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シナリオ詳細

異なる正義を妨げ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●異なる正義を妨げ
 天義(聖教国ネメシス)の首都、フォン・ルーベルグより離れた海沿いの街、『アドラステイア』。
 天義にあれど、天義に属すること無く独立したその都市は、フォン・ルーベルグとは違う神を信奉しており、かの国はその信仰が極端に進んでいたりする。
 その結果、アドラステイアが信仰する神『ファルマコン』を信じぬ者は異端者で在り、叛逆者。
 叛逆者が生きる術はこの都市にはあらず。
 信仰する者こそがこの都市の正義であり、唯一の生きる道。
 そしてそんな都市の中においては、そんな叛逆者が居ないか目を光らせている者もいる。
 ただ、それが成熟した大人だけでなく、未成熟な子ども達にも監視の目が光っており。
『……ねぇ、ほんとうにそんなこと、おもってるの?』
『うん……だっておかしいよ? 『ファルマコン』のかみさま、ほんとうにいるのかな……?』
『いるよ! だから、ぼくたちがいきているんじゃないか!!』
『いきている、けど……それって、ぼくたちがいきてるからじゃないの? かみさまのちから、ほんとうにあるのかな……?』
『かみさまのちからだよ!! ……なんだよ、きみはかみさまをしんじてないの? なら……きみははんぎゃくしゃだ! さばかれるべきなんだ!!』
 と、アドラステイアの傍らで繰り広げられる声。
 母親を亡くした少女が、その墓標を前に……ともだちと言い争う。
 ……母親の死亡原因は分からない。言われたのは、外から来た旅人達に殺された、という話。
 それに一抹の疑惑を感じた彼女だが……その話を聞いてくれるような者はこのアドラステイアにはおらず。
『ティーチャー、こっちこっち!! ねえ、はんぎゃくしゃだ! はんぎゃくしゃをつかまえろー!!』
 と、ともだちは彼女を告発し、ティーチャーを呼び寄せ、彼女を捉えようとするのであった。


「まったくぅ……また手紙でポンポンと気軽に依頼をしてきたのですよ。イレギュラーズは体の良い便利屋さんじゃないのですよ本当に……」
 と、ギルド・ローレットにて深く溜息を吐くのは、ユリーカ。
 その手に握られた手紙に悪態をつきつつ、ギルドを訪れた君達が暇してそう……というのを感じたユリーカは、くいくいっ、と手招きして。
「えーっと……暇しているようですね? ちょっと頼まれ事をしてきてもらってもいいです?」
 ニコッと笑みを浮かべるユリーカ-……断れる雰囲気はなく、はぁ、と溜息を吐きながら話を聞くことになる君達。
 そして……ユリーカが開いた手紙には、サントノーレと云う署名が末尾に記されていて。
「皆さんもしってのとおり、アドラステイアに潜入して調査を続けている探偵さんからの依頼なのです。どうもアドラステイア中層で、『ファルマコン』に疑問を抱いた少女が居るようなのです」
「どうして彼女が疑問を抱いたかというと、彼女のお母さんが聖獣化してしまい、イレギュラーズの皆さんに倒されたのです。ですがその真実を伝える事はせず、彼女のティーチャー達は『冒険者に殺された』と吹聴している様なのです」
「彼女の最愛のお母さんが死んで、殺された……それだけでもショックは大きいと思うのですが、神を信じない事に周りの人達からは叛逆者とのそしりを受けて、彼女は断罪されようとしているのです!」
「このままだと、彼女は捉えられて、また疑雲の渓へと落とされかねないのです。勿論、イレギュラーズの皆さんが冒険者だと名乗ると、またややこしい事になりそうですけれど……でも、このまま放置しておく訳にも行かないのです。彼女を助けてきて欲しい、というのがサントノーレさんからの依頼なのですよ」
 と、そこまで言うとユリーカは。
「彼女のお母さんを倒したのは事実なのですが……そこを隠すかどうかはイレギュラーズの皆さんにお任せしますのです。でも、彼女を救うために、どうにかしてきて欲しいのです。宜しく頼むですよ!!」
 とユリーカは、拳をぐっと振り上げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回はアドラステイアの依頼……聖獣の被害を間接的に受けた少女の救出依頼です。

 ●成功条件
  アドラステイア中層にて、逃げる『少女』を匿い救出する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  場所はアドラステイア中層ですので、整然とした街並みになります。
  ただ、そんな街並み故に隠れるような場所は少なく、彼女を放置しておけば程なく見つかり、そのままアドラステイア外部まで連れて行かれて疑雲の渓に落とされてしまうでしょう。
  勿論彼女を追い立てている彼等は言葉を遮ることはせず、その騒ぎを聞きつけて先回りすれば、彼女と遭遇する事は可能です。
  ただ彼女は軽い人間不信に陥っており、母親を『冒険者』に殺されたと言われているので、下手に皆さんが『冒険者』と名乗ると、そこから更に逃げていってしまう可能性すらありますので、彼女とのファーストコンタクトには注意して下さい。

 ●討伐目標
  ・アドラステイア中層で自治を行う、プリンシパルの『子ども達』
    アドラステイアの騎士である『聖銃士』の中、優秀な成績を収めた子ども達です。
    ティーチャーと協力し、叛逆者を捉えようと剣を取ります。
    子どもとは言えども、士気はとても高く説得も不可能です。
    攻撃力・防御力共に高いものの、体力はそんなに高くありません。

  ・子ども達を指導するティーチャー
    プリンシパルを率いる大人達です。
    彼等は戦闘能力は自分の身を守る程度しか持って居ません……ですが、自分が危機に陥ると、すぐさまプリンシパルを嗾け、『聖獣』を呼び寄せる笛を鳴らします。
    なので、増援を呼ぶという意味では厄介な相手なのは間違いないでしょう。
  
  ・呼び寄せられた『聖獣』
    ティーチャーの笛によって呼び寄せられる聖獣です。
    白い羽を生やした虎の様な姿をしています。
    当然正気は失っており、目の前の冒険者を喰らい尽くす事だけを目的に戦場を飛び跳ねます。
    攻撃力・防御力・体力、全てが高くかなりの強敵なのでご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 異なる正義を妨げ完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エマ(p3p000257)
こそどろ
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー

リプレイ

●内なる正義たるや
 天義首都、フォン・ルーベルグより離れし海沿いに律する街『アドラステイア』。
 天義にあれど、天義に属することはなく、フォン・ルーベルグとは違う神を信奉するこの国は……極端なる神の信仰を是とする風潮がある。
 そしてその信仰の中に於いては、無垢な心を持った子供すらその被害者となっており、新たなる神『ファルマコン』を信じない者は異端者として処理される程。
「うーん……アドラステイア、どうしてもこんなに粛清される世界なんですよ? 洗脳された子供達に聖獣……どっちも戦いたくないですよ」
 と、『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)が悲しげに言葉を紡ぐと、それに『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)と『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)の夫婦二人と『優しい絵画』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)からも。
「やれやれ、厄介な事を……集団の中で一人異を唱えれば、吊し上げられるのは当然だ」
「ああ、信仰の中での神様ってのは、凡そ人間に都合の良い様に出来て居るものさ。その都合が信者ではなく、教祖にばかり向いた時点で、その宗教は終わってんだよな」
「そうだね。こういった盲信的な連中が集まると、基本碌な事しかしでかさないし、その対象が例え子供であろうがお構いなしだ」
「全くだ。確かに俺達イレギュラーズが倒した聖獣が、この子供の肉親だったかもしれないが……聖獣となった先にあるのは倒す他に今の所救う手段は無い。それを薄々感づいてはいるのかもしれんな……」
 空を見上げるルナール。
 今回の依頼の守護対象となるは、街の人達に叛逆者として仕立て上げられた小さな子供。
 この子の母親は聖獣と化してしまったのは真実だが、アドラステイアにおいては聖獣と化してしまう事は是としない。
 故に母親は、理不尽に外から訪れた旅人達によって殺されたと言う事に仕立て上げられている……だがこの子はそれが真実なのか、という疑問を呈する。
 それ故に、ならば叛逆者であると仕立て上げられ、アドラステイアのプリンシパルやティーチャーらに捉えられそうになっているのだ。
「なるほど……名前だけは聞いていましたが、アドラステイアについてようやく呑み込めましたよ。天義の中でも異端な場所なんですね、えひひ……」
「そうですね。アドラステイアの内情というものは、これまで関わってきた依頼でも知って居ましたが……クククッ。これはいよいよ魔女狩りですねえ。実際に目にすると、あまりにも馬鹿らしくて笑いがこみ上げてきます。この街の現状を作り上げた黒幕さんとは話が合いそうでしょ、私」
 『こそどろ』エマ(p3p000257)と『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)二人が笑う。
 確かに彼等のやっている事は、正直滑稽な姿でしかない。
 とはいえイレギュラーズ達を悪人に仕立て上げる事で、自分達の利を得ようとするのは放置しておく訳にも行かない。
「そうですね……それはそれとして、子供という『資源』の利用の仕方については、悪徳貴族として一家言ある私ですから、こういう余興で無駄に減らすのは勿体ないです。私が回収して差し上げましょうか」
「そうだな。考え、疑問を抱くだけで断罪するなど、見過ごせない。それに、彼女から中層の生活について話を聞けるかもしれない。だから、これは大事な依頼だ」
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)とウィルドの言葉に、『群鱗』只野・黒子(p3p008597)は。
「ええ。中層通行手形があり、ある程度楽には侵入する事が出来て居るとは言え、未だに中層の生活様相は不明な点が多いです。今回の依頼がその一つの切掛になれば良いですね」
 と頷き、そしてブランシュ、ルーキス、ルナルの三人からも。
「そうなのです。今は止められるだけ止めてみせますですよ!」
「そうだね。黙って機をうかがうほど、強い精神を持ち合わせて居ないのも子供ならではかな? んー、仕方ないねえ、手助けといきましょう」
「ああ……仕事だ。やれる範囲でこなすとしよう」
 そしてエマと黒子が。
「ええ……それではお仕事いたしましょうか、えひひ……」
「そうですね。では少女の発見の為にお手数ですが、リアルトさんには空からの確認を御願いします。出来る限り早く少女を見つけて、保護しましょう」
 と軽く作戦を打ち合わせると共に、イレギュラーズ達は通行手形を手に、アドラステイア中層へと足を踏み入れるのであった。

●正義を求めて
 そして、中層。
「さて、と……ブランシュは空から少女を見つけ出すですよ!」
 と人気の無い所で、早速ブランシュは空を飛翔し、上空からの偵察を開始。
 とは言え余り上空で変な動きをしたら地上から見つかってしまうだろうし……空が安全が確保されているという保証もない訳で。
「取りあえずブランシュさん、怪しそうな所があったらその場所を教えて下さい。私達が向かいますので」
「分かりましたなのですよ!」
 と相互連絡を取り合える様にして、空からの偵察を行う。
 更にルーキスはファミリアとソラスを空へ放ち偵察させ、ベルナルドはクロウタドリの姿になる事で、目の数を増やす。
 そう空からの観察体制を重点的に整える一方で、地上側。
 ウィルドは、存在感を出来る限り消す事で目立たないようにする一方で、エマはアドラステイアを歩いていても違和感がない様な姿に変身。
 加えて五感を強化すると共に、救いを求める声に耳を欹て歩き回る。
 そう、空と陸の両面から捜索する態勢を整えたイレギュラーズ達……。
 暫くの間は余り目立たない様に立ち回りながら、アドラステイア中層を歩き回るイレギュラーズ。
 小一時間程が経過した、その時。
『……い、いや……っ!!』
 と、ほんの僅かな救いを求める声が、聞こえた様な気がする。
「ん……あっちの方から声が聞こえた様な気がするぞ?」
 と、声の下方向を指さすイズマ。
 上空の仲間にそれを伝え、その方向を重点的に調べて貰うと……。
『はぁ、はぁ……』
 息を切らせながら、裏路地から裏路地へと走る少女の姿を発見。
 彼女の逃げ様を上空から観察し……その逃走ルートを予測すると共に、その方向に向かうよう、仲間達を誘導。
 ……そしてその場所に近づいていくと、更に。
『おい、見つけたか!』
『いや、見つからねえ……どこだー、でてこーい!!』
 彼女を捜索するティーチャーとプリンシパル達の大きな声が聞こえてくる。
 つまり、近くに居るのは間違いないという事…だから一層急いで、彼女の居場所に先手先手を打って回り込もうとする。
 そうイレギュラーズ達が上手く中層を立ち回って行くと……。
『……え……きゃぁっ!?』
 曲がり角から飛び出してきた少女と、出会い頭にぶつかってしまうベルナルド。
「お、っと……だ、大丈夫か?」
 と手を差し出す彼に、少女は。
『え、え……あ、あの……だ、誰……?』
 流石に突然すぎて、戸惑いを覚える彼女。
 そんな彼女に向けて、横からエマとルーキスが。
「私たちは、アドラステイアからの逃走を支援する勢力の者です」
「そうそう。キミを助けるようにって、極秘で仕事を貰ったんだー」
 真摯な態度と、どこか気負わせない態度で接する二人。
 とは言え少女は、そんなイレギュラーズ達の言葉を信じられない様で。
『え……ほ、本当……?』
 と、怖がりの表情で見上げてくる。
 そんな彼女に、更に地上へと降りてきたブランシュとイズマからも。
「本当なのですよ! ブランシュ達は、アドラステイアから人を逃がす事を支援する勢力。貴方を救出する王子様達なのですよ!」
「そう。俺達はこの街を調べながら、断罪されそうな人を助けている。つまり、君の味方だ……さぁ、街の外に逃げるぞ。生き延びよう、そうすれば、疑問に思った事の答えも分かる!」
 そんな二人の言葉に、完全に警戒は解けては居ないものの……小さくこくり、と頷く少女。
 そして、彼女の手を引いて、イレギュラーズ達は彼女の逃走支援を開始する。
 しかし、ずっと逃げっぱなしだった少女はかなり疲労している様で、その歩みは遅い。
 更に、人数が多くなれば、当然見つかる可能性が高くなる訳で。
「……ん。あちゃー、前にも後ろにも来てるね」
 視界共有の結果、逃げ道が塞がれてしまう……そして。
『……おい、居たぞ! あそこだ!!』
 ティーチャーが大きな声を上げ、それに続くプリンシパルの子供達。
『おまえ、もー逃がさないぞ!! ファルマコン様を信じないはんぎゃくしゃはおとなしく、掴まれ!!』
 高い士気と共に、脱走を支援するイレギュラーズ達を捉えようと躍起になる彼等。
 そんな彼等の言葉に、少女は。
『……かみさま、なんて……』
 目を伏す彼女に、イズマは。
「そうだね。ファルマコンは本当に居るのかな? 俺も、その存在に疑問を持っているんだ」
『……』
 こくり、と頷くだけの彼女。
 とは言えその様な言葉を告げれば、当然狂信者である目の前の者達は。
『おまえたちも、神様を信じないのか!! ……その格好、お前達は旅人達だろう!? おい、お前! こいつらはお前の母親を殺した奴らだぞ! それを信じるのか!!』
 ティーチャーが辛辣に言葉を続ける……それに少女は。
『え……? たびびと……?』
 信じては居ないけれど、でも……母親を殺したというのは本当かも知れない。
 そんな揺れる心の彼女に、黒子が。
「旅人があなたの母親を殺したというのは、真実かどうかは分かりません。ですが、私達は貴方を助けたいと思っている。貴方の選択を、誰も否定はしません」
 と、敢えて言い放つ。
 ……自分達の母親を殺したかも知れない、旅人達。
 でも……今、こうして自分を助けてくれようとしているのも、事実。
『……』
 少し悩んだ素振りをしつつも……少女は、イレギュラーズ達の後ろにそっと隠れる。
「信じてくれた様だな。ならば……それに相応しい動きをしなければならないな。黒子、彼女の守護は頼む」
 とルナールは言うと共に、数歩前進し敵と対峙。
『刃向かう、という訳だな……ならば!!』
 胸元の笛を思いっきり吹き鳴らし、近くの聖獣を呼び寄せるティーチャー。
 そして、その周りのプリンシパルの子供達も。
『ティーチャー! 聖神様を呼んでくれるんだね! よーし、頑張っている所をみせなくちゃ!!』
 と、更に士気を高揚させる。
 そんなプリンシパルの子供達に、ルーキスは。
「あーやだやだ、これだから盲信する連中は、ね。行き過ぎた信仰も教えも、ただの毒なんだけどね? ま、取りあえずティーチャーを先に倒そうか。これ以上の増援は面倒だからねー」
 と言うと共に、後方から深淵からの呼び声を敵陣に纏めて嗾ける。
 その呼び声に心を奪われない様、抵抗を試みるものの……大幅に抵抗力を下げられてしまう敵陣。
 更にそこへ、ルナールが。
「全くだ。盲信過ぎてある種言葉が通じないっていうのは困ったもんだ」
 軽く肩を竦めながら、子供達の狭間を抜けて、ティーチャーの下へと接敵。
 当然プリンシパルの子供達は、それを妨害しようと追撃の剣撃を放つが、それはウィルドが身を持って制する。
「させませんよ? まぁ……子供達には罪は無いですから、出来る限り手加減してあげましょう」
 そうウィルドは、不殺の一閃でプリンシパルの子供達を攻撃。
 同様にベルナルドとエマの二人も可能な限り、子供達を殺さない様不殺で攻撃を行い、子供の追撃を最小限に抑える。
 そして、子供達を惹きつけてくれている間にルナールを軸に、イズマとブランシュの二人もティーチャーをターゲットにして攻撃。
 全力で攻撃し、殆ど戦う力の無いティーチャーを瞬く間に死へと至らしめる。
 ただ、ティーチャーは死ぬも先程の笛の音は消える事無く……聖獣達は数刻して、戦場へと到達。
『グギャルゥゥゥ……!!』
 獰猛な咆哮でプリンシパルの子供達を鼓舞すると共に先陣を切ってイレギュラーズ達を喰らい尽くすべく暴れる。
 しかしそんな聖獣を、流れる様にイズマが対峙、且つ足止めをする事で、決して少女の下まで近づかせない。
「子供達は取りあえず任せる。俺達は聖獣を先に倒すぞ!」
 とルナールが仲間達に呼びかけ、二手に別れて対峙。
 聖獣を倒す為にはかなりの時間が掛かるが……少女は黒子が鉄壁の守りで守護する事で、其処に被害が及ぶ事は無い。
 そして、聖獣をどうにか倒せば、残るはプリンシパルの子供達のみ。
『ええ? 聖獣様が……たおされた……!?』
 と、斃された事にかなり動揺している子供達。
 そんな子供達へ、一言ベルナルドが。
「アンタ達にとっては、神様は絶対。信じない者は異端者だ、って事なのかもしれない。だが、神様は一人一人信じる者が違って良い筈さ。アンタ達も……真実にいつかは気付くといいな」
 との言葉と共に、放つ不殺の神の光。
 その光に包まれると共に……子供達は、全てがその場に気絶していくのであった。

●少女の真実
 そして、追っ手の手を逃れて、アドラステイアから逃れ果せたイレギュラーズと、少女。
「ふぅ、疲れた。色々と思う所もあるけど……ここなら一息つけそうかな?」
「そうだな」
 とルーキスにルナールが苦笑。
「でも……もう此処まで来れば、大丈夫だと思うのです。しかし、ほんとこの街はどうなってるんですよ……」
 と息を吐きつつ、溜息を吐くブランシュ。
 それに少女は。
『あの……えっと……ほ、本当に……ありがとうございました……』
 と、おずおずと頭を下げる少女。
 ……だが、その表情は、まだ強ばっており……まだ信じ切れていない模様。
 そんな彼女に向けて、イズマは。
「……君も見たよな? あの白い体の獣。あれが聖獣……君の母親は、あの姿へと化してしまった。あれは自然の生物ではなく、人間を無理やり変異させた存在なんだ。君の母は、聖獣にさせられて……俺達に倒されたんだ」
『……』
 小さく、こくりと頷く少女。
 どうやら……朧気にはその事態には気付いていた様である。
 そんな彼女の不安気な瞳に、ベルナルドが。
「……そうか。分かってたって訳か。まぁ……そうだよな、アドラステイアの閉塞的な環境の中じゃ、それを言い出そうにも言い出せない雰囲気だ。でも、もう内に閉じ込めなくていい。思った事を口にしていいのさ」
 肩を叩き、彼女を励ます……更にブランシュも。
「そうなのです。あの、必要なら、ブランシュの領地で暮らす事も出来るですよ? 身寄りが無いなら、ついてくるです?」
 目線を合わせて、笑い掛ける。
 それに少女は。
『……ちょっと、かんがえたいの……』
「そうですね、答えを急ぐ必要は無いのですよ。取りあえず、近くの街で匿って貰うのです。話はこちらからつけるから、安心して下さいなのです」
 頭をポンポンと優しく撫でるブランシュ。
 そして、ルナールははは、と笑いながら。
「ま、何とか御ワットし、さっさと帰って珈琲にしようか、ルーキス」
「そうだね。一息吐こう。みんなもお疲れ様ー」
 ひらひらと手を振り、皆を労うルーキス。
 そして、イレギュラーズ達は……彼女と共に、アドラステイアの影響のない街へと向かうのであった。

成否

成功

MVP

ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー

状態異常

なし

あとがき

アドラステイア依頼への参加、ありがとうございました。
少女の様に悲しむ人派、これからも後を立たないでしょう……ですが、この様な悲しみの連鎖を止める為には、皆様の地道な努力が必要です。
これからも、どうぞ宜しくお願い致します……!

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