PandoraPartyProject

シナリオ詳細

広告でよく見るアレの遺跡

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ピンを引き抜くタイプだよ!
「――不可思議な遺跡が現れたのです」
 幻想王国。今日も今日とてローレットの本拠には様々な依頼が持ちかけられる――が。
 今回の依頼人は……なにやら深刻そうな様子であった。
 話を聞いているのはリリファ・ローレンツ(p3n000042)である。なんでも彼は幻想王国の一部分を統括する貴族、らしいが。
「我が領土には……そう、遺跡の類は無かったはずなのです。
 しかしある日、山奥で突如として洞窟が生えてきまして」
「生えてきまして???」
「いやそう形容するしかないんですよ! だってあそこにあんな洞窟なかった筈なんでもん!! ……と、失礼。取り乱しました――とにかく、新たなる遺跡が発見されたのです」
 なんでも……いま述べた通り、領地の一角に遺跡が出現したらしい。
 全くもって不可解だが、なんでもその遺跡からは時折魔物の類が出てくる事もあるらしく、放置していればいずれ領民に被害を齎す可能性も高いと目されているのだ。つまり端的にいって放置は出来ない。
 故に、私兵をもって攻略せんとしたが。
「しかし……遺跡を攻略する事が出来ず……敗退してしまったのです……!」
「――成程。つまり、それでローレットに依頼を、と。
 それは構いませんが……一体どういう遺跡なんです? 罠でも沢山あるんですか?」
「罠……たしかに罠は多いのですが、なんというか、えぇ……」
 依頼人が汗を拭う。そんなに恐ろしい遺跡なのか――?
 ならば少しでも情報が欲しい所だとリリファは息を呑んで返答を待て、ば。

「ピンを引き抜いて進んでいく遺跡なのです」

 …………ピン?
「ええと。遺跡を進んでいくとですね、行き止まりがあるのですが。近くにピンが生えていまして」
「ピンが生えていまして???」
「ソレを引き抜くと色々な効果が発生するのです――例えばマグマの様に見える熱湯が降り注いできたりですとか。その熱湯を打ち消す事が出来る冷水を召喚出来たりですとか、後は魔物の部屋が開かれたりですとか……」
 うっ、なんだ……? なにか、こう、脳裏に妙な既視感を感じるイレギュラーズもいる。
 なぜか明らかに引き抜いてはいけないピンを先に抜く景色が。
 絶対に順番そっちからじゃないだろと言う光景が。
 ていうかこの構造どうやっても最善手を踏む事出来なくない? という情景が――
 瞼の裏に映るのだ。なんだこの記憶は。
「とにかくですね。この構造が厄介でして……ピンを正確に引き抜く事が出来れば、トラップの回避や遺跡内の魔物を弱体化させる事も叶うのですが。誤ればこちらに降り注いでくるのです――」
 ま、まぁ存在しない記憶はともかく。遺跡としては確かに厄介そうだ。
 なんらかピンの構造を正確に把握出来るような……そう。壁を透視する術があったり、場を俯瞰する術に優れていたり、直感力が鍛えられていたりすれば最善手を踏んでいけるかもしれないが。
 まぁ最悪の場合、あらゆる不利を踏みつぶしていく勢いで進撃していくのも手ではあるか。とにかく遺跡の最深部まで赴き、魔物を退治すれば良いのだから――えぇい罠なんぞ小賢しいわ!
「あっ! ですが気を付けてください……! ピンを引き抜こうとする際、何故か間違った方を引き抜かんとする、誘惑精神干渉の様な魔術が心の中に響き渡るようです……! 私の兵達もそれでやられた者が多数……!!」
「アレって精神干渉だったんですか!? うっ、私は今何を……!?」
 だったら不合理な判断も……まぁ多少理解は出来るかもしれないなぁと。
 また存在しない記憶が脳髄に響き渡るイレギュラーズが――いたとかいないとか。

GMコメント

 広告でよく見るアレ、ほんま不思議なんですがなんでしょうねアレ???
 と言う訳でよろしくお願いします!

●依頼達成条件
 遺跡を踏破し、全ての魔物を撃破する事。

●フィールド『広告でよく見るアレの遺跡』
 幻想王国の一角に出現した謎の遺跡です。
 遺跡は地下迷宮の様になっており、内部からは魔物も沸いているのだとか……
 故にこそ皆さんにはこの地を攻略してもらいます、が。

 この遺跡。『広告でよく見るアレ』によく似ています。

 遺跡の各地には、何やら引き抜けるピンが多くあります……
 このピン。引き抜くと様々な効果が発生します。詳細は後述しますが、上手く引き抜く事ができると魔物を一方的に弱体化させることが適いそうです……! しかし失敗すればイレギュラーズの皆さんにも危険として降り注いでくるでしょう。

 ピンがどういう構造になっているかはパッと見ただけでは分かりません。
 【透視】【直感(またはその系列)】【広域俯瞰】など、その他使えそうな非戦スキルがあると、ピンがどういう構造になっているかの察知が可能だったりします――えっ。広域俯瞰で見えない場所が確認できるのかって? なぜかこの遺跡では効果が発揮されます。やったね。

●ピンを引き抜くと発生する罠の数々
・マグマの様な熱湯
 降り注いできた箇所に存在していた者に一定のダメージと【火炎系列】のBSを高確率で付与します。

・超低温冷水
 マグマと接すると、マグマと対消滅します。
 長時間浸かっていると【凍結系列】のBSを高確率で付与します。

・巨大落石
 高ダメージを命中した対象に与えます。
 地面に落下した後は、なぜか例外なく粉々に砕けるので移動には支障なさそうです。

 他、なんか広告とかでよく見る罠とかがあったりなかったりするかもしれませんね!

●ミノタウロス×12
 遺跡の各地の部屋に散らばっているミノタウロスです。
 巨大な斧を持ち、かなり優れた身体能力を持ちます――が。
 上手い事前述のトラップを利用すれば弱体化させる事は可能です。しかも何故かトラップが命中しそうな部屋に必ず1~2体はいます。なんで? とにかく最深部には5体固まっています。遺跡内に存在する全ての個体を撃破してください!

●リリファ・ローレンツ(p3n000042)
 話を聞いたローレットの一員です。
 なんだかおもしろそうな遺跡ですね! と言う事で参戦しました。
 皆さんの支援を主に行います。勝手にピンを引き抜いたりはしないので、ご安心ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 広告でよく見るアレの遺跡完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月31日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
レイリー=シュタイン(p3p007270)
騎兵隊一番槍
ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)
復讐の炎
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜
フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)
燼灰の墓守

リプレイ


「遺跡……遺跡の調査は望むところだけれど、なんというかなあ……
 この遺跡はなぁ……なんだか凄く気が乗らないんだよなぁ……」
 はぁ、と。大きなため息をついたのは『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)だ――なんだろう、知らないはずなのに謎の既視感。そもそもなんなのだ、ピンを引き抜くという仕組みは……

(ピンを、引き抜く……? な、なんだかどこかで見たことある、ような……)

 同時。『ひつじぱわー』メイメイ・ルー(p3p004460)は既に遺跡からただならぬ気配を感じていた……うう、なんでしょうか、この脳裏に浮かぶ映像は……
「そこを抜けば、と思う位置が引っ掛かって抜けなかったり、とか……そういう……アレ……ですね? あの、上手く説明できないのですが、その、そういう『アレ』なのは間違いなさそうです……これは一刻も早くどうにかしましょう。ええ、ええ」
「私が風の噂に聞いた話だと、どのピンを抜いてもどうにもならない場合があるという事だが……この遺跡、まともに攻略させる気があるのだろうか? 一体誰がどういう目的でこんな遺跡を……いや今はソレを論じている場合ではない、か」
 ともあれメイメイは意を決し『緋夜の魔竜』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)らと共に遺跡の中へと足を踏み入れるものである。何故あんな絶対失敗する構造などという愚かなパターンがあるのかシャールカーニは理解できぬ――と言う風に頭を振るいながら。
 歩き続ける。さすれば見えてきたのは件のピンだ。
「とりあえず……よくある練達で話題になっている映像サイトの動画を見ていたら途中で流れて出てくる5秒くらいスキップ出来なくて興味どころか逆に怒りが込み上げてくる●ソ仕様の遺跡は滅ぶべきだと思うんだが。法律で規制すべきじゃないか? 百万歩譲ってももう少しマトモな遺跡を作って興味を引く形にし――話が逸れたな」
 コホンッ! と熱弁の後に咳払い一つしたのは『復讐の炎』ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)である。ひとまず……幸か不幸かここの攻略はその仕様と同様のピン抜きの様である……
「さて壁を透視してみればある程度は構造が分かるな。
 なら最善を引いていくぞ。最善を引いていくぞ。必ずな」
「ねぇ、このピンぬいてみていい? 一本ぐらいいいでしょ? ねぇ?」
 然らばウルフィンがピンを確認し慎重に行動……しようとしてるから止めるんだ『ヴァイスドラッヘ』レイリー=シュタイン(p3p007270)――! 迂闊に抜くと大変な事になるぞ――!
「えぇ? 大丈夫よ! 私には生半可な罠は効かない――むしろ全部踏みつぶしてみせるわ」
「待つんだ。きっとそれは誘惑精神干渉の類だ……わざと失敗する様子を見せて、オレたちの方がもっと上手くできる、と思わせて誘引する心理術の応用だ――恐らくだが」
 レイリーの力量であれば実際に全て粉砕して突き進む事も出来るだろうが『燼灰の墓守』フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)には、その心理自体がこの遺跡に『乗せられているのでは?』という疑念があった。
 そのままに進んでしまうのは危険かもしれない――! きっと他にも仕掛けがあるかも。例えば。
「わたしには なんのことやら さっぱりですけれど ちいさい数字の ミノタウロスをたおすと 自分の数字がふえて もっと おおきな数字の ミノタウロスを たおせることだけは わかりましたの ほら この先のミノタウロスの あたまのうえに 数字が……」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)の看破しえた、新たなる要素などだ……!
 どうにも。この地の魔物には数字が割り振られているらしい……数字が大きい個体は強く、しかし弱い個体を先に倒せば、己の頭上に在る数字が強化され倒しやすくなる術式……!! なにこれどういうシステム? 何の意味があってこんなシステムが組まれて?
「こんなセキュリティ思いつく人は居ても、まさか実施するなんて正気の沙汰じゃないよね。事実は小説よりも奇なりって言うけど、小説だったとしてもこのシナリオ考えた人はシラフじゃないと思うわ――そこの貴方よ貴方。聞いてるでしょ? 見てるでしょ?」
 その時――ひぃ! 『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)がなんだか虚空を見据えながら呟いている……! やめろ! 眼前の遺跡に集中するんだ! いいね!
「それにしても……ピンを抜く……抜く? レバーやボタンでもいいのに、なんでピン……? ただギミックを操作するのではなく、スライドさせる必要があった? 何の為に? どういうシステム構造? なんの意味が?」
「えぇいこんなクソ遺跡の事を考えすぎても仕方ない――! うぉぉおピンを抜くぞ――! あっ、伏字にするのを忘れ……まぁいい攻略してしまえば全て一緒だ!!」
「え、このピン? このピンを抜いていい? 抜くわよ?」
 訳の分からぬ遺跡の構造に頭が痛くなるマリカ。だが考えるな、ドツボに嵌るぞとの如くウルフィンは遺跡の成り立ちよりも攻略に専念せんとし……レイリーは心躍る感覚が止まぬのであった。あああダメダメ! こっちから抜かなきゃ……レイリー!!

「……遺跡に潜って一つ目の仕掛けだけど、なんだかもう疲れてきたな……」

 またまた吐息を零すゼフィラ。
 あぁ真面目に攻略しても疲れるだけだろうか――
 なんだかそんな予感がひしひしとしてくるものなのだから。


『グォォォォオ!』
「わわ ミノタウロスさん ですの! やっぱり 数字が みえますの!!」
 そして遺跡内に本格的に侵入し始めるイレギュラーズ達――
 さすればノリアの瞳に映るのは……先述した謎の数字である。見える。見えるぞ、魔物の頭の上に数字があり、倒せばなぜか此方の数字が増えてバフが掛かるのを! 先だってマグマ(の様な熱湯)を敵にブチ当て弱体化させていれば、数の差も相まって撃破は容易なものだ。でも何この数字。ホント何!!?
「ていうか――このわかりやすく配置されたミノタウロスは何? あんなところに突っ立っていたら自分がやられるのは目に見えてるじゃない。まるで意図してそこに配置されたとしか思えない……一体何の意味があって……? これはセキュリティ上のどういう利点が……」
「ふむ。ま、なんでもいいさ――狩りやすい事に越した事はない。
 それに……今夜は焼肉が食べたい気分だったが……丁度いい所に牛肉が居るじゃないか」『グォ!!? ブルァアア!?』
 分からない……なんだこの密室とクソ遺跡は……
 あまりのトンデモ構造に人生思い悩む勢いのマリカであるが――ひとまず歩は緩めずに前に進む。さすれば新たなる領域へと到達し……至ればシャールカーニの瞳にはミノタウロス(お・に・く)が映るものである。
 じゅるり。ミノタウロスが慄いている……
 ガストロ帝国の魂と共に倒そうか。牛肉。ロース、タン、ヒレ。
 食肉に加工しそうなのが分散しているなど――絶好の狩り日和なのだから。
「フッ! 横振りしか行わぬミノタウロスなど恐るるに足らず!
 ……いやなぜ全部統一されてるのか理解に苦しむが、まぁいい!」
「牛さん、こちら♪ 手の鳴る方へ♪ ――さぁ、私まで来れるかしら?」
 更に現れしミノタウロスの撃があらば、ウルフィンが的確に見切りて返しの一撃を叩き込み。レイリーはそんなミノタウロスを誘導する様に手を叩いて挑発する――でもなんでミノタウロス共は誰かを見るとゆっくりと脇目も降らず近付いてくるのだろうか?
「なにかそういう習性があるのかしら。それとも使命感の様なモノでも……?」
「うーむ……、遺跡の攻略のためにスキルを磨いたハズが……なんだろうね、この無駄遣いしている気分は。いやまあ、遺跡の攻略ではあるはずだし、実際役に立っているとは思うんだが……なんだかなぁ」
 首を捻り、思案を巡らせるレイリー。そして、彼女が誘導したミノタウロスへと……
 ゼフィラは罠の作動方法をしかと見据え、ミノタウロスにだけ被害が向かう様に最善を尽くすものだ――罠に対処する知識があり、ピンの構造はノリアやシャールカーニと言った面々から情報として取得出来れば一方的な出来事も難しい事ではない。
 まぁ、なんか、こう……幾らか違うけれど似たような構造が連続していればなんか、もう……
「パズルは嫌いじゃないんだが……いい加減飽きてきたな。製作者は何を持ってこんな遺跡を……」
「めぇ、この部屋はあちこち壊れて、ぼろぼろ、ですね。何か道具を使って、直さなくていけない気がします……うーん……あっ、丁度良く道具が落ちてます……! この道具で穴をふさげば……あっ、余計に壊れてしまいました……あっ、あっ、水が逆流してきて……!」
「ごあんしん くださいですの! わたしが むこうのピンを操作して とじてきますの!」
 やっぱりどうしても溜息をついてしまうゼフィラ――と。次なる部屋をメイメイが見据えてみれば、奇妙な感じであった。随分と壊れ、物が散乱した部屋があり……なんか修理できそうなアイテムが落ちてるのだが、迂闊に間違えれば大惨事になる部屋!
 うわー! と、水の逆流が生じるも。そこへ往くのはノリアだ。
 水流の手が在らば例え水の中であろうとも遠くのピンを操作できる――! 時には壁の中すら泳ぎて彼女は最善をつかみ取るものだ。ふふ、こうして次々とエリアを攻略していこうか……!
「しかし……なぜだかは分からないが、更にこちらのIQを勝手に測られているような錯覚を覚えるな。気のせいか? これは……ピン以外にも何か別の要素が仕込まれているのでは……?」
 同時。フォルエスクはなんだか、頭が軋む様な感覚を得る……
 一手でも間違えれば勝手にIQをガッツリ減らされ、一個手が合えばIQがガッツリ増える感覚。なんだ? 彼は壁を透視し、ピンの位置を正確に把握し、味方との連携もしっかりとっているのだが……なぜか『測られて』いる様な……!
 くっ。まだ見ぬ未知の効果がこの遺跡には込められているのかもしれない!
 長居は危険やもしれぬ――! やがては己が遺跡に取り込まれてしまうかもしれない、と。
「なぁに。もう大分道なりには進めているはずだ……そろそろ最後の部屋じゃないかな?」
「ああ……だが感じる。感じるぞ。そろそろこの超絶クソ遺跡が本領を発揮する予感が」
「まさか――いやしかし――まさか――?」
 然らば。ゼフィラが遺跡の最深部がそろそろかと思案し。
 ウルフィンやシャールカーニは気付くものである。
 ……そう。眼前に広がる最後のピン群。
 しかし透視や、俯瞰する視点をもってして気付いた――

 これは、絶対にどう頑張ってもこっちが不利になるステージだと!!

「上等よ! なら今こそ力押しよ!
 マグマでも冷気でも釣り天井でも何でも来なさい! こんな罠で私は倒せないわ!」
 故に。レイリーは闘志を漲らせるものである。
 どんな迷宮も必ず攻略してみせるのだと――ピンに、手を掛けながら。
 これぞ力尽く攻略。其の名も――
「漢探知の力……見せてやるわ!!」


「うぉぉぉ――! 『絶対そのピンの抜き方無理だろ!』って仕様だけは勘弁しろ!
 構造上の欠陥だろ! これだけは絶対に許せないぞ――!!」
「はわわ。でもでも、このピンを先に抜けばきっと、多少マシになると思います……!」
「よし――開いたら一斉攻撃だ! 皆行くぞッ!!」
 そして。先のレイリーによる行動を皮切りに、一斉にイレギュラーズ達は動き出した。
 キレるウルフィン。が、メイメイが意を決してピンを抜けばミノタウロス達に落石が降り注ぐ――! むんっ。と一息と共に引き抜き、見事に命中すればちょっとスッキリもするものです。えへへ。
 が。どう足掻いてもイレギュラーズ側に降り注ぐ熱湯の類もあり……故にこそそれはもう覚悟の上で受けるのだとゼフィラが言を飛ばす。
 ――同時に。敵に叩き込むのは己らの全霊だ。
 メイメイの熱砂の嵐がミノタウロスらへと放たれ。
 続く形でゼフィラの終わらざりし弾幕の進撃がミノタウロスへと直撃す――
「さぁ――もっと歯ごたえのある罠や敵はいないの!? この程度じゃ痛みすら感じないわ!」
「あ、熱湯が財宝に! あ、あ、あ――! Nooooo~~!!
 さっきまでyes! yes! 言ってたのに――!!」
 そしてレイリーも敵を捻じ伏せる様に突き進みて、周囲を俯瞰する視点と共に敵を逆に罠に嵌めてやらんと再誘導する。ただ、構造上の問題でマグマ熱湯がなんか不自然に落ちてた財宝の山々に掛かれば溶けてしまい、ウルフィンは嘆きに包まれるものだ……
 が。だからこそ怒りを力に。化ケ之皮を剥がして戦闘へと移行しよう。
 KORE・NANTE・E●NI? を合言葉に。
 超速へと至る身が破壊力を伴いてミノタウロスを粉砕せしめん――!
「チィ。だが、最後の難関だけあってミノタウロス達も強いな……
 囲まれない様に気を付けろ。案外、集中されると厄介だぞ」
「なぁに――罠がこれ以上ないのであれば地力がモノを言う。ならばこちらのものだ」
 そしてフォルエスクもまた、速度を維持しながら魔物へと立ち回り。熱湯だろうが冷却水だろうが耐えきれる加護をシャールカーニは交えつつ、仕留めに掛かるものである。
 やはり彼女も罠の方向へミノタウロスを誘導する様に。
 ……なぜか簡単に溶け切った財宝とマグマの領域へと奴らを誘導して行けば。
「この手の遺跡のことだ。ピンを抜き切れば、報酬として財宝なり剣なりが手に入ると聞いていた……が。このような罠を仕込んでいるとはな。遺跡の製作者は財宝を絶対に手に入れられない様にしたかったのか――?」
「そ、そんな……! そんなの、ひどいです! そんな遺跡、いけません! たぶん!」
 然らばシャールカーニは言を呟きて――同時に、メイメイも思うものだ。
 初めから……達成させる気などなかったなど酷いと。
 だけどこれが『奴ら』の手口なのだ。愚かな行いを見せて、自分は出来ると思わせるが為の……!
「もう罠を うける事を前提に するのなら 別のやりようも ありますの……!」
『グルァ!!?』
「さぁ ミノタウロスさん! おいしいのれそれは 此方ですよ!」
 ともあれ。そろそろ終わらせようかと――更にノリアも往こうか。
 彼女はピンを見据え、ハズレは引かぬ様に務めてはいたが……
 最早事が此処まで至れば話は別。
 マグマ熱湯の罠を作動させ、あえて己もソレを被りつつも――前へ前へと!
 熱湯によるダメージはあるものの火の熱量が通らぬ様に耐性を得ていた彼女に死角はない。ちょっとやそっとのダメージで倒れる程にヤワでもなければ、一度の熱如きに何を臆そう……むしろその熱湯に誘導する様に彼女は己をアピールし、敵を引きずり込まん。
(かれらも まさか わたしが 自分ごと 罠にかかるとは 思いもよらないでしょう……! ふふ さて いったい どれくらい わたしの数字は ふえて…… えっ!? 999!?)
 と、その時。ノリアは気付いた――己の頭上に在る数字がカンスト(多分)している事に!
 それほどの数のミノタウロスを斃していただろうか――!? 困惑するが、しかしこれだけあればボスも一撃必殺ですの。今こそ新たなる課金の力と共に……
「勝利を つかみますの……!」
 そして――彼女を謎の光が包む。
 まるでガチャ演出だ。課金用の携行品という超単語と、このクソ遺跡がなんらかの神秘的調和を成し、彼女に奇跡を齎したか――! ミノタウロス達が眼を離せず、彼女に引き寄せられ。故にこそタイミングよくピンを更に引き抜けば――一斉に落ちていく!!

「――そうか。マリカちゃん、分かっちゃったわ」

 さすれば。味方の活力を治癒する一端を行いしマリカが――全て(たぶん)を悟った。
 この遺跡は、きっと間違えても何度でも何度でもやり直せるの。
 だからこのピンはセキュリティなんかじゃないし。
 だからここを作ったのもきっと、小説家。ねぇ、そこのミノ……いいえ、あなたも……
「ううん。分かっているんでしょう?」
 彼らをマリカは眺めながら、告げる。
 分かっているんでしょう? 自分がミノタウロスなどではないことを。
『ブルァ!!?』
「――そう。貴方達は作られた存在。遺跡なんてきっと存在しない。
 向き合う時よ――KOUKOKUの陰謀から」
 マグマに落ちた、最後のミノタウロスが滅びていく。同時に鳴り響くはなんの音か……
 ゲームクリアの様なファンファーレ。
 ――直後にはイレギュラーズ達も光に包まれる。
 遺跡の外に飛ばされる様な――そんな感覚を経て――
「わ、わわ? 此処は……外ですか?」
「――なんて事だ。遺跡の入り口が……消えている?」
 さすれば、景色が一変するものだ。
 メイメイにゼフィラが周囲を見渡せば――それは外。
 入って来た場所だ。ただし、遺跡への入り口は何故か消えているが。
「……これがKOUKOKU遺跡。謎は多そうね……」
 全ては夢だったのだろうか?
 いや、違うとレイリーは確信している。
 なぜならば、ちょっとだけ楽しかった気がする、あのピンを引き抜く感覚が――

 その手に。確かに名残として残っていたのだから……

成否

成功

MVP

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れさまでしたイレギュラーズ!!
 なんて遺跡だ……>< MVPはピンを抜くためのスキルや、課金用の携行品とかいう謎単語が面白かったあなたに。
 ありがとうございました!!

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