シナリオ詳細
リゾート島で大蛸狩り
オープニング
澄み渡る青空と白い砂浜。
晴れ渡る夏の日差しが照りつける。
海洋にある、とある島。
そこはリゾート地として観光客を受け入れている。
元々は田舎の島だったのだが、イレギュラーズ達の協力によりリゾート地として賑わっていた。
綺麗な砂浜では海水浴が楽しめ、泳いでお腹が空けば屋台で摘まむ物が売っている。
名物の蛸のアヒージョや唐揚げ、そしてタコ焼きや天ぷらなどを、出来たてで味わうことが出来るのだ。
他にも、よく冷やされた果物やソフトドリンクなども売っている。
海水浴で疲れたなら、海の家で休んでも良いだろう。
パスタや焼きそばのような麺料理の他に、串焼きのバーベーキューを肴に冷たいビールを飲むことも出来る。
島の売りはそれだけじゃない。
海水浴場の近くにある氷結洞窟は、それ自体が仄かに光る氷で覆われており、年中ひんやりとしている。
夏の日差しで火照った体を冷やすのにちょうどいい。
洞窟の入り口付近はフリースペースになっており、設置されているテーブールや椅子を使って飲んだり食べたりすることも出来た。
奥の方に行けば、そちらは落ち着いた雰囲気のバーになっている。
各種カクテルや、少し度の強いお酒など楽しむことが出来た。
他にも、氷結洞窟の傍にはサウナ室や砂風呂が設置されており、隣接する水風呂と合わせて、身体を整える楽しみもある。
十分に楽しめば、島のホテルで一泊するのも良いだろう。
元海賊(イレギュラーズ達に叩きのめされて島の労働力になった)従業員達が、快適なサービスをしてくれるだろう。
実に、避暑地として快適な島である。
島がリゾート地となってから一年が経つ今では、投資された資金も回収され黒字化していた。
それを、資金を投下したリリスとヴァンは喜んでいた。
「順調に行ってるわね」
「良いことです」
メイド服姿のリリスと、スーツ姿のヴァンは観光客の賑わいを見て満足そうに言った。
2人とも真夏にしては厚着に見えるが、汗1つかいていない。
「リゾート地として始めた頃はどうなるかと思ったけれど、繁盛してるから好いわね」
「ええ。色々と他にもやることがあって忙しくてこちらに集中できませんでしたが、賑わいがあって良いですね」
「そうね」
リリスが応えた時だった。
「相談したいことがあるのですが」
島の長が2人に話しかけてきた。
「どうしました?」
ヴァンが問うと、島長は言った。
「お客さんが予想上に来てくれたので、タコのストックが無くなりそうです」
島の名物であるタコ料理は、島の近くに生息している大蛸を使っている。
元々は、貝などの水産物を荒らす害獣扱いだったのだが、それをイレギュラーズ達に駆除して貰っていた。
その時、イレギュラーズ達が駆除してくれた蛸を使った料理が、今では島の名物になっている。
「餌で誘き寄せれば島民で蛸殴りにすれば獲れますが、お客さん達に被害でも出たら事です。なので今年はストックが切れたら、扱いを止めようかと」
本来は、お客さんが押し寄せる時期より早く大蛸を仕留めストックしているのだが、賑わいが予想以上だったため足らなくなっていた。
「島をリゾート地として運用し始めて、まだ一年ですからね。お客さんの見極めなどが難しいのはしょうがないですよ。蛸料理が厳しいとなると、他の何かで――」
「いえ、ここは大蛸で行きましょう」
リリスの提案に、島長が言った。
「それは、ちょっと厳しいですよ。大蛸仕留めるなら浜辺に誘き寄せないと難しいですから、その間お客さんは立ち入り禁止になって貰わないといけませんし――」
「それを利用しましょ」
リリスは提案する。
「いっそ、ショーみたいにしましょ。早朝に大蛸を誘き寄せて、砂浜でささっと仕留めるの。お客さんには少し離れて見物して貰って、それを見て貰うわけ」
「そいつは……ちょっとどうでしょう? 大蛸のヤツは手強いですし、ささっと仕留めるのは難しいですな。万が一、お客さんに大蛸が襲い掛かったら、そのフォローもしないといけませんから、そこまで出来るほど島民は強くないですし」
大蛸は胴体だけの大きさでも、一匹が3メートルはある。
鮫程度なら絞め殺して食べるような狂暴さを持ち、身体は柔軟な筋肉の塊。
多少の打撃では痛痒すら覚えず、斬りつけても表面が薄く切れる程度の頑丈さをしている。
どうやら火が嫌いなようなのだが、たいまつ程度では怒らせるぐらいで、逆に狂暴化させてしまうという、かなり厄介な代物なのだ。
「大蛸を短時間で仕留められるぐらい強い人がいれば別ですが」
「なら、ローレットに頼みましょう」
リリスが島長に言った。
「ローレットの強さは、知ってるでしょ?」
「ええ、そりゃもう」
島の漁場を荒らす害獣や大蛸、あるいは島を襲った海賊(現従業員)をシバキ倒してくれたので、島長としても信頼していた。
「それじゃ、依頼を出して貰えるってことですか?」
「ええ。そっちの必要は、こっちで出すから安心して。こちらとしても、島が潤ってくれた方が投下した資金を回収できて助かるから。だから大蛸の件、任せてくれる?」
「はい、お願いします」
島長は頷き、リリスとヴァンに頼んだ。
というわけで、ローレットに依頼が出されました。
内容は、とあるリゾート島で、名物料理の材料となる大蛸を獲ること。
観光客にショートしても見せる予定なので、可能なら魅せる戦い方をして欲しいと要望を受けています。
依頼内容を聞き、引き受けたイレギュラーズ達は、早速島に向かうことにするのでした。
- リゾート島で大蛸狩り完了
- GM名春夏秋冬
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月20日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
早朝。
大蛸退治の観覧に客が集まっている。
対応に島民が動く中、依頼人に何度か関わった事のある『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が声を掛けた。
「リリスさん、ヴァンさん、久しぶり! 海洋ではリゾートをやってたんだね」
「久しぶり。元気そうで好かったわ」
和やかに話をしていると、『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)も声を掛けた。
「おはよう。今回もよろしくね」
史之も何度かリリス達と関わったことがあるので親しげに話す。
「随分と賑わってるみたいだね。前に倒した大蛸のストックが無くなっちゃってるとは思わなかったよ」
「作って頂いたメニューが好評でしたから」
和やかに話をしている間も客足は増え、それを見ていた『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)は内心で呟く。
(やれやれ、見せモンじゃねぇんだがなぁ……ま、依頼として出されちゃ仕方ねぇか)
仕事と割り切っていると、客の整理をしている島民が目に入る。
(あいつは……)
以前、海賊を討伐し島の労働力になるようにしたのだが、その時の元海賊達も手際よく働いていた。
「島に馴染んだみてぇだな」
「ええ。貴方達のお蔭ね」
呟きが聞こえたらしいリリスが声を掛けて来る。
これに縁は笑みを浮かべ返した。
「真面目に働いてんなら良いこった。折角だから、景気づけにひと肌脱いでやるとしようかね。その代わり、終わったらとっておきの酒を奢ってくれや。頼んだぜ?」
頷くリリスに、縁は笑みを浮かべながら大蛸狩りの準備に向かう。
それをリリス達は見送り、他のイレギュラーズ達にも声を掛けていく。
「今日は、よろしくお願いします」
これに丁寧に返したのは、『千紫万考』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)。
「はい、よろしくお願いします」
ジョシュアは世間話をするように言葉を交わす。
「このリゾート島はタコ料理が名物なのですね」
「ええ。お客さんの受けが好いの」
「そうなんですね。大蛸は厄介そうだと思ってましたけど、食材としては美味しくいただけると……楽しみにしている方もたくさんいるでしょうし、お力になれればと思います」
ジョシュアが依頼人と話をしていると、『夢先案内人』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)も話に加わる。
「頼んでいた物は、用意して貰えたようですわね」
リドニアの要望通り、蛸を調理する為の鉄板や茹でる鍋が用意されている。
これにリリスが返す。
「リクエストがあったら後で教えてね。美味しい料理を作るから」
「楽しみですわね。蛸は焼いても煮ても美味しい、海の万能食材のひとつですもの。狩り獲った暁には美味しく食べさせていただきますわ」
食べる気満々なリドニアは、気合を入れて大蛸狩りに向かう。
皆が意気込む中、『黒蛇』物部 支佐手(p3p009422)は微妙な心持ちになってた。
(やれやれ、見世物にするために鍛えたんとは違うんですがの)
戦いは望む所だが、観客に見られて戦うのは調子が狂う。
そんな風に物思いにふけっていると、依頼人に声を掛けられる。
「今日はよろしくお願いします」
「頼りにしてるわ」
信頼するように声を掛けられ、支佐手は気持ちを切り替える。
(依頼であれば致し方なし――)
「ご期待下さい」
依頼人を安心させるように声を掛け大蛸狩りに向かう。
そうして皆は配置につく。
すると餌の貝に誘き寄せられた大蛸が上陸してきた。
それを観察するように見ているのは、『焔王祈』ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)だ。
(タコ……海洋生物の資料を読み耽った時に見た生物だな)
以前は無感情で表情に乏しいゲペラーだったが、色々とあった今では、好奇心を浮かべ大蛸を観察している。
(確か急所は、足の付け根と頭のように見えるところのちょうど中間……ヒトでいう眉間に当たる部分。孤独とストレスに非常に弱く、そして真水に漬けると即死するらしい)
蛸の生態を思い浮かべながら、同時に浮かぶのは料理の仕方。
(茹でて刺身にしても良いらしいし、色々と調理法があるらしいが……)
趣味と言ってもいいぐらい料理好きなので、大蛸狩りに意気込んでいた。
そうしている間も大蛸は砂浜に上がり続け、合計で6体が現れる。
大蛸達は貝を争うように食べ、邪魔な他の蛸を太い触腕で殴っていた。
気性の荒さを見て、『燼灰の墓守』フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)は若干驚く。
(食材確保とはいえ……なんだこの物騒な大蛸共は!?)
蛸というより、最早怪獣に近い。
(あれじゃ、オレ達に依頼を出すのも分かるな……それにしても――)
大蛸が暴れるのを見て歓声を上げるリゾート客達に調子が狂う。
(見物客ありきの討伐なのは聞いてたが……落ち着かないな)
とはいえ、それで隙を作るわけにはいかないので、フォルエスクは戦闘に意識を切り替える。
皆が戦いの準備を完了させた所で、イズマが観光客に声を掛けた。
「おはよう、皆さん。念の為注意しとくが、危ないから離れててな」
イズマの警告通り距離を取る観光客。
それを確認し大蛸狩りが始まった。
●大蛸狩り
蛸を引き付ける壁役達が、最初に動く。
(魅せる戦い方をしろと言われたが、おっさんはその手の情緒は理解できないんでね)
「いつも通りにやらせて貰うとするぜ」
縁は一気に間合いを詰めると、大蛸達に肉薄。
手にした刀、ワダツミで横薙ぎに切り裂いていく。
切り裂かれた大蛸達は触腕を振るうが、動きを読み切った縁は回避し追撃。
周囲の気を捉え干渉。
大蛸の内部に浸透させ、内側から引き千切るように操作した。
引き裂かれた大蛸達は本格的に触腕を振るい、あるいは墨を吐きかける。
それをあしらうように引き付け、少しずつ引き裂いていく。
「解体ショーだ。盛り上がってくれ」
観客を楽しませるためアピールすれば歓声が上がり、応えるように言った。
「ただ見てるだけじゃ退屈だろ、丸焼きでよけりゃぁ食ってみるかい?」
花吹雪が如き極小の炎乱で蛸を焼き焦がす。思わず焼き過ぎたので――
「……冗談だ。後でちゃんと調理されたモンが出てくるだろうから、もうちっと待っていてくれや」
茶目っ気を込めて観客に返しながら、大蛸の戦力を分散させるように立ち回った。
縁が3体の大蛸を引き付けている間、支佐手とゲペラーが壁役として残りの3体を引き受ける。
(観客に魅せるんが第一。極力派手な技を使うんがええでしょう)
見映えを意識し、支佐手は初手から派手な技を使う。
火明の剣を鞘から引き抜き、雷神の一種である蛇神を召喚。
「派手にいきますよ!」
観客達に呼び掛けるように声を上げ火明の剣を振るう。
その動きに合わせ、剣から雷を纏った蛇神が大蛸に向かって走る。
蛇神の走る軌道に雷嵐が巻き起こり、大蛸達を雷で焼き払った。
雷の轟音と眩い光に拍手が起こる。
(これは、喜ばれてるということですかの?)
盛り上がっているなら水は差したくない。
(このまま派手な技を続けて……禁足地の神隠しや黄泉比良坂の果実は……食欲が湧かなさそうなんで、やめておきましょうかの)
倒した後のことも考え、支佐手は剣を振るう。
支佐手が2体を引き付け、残りの1体をゲペラーが押さえる。
(皆が倒し易くなるよう、一端引き離す)
仲間と観客の配置を確認しゲペラーは動く。
貝を食べている大蛸に近付くと、ノーモーションで衝術を放ち弾き飛ばす。
大蛸は吹っ飛ばされると、食事の邪魔をしたゲペラーに触腕を向ける。
それを掻い潜りながら、ゲペラーは手にした魔剣に魔力を纏わせ斬りつけた。
(急所を狙えれば)
変幻自在に襲い掛かる無数の触腕を掻い潜り、大蛸の眉間を何度か切り裂く。
その度に大蛸は、のけ反るように蠢くが、怒りで痛みを感じてないのか執拗に触碗を振るってきた。
(これは、思ったより頑丈な)
何度か切りつけるが弱った様子のない大蛸に、ゲペラーは壁役として徹ることにする。
(支佐手さんの方に向かわないよう引き付けないと)
仲間との連携も意識し動いていった。
壁役のお蔭で、アタッカーが攻撃に専念できる。
「美味しく捌いて差し上げますわ!」
観客達の視線を引き付けるように声を上げながらリドニアが突進する。
狙いはゲペラーが抑えてくれている、孤立した1体。
瞬時に超絶加速すると、蒼熾の魔導書で生み出した蒼い炎を腕に纏い、減り込む勢いで殴りつける。
不意打ちを食らい吹っ飛ぶ大蛸。
しかしすぐ怒りも露わに触腕を振るうが、リドニアは華麗に避けながら声を上げる。
「遅いですわ! 死にもの狂いで掛かってきなさい!」
言葉は理解出来ずとも煽られたことが分かったのか、高速で触碗を振るい襲い掛かる大蛸。しかし――
「上等ですわ!」
窮地を楽しむようにリドニアは再び声を上げる。
「私とどちらが速いか、比べて差し上げましてよ!」
ゲペラーの援護を受けながら、リドニアは協力して大蛸を攻撃。
それを見ていた観客からは歓声が上がった。
歓声が神経に触ったのか、縁が押さえている3体が近付こうとする。
それを遮る様にフォルエスクが動く。
(観客に近付けさせるわけにはいかない。最初から全力でいく)
縁が大蛸の動きを抑えてくれていることもあり、攻撃に特化して動く。
瞬速の突撃で距離を詰めると、その勢いを込め刃を振るう。
黒き大鎌で大蛸の触腕を切り飛ばし、傷口を凍らせ動きを鈍らせた。
大蛸は脅威と見たのか、縁に向けていた触腕の幾らかをフォルエスクに向ける。
しかしそれを紙一重で回避するフォルエスク。
「あいにく触手に絡め取られるのは趣味じゃないんでな」
黒き大鎌に暗黒の魔力を纏い、大蛸の目を切り裂き視覚を奪う。
「抵抗はさせて貰う」
壁役の縁と協力し、大蛸を切り裂いていった。
しかし2対3と、大蛸の方が数が多い。
数の不利を補うように、ジョシュアが支援攻撃を放つ。
(2人が引き付けてくれている、今がチャンス)
状況を分析し、いま出せる最適の攻撃に集中する。
狙いをつけるは、大蛸の急所である眉間。
敵を撃ち抜く殺意を込め、引き金を引く。
銃声が響くとほぼ同時に、のけ反る1体の大蛸。
そこから間髪いれず連続射撃。
派手さは無く、しかし確実に大蛸の命を削っていく。
(魅せる戦いと言われても、僕に派手な動きはありませんから)
肉薄して戦う縁やフォルエスクの死角に回ろうとする大蛸を、確実に抑えている。
(僕は僕の役割を、きっちりこなすだけです)
イレギュラーズ達は確実に大蛸の命を削っていく。
そこにダメ押しをするように、イズマと史之が強襲する。
「俺は右を」
「なら左は俺が」
支佐手が押さえている2体の大蛸に、イズマと史之の2人は突進。
右手に向かったイズマは自身のギフトを使い、動きに合わせた音を奏でながら戦う。
(ショーらしく、戦いを魅せないとね)
パフォーマンスを魅力的に見せる技術も駆使し一挙手一投足に華を咲かせる。
映える戦いに歓声が響く。
それに応えるようにイズマは刃を振るう。
魔力を剣閃と共に放ち大蛸の触腕を凍らせたかと思えば、剣の角度を変え蛸の目の間を繰り返し斬撃。
高熱を込めた一撃で、蛸の身を焼き切った。
大蛸を調理するように攻撃しながら、イズマは観客に呼び掛ける。
「美味しく長持ちさせる絶凍か、新鮮なまま焼きあげる業炎、どちらがお好みかな!」
これに観客達は口々に応え、合わせるようにイズマは攻撃していった。
戦いがイレギュラーズ優勢に続く中、史之も思い切った動きをする。
(タンク役の人達の体力が心配だったけど、これなら大丈夫)
何かあればフォローに動くつもりだった史之だが攻撃に専念する。
「いくよ、覇竜穿撃!」
重心を落とし一気に踏み込むと、幻想を穿つ竜撃の一手を放つ。
触腕で防御する大蛸だが、それを吹き飛ばし胴体に一撃を叩き込む。
一撃の重さに、大蛸はよろめき触腕のガードもおぼつかない。
(よし。これで仲間の攻撃も通りやすくなるはず、身も柔らかくなって一石二鳥だ)
一気呵成の勢いだが、ショーを意識し、剣の妙技も振るい観客を沸かしていった。
それを見て、支佐手が場を沸かすようにピンチを演出する。
蛸に絡みつかれ抵抗し、ハラハラ感を演出する。
「ほう、そう来よったか。ただの食材と思っとりましたが、意外にやるもんですの」
息を飲む観客達。
そこから反撃し史之に目配せ。
意図を理解した史之は支佐手を援護するように場を入れ替え、あえて大蛸の一撃を待つ。
そこに放たれる触腕の一撃に合せ、強烈なカウンター。
(ろくすっぽ連携できない蛸ごとき俺たちの敵じゃないよ)
触腕を次々斬り飛ばし、止めの一撃。
「しばらくここへ来ない内に俺たちだって成長したからね」
振り上げ、神威の一撃を叩き込む。
(苦しまないよう仕留めて、立派な食材にしてやるよ)
一閃。
真っ二つに大蛸は切り裂かれた。
それに合わせるように、イズマと支佐手が連携してもう1体を屠る。
残りの蛸は、縁が魔力で作り上げた大顎で真っ二つにして1体を。
ジョシュアが遠距離射撃で1体倒し、残った1体をフォルエスクが蛸の眉間を深く切り裂き倒す。
最後の1体はゲペラーが動きを止めてくれた隙に、リドニアが魔力で作り上げた大顎で蛸の眉間を抉り倒した。
全ての蛸を倒し、始まるタコパーティ。
「こんなもんでよろしくて? では調理よろしくお願いしますわ」
お嬢さまなリドニアは、料理は出来ないので倒した蛸を集めてくれる。
それをゲペラーやフォルエスク、支佐手やイズマが調理する。
「まず茹でて――」
ゲペラーは念のため真水に着けた後、大釜で蛸を茹でる。
折角なので火の調子を見るリドニア。
その横で、手早く蛸を捌くフォルエスク。
丁寧で素早い仕事に集まる観光客。
「見たいのか? なら……どうせだし解体ショーにするか」
大鎌でサクサク解体し、ぬめり取りも手際よく行うフォルエスクに人だかりが出来た。
集まった観光客に、支佐手とイズマが料理を振る舞う。
「ほれ、如何ですかそこの方々! さっきまで砂浜で暴れまわっとった蛸です。鮮度も味も段違い、食うて後悔などあろうはずもありません」
支佐手とイズマは食べ易いサイズの刺身にし、振る舞われたお客達は舌鼓をしていた。
その間に、ジョシュアが中心となって浜辺の後片付けをしてくれる。
史之も手伝って綺麗にし、後始末終わらせた。
全て終われば後は自由時間。
海の家で蛸料理が振る舞われる。
「美味しそうですわね」
タコ焼き、茹蛸、浜焼き、アヒージョ。
他にも盛り沢山の料理にリドニアは目を輝かせる。
食べてみれば、どれも美味しい。
「天義に居た頃はタコなんて殆どありませんでしたし、やはり南の島というのは極楽ですわね!」
満足しつつリクエスト。
「あー、タコ墨のパスタとかも――ありますの!? いただきますわ!」
リドニアの健啖に誘われるように皆も美味しく食べる。
「……うん、これはいけるな」
フォルエスクは、しっかりと茹で上げて赤くなったタコの刺身や胡瓜と一緒に酢漬けにしたものを食べる。
用意して貰った冷えたドリンクを飲み体の熱を冷ましながら、蛸料理を楽しむ。
冷酒と共に楽しんでいるのは支佐手だ。
「かたじけない」
お代りを貰いながらツマミの蛸刺身を楽しんでいると、リリスが酌をしてくれる。
「いける口ね」
「実のところ、これが楽しみで来たようなものですけえ」
そうした美味しい料理を率先して作ってくれたのはゲペラーだ。
しかも積極的に、観光客にも料理を売り込んでくれる。
(あれだけの大きさのタコが6匹。見物に来ていた人達にも売り払わないと捌き切れないだろうからな)
売り込んでくれるゲペラーにリリス達は礼を言うと、残りは自分達でするので楽しんで欲しいと言われる。
折角なので、軽く食事をしたあと海水浴。
(タコは、もう居ないな)
少し警戒しつつ泳ぐ。
ひょっとしたらタコの触手に変なことされるんじゃないかと内心思っていたのは、誰にも言わず秘密にしておくことにする。
海水浴は、史之やフォルエスクも楽しんでいく。
一方、暑い日差しの海を避け、氷結洞窟で涼む者も。
「涼しい……」
息を抜くようにジョシュアは呟く。
外は大分暑くなってきたので屋台で買っておいたタコ焼きを手に休みに来たのだ。
(名物と聞いたからには食べてみるべきと思いましたが、タコ焼きは初めてなので……こうでいいのでしょうか?)
慎重に一口食べれば、美味しさに顔がほころぶ。
「なるほど、中にタコが……。ちょっと熱いですが美味しいですね」
ジョシュアと同じように氷結洞窟で休んでいる縁は、串焼きを肴に秘蔵の古酒を楽しんでいた。
皆が食べて遊んで、休憩する頃、イズマが島民と一緒に演奏を披露する。
南国のリズムに乗って奏でられる音楽に、皆は楽しげな笑顔を浮かべるのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
皆さま、お疲れ様でした!
皆さまの活躍で、島は大蛸の食材を大量に手に入れることが出来ました。
戦闘の勇姿は観光客から好評で、より多くの人々が訪れるようになるでしょう。
皆さまのお蔭で、島はさらに発展することになります。
それでは、最後に重ねまして。
皆さま、お疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!
GMコメント
おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
諸事情でしばらく離れていたのですが、諸事情の目処がつくようになり、再び参加させていただくことになりました。
また、よろしくお願いいたします。
そして、以下詳細になります。
●成功条件
大蛸を仕留める。
●戦場
砂浜で戦うことになります。
砂浜なので、少しだけ足場を取られますが、戦闘に支障があるほどではありません。
戦闘の際に、邪魔になる障害物などはありません。
離れた場所で、観光客が見物しています。
大蛸がすぐには襲えない程度には離れています。
余程大失敗しない限りは、観客の安全を気にする必要はありません。
●敵
大蛸×4匹以上
ご参加いただいたレベル帯などによって、4匹以上になったりします。
攻撃手段は、
触腕
近単ですが、1匹につき最大で6本が同時に攻撃してくる場合があります。
攻撃を与えたあと、身体に巻き付いて動きを封じ、砂浜に叩きつけることで追加ダメージを与えて来る場合があります。
墨
中範ですがダメージは無いです。
命中すると暗闇と猛毒になります。
この2種類の攻撃手段を持ちます。
動きはそれなりに速く、HPと防御力は割と高いです。
大蛸同士で連携して行動することはありません。
●流れ
今回の流れは、
1 現地に到着。
2 早朝、餌に誘き寄せられた大蛸を皆で倒す。
3 後片付け。砂浜の整備など。
4 自由時間。リゾートを満喫するのも可能。
という流れになります。
●依頼人
リリス&ヴァン&島民の人達
島の名物であるタコ料理の材料確保のため、依頼しました。
今まで何度かローレットに依頼し助けられているので、ローレットに対する好感度は高めです。
何か必要な物があれば用意してくれます。
●その他
舞台となる砂浜は、海水浴に適した綺麗な場所です。
屋台や海の家があり、食べたり飲んだり休んだりできます。
隣りに氷で覆われた洞窟があり、落ち着いた雰囲気のバーや休憩所などがあります。
ホテルは、ロッジ形式の南国仕様です。
大蛸を仕留めたあとは、お客としてリゾート地を楽しむことが出来ます。
巧く大蛸を仕留めれば、島民あげて歓迎してくれることでしょう。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
説明は以上になります。
それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。
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