけが続く。
(大丈夫です、私にしか聞こえていません)
それは、子供達と合わせ、聖獣にも向けられていて。
(ミロイオンさん……あなたはミロイテさんですか?)
ユーフォニーは動物疎通によってコンタクトできないかと試みていたのだ。
マザー・マリアンヌを牽制していたアンナがユーフォニーに向けて動物疎通をテスタメントによって大幅に強化するが……。
アオオオオオォォォ!!
依然として聖獣ミロイオンはムサシ目掛けて機動力を武器とし、空中を駆けながら勢いを伴って太い腕を激しく薙ぎ払ってきていた。
(みなさんの想いを知りたいです。みなさんの心が叫んでいること)
「……怯むな、正義は我らにある!」
すでに小隊員が倒されている状況もあり、ニコラは指揮を続けながら応戦しようとするが、ユーフォニーの呼びかけが気になって仕方ない様子だ。
(迷いがあるなら目を瞑って深呼吸をして、まっさらな心に最初に感じたものは何ですか?)
「…………」
善戦するも、イレギュラーズとの力の差は明らか。間違いなくニコラ小隊はニコラ含めて倒されてしまうだろう。
冷たい雪の上で倒れたままだと危険だ。できるだけ早く介抱したいところだが……。
「聖獣の元が何か、教えてないのでしょう」
そこで、アンナが再び声を荒げてマリアンヌへと呼び掛ける。
「何が言いたいのです?」
「貴方達の言う神が何を養分にして、力を蓄えているのかもかしら?」
「…………」
アンナの水晶剣がマリアンヌを薙ぐが、彼女はナイフ一本でそれを食い止めてみせる。
「此処で死んでも神の一部になって一石二鳥、効率的ね。反吐が出そう」
子供達の動きはリドニアの攻めと合わせ、ユーフォニーの説得で止まっている状況。
加えて、涼花の支援を受けたムサシがミロイオンへと右ストレートから始まる左右のパンチを叩きつけてその動きを止める。
自らの子飼いが抑えられる状況のマザー・マリアンヌに対し、アンナは両腕、両足を縛る枷を切り払い、破壊してみせた。
「人類の、世界の大敵である魔種マリアンヌ。子を獣に堕とす行為くらい、何ともないわよね」
「…………」
元々雪の降る場所ではあったが、マリアンヌの視線が一層鋭さを増したことで、凍てつくような空気が戦場を駆け巡る。
アオオォォォ……ン。
恐れをなした聖獣ミロイオンが一気に後方へと飛び退った。
(ミロイオンさん……、ミロイオンさん……!!)
そこで、ユーフォニーが再度聖獣へと念話を試みるが、聖獣はマリアンヌの殺気に恐怖を覚えたようで、完全に委縮してしまっていた。
ムサシはさらなる聖獣の攻撃を警戒しながらも、説得を行う仲間のカバーも考え、マリアンヌと少し離れた位置で戦うナーワルへと告げる。
「マザー・マリアンヌ……ティーチャー・ナーワル! 子供の道を歪めた罪、何よりも重い! 贖ってもらうであります!」
聖獣をこの場から追い払ったムサシはそのままマリアンヌへと仕掛けるが、そこで、潜水部隊をほぼ倒したマリエッタが攻め入る。
(枷……)
アンナの手ですでに砕かれたマリアンヌの枷。
「あ、ああ……」
マリアンヌのただならぬ殺気を受け、ニコラと意識を保っていた小隊員2名は完全に蹲ってしまっていた。
「ここからが本番ですね」
マリエッタはそれを目にしつつ、一度息をついてクェーサーアナライズによって仲間の状況の立て直しを図る。
涼花もまた、戦場が大人のみとなった状況を受け、皆の消耗軽減をと号令を音に乗せて響き渡らせる。
音を奏で続ける涼花は全身から汗を流す。
雪降るほど寒い中であっても、白熱する戦いを支える為に涼花も止まってはいられない。
その涼花は時折、ナーワル側を支える世界にも気をかける。
「わたしも世界さんも息切れしてしまう状況を、少しでも先送りできるように……」
その心遣いは世界にも伝わる。
武器商人を支える世界だが、充填の力もあってまだ余裕はあった。
苛烈に攻める咲良に続き、潜水部隊を倒したリドニアがここに加わる。
「ようやく見つけましたわ。ティーチャー・ナーワル。いえ、碧熾の魔導書」
「術式の後継者かしら」
リドニアはナーワルの正体を完全に把握しているらしく、相手もその表情が陰る。
「どうやって形を成したり、この場所でティーチャーなんてやってるなんて知りませんが、私の中に帰って貰いますわ」
すぐさまリドニアが発した赤い闘気に対し、ナーワルは燃え上がらせた炎でそれを食い止めた後、割った地面から溶岩を立ち上らせる。
「術式の完成には未だ至っておりません。……戻るわけにはいきませんね」
すでに傷が深まるナーワルだ。彼女の展開する術は威力を増しており、対するメンバー全員に襲い掛かる。
「言っときますけど、何一つ手加減なんてしませんことよ」
これ以上、ナーワルを自由にさせぬ為、リドニアは術式を展開していくのである。
●
聖獣にニコラ小隊が数名残ってはいたが、いずれもマザー・マリアンヌの放つ異様な圧を受けて縮こまってしまっている。
そのマリアンヌへ、イレギュラーズが束になって仕掛けていて。
「マリアンヌ殿、ミリヤ様が仰っていた通り……今の貴女の行いは不正義」
魔光を閃かせ、マルコキアスはマリアンヌの体を包む。
「奴等を打つことには戸惑いも躊躇いもない……!」
直後にムサシも仕掛け、大いなる神聖を纏わせた警棒を一気に叩きつけていく。
その横から、一時的に魔人の力を下ろしたユーフォニーが魔力を放射し、マリアンヌが僅かに動きを止めた。
ユーフォニーはそこで、蹲る子供達の方を振り返って。
(ニコラさん、私たちは、みなさんの力になりたいです)
「あ、あう……」
もはや、子供達はこの戦いをただ傍観するのみ。
圧倒的な力を前に何もできない状態は、マリエッタにも理解できる。
(私も魔女の意識に身を委ねたらどれだけ楽になるか……いいえ、でも負けるわけにはいきません)
相手が魔種とはいえ、1人で戦っているわけではない。
マリエッタも仲間達の攻撃の合間を縫うように、渾身の魔力を込めて作り上げた血鎌でマリアンヌの体を切り裂く。
(手応えはあるはずなのに……)
もう1人の自分の可能性を纏い、これ以上なく力を高めたアンナが2度、3度と魔性の氷を纏わせた水晶剣による連撃を浴びせかけていたが、マリアンヌは平然とナイフで急所に当たらぬよう捌いていたようだ。
「この枷を砕いた罪は重い」
確かに、マリアンヌのナイフを幾度か受けていたアンナではあったが、祈りを籠めた相手の一閃に、アンナの意識が飛びかけた。
(今、何が起こったの……?)
ただ、パンドラが僅かに砕かれており、相手の一閃がとてつもない威力だったことをアンナは悟る。
一度枷から解き放たれたマリアンヌはもう止まらない。
「……もう悔い改めなさい」
マルコキアスがさらに電撃で敵の体を撃ち抜くが、マリアンヌは甘んじてそれを受けてから彼の方へと一直線に飛び、刺突でマルコキアスの意識を奪う。
……いや、マルコキアスは踏みとどまり、次なるマリアンヌの攻撃に備えていた。
ティーチャー・ナーワルは徐々に追い詰められていたが、ここにきて底力を見せ始める。
早期決着をと考えていた咲良だったが、思わぬナーワルの抵抗に舌を巻く。
(聖獣はまだ健在……乱入してくる可能性が)
委縮するミロイオンへと注意を払う咲良の隙を、ナーワルが逃さず、闇の炎で激しく燃え上がらせる。
世界の発した号令もあり、なんとかその炎を振り払う咲良。
傍では、逆にナーワルの炎に幾度も苛まれる武器商人が纏う蒼い煮え炎を纏う燃え上がらせていて。
「"火を熾せ、エイリス"」
渾身の魔力を振り絞った武器商人の放つ神滅の魔剣がナーワルの腹を穿つ。
メイデンハートもあって、より神秘力を高めていた一撃。
これにはナーワルも動きを止めたように見えた。
「蒼に定められた者なら……。来いよ。臆病者が」
「くっ……!」
再び炎を燃え上がらせようとするナーワルは、逃走も図ってると思われる。
此処で倒せなければ、マザー共々上に合流される可能性が高い。
そう考えたリドニアはこの場で一気に仕留めようとして。
「蒼熾の魔導書、起動」
第八百二十一式拘束術式、解除。干渉虚数解方陣、展開。蒼熾の魔導書、起動――!
確かに、ナーワルの発する炎と雷も脅威だったが、リドニアの術はそれを上回っているように感じられた。
「そんな、私の術は、まだ……!!」
自らのものとは異質なる炎を燃え上がらせたナーワルは、徐々にその全身を崩していく。
やがて、リドニアに吸い込まれる形となり、ナーワルは完全に姿を消したのだった。
ようやく、ティーチャー・ナーワルを倒したと思ったのも束の間。戦場では思いもしない出来事が起こっていた。
イレギュラーズとの戦いにも余裕を見せていたマリアンヌがいつの間にか聖獣ミロイオンの背に乗っていたのだ。
マリアンヌを抑える武器商人が追いすがるが、ミロイオンが素早く戦場を飛び回って。
「さあ、内なる衝動のままに、あの者達を喰らうのです」
気絶していた潜水部隊を、ミロイオンは片っ端から食らい始めたのだ。
マリアンヌを捕捉し、世界が四象の力を顕現させて遅いかからせるが、ミロイオンは止まらずニコラ小隊にまで襲い掛かる。
(やめてください、私の声を聴いてください)
ユーフォニーが呼びかけ続けるが、マリアンヌの声に忠実なミロイオンが小隊メンバーへと襲い掛かれば、武器商人やムサシが食い止める。
「あ、ああ……」
イレギュラーズに助けられたニコラは座り込んだまま全身を振るわせていたが、そんな彼女をマリアンヌは一瞥して。
「まあ、いいでしょう。贄は十分確保できました」
高く羽ばたく聖獣の背に乗ったまま、マザー・マリアンヌはこの場から去っていったのだった。
●
マザー、ティーチャー混成部隊を撃退したことで、一行はここまでの進入路を確保することができた。
できるなら、ニコラにも話を聞きたいと考える咲良だが、話をするには少し落ち着かせた方がよさそうだ。
倒れるニコラ小隊を保護する面々だが、その際世界が子供達の所持品を確認する。
「自害用の毒を口に仕込んだり、周りを巻き込む爆弾を持ってたりなんてよくある話だ」
ローレットに保護されたことで、自害を選ぶ可能性のある者がいるかもしれないと世界は念を押して確認する。
子供が死ぬことで、都市の大人には利があると世界は聞いていたことで、マザーが子供達の命を奪う手段を講じている可能性を考えていたのだ。
「俺が向こうの立場だったら絶対そうさせる」
怪しげなものは投げ捨て、確実に子供達の私物と判断したもののみ持たせ、一行は一旦退くことに。
「マザー・マリアンヌ……ここで始末しておきたかったですわね」
それについて同意するマルコキアスは、マザーの去っていた方向をじっと見つめていたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPはティーチャー・ナーワルを討伐した貴方へ。
子供達の説得を行った貴方にも称号を付与しました。
今回はご参加、ありがとうございました!
追って続報をお待ち願います。
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
独立都市アドラステイア<ネメセイアの鐘>のシナリオを送りします。
こちらは、ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)さん、リドニア・アルフェーネ(p3p010574)さんの関係者シナリオです。
都市内で子供を導く大人達……どうやら一枚岩ではなさそうです。
●目的
アドラステイア高層への進入路の確保
●状況
日中、雪降る寒い中での交戦です。
アドラステイア高層、中世欧羅巴風の町並みの中、塀を護るようにニコラ小隊と潜水部隊が布陣しています。
2人の大人は子供達を盾にし、イレギュラーズの排除に動いてきます。
●敵
◎マザー・マリアンヌ(マリアンヌ・サリエル)
20代女性。元人間種の魔種。かつては「血塗れ聖女」なる渾名で呼ばれた聖女で、ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)さんにとって聖女時代の偉大な先輩。
これまでのシナリオで、ファルマコンを妄信している印象を受けます。
今回、ニコラ小隊を盾にしつつ、手足の枷をつけたまま黒いナイフを使い、イレギュラーズの侵攻を阻止しようとします。
枷を外した時、「血塗れ聖女」の本領を発揮するものと思われます。
○二コラ小隊×15名
別名『聖銃士』。白銀の鎧を纏う子供達です。
いずれも長剣、長槍など重くない近接武器を所持しています。
赤毛の聖獣を与えられ、襲い掛かってきます。
・小隊長ニコラ
14歳、小隊員にも慕われる長剣使い。
かつては姉と慕ったミロイテが聖獣ミロイオンではないかと諭され、その疑念を振り払わずにはいられぬようですが……。
・聖獣・ミロイオン
全長3.5mほど。赤毛の獅子に翼を生やす聖獣。名づけ親はニコラ。
機動力を武器とし、のしかかり、強襲薙ぎ払い、両腕と翼の乱撃などが確認されています。
◎ティーチャー・ナーワル
20歳、旅人女性。リドニア・アルフェーネ(p3p010574)さんの関係者です。
修道服を纏い、下層の子供達にファルマコンの教えを説く一方で、潜水部隊を率いてスパイ活動を行わせ、子供達に魔女裁判の開催を促させるという一面も持っています。
炎を使いこなし、砲弾やモリ、散弾といった殺傷力の高い武器に転じて使う他、閃光、溶岩、雷火、闇炎と炎をベースとした多数の術も行使してきます。
○潜水部隊×15名
ティーチャー・ナーワルの率いるスパイ部隊。
オンネリネンの子供達で編成され、姿を隠しながらの砲撃を得意とします。
今回はニコラ小隊を援護するように攻撃を行います。
●独立都市アドラステイアとは
天義頭部の海沿いに建設された、巨大な塀に囲まれた独立都市です。
アストリア枢機卿時代による魔種支配から天義を拒絶し、独自の神ファルマコンを信仰する異端勢力となりました。
しかし天義は冠位魔種ベアトリーチェとの戦いで疲弊した国力回復に力をさかれており、諸問題解決をローレット及び探偵サントノーレへと委託することとしました。
アドラステイア内部では戦災孤児たちが国民として労働し、毎日のように魔女裁判を行っては互いを谷底へと蹴落とし続けています。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/adrasteia
●魔種
純種が反転、変化した存在です。
終焉(ラスト・ラスト)という勢力を構成するのは混沌における徒花でもあります。
大いなる狂気を抱いており、関わる相手にその狂気を伝播させる事が出来ます。強力な魔種程、その能力が強く、魔種から及ぼされるその影響は『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』と定義されており、堕落への誘惑として忌避されています。
通常の純種を大きく凌駕する能力を持っており、通常の純種が『呼び声』なる切っ掛けを肯定した時、変化するものとされています。
またイレギュラーズと似た能力を持ち、自身の行動によって『滅びのアーク』に可能性を蓄積してしまうのです。(『滅びのアーク』は『空繰パンドラ』と逆の効果を発生させる神器です)
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
それでは、よろしくお願いいたします。
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