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シナリオ詳細

再現性東京202X:夜の美術室でマイクロビキニにならなければならぬ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 今日の犠牲者は

 ロト (p3p008480)
 ボディ・ダクレ (p3p008384)
 ニコラス・コルゥ・ハイド (p3p007576)
 咲々宮 幻介 (p3p001387)
 橋場・ステラ (p3p008617)

 以上です。

 そ し て 画 面 の 前 の お 前 だ ! ! ! ! (ホラー演出)

●イレギュラーズ in 美術室
「……さぁ、ここが今回の現場だ」
 と、ロトはイレギュラーズ達を案内する。希望ヶ浜に存在する、いくつかの高校。その内の一つだ。中にはイーゼルやキャンバスが置かれている。なるほど、わかりやすく、美術室である。
「なるほど、ここに討伐すべき夜妖が――?」
 ボディがそういうのへ、隣にいた女生徒が、
「そうですね!」
 と頷いたので、ボディは思わず小首をかしげた。
「この女生徒はどなたですか?」
 というので、女生徒はむふー、と得意げに鼻を鳴らすと、
「夜妖です」
 と言ったので。ステラは目を見開いた。
「夜妖ですか!? こんな堂々と!?」
「はい! 私……いや、他にもいるのですが! 私たちは、さまよえる夜妖――こう見えても、この美術室を占拠して、結構な迷惑をかけています!」
「堂々と言う事なのか、それ」
 幻介が呆れた様子で言う。が、どうやら、女生徒の言う事は事実のようだ。明らかに――生命の気配というのだろうか、そう言ったものが希薄だ。或いは、いわゆる生命ですらない、のかもしれない。得体のしれぬ、感覚。なるほど、人外のものであるのは確実のようだ。
「ロト、アンタこのことは知ってたのか?」
 ニコラスが尋ねるのへ、ロトは頷く。
「まぁ、僕が持ってきた話だからね。この状況は知ってた……というか、交渉役を買って出たようなものだ」
「というわけで、皆さんには私達に協力してもらって、成仏、というのですかね? 兎に角消滅してもらえるように未練とかそういうのを解消してもらいたいと!」
 と、女生徒が言うので、ニコラスは渋い顔をした。
「軽いノリの奴だな……だが、今回は面倒なことにはならなさそうだ。で、ロト、状況を説明してくれ」
「うん。じゃあ、簡単に説明しようか。
 これは、この学校の七不思議が、その実態を伴ってしまったものだ。
 美術室に現れる、自殺した女子生徒たち――」
「まぁ、自殺した記憶はないんですけど! そういううわさから発生したのが、私たちですね!」
 たち、という言葉通り、美術室内には複数の気配を感じる。この女生徒が、直接の交渉役なのだろうか。それにしても随分とミーハーではあるが。
「その夜妖たちは、自分たちが納得する絵をかけなければ成仏しない。
 命を奪う、ってほどじゃないんだけど、美術室を占拠してしまって、ろくに部活動ができない状態だ」
「やっぱり人間って、夜妖と共存とか難しいんですかね!
 私たちが美術室にいると、皆気分が悪くなったり体調崩したりして倒れちゃうんですよね!」
 わはは、と女子生徒が笑う。
「それじゃ困る……という事で、僕が調査をしたところ、彼女と出会った。
 戦闘になるかと思ったけど、どうもそうじゃないらしい。
 ならば、穏便に、彼女たちを祓えるんじゃないかと思ってね。
 そこで、彼女たちの未練を解消するために、皆の力を借りることにしたんだ」
「なるほど」
 ボディが、ふむ、と頷いた。
「それで、皆様の未練とは」
「絵が描きたい、だね」
「ならば、描けばよいのでは?」
 ボディが首をかしげる――幻介が眉をしかめた。
「すごく、嫌な予感がしてきたのだが」
 幻介はおそるおそる、尋ねる。
「念のため聞くが、どういう絵を描きたいのだ?」
「はい!」
 女生徒がそう言って、すぅ、と息をすうと、
「マイクロビキニを着た男たちがくんずほぐれつしながらわーきゃーしてる感じの絵です!」
 と一息に言ったので、
「は? 今なんと?」
 と幻介が尋ね返すと、女生徒はにっこりと我って、すぅ、と息をすうと、
「マイクロビキニを着た男たちがローションまみれになってくんずほぐれつしながらわーきゃーしてる感じの絵です!」
 と、一息に言ったので、
「は? 今なん」
 と幻介が尋ね返すのを、ニコラスが制した!
「やめろやめろ! これきき返すたびに要求がエスカレートしてくやつだぞ!!」
「はい! マイクロビキニを着た男たちがローションまみれになってくんずほぐれつしながらわーきゃーしてる感じの絵をネットのSNSに流すまでがセットです!」
「やめろ! 尋ねてないだろ! 要求を上乗せするな!」
 ニコラスが絶叫した。ステラがあわわ、という顔をしていたが、
「もちろん女性でもいいですよ! あ、お一人の場合はマイクロビキニを着てローションまみれになってエッチな感じになってる所をかいてSNSに放流します!」
 と言ったので、ステラが気絶した。
「というわけだ」
 ロトが絶望の表情でそう語ったので、幻介が、ロトの首をがっくんがっくんしながら問い詰める!
「お主……お主知っていたな!? 全部知っていて巻き込んだな!?」
「当然だよ! こんなこと一人でやれるか!」
 ロトが逆ギレする!
「あ! ちなみに、もう扉はあかないからね! 依頼を成功させるか失敗させるかしないと、この扉はあかないからねわーっはっはっは!」
 ロトがやけっぱちで高笑いした!
「た、確かにあかない……!」
 ニコラスが、力を込めて扉を引っ張るが、もはや扉はうんともすんとも言わないのだ!
「というわけで、皆さん、ご協力お願いします!」
 女生徒がにこにこという。周囲から、夜妖のものと思わしき好奇の視線が一斉に、イレギュラーズ達に降り注いだ。
「皆で不幸になろうよぉ」
 ロトが暗い笑顔で言うのへ、仲間達は絶望の表情を浮かべるのであった――!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 これはリクエストシナリオなので僕は悪くないです。

●成功条件
『マイクロビキニを着てローションまみれになって男同士(女同士でも可)がくんずほぐれつわーきゃーしてる感じの絵』をかいてSNSに放流したい夜妖の要求をきく。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 想定外の事態は絶対に起こりません。

 想 定 外 の 事 態 は 絶 対 に 起 こ り ま せ ん 。

●状況
 ロト (p3p008480)に連れられ、希望ヶ浜のとある高校の美術室に訪れたイレギュラーズ達。
 そこにいたのは、美術室に潜む複数の女生徒の夜妖であり、彼女たちは『未練』により消滅できないため、その未練を断ち切るための力を貸してほしいといいました。
 そこで皆さんにつきつけらえた要求は!
 『マイクロビキニを着てローションまみれになって男同士(女同士でも可)がくんずほぐれつわーきゃーしてる感じの絵をかいてSNSに放流したい』!
 なのです!
 もう逃げらんぞ! イレギュラーズ、お前達には『マイクロビキニを着てローションまみれになって男同士(女同士でも可)がくんずほぐれつわーきゃーしてる感じの絵をかいてSNSに放流』されてもらう!
 とはいえ、皆さんには救いの手がありまぁす! 上手い事女生徒(夜妖)を説得できれば、『ローションまみれになって男同士(女同士でも可)がくんずほぐれつ』は回避できるかもしれません!
 その代わりのシチュエーションをどうにかひねり出して、代案として提出してください! 面白かったら採用しますが、保身が感じられたらローションまみれでくんずほぐれつさせます。
 まぁ、好きなポーズやシチュエーションを提案し、ダメージを可能な限り最小限にするようなポーズで絵を描かれてください。あ、でもマイクロビキニは絶対着てもらいます。あとSNSにも放流されます。よろしくお願いします。

 以上となります。
 じゃあ、頑張ってください。僕はその姿を心から応援します。

  • 再現性東京202X:夜の美術室でマイクロビキニにならなければならぬ完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年06月07日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

咲々宮 幻介(p3p001387)
刀身不屈
※参加確定済み※
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)
名無しの
※参加確定済み※
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
※参加確定済み※
ロト(p3p008480)
精霊教師
※参加確定済み※
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
※参加確定済み※
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸

リプレイ

●今の状況
 うわああああ! 『大切な人の為』ボディ・ダクレ(p3p008384)(屍兵のすがた)と『精霊教師』ロト(p3p008480)が、マイクロビキニ(男性用)の姿でローションにまみれながらポールダンスをしているところを無数の女子生徒が一心不乱にスケッチしている!!!!

 状況を改めて説明しよう。

 うわああああ! 『大切な人の為』ボディ・ダクレ(p3p008384)(屍兵のすがた)と『精霊教師』ロト(p3p008480)が、マイクロビキニ(男性用)の姿でローションにまみれながらポールダンスをしているところを無数の女子生徒が一心不乱にスケッチしている!!!!

 悟って欲しい。

「どうしてこんなことに……ッ!!!」
 マイクロビキニを着た『刀身不屈』咲々宮 幻介(p3p001387)が、溢れる何かをこらえるように口元を抑えた。こらえたものは、嗚咽か。怒声か。吐き気かもしれない。
「それもこれもロトのせいだ……ぶん殴りたい所だが、奴は今ローションまみれでマイクロビキニを着ながらポールダンスをしている……!
 もう一度言うぞ! 奴は今ローションまみれでマイクロビキニを着ながらポールダンスをしている……ッ!」
 多分その辺にあるだろう依頼撮影用のカメラに向かって、必死にロトがローションまみれでマイクロビキニを着ながらポールダンスをしているのをアピールする幻介。これくらいは許されてしかるべきだろう。
「しかし参ったな……どうあがいてもマイクロビキニは避けられねぇらしい……」
 『名無しの』ニコラス・コルゥ・ハイド(p3p007576)が絶望の表情で言った。ニコラスはマイクロビキニを着ている。その隣ではマイクロビキニを着た『斬城剣』橋場・ステラ(p3p008617)が沈痛な面持ちで座っていた。ちなみに、着替えは何か夜妖の不思議なパワーで何とかなったのでご安心ください。PPPは健全なゲーム。
「これ、もう詐欺ですよ……拙、帰っていいですか……?」
「ダメだ、マジでドアが開かないんだよ……」
 ステラの言葉に、ニコラスが諦観の表情で言う。
「拙、ここでストライキして依頼を失敗させてもいいですか……?」
「ダメだ、ハイルールに違反するのはマジでダメだ……」
 ステラの言葉に、ニコラスが諦観の表情で言う。
「ふぅむ、しかしこうなってしまっては仕方ないとみるべきだね」
 と、ラッコ鍋をぐつぐつと煮込んでいる『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)がそう声をあげた。ラッコ鍋? 何で?
「こんなこともあろうかと、鉄帝の北海で撮れたものを用意したのさ……輸入品なので、希望ヶ浜の法律は大丈夫だろう、多分。
 というわけで、景気づけにね?」
「景気づけ……したくないが……」
 幻介がしわしわな顔をした。
 ぐつぐつと煮えたぎるラッコ鍋の匂い。それを感じながら、一同は一心不乱に、うへへ、って顔しながらロトとボディのポールダンスを描いている夜妖の女子たちをみやった。幸せそうである。
「絵を描く……までなら、まぁ、ぎりぎり、ぎりぎり、良いのだが。
 何故SNSに放流するんだ……? いいね稼ぎか……?」
 幻介が哀しげな表情で呟くのへ、ニコラスが続いた。
「お嬢さん方、SNS放流はなしって方向には……」
『だめです!!!』
 と、夜妖の少女たちが一斉に声をあげた。
『私たち、世間の皆に絵を見てもらいたいんです! たくさん! いろんな人に! ええ、絶対に!』
「題材が最悪だって言われませんでしたか????」
 ステラが光をうしなった眼で言うが、夜妖たちはなんのことやら、と目をそらす。
「くっ……欲望全開……ええ、まさに夜妖ですね。話の通じそうな外見に騙されてはいけません……!」
「けど、どうするの? こうなったらやるしかないわけでしょ?」
 『夜に一条』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)が、目をキラキラさせながらラッコ鍋をつつく。何かいように、目がきらきらしている。この状況を楽しんでいる節ありません?
「くんずほぐれつ……が嫌なら、別のことを提案するしかないよね。
 というわけで、とりあえずポールダンスを提案させてもらったわけだけど」
「そこでポールダンスが提案されるのマジで意味が分からんな」
 ラッコ鍋をつつきつつ、幻介が言う。濃厚なラッコ鍋の匂いが、部室中に広まった。
「そう? アタシ、もっといろいろやりたいなぁ。たとえばそう、壁ドンとか」
「壁ドン? ミルヴィさんがしてもらうのですか?」
 『贈る祝詞』金枝 繁茂(p3p008917)がそういう。ちなみに、もう言うまでもないが、皆マイクロビキニを着ています。
「うーうん? 男子同士でやるの。受けは……ロトさんがイイカナ。
 例えばそう、幻介がサ、ロトさんに壁ドンして、顎をクイって持ち上げて……『お前は俺のモンだ――』って」
「やめろやめろやめろ! 絵面が最悪だ! マイクロビキニなんだぞ!?」
 幻介が頭を振った。
『いいと思います!!!』
 夜妖が一斉に反応した!
「うるせー! やめろ! ポールダンス描いてろ!!!」
 幻介が地団駄を踏む。
「ええと、これはいつまで続ければ……」
 ボディが困惑した様子で続けるので、夜妖たちが声をあげた。
『あ、もう少し……そう、腰のあたりを強調する感じでお願いします』
「なるほど……疲れますね、これは……」
 モニターの頭が哀しく明滅する。もう色々と諦めたご様子である。ロトはもう最初からあきらめてるのでカウントしてません。
「ですが、こうなっては仕方ありません。満足してもらって、さっさと帰るのがいいでしょう。
 なに、SNSに漏洩するとはいえ、結局はイラストです。本物ではありません。
 となれば……写真や動画を流されるよりかは、マシ、のはず」
 繁茂の言葉に、ステラが、はぁ、とため息をついた。
「そうですね……まだ、マシ。まだ、マシ……」
 ぶつぶつと呟くステラを気の毒そうに見やりながら、ニコラスが頷いた。
「しょうがねぇよなぁ……やるか。ま、ロトはもう好き放題してもいいみたいだから、とりあえずあいつを主軸に色々と……」
「じゃあ、壁ドン! 壁ドンお願いね!」
「止めろミルヴィ! aPhoneを取り出すな! 写真を残そうとするな!!」
 ミルヴィがaPhoneを取り出したのを、幻介が制した。
「ああ、すまない、皆こんなことになるなんて……」
 ロトがポールダンスしながらそういうのを、仲間達は白々しいものを見るような視線を送って黙殺した。
「え、皆冷たくない? 仲間じゃないの?」
「その仲間を生贄に捧げたのはお前だろうが……」
 ニコラスが言うのへ、ロトが頭を振った。
「そんな! 僕はただ、生徒に絶対バレたくないだけだったんだ! 
 ……普段は穏和な先生で通ってるんだよ? こんなのキャラじゃないんだよ?
 けど、僕の尊厳だけが犠牲になるくらいなら……みんな死ぬしか無いじゃないか!」
「はい言った! 本音出ました! 最悪ですよあの人!」
 ステラがべーって舌を出した。
「まぁ、地獄への道連れが欲しい気持ちは分かるが……」
 モカが嘆息する。
「こうなってはもはや、後で殴るくらいしか私たちが取れる手段はないだろう。
 やろう……とりあえず、ラッコ鍋のおかげでテンションはおかしくなっているはずだし……」
 モカの言葉に、仲間達は頷いた。
 とにもかくにも。
 やらねばならぬ!

●ラプソディア

 うあああああ! マイクロビキニを着た繁茂が口枷をくわえてローションまみれになりながら、マイクロビキニを着たドS教師ロトに足蹴にされている!!!!!

「やめろ! なんだこの絵は! 僕の尊厳はどこに行ったんだ!!!」
 ロトが頭を抱え……ようとして、夜妖たちからのブーイングが飛んでポーズを取り直した。
「おお……なんと恐ろしい光景でしょう。
 しかしこの場合、尊厳を汚されているのはどちらなのですか」
 ボディがローションをふき取りつつそういう。次なる光景は、まあ前述したとおりの光景である。ボディの脳裏に、バチバチと何かが浮かんだ。それは羞恥心とか、諦めとか、絶望とか、なんかそういうもの。
「人は「運命とは残酷な物だ」と言う。
 不思議ですね、今なら私もその言葉を理解できる気がする。
 何故、私は。
 こんな場所で、こんな格好で、こんな状況になっている……?」
 そう呟いた時、何か胸にぽっかりと穴が開いたような気がした。浮かんだのは、大切な友の顔だった。彼なら心配してくれるだろうか……してくれるだろうな、きっと。それが救いのような、絶望のような、なんかそういう感じの思いがした。
 ぎぎぎ、と音が出そうなほどにゆっくりと、ボディがあたりに視線を巡らす。しわしわのかおをしたロトが、壁際に追い詰められて、幻介に壁ドンされていた。
「そう! そこで顎をクイ言ってするの!
 それからこう言って……「オマエは(以下リバ倫により検閲)」!!」
「お前は(以下リバ倫により検閲)」
 ミルヴィの言葉に幻介がそういうのへ、しかしミルヴィは頭を振って叫んだ。
「違う! ニュアンスが違う! お前じゃなくて、オマエ! ここが重要なの! そうだよね、皆!」
『はい、師匠!!』
 夜妖たちが一斉に声をあげた。何だあの人は。敵なのか味方なのか。もうわからない。
「オマエ(以下リバ倫により検閲)」
「うう、うう……」
 幻介の言葉に、ロトがきゅん、ってした。仕方あるまい。受けは攻めには勝てないのである。
「そう、そのまま吞み込め……俺の命響志陲――」
「うう、うう……」
 ロトが泣いた。なぜこんな目に合わなければならないのか。馬鹿野郎、泣きたいのは俺の方だ。なんでこんな文脈で代々受け継がれた神刀の名前を言わなきゃならんのだ。幻介も泣いた。
「みなさい……あれが愛の涙だよ……」
 ミルヴィがうんうんと頷いた。夜妖の女子生徒たちがうっとりした表情で、きゅん、って感じの心の音を出した。
 そんなわけがない、とボディは思った。何なのだろう、あれは。何がいけなかったのだ。洗井落雲にリクシナを出したことがそもそもいけなかったのだ――そうすれば、少なくともマイクロビキニとローションは出てこなかったはずだ……。
「あごぼっ、ごぼぼ、ごぼぼぼぼ」
 なんか聞こえた。ボディがそちらを見てみれば、猿轡をつけた繁茂だった。
「それ外さないと死にますよ?」
 ボディが冷静にそういうのへ、繁茂は「ごぼぼ」と不敵に笑った。
「ごぼ、ごぼぼぼ。ごぼぼ、ごぼ、ごぼ? ごぼぼぼ」
「死にますよ?」
 ボディが冷静にそういうのへ、繁茂は「ごぼぼ」と不敵に笑った。そのまま、ゆっくりと、指をさす。その先には、身体を使ってマットに描かれた色のついた丸に触れる例のあのゲームに興じるステラとモカの姿があった。マイクロビキニで、ローションまみれである。
「も、モカさん……苦しいです……」
 下側に位置するステラが、辛い体勢でそう告げるのへ、上側に位置するモカが、ステラに顔を近づけながら言った。
「すまない……私ももう、こうしないと体勢を維持できないんだ……」
「あ、だ、ダメですモカさん、そんな所に力入れては……」
「ふふ……気にしないでいいじゃないか、女同士なんだからさ……」
「も、モカさん……!」
『いいぞ。』
 女子生徒たちがガッツポーズをとる。
「ごぼぼ。ごぼぼぼぼ? ごぼぼっぼぼ、ぼぼぶぼぼ、ぼぼーぼ」
 そんな様子を見ながら、繁茂がなんか言った。
「死にますよ?」
 ボディが冷静にそういうのへ、繁茂は「ごぼぼ」と不敵に笑った。
「どうして、こんな所に来てしまったのでしょう……」
 ボディは遠い目をして言った。だが、狂乱の宴はまだ始まったばかりであった。

●悪徳の都的なアレ

 うあああああ! ニコラスがバニー姿でローションまみれになりながらポールダンスをしている!!!

「バニースーツは許されるんだ! 畜生!!!」
 ニコラスが叫びながら、ポールを掴んだ。ローションで滑って掴めるわけがないのだが、なんかつるつる棒をさすっている描写がストライクゾーンにはまったので、夜妖たちは満足した。
『もっとこう、恍惚とした顔で上下にこすってください! あと視線はこっち向けなくていいです、棒を! 愛おしいもののように見てください!』
「うるせー! もうポールダンスじゃねぇだろこれ! なんだこれ! どうすればいいんだ!?」
 なんかこう、やけっぱちになるニコラス! 一方、ステラとモカの体を使ってマットに描かれた色のついた丸に触れる例のあのゲームは崩壊していた。べしゃ、と音を立てて密着する二人の女性。白と、褐色。コントラストのような、美しい絡み合い。夜妖たちの筆がはしる! というか、ああいうゲームしょっちゅう動いてるけど、本当に絵描いてるの? 嘘ついてない?
「くそっ、これはいつまで続くんだ!?」
 バニースーツのニコラスが吠えるのへボディは頭を振った。なんか知らないが、繁茂と一緒にロッカーに詰め込まれて、上からローションをかけられている。
「わかりません。ほんとうに、わかりません」
 諦観するようなボディの言葉に、ニコラスは頭を抱えた。わからない。マジでわからない。なんだこれ、どう収拾をつければいいのだろうか。書いてる本人もよくわかっていない。
 ローションが飛び散り、マイクロビキニが舞う。後なんか自発的にバニースーツを着た男もいた。幻介はロトを壁ドンしていたし、ミルヴィはずっとその写真を撮っていた。
「いつ終わる! いつ終わるんだ!?
 この地獄はいつ終わるんだ!?」
 ニコラスが叫んだ。神がいるならば、今こそ頭を垂れて跪き、救いを乞いたいような気持だった。神。ヘルプミー。だんだんと頭がぼうっとしてきた。多分ラッコ鍋のせいだと思った。それから、なんだかふわふわと現実感がなくなって行って、夢の中にいるような気持になった。
 心のセーフティのようなものなんだろうな、とニコラスは思った。心が壊れそうなときに、それを守るためのセーフティ。今いるこれは現実ではなくて、一時の悪夢なのだ、と現実逃避をするための、心の防衛装置。
 それは悪い事ではあるまい。直視すれば、心が壊れてしまう現実なら。そんなものからは目をそらすに限る。例えばこう、バニースーツを着てポールを愛おしそうに撫でている自分とか。客観視すらしたくない。いや、いつか客観視する日が来るのか。SNSに流されるからな、このイラスト……後多分、洗井落雲がこういうんだ。「ピンナップとかお待ちしてます」。畜生! 他人事だと思って、あの冠位色欲SDが!
 ニコラスの胸中に、ぐるぐると何かが浮かんでは消えていく。それが何なのかを、明確に認識することはできなかったししなかった。認識したら、心が壊れてしまうだろうから。だが……悪夢のような時間は、唐突に終わりを告げた。
「満足しました」
 と。女子生徒夜妖が、てっかてかの顔で言った。ローションでてかってるのではない。こう、色々と満足するものを摂取したからなる、オタク特有のアレである。
「みなさん……本当にありがとうございます。
 皆さんのおかげで、私たち……満足できました」
 サティスファクション……と呟く、女子生徒夜妖たち。みんな顔がつやつやしていた。良いものを摂取した、と言いたげな表情だった。
 ぱぁ、と光が満ちた。やたらと大げさに、まるで天に昇るかのような光が、教室の中を照らした。満ち足りた表情をした女子生徒夜妖たちが、ふわり、と宙に浮いた。
「成仏しようと思います」
 にこり、と女子生徒夜妖が笑う。
 終わる。
 終わるのか。
 このわけのわからない悪夢が。
 イレギュラーズ達は、安堵のため息をつき。
 同時に。なんかだんだんムカついてきた。
 というか、どうしてこの子達は、こんだけ好き放題やって、満ち足りた顔で退場しようとしているのか?
 とりわけ、その思いが強かったのがステラである! ステラはにっこりと笑うと。
 がしり、と。女生徒の足を掴んだ。
「逃げられるとお思いですか」
 にこりと笑って。
「えっ」
 女生徒の夜妖が困惑した声をあげる。
 ステラは続けた。
「とある人は言いました、撃って良いのは撃たれる覚悟のある者だけだ、と。
 描きましたよね? 描きましたね??
 描いて満足してはいサヨウナラ、なんて思っていませんよね???」
「えっ。その」
 ぐ、ぐ、と夜妖が足を持ち上げようとする。ぐ、ぐ、とステラがそれを阻止する。
 もとより、力の弱い夜妖。
 力で訴えかければ勝てる筈もない。
「着てもらいます。マイクロビキニを。ああ結構、嫌なら体操着で構いませんええ。最近の体操着ではなく、昭和のブルマとかそういう体操着ですよ。スク水でも構いませんええ、勿論昭和のアレです。いいですね! 問答無用で着てもらいます! SNSにも流出する楽しみにしていてください!!!」
 ステラが叫ぶのへ、仲間達はゆっくりと立ち上がった。夜妖たちは困ったような表情をして――暗転。

 さて、これは後日の話である。
 SNS上にアップロードされたイラストは、イレギュラーズ達の痴態を描いたものであったが――。
 その中に何点か。存在しないはずの女生徒のあんな姿やこんな姿が描かれたものも流出しており。
 新たな都市伝説になったとかならないとか。
 めでたしめでたし。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 夜妖は成仏しましたが、双方大きな犠牲を払ったのです……。

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