シナリオ詳細
<デジールの呼び声> 航路安全目指し、海賊潰し
オープニング
澄み渡る青空と白い砂浜。
晴れ渡る夏の日差しが照りつける。
海洋にある、とある島。
そこはリゾート地として観光客を受け入れている。
元々は田舎の島だったのだが、イレギュラーズ達の協力によりリゾート地として賑わっていた。
けれど、少しばかり問題が起こっている。
どういうわけか巨大化した海洋生物が出没するようになり、しかも危険性も高いのだ。
理由は分からないものの、そのままではお客さんの安全が守れるか不安ということで、調べる準備が進んでいた。
並行して、お客さんの安全を確かめるため、島に向かう船の航行ルートを調べて回ることにしている。
その護衛として、イズマ・トーティス(p3p009471)は同行していた。
◆ ◆ ◆
「今の所、可怪しな感じはしないね」
船の上から周囲を見渡していたイズマは、依頼人であるリリスとヴァンに言った。
「お疲れさま」
「飲み物を用意してるので、少し休んで下さい」
「ありがとう」
冷たいソフトドリンクを受けとり、イズマは喉を潤す。
その間も忙しく動いている船員が気になり、尋ねてみた。
「なんだか緊張感があるけど、どうしたの?」
「海賊の動きがあったらしいんです」
「海賊?」
不穏な言葉にイズマが軽く眉を寄せると、リリスが説明した。
「うちのリゾート島の住人って、昔海賊してたのよ。といっても、生活が苦しくてどうしようもない時に、通行料取るみたいな感じでやってたぐらいで、無茶はしてないらしいんだけど、その時の伝手が今もあるらしいの」
「……海賊同士の連絡網ってこと?」
「ええ、そう取って貰っても良いわ。その伝手によると、インス島とかいう所を根城にしてる性質の悪い海賊の動きが活発らしいわ」
話を聞くと、その海賊一派の名は『海乱鬼衆・濁悪海軍』というらしい。
「最近、深怪魔とかいう、危険生物が暴れてるけど、そいつらと一緒になって狼藉働いてるらしいわ」
「随分と、性質の悪い海賊だね」
イズマが、リリスの言葉に頷いている時だった。
「海賊だ! こっちに近付いて来てるぞ!」
その声を聞いて、イズマ達は船員の示す海上に視線を向けると、速度を重視した小型船が向かって来ている。
「あの大きさなら、数人程度でしょうね。いける?」
「うん。でも気は抜かないで。伏兵がいるかも――危ない!」
イズマは、船のへりから上がろうとしていた半漁人を瞬時に切り伏せる。
「他にも来てる、気を付けて」
次々と、船に上がろうとする半漁人。
「フォアレスターとかいう深海魔ですね」
「本当に協力してるみたいね、あの海賊」
近付いて来る海賊達の船に一瞥を向け、リリスは言った。
「これ見よがしに海賊が近付いて注意を引いてる隙に、深海魔が不意を打つように襲って来るってわけね」
「観光客が乗った船だと、ひとたまりもないですね」
「そうね……とりあえずボコりましょう。援護するわ」
「分かった。全員取り押さえよう」
イズマはリリスに応え、海賊を迎え撃ち――
ボッコボコにした。
「――じゃあ、シレンツィオ・リゾートに向かう船を襲うつもりだったけど、途中でうちの船を見つけたから行きがけの駄賃で襲ったってわけね」
「はぃぃぃ……」
ボコボコにされた海賊が、リリスに答える。
話を聞くと、インス島を根城とする海賊の一派らしい。
深海魔と協力している理由を聞くと、その方が楽だからということらしい。
「あいつらに付いて行ったら、勝手に襲ってくれるから、その後だと楽に奪えるんで……」
ろくでもないことしか言わない。
「海賊の中でも、ダメな部類ね」
「どうします? 刻んで海に撒きます?」
「ひいぃぃっ!」
険呑なことを言う船員に怯える海賊。
それぐらいにボコボコにしている。
少し離れた所で見張るように見ていたイズマは、小声でヴァンに訊いた。
「あいつら、どうするの?」
「更生させます。とりあえず労働力になるようには仕込みます」
などと話していると、リリスが近付いて来て言った。
「あいつらの根城襲いましょう」
「どういうこと?」
イズマが聞き返すと、リリスは説明してくれる。
「あいつら放っておいたら、うちの島に来てくれるお客さんの船を襲うかもしれないし、潰しましょう」
話を聞くと、リゾートまでの航路の安全も確保も兼ねて、危険を排除するために海賊を潰しつつ、労働力として確保。
労働力として仕込むのにもお金が掛かるので、溜め込んでいるお宝を接収して有意義に使う、ということらしい。
「本当は、元の持ち主に返せればいいんでしょうけど、難しいから」
「出来る限り有意義に使うつもりです」
ということらしい。なので――
「インス島を根城とする海賊を襲撃して貰う依頼を、ローレットに出すつもりです。もし良ければ、手伝ってください」
「分かった。考えておくよ」
応えるイズマだった。
というわけで、ローレットに依頼が出されました。
内容は、ダガヌ海域に存在するインス島を根城とする海賊を襲撃すること。
周辺のリゾート地の航路を安全にするために、お願いしたいとの事です。
捕まえた海賊から搾り取った情報によれば、インス島の近くに海賊の船があるとのことなので、それを襲いに行くのに協力して欲しいようです。
海賊船に近付くと、インス島周辺に出没する深海魔も襲って来るようですので、そちらは討伐して欲しいと要望を貰っています。
依頼内容を聞き、引き受けたイレギュラーズ達は、早速島に向かうことにするのでした。
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_icon/70420/85dfe99abd72ea16f7458a2140539091.png)
- <デジールの呼び声> 航路安全目指し、海賊潰し完了
- GM名春夏秋冬
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月08日 22時06分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
「海賊狩りじゃー!」
海賊船へと向かう船の中、、『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は声を上げた。
「深怪魔も海賊もフルボッコだぜー!」
鼻息も荒く気合も充分。
とはいえ、やり過ぎて海賊に死なれると困るので――
「え? 海賊は労働力にするからやりすぎるな?」
一瞬だけ間を空けてワモンは返す。
「わかったぜー!」
納得してくれるワモン。
今回の戦闘は海賊の壊滅だけでなく、船の接収や海賊の労働力化も目的。
それを改めて聞き、『放逐されし頭首候補』火野・彩陽(p3p010663)は胸中で呟く。
(海賊船の接収に、人も捕縛なあ。ま、ええわ。やるだけやったろやないかい)
懐に入れた相手ではなく、敵対する者に対して容赦する理由は無い。
(心折る位の戦いすればええんやろ。何とかしたるわ)
彩陽のように思うのは、他にも。
芳醇な香りの紫煙をくゆらせながら、『絶海』ジョージ・キングマン(p3p007332)も、考えを纏めるように胸中で呟く。
(襲撃されているところを利用する、か。漁夫の利とは言ったものだが、まぁ、深怪魔を利用する程度の小悪党なら、練度は低そうだ)
放置できない理由もある。
(シレンツィオリゾートには、うちも一枚噛めるようになったからな)
人の懐に手を突っ込むような輩は野放しには出来ない。
(無駄な損害を被る前に、海賊とはどういうものか、骨身に叩き込んでやろう!)
獰猛な意思を表に出さず飲み込みながら、気を鎮めるように葉巻を楽しんでいた。
その間も船は進み、依頼人と細かく打ち合わせをする者もいた。
「リリスさんとヴァンさんは、俺達の援護と船員への細かい指示を頼む」
依頼人とは何度か顔を合わせ共に戦ったこともある『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は指示を出す。
「船員には船の防衛を。海賊が集まってきたら取り囲むように動いて――」
効率よく人を動かす術を得ていることもあり、船員も含めて事前準備は巧く進む。話が終わり――
「頼りにしてるわ」
リリスに言われ、イズマは応えた。
「任せて。航行の安全確保は勿論だけど、海賊達の生活環境を改善するつもりで気合い入れて叩くよ」
細かな打ち合わせをする中、海賊に対して思うことがある者もいる。
「すごく海賊らしい海賊達ね、今回の相手は」
周囲の警戒に当たりながら言った、『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)に、『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)は応えるように言った。
「何というか、海賊もピンキリだよね。充分強くてプライドを持った海賊もいれば、今回みたいに割と手段選ばない奴もいる」
これに『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)も話に加わる。
「深怪魔に頼るような海賊だから、手段は選ばないタイプだろう。凶暴で鳴らした濁悪海軍も下っ端はこんなものなのかね?」
「そうかもな」
同意する様に返したのは、同じく警戒に当たっていた『威風戦柱』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)。
「だから警戒するべきは深海魔の方かもしれないが、苦戦しているフリ、をしないといけないのが面倒だ。まぁ、ひとまずは深海魔を減らさないとな」
「そうね」
同意するようにセレナは言った。
「深海魔を倒して本命の海賊に、きつぅく灸を据えてやらないと。悪い事をしたらお仕置きされるのは世の常だし。それが化物と徒党を組んで、ってなら尚更だわ」
「確かに」
エーレンが続けるように言った。
「無力な船を襲うために深海魔を利用するような輩には、易きに流れた報いはたっぷりと受けてもらわねばならないよな」
「同感だ。死なない程度に、ドギツくお灸を据えてあげた方が、二度と海賊になろうとは思わないだろう。生け捕りにしないといけないから、手心は必要だろうが」
雲雀の言葉に、セレナが同意するように続ける。
「そうそう。命までは取らないぐらいにしときましょ。あとで労働が待ってるみたいだし」
これに皆が同意してる時だった。
「見えてきたぞ」
海賊船を視認したメーヴィンが言った。
「依頼人にも知らせた方が良いだろう」
「俺が知らせて来る。警戒に当たっておいてくれ」
そう言うとエーレンは船室へ向かい、他の仲間は周囲の船員に注意するように言いながら警戒に当たる。
すぐさま船内は戦闘体勢へと移行。
皆がそれぞれ配置につく中、距離が近付いていき、深海魔達が船に上がって来た。
●戦闘
次々船に上がってくる深海魔達に、最初に反応したのはワモン。
ガトリングで一掃したい所だが――
(海賊が油断して近付いて来るまでは本気だしちゃいけねーんだよな? しょーがねぇ)
非殺傷弾を使い加減して弾をバラ撒く。
手加減しているとはいえ、見た目が派手に動くワモン。
一方、雲雀は姿を潜めて隠す。
(話を聞く限りは、人数がより少ないと思わせておけば余計に調子乗ってくれそうだ)
気配を隠し、海賊達に気付かれないよう物陰に隠れていた。
雲雀の動きに倣い、船員達の一部も隠れている。
すると深海魔は、どんどん無警戒に乗り込んできた。
そこでエーレンは、怯えた演技をしながら深海魔をあしらう。
「く、来るな!」
腕だけを振り回すようにして剣を振るう。
(海賊達に見えやすい位置は……ここだな)
深海魔に追い込まれているように見せながら剣を振るう。
下手をすると船にも当たりそうだが、保護結界を張ることで防ぎながら海賊の襲撃を待っていた。
海賊を誘き寄せるため、わざと追い込まれているように見せているので、どうしても多少の傷を負ってしまう。
しかしそれは、メーヴィンが対処してくれている。
(数が多い。苦戦はしそうだが……ま、なんとかなるか)
海賊の戦力は未知数だが、深海魔の実力は早々に見極めが可能な程度。
(この程度の戦力を頼る相手なら――)
実力を隠すため、本来よりも遅いサイクルで仲間を癒していく。
(壊滅しない程度に戦線維持……以外と難しいわな)
引き付け役の仲間を中心に癒していった。
その2人、イズマとジョージは巧く役をこなしている。
「掛かって来い! 俺が相手になる!」
口上で注意を引きながら、最強を想起させる幻想を纏い、イズマは深海魔を引き寄せる。
巧く効果を発揮し、難敵だと判断した深海魔が続々とイズマに集まってきた。
(よし、これで良い。あとは――)
仲間や船員が不意を突かれないよう、引き離すように誘導する。
深海魔達は気付けず、多数が押し寄せてきた。
「数が多い……! このままではまずいぞ!」
追いつめられた演技をし、操る様に深海魔達を誘導していった。
イズマの動きで、敵の密度がバラける。
それを加速するように、ジョージが動く。
(攻めやすい箇所を作ってやるか)
海賊が乗船し易いよう、空白地帯を作るように動く。
防御主体で敵の攻撃を捌きつつ、相手に悟らせず誘導。
(船員の被害が出ぬようにしたい所だが)
ジョージの意を汲むように、邪魔にならないよう動く船員。
(そういえば、元海賊と言っていたな。これなら問題なかろう)
周囲の状況を判断しながら、ジョージは的確に動いていた。
そうした動きを確認しながら、彩陽は後方で援護射撃を繰り返している。
(ぼちぼち味方巻き込まん程度にやらせて貰おか)
彩陽は連携を意識し援護を重ねる。
(おびき寄せなあかんし、気ぃ使うわぁ)
射撃を重ねながら、度々移動。
(狙い目のポイントは、この辺やろな)
総力戦の前に射撃ポイントを確かめるようにして、仲間の援護に動いていた。
ここまでの戦いで、巧く追い込まれているように見せることに成功している。
その甲斐あって、海賊船は接舷するために近付き乗り移る準備をしていた。そこで――
(そろそろみたいね)
魔女のホウキに乗り、ファミリアーの鳥を飛ばし戦場把握を行っていたセレナは、仲間の間を飛び周りハイテレパスで連絡。
(海賊が乗り込んでくるわ。逃げられないよう引き付けて、そこから一斉攻撃しましょう。攻撃の合図は、わたしが海賊達に啖呵を切って攻撃するから、そこから始めましょう。それで良い?)
皆は応じる。
その間に海賊は船に乗り込んで来た。
状況をセレナは見極め、海賊達が逃げられないほど踏み込んできた所で――
「そこまでよ!」
海賊の前に立ちはだかり、自身を鼓舞するように高らかな声で言った。
「全員投降しなさい! ここからは本気で行かせて貰うわ!」
啖呵を切ったのが、若い女性のセレナだったので海賊は侮る。
下卑た笑みを浮かべ無警戒に近付き――
「ぎゃあ!」
神聖なる光を叩きつけられ戦闘不能にされた。
「テメェ!」
仲間がやられ怒声を上げながら海賊達が襲い掛かってくる。
怪物ではなく人間の明確な敵意をぶつけられ、一瞬動きが止まりそうになるセレナだったが――
「その調子や!」
彩陽が援護射撃。
「こんだけ数が多けりゃやりたい放題や! 死なん程度に殺してこう!」
海賊に圧を掛けるため、彩陽は楽しげな笑みをわざと浮かべ連続射撃。
混乱させ動きを鈍らせた所で、精密射撃。
足や腕を撃ち抜いていく。
「次はどこがええ? まぁ、全部撃ち抜いたら止まるやろ」
トリガーハッピーのように見せかけながら、実際は仲間の援護を中心に狙撃していく。
それに助けられながら、セレナも海賊に立ちはだかる。
逃げ道を塞ぐように攻性結界を展開。
「この結界、易々と破れるとは思わないことね!」
連続して神聖なる光を叩きつけ、海賊達を倒していく。
怯んで逃げようとする海賊。
入れ替わるようにして深海魔が押し寄せるが、こちらは殲滅の光を放ち灰に変えていく。
(このままの勢いで、でも船には傷をつけないように)
周囲への被害も考えながら戦っていった。
一転して攻勢に出るイレギュラーズ達に、海賊達は混乱する。
そこにワモンが嵐のように弾丸を放つ。
「うおおお! リコシェット・フルバースト祭りだぜー!」
無数の弾丸が、深海魔たち目掛け放たれる。
魔力を込められた弾丸は周辺空間を跳ねまわり、次々深海魔を穿っていった。
やられていく深海魔に、海賊達は怯えたように悲鳴を上げる。そこに――
「海賊どもー! 死にたくなかったらまきこまれねーように気をつけろよー! オイラはうっかりもあるからなー!」
念のため、海賊を狙う時は非殺傷弾で撃っていくが、そうとは知らない海賊は逃げ回る。
混乱する海賊達。
そこに雲雀が、神聖なる光を連続で叩き込む。
(死なないように)
不意を突くように放った光撃波は海賊を吹っ飛ばすが、加減を意識して撃ったので死んでない。
(必要以上に深手を負わせたら労働力にならないだろうから……気を引き締めてかからないと)
注意して戦闘不能にしていくと、深海魔が襲い掛かってくる。
即座に攻撃の種類を切り替え、黒のキューブで包む。
キューブが消えたあとには、呪殺された深海魔が残る。
しかし仲間がやられても深海魔は恐れを見せず突進。
雲雀は追い詰められたかのように後退していくと――
(この位置なら、周囲に被害は出ないだろう)
船が破壊されないよう意識しながら小妖精を具現化。
近付いてきた深海魔に放ち、次々粉砕。
それでも生き残り近付く相手には、金色の煌めきを宿す刃で切り裂いていった。
イレギュラーズの猛攻に海賊は混乱し、中には狂乱したように暴れる者も。
それを鎮めるように、エーレンは刃を振るう。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。お前たちは死にはしないので安心しろ。きちんと働いて飯を食え」
海賊を説き伏せるように口上を告げると、まずは深海魔に向かう。
重心を落としたかと思うと、次の瞬間には間合いを侵食。
鞘鳴りの音を僅かにさせ、瞬速抜刀。
それは、まさしく一閃。
刃の煌めきすら見せず、深海魔を斬り伏せた。
深海魔がやられ、怯えた海賊が襲い掛かってくる。
そこに振るわれるは、慈悲の一撃。
鞘ごと抜いた得物を振るい、海賊の群れを走り抜ける。
的確に急所以外を打ち据え、殺さず無力化した。
海賊を殺さず無力化するという、手間のかかることをしているため、どうしても無傷というわけにはいかない。
しかしそれを、メーヴィンが癒して回ることで戦力は最大に維持されている。
僅かに与えた傷すら癒されるのを見た海賊は、メーヴィンを人質にしようと襲い掛かった。だが――
「さて、本気出して終わらせようか」
指一本メーヴィンには触れない。
メーヴィンは機導具を操り海賊の攻撃を防ぎ、あるいは逸らすと、常に適切な間合いを維持する。
「くそ! 女1人に!」
組し易いと思ったメーヴィンに翻弄され、海賊達はむきになって襲い掛かってくる。
「囲め!」
一斉に襲い掛かって来る海賊達を捌きながらメーヴィンは後退していると、深海魔が背後から襲い掛かってきた。
だが、メーヴィンは一蹴する。
呪鎖を縦横無尽に操り、刻む。
驚いて固まる海賊達に――
「人を見た目で判断するのは、だめだぞ?」
忠告し、再び仲間の回復に動いた。
皆は海賊を追い詰めていく。
それは格の違いを知らしめるような戦いでもあった。
「さぁ、本当に食われる方はどちらか、思い知らせてやろう!」
ジョージは威風堂々真正面から敵の群れに跳び込む。
一斉に襲い掛かってくる深海魔と海賊。
しかし近付く事すら出来ない。
鋭く、そして重い乱撃で刻み血の花を咲かす。
深海魔には容赦なく、海賊は死なない程度には加減して蹴散らしていく。
あまりの勢いに海賊は自分達の船に逃げようとするが、それを追い駆け乗り込む。そこに――
「テメェなんだ!」
明らかに他の海賊達とは違う男が怒鳴る。
(頭目か? ちょうど良い)
ジョージは真っ直ぐに襲い掛かり、口上を告げる。
「俺はジョージ・キングマン。同じ海賊だ。一党を率いる者として、お相手願おうか」
宣言するように言った。
「海賊に貴賤はないが、海の男なら、どうあるべきか。その骨身に叩き込んでやろう!」
押し潰すような勢いで攻撃叩きつけていく。
防戦一方の海賊の頭目は、格の違いを否応なしに気付かされた。
そんな頭目を助けようと海賊が加勢に加わろうとするが、イズマが大立ち回りで全てを叩きのめす。
「ひっ、なんだこいつ!」
「さっきまで弱かったくせに!」
海賊の引き付けのため、力を抑えていたイズマは本領を発揮した。
多数の海賊の間を立ち回り、一度も止まることなく動き続け攻撃を重ねる。
神聖なる光を叩きつけられ、次々倒される海賊達。
あまりの強さに逃げ出そうとする者も出るが――
「襲っておいて逃げられると思うなよ!」
大喝一声で動きを止める。
「深海魔相手におこぼれに与ろうなんてのは甘い!」
途切れず叩きのめし、強さを示す。
戦う前から勝てぬと分かった海賊はリリス達を人質にしようとするが――
「舐めた真似をするなら海に沈めるぞ!!」
イズマは許さない。
人質を取る暇など与えず叩きのめし、次々戦闘不能にしていった。
イレギュラーズは、海賊も深海魔も終始優勢に押し切る。
その勢いのまま全てを倒し、完全に制圧した。その後――
「どちらの船も問題ない。このまま航行できるよ」
船の破損がないか、雲雀や船員が安全を確認。
問題なしとして帰路につく。道中――
「これ以上、知っていることは無いんだな?」
「……はい」
ジョージは海賊からインス島周辺の情報を訊くも、特質するほどの情報は得られなかった。
(正に烏合の衆、といった奴らだな)
ため息をつくように思いながら気分転換に葉巻を楽しむ。
尋問の間も海賊は大人しく、逆らう気力があるようには見えない。そんな彼らに――
「いいかー海賊どもー!これにこりたら二度と一般人に迷惑をかけるんじゃねーぞー! ここにいるのがオイラだからまだこの程度ですんでるんだからなー?」
ワモンは言い含めるように言った。
「オイラがじひぶけーアザラシで助かったって感謝しなよ! そして働いた金でオイラにイカをおごって恩返しすんのもわすれねーようにな!」
「……働く……?」
吊るし首にでもされると思っていた海賊は、窺うように見上げる。
するとイズマが言った。
「楽して奪う以外の生活が出来るように手を貸すよ」
雲雀たちに縄で縛られ動けない海賊達は、不審感を抱きつつも反抗するだけの気力は圧し折られているので静かに聞いている。
(すぐには無理か……)
海賊達の様子にイズマは思いながらも諦めず言葉を掛けていく。
「そもそも収奪に依存した生活は不安定だ。そうじゃない、安定した生活を送れるように力を貸す。その日暮らしの海賊は辞めて、新たな生活に踏み出そうよ」
応えは返って来ず、けれど不審混じりの目で、じっとイズマを見ながら言葉に耳を傾ける海賊達であった。
こうして海賊を完全制圧し心をへし折ったイレギュラーズ達は、帰路につくのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
皆さま、お疲れ様でした!
皆さまの尽力で、海賊の脅威が無くなり、航路のひとつが安全に保たれることとなりました。
また、海賊達は1人の死者も無く、その上で心をへし折られてるので、当面は従順です。
そのあと、先輩の海賊たちと一緒に更生プログラムに掛けられて、しっかりと教育されていく予定です。
それらに掛かる費用は、今回接収した船や溜め込んでいたお宝から出るので、時間は掛かりますが破綻なく海賊達の更生は続くことになります。
それでは、最後に重ねまして。
皆さま、お疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
今回は、アフターアクションでいただいた内容を元に作った物になります。
そして、以下詳細になります。
●成功条件
海賊の制圧。
●状況
航路の安全確保のためにインス島の周辺海域に向かうことになります。
現在、インス島近郊の制圧を目指し、海上および海底に一斉攻撃が行われています。
そのため結果として、インス島近郊の制圧に協力する形になります。
航路安全目指して海賊ボコしに行ったら、制圧協力の一環を手伝うことにも繋がっていた、という状況になります。
●舞台
ダガヌ海域に存在するインス島。
その周囲の海域にいる海賊船との戦いになります。
●戦場
船の上での戦いになります。
多少、入り乱れての戦いになります。
●敵
海賊×50
海乱鬼衆・濁悪海軍と呼ばれる海賊の一派です。
それなりの強さをしてます。
倒した後、更生も兼ねて労働力にする予定です。
色々と仕込み易くするため、心をへし折る勢いでボコボコにして欲しい、との事です。
深海魔×??
フォアレスターと呼ばれる、半漁人型の敵です。
雑魚の類ですが、それなりの数が出てきます。
●流れ
今回は、海賊の一員を事前に捕まえ情報を得ています。
それにより、以下のような流れでの戦闘が予定されています。
1 海賊船に近付く
2 深海魔が船に上がって来るので、それを迎え撃つ。
3 深海魔に襲われているのを見て、海賊が船を寄せて来て乗り込んで来るので戦う。
4 海賊を全て倒し、海賊船と、船に積み込まれているお宝は依頼人が接収。
という流れになります。
捕まえた海賊からの話により、深海魔に襲われているのを確認してから、海賊は襲撃して来るようです。
ですので、苦戦しているように見せて油断を誘う、などもやり方も出来ます。
その他、どういうように戦闘などを進めていくかは、PC達に一任されています。
●味方NPC
リリス&ヴァン
依頼人です。同行します。
バフとデバフ要員です。PC達の支援に動きます。
PC達の要望をきいてくれます。
船員×50
元海賊で、現在はリゾート島の従業員な島民です。
多少戦えるので、PC達が海賊船に乗り込んで本格的に戦う間に、船を防衛し続けて貰う、ぐらいのことは出来ます。
その他、指示を出して貰えれば、それに沿って動きます。
戦闘後、奪った海賊船を動かしてくれます。
●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。
●特殊ドロップ『竜宮幣』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru
竜宮幣については、海賊が船に溜め込んでいるお宝の中にあり、それを依頼人が譲り渡してくれるものになります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
説明は以上になります。
それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。
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