PandoraPartyProject

シナリオ詳細

一矢を報いるのは誰だ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サンセット・プレイ

 「そうだ、ダーツをしよう」
 
 楽観生徒会長の思いつきのようなその一言が、全ての始まりだった。
 全体ミーティングの終わった、夕方の生徒会室。
 現在残っているのは、生徒会長・会計・書記の三人。
 副会長は家の事情で、今回は席を空けていた。

 生徒会長はダーツが趣味のひとつで、ダーツ板もちゃんと置いてある。
 意気揚々と準備をする会長だが、俺──生徒会・会計たちは大きく溜息を吐いた。
 彼に勝つことはない。なぜならば。

「俺には、勝利の女神たちががついてる」
 その言葉通り、生徒会長の近くには三匹の妖精たちが飛んでいた。
 仄かな光を纏い、ふわふわと。
「ダブル10を狙えば、今回勝てるぞ……!」
 残りスコア20。
 ちなみに書記は壊滅的にダーツが出来ないので、見学している。
 俺はダーツ板のダブルリングに狙いを定める。
 今回こそ、あのお気楽生徒会長を仕留める、と力を込めて。
 しかし、俺の矢は見事にシングルリングへと刺さる。 
 一方、順番の回ってきた生徒会長は、見事に淡い光を纏った矢で狙っていたシングル12へ。
「はーい、フィニッシュ」
 彼女たちのあの光・存在こそ、いつも会長との勝負に勝てない理由だ。

 ──この世界には、妖精や悪魔に憑かれる人間がわずかに存在する。
 妖精に憑かれれば、名誉や栄光を手に入れやすくなり。
 悪魔に憑かれれば、犯罪に手を染めやすくなる。らしい。
 そして不思議なことに、この学校の生徒会長になることが出来れば、必ず妖精に憑かれるという長年のジンクスがあった。
 
 現生徒会長もそのために、あらゆる活動に勤しんだ一人。
 会長になる前から、俺たちはダーツで遊ぶ仲だったけれど。
 彼はそこまで上手く当てられるような実力ではなかった。
 
 しかし会長になった途端、彼はあらゆる実力が飛躍的に伸びたのだ。
 おかげで彼は、この学校で一番の〝勝者〟となった。
 故に、この学校には彼を負かしたいという人間が溢れかえっている。
 そんな生徒会長の補佐をする俺たちにだって、そういう感情はあった。
 だが、全てにおいて敵に回すと厄介だから、娯楽だけでのものだ。

 とある調べによると。
 どうやら妖精は対象者と離れると、その加護を一時的に失うらしい。
 あくまでも一時的に、だ。

 だが、それでいい。
 俺たちは、このダーツ戦に勝利するだけでいいのだから。

 そうは思うものの、妖精と会長をを引き剥がすような力が俺たちには全くと言っていいほどないのである。
 誰か、誰かこの小さくも大事な戦いの協力者を求む──。


●勝ちたいんですって

「……妖精や悪魔によって、人の価値が変わる。恐ろしい世界」

 境界案内人のアンナ・クリーヴランドはぼんやりと本を見つめ、そう呟いた。
 ふぅ、と小さく深呼吸をすると、後ろから今回の参加者たちが現れる。

「こんにちは、志ある者たち」
 じっと参加者の顔を見つめていく。
「今回飛んでもらう世界は、平和であるようで、実は複雑な世界……でも、今回のミッションはまだかなり平和よ」
アンナはダーツの矢を懐から取り出して。

「生徒会長に、ダーツで勝ちたいんですって」

「心配ないわ。ダーツのルールなんて、知らなくていいの」
 アンナは微かに笑みを湛える。
「あなたたちはただ、妖精と生徒会長を切り離せばいいだけ」
 やり方は基本は自由。だけど、生死に関わるような事だけは禁ずるわね。と、アンナは参加者たちに武器の使用を控えるよう注意した。
「……あの妖精、複数なのが厄介かも知れない。そこは手分けするなり、まとめて退散させるなり、頭を使ってみて……」
 ふんわりとした口調だが、不思議としっかりと耳に届く。
 アンナはゆっくりと手を振りながら、参加者を見送る。

「志ある者たち、君たちの活躍をしっかりと見ているわ……これからもずっと」

NMコメント

●世界説明
 或る者には妖精が、或る者には悪魔の憑く世界。

●目標
 生徒会長と妖精たちを引き剥がして加護を消失
 最終的に生徒会メンバーチームを勝利に導く

●他に出来る事
 標的を追いかける・追い詰める
 道具を使って妖精を捕まえる(素手はすり抜けてしまう)
 ダーツで遊ぶ

●標的
 生徒会長
 三匹の妖精

●NPC
 生徒会・会計(ダーツ出来る)
 生徒会・書記(ダーツ出来ない)

●特殊ルール
 なし

●サンプルプレイング①
 はぁ?ガキの遊びで勝たせろだぁ?
 全く、興味もねぇよ。
 だがまぁ、一致度引き受けたからには仕事しねぇとな?
 俺はあらゆる武器を持っているが、攻撃用だけじゃねぇ。
 今回の俺の持つ武器は捕獲・捕縛に長けた特殊タイプだ。
 こいつに妖精ちゃんったちなり、生徒会長なりを捕まえて隠せばいいんだろう?

●サンプルプレイング② 
 ミッション後にダーツで遊びたいから来たよ!
 でもまぁ、先に生徒会メンバーを勝たせなきゃいけないのかぁ。
 それならあたしのこの脚力におまかせ!
 生徒会長さんを引っ張って、全力で走るよ!
 あ、でも会長さん、あたしの速さに付いて来られるかな?

●最後にNMより
 こんにちは、NMの悠空(yuku)と申します。
 エブリデイマジックのコメディやほのぼのが大好物です。
 
 今回は生徒会メンバー(副会長不在) VS 生徒会長(三匹の妖精付き)です。
 絶対に勝ってしまう生徒会長から、勝利の女神である妖精三匹を引き剥がしましょう。
 ミッション外ではダーツで遊んだりも出来ます。
 ちなみに言うと、今回はコメディです。楽しくやりましょう。

  • 一矢を報いるのは誰だ完了
  • NM名悠空(yuku)
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年07月26日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)
約束の果てへ

リプレイ

 

 ●そもそもな話


「納得いかねぇ」
 その世界にやって来て、まずぼやいたのは回言世界(p3p007315)だった。
 とある者には妖精、またとある者には悪魔の憑くという不思議な世界。
 前者は名誉や栄光を手にしやすく、後者は犯罪に手を染めやすくなるという。
 なんと不公平で残酷な世界なのだろう。
 別の世界で、回言も妖精に好かれていた。しかし、名誉も栄光も手に入れてなんかいない。
 この世界の仕組みは、一体どうなってやがる?
 と、謎が深まるばかりではあるもののこの世界の機能に不満がある様子だ。
 
「本人の見知らぬところで善悪が決まってしまうのも、なかなか考え物ですねぇ」
 続いて、そう言葉を放ったのはエマ(p3p000257)だ。
 彼女はぎこちない笑顔を浮かべながら、辺りを見回す。
「それにしても大きな学校ですねぇ? 随分とお金もかけられていそうな……」
 一瞬ぎらり、と鋭く目を光らせた。
 目前には、今回の依頼者と標的のいる学校がある。
 白と金を基調とした、私立だとしてもかなり広大な敷地だ。
「土地の広い分、のびのびと駆け回れそうですねぇ。えひひ」
「そもそも、生徒会長になら絶対に憑くって何なのよ? もっと人間性を見て考えなさいよって話よね」
 そうジンクスに対して不満を零したのは、セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)。
「遊びぐらい加護なしで正々堂々と戦いなさいよ!?」
 そうツッコミを入れてみると、回言が大きく頷いた。
「そもそも人生というゲームも妖精の加護なしで生きやがれっての」
「そうよそうよ! 回言さん、良いこと言うじゃない!」
「フン。世界は残酷だが、依頼がまさかの子どもの遊びだとはな」
 そう溜息を吐くと共に呟いたのは、佐藤・非正規雇用(p3p009377)だ。
 獣種で体格も圧倒的に大きい彼にとって、今回は子どもの遊びに付き合うようなものらしい。
「子どもの遊びではあるけど、当人たちは本気よ?」
「相手が相手ですからね、妖精付き生徒会長」
「何だか朝食付き日帰り旅行みたいな言い方だな」
「えひひ、無事に日帰りで帰れればいいですねぇ」
 そんな物騒な一言をエマが言う。
 そんな三人の会話が終了したところで、
「いいか。作戦はさっき言った方法でやる。上手く事が運ぶかは分からんが」
 回言がそう言うと、他の三人は頷き了承した。


 ●一番大事なのは誰?


「生徒会長さん、みーっけ!」
「おや、こんな時間に来客とは」
 がらり、と引き戸を開けるエマ。
 楽観的生徒会長はにこやかな笑顔で対応する。
 その傍らには、ふわふわと浮かぶ小さな三匹の妖精たち。
 それと、今回の依頼人がダーツゲームを始めていた。
「……あれが、加護を与えている妖精ね」
 ゲームが始まっているなら、今がチャンスね。とセチアは小声で言った。
「あいつらをあの会長から引き剥がせばいいのか」
「ではまず、ここからじりじりっと」
 言葉通り、エマは生徒会長にじりじりと接近し始める。
 その格好が、何とも不自然であった。
「え、なに、この人。初対面から不可解な行動してるんだけど」
 会長もエマを怪しい人物と判断したらしい。座っていた場所から、遠回りで生徒会室を去ろうとする。
 傍らの妖精たちも当然、彼について行こうとする。
「おっと、そうはさせないぜ?」
 そこに佐藤が体格を活かし、立ちはだかる。
「一体何なんだい、君たちは!」
 佐藤はちらり、ダーツボードを見遣る。
 ──どうやら既に、会長の方が有利のようだな。
「流石、勝利の女神に好かれているだけはあるな?」
「当然さ。俺はこの学校に選ばれし生徒会長だからね」
「ところで、どの女神が一番大事なんだ?」
 佐藤が作戦を仕掛け始める。
 【言いくるめ】を使用し、会長や妖精の心情を煽る。
「どの女神が大事、か。君は面白いことを言うね」
「まさか"みんな同じくらい大事"なんて、言わないよなぁ? 女神たちの個性が分からないなら仕方ないが」
「俺が彼女たちの個性が分からない? そんなバカな話あるワケないじゃないか」
「セチアさん、悪いが妖精たちにこう伝えてくれ」
 佐藤は精霊種である妖精たちと話す術を持たない。
 そのため、ここは【Fragmentum Spem】のスキルを持つセチアの出番だ。
「ええ、わかったわ」
 佐藤の伝言を承ると、セチアは妖精たちにこう言ってのけた。
「このまま生徒会長についていても、理想の"一番"にはなれないんじゃないかしら?」
『……』
 三匹の妖精たちはそれぞれと顔を見合わせる。
 そして、こっそりとひそひそ話を始める。
「いやいや三角関係の男女じゃあるまいし、そんな簡単に気にするなんてこと……」
 回言がまさか、と冗談めかして言う。
 しかし、見事に妖精たちは揉め始めている様子だった。
「って、意外と気にしていらっしゃる!?」
「どうやら上手く行ったようですね……えひ、えひひ」
「一番をハッキリさせる方法ならあるわよ? 一斉に会長から離れてみるの。そしたら、一番大切な女神を会長が追いかけてくれるでしょう? 人間の間ではよく言うのよ、『押して駄目なら引いてみろ』って!」
『!』
 妖精たちは、どうやら人を疑うということを知らないらしい。
 セチアの言葉を鵜呑みにし、一斉に飛び去る。
「あ、こら! みんな、離れちゃダメだ!」
「来た! 今がチャンスだぞ!」
 回言の言葉に、まずはエマが速攻で動き出した。
「ではでは、ここからの追いかけっこは私にお任せください!」
 エマはどこからか持ってきたらしい虫取り網を構えて、妖精①と②を追いかけ出す。
「さー行きますよ! あなたたちに恨みはありませんが、依頼主が引き離せと仰せです! いざーっ!」
 その素速さは常軌を逸していた。
 二匹の妖精もそれに驚愕して、さらに飛翔速度を上げて逃げ出す。
「逃がしませんよー! それそれーっ!」
 エマは走って調子が上がってきたのか、楽しそうに追いかけ回している。
「残り一匹は、俺が何とかしよう。……がおー! たべちゃうぞー!」
 口調は実にコミカルなのだが、体格が全く見合っておらず。
 妖精③は最低でも自分の100倍以上はあるであろう佐藤から逃れようと、一目散に逃げ出す。
「こらー! まてー!」
「追いかけっこも得意にならないとね! 私、看守だもの!」
 セチアも佐藤に続き、妖精③を全力で追いかけ始めた。
「やばい……! 三人とも探さないと、俺への加護がなくなって……」
「へぇ。やはり、そうなのか?」
 焦る生徒会長に、回言が後ろから話しかける。
「おわっ!? びっくりした……!」
「やっぱお前の実力はあの妖精たちの加護ありきか……納得いかねぇ」
 回言は不満そうな視線を会長に浴びせる。
「な、何だよ……その目は!」
「納得いかねぇし、何より気に入らねぇ。もう一度、敗北を知るべきだ」
 回言は【簡易式召喚陣】で精霊を召喚する。
 精霊に羽交い締めにされた生徒会長は、情けない悲鳴をあげる。
「お、俺はこの地位に立つために血へどを吐く程の努力をしたんだ! 勝利をたくさん味わっても許されるはずだ!」
「んなもん、実力でも何でもねぇよ」
「捕まえましたー!」
「こっちも、無事に捕獲したわよ!」
 奥からエマとセチアの声が耳に届いた。
 無事に三匹の女神を捕獲完了したようだった。


「さぁ会長、正真正銘の実力で勝負だ」
「……うぅ」
 会計の言葉に、えらく自信のない様子の生徒会長。
「女神の加護なしの会長さんは、一体どんな実力なのでしょうねぇ? これで負けても、私は知りませんよ?」
「まぁ真の実力勝負がしたいってことだろう? それで文句は言わんさ」
「ズルはなしでいこうぜ、ちなみに俺は寝る」
「これが終わったら、私たちもダーツ勝負と行きましょうよ!」

 トン、トン、と矢がボードに刺さっていく。
 互いに順調に得点を抑えている模様。
 的外れはなし、最低限の実力は備わっている。
「ラスト一投といこうぜ、会長」
「あぁ」
 緊張の瞬間。互いに点数は範囲内。
 上手く狙えたならば、引き分けになるワケだが。
 四人と書記が見守る中で、まずは会長のターン。
「……っ!」
 トン。狙いは外れたが、的には刺さっている。
「残り10」
 会計は深呼吸をする。これで、勝負が決まる。
「つまりは残りポイントが0に近ければいいのよね?」
「会長が残り10で終わっている。それ以下なら、会計の勝ち。ただし、マイナスは負け」
「思ったよりも拮抗していますねぇ」
 ニヤニヤとダーツボードを見つめるエマ。

 集中力を研ぎ澄ませて。
 トンッ。

会計の矢はボードに刺さる。
 得点はシングル18。
「これで残りは5。──俺の勝ちだ」

 その後の生徒会長の悔しがりっぷりは、しばらく忘れないことだろう。
 

 ●危険!?なダーツゲーム


 さぁ、ここからは依頼の範囲外。
 エマ、佐藤、セチアの三人が生徒会長に挑もうとするが。
「投げるのは得意です、ナイフですけど!」
「ナ、ナイフでのダーツは物騒だからおやめくださーい!」
「そんなこと、さすがにしないですよぉ」
 えひひひひ、と怪しく笑うエマに会長はやりかねない、と苦笑した。
「いずれ看守として、このスキルを使う時が来るかもしれないわ! よーし!」
 ヒュッと上手く投げた。かのように見えた。
 矢はボードに刺さるどころかすこんと跳ね返って、少し離れた生徒会長に刺さりそうになる。
「き、危険だ! この人、無害に見えて一番危険だ!」
「よし、次は俺だ。『紅蓮の弓矢』と恐れられた俺の腕前を見せてやろう。そりゃっ!」

 ドゴォッ!!

 凄まじい轟音が響き、ボード横の壁に大きな穴が空いてしまった。
「ええと、次はお前たちがこうなる番だ」
 その穴の大きさに、そこにいた全員が彼を敵に回してはいけないと戦慄した。
「ふぁーあ、今日は随分と賑やかだな……」
 回言は大あくびをすると、後頭部に手を組んで横になった。
 ダーツって、なんだっけ。

成否

成功

状態異常

なし

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