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シナリオ詳細

ファイアフライ・ハンティング

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●闇夜のファイアフライ
 夜闇の河川に、ぼう、と何かが輝いた。
 光球である。
 大きさは、人の頭ほどだろうか。ふわり、ふわりと闇を漂い――どさり、と地に降り立った。
 同時に、光が消える。その場所をよく見れば、闇の中に、巨大な昆虫の姿を見つけることができただろう。どうやら件の光は、その昆虫が放っていた光のようである。
 ギチギチと体の節々を鳴らし、巨大な昆虫は、その黒い眼であたりを見渡すと、背の羽を広げ、夜闇へと飛び立った。

「今回のお仕事は蛍狩りですよ!」
 そう言ってやってきたのは、『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)である。
 蛍狩り――と言えば蛍見物の事なのだが、ファーリナの話によれば、今回は言葉通り、蛍を狩るのだという。
 ネオフロンティアのとある河川に生息する蛍は、その名の持つイメージとは相反して、実に狂暴な種類なのだそうだ。
 また、多くの場合、蛍は成虫になると口が退化し、食物を食べることができなくなるという事だが、今回討伐する蛍はその例に当てはまらず、大きな口で、なんでも食べるという。結果、近隣の住民たちの畑や、食糧庫などを荒らしてしまう他、付近の生態系を滅茶苦茶に荒らしてしまうのだとか。その為、害虫として駆除しなければならないわけである。
 さらに、その身体も大きく、1~2mほどのサイズがあるとか。その為、一般人が狩るには危険が伴う。
「手早く片付けれられれば、本来の意味での蛍狩りも楽しめるかと思いますよ。虫が相手ですが、ローレットに回ってくる仕事です。くれぐれもお気をつけて。さっくり片付けて、しっかり儲けましょう!」
 そう言って、ファーリナはイレギュラーズ達を送り出した。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 こちら、蛍狩りシナリオとなっております。

●成功条件
 全てのファイアフライの撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●戦場について
 ネオフロンティアに存在する、とある河川のほとりです。
 敵の性質から、作戦開始は夜になってからになります。
 あたりが暗い事を除けば、行動や戦闘の妨げになるようなものはありません。

●敵について
 ファイアフライ ×5
 使用スキル
  かみつく  物至単【毒】
  ひっかく  物近単
  めくらまし 神近単【ショック】

●その他
 上手く敵を片付けられれば、本来の意味での蛍狩りをする余裕もあるかと思われます。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。

  • ファイアフライ・ハンティング完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年08月07日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ガルズ(p3p000218)
ベイグラント
那木口・葵(p3p000514)
布合わせ
シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)
死を齎す黒刃
シグルーン・ジネヴィラ・エランティア(p3p000945)
混沌の娘
シーヴァ・ケララ(p3p001557)
混紡
カノープス(p3p001898)
黒鉄の意志
フォーガ・ブロッサム(p3p005334)
再咲の
メルディナ・マルドゥーネ(p3p006099)
虚空繋ぐ聖女

リプレイ

●ゆらゆらと燃ゆる
 海洋の、とある河川。
 遠くから聞こえるささやかな波の音と、穏やかな川のせせらぎ、そして虫たちの鳴き声による穏やかな合奏は、しかし突如現れた、耳障りにして巨大な羽音にかき消されてしまう。
 人の頭大の灯火、人魂の様なそれは、巨大な蛍にも似た甲虫である。羽音に合わせてふらふらと宙を舞っていたが、突如その灯火を消すと、突撃するように地へと降り立った。
 がさがさという音と、きゅいきゅいと言う鳴き声。地に降り立った巨大な甲虫――『ファイアフライ』が頭をあげれば、牙の様な鋭いとげに覆われたその口に、一匹の鼠が咥えられている。
 ぎちぎちと体の節々を鳴らし、ネズミを咀嚼するファイアフライ――その個体に続かんとばかりに、空より四匹のファイアフライが降下した。
 計五匹のファイアフライ。この地域に現在発生しているのは、この五匹のみである。
 ――そのはずであったが、しかしファイアフライは、夜の闇に灯火を、その黒い瞳に映していた。
 夜の闇を照らす、新たに現れた灯火は、誘うようにゆらゆらと揺れ、明滅を繰り返す。
 ファイアフライたちは、再びその羽音を響かせて宙を飛んだ。その灯火が仲間の物であるならそれでよし。そうでないのなら、獲物であるのだから、ファイアフライたちに躊躇はなかった。
 ファイアフライたちに、知性の様なものはない。一般的な昆虫よりはしたたかではあるが、それでも本能に非常に忠実な性質を持つ。
 それ故に、『飛んで火にいる夏の虫』という言葉を、この時、まさに体現してしまったのである。
「――いらっしゃい」
 呟きは、鮮明に。『混紡』シーヴァ・ケララ(p3p001557)の言葉と共に、ひそんでいたイレギュラーズ達が、一斉に姿を現した。
 先ほどの灯火は、イレギュラーズによる囮。
 ファイアフライたちは、自ら狩場へと訪れてしまったという事になる。
 ではファイアフライたちに焦りなどはあったか――と言えば、そういう事はない。前述したとおり、彼らには知性が無いのだ。で、あるならば、自分達が追い込まれたのだという事も理解はしていない。イレギュラーズ達のことも、突然餌が現れた、程度にしか考えてはいないだろう。
 もちろん、イレギュラーズ達は、そのような事は百も承知だ。蛍――これは一般的な昆虫ではあるが――の性質、一定周期の灯の明滅を、同族と勘違いする、とされているが、これを利用した、灯によるおびき寄せを行い、実際にファイアフライは、その通りに釣り出された。
「その習性は蛍に近い……ですが、貴方達は、あまりにも歪んだ進化を遂げてしまいました」
 どこか憐れむような色を乗せて呟くのは、『虚空繋ぐ聖女』メルディナ・マルドゥーネ(p3p006099)だ。メルディナの言う通り、それは蛍としてみるにはあまりにも歪と言える存在だろう。混沌世界が混沌と呼ばれる所以、それを体現しているようにも見える。
「まぁ、これも夏の風物詩……かな。それじゃあ、蛍狩り(害虫駆除)を始めるか」
 『ベイグラント』ガルズ(p3p000218)の言葉を合図にしたように、今宵の蛍狩りはその幕を開けた。

●蛍狩り・混沌編
 闇の中、幾筋もの光の線が描かれる。カンテラの光を『praśamana』の刀身が反射させて生まれる光の線。シーヴァが舞う刃の舞踏。
「見た目だけなら、ロマンチックなのだけれど――」
 シーヴァは苦笑する。その鮮やかな輝きの中で行われているのは、実際には怪物との命の取り合いなのだ。
 シーヴァの刃がファイアフライを切り裂く。逃れようと、大きく飛んだファイアフライは、
「ううっ、小さいならまだしも、こうも大きいと……」
 台所の厄介者を脳裏に浮かべつつ、しかし口には出さない『布合わせ』那木口・葵(p3p000514)が投げつけたオーラのロープにファイアフライをからめとられた。ギチギチと節々を鳴らし、ファイアフライが抵抗するが、オーラのロープはその力を緩めない。
 『黒キ幻影』シュバルツ=リッケンハルト(p3p000837)は、『黒龍』を片手に跳躍。ロープにより動きの鈍ったファイアフライへと一気に接敵し、斬りつけた。黒い刀身は闇に一閃の輝きを残し、ファイアフライの腹部を切り裂く。体液がぶしり、と染み出し、ファイアフライがもがいた。
「っと、確かこいつら、毒を持ってるんだったな」
 と、染み出した体液に意識を向けながら、シュバルツ。実際の蛍も毒を持っているとされる。その毒性は、少なくとも人間にとっては無害の物ではあるが、しかしファイアフライのそれは、人体にとっても有害である。即触れて何とかなる様なものではないが、触らないにこしたことはないだろう。
 『自称カオスシード』シグルーン(p3p000945)は、ファイアフライの一体に対峙する。油断なく相手と構え、自身へとくぎ付けにした。
 イレギュラーズ達の作戦は、こうだ。ファイアフライは総勢で五匹。対してイレギュラーズの総勢は、八名。このうち、防御能力の自信のある三名が、ファイアフライ三匹を押さえ、一時期に一対一の状況に持ち込む。その後、フリーの二匹を、五名のイレギュラーズによる集中攻撃で手早く処理。続いて抑えられていたファイアフライたちを、順に討伐していく。
 充分に機能する作戦だったといえるだろう。抑え役がある程度傷ついても、代わりとして次のイレギュラーズが抑えに回る。
 対峙するシグルーンへ、ファイアフライは突如として腹部を向けるや、とたん、強烈に輝かせた。蛍の灯はほぼ熱を発しないとされるが、近距離に居たシグルーンは強烈な熱と共に、視界を埋め尽くす強烈な光を受ける。
「ううっ、目がちかちかするぅ……」
 思わずシグルーンが呻く。
「シグルーン君、大丈夫か!」
 とびかかってきた蛍を、その盾で受け止め、逆に強かに叩きつけてやりながら、『黒鉄の意志』カノープス(p3p001898)がシグルーンへと声をかけた。
 援護に駆け付けたい所であるが、カノープスもまた、ファイアフライを抑える役目を担っている。歯がゆい思いを胸に、カノープスは目前のファイアフライから意識を外せない。
「だ、大丈夫っ!」
 頭を振りつつ、シグルーン。カノープスはひとまずの安堵の息をつきつつ、再度飛び掛かってきたファイアフライを、その盾で受け止めた。
 一方、自由に動き回る二匹のファイアフライの内、イレギュラーズ達の攻撃により動きの鈍っていた一匹の腹が、突如として爆ぜた。
 あたりに体液をまき散らかし、地をのたうち回るファイアフライの、今度は頭部がはじける。
「蛍狩り、という行事の経験はありませんが――」
 『再咲の』フォーガ・ブロッサム(p3p005334)が言う。構えた銃から硝煙をを立ち昇らせた狙撃手。先ほどのファイアフライへの銃撃は、紛れもなくフォーガの技である。
「狩り、という事なら、それなりの自信はあります」
 ふむ、とフォーガは唸りつつ、
「しかし、甲虫の類は土の味と匂いが強くて、あまり好きではありませんね」
 狩り――あくまで生きるための狩猟の意識を根底に持つフォーガである。なれば、狩った獲物を『生きるために使う事』を考えるのは当然のことだろう。
「まぁ、コイツは喰わなくてもいいだろう」
 軽口一つ、ガルズがその盾をかざし、叩いて音を出した。こちらに注意を向けるためだ。知性を持つ相手であれば、名乗りを上げて挑発の言葉でも投げかければ寄ってくるのだろうが、相手は昆虫という事で、こう言った手段をっている。
 その工夫が功を奏したのかどうかは不明ではあるが、少なくともファイアフライは、ガルズに注意を向けているようだ。ファイアフライは噛みつきと共に毒液を注入しようともくろむが、ガルズに毒は通用しない。
「デカい羽音に、デカい光、おまけに毒までまき散らすってのか? まったく、フーリューとは言い難いね」
 にやりと笑いつつ、ガルズ。
「異質な存在である、というべきなのでしょうね」
 メルディナが呟き、その手をファイアフライへ向ける。掌より放たれた魔力は、純粋な破壊力となり、ファイアフライへと叩きつけられる。
「異形なる者たちへ神の祝福を……」
 祈る様に呟くメルディナ。しかし、その祈りも、思いも、ファイアフライたちには理解できないだろう。
 魔力に打ち付けられたファイアフライを、シーヴァの刃の舞が切り刻む。触覚、足が次々と切り捨てられ、
「強すぎる光は他者には痛いものなの……ごめんなさいね」
 呟きと共に放たれた刃が、ファイアフライの頭部と胴体を泣き別れにした。
「残り、三匹です!」
 声をあげるとともに、葵が回復の術式を放つ。シグルーンを包み込む霊的因子がその傷と体を癒した。
 同時に、シュバルツが闇夜を駆ける。ファイアフライへと駆け抜け、すれ違いざまに放たれる、漆黒の斬撃がファイアフライの腹部を深く傷つけ、合わせるようにシグルーンはその傷を『逆再生』する。傷をさらに深くえぐられ、
「ならば、コイツで――」
「残り、二匹っ!」
 シュバルツとシグルーンの言葉通り、三体目のファイアフライが地に落ちた。
 本能的に不利を悟ったのか、破れかぶれの様なファイアフライの突撃を、しかしカノープスは避けるそぶりも見せずに、その前に立ちはだかった。ファイアフライの突撃に合わせるように繰り出された盾が、ファイアフライへと鋭く叩きつけられた。ぐしゃり、という音とともに、ファイアフライの甲殻がひしゃげ、地に叩きつけられる。
 瀕死ながら這いずるファイアフライへ、フォーガの銃弾が突き刺さった。
 これで残りは1。無言のままに頷く、カノープスとフォーガ。
「なら、これで終わりだな」
 ガルズが言いながら、眼前のファイアフライを、盾で殴りつけた。その衝撃にファイアフライの頭部は胴体へとめり込ませるように破砕。複眼と触角による感覚を失い、がさがさと脚部をうごめかせるファイアフライへ、
「貪欲な虫達よ。せめて死後の世界では、満たされるよう……」
 メルディナの祈りの言葉とともに放たれた魔力が、ファイアフライの体を粉砕。最後のファイアフライが絶命し、ファイアフライ狩りはその幕を閉じたのであった。

●蛍狩り・納涼編
 小さな光が、舞うように、ゆらゆらと、ゆらゆらと、輝く。
 天の星の輝きにも似た、地に輝く小さな光。それは、生命の輝きでもある。
 ファイアフライの討伐を完了したイレギュラーズ達は、メルディナらの希望もあり、その死骸を丁重に埋葬した。葵の練達上位式によるサポートもあり、作業はスムーズに進んで行った。
 確かに、周囲に害なす存在ではあったが、ファイアフライたちもまた、一つの生命であったことは事実だ。
 埋葬を終え、祈りをあげた後、イレギュラーズ達は川辺へとやってきた。
 つい先ほどまでは、ファイアフライの存在により、多くの動物や昆虫たちは姿を隠していたようだが、安全が確保されたことに気付いてか、徐々にその姿を現していった。
 目立つのは、やはり蛍であろう。地球の日本に生息する蛍とは、また違った輝きを放つ、海洋の蛍。しかし、その美しさは変わらない。
 イレギュラーズ達は、川辺にて、思い思いの様子で、それを見学していた。
 夏場という事で気温は決して低くはないが、水の流れとそのせせらぎ、そして舞う蛍の幻想的な光景が、イレギュラーズ達に涼やかさを感じさせた。
「静かで綺麗な光ですね。闘いで荒んだ心に染み渡るようです」
 メルディナの言葉に、イレギュラーズ達は同意した。
「あの害虫も光っちゃいたが……こりゃ大違いだな」
 ガルズが感心した表情で、言った。
「綺麗で、儚くて……うん、何かこう、イメージが湧いてくる!」
 その光景に触発されたのか、シグルーンが楽し気に声をあげた。
「実に……不思議な光だな。これが生物的な光だというのだから、面白い」
 カノープスの言葉に、
「蛍の光り飛ぶ様は、生命を燃やしているよう。だからきっと、綺麗なのよね」
 シーヴァが言った。
「命の光、ですか……」
 葵が呟く。
「悪くない光景だ 」
 カノープスが言った。
「この光景を守れたのだとしたら……腕を振るった甲斐があるというものだ」
 カノープスの言葉。仲間達も同じ思いであっただろう。
 シュバルツは川辺の土手に寝っ転がりながら、その様子を見つめていた。
 その隣では、フォーガが持参してきたサンドイッチと飲用水を用意している。
「よかったら、皆さんもどうぞ」
 フォーガの言葉に、イレギュラーズ達は頷く。
「しまった、酒を持ってくれば良かったな……しかし、この蛍は爆発しないんだな。狩りには使えんか」
 ガルズの言葉に、
「えっ、爆発するんですか? 蛍が?」
 葵が目を丸くする。
「おいおい、蛍ってのにも色んな種類が居るんだな。んな物騒な種類聞いた事もなかったぞ」
 笑いながら言うシュバルツに、
「この世界以外にも、色んな蛍がいるんだね。それで、それぞれ違った輝きを持つ……」
 まだ見ぬ蛍へと思いをはせ、シグルーンがサンドイッチを一口、齧った。
「まさに、世界は広い、という事ですね」
 フォーガが微笑みながら、蛍を眺める。
「様々な世界、様々な生物……全て、神の恵み、ですね」
 見えぬ何かに感謝するように、メルディナは静かに祈りをささげた。
 カノープスの鎧に、蛍が止まった。蛍が静かにその身を光らせるのを、兜故に、その表情はうかがえなかったが、カノープスは静かに見つめていた。
 ささやかな宴席を彩る様に、蛍は一層、その身を輝かせ、虫たちが音を奏でる。
 その光景は、イレギュラーズ達の心に深く刻み込まれただろう。
 この光景を守り切った事の報酬を受け取りながら。
 イレギュラーズ達の夜は、穏やかに過ぎていった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 ファイアフライに悩まされていた周辺の住民たちはもちろん、
 蛍たちも皆さんに感謝している事と思います。

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