PandoraPartyProject

シナリオ詳細

異論を認めぬ国の影

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●異論を認めぬ国の影
 天義(聖教国ネメシス)の首都、フォン・ルーベルグより離れた海沿いの街、『アドラステイア』。
 天義の国にあれど、天義に属する事を否定し、独立を宣言したこの都市。
 更にこの国の特異とすべくは、アドラステイアでしか信じられていない神『ファルマコン』のみを神奉するという点。
 その教えはかなり極端で、この神を信じぬ者は全てが国に盾突く叛逆者であり、捌かれるべき存在であるという教えが広まっている。
 だが……そんな極端な教えに対し、反対に懐疑心を持ち始めるような子供達が、アドラステイアの様々な所に息を潜めていて。
『……本当に、そんな神様がいるのかなぁ……?』
 と、人知れずそんな呟きを零す、真実に気づき始める子供達が居る。
 だが、そんな子供達もカミングアウトしてしまえば、叛逆者として捉えられる羽目になるのは、火を見るよりも明らかで。
『……いや、これを口にすると、こわーいおとなたちがくるからさぁ……だまってよーぜ」
『そうだなぁ……』
 心許せる友達も同じくファルマコンに僅かながらな疑問を抱いていた様で……そんな子供達は、ファルマコンで叛逆者として囚われない様に息を潜めて生き続けるのであった。


「……ま、せん……すい、ません……ちょっと……宜しいでしょうか……?」
 天義首都、フォン・ルーベルグの街の一角。
 おずおずと、控えめに言葉を掛けてきたのは、年の頃十歳くらいの少女。
 そんな彼女の言葉に振りかえるのは、『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)と、君達。
「……すみません。私は……ラヴィネイルです。今日もまた、子供が禊ぎへと落ちました。それは明日も、明後日も……変わる事はないでしょう……そんな苦しむ子供達を、助けて頂けないでしょうか……?」
 と、頭を下げるラヴィネイルに、ウィルドは。
「ん……ああ、そうだな。確かにアドラステイアの子供達を助けたいと思っていた。だが……何か考えがあるのか?」
「……考え、ですか……そうですね……難しい所、ではありますが……私のように、アドラステイアには『ファルマコン』の神を信じる事に懐疑的になっている子供達が居るのです……」
「とは言え『アドラステイア』でその様な事を口にすれば、間違いなく渓へと落とされてしまう羽目になってしまいます。なので彼等は、アドラステイアの中で暗号を用い、その言葉を交わして心の安寧を仲間達と共に共有しつつ、ひっそりと生活している様なのです」
「その暗号は……『神のカケラ』……」
「ですが、どうやらこの暗号を、アドラステイア下層のティーチャーに知られてしまった様なのです。そしてティーチャーは、アドラステイアを心の底から信じる子供達に教え……尻尾を出した者を叛逆者として捉え、警告へと連れて魔女裁判を起こすという行為を繰り返しているようなのです」
「このままでは、多くの私のような子供達が多く裁かれる羽目になりかねません。どうか……アドラステイアに居る、神を信じぬ『子供達』の救出作戦を、御願いしたいのです」
 との言葉にウィルドは。
「そうか……ああ、分かった。そうとなれば、早々に手を打たなければならないな……力を貸そう」
 と頷き、仲間達と共に再びアドラステイアへと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回はアドラステイアの依頼ですが……潜んでいる『アドラステイア』に疑問を感じている子供達を下層から脱出させる事になります。

 ●成功条件
  アドラステイア下層にて、愛言葉を使い子供達を救出する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  場所はアドラステイア下層です。
  スラム街の様な雰囲気の街並みで、大人子供もかなり厳しい生活を強いられています。
  とは言え大多数は『ファルマコン』を信じており、いつかはファルマコンが救ってくれる……と言う気持ちを持って居ます。
  しかしそんな考えとは相反し、『ファルマコンなんていない』という事を想い始めている子供達が出て来始めている様です。
  彼等は合い言葉『神のカケラ』を口にし、それに反応をした相手を仲間と認識為ている様です。
  ですが、この合い言葉をティーチャーに知られてしまい、叛逆者を炙り出しにしようとする作戦をティーチャーが開始為ようとしています。
  まだ、神なんて居ないと考えてる子供達は、そのような状況に成っているとは知る由も無いので、早々に彼等を見つけ救出し、アドラステイア外周へと連れ出さなければなりません。
  尚、逆にティーチャーの指示を受けた子供達は、その合い言葉を聞くと『叛逆者だ!!』と声を上げて周りの仲間を呼ぼうとしますので、多数子供達と戦う羽目になるのは間違いありません。

 ●討伐目標
  ・アドラステイア下層でファルマコンを信じる『子供達』
    神奉者のティーチャーの指示の下、叛逆者を吊し上げようとする子供達です。
    戦闘能力はそこまで高くは無いですが、ティーチャーを呼ぼうとするので、放置しておくと厄介な羽目になりますし、保護対象の子供達を優先的に殺そうとしてきます。
    勿論、彼等の魔の手から子供達を守るのもありますが、敢えてティーチャーを誘い出す為に泳がす……という手段もあるかもしれません。
    ティーチャーが倒れれば、彼等は悲しみに暮れて作戦遂行不可能になるでしょう。

  ・子供達を利用する『ティーチャー』と『聖獣』
    子供達の指導者という立場を利用して、下層の一角での叛逆者を炙り出しにしようと画策しています。
    彼自身は魔法使いで、後方から魔法で攻撃するという戦闘能力は高いものの、接近されるとかなり弱いです。
    その弱さを補うように、ライオンの如き姿と白き羽根を生やした四肢の聖獣が表だって攻撃します。
    聖獣は鋭い爪、牙での斬り裂き・噛みつき攻撃を行い、かみつきは特にHPを吸収する能力を持っている様です。
    尚、ティーチャーを倒さない限り、聖獣は次々と数を増やしますので、ティーチャーを早々に倒す必要があります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 異論を認めぬ国の影完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月30日 23時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
オウェード=ランドマスター(p3p009184)
黒鉄守護
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)
生来必殺
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神

リプレイ

●隠れし心の中で
 天義首都、フォン・ルーベルグより離れし海沿いの街、アドラステイア。
 天義と違う神『ファルマコン』を信じる事だけを押し進め、それに盾突く不届き者に対しては、有無を言わさずに叛逆者の烙印を押すという事件が罷り通る……そんな罪深き地。
 ……そんな烙印を押す街の中に於いて、『ファルマコン』は偽物である……とごく一部の子供達が気づき始めたというのをラヴィネルより聞いたイレギュラーズ達。
「ふむ……最近、こう言うファルマコンの信仰に疑問を持った子供、それにまつわる依頼というのが増えてきたな」
 と空を見上げる『優しい絵画』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)に、『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が。
「ああ。奴らからすれば、『ファルマコン』を信じない者は重罪人であり、そういったのを断罪するのは慣れているという訳か……『重罪人』という大義名分を盾に子供たちを殺そうとするなんて、本当に呆れる。大の大人のすることではないよ。どこまで自分で考える事を放棄すれば気が済むんだろうね?」
 肩を竦める雲雀、それにこくりと頷く『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)。
「ええ……従順な子供達に狙いを定め、信仰心を植え付け手駒とし、そうでないものを排除する……とても合理的なやり方だと思います。ですが、何故でしょう……とても気分が悪いのです。気持ち悪い、気持ち悪い……気持ち悪いです。もしかしたら……これが『ムカつく』という感情なのでしょうか……」
 純朴な表情の中に、辛辣な思いを抱くハイン。
 それに直接依頼を受けた『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)が。
「ええ、そうですねぇ……子供という資源の無駄遣いはいただけませんねぇ……魔女狩りごっこで消費するくらいなら、私がもらい受ける所ですよ」
 不敵な笑みを浮かべるウィルド。
 神を信じぬものは魔女である、という昔から良くある異端審問の話。
 それがここ、アドラステイアでは極々ありふれた日常である。
 それに『含牙戴角』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)が。
「なるほど……子供ならば、神ノ存在を素直に信じてくれるだろう、という訳か。だがな、そんな訳の分からない神の存在を吹き込まれて、それが虚偽と知った時の怒りと絶望は、どれ程のものなのだろうな?」
 と零すと、日常に疑念を抱く『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)も。
「でも、アタシが思うに神様って「心の拠り所」であって、「絶対のもの」じゃないと思うんだよね。別に無神論者? っていう訳ではないけど。その心の拠り所が別にあるって言う、ただそれだけで子供達には何の罪も無いじゃん。その炙り出しが、まして裁いて酷い目に合わせるのが彼らにとっての正義というのなら、そんな正義クソくらえだよ!」
 拳を振り上げ怒りを露わにする咲良。
 その憤りを理解したかの如く、ハインも。
「ええ……ボクはなぜ、このように怒りがわき上がるのでしょう? ボクがボク自身の感情に戸惑いを覚えた時、ボクはかつて見た、人々の日常を思い出します。何気ない日常……何気ない日々の営み。無垢な子供はその象徴。どうやらボクは、それが破壊されると、酷く気分を害するようです」
 声は落ちついているけれど、その裏ではふつふつと怒りが煮えたぎる。
 それにうんうんと頷きながら咲良が。
「うんうん。良く分かるよ。アタシ、別の依頼で、そういう報復を受けそうになった街があったし、『正義という名の正当化』はあるのかもしれない。どっちにしても、とても許された事ではないんだけど、さ……子供達も、そういう意味では被害者なのかなって思っちゃうなぁ……」
 と虚空を見上げる。
 そんな仲間達の様々な思いを聞いた『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)が。
「まぁ、相変わらず宗教の悪い所を煮詰めた様な国だが……合い言葉まで探し出して、不穏分子を見つけようとしているのは、そうまでしないと結束を保てない、ということかもしれんな?」
 と思慮すると、頷く『命の欠片掬いし手』オウェード=ランドマスター(p3p009184)。
「そうじゃな。不信の声が表だってはないものの、こうして広まっているという事は……あの時ノフェイクス殿達が上手くやっている様じゃ。儂もティーチャー共には名が知られてきている様じゃし……ここで救出に向かうのも良いじゃろう」
 そして。
「俺達の活動が、少しは救済の役に立っている……って事ならばいいんだが、実際の所はどうなんだろうな? まぁ、ここに来たからには、しっかりと依頼をこなさせて貰うが」
「ええ。少しは自分の頭で考える事の出来るお子様達もいるようですし、将来への投資として一働きするとしましょう……という訳で、作戦を一応確認しておきましょうか。子供達を保護するのと、陽動する班に分かれ、陽動班が惹きつけて居る内に子供達を馬車に誘導……と言う事で宜しいですか?
 ベルナルドの言葉に、ウィルドが作戦を確認。
 それに咲良が。
「うん、陽動作戦、ナイスアイディアだと思うよ! それじゃアタシは陽動班の方で! 惹きつけてしっかりボコっていくね!」
 気合い十分な咲良にオウェードとも。
「うむ。ワシも手伝わせて貰おう……雲雀殿も、ワシらが惹きつけて居る内に、『神のカケラ』を遣い、子供達を頼むぞ」
「了解。ま……そっちも無理しないようにな」
 そしてイレギュラーズ達は二手に別れ、かの子供達が居ると言う下層に潜入するのであった。

●信じる者は救われない
 そして……アドラステイア下層を歩くイレギュラーズ。
 当然スラム街の様相を呈しているこの下層エリアでは……老若男女様々な人々が命を営む。
 ……そんな下層に、馬車をコロコロと転がし、持ち込むのはベルナルド。
「……ベルナルド、そんなのを持込、何をしようとしている?」
 とイルマが問うと、ベルナルドは。
「子供達を匿ったとしても、逃げ込む場所が必要だろう? 幸いここは下層だ。外の街との交易物資を運ぶ馬車も結構頻繁に出入りしているから、あってもそう不審に思われないだろうしな」
「ふむ……確かに。分かった、子供を見つけ次第、こちらに連れて来るとしよう」
 頷くイルマ。
 そして馬車を、仲間達が活動するエリアの一角に置きつつ。
「……良し。後はティーチャー達の陽動か……あっちの方から動くのを待つとしよう」
 と言いつつ、周りの子供達に目を配る。
 目に付く子供達は、そういった素振りを見せるのは今の所居ない。
 そんな中で、エーレンとオウェードは街中を歩き回り……『神のカケラ』を聞き回っているティーチャーと、配下の子供達の捜索を行う。
 ……時が経過すると、その様な行動をしているティーチャーの話は子供達の間で段々と噂になり初める。
『なーなー。ティーチャーからさー、『神のカケラ』って知らないかって言われなかったー?』
『言われたー。なんだろーなー? 神様のかけらって……?』
『そうだよなー! まぁ、よくわからねーからきにしないことにしよーぜ!』
 と、本当に『神のカケラ』の合い言葉を知らぬ子供達にとっては、話のネタにしかならない。
 だが……その真実を知り始めた、叛逆者の子供達は。
『え? ……あ、う、うん。そーだよな……は、ははは!!』
 と、引きつった笑いを浮かべてどうにか取り繕う様な状況。
 ……そんな子供達の会話にアンテナを高く張り巡らせていたイレギュラーズ達は、『神のカケラ』を問うティーチャーを、程なくして発見する。
「良し……それじゃ、始めるとしよう」
「うむ、了解じゃ。ハイン殿……宜しく頼む」
「うん……わかりました」
 二人に促され、幼い子供の容姿のハインはボロボロのフードに身を包みつつ、そのティーチャーの近くをふらりと歩く。
『ん……? そこの子よ、ちょっといいかな?』
 柔和な表情を浮かべながら、ハインを手招きするティーチャー。
『?』
 小首を傾げながら……ティーチャーのと頃へと近づいていく子供。
『君は……『神のカケラ』を知ってるかい?」
 とティーチャーが問い掛けると、ハインは。
「『神のカケラ』……ティーチャーも、信じて無いんだ」
 嬉しそうな表情を浮かべて、真意を口にするハイン……当然ティーチャーは。
『ふふ……そうか。お前は叛逆者という訳だな! おい、周りの子供達よ、こいつは叛逆者だ! 捉えろ!』
 瞬く間に叛逆者の狼煙を上げて、周りの子供達に捕獲を指示するティーチャー。
 ……そして、そんなティーチャーの号令を受けた子供達が、一気に周りを包囲しようとする。
 だが……その間にささっ、と立ち塞がるオウェード、咲良、エーレン。
「ティーチャーよ……『神のカケラ』を信じるこの子は捕まえさせないぜ?」
 と、敢えて大きな声でティーチャーに戦線布告しつつ、『神のカケラ』を大声で宣言。
 当然周りの子供達にその声が響き……はっ、とした表情を浮かべる子もちらほら発見。
 そんな子供達の元に、別班として待機為ていた仲間達が他の子供達に見つからない様に接近。
「君も、『神のカケラ』を知って居るのかな? ならば……こちらへ。ここを出ましょう。自ら現状に疑問を持ち、踏み出す勇気を持ったあなた達ならば、どこでだって前に進めます」
 とウィルドを始めとして、それら子供達に声を掛け、手を引き……避難先である馬車へと誘導。
 勿論その間もずっと、陽動班の四人はティーチャーとその周りで目の色を変えている子供達に。
「ワシの名はオウェード! ティーチャーは知っておろう? あの賞金首のじゃよ! 倒せばコインを沢山貰えるかもしれないのぅ?」
 ニヤリ笑みを浮かべながら、オウェードは怒りを買う。
『くっ……やはりか! ならば捉えて徹底的に殺すまでの事!! 子供達よ、捕まえたら沢山、救済の秘薬を与える。だから、死ぬ気になって捕まえるのだ!!』
『ほんとう!? うん、分かった!!』
 目の色を変える子供達が、我先にと攻撃を開始。
 ティーチャーに認められようと、武器は無いながらも足にぐっと巻き付いて動けないように身を呈する子供達。
 そして子供達が足止めをしている最中に、ティーチャーは笛を吹いて、聖獣を召集する。
 突然の戦場になった下層の一角……その混乱に乗じて、合い言葉に反応した子供達を次々と馬車へ匿っていく雲雀とイルマ。
 見渡す限り、後は叛逆者だと息巻く子供達のみになった所で。
「良し。ベルナルド君、この子達を宜しく頼むよ!」
「ああ、分かった!」
 馬に鞭を打ち、馬車を下層から外に向けて動かすベルナルド。
『おい! その馬車も止めろ!!』
 とティーチャーが叫びそれを止めるべく指示するが、させぬと言わんばかりにイルマが対峙。
「全く……愚かな支配者だ。そういった者は討たれるのが世の定め。貴様もその有象無象の一つでしかない。貴様を慕う子羊の目の前で、無惨な最後を晒すがいい」
 威風堂々と、彼の自尊心をこき下ろしながら銃を突きつけるイルマ。
『くっ……巫山戯た真似しやがって……! 『ファルマコン』を信じぬ者は、この街では死あるのみだ! 絶対に殺してやる!!』
 その目は血走り、狂信的な言葉を叫ぶティーチャー。
 そして、ティーチャーの動きに呼応する様、聖獣もまた暴れ回る。
 しかし……聖獣が狂気の儘に暴れ回ると、周りの子供達にもその爪痕が……。
『てぃ、ティーチャー……いたいよぉ……!』
『うるさいっ! お前達は、大人しく私の指示に従い、あいつらを捕まえてればいいんだ!!』
 子供達の泣き言に、全く耳を貸す気配のないティーチャー。
 完全に子供達を、いい具合に利用出来る駒としか考えて居ない様で……そんなティーチャーの行動に咲良が。
「ほんっとに酷い……絶対に許さないんだから!」
 辛辣に言葉を吐き、己の身を瞬時に加速させる事で、子供達の妨害を振り解きながら、渾身の一撃を放つ。
『ぐぁっ……!!』
 苦悶の叫び声を上げるティーチャーに、更にオウェードとエーレンが。
「おかわりじゃよ! この量の多さにお前さんは食べきれるかね?」
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ……お前のように、子供達を駒としか思わぬ性根……たたき直してやる」
 カウンターの一閃と、流れる様な居合斬りでもって、ティーチャーの身を削ぎ、彼は悲鳴を上げて苦しむ。
 一方聖獣に対しては、イルマと雲雀は子供達を力尽くで引き剥がしながら攻撃し、聖獣を抑え、倒す。
 ……聖獣が倒れれば、周りの子供達は。
『そんな……せいじゅうさまが……』
 とショックを覚えて、茫然自失状態になってしまい動きを止めてしまう。
 そして……最後に残るティーチャーを、イレギュラーズ達が完全包囲。
『ぐぬぬぬ……』
 唇を噛みしめた彼へ、ハインが。
「アナタができることは、ただ一つです……両手を組み、アナタの信じる神に祈りを捧げなさい。Wenn du stirbst, wo ist dein Gott?」
 死を前に、神を訪ねる聖句を紡ぎ……そして、己が精神力を弾丸に変え、撃ち抜く。
 その一閃を喰らいしティーチャーは、断末魔を上げる事も敵わずして……そのまま死して行くのであった。

●不安な心を守る者
 そして……ティーチャーを倒したイレギュラーズ達は、騒動が更に大きくなる前に……早々にその場から離脱する。
 向かう先は、馬車を避難させたアドラステイア外周の地。
「ん……お疲れ。みんな来たって事は……ティーチャーは倒したって事か?」
 とベルナルドが問うと、頷くオウェード。
「うむ。後は……この子達をどうするかじゃ。暫くの間はここに居れば大丈夫じゃろうが……」
 とオウェードが言いながら、馬車の中に逃げ込んだ子供達を確認。
 人数は4人程で……下層の一角でこれだけの人数が居たというのは、少し驚くべき所ではある。
 とはいえ彼らは下層で、神を信じぬ事を隠しながらも生きていた訳で……外周では天涯孤独の身とほぼ同じような状況。
 このまま彼らをここで解放してしまっても……恐らく生きていく事は出来ないだろう。
「そうですね……取りあえずこの子達の当座の生きる為の資金については、私が援助するのは構いませんよ? この子どもたちがどうなるか、見ものですからねぇ……」
 不敵な笑みを浮かべるウィルド。
 その言葉だけを聞くと……何か不穏な気配がするけれど、彼がラヴィネイルの依頼を受けなければ、元々この子達も助からなかった訳で……彼らは命の恩人なのは間違い無い。
 そんな彼の言葉にオウェードは。
「そうじゃな……ならばわしから、フェイクス殿に力を貸して貰う事としよう。なぁに……必ずや助けになってくれる筈じゃ。だから、安心してくれ」
 と子供達の頭をわしゃわしゃと撫でる事で、子供達が辺に気負わない様に励ますのであった。

成否

成功

MVP

ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束

状態異常

なし

あとがき

ご参加、ありがとうございました……!

アドラステイア、子供達もちょっとずつではありますが、気づき始めた様です。
まだまだ小さな種火の様な状況……これを大きくするのも、皆様のお力が必要になると思います……!

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