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シナリオ詳細

聖なるかな獣の影刺

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●聖なるかな獣の影刺
 天義(聖教国ネメシス)の首都、フォン・ルーベルグより離れた海沿いにある町『ホノフチ』。
 町の規模はそう大きく無いものの、天義に賊する国として海へと漕ぎ出ての釣果を天義に流通させたり、と……正義の国の一員として、その町は決して裕福ではないものの順風満帆な生活を送っていた。
 ……だが、そんな『ホノフチ』の町の動きを快く思って居ない物も居る様で……。
『……グルゥゥゥ……』
 人々が寝静まった深夜の刻……漆黒の闇と静寂の中に響きわたるは、そんな獰猛な獣の鳴き声。
 その鳴き声に気付いたのは、町の入口で警備にあたる、警備を託された人達。
『ん……何か、呻き声が聞こえなかったか?』
『ああ? ……そうだな。確かに何か聞こえた気がするが……どこだ?』
『多分……あっちの方だ。ちょっと行ってみるか』
 と、警備の二人は、その声の下方向へ。
 当然漆黒の闇の中故、カンテラの灯りを頼りに、その声の元へと向かう……すると。
『……グルゥゥウ……グガアア……!!』
 その闇の中から不意を討つように飛び出してきたのは、真っ白な身体に羽根を生やした……ライオンの様な巨躯の獣。
『な……何だこいつらは……!!』
『し、知らねえ! げ、迎撃するぞ!!』
 その手の槍を、獣を討ち倒そうと打ち払う二人。
 だが……白き獣は圧倒的な力と共に牙を剥く……故に警備の二人は、白き獣へと食われてしまう。
 噛み砕きし血が、白き体に赤い筋。
 そして白き獣は、咆哮を上げながら町を襲撃し、町の人々を喰らうのであった。


 首都、フォン・ルーベルグ。
 その街角を歩いていた君達に。
『……すいま……せん……』
 微かな声が、君達を呼び止める。
 振り返った君達……視線を落とすと、そこにはツインテールの少女。
「……呼び止めて……すいません……イレギュラーズの……方達、ですよね……? その……天義の国を……助けて頂きたいのです……」
 それはラヴィネイルの言葉……彼女の言葉に小首を傾げる君達だが、彼女は。
「皆さんは……アドラステイアは、知っていますよね? ……あの町から放たれた聖獣が……どうやら、天義の町に、襲撃を仕掛けている様なのです」
 聖獣……白き翼を背に生やした、アドラステイアでは聖なる存在だと信じられている者。
 しかしその実体は、イコルを過剰摂取した人である……というのは、ここ最近に分かり始めた事。
 アドラステイアにおいてはその旨信じられては居ないものの、イレギュラーズ達の活躍のお陰でアドラステイアの外においては、その話が信じられつつ有る。
 ……そんな聖獣が、天義の町を襲うという事件が起きた、という事なのだ。
「聖獣達は、アドラステイアの周りの、イコルを売買しなくなった町や村を中心に襲撃している様なのです……恐らく……イコルの取引を中止した所に、腹いせがてらに仕掛けているのかもしれません」
「とは言えこの様な事態……黙って見過ごす訳にはいかないのです……領主の方々も、困っている状態です……イレギュラーズの皆さんに……この聖獣達を撃退してきて頂きたいのです……」
 聖獣を放っておけば、アドラステイアの周りだけでなく、遠くまで被害が及ぶ可能性も十分にある。
 まだ、その被害はアドラステイアの近郊のみに収まっている訳で……今の内に対処しておけば、拡大を止められるかも知れない。
「……面倒な事件、だと思われるかもしれません……ですが、アドラステイアの周りの方々には、非がない事件です……どうか、皆さんの力で、平穏を取り戻してきて頂きたいのです……よろしく、御願いします……」
 と、ラヴィネイルは、申し訳無さそうに深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回はアドラステイアシナリオ……ですが、舞台となるのはアドラステイアの外になります。

 ●成功条件
  深夜の刻に町を襲う聖獣達を退治する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  アドラステイアから海続きの、海沿いの町が今回の襲撃される町となります。
  聖獣は闇の中から姿を表し、ライオンの四肢で素早く動き回り、町へと襲撃を仕掛けます。
  町の外を探索する事も可能ではありますが……下手に探索していると、その隙に町が襲撃される、という可能性も十分にあるので、注意が必要です。
  
  町の人々は寝静まっている刻です。
  皆様が到着出来るのも、襲撃のちょっと前なので、町の方々を避難させる時間的余裕は殆ど有りません。
  なので、襲撃と同時に町の人達の防衛も必要になります。
  尚、聖獣は誰かの命令によって動いている様ですが、近くには居ないので、首謀者を見つけ出す事は出来ません。
  又、彼等は町の一方向から徒党を組んで仕掛けてきます。分散して包囲して襲撃……なんて事はしませんので、その点はご安心ください。

 ●討伐目標
  指示を受け、町を滅ぼす事を指示された『聖獣』達
   荒々しい性格、ライオンの如き鋭い爪、牙を持った聖獣で、9体以上います。
   その背中に生えた白き翼で、戦闘時でも飛行可能で、かつ地上に於いても強靱な四肢で素早く動き回ります。
   言葉を投げかけたとしても、一切反応は返しませんので、ただ純粋に倒す敵……と考えて頂いて問題ありません。
   ただ一匹一匹戦闘能力も、体力も高めなので、決して油断出来る相手ではありません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 聖なるかな獣の影刺完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年04月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
バク=エルナンデス(p3p009253)
未だ遅くない英雄譚
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
スティール・ダンソン(p3p010567)
荒野の蜃気楼
ラン=アズライト(p3p010591)
鉱石の魔術師

リプレイ

●聖なる獣
 天義、フォン・ルーベルグより離れた小都市『ホノフチ』。
 海に面してはいるものの、街の規模としてはそこまで大きなものではなく、極々普通の街である。
 ただ……海に面している事で、天義に流通する漁の釣果の一翼を担っており、そういう意味で言うと天義の食の需要を満たす為に必要な街の一つと言えるだろう。
 ……だが、そんな街に忍び寄りたるは、同じく海に面している独立都市『アドラステイア』の影。
「やれやれ……今度ハイコルを取引しなくなった事への腹いせで街に襲撃を仕掛けるとは……困ったものだね」
「全くだ。だが、イコルの取引を断った街に襲撃を仕掛けている……ということはつまり、我々ローレットの活躍によりアドラステイア上層部が、資金的や精神的に追い詰められている事の証左でもあるだろうな」
 深夜の刻故に、星が瞬く天義の空。
 『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が、その星空を見上げて息を吐くと、『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は不敵に笑みを浮かべる。
 二人の言うが通り、今回イレギュラーズ達が『ホノフチ』に急ぎ向かって居るのは、『アドラステイア』から聖獣が嗾けられるという話を聞いての事。
 その理由も、アドラステイアで製造されている『イコル』の取引を断られたことが切掛ではないかと言われており……アドラステイアは正しく自分達の思い通りにならない所には、力尽くで以て徹底的に叩き潰そうという具合が見て取れる。
 そんなアドラステイアのやり口に、これまた天を仰ぎ見る『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)。
「本当、アドラステイア絡みの事件に関わる度に思う事だが、本当に宗教の悪い所を煮詰めたような連中だよな……」
 更には『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)と『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)、雲雀も。
「ああ、アドラステイアはやはり歪だ。閉鎖的なくせに、資源も人も使い潰し、正当に育てもしない。だから、外にちょっかいを出さないと成り立たないんだろう」
「そうね、腹いせ、ね……深夜に郷愁を仕掛けているのも卑怯な手だし、イコルの取引が原因って言っても、其処で関係無い人達を巻き込むって言うのは違うし、許せないよ」
「全くだ。人々が寝静まっている時間帯に狙えば目撃者も少なく済むだろうという魂胆が丸見えだ。ここまでくると、俺も呆れて物が言えなくなるよ」
「そうだな。本当、アドラステイアは自分勝手だ。そんな自分勝手は決して受け入れられない。人を聖獣にして街を襲わせるなど、許す訳にはいかない!」
「首謀者を突き止めて殴り飛ばしたいくらいだけど、今やるべきは聖獣を止める事。関係無い人が傷つく事だけは、絶対に避けないといけないね!」
 そんな仲間達の憤りを聞き流していた『夕陽のガンマン』スティール・ダンソン(p3p010567)が。
「……身体も意識も残らず、か……信仰とやらの果てに、貴様らは今、一体何者なのか……ま、ここで最後の施しをくれてやる。騒ぐことも、腹が減ることもない……ここで終わらせてやろう」
 シケモクになった咥え煙草を下ろしながら、聖獣に対する弔いの言葉を掲げると、更に『未だ遅くない英雄譚』バク=エルナンデス(p3p009253)も。
「そうだな……元が人間であり、聖なる獣と云えども、此処より先は人々が安楽に過ごす地ぞ。喰らわんと企むのならば、容易く進ませはさせんぞ」
 そう言った仲間達の言葉に、『鉱石の魔術師』ラン=アズライト(p3p010591)はやれやれと言った雰囲気を漂わせながら。
「……混沌に来たのは最近だから、詳しい経緯は知らないけれど……まぁ、市民がモンスターに襲撃されるのを見てるだけだなんて、気分悪いし、私も手伝う」
 と頷く。
 そんな仲間達の力強い言葉、態度を受けて、モカとエーレンも。
「アドラステイアの悪事に対し、一つ一つ粘り強く対処をしていけば、近い内に奴らも致命的な失策をする事になるやもしれんな」
「ああ、モカ。奴らも追い詰められていなければ、こんな益からだもない暴挙に貴重な戦力は使うまい。今回上手く行けば、アドラステイアに深く斬り込む事が出来るだろう」
「そうだな。ならば、今後もアドラステイアの企みを阻止し続けるだけだ。その為にも今は、この街を護るヒーローになろう!」
 と、イレギュラーズ達は強い不退転の覚悟と共に、深夜を刻む『ホノフチ』の街へと辿り着くのであった。

●聖の牙を
 すっかり夜の帳が落ちた深夜の刻。
 イレギュラーズ達が到着した頃には既に街の人々はすっかり寝静まっており……周りは静けさに包まれていた。
「取りあえず辿り着いた訳だが……殆ど時間が無いとの事。どうだ、雲雀?」
「そうね……うん、思った通りアドラステイアの方向から白い影が駆けて来ている。見た限り……2、3分で着きそうな感じだね」
「分かった。となると街の人達を逃がす余裕は無し、と……取りあえず来ている方向に出て待ち伏せるとしよう」
 イズマ、雲雀、モカがそれぞれ言葉を紡ぎ、そしてイレギュラーズ達は雲雀を除き、アドラステイア側の街の外へと進み出る。
 ……程なくすると、暗闇の中でも僅かに星の灯りを受けてぼんやりと浮かび上がる、白い聖獣の体躯。
 アドラステイアが関係無く、ただ偶然に遭遇したのならば、美しい獣だ、と思えたかもしれない……だが、聖獣という事は、イコルによって獣化した人である可能性が高い訳で。
「あれが……聖獣。確かに……神秘的な姿ではある、けど……人を襲うなんて、聖の名が廃るね」
「ああ、全くだ。それに正気も失っているときてる……倒す他に対処手段もねえって訳だ」
「そうだね……元がどういう人かはこうなってしまっては知る由もないけど、兎に角街に近づかせない様に、ここで倒さないと」
 ランとスティールはそう言葉を交わしつつ、明らかに敵対心を剥き出しにしている聖獣の真っ正面に対峙。
『グルゥゥ……』
 地面を鋭い爪で掻きつつ、イレギュラーズ達を威嚇する聖獣……暫し、両者の睨み合いが続く。
『グゥゥ……グガアアア!!』
 しかし痺れを切らした様で、聖獣達は待ちきれずに先手の牙を剥き出しにする。
 咄嗟にその攻撃を身を呈してカバーリングするのはモカ……腕に深く牙が突き刺さるが、その痛みに耐えつつカウンターで残影を生じさせながら多段の手数で聖獣へと反撃。
『ガウウ!!』
 流石に攻撃を受けて驚いたのだろうか……数歩バックして再度間合いを取る聖獣。
『ガゥルルゥゥ……!!』
 夜の静寂に響きわたる、獰猛な咆哮。
 戦う力の無い一般人や、街の自警団レベルの人であればそれで足が竦み、動けなくなるであろう……だが、今この場に立ち塞がるは勇猛果敢なるイレギュラーズ。
「鳴き叫んで仲間を呼ぼうとしているのか? それとも街に行けなくて悲しんでいるのか? どちらにせよここは通行止めだ。あの街に入りたいのなら、俺達を倒してみろ!!」
 とイズマは敢えて挑発し敵のターゲットを自分へと集中させる。
 そしてそんなイズマに向けては、バクが聖なる不可侵領域を付与する事で、抵抗力を増加させて盾を強化。
 勿論怒りに吸い寄せられた聖獣たちは、イレギュラーズ達を殺すべく更なる牙と爪で猪突猛進に戦線を突破しようと攻め続ける。
 大幅にダメージを喰らうイズマ……だが、どうにか聖獣の猛攻を耐えきれば、次はイレギュラーズ達の反撃の刻となる。
「中々素早い奴らの様だが、それに惑わされる俺達ではない。俺は鳴神抜刀流、、霧江詠蓮だ……その姿になっては信仰も何もないだろうがな、まったく……」
 とエーレンは溜息をあからさまに吐きつつ、初めの太刀『一閃』を敵の間合いに踏み込み、流れる様な動きで叩きつけていく。
 それに続き、スティールは距離を取った位置から鋭い狙いを研ぎ澄ませた一射を聖獣の足元に打ち込む事で足止めを行う。
 一方でランは、イズマのダメージ具合を見て……かなり酷い怪我である事を確認すると。
「取りあえず、その人に近づかせない……取りあえず吹き飛んで」
 と言いながら、蒼い衝撃波を叩き込んで、敵を後方に飛ばすことで一時の隙を作り出す。
 そうイレギュラーズ達が街へ通さない様に聖獣の足止めを行う最中、雲雀は街の状況を確認をしていて。
 聖獣の鳴き声で起きたり、慌てて外に出てくるような人達が居ないか注視する。
 ぱっと見た限りは……不用心に外に出たり、様子を見に外に出てくるような人達は居ない模様。
「この街の人達は、そういった心構えはしっかり出来て居る様だね……なら、聖獣を通さなければ、街の人達に被害が及ぶ事は無さそうだ」
 と雲雀は一度の安堵を覚えつつ、遅れて仲間達の戦線へと合流する。
 二刻目……聖獣は怒りの咆哮を絶えず鳴らしながら、イレギュラーズ達の防衛網を突破しようと多段に攻撃を仕掛けてくる。
 数も多く、一極集中されれば容易に突破されかねない所……だが、イズマは常に名乗り口上を述べて敵の怒りを満遍なく付与した状態を続けていく。
 そして、そんなイズマをサポートする様バクは。
「……生憎歳で夜目は効かんからな、しかし手近な者を護る事は出来よう」
 と言いつつ聖なる不可侵領域を常に掛け続け、その体力を回復。
 又、多段攻撃してくる敵を見定め、攻撃の直前でランが後方から吹き飛ばし攻撃を行う事で、一体ずつではあるもののその攻撃をミスに導く。
 そしてモカ、エーレン、スティールは同じ一体を集中攻撃する事で、狙いを定めた一体を確実に死へと誘う。
 ……そう仲間達が攻撃している中、咲良は敵の動きをつぶさに観察。
「ふむふむ……どうもこの聖獣の弱点は、その口元と、足元の二つの様ね? そこに攻撃を集中させれば、有利に進められるかもしれないわ!」
 敵の弱点を探る力をフルに活用する事で、弱点を看破。
 その弱点を仲間達に伝達する事で、弱点をついた攻撃をする事で相手を怯ませつつ、大ダメージを与えていく。
 三刻目になり、街の人達の様子を確認していた雲雀も合流する頃には、強力な聖獣も一体、二体は地へ臥し骸になる。
「後聖獣は……8体。1対1に張り付けば、取りあえず間を抜かれる事はなさそうだね」
「ふむ……そうじゃな。ともあれ儂はイズマを護る事に集中する。集中砲火を受ければ、一点突破で崩れ去る可能性すらあり得るからな」
「そうだね。それじゃこっちも一匹ずつ確実に仕留めて行く事を軸に進めていくよ」
 バクに咲良は提案し、縦横無尽に戦場を駆け回る聖獣の位置を声を掛け合い、的確に指示し弱点を集中攻撃。
 そんなイレギュラーズ達の弱点を的確に突いた攻撃は避ける術は無い。
 よって、刻が進むと共に聖獣も一匹、また一匹と地に臥していく。
 そして、聖獣の襲撃開始から、数十分が経過した頃には……残る聖獣は後1匹。
 ただ、その瞬間。
『……う、うわぁ……?』
 イレギュラーズ達の背後に、いつの間にか訪れていた、一人の影。
 その装備を見る限り、街の自警団的な青年だろう……流石に戦っている音が、街にまで聞こえてきており、警備の人間が様子を見に来たという様である。
 そんな男に、咄嗟にモカが。
「大丈夫だ! 魔物は我々が対処します! 貴方は街に戻って!」
 有無を言わさぬ様に強い口調で言い放つモカに、自警団の男は。
『わ……わかりました……!!』
 イレギュラーズ達が聖獣たちを倒していてくれているのを目の当たりにしたので、戸惑いはしたものの安心はした模様。
 そして彼が戻っていく一方で、最後に残った聖獣に向けて総攻撃を仕掛けるイレギュラーズ。
「さぁ、これで一気にとどめを刺すよっ!!」
 元気いっぱいに咲良が放つ、超加速の一撃。
 直撃した聖獣が苦悶にのたうちまわると、そこへエーレンが一刀両断の一撃を叩き付け……その攻撃に最後の聖獣も、断末魔の叫びを上げながら、崩れ墜ちて行った。

●こぼれ落ちた輝きを
 そして、全ての聖獣達を倒したイレギュラーズ達。
「ふぅ……終わった? 疲れた……想像以上に大変だった……」
 ぺたん、とその場に座り込んだランが深く溜息を吐くと、それに咲良が。
「そうだね、数も多かったし、大変……本当こんな卑怯な手で街を襲うだなんて……何が聖獣なのかな。むしろ悪魔だよ!」
「悪魔……うん、そうだね。それで……この後は、みんなどうするつもりなの?」
「そうだね……無事に戦闘も終わったし、結構音が響いてたみたいだから、村の人達は起きちゃってるかも。そんな街の人達を安心させに行きたいかな?」
「え? ……疲れているのに、みんな市民の相手をするの……すごいね……その辺りの対処は任せちゃってもいい? 私は……この聖獣の亡骸を観察しようと思う。聖獣のこと、まだ全部分かって居る訳では無い様だし……」
「うん、その辺りもまだ調査は必要だね……それじゃ手分けして進めましょう」
 咲良とランが会話し、ランは聖獣の観察へ、咲良らは住民達の下へと向かう。
 ……街ではイレギュラーズ達に、何が起きたのか……あの音は何だったのか、と、次々と問いかけられる。
 そんな街の人達に、開口一番エーレンが。
「色々と不安であっただろう……深夜の刻に街の外で戦闘の音が鳴り響いたんだからな。だが、もう大丈夫だ。この街に嗾けられたアドラステイアの聖獣は、俺達ローレットが全て倒した!」
 と、あえて断じる口調で告げることで、街の人達を安心させる。
 更に、努めて静かな口調でバクが。
「不安であろう。だが安心せよ、此度のみならず、コントもイレギュラーズらが、このような事態を防ぐ為に立ち続けん。その為にも、貴殿らには今の日常を続けて欲しい」
 と、教えを説く様に告げていく。
 ……とは言え、そんなイレギュラーズ達の言葉に街の人達は。
『え? ……何でアドラステイアは、俺達の街を襲うんだ? 俺達は……イコルが不要になったから、取引を断っただけだぞ?』
 と首を傾げるばかり。
 イレギュラーズ達にとっては、イコルが聖獣を生み出すものであるというのは知られているものの、まだこの周りの街には浸透していない模様。
 街の町長が言うには、イコルが病気を治してくれるような薬の類いでもないし、必要性がないのならば大枚を叩いて買うようなものでもない……ただそれだけの理由で購入を止めただけとの事。
 意図せずイコルの購入を止める事にしただけなのに、こうして襲われるだなんて納得がいかないだろう……だが、アドラステイアは理由の如何を問わず、イコルを買わない者達は悪だと決めつけていたのだ。
 そんなアドラステイアの歪な考えに、襲われない為にはまた買わないと行けないのか……と言う疑問も生じる。
 しかしそれには、モカが強い口調で。
「いや、ここでアドラステイアの脅しに屈してはいけない! ローレットの名で今後の安全は保障する! だから自信を持って欲しい!」
 勿論購入しなければ、反アドラステイア勢力が増えるだろうし、資金源も断つ事になる……だからこそ彼等の選択はアドラステイアを崩壊させる為の強力な一手である。
 そしてイレギュラーズ達に促された街の人達は、分かった……と頷くのであった。

成否

成功

MVP

皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

状態異常

なし

あとがき

アドラステイアからの刺客退治に参加頂き、ありがとうございました!
聖獣の大群はかなりの強敵ではありましたが、街の外で迎撃出来たお陰もあり、街には大きな被害は及びませんでした。
とは言えイコルを買わない選択をした街に武力で迫るのは……本当嫌な街ですね……。

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