PandoraPartyProject

シナリオ詳細

チラチラ☆チラリズムちらし寿司☆

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●桃の節句。つまりそれはサービスである。
 白に桃色にと柔らかくふっくらとした蕾をつけた木々やこれから活動せんとばかりに謳う小鳥たちが春の訪れを心待ちにする季節。
 ぴゅーっと風が吹けば寒さは未だ健在であることは明白だが、日も長くなり気温も上がってきたところで、花々や鳥たちにつられて人間たちも外へ出かけることが増えてきた。
 そのような季節柄、いわゆる現代日本と呼ばれたとある町の昔ながらの商店街では、呼び込みや買い物客の声で活気があふれている。
「へいらっしゃい! 今日はしまあじとひらすの刺身が安いよぉ!」
「あら、じゃあ、一匹ずつ買っていこうかしら」
「そうだ、これ、サービスだよ。ほれ、ちらし寿司」
「さ、サービス?」
「あぁ。なんたって今日は『桃の節句』だろ?」
 愛想よく笑う魚屋の大将と嬉しそうに品物を受け取る女性。
 各々受け取るものを受け取り女性が踵を返した次の瞬間。
 春の訪れを知らせる一陣の風が、駆け抜ける

 ──女性の、具体的には足先から上まで、不自然な突風が。

「きゃぁっ」
「お、おおおおお嬢ちゃん、それはよくね……フゴッ」
「ちょ、大将大丈夫ですか……って、あっ! あっち!」
 意図せずめくれたスカートからチラリと見えた夢と希望と浪漫のせいで、魚屋の大将は鼻血を出してそのまま後ろに倒れる。
 そこを逃げていく黒ずくめの……あれは、忍者、だろうか。

 タイミングよくはらりと、A4サイズのチラシがはらりと彼らの目の前に落ちてくる。
 以下はそのチラシの内容だ。

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 拙者、諸々のアレでちらし寿司が延々と食える侍に候。
 善きものを見せてもらった。
 この春、楽しませてもらうぞ!!!!

 ちらし寿司チラリズム侍
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 「……え? 忍者じゃなくて……?」
 訳も分からず、女性は一人ぽつりとつぶやいた。

 暫くして、ほどなく離れた商店街の路地の一角。
 そこでニヤリと笑う男が一人。
「やはり春の訪れ。春一番のおなごの腰回りは、ちらし寿司にも劣らぬ美味でござる……フヒヒ……」
 そう言って笑うと、男はちらし寿司のパックをその喉にかきこむのだった。

●で、その不審者なんだけど
「本当に……気持ち悪いったらないわ」
 ポルックスは大きくため息をついて商店街で最近一陣の風と共に現れるチラシの数々をイレギュラーズたちに提示する。
「最近、そういういわゆる古典的なことをする侍……侍って言って良いか分かんないけどが、商店街で悪さをしているみたいで。向こうの世界の警察さんも、手を焼いているみたいなの」
 そういって彼女は、面々を見て改めて依頼内容を簡潔に述べた。
「つまり、この……ちらし寿司チラリズム侍? を捕まえて、警察に突き出してほしいの。まったく、ちらし寿司ほとんど関係じゃない……っていうのは良いわ。とりあえず、全部終わったらちらし寿司の大盤振る舞いが商店街からあるから、ひとまずは不審者をお願いね! まあ最悪女装するなり、近隣の方にお願いしたらその辺りは手伝ってくれるみたいだから……!」

 ──でも、ちらし寿司は食べたいのよねぇ。

 聞こえるか聞こえないかの声で呟くと同時に小さく彼女のおなかがぐうっと鳴いた。

NMコメント

 おはようございますこんにちはこんばんは。水野です。
 ちらし寿司よりも別のチラがメインとか突っ込んではいけません。いいね?

●世界説明
 いわゆる現代日本と考えていただいて相違ありません。
 舞台は古き良き商店街。八百屋や魚屋は勿論、居酒屋をはじめとした飲食店や服屋さんもあります。
 つまり、必要な物資はある程度現地で調達可能と思っていただいて構いません。

●やること
 ちらし寿司チラリズム侍を警察に突き出す

●出来る事
 ・変装してチラリズム侍をおびき出す
  (女装OK)
 ・変装が苦手な場合、他の人へ協力を仰ぐ

●敵
 ちらし寿司チラリズム侍(以下、チラリ侍)
 チラリ侍は、侍を名乗ってますが見た目は黒ずくめの忍者のような見た目をしています。
 とはいえ、やってることは、戦える一般人が忍術で風を巻き起こし、夢と希望と浪漫が詰まった諸々を楽しんでいるだけです。
 持ってる武器はいわゆる「ドス」と「手裏剣」です。でも、彼は侍を自称します。
 そうです。あくまで侍です(重要)

●味方(というか協力者)
 現地の警察の方や商店街の方が快く協力してくれます。
 必要に応じて登場させていただいて構いません。

それでは、皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

  • チラチラ☆チラリズムちらし寿司☆完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年03月22日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
海紅玉 彼方(p3p008804)
扇動者たらん
金枝 繁茂(p3p008917)
善悪の彼岸

リプレイ

●侍なのか忍者なのかわかんないけど変態であることに違いはない

「わたしには、わかってしまいましたの…ちらし寿司チラリズム侍、さては、「ちらし寿司」と、「チラリズム」を、かけたかっただけなのでは……!」
 長いのでチラ侍と略してやりますの、と意気込みながらも神妙な表情で、ノリア・ソーリア(p3p000062)は、自分の気づきをイレギュラーズの面々に語った。
「だろうな。なんていうか勢いだけの名乗り感が否めねぇし」
 回言世界(p3p007315)もこれにはため息をつきながら同意する。
「世の中には得てして理解しがたい変態がいるものだ。チラシ寿司侍だかチラリズム侍だか知らんが、そいつもおそらくそういう人種だろう。まあ俺は別に他人の趣味嗜好についてとやかく言う気はない……が、人に迷惑を掛けているとなると話は別だ」
 彼の言葉に、ノリアは力強く、意を決したように頷いた。それに海紅玉彼方(p3p008804)も続いて口を開く。
「ちらし寿司? 侍? ……いろいろ気になる敵ではありますが、一つ言えることとしては侍を自称するなら街の人を守ることをしていただきたいものですね」
 確かに、本来侍は町の自治をしたり治安を守ったりするイメージが強いもの故、彼方の言うことも間違ってはいない。最も、今回は侍と称した忍者みたいなものなので、チラ侍にそれが適用されるかどうかは別問題場訳だが。
「まったく、街中でなんてことをしているんですかこの侍は……」
 あきれているのは、金枝繁茂(p3p008917)も同じようだ。ため息を一つつくと、繁茂はチラ侍が残したであろうチラシを、じーっと眺める。
 目線が最後までたどり着いたであろうその瞬間、繁茂は悲しげな顔で一言呟いた。
「でもなんだかこの侍、泣いています……」
「繁茂さん、あんた何言ってんだ?」
 どこかで吹いている風並みに騒がしい感じのチラシであることは言うまでもないが、チラ侍が泣いているかはわからない。
「さて、ここからはアイドルとして、むしろこちらからチラリズムを提供しようじゃないですか」
 挨拶もそこそこのタイミングで、彼方は口を開いた。
「わ、わたしも、彼方さんの意見には、賛成ですの」
「囮として商店街で気を引いてくれるわけか、なるほどな」
 続けて、と、女性陣2人に世界は続きを促した。
「とりあえず、私は商店街で可愛らしいミニスカートを借りて、ちょっとアクロバットな動きを取り入れたダンスもしながら、ライブをしようと思っています」
「わたしは、そうですの……シャツを一枚着て、チラリズムを、提供するですの……」
 アイドル活動等で慣れているがゆえに堂々としている彼方に対し、意を決したように囮になろうとするノリア。
 そんな彼女が心配になったのか、繁茂はノリアに声をかける。
「ノリア君、あなたは大丈夫なのでしょうか……? 無理はなさらないでくださいね」
「大丈夫、ですの……! おなごのチラリを、ご所望の、チラ侍に、わたしは、アナゴのちらしで、勝負を、いどみますの」
「お、おう? ノリアさん、金枝さんも言ってるけど無理はしn……」
「自慢の、つるんとしたゼラチン質のしっぽを、ぽかぽかのお日さまにあてた、おおきなお布団に乗せて……。ええと……チラシというよりは、握りに、なってしまいましたけれど……。とにかく、寝ころがって、隙だらけになって、みせますの!」
「うまいこと言いましたね……でも、ノリアさんがそこまで意を決してくれているのであれば、私と一緒にひきつけましょう。」
「はい、ですの! 彼方さん、お願いします、ですの!」
 意を決しているのであれば止めるのも野暮というものだ。その意思を尊重したうえで、男性陣2人も口を開く。
「それじゃあ、ひきつけるのは女性陣に任せるとしよう。その……ちょっとアレな目にあっても、俺は見ないでおく。なんなって、その……俺はジェントルマンだからな」
「私も、あまり囮役の近くにいても怪しまれてしまうでしょうから、そうならないよう商店街の中を移動しながら見ていくこととしましょう。」
 観光客の体で周囲を見ていく男性陣と、囮になろうという女性陣に大取物が始まろうとしていた。
「……あとこいつ忍術使うんだよな? やっぱり忍者じゃね?」
 ぼそりと一言、チラシを眺めながら世界が首を傾げた。

●大取物
 商店街のお店から衣装やらなんやらを借り、各々持ち場にスタンバイする。
 彼方は、ギフトを発動して商店街のちょっとしたステージでライブを。
 世界と繁茂は、罠を設置したり、動画や写真を撮りながら見張りを。
 そしてノリアは、シャツ一枚で布団に入り、ゼラチン質のしっぽをチラリできるように顔を赤らめて。

「さぁみんな! 今日はコーレスお願いねー! せーのっ!」
「「「彼方ちゃーん!!!!!」」」
 彼方の呼びかけとともにポップでキュートな音楽が流れ、ライブが始まった、ピョンピョン飛び跳ねる様は見ている人たちも楽しくなってきて思わず彼女に釘付けになる。
 ──もっとも、それが目的だから仕方ないのだが、アニキカゼも相まって太ももあたりが大変きわどいのだが。
 そして3曲目に突入した頃、ついに「奴」が現れた。
「ひょーーーーー! 偶像ともいえる賜物の太もも! それを自ら提供するとは……ええい辛抱ならん!!!」
 突風を吹かせてついにチラ侍が姿を現した。
「来たわね! 侍を名乗るならもっと正義のために頑張りなさいっ!」
 彼方の説得などどこ吹く風という彼を逃すまいと、彼女は声をマイクを持って侍の進行方向を伝える。
「あっちよ! あっちには確か……ノリアさんがいる!!!」
「よっしゃ分かった! すぐそっちに向かうからな!」
 彼方の声を聞いて、世界はチラ侍の逃げたほうへ走って追いかけていく。
 彼の魔の手は、着実にノリアにも迫っている。
(わたしは、実は着ているのは、シャツ一枚ですの……つまり、これを見られたら……お嫁にいけませんのぉっ!)
 そうドキドキいていたら、なんということでしょう。忍者っぽい服装の男が、こちらに向かって猛ダッシュしてきている。
「ほほう、布団の中に薄いシャツを着た乙女……これは何も起きないわけはなく」
「やめてほしい、ですの……ノリア、そんなことされたら……」
「ハハハ! 良いではないか良いではないか」
「それは、帯をぐるぐるする、あくだいかんさま、ですの……!」
 忍術で吹きすさぶ突風で捲れそうになる布団を必死に抑えながら、ノリアは必死に抵抗する。
 その甲斐あってか、後ろから世界と繁茂が追い付いてくる。
「あとは男どもに任せとけ!」
 世界が発した言葉は言霊となり、絶対不可侵のかなを下ろし、ノリアがお嫁には行けることが確定した。
 男どもがやってきたことによるものか、はたまた世界によるクェーサーアナライズのおかげか、一瞬動きが止まる。
 それと同時に、繁茂が後ろからチラ侍に奇襲を仕掛け、がっつりホールディングで拘束。
 さすがに2M前後の巨体に抱きしめられたからか、チラ侍は驚きと恐怖を隠せずにいる。
 それでも──暴れようが泣きわめこうが、繁茂は優しく(それでも片足チラリ侍の脚に絡ませ行動に制限をかけながら)彼を抱きしめる。
「私にはわかりました、あなたは母の愛に飢えているのだと。」
「ひぇっ」
「あの、チラ侍さん、おびえているですの」
「だろうな。俺でも同じ立ち位置だったら怖いと思う」
 周囲の反応を気にすることなく、繁茂は続ける。
「あなたが忍者の装いで侍と名乗っているのは、心に葛藤があるからですね。侍は本当のあなた、忍者は偽物のあなた。」
「お主に、せ、拙者の何がわかるというのでござるか」
「そうです。あなたのことは知らないことばかりです。でも知ろうとすることはできる」
「……っ!」
 繁茂の優しい語り口に、チラ侍の心が揺れ動く。
「この構図、さながらママと子供みたいよね……」
 援護射撃をしつつだったから遅れていたが、彼方もその場に合流すると、何か感動的な場面っぽくなっていた。
「忍者のようにふるまうのは正面から相手と接するのが恐いからですね、しかし侍でもありたいと。安心してください、私がいます。」
「うっ、ううぅ……ママぁ……」
 遠くから聞こえるサイレンの音。こうして、チラ侍はお縄につくこととなった。
 最後の最後まで、彼は繁茂のことを「ママ」と呼んでいた。
「坊や、ママに会いたくなったらいつでも会いにいらっしゃい。」
 そういって彼を見送った繁茂の顔はまさしく慈愛に満ちた母親そのものだった。

●解決
 チラ侍を警察に引き渡した後、約束通り商店街からちらし寿司がふるまわれた。
 宝石にようにキラキラ輝くいくらや、春の来訪を知らせるタケノコの風味に、今回もやりきったイレギュラーズ達の空腹は限界を突破した。
「やっぱり、その土地の料理をいただくのはうれしいですね。ちらし寿司もおいしいし。」
 彼方は頬を緩ませながら舌鼓を打つ。
「これが、母の味というものなのかもしれません」
 繁茂もニコニコしながらふるまわれたちらし寿司を口に運んでいる。
 そしてノリアと世界はちらし寿司もそこそこに隅のほうで駄菓子を頬張る。
「なんとか、一番恥ずかしいところは、見られずに済みましたの……」
「そうか。ならよかった」
 きなこ棒を頬張りながら世界は最後に一言呟いた。
「……やっぱりあれ、侍じゃなくて忍者、だよなぁ」

成否

成功

状態異常

なし

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