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シナリオ詳細

怒れるギャングとリゾートの闇

完了

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オープニング

●誰がために金は動く
 ラサの商人、豊穣や海洋などのツアー客、鉄帝からの貿易船と技術協力チーム。あらゆる人々が、ひと時の安らぎと欲望を求め、こぞって訪れるリゾート地。それは複数の島々で構成され、一大リゾートへと発展した『シレンツィオ・リゾート』である。

 かつてイレギュラーズが冠位魔種や竜種との激闘を繰り広げたフェデリア諸島やその周辺は、観光拠点として大いに栄えていた。
 島の南側、ダガヌ海域に面する行政地区――一番街(プリモ・フェデリア)には、ローレット・フェデリア支部も設営されている。フェデリア支部にはワープポイントが存在し、空中神殿を経由していつでも島にワープすることが可能だ。

 人々が集う場所には、何かとトラブルがある。すなわち、ローレットに依頼が舞い込む。富裕層にも人気のリゾート地となれば、金払いのいい客からの依頼も来るに違いない。すなわち、多くの金が動く匂いがする――。
 金欲に忠実なこの情報屋――『強欲情報屋』マギト・カーマイン(p3n000209) がフェデリア支部に顔を出さない訳がなかった。

「ここは、どんな依頼も引き受けてくれるのか?!」

 ローレット・フェデリア支部の受付に、複数の男たちが駆け込んできた。
 見た目からして鉄騎種であり、おおよそ堅気らしくない威圧感を放つ風貌。最初に懇願してきた男の1人は、何やら顔に殴られたような青あざを作っている。
 いわゆるギャング的な裏社会オーラを漂わせる5人組だが、マギトは誠意を以て対応する。

「もちろんです、困っている(金払いのいい)お客を助けるのがうちの商売ですよ」

 マギトの表向きの営業スマイルと言葉を信じ、男はローレットに訪れた事情を語り始めた。
「ニュー・キャピテーヌストリートで、人探しを手伝ってほしい――」

●物理的に首を飛ばされたくない依頼人
 一見華やかな南国情緒あふれる観光地ではあるが、影の部分があるのも事実。観光客を狙ったスリが横行していることが、度々問題にあがる。そのスリの大半が、島のスラムに住むような貧困者たちである。

 今回の依頼者も、スリによる被害を受けてローレットに駆け込んできたのだが──。
「依頼者の首が物理的に飛ばされないためにも、皆さんにはネックレスを盗んだスリ探しに協力してもらいます」

 ローレット支部に招集されたイレギュラーズは、マギトから依頼の概要を説明される。
 とあるギャングのボスが、シレンツィオ・リゾートに滞在していた。そのボスは依頼人の上司であり、部下である依頼人は、ボスとその妻を警護するために共に島に訪れていた。

 依頼人のボスは注文していた商品を受け取るため、ニュー・キャピテーヌストリートの宝石店に立ち寄った。ボスは愛妻家で、妻へのサプライズプレゼントを用意していたというのだ。オーダーメイドのネックレスを受け取り、店を出た後に事件は起きた――。

「いかにもな高級宝石店の紙袋を下げていたボス殿は、気づかない間にまんまとネックレスをすられてしまったようで――」
 そう言って肩をすくめるマギトは、そばで警護していたくせにスリを見逃した依頼人が、ボスの逆上によって散々な目に合った実状を聞かされたという。

「金を継ぎ込んだ一点もののオーダーメイドのネックレスを盗まれたボス殿の怒りは、半端ではないようです。とにかく盗んだ人間を突き止めて連れて来いと無茶な命令をされ、わらにも縋る思いでローレットを頼ったという訳ですな」

 三番街(セレニティームーン)にあるニュー・キャピテーヌストリート――有名ブランド店が軒を連ねる繁華街は、観光地区の1つである。有力な手がかりといえば、その場所で犯行が行われたことくらいではないのか──。他に手がかりはないのか、その疑問にマギトは答える。

「依頼人のクルーデン殿も、そこまでぼーっとしていた訳ではないようです──」

 クルーデンはボスを警護していた際に、同じ模様の入れ墨を彫った2人の人物を見かけていた。
 1人目はトラム(路面電車)に乗車していた時で、若い男の手首に彫られていたのをクルーデンは覚えていた。その入れ墨は、手首に巻きつくイバラを模したデザインだったという。
 クルーデンが同じ入れ墨をまた目撃したのは、杖をついた老人がボスにぶつかりそうになった瞬間だった。老人の手首にも、同じイバラの入れ墨が彫られていたのだ。それは宝石店から退店した後のことだった。

「クルーデン殿はイバラの入れ墨の人物が怪しいとお考えで、今も三番街で他の部下の方と血眼になって探しているはずです」

 マギトは「すぐに向かってもらえますか?」とスリ探しを続ける依頼人の下に向かうよう促した。またマギトは、クルーデンがネックレスを取り戻すためなら手段を選ばないであろうことも示唆した。

「名も知らぬ窃盗犯が運悪くギャングにボコボコにされようがどうでもいい気はしますが……お優しい誰かさんがスリに同情して、ネックレスを返すよう説得してくれれば話は別ですけどねぇ」

GMコメント

●シレンツィオ・リゾートについて
 三番街に関する詳細についてもご参照ください。↓
https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio


 こちらのラリーシナリオは2章構成、各章の採用人数は5〜8名程度を予定しています。
 1章目は、ネックレスを盗んだスリの捜索(場合によっては戦闘あり)→2章目は、スリを見つけた後のアクションを決める流れになります。
 各PCが捜索などで得られた情報は、皆で共有できるものとします。ついでに三番街を散策するのもありです。



●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●1章目の成功条件
 スリを見つけ出す。
●2章目の成功条件
 スリをギャングに引き渡すか、ネックレスを返すよう説得するか、ネックレスを奪い返す。

●捜索場所について
 ニュー・キャピテーヌストリート、三番街(セレニティームーン)の繁華街。キャピテーヌ・ピカデリー(映画館)を中心とした範囲内。
 クルーデン(依頼人)を含めたギャング5人も捜索しています。スリを捕まえるためなら積極的に協力してくれるでしょう。
 土地勘のある相手と、観光客の人混みを避けながらの追跡戦が予想されます。

 個性豊かなイレギュラーズの皆さんの参加をお待ちしています。

  • 怒れるギャングとリゾートの闇完了
  • GM名夏雨
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月04日 22時00分
  • 章数2章
  • 総採用数10人
  • 参加費50RC

第2章

第2章 第1節

 脱兎のごとくカジノから飛び出していくネルクスを、クルーデンは真っ先に追いかけていく。部下の4人もその後に続いた。
 カジノの正面入り口付近からネルクスの姿が見えたなら、シロタイガー・ビーチ方面に走る背中に気づいただろう。

 人混みに紛れようとするネルクスをどのように追い詰めるか、イレギュラーズの手腕にかかっている。あるいは、サルトルの質屋でネックレスを取り戻すために交渉するという選択もある。ネックレスを引き渡すことでクルーデンらを納得させれば、面倒な追いかけっこをせずに幕引きを図ることもできるだろう。

●ネルクスの追跡について
 機動力の値×プレイング内容によるボーナス補正を成功値として、どれだけ逃げ回るネルクスとの距離を詰められたかを判断します。
 ネルクスは一撃でのびる程度の戦闘力なので、必死に逃げ回ります。


第2章 第2節

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍

 捜索を続けていた『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)は、カジノから走り去るネルクスの姿を捉える。その進路方向からネルクスの行動を想定しつつ、縁はネルクスの処遇についても考えを巡らせていた。
 ――このままネックレスを取り返しゃぁ、めでたしめでたしで一件落着。
「……とはならねぇだろうな、残念ながら」
 縁はシロタイガー・ビーチ方面に先回りするように行動し、道中何人かの顔馴染みに声を掛けておく。縁はネルクスの特徴を伝え、足止めに協力することを要請した。縁の経歴から、何かと借りを作っておいて損はないと考える者も多く、快諾する返事が跡を絶たなかった。
 ストリートの人混みに紛れようとするネルクスだったが、遠くから迫るクルーデンらの姿を見つけると、焦った様子で人々をかき分け駆け出していく。
 縁の要請を受けた1人の男は、わざとネルクスにぶつかるような素振りをし、進路を妨害する。ネルクスは、慌ててその男を避けた。その直後、ネルクスは自身を仕留めようと接近する、縁の気迫に満ちた動きに気づく。縁の気配に気づいた時にはもう遅く、鋭い手刀がネルクスの首筋を捉えた。

成否

成功


第2章 第3節

 気絶して地面に突っ伏そうとするネルクスを、縁が支えて間もなくのこと――。
 クルーデンらは鼻息荒く観光客の人混みをかき分けて縁の下まで近づいてきたが、かなり乱暴な振る舞いで目立っていた。そのことでいかにもなごろつき風の体格のいい男が、クルーデンらに絡んできた。ぶつかった非礼を謝れなどという口論に発展し、クルーデンは真っ先に相手に手を出した。更には相手の男の仲間も含めた乱闘が勃発し、その場は騒然とした。
 気絶した目標――ネルクスを依頼人に引き渡すまでには、もうしばらくかかりそうだ。

●次の成功条件
 クルーデン、部下を含めた5人と、ごろつき5人の乱闘を止めること。


第2章 第4節

イサベル・セペダ(p3p007374)
朗らかな狂犬

 気絶させられたネルクスと、乱闘騒ぎを引き起こすクルーデンらを見比べる『朗らかな狂犬』イサベル・セペダ(p3p007374)。
 ――ええと……何かを考えて戦うのは少々苦手ではあるのですが。
 戦闘狂を自覚しているイサベルは、イサベルなりに事態を治めようと行動に出る。
 まずゴロツキの1人――ゴロツキAを処理しようと、イサベルは迅速に動いた。イサベルの鋭い拳撃が1発2発とゴロツキAを襲う。イサベルに連続で打ち込まれたゴロツキAは、否応なしにクルーデンの間合いから引き離された。
 ゴロツキAはイサベルの強烈なパンチをまともに食らったが、負けん気だけを支えにして反撃を試みた。だが、イサベルはゴロツキAの拳を難なくかわし、即座に踏み込んだ死角からローキックを放つ。片足を強打されたゴロツキAがバランスを崩した瞬間、更にイサベルの肘鉄が頭部に直撃した。その衝撃によって意識を失った男は、その場にくずおれた。
 ゴロツキBは真正面からイサベルに挑んだが、その拳がイサベルを捉えることはなかった。すれすれで身をそらすイサベルの体さばきに、周囲のヤジウマも感嘆するほどだった。
「静かにしていただけますか?」
 その一言の直後、イサベルはゴロツキBが再度拳を突き出した瞬間を利用し、腕をつかんで一気に地面に引き倒す。仰向けになった状態のゴロツキBに対し、イサベルはそのミゾオチ目がけて拳を振り下ろした。

成否

成功


第2章 第5節

 イサベルは男2人を完全に行動不能にさせた。頭に血が上っているクルーデンは、それでも男の1人ともみ合い喧嘩を続けていた。
 イサベルの手腕を目の当たりにし、乱闘に加わっていた他の者は慄いている様子だった。


第2章 第6節

 イサベルが絡んできたゴロツキ2人を通りに転がした直後、ネルクスを追いかけてきたあるイレギュラーズはその場に追いついた。
 通りに倒れ込んでいる男2人やクルーデンに視線を向け、その人物はつぶやいた。


第2章 第7節

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera

「おっと、先客がいたか」
 クルーデンと柄の悪い大男は、未だ胸倉をつかみ合いながら怒鳴り散らす。その内容から状況を把握した『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は、呆れたような眼差しで2人を眺める。
 イレギュラーズの実力を前にして、ほぼ戦意を喪失しつつある取り巻きの男たち。モカは無駄な争いを避けようと、男たちに対して「あなたたち、おとなしくしておいた方がいいぞ」と諭すように言った。
「――この人たちと私は、すごく強いからな」
 倒れたままの男の1人を跨いで、モカはクルーデンらのそばに1歩踏み出す。
「……あなたもですよ、クルーデンさん。組織の長がゴロツキ相手に興奮しているのは──」
 「みっともないですよ」とモカが言いかけたところで、クルーデンは激しく大男を突き飛ばした。野次馬が騒然とする中、モカは身軽に大男をかわす。
 大男が着ていたシャツは、突き飛ばされた拍子にビリビリに破けていた。更に頭に血が上ったのか、大男は小型のナイフを取り出してクルーデンを威嚇する。クルーデンも大男を挑発するような態度を取り、流血沙汰になる寸前の状態へと発展する。
 瞬時に事態を見極めたモカは、破けて垂れ下がっていたシャツの裾をつかみ、大男を引き留める。思わず振り返った大男の懐に、モカは飛び込んだ。モカは相手のミゾオチにえぐり込むように掌底打ちを放ち、大男を吹き飛ばすほどの勢いを見せた。

成否

成功


第2章 第8節

 吹き飛ばされた大男は、クルーデンの足元に滑り込み、手にしていたナイフも地面に投げ出された。
 興奮状態だったクルーデンはようやく落ち着いたらしく、気を失った大男をしばらく見下ろした後、協力したイレギュラーズ一同に感謝を伝えた。
「感謝するぞ。これでボスに顔向けできる」
 自身の進退に関わる問題が解決し、クルーデンはすっかり冷静さを取り戻していた。
 乱闘の成り行きを見守っていた野次馬たちの視線を浴びつつ、クルーデンは気絶したままのネルクスを軽々と抱え上げる。
「こいつには一層時間をかけて礼をさせてもらう」
 クルーデンはそう言って冷酷な表情を浮かべ、他の部下を従えてネルクスをその場から連れ去った。その後、ネルクスがどうなったかは、イレギュラーズが関知するところではない。
 情報屋のマギトから伝え聞いた報告によれば、依頼人は結果に非常に満足していたとのことだった。

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