PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性東京202X:【怪談喫茶ニレンカムイ】源爺という男

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●現場
「げ、源爺……」
 転がる死体。飛散した血。
 部屋の片隅に追い込まれている若者が一人。
 そして追い込んだであろう源爺と呼ばれた老人。
「すまなかった、源爺」
 すっと片手を上げる源爺。
「謝らないでくだせえ……。謝るぐらいならあっしの60年を返してくだせえ」
 手が光に包まれ、そしてーー。
 
●怪談喫茶ニレンカムイ
「皆様、初めまして。私は結月。ここ、怪談喫茶ニレンカムイの店長であり情報屋です。そしてーー」
 結月と名乗った女性と共にいる双子だろうか、少女が2人。
「アタシは翠。ここの店員で結月さんと同じく情報屋だよ!」
 天真爛漫で元気いっぱいな姉の翠。そして
「私は蓮。同じく店員で情報屋」
 こまっしゃくれた性格で素直になれない蓮。
 そしてここ、怪談喫茶ニレンカムイはカフェ・ローレットと同じく夜妖に関する情報を集めイレギュラーズに提供している。
「翠、蓮」
「「はあい」」
 結月に促され翠蓮姉妹はその場を離れる。
「ごめんなさいね、あまりあの子達に聞かせられる内容ではないので」
 なんとなくその意味を察するイレギュラーズ。この世界では血生臭い依頼も珍しくない。
 つまり、そういう事だろう。
「場所は酒井一族の屋敷。既に事は起きています」
 酒井一族。夜妖の蔓延る希望ヶ浜における退魔師の一族であった。
 そして酒井一族に仕える使用人達も現場に出る事があった。
 しかもこの一族は総じて夜妖憑きになる傾向があった。
「しかし、その夜妖憑きとしての力が強すぎる方が一人いらっしゃったのです」
 源太郎。通称、源爺。そしてその力を御しきれず暴走。それが原因で命こそ奪われなかったが記憶を封じられ、一般人として酒井一族に使える事になった。
「それが60年前のお話。ですが、そのご老人には大切な方がいらしたのです」
 本来であればこの老人はその大切な人である女性と結婚する筈だった。
 忘れてはならない記憶。幸せになるはずだった人生。
 だが、現実はそうはならなかった。ならなかったのだ。
「オーダーは一つ。彼の殺害です」
ーー待て、記憶を封じるだけではいけないのか?
「はい、理由は2つ」
 1つは酒井一族を皆殺しにしてしまった事。
 2つ目は絶望と怒りにより夜妖の意識が顕在化しつつある事。これを放置すれば夜妖そのものとなり、被害が拡大する。更に言えばここまで事態が進んでしまった当事者の記憶を封じる手段が見つからなかったのだ。
「お願いします、彼をーー源爺さんを人として逝かせてください」
ーー事が終わりましたらここへ戻って来てくださいね。料理を振る舞わせていただきますから。
 結月は一礼しつつイレギュラーズを見送るのであった。

NMコメント

お久しぶりのシナリオです。
怪談喫茶ニレンカムイからの依頼を展開させていただきます。

●怪談喫茶ニレンカムイ
夜妖に関する情報を皆様に提供する喫茶店です。
店名にもなっている怪談とは
この店が所蔵している怪談系の本の事。
更に夜妖に関する情報を書籍化して店に置いてあります。

●状況説明
源太郎が記憶を封じられた事により酒井一族を恨み、皆殺しにしました。
ですが事が終わり、夜妖の意思が顕在化しつつあります。
まだ人の意識が残っているうちに討伐してあげてください。

●目標
源爺の討伐

●場所
酒井一族の屋敷。
この屋敷自体それなりに広い為、戦闘に支障はありません。

●源太郎
通称『源爺』。夜妖憑きの老人です。
酒井一族や使用人の中では一番強かった男性。
ですが滅多な事を言えば酒井一族自体大した事なかった為にその実力はやはり大した事はありません。
少なくともイレギュラーズたる皆様の前では。

●その他
討伐が終われば怪談喫茶ニレンカムイにて食事ができます。
メニューに関しては私のクリエイターページに記載しておりますので
ご参照ください。

結月
怪談喫茶ニレンカムイの店長兼情報屋。
料理と会計を担当しています。

翠蓮姉妹
怪談喫茶ニレンカムイの店員兼情報屋。
ホールと会計担当。ご近所ではちょっとした有名人。
皆様のお話を聞けるのを非常に楽しみにしております。
今までの冒険や普段の事など話してあげると喜ぶでしょう。
今回の依頼に関しても話を振ってくるでしょうが
話すかどうかは皆様にお任せします。


翠蓮姉妹の姉の方。天真爛漫で元気な女の子。

翠蓮姉妹の妹の方。こまっしゃくれた性格で素直になれない。

  • 再現性東京202X:【怪談喫茶ニレンカムイ】源爺という男完了
  • NM名アルク
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月06日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

ツェノワ=O=ロフニツカル(p3p010170)
眠り梟
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇
レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)
青薔薇救護隊
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
瀬能・詩織(p3p010861)
死澱

リプレイ

●酒井邸へ
 たちこめる血と死の臭い。
 強烈なまでに充満しているそれに顔をしかめてしまうのはやむを得ないというものだ。
「……もしも、運命がほんの少しだけ違っていたのならば」
 今頃はきっと幸せな時間を過ごしていただろう。
 愛する人と結婚をし、子供もつくり。孫も生まれたりして。
 そんなあり得たはずの当たり前の人生。
 『青薔薇救護隊』佐倉・望乃(p3p010720)は思う。
 救う事も。彼が失ってしまった60年を返す事が出来ないというのなら。
 せめて人として弔ってあげたい、と。
 そしてある意味似た考え方をしているのが『眠り梟』ツェノワ=O=ロフニツカル(p3p010170)と『青薔薇の奥様』レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)であった。
「オーダーなら仕方ないね。出来れば殺しはやりたくないけど……まぁ、頑張りますか」
 ツェノワのそれはきっと本心だろう。
 が、自分を焼き殺そうとした友人なんら躊躇いもなく、その火に投げ飛ばした過去を持つツェノワは冷めているのも事実。
「悲しいことですけど」
 他の方に危害を加える可能性があるのなら止める他はない。たとえ、一族の中で色々とあったとしても、楽にしてあげる他ないというのなら。レイアも仕方のないからと諦めるしかなかった。
 2人とも相手との距離を一定以上とるしかなかったのだ。それは他の面々も同じではあるのだが。
 むしろ辛辣だったのは『ねこのうつわ』玄野 壱和(p3p010806)だ。
(暴走したんだか反転したんだか知らねぇが、後腐れ無くブッ殺してやるヨ)
 異世界から旅人(ウォーカー)としてやって来た壱和だが、混沌においても退魔師がいる事に驚きつつも心情では厳しかった。
 元の世界で退魔師一族と殺し合った関係で退魔師関係にはどうしてもそうなってしまう。
 思う事はそれぞれにありつつも酒井邸に到着する。

●源爺という男
 源太郎ーー源爺は酒井邸の庭にいた。
「お主達はなんじゃ?」
「オレは一嘉。源爺さん、アンタを倒しに来た!」
 『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)の名乗り口上。
 源爺もすかさず構える。退魔師の一族と関わり、何より自身も戦いに身を置く存在。
 その意味は言われずともわかるだろう。自身が既に戻れないところまで来ている事も。
 一嘉に限らず、源爺の逃走を警戒している。故に逃走経路となりえる場所を各自陣取る形で展開していた。
「可哀そうな源太郎お爺さん。私は源太郎お爺さんを」
 黒いキューブを展開する『恋(故意)のお呪い』瀬能・詩織(p3p010861)。
「哀れな貴方がこと切れるまでーー」
 何度でも何度でも何度でも何度でも呪い呪い呪い呪いのろいノロイのr(ryーー。
 何度も執拗に呪い続ける為の呪法のひとつ、スケフィントンの娘。その悪意は源爺の身体を蝕む。
 数多もの苦しみを与えよう。何度でも呪い続けよう。
 かような苦しみ、とても嫌であろう。
 なれば、この世に留まる事無く逝かれますよう。
ーー私の呪いが届きませぬよう、どうぞ死せる彼方へと。
 その負の力とは対照的な性の力を放つ壱和。その勇壮な行進曲は肉体的にな反応の向上をさせる。
 が、その行進曲を掻き消すように雄叫びをあげる源爺。どうみても夜妖の意識が顕在化している。
 手近な相手に殴る、蹴る、投げる。打撃と投げ技の乱舞。元々そういうのが得意だったのだろうが、その戦い方は獣に近い。
 まだ人としての意識が残っていると思いたいところだが。
 幸いな事にその手近な相手ーー一嘉がいなし、防御を固め、耐えきっていた。
 体力の回復はいらない。そう判断したレイアは次なる手を放つ。
 慈悲と無慈悲。善と悪。相反する力を宿す攻撃。その2つの内の一つ、不殺の攻撃。
 逃れえぬ一撃。
 そこからの連撃。望乃の黒い犬のような妖精が源爺の喉笛を鋭い爪で切り裂く。
 源爺の唸り声。再度攻撃態勢に入る。振り上げる拳。そして振りぬーーく事はなかった。
 二連射される弾丸。ツェノワである。
「死の弾丸に、耐えられるかな、君は」
 崩れ落ちる源爺。だが、死んでいない。
 その腕は攻撃の意思を未だ宿している。
 その脚は立ち上がる意思を未だ宿している。
「源爺さん、本当は夜妖になんてなってないんじゃないか?」
 一嘉の問い。裏社会ともカタギとも言えない立場の半端者であると自称はしているが、良くも悪くも人を見てきている。それなりに人を見る目は持っているつもりだ。
 だが、その問いに源爺が答える事はない。
 イレギュラーズ、延いてはローレットに関して、源爺自身も話は聞き及んでいる筈だ。
 お人好しが多い、というのも。ならば必要以上に気負う必要はないとの判断かもしれない。
 自分達が相手をしているのは人ではなくただの夜妖なのだ、と。
 それは本人が何も答えない為に不明であるが。
 首を軽く横に振る一嘉。
 そして力を込めた一撃を、拳を源爺に降り降ろしーー。

●終わりゆく者
「人として、死ねた?」
 人として逝かせてあげたい。だが、やはりツェノワの問いに源爺が答える事はない。
「……そう」
「終わったカ……」
 軽く肩を竦める壱和。
 個人の思い出を奪ってまで利用し、その挙句に一族が全滅。
 実に御粗末な結果だ。問題を先延ばしにしたところでいつかは爆発するのは目に見ているのだから。
 こんな事になったのはそれから目を背けた酒井一族の責任だ。
 ここには用がない、と言わんばかりに立ち去る。
 もう動かなくなってしまった源爺。
 念の為にと詩織の鬼眼判官による生死の判別。
ーー源太郎お爺さん。せめて永久の眠りで安らかに。
 このままでは忍びないからと穴を掘り、墓を作り始める一嘉。先に他の面々を一部帰らせはしたが、程なくして完成する。
 手を合わせて一つ呟く。
ーー南無阿弥陀仏。
「オレも、強制召喚なんて真似をしてくれたこの世界に、貴方同様に言ってやりたい」
 思い出すのは自分が混沌へ召喚される前の事。
「オレが歩んで来た30年、その人生で、築いて来たもの、これから手にする筈だったもの全てを返してくれと」
 意図せぬ不運で全うでなくなてしまった人生。それでも家族や友人達と言った失いたくない者達と歩んだ生きた軌跡がその世界には確かにあったのだ。
 この混沌の世界には恨みや憎しみとまでいかずとも怒りは確かにある。
 だが源太郎さんと同じぐらい生きた時、自身もこの世界を恨み、人ならざる者へと成り果てているかもしれない。
 そう思いつつ立ち去る一嘉だった。

●怪談喫茶ニレンカムイ
 遅れてきた壱和も喫茶店組と合流を果たしていた。
 余談だが折角だからとあらかじめ大正浪漫の服に着替えていた望乃とレイアの服装について軽く触れておこう。
 望乃。
 くすみグリーンがレトロな雰囲気を醸し出すロングワンピース。セーラー襟がついた制服風デザインである。
 レイア。
 矢絣の着物に海老茶色の袴、そして黒のブーツ。頭にはトレードマークとなる大きなリボン。スタンダードな服装である。
「あ、おかえりなさい!」
 出迎えたのは翠蓮姉妹である。
 席へ案内されメニューを手渡される。
 その種類は豊富。どれにするか悩むというのも飲食店の醍醐味の一つと言えよう。
 そしてチェノワと言えばきょろきょろソワソワしていて挙動不審である。うっかり間違えば不審者である。重度の引きこもりであった為に店自体が初めてであるからして、やむを得ないと言えばその通りかもしれない。
 そして各々注文をする。
ーーところで、ねえねえ!結月さんの依頼ってどんなのだったの!?結月さん、何も教えてくれなくって!
ーーちょっと、翠。不躾だよ!
 気になるじゃん、と駄々をこねる翠だったが、結月に窘められてしまう。
「んまぁ、問題を先延ばしにした分だけ後々えらい目にあうって事だナ。あんたらも宿題は溜め込むなヨ?」
 などと壱和がからかい誤魔化す。
「なぁ、結月って言ったっけカ。ちっとココの内装を見せてもらうのは可能かネ?」
ーーええ、構いませんよ?
 聞けば壱和自身も喫茶店を開こうかと思っているらしい。
 それとは別にニレンカムイが所蔵している怪談の本にも興味があるらしく。特に『猫』に関する代物。
ーーそれならそこの本棚に何冊かあります。書庫にもありますが……。翠、蓮。
ーーはあい。
 翠蓮姉妹が本の準備をしてくれるらしい。
ーー何か夜妖に関する情報をお求めでしたらこちらで情報収集も可能ですのでご用命くださいね。
 お礼を言ってから店内をゆっくり見て回る壱和だった。
そして時間が経ち。
 一同の前には注文した料理が並んでいた。
 どれもいい匂いがして美味しそうである。どうしても目を輝かせてしまう。
「……これ食べれるの……」
 ツェノワは震える手でスプーンを持ちアイスを一掬い。
「…………めっちゃおいしい…………」
 語彙力がないのはご愛敬と言うものだ。
 望乃には熱々でとろりと溶けたチーズと厚切りのハムを挟んだハムチーサンド。
 カットいちごにいちごジャム、いちごクリームといういちごだらけのいちご特盛サンド。
 そして熱々のカボチャのスープで体を温まらせる。
 好きなものが目の前に並べばついつい顔が緩んでしまう。
 レイアにはチョコとマシュマロを挟んだスモア風ホットサンドである幽霊サンド。
 そしてホットコ-ヒーである。
 なんともほっとできるひと時である。
「お仕事のある方もおられるみたいなので、軽食組はみんなでシェアできるものも注文してパーティーしますわよー!!」
 皆で喫茶店、という事でテンションが上がっているのだろう。真面目というか冷静沈着な普段の彼女とはギャップを感じるが、逆にそれがいい。俗に言うギャップ萌えという奴だ。レイアさん、可愛いな。
 そして目を瞠ったのは詩織の注文した特盛パフェセットである。
 知らない食べ物ばかりでどれを注文するか悩んだ末。
 やはり知らない物を注文、それに折角シェアするなら多い方がいいだろうーーと言う事で注文したはいいが。
 デカい。地獄が見れるかもしれないという文句付きだったが、何㎏あるんだこれ。
ーーこちらのパフェ、5キロございます。
「……デカすぎない?」
 ちなみにどんなパフェかと言えば。
 アイスに様々な果物にクッキーに……よくありそうなアレである。
 料金次第では段数も増える、とあるがそれはアイスが増えるのである。
 その後。
 和気あいあいとシェアしつつ食事は進んだはいいが。
 特盛パフェを全員でシェアした結果、本当に地獄を見たのは言うまでもないだろう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

PAGETOPPAGEBOTTOM