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シナリオ詳細

【黄昏幻影奇譚】ロンリレス編

完了

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ロンリレス
 また……。
 また、いってしまった。
 皆、私の元から去ってしまう。
 私の家族。私の恋人。私の親友。
 私の大切な人が皆いなくなってしまいました。
 待って。いかないで。
 どんなに叫んでも。どんなに想っても。
 届かないのです。
 人は出会い、別れるものです。
 そんな事はわかっているのです。
 それともそれに慣れろというのですか。
 そして……もう思い出せないのです。
 どうやって作っていたのでしょう。
 笑顔はどうやって作るのでしょう。
 ああ、ああ。
 溶けていく。
 何もかも溶けていく。
 闇の中に混ざっていく。
 私は……どこへいくのだろう。
 私までもがどこへいってしまうのだろう。

●書斎
 重い沈黙が流れる。
 怪異ロンリレス。
 胸の内に秘めた想いがきっかけで変異した存在。
 もはや人間ではなくなってしまったソレ。
 寂しくて寂しくて笑顔を忘れて。
 傷ついて傷ついて壊れてしまった。
「彼女はただただ誰かに傍にいてほしかった。ずっと、ずっと」
 だが、世界はそれを許さなかった。
 誰かと共にいる事を許しはしなかった。
 彼女にとってそれは罪であり罰であった。
「彼女の犠牲となってしまった者達が既に出ている」
 『彼女』に取り込まってしまった者達。彼等が誰なのかはわからない。
 だが、それはまるで自身の寂しさを埋めようとしているようで。
「だから、だからね?」
 境界案内人のミヤコはイレギュラーズに訴える。
ーーどうか、どうか彼女を止めてほしい。
 私にはその力がないから、代わりに終わりにしてあげてほしい。
 そう言いつつミヤコはイレギュラーズを送り出したのだった。

NMコメント

●黄昏幻影奇譚
怪異が蔓延る世界です。

●目標
ロンリレスの撃破

●怪異ロンリレス
とある女性が寂しさのあまり怪異に成り果てた姿。
元の姿に戻る事はありません。

いかない手
虚空から無数の手が伸び、手を足を掴んできます。
どこにもいかないで、と言わんばかりに。
身動きがとりづらくなるでしょう。

繋い手
ロンリレスが手を掴んできます。
もう二度と話さないと言わんばかりに。
怪異が人間だった時の記憶が直接脳に流れてくる事があります。
その為か痺れに似た症状が出ます。

一緒にい手
相手に抱きつき、自分の中にとりいれようとします。
抱きつかれたらロンリレスが離すまで何も行動できません。

●捕捉
ロンリレスは影が立体になったかのような姿形をしています。
感情のようなものはなく
ただただ、相手を
いかないでと言わんばかりに手を伸ばし、相手の手と繫ぎ、一緒にいてほしいと抱擁します。
ですが皆様の行動次第では……??

  • 【黄昏幻影奇譚】ロンリレス編完了
  • NM名アルク
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年02月20日 22時21分
  • 参加人数2/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 2 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(2人)

優雨(p3p010426)
紲・桜夜(p3p010454)
紲家

リプレイ

●???
 私は幸せでした。
 だって自分には皆がいたから。
 傍にいてくれる人がいたから。
 ただ、共に笑い。共に泣き。時には怒ったりもして。
 本当に何でもない日常。
 どこにでもある光景。
 ただ、それだけのこと。
 これがいつまでもいつまでもこれが続くものと思っていました。
 ずっとずっと。
 私は他に何も望まなかったのに……。

●夕暮れの中
 某所。
 夕暮れの中。何処までも続く道。
 その道に佇む存在が一人。
 怪異ロンリレス。
 そのシルエットは女性のそれだと見て取れる。
 独りぼっちの存在。
 私と同じだ、と優雨(p3p010426)は独り言ちる。
 自身も幼い頃から独り生きてきた為、どうしても自分と重なってしまう。
 そして誰もが独りでいる事は寂しいものだ、と思うのは紲・桜夜(p3p010454)。
 でも、だからこそ一緒にいてあげる事はできない。
 自分には家族がいるから。沢山の、大好きな家族。
 勝手にいなくなるとその家族に怒られてしまう。
ーーだからこそ
ーーだから、ごめんなさい……
「僕が殺そう」
「倒す、ね?」

●???
 一人、去ってしまいました。
 あの人は私にとってとても大切な人でした。
 なのに、あの人はいってしまった。
 私を残して。
 でも大丈夫です。
 私にはまだ皆がいる。
 全員いなくなった訳ではありません。
 皆が私を支えてくれる。
 だから私も皆には出来る事は何でもしましょう。
 だから、誰もいかないで。

●2人と怪異
 寂しがり屋の怪異。
 心優しいイレギュラーズが2人。
 どこにもいかないで、と伸びる無数の手。
 それをかわし続ける2人。
 接近する桜夜。神楽を舞うように手をかわし、刻み込む無数の刃。
 寂しいというのはよくわかる。自身が何よりその感情を理解している。
「でもね、寂しいからって他人を襲ったりするのは単なるエゴ」
 ロンリレスが伸ばしてきた手を機械剣で弾き飛ばす。
「人を殺すのは慣れてる」
ーーだからこそ、僕は貴女を人として殺そう。
 そのすぐ後ろでロンリレスの手を警戒する桜夜。
 相手に感情があるのであればなんとか翻弄しようと思っていたが、それがあるのかよくわからない。
 心に響く歌をしっかり歌えるかなんて事も知らない。
 だけど、それでも。
「寂しくならないように……歌うね」
 手に持つギターがいったいなんなのかよくわからないが、それを掻き鳴らしながら歌う。
 ビートを刻み、加速しながら。
 攻撃の意思を持ったそれはロンリレスを刻みつける。
 それでもロンリレスは止まらない。
 何事もなかったかのように桜夜に手を伸ばす。
 そしてその手が相手の手が繋がる。

 気が付けば白いノースリーブのワンピースの女性が背を向けて立っている。
 その女性が振り返る。
 頭の上の麦わら帽子のせいだろうか、その顔はよくわからない。
 その女性が何か言い、くすりと笑う。
 そして女性の顔が自分に近づき、幸せそうに笑った。

「--さん!ーーう!優雨!」
 必死に自身を呼ぶ声に優雨は意識を取り戻す。
 大丈夫だ、と後ろを軽く振り返りロンリレスの手を振りほどく。
 今自分が見たのは何だったのだろうか。幻覚だろうか。
 何気ない、そして幸せそうな一場面。
 これはきっと幻覚などではなくロンリレスの、人間だった頃の女性の記憶だろう。
 この幸せが、大切な人が皆いなくなった事で壊れてしまった事を思うと胸が締め付けられる。 
 こんな事は早く終わらせないと。

●???
 もう……これで何人目でしょう。
 新しく出会った人達も私の大切な人になりました。
 なのにその人達もいなくなってしまった。
 私に残された大切な人も、もう残り僅かです。
 この人達までいなくなってしまったら、私はきっと生きていけません。
 怖い。辛い。ただひたすら怯えるしかありません。
 私が。私がいったい何をしたというのでしょう。
 私にどうしろというのですか。
 お願い、私が怖くないように手を繋いでいて。

●寂しさを抱えた怪異
 交差する刃。
 幾度目かの攻防。
 ロンリレスは未だ倒れず。
 怪異としての強さはその元になった都市伝説に依存する。
 ロンリレスは都市伝説という名の口承は存在していない。
 それゆえ人間自身が核となり、その身に秘めた想いがきっかけで変異する。
 そしてその強さはその想いの強さでもある。
 いかに生まれたばかりで決して強くないとしても侮っていい相手ではない。
 ここでこのロンリレスを倒せなくては今後も被害は増え続けるだろう。
 そしてこのロンリレスの都市伝説が広まれば、その力は増大するだろう。
 それだけは避けなくてはならない。
 何より……、こんな悲しい事はここで止めなければならない。
 寂しい。その寂しさを埋めるように一度は手を繋いだ相手、優雨を抱きしめる。
 虚空より現れた手により思うように動けなかった為にそのまま抱擁される。
 果てしない寂寥感。絶望。
 それが直に伝わってくる。
 優雨自身も知っているその感情。
「ーーっ!!」
 逃れようとするがそれをロンリレスが許さない。
 いかないで、と手を伸ばし。相手の手を取り、一緒にいてほしいとばかりに抱擁する。
 ただただ、寂しいから。ロンリレスからすれば、ただそれだけの事なのだ。
 自身を打ち倒そうとするイレギュラーズ達を、ロンリレスはどう見えているのだろう。
 それでも。それでも手を伸ばし続けた。
 いかないで、と。一緒にいてほしい、と。それしかできないのだとしても。
 それは抱きしめられた優雨に限らず、桜夜も感じ取れる。
「終わりに、しなきゃ……」
 抱きしめられ、まさにロンリレスに取り込まれそうになっている優雨をまずは助けなければならない。
 桜夜はギターを激しく掻き鳴らし、指向性を持った衝撃波がロンリレスを何度も傷つける。
 耐えられなくなったロンリレスは優雨を手放した。
 軽く礼を言いつつ優雨は魔力を乗せた斬撃を放つ。
 ロンリレスの終わりは近い。

●???
 ついに……。ついに私一人だけ残ってしまった。
 皆、私の元から去ってしまった。
 どうして……。どうして、こうなってしまったのでしょう。
 どこで間違えたというのでしょう。
 誰かに一緒にいてほしかった。
 ずっとずっと、共に在りたかった。
 ただ、それだけだったのに……。
 人は出会い、別れるものです。
 たとえ、それが望まぬ形だとしても。
 それが……自分自身であったとしても例外ではないのです。
 私はきっと生きながらにして死んでいた事でしょう。
 ああ、堕ちていく。深みへ。更なる深淵へ。
 どこまでも。深い深い闇の中へ。

●そして
「終わりは近い」
 優雨は剣を強く握りこみ、桜夜に視線を送る。
「もう、終わりにしよう……」
 軽くうなずく桜夜。
「ゆっくりとお休みなさい」
 ただ真っすぐに。ただ華やかに。
「良き夢と、来世では誰よりも幸せである事を願ってる」
 正面から捻じ伏せるべく一撃を放つ。
「終わりにしよう……」
 逃れようとしたロンリレスに喰らいつき刃の力を持つ音を弾く。
 優雨と桜夜の攻撃が交差する。
 ロンリレスを終わらせるために。
 これ以上悲しい事を起こらせない為に。
 そして。
 姿が薄れゆくロンリレス。
 その顔がどこか泣きながらも嬉しそうだったのは気のせいだろうか。

●???
 ああ、ああ。
 皆……。皆、そこにいたのですね。
 ずっと。ずっと会いたかった。
 もう会えないと思っていた。
 だけど違った。
 こんなところにいたのですね。
 あれ、おかしいですね。悲しくなんかないのに。
 嬉しい筈なのに。
 どうしてこんなにも涙が溢れるのでしょう。
 私、寂しくて。辛くて。だけどやっと会えたのに。
 もし皆に会えたらいっぱい喋りたい事があったのに。
 皆どこかへ飛んでしまいました。
 おかしいですね。
 でも、今度こそ。
 私と、ずっと一緒にいてください。
 ただ、それだけでいいのです。

●終焉
「ゆっくりおやすみなさい」
 桜夜は歌う。
 鎮魂歌の様に眠れる唄かどうかはわからない。
 でも、それでも。
「貴女の事は覚えておくね……」
 その鎮魂歌を桜夜が歌っている中。
 優雨は正座して黙祷をしていた。
 ちゃんとした道具を用意して祈祷の一つもやりたいところだが、ないものはない。
 そこはロンリレスには申し訳ないが致し方ない。
「……一人ぼっちは辛いだろうね。人の温もりを知っている人であれば尚更」
 自分は寂しさ、というのはよくわかる。
 だが
「その気持ちは私にはまだよく分からない」
 自分がいつか、それを知る時が来るのだろうか。
 そう思う優雨であった。
 そして去り際。
ーーありがとう。
 そう聞こえた気がした2人であった。

成否

成功

状態異常

なし

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