PandoraPartyProject

シナリオ詳細

無人島からの脱出

完了

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●無人島から手作りの船で脱出せよ
 セイラー、通称『航海』と呼ばれるその場所。大海に浮かぶ無人島のなかでそのレースは開かれた。『レース』と呼ぶのは関係者だけで、一般的には『サバイバル』というジャンルで浸透したウォーカー提案のその催しは、今年も大盛況のようである。
 しかし、事件は起こった。優勝候補である『サザンクロス』がなんと風邪をひいて大熱を出してしまったため、参加が出来なくなってしまったのだ。

「――インディアクティスがスポンサーとして資金を出している以上、損失を出すわけにはいかないわ。選手を今すぐ見つけてきなさい。じゃないと、わたくしがお父様に怒られてしまうじゃない」

 《虐げる者》サローラの無茶ぶりに、部下は大慌てで代理となる選手を探し始めたのであった。

●選手登録
 かくして、この世界でのレースに出場が決まったイレギュラーズ達。
 手元のマニュアルを見れば、そこはなんとも過酷なプログラムが記載されていた。

 1、無人島から本島に向かって海を渡り、ゴールテープを切ったものを優勝とする
 2、無人島にある自然物を使って作成した『モノ』で航海する
 (水泳能力や飛行能力を使ってはならない)
 3、無人島内での略奪行為などは死傷者が出ない範囲であれば許容されるものとする

 『地獄か?』だれともなくつぶやいたそれに、サローラはにっこりと笑う。

「スリルがあるからこそ観客は沸く……そしてそこに価値を見出す。闘技場とサバイバリティを足して二で割ったような催しだと聞き及んでいるわ。さすが、ウォーカーは考えることが違うわよね」

 それじゃあ、あとは頑張ってね。サローラはそういって、無人島行きの船を見送ったのである。

NMコメント

●無人島
木や岩、砂など自然物は一通りある無人島。クマはもちろん、怪鳥や、上半身がヤギで下半身が魚のモンスターなどもいるが、基本的ンテリトリーを侵害しなければ襲ってこない。選手たちはここで船を作ったうえで航海し、本島のゴールにたどりつかなくてはならない。

●目標
 レースで優勝する

●敵
チーム〈デストロイ〉
 ・メンバー:山賊のチーム
 ・「賞金でしこたま酒を飲むぜ!」
 ・作戦:海上で他人の船を破壊し、優勝を目指す

チーム〈波鳥学園〉
 ・メンバー:学生チーム
 ・「今こそ学校で習った工学を活かすとき!これで単位は僕のもの!」
 ・作戦:時間をかけていいものを作り、海上で追い抜く

チーム〈サンドボックス〉
 ・メンバー:昨年3位のチーム
 ・「今年こそ優勝して見せます!」
 ・作戦:サバイバルで培った対応能力の高さを活かして継続的に前進する

チーム〈うみんちゅ〉
 ・メンバー:昨年2位のチーム
 ・「船なんてどうにでもなるっしょ?大事なのは読みッしょ!マジうける~」
 ・作戦:テキトーに船を作って、風と潮の流れを読んでサクっとゴール

  • 無人島からの脱出完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別クエストテイル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年03月25日 23時25分
  • 参加人数3/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 3 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(3人)

樹里(p3x000692)
ようじょ整備士
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
ダリウス(p3x007978)
尾を喰らう蛇

リプレイ

●波乱万丈の開会式
「さァ! 始まりました。航海レース! 今回、優勝候補の『サザンクロス』はいないものの、すでに波乱の予感がヒシヒシとしております、レポーターです。皆さんにはあらかじめ優勝予想をしてもらっています。では、今回の優勝候補たちにひとこと、インタビューをしてみましょう! ではまず、チーム名と意気込みをどうぞ」
「チーム〈デストロイ〉だ! 賞金でしこたま酒を飲むぜ!」
「チーム〈波鳥学園〉……今こそ学校で習った工学を活かすとき!」
「チーム〈サンドボックス〉です。今年こそ優勝して見せます!」
「チーム〈うみんちゅ〉! 船なんてどうにでもなるっしょ? 大事なのは読みッしょ! マジうける~」

 イレギュラーズたちは各チームのメンバーの顔を見つめ、そして口角を挙げた。優勝候補と呼ばれているのは、前年度の功績からの予測だろう。ましてや今年は優勝候補が居ない。彼らがTOPを狙える唯一の機会だ。優勝候補者同士でせいぜい夢を見ながら削り合えばいい。
 ――あくまで勝つのは、自分たちなのだから。


●サバイバル開始!
 小型船に乗せられて、挑戦者たちは無人島へとたどり着く。通常、1食分の食料と飲み水、そしてバックパックと鉈1本、あるいは火打石とランタンがあればサバイバルのおおよそは生きられるといわれているが、このレースではそれすらも与えられない。使えるのは己が能力だけだ。

「むじんとうからのだっしゅつ…つまりは、あれですよね。さんぞくさんとかから船をいただいて、『とったどー』とかやる的なやつですね、わかります」

 真面目な顔でコクコクと頷く白いシスター服を着た『ようじょ整備士』樹里(p3x000692)(江野 樹里のアバター)はすべてを悟った顔でえげつないことを告げる。本当にシスターか?
 なお、その横で同じくかわいらしいクマのぬいぐるみを抱いている『闘神』ハルツフィーネ(p3x001701)(アンナ・シャルロット・ミルフィールのアバター)もまた、その言葉に賛同していた。なお、ぬいぐるみに関しては役に立つ可能性が低いということで黙認されたようだ。それでいいのかレース運営者。

「一応聞いておきますが、このチームで物作りができる方は? …いませんね。ということは方向性は決まりましたね。 略奪の方向で良いのではないかと」

 その言葉にクツクツと喉で笑ったあとに、魔王も驚く三段階高笑いをするのは『尾を喰らう蛇』ダリウス(p3x007978)(バルガル・ミフィストのアバター)だ。

「なんでぇ面白い事なってんじゃねーか! だが俺にゃサバイバルも物作りも、ましてや船こぐ才能もありゃしねぇ。なら徹底的に妨害役として紛れ込んでやろうじゃねぇか! けーっけっけ!」

 略奪するにしろ、時間はある程度いるだろう。とりあえず、食料や拠点だけでもなんとかするべきだろうか。寝床をわざわざ作るのも面倒だと思ったイレギュラーズ3名は無人島内にある洞窟を探す。……が。

「海に一番近いの洞窟はチーム〈デストロイ〉がすでに占拠してるみたいだな」
「む……でも、森の中の方が、隠蔽が楽そうですね」
「じゃあ、もりのなかのどうくつ、さがそう。チーム〈デストロイ〉にはこんど、ごあいさつもすませないといけませんし」
 なお、この場合の『ごあいさつ』は『ご挨拶(物理)』である。森で出てきた半魚半山羊のモンスターを、ひと声嘶くよりも先に『クマさんクロー』でずたずたに引き裂いた。肉質は山羊の肉そのものだったが、焼いて食べてみるとマグロのような味がするなんとも不思議な食料だ。むろん、他にも本物の野生のクマが顔を出したこともあったが、深々と頭を下げながら、さながら引っ越しそばを手にするかのような気軽さでハルツフィーネが先ほどの肉を献上すると、野生のクマはふんふんと鼻を数回鳴らしたのちに、両腕をおもむろに持ち上げた。――あぶない、姿を投影させている水鏡ごしにレポーターが告げ、視聴者が悲鳴のような声を上げた。
 しかし、その予測は裏切られた。

「がおー!」
「グォォオ!」

 ハルツフィーネの下手な鳴き声に合わせるように吠えた後、クマはのっしのっしと捧げられた肉を咥えて立ち去っていく。さらに、向こう側では悲鳴が上がった。クマの強襲に逃げ惑うチーム〈デストロイ〉の姿だった。畏敬のない、しかも挨拶もない侵入者に厳しかったらしい。

「オイオイオイ! なんであっちは無事なんだよ!おかしいだろ!」
「逃げろ逃げろ!」
 
 意図せぬ手段で危機を脱した初出場のチームの様子に、わっと歓声が上がる。


「なァんと! あの縄張り意識の強いクマを一瞬で諫めたぞォ! なんなんだこのダークホースはァ!」

 スポンサー席ではゆっくりとサローラが口角を挙げていた。あの子たち、随分と盛り上げ上手なのねと内心では感心もしていたが、それ以上にクマと交渉しようとする着眼点が面白い。……気に入った。


「ねぇ、今後も彼らに仕事を回してみるのはどうかしら」
「ふむ。しかし彼らは極めて自由な者のようですから、サローラお嬢様では少々手に余るかと」
「そうかしら? ま、良い手綱を見つけてでもいいかもしれないわね」

 水鏡の向こうで、かわいらしいクマのぬいぐるみを操作してチーム〈うみんちゅ〉をメロメロにしている姿を横目に、目を細めた。


●2日目
「コレとかも使えるかんじっすか?」
「どれ。……ああ、しなりがいいから、船には使えないけど、即興の弓なら作れるかも。たしか、去年のチーム〈サンドボックス〉がこれで弓を作ってた記憶があるよ。今年は幌づくりも多分学習してるし、1日目で最速脱出されちゃうかが不安だな……」
「え、まじっすか! 去年のを覚えてるだなんてさすがセンパイっすね!」
「ほめても何も出ないけど。……あれ、ごめん誰だったっけ?」
「やだなー! センパイが勝たせてくれるっていうから来たんじゃないですか!」
「あ、そうだったな。たしか数学の成績がアレで今年から参加するっていってたヤツ……」
「そうそう、もー。忘れないでくださいよ。じゃ、俺これ持っていくんで、センパイはよそで資材探しに行ってていいっすよ」
「悪いね。じゃあお言葉に甘えるわ」

 笑いながら、立ち去るのはチーム〈波鳥学園〉のメンバーたちだ。その後ろで、本物の『後輩』はツル化の植物型のモンスターに襲われていた。口をふさがれ、ぐるぐる巻きになっている。充分に立ち去ったのを確認すると、ダリウスは口をふさいでいる葉を取り除いた。

「この……卑怯者! どこの誰だ!」
「俺? 俺は〈サンドボックス〉の……って言ってもどうせアンタわかんねーだろォ?」

 ケタケタと笑いながらみ、身分を詐称する。

「まぁ、このまま放置してても妨害には充分なるし? じゃ、自陣に退散するかな。じゃあな。おまぬけさん!」

 後ろで悲鳴が上がった気がするが、問題ない。あのモンスターは精々捕まえるだけで、殺すだけの能力を持たないのだ。死なないのならば、レースの運営も手出しはしないだろう。

「さァて、チーム〈うみんちゅ〉は……っと。はは。まだハルツフィーネのクマと遊んでんのか! じゃあ、今のうちにチーム〈サンドボックス〉の方に行くかな」

 イレギュラーズが一番警戒しているのはチーム〈うみんちゅ〉だ。船の出来はともかく、潮や風の流れを読むのが得意なこのチームにはなるだけ船入手の時間を遅らせたい。だが、着々と船づくりにいそしんでいるチーム〈サンドボックス〉も脅威であることには変わりない。

「ん? ……あれ。もう逃げたのか?」

見れば、チーム〈サンドボックス〉と口論をするチーム〈波鳥学園〉の姿があった。

「尊敬してたのに! うちの後輩をよくも虐めやがったな!」
「何のことだか全然わからないんだけど? もっと論理的な奴らだと思ってたんだが」
「なんだとー!」

 これは好機だ。ダリウスはするするっとチーム〈サンドボックス〉の船にまだなりきっていない筏に乗り込んだ。そして――。


「……ん。あれ!? 船は!」
「けーっけっけ! こいつはいただくぜ!」
「あぁ!? あいつですセンパイ!」
「なんだと!?チーム〈サンドボックス〉って話じゃ……」

 嗚呼、漁夫の利とはよく言ったものだ。こんなにうまくいくだなんて。そうに奴いていたダリウスの目の前に、チーム〈デストロイ〉の姿が見える。まさか、奪ったものをさらに奪うつもりだろうか?

「あなたはじゅりをしんじますか?」
「「「しんじます!!!」」」
「ほかにはなにもいりませんか?」
「「「いりません!!!」」」

 しかし、彼らの先頭にいるのは『樹里』だった。クマで昨日散り散りになった山賊たちを一人一人洗脳していったようだ。しかも随分と便利な手駒にして。

「なーこいつらって労働者にできる?」
「できます。はたらかざるものはくうべからずー」
「んじゃ、もうこのままで充分行けるんじゃないか? こいつらに筏、漕がせようぜ~」
「じゃぁ、ハルツフィーネもよんできますね」


 ――異例の1泊2日脱出。レース上歴史に残る競争となったこのサバイバルだが、後にルールが改定される。

「レース中の持ち込みは一切禁ずる。それがたとえクマのぬいぐるみであっても!」
「レース中の洗脳は一切禁ずる。それがたとえ宗教活動であっても!」

 まさに真っ黒な歴史であるが、スポンサーであるサローラは、観客から金貨をこれでもかと徴収できたので、特に何も問題はないとイレギュラーズに笑った。

成否

成功

状態異常

なし

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