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シナリオ詳細

死亡フラグの森

完了

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは、口にしてはならない

 ここはレジェンダリア。
 ネクストにおける幻想であり、伝説の冒険者である勇者王アイオーンが建国した国。

 そんな国のある一角に存在する森の中で、魔物討伐依頼を受けた4人の冒険者達が遭難していた。
 魔物は確かにしっかりと討伐できた。それまではよかった。
 しかし帰ろうとしたところで森の様相がまるっと変わってしまい、帰り道がわからなくなっていたのだ。

 道に沿って歩いてきたはずなのに、気づけば足元には道なき道。
 更には生えている木々が方向感覚を失わせるために、彼らはあっという間に迷子になってしまった。

「まずいな……一旦引き返そうと思ったのに、どっから入ったのかわからねえ……」
「なんでこんなことになったんだ……。アレを倒したのがまずかったのか?」
「どうします……? 真っ直ぐ進んでいるけれど、ちょっと引き返したりとか……」
「バカ、そんなことしたら余計迷うだけだぞ」

 色々と対策を立てながら、冒険者達は森の中を進む。
 しかしこんな会話も疲れたのか、1人の冒険者が話題を変えるためにある話を始めた。

 ――俺、このクエストが終わったら結婚するんだ……と。

 その瞬間、周辺の空気が一変する。
 今まではなんともなかったはずの森の中が、まるで生き物のように蠢きだして冒険者達を取り囲む。
 そして更には先程話題を変えた冒険者が1人、鋭く伸びた木の枝で貫かれそのまま死亡してしまった。

 あまりの様相の変化に残った3名の冒険者達は少々慌てるものの、相手が木だからと炎を使った攻撃で応戦し続けなんとか木の枝を振り払っていた。
 木々は皆、降り注ぐ炎から身を焼かれないようにと注意しながら退避していくのが見える。

「や、やったか……!?」

 もうもうと辺りを白煙で包み込み、視界を塞ぐ。そのため襲いかかってきた木の魔物が全滅しているかは見た目にはわからない。
 本当に倒したのか、本当に終わってるのか、確認しようとして一歩前に進んだ冒険者は……そのまま、長く伸びた木の枝に貫かれて死亡してしまった。

 しかし木の枝は残った2名の冒険者を狙う様子はない。まるで、何もしていないから手は出さないと言ったように。
 何が起こったのかはわからない。けれど、死亡した冒険者の共通点は……死亡フラグを立てている。

 この森は、ここの木々達はやばい。
 早急に伐採していかないと、きっと同じ死亡フラグを建てる人達のデスカウントがとんでもない事になっていく気がする。
 生き残った冒険者たちは急ぎ街へと戻り、木の魔物達を倒せる者――英雄たちを探し回った。


●でも生涯で一度は口にしてみたい

「死亡フラグを建てると死ぬ森、なんてものが最近出てきたらしいです」

 あっけらかんとエーミールは言う。
 仕事の斡旋業をしている彼は件の冒険者達から話を聞いたようで、いくつか説明をしてくれた。

 生涯に一度は言ってみたい言葉の1つ、死亡フラグの台詞。
 本来はフラグを建てることで本当に死ぬことはあまりないのだが、今回は本当に死ぬ場所が見つかったとかなんとか。
 そんな場所あったら流石に危ない。ということで急遽伐採が決まったという。

 伐採の方法に関しては特に指定はなく、現在はフラグを立てて死にたい人はどうぞご参加くださいと投げやり状態の依頼が舞い込んでいるのだとか。

「木々の魔物はそこまで強くはないそうですが、死亡フラグだけにはめちゃくちゃ敏感で強力な一撃を放ってくるそうですので、ええ、気をつけてくださいね?」
「あんまりないとは思いますが……死亡フラグで遊んでみよう! って方にはオススメかもしれません。それでも、無事だけは祈らせていただきます」

 エーミールはそのまま、参加してくれる者へ仕事を依頼し、場所を記した地図を渡して見送っていく。
 死亡フラグの森。果たしてそこで起こる物語は、如何に。

NMコメント

 はじめましての方ははじめまして、御影イズミです。
 R.O.O.だったらこれ出来るのでは? と思ってひらめいたシナリオをお届けに上がりました。
 死亡フラグを言って死んで戻ってこれるなんて、そうそう出来ませんからね。
 是非とも皆様には様々な死亡フラグを立てていただきたいです。

◆目標
 森を更地にする。
 あるいは攻撃してくる木の魔物を全討伐。

◆敵
 死亡フラグに敏感な木の魔物 12体

 彼らは普段はぺちぺちと細い木の枝で殴ってくる程度ですが、死亡フラグを口にするとめちゃくちゃでかい木の枝でぶっ刺してきます。
 しかし消耗が激しく1体に付き1回までの反応しか出来ないようで、1回使うともう二度とその木の魔物は反応してきません。

◆復活場所
 森から少し離れた街にあるフラグメントから復帰します。
 なので走って戻ってくる形になります。

◆死亡フラグの度合いについて
 「やったか!?」「俺、生きて帰ったら~」等の戦場系はもちろんのこと、「こんなところにいられるか!」「これは……そうだったのか!」等のミステリー系にも反応します。
 なんなら何か起きそうだと言う時の「まさかね」でも反応します。
 つまりこの木の魔物たちいろんな死亡フラグ知ってる。すごい。

◆サンプルプレイング
 俺、この依頼が終わったら少し腰を落ち着けようと思うんだ。
 ……えっこの台詞もダメなの!? この森どうなってるんだよ!?
 他に反応しない台詞って無いのー!?

  • 死亡フラグの森完了
  • NM名御影イズミ
  • 種別クエストテイル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年03月18日 22時05分
  • 参加人数3/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(3人)

シャドウウォーカー(p3x000366)
不可視の狩人
チェル(p3x005094)
カード術師
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者

リプレイ

●情報源って本当に大事

「死亡フラグに反応する魔物かぁ……」
「死亡フラグに反応する魔物ですわねぇ……」
「死亡フラグに反応する魔物……」

 森に到達した『不可視の狩人』シャドウウォーカー(p3x000366)、『カード術師』チェル(p3x005094)、『アルコ空団“輝翼”』九重ツルギ(p3x007105)の3人は同時に呟いていた。
 本当にそんな魔物がいるのか? ガセ情報じゃなくて? といろいろと疑いをかけたが、中に入ってみないことにはどうにもならない。そのため先にツルギが森の中へと進み……。

「一度はデスカウントを稼ぎすぎてログアウト不可になった男――私はそう、防技99の男! そう簡単にはやられはしまs」

 ツルギが手に持っていた自爆スイッチを超連打しながら前に進んでいたら、大爆発する前に木の魔物が死亡フラグ立てたぞ! 殺せ!! と言わんばかりにツルギの身体を貫いた。ステータスが高いことを高らかに宣言しながらのやられはしませんはやっぱり死亡フラグだと言わざるを得ないんですよ。
 そのおかげで、シャドウウォーカーもチェルもここが死亡フラグを立てたら殺される森だとはっきりと理解する。単純な死亡フラグでもきちんと反応してくれる律儀な木の魔物達は、まだまだ残っているわけで……。

「うーん、どうしましょう。このクエスト、大丈夫なのでしょうか?」
「と言っても、そういうセリフを言わなければ普通のエネミーみたいだし、難しいことは考えないでサクっと終わらせちゃおうよ!」
「ですが、そうなると戦術を立てて進んだほうがよろしいと思うのですが……」
「大丈夫、こっちにはレベル100超えが2人もいるんだよ? へーきh」

 不安そうにするチェルに向かってシャドウウォーカーは笑った。自分とツルギというレベル100超えの強者がいるから大丈夫だと。
 けれどそれも死亡フラグを立てたことに変わりはなく。無慈悲にも木の魔物が1体、シャドウウォーカーを思いっきり貫いた。だって、レベルが高い人がいるから大丈夫っていうのはゲームではよくある死亡フラグだもんね。

 ツルギとシャドウウォーカーが走って戻ってくるや、精度の良さに思わずツッコミを入れてしまう。こんな簡単な言葉でさえも、木々にとっては死亡フラグとして処理するのか! と。
 しかも死亡フラグを発動させたからと言って、木の魔物が消滅するわけではないので本体処理もしなければならない。なんとも面倒な仕事を引き受けてしまったもんだと頭を抱え込んだ。

「うう、いったぁ……いきなりお腹殴られるとか聞いてないよー……」
「まさか爆発する前に死ぬことになるとか……思ってもいなかったな……」
「お疲れさまですわ。おかげで、手前側2体の場所を把握することが出来ました」

 2人を貫いた木の魔物の場所を把握して焔のカードを用いて処理したチェルは、ひとまず自分が狙われないようにと安定した場所を選び2人を待っていた。死亡フラグを口にしないようにと口を噤んでおいたため、彼女はまだ貫かれていない。
 だが、チェルは気づいている。ツルギを貫いた木の魔物はシャドウウォーカーを貫かず、彼女を貫いたのは別の魔物。一度貫いてしまえば、二度と使用することはないのだと。

 だから、チェルはちょっと閃いてしまった。
 このクエストを一気に攻略する事が出来る、唯一の方法――死亡フラグの連発案が。

「手前からどんどん消耗させてしまえば、あとは倒すだけですわ。なので、どんどん連発しちゃいましょう?」
「た、確かにそれはそうだけど……大丈夫かなぁ?」
「まあ、大丈夫だろう。この3人なら必ず生きて帰ることが出来るさ」
「あ、ツルギさんそれ多分」

 死亡フラグだよ、と注意をしようとした矢先に、ツルギはまたも貫かれサクラメントから走って戻ってきた。
 こんな簡単な言葉も言えない森の中、果たして3人はどう戦うのか……。


●何回も口にするもんじゃない。

 さくさく、さくさく、さくさく、枯れ葉を踏む3つの足音。1つはチェル、1つはシャドウウォーカー、1つはツルギ。
 森を進んで数分経過しているが、3体の木の魔物を処理したあとは特に死亡フラグを言うこともなく進んで、木の魔物を探し続けている…………ふりをしていた。

「今のところ……敵の気配は、感じられませんわね」

 辺りを見渡したチェルは、ぽつりとその台詞を呟く。まるで自分から死亡フラグを建てるように。
 敵地の真ん中でそんな台詞を呟くとは笑止千万! と言いたげに木の魔物はチェルを貫き、死亡を1件増やす。いるはずなのにいないなんて言われたら、そりゃここにいますよって言いたいよね。

 しかしそれはチェルが仕掛けた罠。死亡フラグを口にすることで飛び出た木の枝を切り落とし、一直線に伸びた枝を辿っていったシャドウウォーカーがポイズンダガーで本体を弱らせ、1体撃破。
 ボロボロに崩れ去ったそれに向けてシャドウウォーカーが「決まった!」と高らかに宣言する。

「距離をとってもハンドガンで対応できるし、接近戦なら得意範囲。ワタシが負ける道理はな"ッッッ!?」

 そうやって説明口調してるから襲われるんですよお嬢さん。と言わんばかりの木の魔物による次の一撃。手の内を明かすことさえも死亡フラグとして成り立つのか、容赦ない一撃でまたも死亡1件追加。
 一気に2件分の死亡が増えたところでツルギが打ち震える。この仕事、まだ終わらないのかと。

「くっ、この仕事を終わらせたら恋人の誕生日プレゼントを買いに行かねばならないのに……!! ねっ、しろねこイズルさん!」

 にゃあとしろねこが鳴く横で華麗に吹っ飛ぶツルギの姿。恋人の話を持ち込んだ時点でアウトなんだぜと言いそうな木の枝は、サクラメントから走って駆けつけたチェルが焔のカードから溢れた焔で燃やし尽くしておいた。
 ついでにチェルはありとあらゆる死亡フラグを打ち立てる。既に6回分消費しているので、残る6回ほどの死亡フラグを打ち立てれば敵はもう攻撃はしてこないだろう。そう考えての死亡フラグの台詞を乱立しておいた。

「この程度の攻撃で、わたくしを倒せるとお思いですの? このカードがあれば負ける気はしませんことよ。この場はわたくしに任せて、皆さんは先に進んでくださいな。大丈夫、すぐに戻りますわ」

 潔い4つの死亡フラグの台詞に、木の魔物はおろおろとしている様子が伺えた。ここに来てそんなに死亡フラグの乱立されるとか思わないじゃん……どうしよ……みたいに。
 なお最終的にこの一連の台詞は2つとして取られたらしく、死亡フラグ2件分のデスカウントが増えた。木の魔物も迷う時は迷うということだ。

「乱立するのは良いけど、逆に死なないみたいに感じるよもうそれ! いや死んじゃってるけどさぁ!」

 シャドウウォーカーの気持ちのいいツッコミが森の中に響き渡る――。


●もうそろそろ弾切れだそうです。

 いくつかの死亡フラグを揃えて、ようやく8回。
 あと4回ほどの死亡フラグを立てて木の魔物を倒すことで、このクエストは終わる。

「それにしても、この木の魔物はやたらと殺意が高いですね。プレイヤーになにか恨みでもあるのでしょうか?」
「確かに、それはちょっと気になりますわね……?」

 ふと、ツルギとチェルは木の魔物の性質が気になったようだ。
 死亡フラグを建てたら殺すなんていう性質。過去に何かなければこんな状況には陥らないだろう。
 シャドウウォーカーも木の魔物を倒しては死亡フラグを打ち立てて死んでいくので、絶対なにか恨みがあるでしょ! と叫んでいた。

 ツルギはそっと、右手で木の魔物だったものに触れる。『夜明けの求道者』による力で残留思念を読み取り、木の魔物達が何故死亡フラグに敏感になったのかを知ることが出来……たと思ったんだ。
 そう、この瞬間のツルギは知る由もなかった。真実を知ることもまた、死亡フラグなのだと……。

「そんなっ……ツルギさん、そんな事実があったのですね……!」

 貫かれたツルギの消滅を見つめながら、チェルは(別に伝えられたわけではないのだが)真実を知ってしまった! と震える。
 そして彼女はこのことを皆に知らせなくては! と走り始めることで華麗なる死亡フラグを立てて……背後から綺麗に貫かれた。
 それを切り落とし、残る木の魔物はあと2体! となったシャドウウォーカー。倒した木の魔物を前に、ある一言を言おうとした。

「やったk」

 敵を倒した後の「やったか!?」は禁じ手だって木の魔物最初に言ったでしょ。と言わんばかりにシャドウウォーカーが貫かれ死亡。サクラメントから戻ってきた。


 これまでの魔物たちを一掃し終えた3人は、残るはあと1体だと意気込んだ。
 最後の決め手の死亡フラグは何を言おうか。それを考える前に、既に3人は動いていた。

「この程度の攻撃で、わたくしを倒せるとお思いですの?」
「ワタシ、この依頼が終わったらみんなで楽しく打ち上げするんだ……!!」
「貴方達だけを置いていくなんて出来ません! 我、常在戦場。男気を見せてご覧に入れm――あ、すみませんAP切れてました」
「ツルギさーん!?」

 なんとも締まらない3人の最後の死亡フラグは、判定がチェルに入り彼女だけが貫かれた――。



 その後、クエストが終わって街へと戻った3人は打上会を開始する。
 何度貫かれたかわからないその身体を休めて、ふとシャドウウォーカーは気づいたことを口にする。

「これ、終始黙ってたほうが絶対楽だったよね?」
「確かに。何も言わないほうが楽だったかも……」
「でもそれは『死亡フラグ回避』という死亡フラグなので難しいと思われますわ……」
「そっかぁ……」

 チェルの深刻そうな顔にシャドウウォーカーもツルギも、何処か納得が言ったようだ。
 死亡フラグとは侮れないものなのだと、3人はこの事件を機に身にしみたことだろう……。

成否

成功

状態異常

シャドウウォーカー(p3x000366)[死亡×3]
不可視の狩人
チェル(p3x005094)[死亡×3]
カード術師
九重ツルギ(p3x007105)[死亡×3]
殉教者

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