PandoraPartyProject

シナリオ詳細

お帰りくださいませェッ!! ご主人さまァッ!!!!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●コンセプトカフェ「エレガンス」
「おかえりなさいませ、ご主人さま」
「お嬢様、お茶のご用意はいかがいたしましょうか」
 電気街の一角にある、コンセプトカフェ「エレガンス」。
 日差しの照返しがまだまだ厳しい夏の休日。この日も涼みに来たご主人様・お嬢様たちで、店は賑わっている。
 さて、このエレガンス、メイドだけではなく執事も沢山いる。店のオーナーのこだわりで、老若男女関係なく富豪の気分を味わってほしいが為、ということらしい。現に若い男女の客であれば「お嬢様」や「ご主人様」「坊ちゃま」、すでに白髪が混じり始めているような淑女に対しては「奥様」など、雰囲気作りは徹底されている。
 名物は優美なアフタヌーンティーセット。綺麗に盛り付けられたサンドイッチや芳醇なバターが香る胚芽のスコーンが高級感のある食器に盛られ、温かい紅茶を口に含めばそれらの甘みを程よい苦みとともに引き締めてくれる。
 そんな店の客層は、基本的にはとても良い。

 ──基本的には。つまりそれは「例外」もあるということ。

 店の扉が空いた音で、従業員の視線が一斉にそこへ向くと、そこにいたのは4人組の客だった。……なんとなく、(悪い意味での)癖の強さがオーラからにじみ出てるような、そんな客。

「あー、あのお客様方は……うん、気をつけておかないと」
 スタッフたちがアイコンタクトを取る。ヤバイ客の気配というものは何となく全員に認識されたようだった。
 彼らは、料理に髪の毛が入っていたというクレームからお姉ちゃん可愛いねぇとセクハラまがいのボディタッチ、更には店の雰囲気にそぐわないような大きな声で騒いだり頼んだ料理をほとんど手を付けず残すなど迷惑行為を繰り返した。
 閉店まで居座られ大変だったが、その日については「大変だったね」の一言で無事終わりを告げた。

 ──が、その次の日もそのまた次の日も、彼らは店に訪れた。
 迷惑行為を繰り返した挙句、しまいには他の客ともトラブルを頻繁に起こし、いいお客様は離れていく。
 出入り禁止にしようにも、オーナーがいないタイミングを見計らってくるためそれもできずにおり、頭を抱えている。
 注意しても彼らは「お客様は神様だろ」の一点張りで、聞く耳を持とうとしない。

「このままでは店が潰れてしまう」
 オーナーやスタッフたちの疲れとストレスがによるどんよりとした空気が、閉店後の店内を包み込んでいた。

●お客様は何様?
「お客様は神様とは言っても、これじゃ疫病神だわ」
 プンプンという擬音が聞こえそうな勢いで、ポルックスは口を家鴨の嘴のようにとがらせる。
 誰が見ても迷惑なことを繰り返す客に対して、彼女自身も憤慨しているようだ。
「……とはいえ、そんな疫病神を出入り禁止になかなかできないっていうお店のほうにも、少し問題はあるわね。とにかく貴方たちにはその迷惑千万な神様たちにお引き取りいただいたうえで、二度と敷居をまたぐことが無いようにしてほしいの」
 ふぅっ、と一旦落ち着くと、ポルックスは「そういえば」とイレギュラーズの方へ向き直った。
「お客様としてお店に潜入してもいいし、お店のスタッフとしてふるまってもいいわ。ただ、お店のスタッフについては制服着用になるからね……え? 生物学的な性別とは逆の制服も着てみたい? まぁ。それは、お店と要相談じゃないかしら……とにかく、落ち着いてお茶が飲める場所を取り戻してきて!」
 店としても、疫病神をこのままにはしておけないから、ね?
 そう言う彼女のティーカップからはゆったりと白い湯気が立昇っていた。

NMコメント

おはようございますこんにちはこんばんは。水野です。
お客様は神様とは言いますが、迷惑な神様ってホントにいますよね。
私も飲食店でアルバイトをしていた時に何度か遭遇しましたが、その日は結構しんどかったです。
さて、今回はそんな迷惑なお客様にお引き取り願おうという、そんなお話。

●舞台は?
 現代日本の秋葉原のような街の一角にある「エレガンス」というコンセプトカフェです。
 メイドさんや執事さんが働くコンセプトカフェですが、通常のメイド喫茶のように「萌え萌えキュン♡」とおまじないをかけるようなところではなく、純粋にスタッフさんからの給仕を受けることができるというコンセプトカフェです。

●目標
 迷惑な団体客にお引取り願い、もう二度とこの店に来られないようにしましょう。

●手段について
 もう二度と団体客が来ないようにしてもらえれば良いので、手段は問いません。
 つまり、店内で戦闘になっても問題ないとしています。
 もちろん、言いくるめたり策略にハメたりなど、他の手段でも構いません。

●迷惑な4人組について
 それぞれ、以下のような迷惑行為を店で繰り返しています。
 ・セクハラまがいの言動(男性)
  →特に女性従業員へのボディタッチなど。手つきがなんかねちっこい。
 ・理不尽・虚偽のクレーム(女性)
  →自分の髪の毛や入るはずもない虫(の玩具)を使い、難癖をつけて料金を浮かせようとする。
   要はめっちゃセコい。
 ・食べ残し(女性)
  →いわゆる「映え」だけ狙って料理にほとんど手を付けない。
   なお追加料金の話をされるとキレます。
 ・大声・他の客へのちょっかい(男性)
  →飲み会帰りに大声で騒ぐタイプの大学生を想像すれば分かりやすいかと思います。
   また、セクハラまがいの言動をする男性と一緒になって女性客をナンパしたりします。

●制服について
 従業員として潜入する場合、基本的に男性であれば「モーニング」と呼ばれる執事さんが来ているスーツ、女性であればくるぶし丈の黒いロングスカートに白いエプロンを合わせたメイド服を制服として着用します。
 なお、男装・女装したい方は遠慮なくやっちゃってください。オーナー……もとい私が見たいです()

●サンプルプレイング
「そんなに騒いで何が楽しいのでしょうか、お坊ちゃま。他のご主人様方の楽しいお時間をこれ以上邪魔するということであれば……お坊ちゃまの教育係として、手厳しくいかせていただきます。さぁ、お痛が過ぎたらどうなるか、お勉強していきましょうね?」

それでは、疫病神にはおうちに帰っていただくことにしましょう。
皆様のご参加を心よりお待ちしております!

  • お帰りくださいませェッ!! ご主人さまァッ!!!!完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年08月29日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい
佐倉・望乃(p3p010720)
貴方を護る紅薔薇
レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)
青薔薇救護隊

リプレイ

●始業前ミーティング
 開店前のホールで、始業前のミーティングが行われる。いつもなら従業員のみのミーティングだが、今回は迷惑客対処のためイレギュラーズ達も参加している。
「迷惑な客というのは古今東西にいるものだな」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)はやや呆れた顔をして溜息を吐く。実際に対処する店側の苦労というものが、やや暗めの従業員たちの顔から読み取ることができた。
 面倒臭そうにモーニングのジャケットに袖を通しながら、どう対処していくのかを考えている。
 そんな世界とは対照的に、ニコニコしているイレギュラーズも。
「ふふふ、メイド服って一度着てみたかったのです。ワクワクしますね」
 『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)は初めて着たメイド服の裾を嬉しそうにひらひらさせ、くるりと回る。小柄で柔らかい雰囲気の彼女のメイド服姿は、従業員の目の保養にも待っているらしい。ぽつぽつと「可愛いよな」という声が聞こえる。
 そして、メイド服が似合う人物はもう一人。
「マナーのなってないお坊ちゃまにお嬢様、ですか」
 涼やかな表情で、『青薔薇の御旗』レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)は長い金髪を一つに束ねる。ポニーテールが揺れてその様相はまさに「デキる使用人」そのものだ。
「しかしまぁ、そういう『なってない』ご主人様どもをどうするかって話なんだがよォ」
 『悪戯幽霊』クウハ(p3p010695)は、従業員たちが思案している中でニヤリ笑う。
「俺様に考えがある……まァ、心配すんな。お灸を据えれば良いんだろ? 『突発イベント』開催って訳だ。ケケケッ!」
 クウハが一同に話終えると、その場にいたオーナーも黙って首を縦に振って承諾する。
 コンセプトカフェだからこそできる、突発イベント。
 迷惑な客が来る前に、従業員・イレギュラーズ全員で協力して、他の客への告知を行うのであった。

●突発! 「教育」イベント!
「……という訳ですので、本日は『教育イベント』を行わせていただきます。旦那様・奥様、そしてお坊ちゃまお嬢様方、ご賢察いただければと」
 オーナーが丁寧に今日の『突発イベント』について客に丁寧に説明して回る。定期的に店に訪れる常連客は諸々を察した様子でオーナーの方を見ていた。
 イベントの概要は「非常識で礼儀作法がなっていないお坊ちゃま、お嬢様への過激な教育イベント」というもの。
「良いところ御家柄なら、そういうのはちゃんとしてなきゃならねェ。ってことは、なってないものに対しては躾を。当たり前だよなァ?」
 とクウハは言っていた。
 要は問題の客たちを見せしめという形で懲らしめよう、ということである。

 ──そして、時が来た。迷惑客のお出ましである。

 バァン、と大きな音を立てて店の扉が開く。従業員たちは皆苦虫をかみつぶしたような顔をして、彼らの方を見ている。
「お、今日は新人が4人もいんのか! こりゃぁご主人様としてイジり甲斐があるなぁ!」
 関に案内されると迷惑客の中で、一際声が大きい男が、調子に乗ってげらげら笑っている。
 「うわぁ、これはまた頭の悪そうな……」
「いけませんよ、相手はあくまでもご主人様方、無礼よろしくありませんよ」
 世界がドン引きしながら呟く世界に、レイアがメイド然として釘をさす。
「良いんじゃねーの? 俺らは新人だ。多少粗相があっても仕方ねぇよなァ?」
「そ、それはそうですね……であれば、参りましょうか。それぞれ、打ち合わせ通りに……!」
 クウハが笑い、望乃も気合十分だ。様子を見て、彼らのもとへ行く機会をうかがっている。

 数分後、早速男2人が案内された席を離れて、ほかの客やメイドに絡み始めた。
 特に若い女性客やメイドに対し、セクハラや大声でのナンパが目立っている。そこに最初に向かったのは世界だ。
 2人組の、声の大きい男の方につかつかと寄っていき、声をかける。
「お坊ちゃま方、あまり大きな声を出したり、ほかの方々にご迷惑となるような行為は、よろしくありません。どうか、席にお戻りください」
 執事たるもの、あくまで穏やかに、窘めるように声をかける。最も、聞く耳は持っていないようだが。
「お坊ちゃまだったら、そういう社交の場は必要ってもんだろ? だったら、使用人のお前に、止める権利なんてないよな?」
「そうそう、よそのお嬢様にもきちんとご挨拶するのも大切ってもんだろ」
 一人はそのままセクハラを続え、もう一人の男は世界に詰め寄って、世界の胸倉を掴んで揺する。
 はぁ、と彼の目の前であからさまに世界は呆れると、そのままの穏やかな表情で声の大きな男に言い放つ。
「おやお坊ちゃま、猿の物真似がとても上手でいらっしゃいますね。そのまま動物園の檻へと入るご予定でもおありですか? もしそうなればきっと素晴らしい見世物になると思いますよ」
「……何だとテメェ!」
 そういって、男は殴りかかるが、軽やかな動きで世界はそれを回避、そして鳩尾に一発お見舞いする。小さく呻き声を上げて、男はその場にうずくまった。
「失礼。ただ私も人間なので。正当防衛ですね」
 呆気にとられている他の客に、失礼しましたと一礼する。そんな彼に、既存の従業員たちにセクハラを働いていた男が殴り掛かろうとする……が。
「よォ、坊ちゃん。レディへの礼儀がなってねーな。レディには紳士に振る舞えってママから習わなかったのか?」
 いつの間にか、セクハラ男の背後に立っている。細身の男性とは思えないほどの力で手首を掴み、相手が痛がるのを歯牙に掛けることもなく腕の関節を反対方向に捻じ曲げていく。
「イテテテッ! お前!僕はご主人様だぞ?! 礼儀ってもんがなってな……」
「すまねーな。俺は執事になって日が浅いんでね。主人に対する礼儀ってもんを知らねーんだわ」
 ──特に躾のなってねェ馬鹿に対する礼儀はよ。
 そう言うと、有無を言わさずスケフィントンの娘で出現させた黒いキューブで、セクハラ男を包み込んでいく。
 その場に倒れこんだ男の苦痛に喘ぐうめき声や叫び声が聞こえてくるが、クウハは相も変わらずニヤニヤと笑っている。
「もっとデカイ声で言ってくんねーか? あぁ、デカイ声ってのは良くねェか」
 クウハは、世界と大声で騒いでいた男の方に振り返る。
「他の主人に迷惑だ。それが分からん馬鹿もいたっけな?」
「あぁ、いるぜ。とびっきりお痛の過ぎたお坊ちゃまがな」
 ヒッ、と小さな悲鳴が上がる。先程までの威勢など想像もできないほど、男はしおらしく小さくなっていた。

 一方その頃。
 テーブルの上にはここれでもかとスイーツや料理が提供されているが、4人で食べきれる量とは思えない。
 そこに、望乃が声をかける。
「あらあら、今日のお嬢様は随分とお腹が空いていらっしゃるのですね。そんなに沢山お料理を注文なさるだなんて……勿論、全て召し上がるのですよね?」
 にこやかではあるが目は笑っていない。そしてその手に握られているのはロープだ。
 頼んでる以上こちらの勝手じゃないかと食ってかかる女性客に、望乃はひるまず続ける。
「当館では、お料理のお残しは厳禁ですもの。万が一、食べる気が無いのに料理を頼んで大量にお残しされた場合は、罰としてお小遣いを没収(追加料金)になりますが……おっと、食べ終わるまではお席を立つのは許しませんよぉ」
 それでも文句を言う女性を椅子に縛り上げる。胃がはちきれそうになっているのか、苦しそうな表情を受かべている。
「頑張れ♡頑張れ♡」
 女性からしたら無慈悲ともいえる望乃の応援歌が、隣に聞こえてきている。
 その横で、女性客にはレイアが対処にあたる。
「お嬢様、如何なさいましたか?」
「ねぇ、こんなところに髪の毛!」
 恭しく一礼して周りを確認し、周りの状況を確認する。クレームを入れようとするのは彼女一人、そして共謀者はいない。髪の色、長さをぱっと確認したところ……どう見ても目の前の彼女のものである。
「お客様、この髪の毛はお客様自身のものでは無いでしょうか?当店は衛生面を徹底しているため、このようなことが連続して起こることは少ないはず」
 はぁ、とキレる女性客に、レイアは淡々と続ける。
「ですがなぜ、お客様のものだけ連続して異物が混入しているのでしょうか。この髪の毛の長さや色といいお客様自身のものでは無いでしょうか?」
「何よ! お嬢様の言うことが間違っているっていうのかしら?!」
「えぇ。その通りでございます」
 掴みかかる女性になおも冷静に、事実を述べていくレイア。
 しびれを切らしてクレーマー女性が暴れようとした瞬間、男性2人が彼女の目の前にボロボロになって放り出される。
「躾のなってねェ奴に関しちゃ俺は女にも容赦しねェ。大人しく他の奴らの言う事聞く方が賢明だゼ〜?」
「……とのことです。どうしますかお嬢様。お坊ちゃまたちのようにボロボロになるか、大人しく私共の言うことを聞くか」
「あっ!折角だからお料理もシェアして食べるといいですよ! お残しはお行儀が本当に悪いですから♪」
「それこそ、これ以上騒ぐというのであれば、もっとキツーイお灸をすえても良いですよ」
 イレギュラーズ4人が、彼らに詰め寄る。
「……と、このようなイベントがありますので、どうか、今後ともこのようなご無礼を他店舗で行わないようにお願い致します」
 レイアがそう言って〆ると迷惑客たちは半べそをかいて逃げるようにその場から逃げていった。

 後日、境界図書館に礼状が届いた。
 それ以降彼らはエレガンスに来ることもなく、文字通り「高級感のある優雅な時間」が戻ってきたのであった。

成否

成功

状態異常

なし

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