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シナリオ詳細

<Stahl Eroberung>手中に幸を

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<Stahl Eroberung>手中に幸を
 鉄帝国南部上空、浮遊島『アーカーシュ』。
 ほんの数ヶ月前までは眉唾物の伝承でしか語られることはなく、決して本物の島である……等と思われていなかった。
 しかし、現にこうしてイレギュラーズ達の目の前にその島は姿を現わし……そして、ここ数ヶ月を掛けて、様々な物が解明されてきた。
 そして今では、ほぼこのアーカーシュの島の全てに調査の手が入り、殆どが解明されつつある状況。
 しかしそんなアーカーシュにおいて、現状大きな問題点として取り沙汰されているのは二つの建物。
 魔王イルドゼギアによる後詰めの城『エピトゥシの城』と、強力な防御機構を持つ遺跡深部の『ショコラ・ドングリス遺跡』。
 この二つの場所には何かある……と特務大佐パトリック・アネルを初めとした鉄帝国軍。
 この両施設を、軍とイレギュラーズの連合軍をもってして一斉に調査するという攻略作戦『Stahl Eroberung』が発令される。
 この両方の施設を攻略すれば、何らかの情報が得られる筈……勿論レリッカ村の村長パフも、その命に従うのは自然な事だろう
 しかし……従いしパフを、パトリックは突如軍属に復帰させ、村から追い出すという行動を取る。
『何故だ? 何故……パフ殿を村から追い出すのだ?』
『命令だ。それ以上でも以下でもない』
 とパフの村では、パトリックに属する『特務派』の軍部と、それに不信感を抱く『軍務派』とが対立を見せている。
 そんな鉄帝国の対立の中……アーカーシュを完全掌握する為には、この『Stahl Eroberung』作戦を成功させねばならなかった。


 そして……君達の目の前には、刺々しい黒曜石の様な不思議な素材で構成された城が姿を現わす。
『ここが……『エピトゥシ城』ですね』
 君達の周りには、軍務派に属する帝国軍達。
 何処か禍々しい雰囲気を纏いしエピトゥシ城……中にはどのような脅威があるやもしれぬ状況。
 とは言えここで退く訳にはいかない……この城を制圧しなければ、アーカーシュの完全なる掌握には至らないのだから。
『ここは古代獣を製造するプラントになっている様です。皆様、決して無理はなさらない様お願い致します』
 と言うと共に……イレギュラーズ達は軍務派軍人達と共に城へと潜入。
 黒曜石で出来た内装と、迷宮の如き道を進んで行くと……軍務派軍人の一人が。
『……む? あいつら、何処へいった?』
 一緒に行動をしている筈の『特務派』軍人達はいつの間にか姿を消していた。
『全く……はぐれたかどうだかだろう。俺達は調査を進めるぞ』
 と更に先へと進んでいく。
 ……そして、大きな機械のようなものが並ぶ、古代獣製造プラントに辿り着いた一行。
『これが……製造プラントの様ですね……っ!?』
 背後から、突如放たれる矢。
『何っ……!』
 振り返る先には……はぐれたはずの、特務派軍人達。
 突然の攻撃に混乱する中、軍務派の一人が。
『何だと? パトリック大佐が、地上との通信網を遮断し、イレギュラーズを殺せ、だと!?』
 軍務派の者達に突如もたらされたのは、地上との通信路を遮断し、更にイレギュラーズを排除せよという命令が、特務派の者達に下されたとの報。
 突如舞い込む事態を飲み込めない彼等だが……刃を剥けた特務派軍らは。
『これも命令だ……大人しく死んで貰おう……!』
 と吐き捨てるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の依頼ですが……突如の特務派の叛乱と共に、遺跡の探索を同時並行で行わなければ鳴らないという、中々忙しい状況となっております。

 ●成功条件
  『アーカーシュ』の魔王城『エピトゥシ城』の内部探索を行い、古代獣の製造プラントの全てを破戒すると共に、
  突如反旗を翻した帝国軍『特務派』の面々を退ける事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  『エピトゥシ城』は、内部は迷宮のようになっており、当然ながら灯がないと真っ暗な状態です。
  ここは古代獣の製造プラントにもなっている様で……皆様の戦いの音を聞きつけ、後から液状に満たされたガラスの円柱を割って、古代獣達も出現してしまいます。
  つまり、今回敵対する相手になるのが帝国軍『特務派』の軍人達と、古代獣、という事になります。
  ただ、『軍務派』の軍人達は皆様の仲間として作戦に参加しており、軍務派の軍人達と協力して敵陣に対抗する必要があります。
  尚、『特務派』の軍人らはこのエピトゥシ城の中に散っており、様々な所で仕掛けてくる事でしょう。
  更にエピトゥシ城は未探索の場所なので、所々に罠(灼熱に熱された床、凍り付いた床、アラームを鳴り響かせる罠等)も張り巡らされています。

 ●討伐目標
  古代獣『ネピリム』
    魔王イルドゼギアの破戒衝動より発生した古代獣で、翼を持った粘土のような見た目をします。
    何故かこの敵は、皆様を観察し……そのスキルを歪にコピーして能力を発揮するという力を持ちます。
    誰の能力がコピーされるかはランダムですが……中々に強力な相手になるでしょう。
  
  四天王『闇の申し子』ヴェルギュラ・クローン
    魔王イルドゼギアの幹部のクローンです。
    剣と魔術の達人のクローンで、全ての能力が高い強敵です。
    その中で、特にEXAの能力が優れており、複数行動する可能性が高い模様です。
    飛行能力を持つ為、例え後方にいようとも空を飛んで攻撃を仕掛けてくる可能性がありますので、後衛にいたとしても決して油断はなさらないで下さい。
    尚、この敵は致命と呪い・マヒ系のBSは、特殊な力によって無効化されています。

  特務派軍人達
    パトリック大佐の命令を受けてイレギュラーズの妨害に動く相手です。
    一部の特務派軍人達は、大佐の命令に疑問を抱いている様ですが……軍人であるから故に、その命令には逆らえません。
    そんな葛藤を抱いている故、戦意は高くありません。大ダメージを受ければ、戦意喪失し撤退する事でしょう。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <Stahl Eroberung>手中に幸を完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月23日 21時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

リプレイ

●不穏当な影
 鉄帝国南の上空に浮かびし島、アーカーシュ。
 最初の頃は全てが謎であり、見る物触る物、様々な物が地上とは異なり、謎多き島としてイレギュラーズと鉄帝国の間で大きな話題になった。
 しかし数ヶ月の間に渡るイレギュラーズ達の調査報告の結果が身を結び、今となっては殆どの謎は解明されつつある。
 だが……そんな中に於いても、まだまだ未解明である地、『エピトゥシの城』と、『ショコラ・ドングリス遺跡』。
 その二つの地を大規模に調査しようと下された作戦『Stahl Eroberung』に参加したイレギュラーズ達と、特務命令を受けて参加する鉄帝国の軍人達。
「ふむ……皆殿も、特務を受けて参戦した訳でありますな? 特務、お疲れ様でありますよ」
 ビシッ、と軍人達に敬礼する『空の守護者』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)。
『いえ……仕事でありますから。しかしながら、イレギュラーズの皆様とこうやって肩を並べることが出来るとは、恐れ多いですね』
「あはは! そう言われるとちょっとむずがゆいかな? でも、そう言ってもらえてちょっと嬉しいよ!」
 頬をポリポリと掻く『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)に、『魔法騎士』セララ(p3p000273)も。
「そうだね! 軍人の皆さんとこうやって仕事する事は中々ないし、共同作戦だからこそだよね! うん、セララも思いっきり張り切っちゃうよ!」
「せ、セララ殿……まぁ、そうでありますね。鉄帝に属する身であるワタシであります故、この仕事、失敗する訳には参りませんでありますね」
 一瞬の焦りを見せつつ、セララの言葉に頷くハイデマリー……そして咲良も。
「そうだね。先ずは作戦を成功させていろいろと情報収集して帰るのがアタシ達の仕事だね! ただ、なんだろう……このお城の中はお城の中で、暗くて不気味だね……」
 『エピトゥシの城』……足を踏み入れたイレギュラーズ達の目の前には、黒曜石のような不思議な素材で構成された城が拡がっている。
 当然ながら灯りは無く、薄気味悪い雰囲気が強く漂っている。
 ……そんな壁を触りつつ、『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)が。
「鉱物で出来て居る城って、中々珍しい構造ッスよね」
 と小首をかしげると、『咎狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が。
「そうだね、普通の城は丈夫な石で構成されている事が多いけど、黒曜石の様な綺麗な石ってのは珍しいかもね」
「そうッスよね。何処かに鉱石のような収集物があるのなら、それを目標として、壁をぶち抜いて見るのも試してみてもいいんスけどね。やるだけならタダなんで、一応やってみるッス」
 巨躯から繰り出す軍刀の一閃。
 ……だが、黒曜石はその一刀を跳ね返し、僅かな傷が付く程度。
「これは……中々硬いッスね。普通のよりも硬い様ッス。進んだ先に分岐とかがあれば、マーキングぐらいの役には立ちそうッスけど……大人しく道沿いに進むしかないッスね」
「ええ、分かりました。では皆さん、自分が先導しますので、ついてきて下さい」
 『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)は一歩先に進み出る……そしてそれについていく軍人達。
 ……流れる様な動きを見せる彼に、『力こそパワー』三鬼 昴(p3p010722)は。
「特異運命座標とやらになったらしいが、右も左も分からない……強くなれば、あの様な事も自然に出来るのだろうか……?」
 僅かな疑問符を頭に浮かべる彼女に対し、オリーブは。
「……自分は、鉄帝の為に動いているだけです。それ以上でも以下でもありません」
 と、さらり言い放つ。
 ……ともあれそんなイレギュラーズ達と共に進軍していく軍人達。
 一層、二層、三層、と……段々と深くに潜っていく……そして、四階層ほど下がった所で。
『……あれ? ちょ、ちょっと待ってくれ』
 と軍人の一人が立ち止まり、声を上げる。
 その声に立ち止まり、振り返ると……軍人達の人数が半分程度。
『おかしい……さっきまで一緒に居た筈のあいつらが居ないぞ』
『あいつら……特務派の奴らか』
『ああ……そういえば、ここに来る時も、何か不穏な気配がしていたが……』
 そんな軍人達の言葉に、ウルリカ(p3p007777)が。
「……はぐれたのですか?」
 と問い掛けると、軍人……いや、軍務派軍人達は。
『ええ……私達とは別部隊の者達が居ないのです。いつの間にやらはぐれたのでしょう……申し訳ありません』
「そうですか……とは言え、無闇に探すのは、こちらも迷いかねません」
「どこ行っちゃったんだろう、軍の人達……でも、ここで立ち止まっている訳にも行かないし、急ごう」
『え……あ、はい。確かにその通りだと思います。急ぎましょう』
 もとより快くは思って居なかったのもあるのか……ウルリカと咲良の言葉に頷く軍人達。
 ともあれイレギュラーズ達と軍人達は、深層部へと急ぐのであった。

●命狩る時。
 そして……更に数階層を降る。
「ん……?」
 今迄の部屋とは違い、天井が高いホールの様な空間。
 そんなだだっ広い空間に、昴が灯りを一層強く灯すと……両壁に立ち並ぶ試験管の様な物。
「これは……何? 何かの製造プラント?」
 目を見開いて声を上げる咲良、そしてオリーブも。
「そうですね。中に入って居るのは……これは、翼を持った獣の様ですが……」
 と、その試験管の中に入って居る『物』に目を凝らすと次の瞬間。
『パリィィン!!』
 イレギュラーズから逆の方向にある試験管が、突如として破壊……それと同時に、四天王が一体『闇の申し子』ヴェルギュラ・クローンも、その闇の中から出現する。
『シィィィッ……コノ地ニ足ヲ踏ミ入レルトハ、命ノ覚悟ハデキテルダロウナァ?』
 言い放つ闇の申し子……そして、更に裏手から、はぐれた筈の軍人達が徒党を組み、出現。
『あ、あいつらは……特務派の者達!』
『何だって!? い、いつの間に!!』
 驚きの声を上げる中、特務派軍人達は躊躇する事無く試験管の敵……ではなく、イレギュラーズ達に向けて、矢を放つ。
「ええっ!? どうして! 特務派の軍人さんが敵になっちゃった! それに試験管のも、何だか動いているよっ!」
「そうでありますね……」
 セララの言葉に、一歩前に進み出て構えるハイデマリー。
 そしてウルリカが。
「何故、攻撃をしてくるのですか? 皆様で協力して利益を得よう、そういう話だったのでは……?」
 と問いかけるが、敵対軍人達は特段の反応を返さない。
「うーん、これ魔種の仕業とか、四天王のせいで変な命令が出てるのかも?」
「そうですね。何があったのかは解りませんけど、目の前にいるのは敵で、そして依頼も果たさなければならない状況だと解ります。もう少し落ちついた依頼だと思っていたのですけど、当てが外れましたね」
「そうですね……ゼシュテルほどの力量至上主義な帝国でも、軍部に対立があるのですね」
「うん。プラントの古代獣だけでも厄介なのに、特務派も襲撃をかけてくるとか……どんどんキナ臭くなってくるね」
 セララ、オリーブ、ウルリカにラムダが口々に言葉を紡ぐ。
 しかし軍務派らは無言、そして攻撃の姿勢を一切崩さない。
 そんな彼等に向けて、ハイデマリーが。
「ワタシは鉄帝! ヴァイセンブルク家が一人ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク! 矛を銃を剣を収めるであります! 鉄帝のために貴重な人材を浪費したくないのであります! まだ、貴殿らが袂を分かって居ない事を信じているであります!」
 威風堂々と声高らかに宣言するハイデマリー、更にセララも。
「特務派の軍人さん! 鉄帝の味方同士で争うなんて変だよ! 魔種の仕業とか、四天王のせい? その命令は本当に鉄帝のための命令なの?」
 と、軍務派軍人達に向けて問い掛ける。
『……特務だ。お前達を……殺すのがな』
 と、彼等は短く告げ、更に矢を放つ。
 それを躱しながら、ハイデマリーと咲良が。
「確かに特務には特務の正義があるのは重々承知、理解しております。上官の命令が絶対なのも理解しております。ですが、軍人の本懐は祖国の国民の為でありましょう!」
「そうだよ! いくら何でも急すぎるよ! ねぇ、貴方たちだってこんなの望んでないよね? そんなの……顔見たらわかるよ。アタシたちだって、なくていい犠牲や無駄な争いは望んでないんだよ!」
 更に言葉を重ね、説得しようと試みる。
 しかし……彼等は。
『お前達を殺す命令が全部に出ている。だから殺す……それだけだ』
 と言い、更に弓を放つ。更に、闇の申し子は。
『ハッハッハ!! オモシロイ、奴ラヲ殺ス、力貸シテヤロウ!』
 と高笑いすると共に、更に周囲の試験管をその声一つで破壊し、次々と古代獣『ネピリム』達を呼び出していく。
「これは……時間が経てばこちらが不利になるだけッスよ」
 と唇を噛みしめたライオリット、そして。
「うん、早いところ安全のためにもさっさと片付けないと! 痛いかもしれないけど、峰打ちで済ませるから!」
「そうだね、特務派の軍人さんを止めないと。そのためにもここを早急に攻略しないとだねっ」
 咲良とセララが言い、ウルリカも。
「そうですね……仕方ありません」
 と覚悟を決め、臨戦態勢。
 対し敵陣、闇の申し子は。
『ヒヒヒ。サァ、ハジメヨウ!』
 気に障る笑い方をしながら、ネピリム達への進軍命令を下し、ネピリム達は次々とイレギュラーズと仲間の軍人達に向けて攻め入る。
 ネピリムは先ずは探るような攻撃手段を取りつつ、皆の行動を誘う。
 更に、翼をはためかせながら飛行して攻撃を回避……そして、受けた攻撃を、まるで自分の物の様に繰り出してくる。
 そんな、今迄対峙した事のない敵の能力に、驚き目を見開く昴。
「何だと? 私の攻撃をコピー、しただと!?」
 そんな昴の言葉に頷きつつ、ライオリットは。
「かなり厄介な相手ッスよね。でも……模倣の力に負ける訳にはいかないッスよ! えええいっ!」
 敢えて機動力を加速刺せる事無く、雷撃の一閃で対応するライオリット。
 そしてアイリスも。
「そうだね。まだこの辺りの地面に罠とかあるかもしれないから、あまり動かないようにしよう!」
 少しだけ浮遊したアイリスは、仲間の動きに合わせながら、敵の動きを注視。
 彼女が狙い撃つは、このネピリム達を率いる闇の申し子。
 とは言えネピリム達の軍勢がその行く先を封じており、直接攻撃には至らない。
 更に、その後ろからは特務派軍人達が攻撃を仕掛ける。
 そちらは幸い攻撃力は高くないので、イレギュラーズ達……いや、帯同する軍人達でもどうにか絶える事は出来そうではある。
「軍人達の攻撃がちょっと厄介だね……でも、そこに余り手を裂くと、ネピリム達を倒すのに時間が掛かりそう……」
「ええ……その辺りの対応については、軍人の皆さんが惹きつけて貰えると助かります……可能でしょうか?」
 咲良とオリーブの言葉に、軍人達は。
『え? ……あ、はい。勿論です!』
 イレギュラーズ達からの依頼とあれば、俄然やる気が出てきた模様。
 論、軍人同士の争いに僅かな葛藤を覚える者達も居る様だが……そんな人達には、ライオリットとアイリスが。
「勿論、オレ達も彼らと進んで戦いたいわけじゃないッス。可能であれば、早めにお引き取り願いたいッスよ!」
「そうだね……でも、今は何を話しても、特務命令に優先されている。だからボク達が周りの敵を倒している間、彼等の攻撃をしっかりと惹きつけておいて欲しいんだ。頼めるよね?」
 肩を叩きながら、励ましの言葉を掛けると……軍人達はこくりと頷く。
 そして、ウルリカが。
「私も、皆様に加勢します……大丈夫です」
 と軍人達対峙の軍勢に加勢、そして残る仲間達にて、ネピリムらに攻撃開始。
 勿論、下手に時間を掛ければその行動パターンを読まれてしまい、コピーされた反撃を受けかねない。
 だから。
「マリー、いつもの様に連携して行くよ!」
「え? そうですね。セララ&マリーの魔法の力なら、きっと鉄帝を何とか出来るであります。色々とまぁ、人気とか出てきますし。多分、きっと……うん」
 セララの言葉に軽く頭を抑えながら、ハイデマリーが頷く。
 そして、二人は一気にネピリムの懐に飛び込む。
 そして。
「「セラマリ合体攻撃!」」
「ギガセララブレイクっ!」「ラフィティング・ピリオド」
 二人声を合わせ、連鎖した二撃で以て、確実なる一撃死を叩き込む。
「すごい。そうだね、一気に強烈な攻撃で押していけば、コピーされる暇もない筈っ。みんな、続くよっ!」
 そう咲良が仲間達に呼びかけると共に、連鎖行動の流れで咲良とライオリット、オリーブの三人も続けざまに攻撃。
「模倣したいのなら、その身に直接叩き込んでやりましょう。模倣する頃には手遅れにしてやります」
「そうッスね! さぁ、ドンドン行くッスよ!!」
 力強く、怒濤の勢いと共に構成を強めるイレギュラーズ。
 ネピリムを一体ずつ確実に仕留めつつ、闇の申し子からの攻撃に倒れぬよう声を掛け合い、ダメージの状況に応じてアイリスが号令一下にて、怪我を治療。
 かなりダメージ量は多い為、完全回復には至らないものの……攻撃をカバーリングしたり、横から攻撃を撃ち放つことでターゲットを自分に引き寄せる事で、瀕死には至らない様に敵を回す。
 そして、イレギュラーズ達が強敵を惹きつけて居る間、確実に軍人達とウルリカが敵対軍人達を攻撃する事で、不意の一撃を食らわないようにする。
 そして……セララを起点にした連鎖行動にて、ネピリムを一体ずつ確実に減らす。
 少し時間は掛かる物の、ネピリムの数を確実に減らし、数十刻の後。
『ククッ……』
 笑いなのか、苦悶なのか、どちらともつかない声を上げる闇の申し子。
 そんな彼へ昴が。
「今だっ! 一気に仕掛けるっ! ……チェストォオオオオオッ!」
 懐に潜り込んで、乱撃の拳を叩き込む昴。
 敵の身、僅かに押し退けられると、更にライオリットも軍馬の如きスピードで近接、そこからその機動力を斬撃に変えた一閃。
 翼がもがれ、体勢を崩す。
 だが、攻撃の手は留まる事は無い。
「……これで終わりにしましょう。慈悲もありません」
 そう最後の宣告を告げると共に、強力なオリーブの城をも壊す一撃。
 その一撃を喰らいし闇の申し子は……勢いを受け流す事すら出来ずに、一刀両断に討ち倒されるのであった。

●城に潜む影幾つ
 そして、ネピリムらを倒し終えたイレギュラーズ達。
『だ、大丈夫でしょうか!?』
 と、声を掛けてききた、軍務派軍人達。
「ええ、大丈夫。君達の相手は、どうなってる?」
『何とか……』
 荒れた息を整えながら、頷く彼等。
 見て見ると、特務派軍人達はほぼ全壊。
 数人だけが、ギリギリ生き残っているものの。
『くっ……諦めぬ。絶対に諦めぬぞ……!』
 唇を噛みしめる彼等の様相は、何か後引けぬものに迫られているかの様にも見て取れる。
 そんな彼等に向けて、アイリスが。
「撤退するなら今の内だよ? わざわざ追う気もないし、君たちも乗り気じゃなさそうだしね?」
 と慈悲をかけると、更にハイデマリーも。
「ええ。貴方達にも家の帰りを待つ者たちがいるでありましょう。その者達に、同胞によって討たれたなどとこれ以上報告させないでください。話しましょう。人間には言葉があるのでありますから」
 と、彼等を説得。
 ……その言葉に、一度二度顔を見合わす彼ら。
 そして一歩、二歩と対峙しながら距離を開ける彼等……対しイレギュラーズ達は動かない。
『ちっ……覚えてろよ……!』
 と舌打ちし、脱兎の如く逃げる彼等。
『……本当に、大丈夫なのでしょうか……?』
 と傍らの軍人が零すが、それにアイリスは。
「うん……きっと大丈夫。恐らく彼等も、本気で敵対したかった訳じゃない、と思うんだ」
 納得させるように言うと、皆も静かに頷く。
 そして全て居なくなり、静寂に囚われたその場にて、ウルリカが壊れた試験管……いや、古代獣の製造プラントに手を触れて。
「……」
 目を瞑る彼女に、咲良が。
「ん……どうしたの?」
「いえ……なんとなく、生まれた時の事を思い出しました。この城の持ち主は……戦闘重視、だった様ですね。人に似た生き物を創造するなら、そこには精神的な安心感が存在するのです。戦闘だけなら、魔獣型が適します」
 ウルリカの言う通り、今回の相手は紛う事無き魔獣型。
「……そうですね。力だけを求めるのであえば、人型である必要はありません。しかしながら……この城にて、何故この様な物があったのかは不明確ですね」
「はい。その辺りの関連性は分かりません。とは言えこの様な場所があるという事は……今迄に出てきていた古代獣は、この様な所から生まれてきていたのかもしれません」
「そうだね……取りあえず分かりそうな所を調べられるだけ調べて見よう」
 オリーブの言葉に咲良が提案。
 そして軍人達と協力し、イレギュラーズ達は試験管の状況と、倒れし古代獣の様子を事細かく調べていくのであった。

成否

成功

MVP

ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女

状態異常

なし

あとがき

浮遊島『アーカーシュ』調査作戦へのご参加、お疲れ様でした!
逃げ帰った特務派の軍人達が幸福な道に行けたかは分かりませんが……皆様の優しさを感じました、ありがとうございます……!

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