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シナリオ詳細

<Celeste et>ゴーレム・リビルド

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再誕の日
「というわけで、ゴーレム調査に行きましょぉ!」
 と、イレギュラーズ達の前でそう言ったのは、EAMD職員『むちむき怪力おねえさん』ノバリシア・ユードラだ。ここは浮遊島アーカーシュ。未だ多くの道の眠るこの島で、イレギュラーズ達の次の目的の一つとなったが、『ゴーレムの調査』である。
「うちはEAMDの職員でもあるんで、一応事情は聞いてるっスけど」
 苦笑しながらそういうのは、キャナル・リルガール(p3p008601)だ。ちなみに、EAMDとは、鉄帝国に存在する、発掘兵器などの管理保守運用を目的とした独立機関だ。今回は、アーカーシュ調査のスペシャルアドバイザーとして協力しており、学者たちの連合であるアーカーシュ・アーカイブスにもその名を連ねる研究集団である。
「改めて、皆に説明させてもらうっスね。
 今回のミッションは、アーカーシュ・ゴーレムの調査っス」
「それって、アクス・ツーの友達のことだよね?」
 そう尋ねるのはリオーレ(p3p007577)だ。その隣には、アクス・ツー、つまりアーカーシュでよく見られるタイプのゴーレムと同系のゴーレムが、不思議気に佇んでいる。
「そうだね。だからこそ、アクス・ツーにも来てもらったんだけど」
 EAMD職員『知勇兼備の女豹』アリディア・オルタニスがうんうんと頷く。
「村からしばらく北上した所に、『巨人の墓所』って仮にアタシたちが名付けたエリアがあるんだ。
 その名の通り、沢山の、機能停止したゴーレムが転がってる」
「アクス・ツー、何か心当たりがあるの?」
 そう尋ねるリオーレに、アクス・ツーはその水晶のような眼を、瞬きするように明滅させた。それから、北の方を見る。その感情はうかがい知れないが、何かを感じ取っているのは確かなようだ。
「多分、仲間達の事を感じ取っている……んだと思うんだよね」
 アリディアの言葉に、イレギュラーズの一人が続いた。
「つまり、ゴーレム調査には、彼も必要だと?」
「そうなるっスね。まぁ、これは何かわかったらラッキー、くらいのものなんスけど。
 でも、今の状態で手探りな調査なわけっスから、藁にも縋る……とは違うスけど、可能性は拾っておきたいっス」
 キャナルの言葉に、リオーレが頷いた。
「確かに、アクス・ツーも友達が見つかればうれしいと思う。けど……」
 わずかに視線を下にやってから、続ける。
「壊れた仲間を見せつけるのは……嫌じゃないか?」
「それは、そうかもしれないわねぇ」
 ノバリシアが頷く。確かに、アクス・ツーに感情のようなものがあるかはいまだ不明ではあるが、しかし仲間達の残骸をあさる手伝いとなれば、もしかしたら、辛い思いをさせてしまうか知れない。
「えーと、アクス・ツー?
 ごめんね、呼びつけておいてだけれど、嫌なら、待機していてもいいのよ?」
 ノバリシアがそういうのへ、アクス・ツーはリオーレの方を向いた。それからリオーレに従う、と言いたいように、リオーレの傍に身を寄せる。
「……そっか、アクス・ツー、ボクの役に立ちたいのか……」
 静かに呟いてから、リオーレは頷く。
「わかった。アクス・ツーも大丈夫みたいだ。
 ボクの友達の力を貸してやる。だから、ちゃんと結果を出すんだよ!」
 ふん、と胸を張るリオーレ。アクス・ツーの眼が、ぴかぴかと明滅した。
「お、助かるよ。ありがと、アクス・ツー!」
 アリディアがにこにこと笑う。
「じゃあ、改めて。
 今回の仕事は、『巨人の墓所』の調査だ。目的は、アーカーシュ・ゴーレムの調査。
 これには、文字通りの調査と、生きているパーツの回収も目的としているんだよね」
「生きているパーツの回収?」
 イレギュラーズの仲間が尋ねるのへ、キャナルが頷いた。
「そうっス。前回の調査で、造花回路……つまり、ゴーレムの思考ユニットを回収できたんスけど、この思考ユニットに命令を書き込めることが判明したんスよ。
 だから、もしアーカーシュ・ゴーレムの素体を再生して、命令を書き込んだ思考ユニットを接続できれば……」
「こちらが、ゴーレムを運用できる、って事か!」
 イレギュラーズの一人がそういうのへ、ノバリシアが頷いた。
「ええ。アーカーシュには、大型の重機や建設機械なんかを持ち込めないでしょう?
 ゴーレムを労働力にできれば、そのあたりの問題が解決するし、大規模な農作業も手伝ってもらえるわ。
 つまり、ゴーレムの再生(リビルド)が確立できれば、調査面でも、村の発展でも、大いに助かることになるの」
「なるほど、となると、責任重大、って奴だね」
 むむ、とリオーレが言う。もちろん、今回の依頼が失敗しても、今後調査の過程でパーツを集めれば、いずれはゴーレムをリビルドできるようになるだろう。
 だが、ここでしっかりと調査を成功させ、まず第一号を完成させることができれば、ゴーレムのリビルドが軌道に乗るのもそう遠くはならないはずだ。
「というわけで、ローレットのイレギュラーズの皆には、ゴーレムの調査と、アクス・ツーの護衛をお願いしたいわけね。
 わたし達EAMDのメンバー、キャナルはローレットの指示系統で動くとして、わたしとオルタニスも同行するわ。
 皆にも負けないくらいに働くから、よろしくお願いね?」
 ノバリシアがそう言って笑う。
「よーし、じゃあ、アクス・ツー!
 仲間を復活させるため、一緒に頑張ろう!」
 リオーレの言葉に頷くように、アクス・ツーが瞳を明滅させた。かくしてゴーレムの再構築を成功させるべく、一行は調査の旅へと出発したのである。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 アーカーシュにてよく見られる、朽ちて機能停止したゴーレムたち。
 もしかしたら、彼らを再利用することができるかも……?

●成功条件
 アクス・ツーを守りつつ『巨人の墓所』を調査し、必要なパーツを集める。

●特殊失敗条件
 アクス・ツーが戦闘不能状態に陥る

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

●状況
 EAMDから、アーカーシュに関する新たな依頼が舞い込みました。
 今回の依頼は、『巨人の墓所』と呼ばれる、アーカーシュ・ゴーレムの残骸がおおく見られるエリアにて、生きている(使える)パーツを回収し、村で運用可能なゴーレムを再生(リビルド)させようという目論見です。
 アクス・ツーには、使えるパーツを持ったゴーレムを発見することができるようで、アクス・ツーの力を借りて巨人の墓所を調査、パーツを回収する、という流れになります。
 とはいえ、のんびりとパーツ回収……とはいきません。生きているパーツがある、という事は、それを組み込まれているゴーレムは起動する可能性があり、起動したゴーレムは無差別に暴れまわるため、実力行使で無力化するしかないのですから。
 はたして、アクス・ツーを守りつつ、ゴーレムのパーツを集めることができるのか。それは皆さんの腕にかかっています。
 作戦決行エリアは、アーカーシュの遺跡、『巨人の墓所』。セラミックや石で作られた建築物が並んでおり、まるで迷路のように入り組んでいます。かつては迷宮のような場所だったのかもしれません。

●エネミーデータ
 ゴーレム(半壊)×???
  半壊したゴーレムで、動くことができません。代わりに上半身部分は機能しており、レーザーのような熱線や、腕を動かして振り払うなどをして攻撃してきます。
  レーザーの威力は強力ですが、前述したとおり動くことができません。また、半壊してることもあり、耐久面でも脆弱です。いかに素早く近づいて黙らせるか……が対策になるでしょうか。
  半壊したゴーレムはまとまって放棄されていることが多く、複数体との戦闘になる可能性は充分にあります。
  また、警戒システムはまだ生きているのか、近寄っただけで起動する可能性もあります。しっかりと調査し、疲弊している場合は移動ルートを変えるなどして、そもそも近寄らずに戦闘を避ける、という選択肢もあります。
  生きているパーツを確保できるチャンスでもありますが、半壊状態のこのゴーレムからは、大量に、とはいきません。

 ゴーレム ×???
  アクス・ツーと同型と思わしきゴーレムです。強力なレーザーや大きな腕を使った振り払いなどの格闘戦闘能力は半壊ゴーレムと同等です。
  此方は保存状態が良好だったこともあり、自由に動き回り、装甲もだいぶ分厚く、耐久面でも侮れない性能を持っています。
  複数体で遭遇することは基本的にありません。ほとんどの場合、調査中に起動してしまった単体の個体との戦闘になるでしょう。
  上手いこと撃破できれば、生きているパーツを大量に確保できるチャンスです。その分強力ですので、戦う数の選定は慎重に。

●味方NPC
 アクス・ツー
  リオーレ(p3p007577)さんの関係者。『生きているパーツ』を察知して教えてくれます。残骸から一つ見つけてくれることもありますし、上記の二種のゴーレムを教えてくれることもあります。
  本シナリオに関しては、仲間と戦いたくないのか、一切の戦闘行動は行いません。敵のゴーレムは容赦なく攻撃してきますので、しっかりと守ってあげる必要があります。

 EAMD職員『むちむき怪力おねえさん』ノバリシア・ユードラ
 EAMD職員『知勇兼備の女豹』アリディア・オルタニス
  キャナル・リルガール(p3p008601)さんの関係者。EAMDという機関に所属する職員で、今回の調査の依頼人でもあります。
  戦闘能力はしっかりあるので、放っておいても沈むことはないでしょう。特に指示が無ければアクス・ツーを守ることに注力しますが、そこはNPCという事で、二人にまかせっきり……というのも少し不安かもしれません。
  PCでアクス・ツーをまもり、護衛に回した分の穴埋めを二人に頼む……という戦い方もありです。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングを、お待ちしております。

  • <Celeste et>ゴーレム・リビルド完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月07日 21時35分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
空の守護者
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
Tricky・Stars(p3p004734)
二人一役
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の巫女見習い
リオーレ(p3p007577)
小さな王子様
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
キャナル・リルガール(p3p008601)
EAMD職員
佐藤 美咲(p3p009818)
合理的じゃない

リプレイ

●巨人の墓所にて
 『巨人の墓所』。それは調査隊が仮称としてつけた名前だ。アーカーシュ地上部に存在する遺跡であり、その外観事態は他の多くある遺跡とよく似たつくりをしているが、最大の相違点と言えば、ここにアーカーシュでよく見られるゴーレムの残骸が、多く打ち捨てられているという事だろう。
 破壊されたもの。半壊したもの。或いは何らかの理由で、ほぼ五体満足で機能を停止したもの。
 巨人(ゴーレム)たちが眠るそこは、確かに墓所と言えたかもしれない。
『待ってましたゴーレム調査〜! 前回参加した時からずーっと気になってたんだよね。
 ゴーレムの部品集め楽しみだけど、アクス・ツー君にはなんか申し訳ない感じ……。ごめんな』
 そういうのは、『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)の虚だ。
 仲間達の、屍の眠る場所。そう考えれば、アクス・ツー……ゴーレムである彼(?)には、辛い光景かもしれない。
「アクス・ツー。大丈夫?」
 『小さな王子様』リオーレ(p3p007577)がそう尋ねるのへ、アクス・ツーは静かに視線をリオーレへと向けた。頷くような、微笑むような。そんな気配。
「アクス・ツー キット 大丈夫 言ッテル」
 『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)が言った。
「フリック 少シ 親近感 アル……鳥サン達モ ドッチガ自分達 オ家 チョット 迷ッテル 」
 ぱたぱたと羽ばたく、小鳥たちが、フリークライの頭に止まった。そのまますぐに飛び立つと、今度はアクス・ツーの肩の上に止まる。不思議気に小首をかしげる小鳥に、リオーレはむむ、と唸った。
「アクス・ツーは優しいからね……きっと小鳥にもそれが分かるんだ。
 それに、味方によっては、アクス・ツーの友達が増えるんだよね。だったら、がんばらなきゃ!」
「そう。これは偉大な一歩と言えるね……!」
 目をキラキラと輝かせてそういうのは、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)だ。ここは墓所の入り口にあたる所だが、既にゴーレムの残骸が見受けられる。アクス・ツーが反応しないという事は、完全に壊れてしまって、パーツも使えないものばかりなのだろうが、しかしゼフィラにとっては興味深い観察対象である。
「労働力確保のためのゴーレム再生……とても興味深いよ。
 それに、こうした遺跡には、過去のこの島の技術とのつながりが残っているはずだ。アーカーシュの技術、歴史、文化……そう言ったものがわかるかもしれない。
 これは、個人的にもとても調べてみたい分野だね……!
 ふふっ、もし地上とのつながり等が見られれば、これは現代史に残る大発見なんじゃないかな……?」
 ゴーレムの残骸から、歯車のようなパーツを取り出しながら、ゼフィラが言う。それにうんうんと頷いたのは、『EAMD職員』キャナル・リルガール(p3p008601)だ。
「そうっス! もとよりこの島は空にあったのか、或いは地上から飛び立ったのか……だとしたらなぜなのか! わからない事ばかり、これから調べると思うとワクワクするっス!
 それに、ゴーレムを始めとする技術も大切っスよ! 過去に眠っていた技術とは言え、使えるなら現代の人間にとっても有益なものっス!
 もちろん、危険はつきもの。古代人がどんな理由で封印したかも調べる必要あるっスけどね。でも、高度な技術が遺跡に眠っている、これを浪漫と感じずに何のためのEAMDか……!」
「話が分かるね。EAMD(キミ)達がクライアントで良かったよ」
「ウチも科学技術を担当する機関っス。特に、鉄帝は古代兵器の発掘が多いっスから、それに連なる分野にも当然造詣が深いっスよ! うちの職員の皆も、戦闘はもちろん、理論の方もしっかり学んでるっスから!」
「おおう、ゼフィラちゃんだけかと思ったら、キャナルちゃんも盛り上がってるじゃん!」
 ケタケタと笑う、『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)。盛り上がる学者肌の二人の姿が楽しいのだろう。
「でも、遺跡の浪漫ってのは私ちゃんもわかるぜ!
 よくわからん遺跡は遊び心に刺激が満載……うっかり作動させちゃうトラップに謎の壁画に突然現れる生体兵器……やばたん!」
「いや、そこはうっかりしないでほしいでありますが……」
 『空の守護者』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)が肩を落としつつ、こほん、と咳払い。
「しかし、アーカーシュ・ゴーレムの運用は、我々鉄帝国にとっても一つの重要なポイントになるであります。
 というのも、アーカーシュでは大規模な農業が可能の可能性がある……つまり、鉄帝国の食糧事情を改善できる可能性があります」
「そうだね。鉄帝は食糧ジジョウがあるからね!」
 『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)がうんうんと頷いた。大陸北部に存在する鉄帝国。厳しい自然にさらされるこの地は食糧生産に問題を抱えており、アーカーシュとはすなわち、鉄帝国に突如降ってわいた新たな領土になる可能性があるのだ。しかも、少数とは言え自給自足が可能な環境とは、食糧生産に多少なりとも貢献のできる肥沃な大地が手に入ったとも言え、必然、そう言った方面からの鉄帝国からの視線も厚い。ハイデマリーなどは、そう言った面からも、アーカーシュの探索に意欲的なのだろう。ハイデマリーは鉄帝軍人でもあるのだから。
「まぁ、オレの場合は、そんな事より探索と強い敵、なんだけどね!
 今度はゴーレムのソザイを探してダンジョンアタックだって? EAMDも手広いね!」
 そう言って笑うイグナートに、アリディアが笑う。
「『先進的な発掘兵器』のことならEAMDにおまかせ、ってね。
 アーカーシュ・アーカイブスのメンバーにも名を連ねてる以上、がんばらないとね」
「そうそう、アーカーシュ・アーカイブスと言えば、今回も有用な発見物があったら命名権が与えられるからね~」
 ノバリシアがそう言って、うんうんと頷く。
「今回もイロイロ見つけたい所だね! 前回は、薬草を見つけたんだ。フォティーナの微笑みってね」
「アーカイブスにも記載されている奴でありますね」
 ハイデマリーが言う。イレギュラーズ達が発見したものは、その命名と共にアーカーシュ・アーカイブスに記載されるのだ。
「言わば、私達の足跡、と言った所でしょうか」
 『群鱗』只野・黒子(p3p008597)が、ふむ、と唸った。
「私がそう語るはおこがましいですが、英雄の足跡、ともいえますね。
 なるほど、次なるステップが、ここに刻まれる。
 ゴーレムの再生、という形で」
「しかし、ゴーレムっスか」
 ふむふむ、と『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)が唸る。足元を見てみれば、前述したようにアクス・ツーと同型と思わしきゴーレムの残骸が見える。このゴーレム達が、元来何に使われていたのかは不明だが、自然発生したわけではないだろう。となれば、何らかの意思持つ存在が、何らかの意図を以って作り上げた、と見るのが妥当だが。
「……元々労働用だったんスかね。しかし、戦闘機能がついているなら、兵隊か?
 こんなのを、しかも大量に並べて、戦闘……何する気だったんスかね……?」
 ふぅむ、と美咲は唸って――それから肩をすくめた。
「どうせ使うなら、戦闘用以外のゴーレムとかもあったりしないんでスかね?
 こう、ロリショタ系の見た目をした愛玩用ゴーレムとか、家事用ゴーレムとかー……ぐへへ」
 笑い声通りのゆるんだ口元に、黒子はふむ、と唸った。
「そういうのは、練達の好事家が作っていそうな気もしますがさておき。
 この『墓所』にはなさそうですね」
「ま、冗談でスよ。あればいいなぁ、とは思うんスけどね。こう、遺跡の最深部で、カプセルに封印されたロリショタ型の……こほん」
 美咲は咳払い。
「話を戻すっス。えーと、この辺のは仕えないパーツ、なんっスよね?」
「うん。アクス・ツーも反応しないからね」
 リオーレがそういうのへ、フリークライが頷く。
「キット 奥ニ 行カナイト イケナイ」
「そうっスよねぇ。ま、入り口あたりでちょこちょこ~、とはいかないか」
 美咲は、そう言いながら背後の軽トラのドアをぱし、と叩いた。
「満載に持って帰りましょう。一つと言わず、二つ三つは作り上げられるくらいにね!」
「おお、いいねいいいね! その意気だぜ!」
  秋奈がそう言ってケタケタと笑う。
「まったく。前向きなのは良いが、くれぐれも気を付けるんだぞ」
 嗜めるように稔が言うのへ、秋奈は笑った。
「大丈夫大丈夫! なんかあったら私におまかせだぜ!」
「そういう……まぁ、いい。君の戦闘能力は、確かに折り紙付きだ」
 ふむん、と稔が唸る。
「じゃあ、EAMD……じゃなくて、ローレットチーム、出発っス!」
 キャナルがそういうのへ、仲間達は「おー!」と手をあげて頷いた。
 かくして晴天の下、墓所と名付けられた遺跡に、一行は足を踏み入れるのだった。

●戦闘と探索と
 クロワタ、とイレギュラーズ達によって名付けられた、黒いふわふわの生物が、遺跡への侵入者の気配に気づいて、慌てた様子で物陰に走っていく。その走り去った風にあおられて、うどんこ草のさわやかな香りが、ふわりと空気中に漂った。そんな揺れるうどんこ草の傍を、イレギュラーズ達が踏みしめて、石とセラミック作りの街道と建物の間を進んでいく。
「まるで迷宮でありますね」
 と、ハイデマリーが、ワイバーンの背の上から、壁の向こうを覗きながら言う。整然とした壁の配置は、迷路か、或いは計画設計された都市の街並みを想起させる。
「都市、であったのかもしれません。理路整然とした街並みが故に、一部が崩壊し、道が塞がってしまったが故に、かえって迷宮のようになった……」
「何らかの施設だった可能性も捨てきれないね」
 ゼフィラが言う。ふむ、と唸るその手には、先ほど拾った『死んでいる』ゴーレムのパーツがある。掌に乗る様な、緑色の板のようなもの。練達ならば、電子基盤として流通しているようなものだろうか? もちろん、同じ機能や性能があるかはどうかは分からない。
「となると、ゴーレムがガーディアン、っスかね?」
 キャナルが言うのへ、ゼフィラが頷く。
「可能性はあるかもしれないね。ゴーレムの数も多いし、重要施設だったのかも。或いは、多くの人が住んでいる町であったが故に、ゴーレムによる防衛も手厚かった……」
「こいつらは、誰かを守って倒れたのかな……?」
 リオーレが呟き、アクス・ツーを見上げた。その水晶のような瞳は、今は何も返すことはない。ただ、何かを懐かしむように、街並みを見ているだけだ。
「アクス・ツーも、この街にいたの?」
 リオーレの言葉に、アクス・ツーは瞬きするように、瞳を明滅させた。答えは分からない。が、この地に眠るゴーレム達を、或いは同胞と思っているのは、理解できた。
「ン。フリックモ 気持チ 少シ ワカル」
 フリークライが言う。
「フリック 墓守。守ル気持チ ワカル」
『そうか、フリークライ君はお墓の管理人だったな』
 虚が申し訳なさそうにそう言う。フリークライは頭を振った。
「大丈夫。フリック 気ニシナイ。ココモ 本当ニ オ墓 ジャナイ」
「それはそうとして、アクス・ツー様。使用可能なパーツはわかりますか?」
 黒子がそういうのへ、アクス・ツーは頷くように瞳を明滅させた。ゆっくりと指をさす。この先。とでもいうように。前方はがれきに覆われていて、迂回ルートが必要そうだ。
「ちょっと見てみるでありますね」
 ハイデマリーが言いつつ、がれきの上から頭をのぞかせる。果たして3体ほどだろうか、ゴーレムの上半身が転がっている。半壊しているのだろうが、生きているパーツがあるという事は動き出す可能性があるという事だ。
「……半壊の者が三体、と言った所でありますね」
「できれば、連戦は避けたいんだよね」
 イグナートが言った。
「オレ達だけならまだしも、アクス・ツーを守りながらってなると、ナガナガとここに留まるのは危ないよ!」
「そうでスね。となると、パーツを採取する際に、戦闘になりそうな可能性も絞った方がいいっス。そうっスね、多分、五体満足のゴーレムと戦うなら、3体が限度……」
「私ちゃんもそう思うね!」
 美咲の言葉に、秋奈がうんうんと頷く。
「リスク管理は戦闘の基本だぜ! かしこい! というわけで、美咲さんの提言通り、3体限界説に乗っかる!」
「二人はそれでもいいっスか?」
 キャナルが、ノバリシアたちへ尋ねる。ノバリシアは頷いた。
「もちろん。わたし達はそれに従うわ。
 わたし達は発掘兵器の専門家だけれど、冒険の専門家はローレットだものね。
 それに、パーツの採取自体は動かないゴーレムからも可能と言えば可能だかもの。一体分のパーツは用意できると思うわ」
「となれば、方針としてはそれで。
 後は、例のゴーレムには様子見しつつ近づく。戦闘になったら、速やかにせん滅して1カウント、って所っスかね」
 キャナルの言葉に、仲間達は頷いた。
「そんな所だろうね。アクス・ツー君、引き続き案内を頼むよ」
 ゼフィラがそう言うと、アクス・ツーがゆっくりと歩き出した。リオーレが、アクス・ツーを守る様に、その前に立った。EAMDの二人が、アクス・ツーの護衛のように横へ並ぶ。
「此方も、警戒は怠らないようにしましょう。何せ、初めての遺跡です。何が起こるかは未知数ですから」
 黒子の言葉に、仲間達は頷いた。持てる力、例えば視力であったり、俯瞰視点であったりを駆使しながら、イレギュラーズ達はアクス・ツーと共に、遺跡をゆっくり進んだ。遺跡には、前述したとおりの半壊ゴーレムの他にも、壊れた残骸のゴーレム、ほぼ無傷に近いゴーレムなども存在する。そう言った存在、特に無傷に近いゴーレムは、イレギュラーズ達が相談したとおりに危険だ。避けつつ、しかし素材の獲得のためには、時に相対しなければならないだろう。
 さておき、一行は、先ほどの半壊ゴーレムの眠る広場へと、大きく迂回しながら到着した。道中の危険はうまく避けていけたが、ここからは、正面からぶつからなければならないだ折る。
「さて……ううん、正直な所、だいぶ心躍る自分がいるよ」
 ゼフィラが苦笑する。
「わかるっス……こう、冒険者が宝箱を見つけた時ってこういう気持なんだろうなぁ、みたいな」
 キャナルも苦笑した。どちらも学術には大きな好奇心を抱くタイプだ。これから未知の遺産を検分するとなれば、そうなるのも仕方ないだろう。
「とは言え、戦闘の危険性は充分に考慮してください」
 美咲が言った。
「一応、すぐ動けるようにはするっス。イグナート氏、ハイデマリー氏。引っ張るので、すぐに動けるように準備を」
「おう! 任せて!」
「いつでも準備万端でありますよ」
 イグナート、ハイデマリーが笑う。果たしてアクス・ツーに導かれるように、リオーレを筆頭、イレギュラーズ達が半壊ゴーレムへと近寄る。腹から転がるのは、動力用のコードだろうか? 一目見ただけでは完全解剖とはいかないが、しかし可能な限りを、美咲は記憶している。後に精密図を書き写すためだ。
「もちろん、ある程度のパーツの代用は、鉄帝製のモノでも賄えるだろうが」
 稔が頷いた。
「だが、どうせなら純正品と行こう。アクス・ツー君、パーツは全体的に生きているのか?」
 稔の言葉に、肯定するように、アクス・ツーは瞳を明滅させる。
「なら、一つとってみよう」
 ゼフィラが、その手を伸ばした。溶接された後もある、つるりとした装甲。半壊して穴の開いた其処から、いくつかのパーツを取り出す。そこには、先ほど、ゼフィラが弄んでいた、緑色の基盤のようなものも見える。
「パーツ……基盤についているのは、抵抗や真空管、トランジスタの類か? どうやら生きている様だな。これを回収しよう。他には……」
「えーと、なるほど、この太いロープみたいなのも使えるんだね? なんだろう、これ? 練達とかにある、電源コードかな?」
 リオーレが、ガサゴソと太いロープのようなパーツを取り出した。金属線だろうか? 或いは、人工筋肉のようなものかもしれない。
「ねぇねぇ、アクス・ツー、こっちのパーツは? ……ダメ?
 じゃあ、こっちのあしは? ……使えないんだ。
 むむむ、これもダメなの?
 ……意外とむずかしいね、ゴーレムのパーツさがし。
 でもでも、めげずにがんばるぞー! オー!」」
「よーし、運搬は私ちゃんにまかせろー! あ、アクス・ツーさん、これって腕とか外したらそのまま使える?」
 秋奈の問いに、肯定するように、瞳が明滅。「やっりぃ」と秋奈がガッツポーズ。
「じゃ、この腕外して麻袋に入れて持って帰ろうぜい! 引っ張れば外せるのかな?」
「ふむ、溶接ではありませんね。恐らく、ボルトやナットで止めているのでしょう。
 丁度年月が経過して緩んでいるようです。これなら簡単に外せるでしょう」
 黒子が言うのへ、秋奈がうんうんと頷いた。
「じゃあ、ちゃちゃっと外しちゃおう! なんだ簡単じゃーん!」
 がこん、と秋奈がゴーレムの手を外した。大きな腕を麻袋に突っ込むと、美咲の軽トラの所までもって行って、荷台に放り投げる。
「まかりなりにも遺物調律師スからね、使えそうなパーツの選別は任せてほしいっス。
  ああ、内部パーツの予備も欲しいっスね。上手くやったら複製できるかも」
 キャナルが言う――同時、フリークライが声をあげた。
「伏セル シテ!」
 同時、仲間達は一斉にその場に伏せた。ぶうん、と何かランプがつくような音がして、同時、奥の半壊ゴーレムのうち一体の瞳に、赤い光がともる――刹那、イレギュラーズ達の頭上を、一筋の熱線が走った! 壁に当たって熱線が、壁に焦げた筋を描く。強烈な熱が、石を焼いたのだ!
「再起動した!」
 リオーレが目を丸くする――同時、アクス・ツーへと振り向いた。
「アクス・ツー! 逃げて!」
 アクス・ツーはしかし、リオーレを気にしてか、逃げ出すことはない。となると、全員で一斉に逃げ出すか、或いはこのゴーレムを黙らせるのみ――瞬時に、イレギュラーズ達は後者を選んだ!
「一気に黙らせるっス! ハイデマリー氏、イグナート氏!」
 美咲が叫び、飛び込む。それに続いた二人が、一斉に武器を構えた。美咲が跳躍しつつ、その辺にあったゴーレムの指のパーツを掴んだ。さながら三節棍の用にしなるそれを振るい、ゴーレムの顔面にそれを叩きつける! ばぎり、と音を立てて、レンズが割れた。きゅいん、きゅいん、とカメラレンズが動く音がするや、ばぢ、ばぢ、と熱線未満の光が、美咲を照らす。
 仕留めた――いや、まだだ! ぶおん、と音を立てて迫る、ゴーレムの手。美咲は三節棍をぶん投げて、その勢いをわずかに殺した。僅か。だが、その好きで充分。するり、と美咲は眼前から抜け出すと、ゴーレムの腕が空しく地面を叩く。粉塵をぶち上げるのへ、ハイデマリーがその狙撃砲を構えた。
「動くなであります!」
 警告のような声をあげつつ、一発。無慈悲なる銃弾は、半壊ゴーレムのむき出しの下半身から内部に入り込み、その内部パーツを粉砕した。ぎゅお、と内部機械が悲鳴のように駆動音を上げて、やがて動かなくなる。だが、ハイデマリーはその直感から、次の獲物を探していた。
「もう一体! 起動するでありますよ!」
 ぎぎ、と音を立てて、二体目の半壊ゴーレムが起動する。ぎゅぅいん、と音を立てて、その眼に強烈な熱がたまった刹那、上空から落下してきたイグナートが、その拳をレンズにたたきつける! 紙一重でたまった熱が、爆発するように内部に逆流した。ぼぐぉん、と強烈な音をたてて爆散する半壊ゴーレム。イグナートが頭を抱えた。
「しまった! やり過ぎた! パーツも滅茶苦茶だよねこれ!?」
「ン。安全第一」
 フリークライが頷く。実際その通りだ。手加減して安全になんとかなる相手ではあるまい。
「リオーレ様、フリークライ様と一緒に、皆の傷を確認してください。今のうちに手当てを」
 黒子がそういうのへ、リオーレが頷く。
「わかった、任せて!」
 たたた、と仲間達の下へと走り去っていくリオーレを、アクス・ツーはまぶしそうに見つめていた。

●得られた戦果
 ゴーレムとの散発的な戦闘。そして、故障したゴーレムからパーツを回収しつつ、イレギュラーズ達は『墓所』の奥へと進んでいく。時に、巨大な建造物の中へと入り。時に、入り組んだ街路を進み。
「やはり、ここは一つの都市だったのかもしれないね」
 ゼフィラが言うのに、キャナルが頷く。
「そうっスね。もしかしたら、アーカーシュの人たちにとって、重要な街だったのかもしれないっス」
「そこを守る、天空騎兵、ですか」
 黒子がいうのは、石板のようなものだ。そのほとんどが破損して読めないが、アーカーシュ・ゴーレムに関しての記述がなされている様だ。天空騎兵。それが、アーカーシュ・ゴーレムたちの名前なのかもしれない。
『それにしても、随分パーツも回収できたなぁ』
 虚がいうのへ、皆は頷いた。美咲の軽トラの荷台には、多くのパーツが放り込まれている。大きいものは、腕が一本。これだけあれば、大半の再生は可能だろう。
「足りないものは、鉄帝製のモノで補うとして……うーん、でももう少しってところでスね」
 軽トラの荷台を覗き込む美咲。
「出来ればアシを回収したいね」
 むぅ、とイグナートが唸った。ほとんどの相手は、半壊したゴーレムたちだ。一度は五体満足のゴーレムと戦ったが、不運にもその際には脚部パーツが破損している。
「そうすれば、後は組み立てるだけ、なの?」
 リオーレが尋ねるのへ、キャナルが頷いた。
「そうっスね。造花回路の書き換えは必要になるっスけど、後は脚があれば。
 EAMDでも、流用可能なパーツはある程度抑えてるっスから、すぐにでも」
「よし、アクス・ツーの友達ができるまで、もう少しだ!」
 リオーレが得意げに笑った。
「まっててよ、アクス・ツー! すぐに友達、再生してあげるから!」
 そういうリオーレに、アクス・ツーは嬉しさを表すように、瞳を明滅させる。
『けど、次にパーツとるとしたら、五体満足の奴と戦わないとなんだろ?』
 虚がいうのへ、ハイデマリーが頷く。
「ええ。先ほども戦いましたが、やはり半壊のゴーレムとはパワーが違うであります。
 ワタシ達も、万全の状態なら問題はないと思いますが、やはり消耗しているうえでは。
 しかし、半壊したゴーレムか使える部品を探すのは、今の状況ですと難しいでありますね。
 生きている部品と死んでいる部品を見分けられるようにはなりましたが、いかんせん、生きている部品は少ないであります」
「うーん、私も流石に全力全開、とはいかないねぇ」
 秋奈が肩をすくめる。
「フリックモ スコシ パワーダウン」
 流石に連戦となれば傷の問題は回復できても気力が完全に回復とはいかないだろう。充分以上な休息をとるのも、何日もかかるわけではない探索中には難しい。
「ケド フリック 頑張ル。 アクス・ツー トモダチ デキル キット嬉シイ」
 フリークライの言葉に、ハイデマリーも頷いた。
「そうでありますね。
 鉄帝の事情や労働力という問題以上に、孤独な彼に友達を作ってあげるのは、重要かもしれません」
「そうとあらば、もうひと頑張りだー!」
 秋奈が声をあげるのへ、皆が頷いた。一方で、アクス・ツーは次の目的地を示した。壁にもたれかかるように倒れている、五体満足な状態で眠っているゴーレム。ここからパーツを回収できるか否か。どちらにしても、この冒険の最後の戦いとなりそうだった。
「では、行きましょう」
 黒子が言うのへ、皆が頷く。美咲とハイデマリー、イグナートが警戒しつつ、一同はゆっくりと近づく――同時、ぶうん、と音を立てて、ゴーレムの目が光った。
『警報――警報――当該地域への――立ち入りを――中断し――』
 ガチャガチャと音を立てて、ゴーレムが立ち上がる。
『速やかに――ザ、ザザージジジ、迎撃を開始――』
「今明らかに命令が混線したね!? こっちも迎撃準備!」
 秋奈が叫びつつ、武器を構えた。ゴーレムの瞳が、赤に染まる。明らかに非常事態風の雰囲気を見せるゴーレム。その瞳に強大な熱が集まり、刹那、一気に解き放たれた。地上を走る、熱線! イレギュラーズ達は、既に本能的に動いてる! 散開! 既に誰もいなくなった空間を、熱線が駆ける!
「さぁて……!」
 熱線をよけつつ、ハイデマリーがゴーレムを透視する。足元にパーツを重点的に。
「使えそうでありますよ! 足は避けて!」
「逆に、上半身のパーツは充分ある」
 ゼフィラが頷きながら言った。
「少しばかり申し訳ないが……心臓部から破壊しよう」
「リョウカイ! まずは敵の攻撃を引き付けるよ!」
 イグナートが声をあげて、走り出す! イグナートを追うように、ゴーレムの熱線が宙を奔った!
「おおっと! 追いかけっこかい!? 負けないよ!」
 イグナートが残骸に滑り込む。熱線が、残骸を焼いて爆発させる。イグナートが飛び出して、再び囮として攻撃を誘発する。
「装甲は分厚いようだが、葬送曲はそれ越しに身を破壊するだろう」
 稔がその手を掲げる。同時、奏でられる黒の葬送曲。呪詛の鎖。身体に撒きつく呪鎖が、ゴーレムの身体を縛り付け、その身を侵す――。
「これで足見つけてめでたしめでたしだぜ! 最の高ーっ!!」
 秋奈が緋い刀身の刃を、ゴーレムのボディにたたきつける。強烈な斬撃が、ゴーレムの装甲に叩きつけられた。苛烈ながらも繊細に切り裂いた一撃が、ゴーレムの装甲を切り裂く!
「ハイデマリーちゃん! ゼフィラちゃん! ぶっ飛ばしてやれだぜー!」
 くるり、と秋奈がゴーレムの上半身を蹴っ飛ばして離脱すれば、ゼフィラがその義手を/ハイデマリーがその狙撃砲を、構える!
「さぁて、五体満足のキミをスクラップにしてしまうのは心苦しいが――」
「無力化はさせてもらうであります!」
 同時な放たれる、銃撃! ゼフィラの強烈な弾幕、ハイデマリーの苛烈な火砲が、切り裂かれたゴーレムの装甲に撃ち込まれる! すらりと裂かれた装甲が、隙間に撃ち込まれた強烈な銃撃により、爆発し方のようにめくれ上がる! 内部のばねやらネジやらを飛ばしながら、心臓のように動く、内部構造。
 ゴーレムがその両手を振るいながら、歩き始めた。暴風を伴い、振るわれる拳。振り下ろされたそれが、地面を抉る。粉砕された石畳の欠片を受け止めながら、美咲が叫んだ。
「壊さない程度に足を止めるっス!」
 手にした拳銃が、ゴーレムの足元を狙う。衝撃に、ぐらり、とゴーレムが揺れた。動きを封殺されたゴーレムが、獲物を探る様にそのレンズを輝かせる。
「心臓部はあそこ……開口されてるっス! 狙って!」
 キャナルが叫び、ビーム銃をうち放つ。光線が内部に走り、ばじり、とショートした。内部が小爆発を起こす。ダメージが強烈にかけて、ゴーレムの瞳が明滅する。だが、まだ、倒れない!
「流石にタフっスね!」
「デモ モウ少シ。
 皆 頑張ル」
 フリークライが、その両手を高く掲げた。輝く、聖なる光が、大地に、仲間達に降り注ぐ。聖なる歌。輝く歌。
 ゴーレムが、上半身の内部を小爆発させつつ、ずず、と足を引っ張った。ゴーレムは、ダメージを受け鈍る身体を無理矢理に引きづり、脳に刻まれた命令、敵の迎撃のみを胸に、無機質な攻撃を繰り返す。
「――何処かもの悲しいですね」
 黒子が静かに呟く。或いは……何者かと絆を結ぶことなく、ただ刻まれた命令を繰り返すだけの彼らは、悲しい存在であるのかもしれない。
「……どうか、お休みください。
 次に目覚める時は、きっと良い生を」
 黒子が放つ斬波が、ゴーレムの心臓、その回路を抉った。渇いた音がゴーレムの胸からなって、その瞳が昏く、光をなくす。
 どぉん、と音を立てて、ゴーレムが倒れ伏した。イレギュラーズ達が疲労した体を抱えながら、ゆっくりと倒れたゴーレムへと近寄る。
「……脚部のパーツは大丈夫でありますね」
 ハイデマリーが、そう言った。
「早速取り外しましょう。それが、彼のためであるかもしれないのです」
 その言葉に、ゼフィラは頷いた。
「さて、今はお休み、だ。キャナル君、手伝ってくれたまえ。脚部を外して、使えるパーツをとろう」
「了解っス! あ、美咲さん、軽トラのエンジン起動させておいてください! これとったら、帰りましょう!」
「あー、了解でスよ」
 美咲がそう言って、軽トラのカギをちゃらりと鳴らす。
「これで、一体分はパーツがそろったな」
 稔が言うのへ、黒子が頷いた。
「ええ。これで、アーカーシュの探索も、次のフェーズへ行くかもしれません」
「アクス・ツー、これで友達ができるんだね!」
 楽しそうに笑うリオーレに、アクス・ツーが頷くように、瞳を明滅させた。
「ああ、そうだ。えーと……誰にしようかしら……」
 ノバリシアが、うーん、と声をあげつつ、イレギュラーズ達を見た。
「そうね。ヴァイセンブルク、あなた、新しいゴーレムの名前、つけてみない?」
「え? ワタシがでありますか?」
 きょとん、とハイデマリーが目を丸くした。
「ええ、がんばってたと思うし。よかったら、村の第一号のゴーレムの名前を、つけてあげて頂戴?」
「むむむむ……」
 ハイデマリーが腕を組みつつ、首をかしげた。くすくすと、ノバリシアが笑う。
「ああ、今すぐ決めろって言わないわ。後で考えてみて?
 いまは、兎に角パーツを集めて戻りましょう!」
「よーし、パーツはゼンブ積んだね?」
 イグナートが声をあげる。果たして解体された脚部パーツは、美咲の軽トラに搭載された。満載のパーツは、ゴーレム一体分を再生するには充分だろう。後は、既に回収済みでデータを書き換えた思考ユニット……造花回路を埋めればいい。
「よーし! 私ちゃんたちの凱旋だー!
 美咲ちゃん、軽トラ運転頼むよー!」
 秋奈が声をあげるのへ、美咲が苦笑した。
「りょーかいでス。さぁ、帰るまで機嫌悪くしないでくださいよ?」
 美咲が軽トラのハンドルを、優しく撫でた。ぶるる、と応じるみたいに、軽トラがエンジンを震わせる。
「ン……オヤスミ ミンナ」
 フリークライが、眠るゴーレム達に向けてそう言った。空は茜色に染まり、夕焼けが墓所を照らす。暖かな夕焼けが、眠るごレームたちの子守歌のように思えた。
 今は眠れ、無垢の子らよ。次の目覚めは、きっと良いものでありますように。

成否

成功

MVP

ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
空の守護者

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 皆さんの活躍により、ゴーレムのパーツは確保されました。
 すぐに、ゴーレム第一号が組みあがるはずです……!

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