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シナリオ詳細

巨大センチピード、現る!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●平原に現れた巨大ムカデ
 その日、ローレットへと訪れたイレギュラーズ達は、見慣れた可愛らしい少女の姿を発見する。
「あっ、皆さん、こんにちはなのです」
 てくてくとこちらに駆けてきたのは、いつも元気な飛行種の少女、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)だ。
 彼女はとある厄介事を耳にしたようで、イレギュラーズ達へと解決を依頼したいのだと言う。
「お手隙なら、是非お話を聞いてほしいのです」
 世話になっている者も多いユリーカの頼みとあらば、耳を傾けるイレギュラーズも多い。
 彼女は嬉しそうに微笑み、説明を始める。
 なんでも、ローレットのある幻想の北東にある平原に、見上げんばかりに巨大な怪物が現れるのだという。
「とっても大きな、センチピードなのですよ!」
 『崩れないバベル』のおかげで、それがムカデと理解したイレギュラーズ達の表情が一気に険しくなる。
 ムカデという生き物は長い体躯にたくさんの足が生えた見た目もあって、毛嫌いする者の多い生物。
 また、一部漢方などにも使用されるが、毒を持つこともあって害虫とされることが多い。
「情報によると、赤い体表をしたセンチピードの全長は5m、高さは3mくらいあるそうなのです」
 そいつは平原にいる動物だけでなく人間をも捕食するようで、幻想でも危険視する存在となっているらしい。
 センチピードは体内で分泌される毒を大きな弾丸のように放出し、さらに強靭なアゴで相手に麻痺毒を注入して動けなくしつつ捕食するようだ。
「あと、尻尾の薙ぎ払いと、素早いにじり寄りも怖いのです」
 他にも、こいつは近距離の広範囲を尻尾で薙ぎ払い、強烈な打撃を与えてくる。
 また、前方を素早く往復するにじり寄りは、獲物をひき潰して相手を弱らせる為に行うようだ。
「次に、現場周囲の情報なのです」
 センチピードが生息しているのは、幻想北東の平原。
 基本的には、平原上で獲物を求めて彷徨うことが多いという。
 敵は寝る際に地中へと潜る為か、平原はやや凹凸もあり、穴が開いた場所も存在する。足元をすくわれぬよう十分注意して立ち回りたい。
 それさえ除けば、遮蔽物のない平原。基本的には自由に動くことができるので、連携して相手を叩くこともできるだろう。
「以上なのですよ」
 状況説明を終えたユリーカは、自らが依頼したとはいえ、危険な巨大生物と戦うイレギュラーズ達のことを心配して。
「凶悪な相手なのです。くれぐれも気をつけてほしいのですよ」
 彼女はそうして、平原に向かうメンバー達を激励したのだった。

GMコメント

イレギュラーズの皆様、こんにちは。
GMのなちゅいです。
平原に現れた巨大ムカデの討伐を願います。

●敵……ビッグセンチピード×1体
 全長5m程度ある体表の赤い巨大なムカデです。
 どこからか呼び出されたのか、
 あるいは無辜なる混沌で巨大化したのかは不明です。
 動物だけでなく、人間をも捕食しようとする危険な生物です。
 地面に潜ることもありますが、一度平原に姿を現した状態であれば、捕食をするまで地面に潜ることはないようです。

 以下のスキルを使用します。
・尻尾薙ぎ払い……物近域
 自分の周囲へと尻尾を叩きつけます。
・麻痺噛みつき……物至単・麻痺
 近場の相手へと食らいつき、麻痺毒で動きを止めます。
・毒液……神遠単・毒
 体内で分泌した毒液を遠くまで飛ばします。
・にじり寄り……物遠貫
 前方直線上にいる者全てに襲いかかります。

●状況
 草原での戦いとなります。
 多少凹凸があり、穴の開いた場所も有るようです。
 見通しも良い場所なので、敵の発見は容易である一方、
 遮蔽物がない為、立ち回りを考える必要があるでしょう。

 事後は、幻想のローレットで討伐報告後、
 のんびりと過ごすといいでしょう。
 普段、皆様がどうお過ごしなのか、演出できれば幸いです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願い致します。

  • 巨大センチピード、現る!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月31日 21時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

主人=公(p3p000578)
ハム子
ルウ・ジャガーノート(p3p000937)
暴風
琴葉・結(p3p001166)
魔剣使い
アリスター=F=ナーサシス(p3p002118)
モノクローム・ウィスパー
鬼桜 雪之丞(p3p002312)
白秘夜叉
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
シャーロット・ホワイト(p3p006207)
天使(こあくま)
フローラ=エヴラール(p3p006378)
白き閃刃

リプレイ

●平原に住み着く巨大ムカデ
 幻想の北東にある平原地帯。
 そこを目指す、イレギュラーズ達の依頼内容は……。
「センチピード……図鑑では見たことありますが、実物を見るのは初めてです」
 小柄な飛行種の少女、『鳥篭の君』シャーロット・ホワイト(p3p006207)が言うように、巨大なセンチピードの討伐が目的だ。
 とある世界の一地方において、ピードは足、センチは100を意味する言葉とされる。
 つまり、センチピードは百足……ムカデを意味するのだとか。
「ムカデかぁ。正直気持ち悪いから、苦手なのよねぇ」
 小柄な少女剣士、『魔剣使い』琴葉・結(p3p001166)も元の世界での経験からか、多少嫌悪感を示す。
「センチピード……見た目がちょっと苦手なのですが、動物や人を襲うとなれば放っておくわけにもいけませんね」
 異世界エヴラール国の王女、フローラ=エヴラール(p3p006378)もまた、あの見た目に毛嫌いする素振りを見せていた。
「ボクの故郷だと、ムカデ退治はドラゴン退治よりメジャーな感じなんだけど……」
 女性の制服を纏った『ハム子』主人=公(p3p000578)は、自身の世界を思い出して語る。
 彼女はギフトによって男性の姿も取ることができるが、今回は女性の姿での参戦らしい。
 また、公の地元はさらに、キメラ退治も知名度が高いのだとか。
「こっちではどうなんだろうね?」
 竜種自体はこの無辜なる混沌においてもなかなか姿を現さないようで、この世界出身のメンバーは首を振るばかりだ。
「ムカデは後ずさりができず、後ろに行きたい時は方向転換するしかないって本当なんだろうか」
 一見すると精悍な男性だが、その肌は絵の具を思わせるほどに白いのが印象的な『モノクローム・ウィスパー』アリスター=F=ナーサシス(p3p002118)。
「別段知りたくもなかった豆知識を、現実に確認することになるとはなあ……」
 そんな話をアリスターは以前耳にしていたが、それが事実であれば挙動の先読みができるかもしれないと考え、様子を見て仲間達へと話そうと考えていた。
「悪意あってやっていることではなくても、人々に被害が出る前に、頑張って討伐しましょう!」
 シャーロットの言葉に、イレギュラーズ達は気合を入れ直して。
「あんまり相手したくはないんだけど、仕事は仕事だものね」
 結もまた気持ちを切り替え、巨大センチピード退治に当たるのである。

 イレギュラーズ一行は途中で街道を北に逸れ、平原に出る。
 そこは、巨大センチピードが開けたと思われる穴がそこかしこに開いていた。
 その光景に、バッファローの角と尻尾を生やした獣種の『暴猛たる巨牛』ルウ・ジャガーノート(p3p000937)が怒りを漲らせて。
「美しい草原を穴ぼこまみれにしやがって……。俺達が駆除してやるぜ!」
 とはいえ、見通しの良い場所にも拘らず、現状は敵影が確認できない。
 この為、フローラは遠くから穴に石を投げ込み、おびき出しを試みる。
 結は宙を飛び、空中から索敵を行う。
 すると、穴の1つからのそりのそりと這い出てくる巨大な影に彼女は気付いて。
「いたわ」
 完全に平原へと姿を現した巨大センチピード。
 空腹の為か、そいつは獲物を求めて平原を彷徨い始める。
「大百足と聞き及び、どんな怪物かと思えば。確かに、大きなムカデでございますね」
 和服を纏う鬼の少女、『朱鬼』鬼桜 雪之丞(p3p002312)は相手の姿を目にしても淡々とした態度をとっているものの。
「きょ、巨大なムカデ……っと、流石に臆している場合ではありませんよね」
 金髪青緑色の瞳の片方を眼帯で隠す幻想種の男性、『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)も虫は得意ではないようだが、周囲に害なす敵と認識し直す。
「草原にゃ似合わねえ、グロテスクな外見しやがって……! ここまでデカくなると、害虫よりも害獣か?」
 屈強な肉体を持つジャガーノートもまた相手の姿に内心戦慄してはいたが、それでも強敵相手と肌で感じたからか闘志は十分な様子だ。
 巨大センチピードは4つ持つ単眼で、イレギュラーズ達の姿を捉えて近づいてくる。
 しばし、相手を観察していた雪之丞は小さく唸って。
「やはり、唯のムカデでございます」
 妖の類ではなく、ただ大きいだけの虫でしかない。
 ならば、対処も容易いと彼女は言い切る。
「それでも、油断大敵と申します故、全力を持って退治としましょう」
 メンバー達は雪之丞に同意しながら、接敵していく。
 各自、攻撃に最適な間合いをはかりつつ、貫通威力のあるにじり寄りを警戒して直線状に並ばぬよう気がけて散開する。
「それにしても……その、実物の動く姿を見ると……」
 シャーロットはつかず離れずの位置について、改めて初めて目にする巨大センチピードの姿を見つめる。
 うねる長い胴体、蠢く無数の足。そして頭部の凶悪なアゴ。
 そんな敵を前に、シャーロットはじりじりと後ずさりしてしまう。
「苦手な方が多いというのが、理解できました! ううう、近付かないでくださーい!」
 さすがに、彼女も敵を直視して寒気を覚え、戦いに支障のないよう薄目にしてできる限り相手を見ないようにしていたようだ。
 首をもたげたセンチピードは、どいつから食らおうか品定めする。
「ああ、でもあの独特の潰れる音とかあるのでしょうか?」
 ラクリマは声を震わせ、思ったことを呟く。
 声帯はないムカデが鳴くことはないが、周囲に落ちている草や小枝などが擦れて音を出すことがあるのだ。
 その間に、毒液を口から垂らしたセンチピードが襲い来る。
「まあ、困っている人が居たら助けるのがボクの役目なわけだし、今回も頑張って行こうか!」
 血の十字の描かれた巨盾を構えた公が改めて意気込み、皆戦闘態勢へと入るのだった。

●巨大な害虫ならぬ害獣駆除を
 襲い来る巨大なムカデ、センチピード。
 そいつは全長5mもある怪物だが、見た目に反して動きは非常に素早い。
 長い尾を薙ぎ払い、敵は素早く近場にいるイレギュラーズ達を薙ぎ払ってくる。
「こうして見ると、くっそ気持ち悪いぜ……。帰ったら武器はよく洗っておかねえとな……」
 身構えたジャガーノートは相手の一撃を防ぎきったものの、相手の見た目に嫌悪感を拭えない。
 それでも彼女は一撃を与えるべく、周囲を気にして立ち回る。
「正面はヤバそうだな……。こういう奴は左右から攻めるに限るぜ!」
 相手の側面から、ジャガーノートは手にする漆黒の大槌「大鐵」に闘気を宿して高く跳び上がり、勢いのまま相手を大槌で殴りつける。
 センチピードの体は思ったよりも硬く、その手にずっしりとした感触が伝わってきた。
「硬い甲殻だな! だが、俺がぶっ壊してやるぜぇ!」
 敵の体を粉砕しようと、ジャガーノートは躍起になっていた様子だ。
 こちらは初撃の薙ぎ払いにうまく対処し、雪之丞は水の魔力で膜を張った漣の鍔で受け流す。
 ただ、完全に防ぎきるとは行かず、彼女もその腕に痺れを覚えていたようだ。
「甲殻は、見た目通りの頑丈さでしょうか」
 その様子を見ていた雪之丞は相手の防御面を気にかけながらも、素早く仕掛けて。
「古来より、鎧は砕くより、隙間を狙うものです」
 漣の太刀【ミズチ】を抜いた彼女は、甲殻と甲殻の間を見定める。
 相手へと刃を突き立てた雪之丞は己の膂力も加え、相手の体を斬り裂かんとしていく。
「合間さえ斬れれば、拙の技量でも十分」
 とはいえ、あの巨体では今の一撃は蚊に刺されたに等しい。
 幾度も切り刻み、その傷を大きくせねばと雪之丞は相手の次なる攻撃のタイミングを待つ。
 ただ、この平原は敵がねぐらとすべく、穴を開けた跡がちらほらとあるのが厄介なところ。
「気をつけてください、穴があります!」
 シャーロットは仲間達に注意を促しつつ、自らは戦場に甘く切ないバラードを響かせた。
 近場の仲間へ、彼女の歌は仲間達に耐える力を与えてくれる。
「麻痺や毒が厄介な相手、これで少しは耐えられるはずです!」
 そんな彼女の援護を受けつつ、結が相手の背後へと回りこむ。
「イッヒヒヒ。狙うなら関節を狙え! 外殻にあてても効果は薄いぞ!」
 結にとって、本体とも言える魔剣ズィーガーが呼びかける。
 この魔剣は普段、相手を挑発することも多いが、何せ言葉が通じぬ相手だ。
 それもあって、今回魔剣ズィーガーは結のアドバイスに専念することにしていたらしい。
 結は平原に開いた穴を懸念して僅かに浮遊し、相手へと仕掛けていた。
 普段からアクロバティックな飛行戦闘は得意としているところであり、結は相手の注意を引きつける様目立つように飛び回る。
「蝶のように舞い、蜂のように刺すってね!」
 大きなアゴでの食らいつきをうまく避けつつ、彼女はうねった相手の関節部位を見定め、オーラソードを一閃させて相手の体を切り裂いてから離脱していく。
「見通しが良いのは好都合ですね。前衛が多い分広く戦えるのは強いです」
 敵から少し距離を取り、仲間の回復支援に当たるラクリマ。
「今のところは、問題なさそうですが……」
 できるだけ、後ろに毒液を飛ばしたくはない。
 そう考えたラクリマは前線メンバーの合間を埋めるように位置取ってから、歌い始める。
 ――氷雪のキリエ。憐れみを歌う、はかなく冷たい歌。
 祈りにも似たラクリマの歌は、仲間達を悪しき力から護ってくれる。
 丁度、シャーロットと別方向に展開していたことで、できるだけ多くのメンバーをカバーしていた形だ。
 そして、距離を取るメンバー達。
 アリスターは仲間達と直線上で重ならぬよう警戒しつつ、相手の攻撃に警戒する。
「毒とか噛みつき、おっかないしね。狙えるなら狙っていきたいなあ……」
 その上で、アリスターは集中力を研ぎ澄まして巨大センチピードの頭を捉え、インスタントバレルで狙撃していく。
 多少ずれたところで、相手の体を射抜くだけでも違う。
 全力での一撃を意識し、アリスターは敵の撃破を目指す。
 逆方向には、フローラの姿がある。
 仲間から距離をとる彼女もまた敵の遠距離攻撃を警戒していたが、回復役から離れすぎると援護を受けられなくなる為、程よい位置を保つようにしていた。
「通常の百足と急所が一緒かどうかは、わかりませんが……」
 漆黒の強弓「アルク・ノワール」を携えるフローラも相手の頭部目掛けて、素早く矢を飛ばしていく。
 相手も対処できぬ部分もあるのか、頭を射抜かれて痛みを感じ、頭部を揺らして暴れていたようだ。
 仲間達がうまく、牽制してくれている。
 公はある程度距離を置いた場所から、前衛陣の負傷状況を見て交替のタイミングを見計らう。
 もちろん、攻撃の手は緩めることなく。
 大盾「セイントクロスレプリカ」から、公は死者の怨念を一条に束ねた矢を飛ばす。
 ただ、その一矢は相手の甲殻を貫いたのみ。
 仲間の状況を見つつだと、公もなかなか相手に効果的なダメージを与えられないのが厳しいところだ。
 それでも仲間と連携をとりつつ、彼女は巨大な相手への攻撃を繰り返していくのである。

●布陣を変えつつ硬い甲殻を切り崩せ!
 巨大センチピードは己の空腹を満たすべく、擦れた音を立てながらイレギュラーズ達へと襲い掛かる。
 敵の正面を避け、立ち回っていたジャガーノート。
 大槌を振るって相手を叩き潰そうとしていた彼女だが、攻撃直後の隙を突かれて相手の強靭なアゴで喰いつかれてしまう。
 徐々に重なっていた尻尾での攻撃によるダメージも重なっており、彼女は運命に逆らう形で倒れることを拒否した。
 そこへ、すかさず公がカバーへと入り、巨盾に神秘の力を込めて殴りつけていく。
 さらにジャガーノートへとシャーロットが詠唱を行い、治癒魔術を使って癒しに当たっていた。
 回復するからといって、センチピードが待ってくれるはずもない。
 この為、シャーロットも防御をした状態で、回復に専念したようだ。
 ただ、立ち回りの都合でどうしても、治療の手が及ばぬ仲間が出てしまう。
 仲間から距離を置いていたフローラはラクリマの援護を受けてはいたものの、こちら側のメンバーが手薄なこともあって、攻撃を集中して受けてしまっていた。
 飛んでくる毒に対処できず、体力をすり減らすフローラ。
 彼女の黒弓から射放たれた迅速の矢は見事に相手の頭を貫いたものの、センチピードは怒り狂うかのように彼女目掛けて突進してくる。
 結もうまく気を引こうとしていたが、センチピードは一直線に這いずってフローラの体をひき潰そうとし、さらに射抜かれた頭で大きく口を開いて襲いかかってきた。
 一瞬の不意を突かれて体を砕かれるほどの衝撃を受けたフローラもまた運命に抗い、この場に立ち続けて戦うことを選ぶ。
「大丈夫ですか?」
 主に前線メンバーの傷を癒しに回っていたラクリマも若干遅れる形で、賛美の生け贄と祈りの歌を響かせた。
 敵のにじり寄り対策としてメンバーが大きく散開し、回復の手が回りづらくなってしまったのは、ラクリマにとってもどかしい部分でもある。
 とはいえその後、フローラはうまく距離を維持し、再度致命打を浴びないようにと注意して相手の攻撃に備えていたようだ。
 2人がパンドラの力に頼る間に、メンバー達は巨大センチピードの体に傷を増やす。
 主に、敵の気を引こうとしていた結。
 中盤は仲間へと気をそらされてしまってはいたが、その分、相手の死角に入って関節部へと幾度も斬撃を見舞い、相手の体深くに傷をつけていく。
 前線に立つ雪之丞は後のフローラが倒れた後は特に、刀で相手のアゴによる食らいつきを防ぎつつ戦いを進める。
 雪之丞も相手の関節部を執拗に狙う。
 幾度も斬りつけていけば、そこから敵の体液が流れ出し、センチピードの動きが目に見えて鈍ってきていた。
「これなら、いけそうだね」
 自身が前線に出るのは、最後の手段と考えていたアリスター。
 倒れかけた仲間はいたが、うまく布陣の交替は機能しており、その状態で敵を追い込んできている。
 だからこそ、アリスターは距離を維持したままで射撃を続け、一度全力で相手の頭をライフルで撃ち抜き、さらにセンチピードを弱らせていた。
 頭を何度も弾丸や矢で撃ち抜かれていたセンチピードはもはや限界に近いのか、尻尾部分を頭に擬態するようにして後退していく。
「これは……」
 アリスターがムカデのその行動に驚いていると、公が逃さず近距離から仕掛ける。
 大盾へと纏わせた暗闇。それを公は相手の腹へと押し込み、敵を無明の中へと封じ込めようとしていく。
 頭を潰され、残る体力も完全に闇に吸われてしまった巨大センチピードはついに絶命し、その巨体を平原に横たえていったのだった。

●依頼完遂後の一時
 傷つきながらもなんとか、巨大センチピードを討伐したイレギュラーズ達。
 その冥福を祈っていたシャーロットは、仲間達の手当てへと当たる。
 ジャガーノートやフローラが傷ついてはいたが、彼女達も大事に至る怪我ではない様子だ。
「ともあれ、お疲れ様」
 結が仲間に労いの言葉をかけると、ラクリマはかなり参った部分もあったらしく。
「虫の姿を早く忘れたいので、ゆっくりしたい……です……」
 できるだけ早く帰って、ラクリマは休みたい様子だ。
「ふぅ……、なかなかおぞましい奴だったぜ……」
 逆に、小休止していたジャガーノートであったが、彼女は程なく荒れた地面を均そうと活発に動き始めていたようだ。
 そんな彼女を残し、他メンバー達はひとまずローレットへと依頼完遂の報告へと戻る。
 そこで解散するメンバー達は。
「鍛錬の続きと参りましょうか。まだまだ、拙は未熟でございます故」
 雪之丞は動きの無駄をなくすべく、森に戻るとのこと。なんでも、おやつを美味しく食べるのだそうだ。
「今日も暑いですし、冷えた紅茶を出してくれるお店でも探しましょうか」
 シャーロットは最近、新たなカフェを開拓するのが好きなのだとか。
 露店巡りを考えていたフローラがそれに、興味を抱いていたようだ。
 一方で、アリスターは戦いのあった平原へと1人戻ってきていた。
 すると、彼は丁度、地ならしを終えたジャガーノートが大の字になって横になるのを見かけて。
「よし、元の静かな草原に戻った事だし、ちょっくら昼寝してから帰るか!」
 そう叫んだ彼女は豪快にいびきを立て、昼寝を始める。
 彼女の昼寝の邪魔をしないよう、アリスターは戦いの余波を受けていない離れた場所に腰を下ろす。
 アリスターは空を見上げたまま、横たわる。
 まぶたを閉じずに呼吸もしない彼のこと、傍から見たなら心配されそうではあるが、一般人がほぼ通りかかることのない場所の為、気に病む必要もない。
 本物の草木のある土地に、本物の青空。
 それらがあることが実に贅沢だと考えつつ、アリスターは昼寝を始めるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

巨大センチピードの討伐、お疲れ様でした。
どうぞ、ごゆっくりとお休みくださいませ。
参加していただき、ありがとうございました!

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