PandoraPartyProject

シナリオ詳細

せみ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ゼシュテルミンミンゼミ -Semi Final-
 『ペテン師』アレス・D・フェイスレスは、諜報員である。
 『ペテン師』『英国面』『隠れてない諜報員』等、不名誉な二つ名を好んで名乗るギルド・ローレット所属の秘密捜査官である。

 今日の彼は、ゼシュテル鉄帝国の闘技場『ラド・バウ』に来ていた。
 ゼシュテルの動向を探るべく、幻想を発ち、命からがらアーベンロート領を越えての避暑である。
「ナンセンスだ」
 期待したものはなかった。
 夏《Summer》シーズンの最後というのに、降り注ぐ日差しは未だに強烈だ。
 むなしき熱風。北の地とて、隔てるものがなければ、日差しはただ降りそそぐ。
 したたる汗は、石畳の砂塵に垂れて珠をつくり、乾燥した風によって淡雪のごとくに消えていく。
「ナンセンスだ」
 拭っても拭っても垂れてくるものに辟易しながら、唯一の日陰アイテムであるシルクハットを正し、闘技場の裏手の日陰にまわる。
 立ち入り禁止の札もなんのその――すると身長2mほどの蝉男が壁にはりついていた。
「!?」
『ジジジジジブブブブブブ、ミーンミーン、ブジブブブブ』
 丸太ほどもある魅惑の生足。スネ毛。ぷくぷくと浮き出る血管のごときもの。腕毛。
 突起物ない垂直の壁に張り付くに、十分すぎるほどの説得力がある筋!
「馬鹿な……! 鉄帝はセミも肉弾派というのか!?」
 そこへ、腕時計からカタカタと指令リボンがタイプライトされる。『ペテン師』のギフト『暗黒街のランダムウォーカー』だ。

 印字された指令を凝視する。
 『蝉に襲われる』と書いてある。

 次に「はっ!?」と我に返ると、眼前に蝉男の顔があった。
 眼前――20cmほどの間隔。達人同士の戦いならば、必殺の距離にて!
「神雷《Stun Anchor》ッッッッ!!!」
 先に動いた者は『ペテン師』。
 足で地面を強く踏み付ける動作。中国拳法――震脚だ。
 ただの震脚ではない。電撃を帯び、踏みつけた瞬間に電流が蜘蛛の巣のごとく広がる必殺技である。
『ぶじぶぶぶッ!』
 蝉男。
 たまらず仰向けでM字開脚の姿勢にて斃る。
「フッ……。特異運命座標《イレギュラーズ》では無いとて、このくらいは――」
 一匹は倒した。
 勝利の余韻に浸るも、よくみれば。
 周囲に蝉の群ができている。
 1,2,3,4,5……
「……なんということだ」
 蝉男たちは腕を組み、『今倒したのは一番の下っ端』と言わんばかりの余裕の面もちであった。
『ウイヨーーーーーースッ!!!!!!!!!!!』
 リーダー格らしき蝉男の合図。
 たちまち蝉男たちは、くるりと背を向け、前屈。尻を突き出す姿勢をとる。
 そこから発射されるウォーターカッターのごときものが、四方八方、アレスを切り裂いた。
「ぐわー! 大英帝国万歳ーーーっ!!」


●ゼシュテルだから -That’s life-
 こんな奇怪な生物がいるのか?
 という問いへの解である。
「ラド・バウの裏手の一角にいる蝉の駆除なのです!」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が持ってきた仕事は、『害虫駆除』という一般的な冒険者にとり、ありふれた依頼であった。
 それなりに実績を積み上げている特異運命座標《イレギュラーズ》に回ってくるという事は、内容が問題という話である。
「地球出身のひとならわかるかもですが、蝉という虫を大きくして、人間《カオスシード》のような手足が生えている感じなのです」
 羊皮紙に、蝉男の見た目を描き描きするユリーカ。 
 上の方に『\まっちょ/』の文字。続いて『×20』の字も躍る。
 不穏である。
「あと、オフを楽しんでいた情報屋の一人が巻き込まれているのです。本格的に酷い目に遭う前にたすけてあげてくださいなのです」
 場所はラド・バウ裏手。害虫駆除のため、一般人や闘士の立ち入りを禁止しているとのことだ。
「ゼシュテルミンミンゼミなのです」
「ゼシュテルミンミンゼミ」
 敵の名を反芻す。
 やりかたは特異運命座標に委ねられた。

GMコメント

 お久しぶりです。Celloskiiです。
 時季モノです。
 ギャグテイストですが、難易度Normalである点はご留意ください。

 以下詳細。

●状況
・昼時分
・何もなければ、ラド・バウ到着から開始
・ラド・バウ裏手
・戦うために十分な広さがあります
・ローレットが虫の駆除をするという通達を出しているため、観客や闘士の立ち入りはありません

●勝利条件
・蝉男(ゼシュテルミンミンゼミ)の殲滅


●敵戦力
▼蝉男×19
 身長2mほど。蝉に人間の手足が生えたようなかたちをしています。
 総じてたくましいです。
A:
 ・ウォーターカッター           神秘、直線貫通攻撃
 ・セイヤセイヤ              19匹全ての行動が終了状態になりますが、もみくちゃにされます


▼蝉男リーダー
 特徴的な鳴き声をしています。

A:
 ・ウォーターカッター          神秘、直線貫通攻撃
 ・命刈り取るような形の羽        物理、切断系です
 ・セミファイナル            物理、殴り系です
 ・威圧感を放って悠然と歩いてくる   短時間のみ、謎の力でダメージが大きくカットされます。


●味方戦力
・ペテン師
 戦闘不能状態なので役に立ちません。
 放置していても勝利条件には影響しません。

  • せみ完了
  • GM名Celloskii
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年09月25日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)
ナンセンス
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
巡理 リイン(p3p000831)
円環の導手
高千穂 天満(p3p001909)
アマツカミ
レンゲ・アベイユ(p3p002240)
みつばちガール
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
エレスチャル(p3p006428)
紫の楔

リプレイ

●夏の思い出を君とつくりたい -Marvelous Memories-
 特異運命座標! 侵攻! ラド・バウ!
 依頼を受けて来た8人。
 胸裏に色々なものを秘めながら、ふりそそぐ日差しのなか、石畳を踏みすすむ!
 『特異運命座標』オリーブ・ローレル(p3p004352)は、言を紡がず。現場へとすすむ。
 オリーブは鉄帝国の出身である。
「……」
 オリーブは戯れを知らぬ。
 ラド・バウは帝国臣民の重要なる娯楽である。管理を任されている者からの依頼であれば、公だ。
 あるいは、準ずる地位の者と推測できる。気合が違うのだ。
「ううっ。日差しが凄くて溶けちゃいそう! まだまだ夏ですねっ……」
 後ろから『円環の導手』巡理 リイン(p3p000831)がゆく。
 上からの日差しに辟易す。
 向こう側を見えると、石畳に陽光が反射して地鏡が見えた。暑くてやんなる。
「セミ退治って言うけど、そもそもセミって人に悪いことしてきましたっけ?」
 誰宛てともないリインの言葉。
 これに、『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)がぽつりと応ずる。
「まあ……ウォーターカッターを飛ばすから」
 ウォーターカッター。言葉が詰まる。
「……避けたすぎる」
 想像して滅入る。
 言った当人であるミニュイも、無表情ながら、うつむき加減で心が死にかけている様子だった。
 滅入っているようだ。
 リイン、これにより駆除の理由には十分かもしれない、と考えが傾き、一歩ずつ現場に近づく度に増していった。
『みつばちガール』レンゲ・アベイユ(p3p002240)は、知人を思い浮かべる。
 ほぼ鳥みたいな飛行種がいるのと同様に、身内にも見た目がほぼハチという人はいる。
 故に。
「マッチョなセミ男の集団くらい平気…きっと親戚の集まりのようなものね!」
 と、語尾を強める。
 0.2秒ほど、もみくちゃなソイヤの中央に自分がいる状況を想像して。
「やっぱり嫌ぁぁぁ!!」
 たまらず音を上げた。少女には不謹慎な状況だ!
 『紫の楔』エレスチャル(p3p006428)は、視線を正面からレンゲに移し、また正面へ戻した。
 他意はない。
「私は別に虫は苦手じゃないけど……この暑苦しい時期に、暑苦しい集団に暑苦しい戦いを挑まなきゃいけないのは……一寸辛いかな」
 と、レンゲが何を想像していたかを察しての一言だった。他意はない。
 あるとすれば、ドSセンサーともいうべきもの。
 しかして、エレスチャルの胸裏は、ドS心(こころ)以上に、使命感が上回っていた。
 友達に装備も借りて来たのだ。万全である。
 友達から装備を借りて来たのだ! ぶっかけられようと私物にダメージは無い。

 かくて、特異運命座標一行は、Keep Out(と崩れないバベルの翻訳されそう読まれる)と示された地点を見つけて移動する。
 『アマツカミ』高千穂 天満(p3p001909)は、状況を確認すべく、現場を覗きみる。
 奇な。
 見えれば、ずらっと並んだ蝉男。斃れている『ペテン師』。
 『ペテン師』の付近で、気合の入ったサイドステップを左右に刻む、やはり蝉男たち。

『セミセミセミ』
『セミセミセミ』
『セミセミセミ』

「あれは……笑っておるのか……?」
 奇な。
 天満は訝かしんだ。
「形はどうあれ、脅威には違いねぇ」
 『ナンセンス』オーカー・C・ウォーカー(p3p000125)と応ずる。
「……俺と背丈は似ているが、囮の時に誤射はしてくれるなよ」
 オーカーの役割は囮役。
 蝉男に迫る身丈ながらも、忍び足え果敢にも踏みこむ。
 続き『穢れた翼』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)は、人差し指を額に当てながら自身に宿る神と対話。対話しながらスッと行く。
「せみって虫じゃなかったっけ?」
『生物学上は虫だろうな』
 神の声は、ティアの胸中央にある十字架からだ。
 話の題材は此度の相手。
 ティア(本体)は解せない表情をつくりながら、オーカーと共に侵攻す。
 囮役二名を見送った天満は逆に後退。
「全く――」
「蝉も夏の風情とは思うが、アレだけ大きく奇怪な手足が生えていると風情も何もあったものではない」
 戦闘準備を整えていた仲間に、おいでおいでの合図を送ったところで、オーカーの声。
「こっちだ! 虫共!」
 続き、ティアの声。
『大軍だ』
「大軍です!」
 囮作戦――作戦行動の開始!
 天満とミニュイと並び、更に後ろにレンゲとエレスチャル。中後衛の射撃手。
 オリーブ、リインは彼女等を守るように、迎撃態勢を万全とす!


●BUKKAKE! - Fooooooo!-
『ジジジジジブジジブウブブブブブ』
『ジジジジジジブブブブブブミミミミミ』

 蝉! 肉肉しき両腕、丸太のごとき足。
 群てくる! 蒸れてくる! 筋肉の群だ!
 ティアはこれに果敢に飛び込む。詠唱に入り、解き放つ虚無の風。
 蝉が臀部を向けてきた。すかさず屈む。
『ブジブビ!』
 蝉男のウォーターカッターは直線上にいた他の蝉男に命中す。同士討ちだ。
「やった!」
 ティアが飛び込んだ理由はここにある。
 以降、同士討ちを警戒して、ウォーターカッターの使用をためらわせる策であった。
 一方でオーカーは、ティアとは別の役割を遂行する。
 両者が囮になり味方側へ引き寄せるの策であったが、蝉男たちはすすんで特異運命座標側に突っ込んできた。
『なるほど、鉄帝の気風』
「脳筋です」
 この気風に、馴染み深きオリーブ。
 敵は蝉男。ゼシュテルミンミンゼミ。しかして律にして愚直は望むところである。
「此処はゼシュテル鉄帝国の重要区域であり、占拠は認められません! 直ちに退去して下さい!」
 放った警告。応答を見える。
 退去の意志が見えられない。退去の意志無しと決するかの思考の間に――威圧感をおぼえる。
 明暗順応。
 日陰の向こう側。視線の先に蝉男リーダー。
 蝉男リーダーは、人差し指をまっすぐこちらに向けていた。もはや撤退する気が無いという意思表示に他ならない。
「ならば……行くぞ」
「~♪」
 たちまち、ミニュイが絶望の海を歌った。
 突っ込んでくる蝉男たちのど真ん中にふりそそぐ呪詛の歌。
 これを受けた蝉男たちの5匹はM字開脚の体勢で倒る。
 やったか?
 ――否!
 蝉男、呪詛に焼かれながら、体液を放出。
 5つの水の刃が迸りミニュイを斬りつける。美しい羽化。七日間の儚い一生……。
 液体を滴らせて飛ぶ姿も生命《いのち》の営み――
「いけない」
 危ない。意識を手放しかけた。
 特異運命座標の布陣として、『なるべく直線上に立たない』という取り決めがあった。
 これによって、ミニュイの他に巻き込まれる者はいない――
「きゃああああああああ!!! 嫌ぁぁぁ!!」
 ――かに見えたが、レンゲがぶっかけられた。
 蝉が突っ込んできた結果、仲間が集中攻撃されるであろうことを予測し、届く距離まで移動した結果であった。ドヤ顔は悲しみに包まれていた。

『セミセミセミ♪』

「ここは、雹でも降らせて夏の風情を補ってやろう」
 突っ込むのも疲れてきた天満は、長柄の先端に剣が備わるもの構える。
 剣の先端から光が生じ、生じた光の軌跡で神代文字を描く。破壊の印。雹が場にふりそそぐ。
 当たれば相応に痛いぞ、と付け加えて。

『ブジブッ』

 M字開脚しながら笑っていた蝉男たちに、天空からふりそそぐ雹のボディブローが刺さる景色。
 リインは、先ほどのウォーターカッターで果てた二名(レンゲ、ミニュイ)の仇を討つかのごとくに、白色の大鎌を構えた。
「虫、苦手なんだけどなぁ。うぅぅん」
 白色の鎌、紫電が煌めき、煌めいた刹那にリインは向こう側へと斬り抜けた。
 鉄帝、驚異の生態――しかして、何事にも限度はある。
 これまでの攻撃を喰らい続けてきたは、既に果てているか虫の息。
「っ!?」
 リインの周囲で、残った蝉たちがサイドステップを刻む。
『セミセミセミ』『セミセミセミ』『セミセミセミ』
 これはまさか――
「きゃああぁ~~~~~~~~ッ!!!」
 セイヤセイヤ、ドンドコドンドコ。
 どこやらから和太鼓の音。
「……うわぁ」
 聞き覚えのある音色に一寸振り向いた天満であったが、直視できなかった。
「か、回復しますね。それから、パイを準備しておきますね」
 エレスチャル。ギフト『パイ投げ殺法』を発動させて、投げつける用のパイを隅っこに置いておきながら、リインに回復を施す。
 状況を形容するなら『ねっぷり』という感じだ。
 ティアも同様。言葉が詰まるように、思わず口を押さえる。
『非道いものだ』
「冥福を祈らなければならない方が増えたようです」
 オリーブはくぐもった声で、音を漏らしながら、ドンドコしている蝉男の隙だらけな背中を打つ。
「きついですね」
 ノーギルティ。苦痛のみをあたえる攻撃。トドメは任せる。

 最初の範囲攻撃で敵は大きく数を減らした。一気に5匹。すぐにもう5匹。

 たちまちに数が半分を切った状況に対して、蝉男リーダーが悠然と歩いてくる。
 本物さんめいた気魄。二の腕のぷくぷくと浮いた血管めいたもの。
「てめぇの相手は俺だよ。ツクツクボウシ!」
 オーカー、忍び足によって、回り込んでいた。蝉男リーダーの眼前に立つ。
 半刻とも、刹那の時間ともつかぬ、視線の交差。
「うおおおおおお!!」
『ウイヨーーーーーーーース!!!!』
 一呼吸にも満たない間に始まる攻防。
 オーカーの鉄槌、蝉男リーダーの側頭部を狙う。
 狙うも、蝉男は鉄槌の首をつかんで受け止めた。
「(やるな)」
 かくて、力比べのごとき景色。

 戦況としては、特異運命座標側は圧しているのは明白だった。
 誤算は二つ。
 一つ。
 敵の鉄帝気質による、おびき出す前に肉弾してくる特攻。乱戦に至る頃合いが前倒しになった。
 二つ。
 特異運命座標側は、最初に大規模な範囲攻撃を仕掛けながらも、早々にボスへの接敵に成功した。
 ――したが故に、蝉男たちは蝉らしからぬ判断力によって不利と判断。更なる速攻へと切り替えてきた。
 ぶっかけられたミニュイ、レンゲ。
 ソイヤソイヤで心が死んだリイン――犠牲者を出しながら、戦いは佳境へと移行する。


●決戦! ツクツクボウシ! -Wyeeeeee-
 ――かに見えたが。
「なんてことしてくれの! 嫌ぁ! 嫌ぁぁ! 嫌ぁぁぁ!」
 レンゲの怒りのヒールは、まさに、癒やし殺すような気魄。
 エレスチャル、レンゲを庇うことも想定していたが、思ったより元気そうなので回復を続行。
 ルールに基づいた隙のない回復に加え、遠近両方に対応できるメンバーで乱戦をもこなす。
 折られた心は、反発心を生む。
 ミニュイは死んだ眼をしながら、一体一体を丁寧に格闘術式で磨り潰していく。
 リインに至っては――
 結果、次々をM字開脚が増えていき、雑魚戦は終結す。
 残り9匹、8匹……地面には大量のM字開脚が転がった。なお、この段階で全員がウォーターカッターを一度は受けた。

『ン“ン“ン“ン“ン“ン“ン“ン“ン“ッ! ヅクヅクボーーーーーウィシ!!』
「……ぐっ!」
 蝉男リーダーが二の腕をくの字に曲げ、そのままオーカーの首にぶつけてきた。
 専門用語で、斧爆弾《アックスボンバー》!
 敵はすかさず、羽の刃を発動。オーカーの胴を切り裂く――かに見えた。
「ふっ!」
 一呼吸で疾走し、その間に入ったオリーブ。その一撃を剣で止める。
 鍔迫り合い。オリーブの顔面に、蝉臭い息がふきかけられた。
 次の瞬間に、力の極点が爆ぜる。
 『ツクツクボウシ』は後転。距離を開けた。
「流石にくたびれたぜ」
「……まだ戦えますか? と問うのは愚問でしょうか」
 オーカーは鎚を杖のようにして立ち上がる。そこにレンゲとエレスチャルからの回復が注がれる。
「まだやれる」
 オリーブは、次に油断無く、『ツクツクボウシ』を見据える。
 再び、悠然と歩いてくる。仰向けで開脚姿勢の蝉たちの屍を踏み越えて。
 最後の戦いに至る。
 臀部が動く。たちまち蝉汁が一直線に駆けぬけた。
『避けろ』
「……!?」
 ティア、内なる声からの呼びかけであったが、一寸反応が遅れる。
 そして後方――通常の蝉男より射程がある――と気がついた時にはエレスチャルも被った。
「やだ……お嫁に行けなくなっちゃう」
 とりあえずエレスチャルの防具は、借り物だ。そこには安堵する。
「厳しい戦況であるな」
 天満も呟く。
 これ以上犠牲者を出すわけには行かないという、決意がここにあった。
 オリーブが切り結ぶ。『ツクツクボウシ』は、斬羽で応ずる。
 オーカーが鉄槌を下す。『ツクツクボウシ』は、下された鉄槌を拳や蹴りで跳ね上げる。
「おかえしの魔、力、撃! です!」
 ティアの加勢。早々に心のダメージから復帰した。
 詠唱を瞬時に終えて、魔力撃を袈裟掛けに放つ。
 『ツクツクボウシ』は、右上腕二頭筋と前腕で挟み込むように杖を止める。止めるも魔力が爆裂す。
『ン“ン“ンッ!!!』
 ミニュイが続く。
 放つマジックロープ。『ツクツクボウシ』の胴体を縛り上げて、動きを制限する。
『ン“ン“ン“ン“ン“ン“興奮する』
「……。あれ? 喋らなかった?」
 ミニュイは訝かしんで、魔法の縄を引く。
 『ツクツクボウシ』の体勢が崩れたところへ、天満の遠術。脇腹を刺す。
『アウッ! ン“ン“ン“ン“ン“ン“』
 悶えながらクネクネす!
「――シェ、シェルピア」
 みつばちガール対せみおとこ。
 少しは耐性があると思っていたが、あれは違う。違う。とても違う。
「レ、レンゲさん、もうだめかも」
 レンゲのドヤ顔が真っ青である。もう限界だ。精神的重傷である。口数が激減していた。
「……」
 リイン復活。
 精神的な呪縛から立ち直る。死神の眼光が尾を引く疾走! 大上段からの一刀両断。
 『ツクツクボウシ』の右腕はティアの杖を防御している。故に、飛来したのは左手だ。
 リインの得物の柄を恐るべき握力でつかむ『ツクツクボウシ』。攻撃は止められてしまった。
 止められてしまったが、鎌の先端が『ツクツクボウシ』の脳天にサクと刺さっていた。
『ブジジ』
 たちまち、『ツクツクボウシ』は仰向けに斃れた。
「え、死んだ!?」


●セミファイナル -BOMB-
 オーカーは、もっとも長く、激しく組み合った蝉男リーダー――ツクツクボウシの遺体を見下ろしていた。
「……魔種の仕業ではなさそうだが」
 ふざけたナリであったが、武人に近い感覚が垣間見えたが故の――されど感傷ではない。魔種の仕業かどうかの確認である。
「恐ろしい敵であった」
 天満も右に同じ。対手の弔いなど無用。
「蝉が排泄する液体はほぼ水で無害らしいですよ。この蝉たちの場合はどうか分かりませんが」
 フォローしているのか、していないのか怪しまれる発言に、視線が集中した。
 退治した証拠の品が必要なので、『ツクツクボウシ』の身体の一部を切りとろうとすると。
『ブジジジジジ! ン“ン“ン“ン“ン“ン!』
 液体をぶちまけながらその場で回転。それを最後に永眠す。
 やり場の無い怒りは、エレスチャルが用意した、パイ投げ殺法により、パイまみれにすることで解消した。
 リインも同様。
 ソイヤソイヤを喰らった怒りはどこへやればよいのか。
「もう出てくるな! もう出てくるな!」
 また、レンゲの力の入れっぷりは尋常ではなかった。みつばちガールである。
 一寸、同族っぽく見えるかもしれない、という危機感であった。
 ミニュイが、蝉の死体のなかから『ペテン師』を発見して引きずってくる。
「一応、医療機関とかに預けた方が良さそうか」
「どうか安らかに眠れますように。次の世界ではもっと幸せになりますように」
 蝉男、凡(すべ)て斃る。
 ティアはその遺体に向かって、冥福を祈り、重ねて黙祷す。
 胸中央の十字架からの言葉はなかった。

 ラド・バウは、明日もつつがなく運営されるだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、お待たせ致しました。
結果は成功となります。
不足していた要素は無かったと思います。
(最後の蝉爆弾描写は、プレイングの不足ではありません)

ご参加ありがとうございました。

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