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シナリオ詳細

再現性東京202X:暴虐は傷痕を抉る

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京202X街:暴虐は傷痕を抉る
 再現性東京、都心部から小一時間程の地方都市、飾間(しかま)町。
 3ヶ月ほど前、交通管制制御システムの暴走により町は混乱に陥ったのだが……イレギュラーズ達のお陰で一旦は平穏を取り戻していた。
 しかし直近に起きた怪竜事件は、この平穏を取り戻した町に再び被害を及ぼしてしまい、町にはその爪痕が残されてしまう。
 ……だが。
『見て下さい! この残骸を!! この様な爪後が残るなんて考えられませんよね! ええ、これは正体不明の怪物が及ぼした爪痕なのです!!』
 声高らかに言うのは、興奮気味なレポーター。
 視聴率が取れるからなのか、最近この地域の夕方のワイドショーでは、その爪痕が怪物の仕業である、と吹聴していた。
 だが……そんなワイドショーを見る人々は。
『はっ……んな訳ねーじゃん。そんな妖怪だなんてよ、居る訳ねーんだし!!』
 と、ほとんどが笑い飛ばす様なお話だ、と言う捉え方をしている。
 そう、彼等にとって竜の爪痕は竜が遺したものではない……という考えで上塗りされ、それで薄氷の如く心の平穏を維持していたのである。
 しかし、そんな町の人々に、続けざまに襲い掛かるのは……。
『ピー、ピー!! エラー、エラー!! 排除、ハイジョ!!』
 町中に響きわたる、警報音。
 その警報音と共に、町の信号機は全て消灯……それと同時に町の警察、消防を初めとした警備システムが一斉に暴走を開始。
 自律移動型の警備ロボットは、町を歩いていた無実の一般人をロボットアームで捕獲し吊し上げ、どこかへと連れ去っていこうとする。
 それは、正しく3ヶ月ほど前の事件の再来。
『う、うわぁあ……やめろ、やめろぉお……!!』
 その時のトラウマを思い出し、悲鳴を上げて逃げようとする男。
『ピピーー!! 異常反応アリ! 粛清対象、捕獲、ホカク!!』
 そして、それを優先的に捕獲せんと、暴走した警備システム達は動き回るのであった。


「みんなー、大変大ー変ー!! ちょっとこっち来てーー!!」
 カフェ・ローレットにて、手をぶんぶんと大きく振って皆の注意を引くのは、綾敷・なじみ。
 そして彼女の隣には、『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)の姿もあり。
「そーなのです! 大変なのですよ!!」
 と声を上げる。
 二人の焦り方からして、事件が起き緊急で対応しなきゃならない事態である……というのは直ぐに判る。
 そしてなじみから。
「皆さんも知っての通り、ここ、再現性東京はつい先日まで怪竜ジャバーウォックに襲われてたんだよね。みんなのお陰で追い返せたんだけど、町への被害は少なくは無いんだ」
「そんな事件と関連しているのかは判らない所なんだけどさ、どうもその事件後から、また町のロボットやら管制システムやらが制御出来ない状況に陥っている様なんだよね? そう、一季節前にあった、事件の時のような感じなんだ!」
「そうなのです! 何だか嫌な気配がしたから、ブランシュ、以前その事件が起きた町に向かったのですよ。すると、ピーピー警告音は鳴るし、警備システムが一般人を追い立てているし、まぁ大混乱な訳ですよ! こりゃー不味いって訳で、急いで戻って来て、皆さんの協力を仰ぎにきたって言う訳ですよ!」
「そうそう! 無実の人達が警備システムの暴走に巻き込まれて、処刑なんてされたら目も当てられないしね! 詳しい情報は正直な所良く判って無いんだけど、考察している暇があったら、一般人を救出しないとって訳なんだ! みんなも混乱してるかもしれないけど、急いで急いで、宜しく頼むよ!!」
 有無を言わさずな勢いのなじみと、それと一緒になって捲し立てるブランシュ。
 ……何はともあれ、イレギュラーズ達の力がまた、求められている状況なのは間違い無い訳で、イレギュラーズ達は急ぎ再び事件の起こりし飾間町へと急ぐのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 再現性東京……皆様のおかげで一時の平穏を取り戻したかと思いましたが、事件の再来が起きてしまった様です。

 ●成功条件
  暴走している警備システムを粛清し、一般人を救出する事、及び警備システムの中枢を破壊する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  カフェ・ローレットから車で1時間程の距離にある、地方都市が舞台です。
  街中に大量の警備システムが暴走し、出てきてしまっています。
  街中にある監視カメラは警備システムと連動し、一般人達がカメラに発見されるとすぐに近くの自立移動型警備システムがやってきて、捕獲しようとします。
  捕獲した後に何処に連れて行かれるかは判りませんが……少なくとも良い場所ではないのは間違い無いでしょう。
  そんな街中の逃げ惑う一般人達を警備システムから守り抜く必要があります。
  一般人達は恐怖に隠れていますが、発見されれば悲鳴を上げるので、悲鳴を元に場所を探すのはそこまで難しくは無いでしょう。
  
  又、警備システムは元凶を立たない限りずっと稼働し続けるので、警備システムの妨害と共に、元凶を同時に叩く必要があります。
  警備システムの元凶は、町の役所に繋がれたマザーシステムですので、市役所への攻略も同時に行う必要があるでしょう。

 ●討伐目標
  飾間町の警備システム
   警備システムとして様々なもので構成されています。街中、及び前述した市役所のマザーシステムを守る為に市役所中にも配置されています。
   警備カメラは街中の様々な所に設置されており、それが人を検知すると、近くの自立移動型警備システムに報知され、警備システムが急行します。
   警備システム自体の攻撃手段は、相手が抵抗しなければロングハンドで首根っこを掴んで捕縛しどこかに連行するだけですが、相手が抵抗するとその手の電撃警棒を相手に叩きつけて痺れさせた上での捕縛を試みます。
   又遠距離からも改造スタンガンから発生させた電撃で攻撃が可能です。
   
   ちなみに警備システム自体は、イレギュラーズの皆様からすれば、そんなに強い相手ではありません。(一般人からすれば脅威なのは間違いありませんが)
   つまり、街中の警備システム対応に全力を裂く必要はありません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京202X:暴虐は傷痕を抉る完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年02月20日 22時21分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
九重 伽耶(p3p008162)
怪しくない
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー
荒流(p3p010351)

リプレイ

●暴徒の再来
「ふむふむ……警備システムが暴走、ですか。それで場所は? 飾間町……え? またなんですか!?」
「そうなのです。もう遠い昔のような気もしたけど、まだつい最近の出来事でしたよ!」
「ああ。あの街のシステムを一度止めたのに、また暴走してしまったのか……仕方ないな……」
「ええ、またあのマザーコンピューターが暴れ出してるなら、今度こそぶっ壊して止めるですよ!」
 『竜眼潰し』橋場・ステラ(p3p008617)と『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の三人の会話。
 再現性東京の都心部より小一時間程離れた距離にある、飾間町。
 3ヶ月ほど前には交通管制制御システムが突如暴走してしまい、街は大混乱に陥ってしまう。
 しかしその事件は、イレギュラーズ達の活躍のお陰もあって、一度は平穏を取り戻した。
 だが……そんな事件を解決した後に起きてたのは、竜種達の襲撃。
 平穏を取り戻した街が再び、その事件に巻き込まれてしまう……そしてその事態に遭遇した街の人々は、正体不明の事故やら、自然災害がこの原因であると報道するばかり。
 そんな荒れ果てた街……そこに再び街の警察・消防等々の警備システムが暴走する事件の再来という、悪事に更なる悪事が重なり続ける様な状態。
 ……そんな最悪な状況を、隠れながら目の当たりにした荒流(p3p010351)が。
「竜に……ジャバーウォックにやられた街。実際の爪痕を見ると、よくもあんな災厄を退けたものよね」
 と息を吐くと、それに『怪しくない』九重 伽耶(p3p008162)が。
「そうじゃのう……勿論わしらイレギュラーズの力もあるとは思うがの? わしらが出来る事は奴らの侵攻を止めるまでじゃ。だが、街の復興はその街に住む人々の仕事じゃからな……それだけこの街に、思い入れがあるのじゃろう。事実から目を背けるのも、街としてそれを信じたくない……って言うある種の防衛反応なのかもしれんな」
「そうね……この国の技術の発展性でも、ここまで犠牲になる……私達の集落って、崩落する崖にある様なものなのよね。それはさておき、今はこの国の人を助けないといけないわね?」
「そうじゃな」
 荒流に頷く伽耶。
 そう仲間達が会話している中、目の前の交差点を。
『ピピー、ピピー!! 不審者、フシンシャ、サーチ中!!』
 警備システムが甲高い警告音を鳴らしながら街を我が物顔で歩く。
 ……そして、偶然外を歩いていた一般人を発見すると。
『ピ、ピピ-!! 不審者、ハッケン! ハッケン!!』
 警報音を鳴らし、周りの警備システムを招集……驚き逃げる彼を、追跡しようとする警備システム。
「ふーむ……警備ロボの暴走のぅ……難度も起きて織るのなら、もうシステムの方に何かあるんじゃないかのぅ……?」
 ……極々普通に歩いている一般人を追い立てるのも、屋外で普通に警備システムが巡回している状況は大凡正常とは言えないだろう。
「まさかまた、此処のマザーシステムを叩く事になるとは思いませんでした……しかし、今回は以前と違い、範囲がかなり広い様ですね?」
「そうだな。これは普段が完璧にコントロールされている分、その加護が乱れればその分混乱も大きいという訳だ……システムに任せっきりというのも考え物だな……って、この感想前にも言った気がするな」
 ステラに『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)が肩を竦めると、それにイズマ、ブランシュも。
「まぁ、このマザーシステムがどれだけの手間をかけて構築されていたかは知らないが、人の命より大切な物はない。システムを壊して街の人々を助けないとな?」
「そうですね。街中の救助もですが、元を断つ為には手早くマザーを沈黙させてしまいましょう!」
「ええ。あれから強くなったブランシュの実力、とくとご披露してみせますですよ!!」
 拳を振り上げ気合い一杯のステラとブランシュ。
 その時、また街の大通りの方から。
『ピピー、不審者ハッケン!! ハイジョ、カイシ!!』
『な、何なの何なの!? うわ、に、逃げろーー!!』
 と、また別の警備システムがアラームを上げて、それに追いかけられる
 そして『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)と『魔刻福音』ヨハン=レーム(p3p001117)、そしてエーレンが。
「取りあえず色々と考えるのは後回しだ。いち早く市民を助ける必要性があるからな。全員助ける!」
「そうだね。ま、処刑まではないと思うし、見える範囲で構わないとは思うがね……まぁ班を分けて救助に注力するって事だし、こっちはしっかりと市役所のマザーシステムを破壊してくるとしよう」
「ああ。なるべく早く、街中の警備システムを対応するそっちの仕事を楽にする。だから、気張ってくれよ!」
「ああ、判った……宜しく頼むぜ!」
 エーレンの言葉にサムズアップで応えるジェイク。
 そしてイレギュラーズ達は、混乱の境地に陥る街と、警備システムのマザーシステムがある市役所へと其れ其れ赴くのであった。

●警備と暴虐
 マザーシステムに向かった仲間達を送り出し、ジェイク、伽耶、イズマ、荒流の四人は街の大通りへ。
『ピ、ピピー!! 侵入者発見! 侵入者発見!! シキュウオウエン、オウエン!!』
 町の人ではないイレギュラーズは当然侵入者という判断を行う警備システム。
 そんな警備システムの横を通り過ぎつつ、首根っこを掴まれた町の人を、警備システムを攻撃する事で救出するジェイク。
「大丈夫か? 突然の事に驚いているかもしれないが、大丈夫だ……絶対に俺達が助ける。だから今は、警備ロボットに見つからない様な所に隠れておいてくれ! あの鳥についていけば、安全な所に連れて行ってくれるから!」
 そう村人達に声を掛けて、村人達の避難を促しつつ、ファミリアーの使い魔の鳥を召喚。
 加えて荒流も式神を使役すると共に、ジェイクの使い魔に少し遅れさせて追跡させることで、少し逃げ遅れた人達の対処も行う。
「もしかしたら……竜種の被害を思い出すかもしれないけれど、少し我慢していてね?」
 と、そんな二人の指示に従い、街の人々は鳥についていくが……それを見つけた警備システムが、それを妨害しようと立ち塞がる。
「邪魔だな……」
「ええ。でも……集落から出て来て初めての依頼。しっかりと経験させてもらうわね」
「まぁ……大丈夫さ。ほら、行くぜ?」
 とジェイクは荒流の肩を叩いて励まし、イズマが声高らかに。
「街の人々を狙うなど言語道断。全て残らずにこっちに向けさせる……!」
 と言い放ち、更にジェイクも。
「さぁ、お前達! 侵入者はここにいるぜ! この街の治安を乱す奴らを捉えないと、マザーに始末されるんじゃねえのか? ほらほら、こっちだこっち!!」
 と大きな声を上げて、警備システムを誘導。
 当然逃げる方向には、更なる警備システムや監視システムがあり、そこが更なるアラームを鳴り響かせて周囲の警備システムを誘引。
 自律型警備システムがどんどんイレギュラーズ達の所に集結していく。
 勿論そうなれば、街中の警備はそちらに傾注する事になり、市役所に向かう仲間達をアシストする。
 ……だが、流石に警備システムの召集によって、加速度的に集まり行く敵陣の数はかなり多く。
「……ジェイク。ちょっと大丈夫かの? これは流石に集めすぎではないかの?」
 と伽耶が心配の声を上げるが、ジェイクは。
「確かにちょっと多いかもしれねえ……でも、ここで大量に惹きつけておかないと、マザー側の仲間達に行きかねないからな……だからこそ、こっちで出来る限りは集めておかないとな!」
「うむ……そうか。ならば、わしが少し間引かせても貰うぞ!」
「ああ、助かる。宜しく頼むぜ!」
 とジェイクと伽耶が声を掛け合い、二人で大量の警備システムを惹きつける。
 惹きつけた敵陣にイズマが。
「粛清対象なんてここにはいない。俺達が対象だろう?」
 と口上を述べて挑発を重ねる事で、敵陣が逃げる隙を与えない。
 そして二人は、警備システムの様々な攻撃を受け続け……急速に体力が削られて行く事になるが。
「マザー? ってのが破壊されればなんとかなるのでしょう? 女王蜂みたいなものよね。それが破壊されるまでは、なんとか守りきるわ!」
 と強い意志と共に、仲間達と連携を取り、多数の警備システムを抑え様と全力を尽くし始めた。

 一方、仲間達が街中の警備システムを誘導してくれたお陰もあり……市役所に向かったイレギュラーズ達の所に立ち塞がったのはごく少数。
 スムーズに市役所に到着するとすぐに、市役所の外見を確認。
「……地上3階建て、か……まぁ地方都市では極々普通の市役所、っていった所だね」
「そうだな……さて、マザーシステムは何処にあるのだろう? 以前行った事があるのなら、そこらへんは覚えていないか?」
 ヨハンとエーレンの言葉に、ブランシュはえーっと……と思い出して。
「そーですね……確か、マザーシステムがあったのは地上三階、でもその鍵は地下1階の管理室……って、これは警察署でした……」
「……ああ、そういえばあれは警察署でしたね。でも、こういう地方都市の官公舎類は構造がそんなに変わっているという事も無いと思います。取りあえず中に入ってから、市役所の案内図を見れば、何も書いてない部屋とかが良くあるし、そこがそういった部屋……っていう事じゃないかしら?」
「そうですね! では、市役所に突入するのですよ!」
 気合い充填すると共に、ブランシュはその巨大メイスを全力で振り回し、入口の扉を破壊。
 当然市役所の中に残っていた警備システムはアラームを発砲し、侵入者であるイレギュラーズ達を排除しようとする。
 だが、そんな警備システムの来襲に、エーレンはその十字剣を左へ、右へ……と斬り捨てていく。
 バッサバッサと打ち捨てられる警備システム第一陣……ほんの僅かの平穏の隙に、入口脇にある案内図を確認。
 書かれているのは地上3階で、地下については記されていない。
 そして3階の幾つかの部屋は灰色に塗り潰されており、どういう部屋なのか……は記載されていない。
「ふむふむ……セキュリティ的に記載していないって言う感じなんだろうね? となると、怪しい部屋はこの辺り、と」
「地下はもしかしたら無いのかもしれませんね。取りあえず階段の方を見に行って、下に向かう階段が無いか確認する事にしましょう」
 ヨハンにステラが提案しつつ、ステラはあ、と思い出したように。
「そうだ、折角ですから、私のファミリアにも探して貰いましょう……いい? 下に向かう階段とかを探して。見つけたら教えてね?」
『チュー!』
 ステラの手から離れていく鼠達。
 とてとてと小さな身体で一階を縦横無尽に探していくと……扉で施錠された避難用の階段室の中に下への階段を発見。
 その階段を下ると、災害用の貯蓄物資と共に、鍵束が壁に掛けられている。
『チュ、チュー!!』
 鼠たちはぴょんぴょんとジャンプし、鍵束をキャッチし、全匹で以て鍵束をイレギュラーズ達の下へと運んでくる。
「ありがとう……この中に、恐らく隠されたフロアの鍵がありそうですね」
「了解。それじゃその鍵束以て、3階に上がるとしよう」
 ステラに頷きヨハンが先陣を切り、3階へ。
 途中、監視システムと連動して幾度となく襲い掛かる警備システムにヨハンは。
「ああ……そういえば警備システムはカメラで探知するんだったね? ま、面倒臭いからさっさと倒して進んで行くよ」
「そうだな」
 頷くエーレン……そして、市役所の最上階へと到着すると、先程の案内図で灰色になっていた部屋を一つ一つ確認。
 パソコンのファンの音や空調の音を手がかりにすれば……違う部屋は即座に判る。
 更に……ある特定の部屋だけは、移動しない警備システムが守っているので……まぁここがそこだろうというのは明らか。
「あの部屋の様なのです! 一気に仕掛けるのですよ!!」
 とブランシュは一気に距離を詰めて。
「これがブランシュの新必殺技! 喰らうのですよ!!」
 と、死神の如く狙撃の一戦を叩きつけて、有無を言わさずに破壊。
 更にステラも。
「こういうのを倒すための斬城閃ですから!」
 と城を破壊せし一閃で、残るのも完全にぶっ潰す。
 全ての警備システムを破壊した後、扉を開くと……鎮座するマザーシステム。
『ピピ、ピピピ……!』
 と電子音が立て続けに鳴り響き、表示するモニターは赤と黒の明滅。
 ……とは言えその周りに警備システムはなく、そこ自体は無防備な状態。
「全く……マザーシステムくんめ、手こずらせやがって。すぐにポンコツ技術者たちが修理か改修してくれるから、我慢してくれよ」
「そうだな。鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。働き過ぎではないのか、マザー。少し休むといい」
 ヨハンのスチールグラードの槌と、エーレンの機動力を活かした一閃。
 その二撃を、マザーコンピューターの心臓部に叩きつければ……電子機器の存在であるマザーシステムは抵抗も出来ずに……激しいスパークと共に破壊されるのであった。

●傷痕に塗り込み
 そして……。
「……ふぅ。どうやらマザーシステムの破壊は済んだ様だな」
 突如動きを止めた警備システムに、深く息を吐くイズマ。
 それに伽耶が。
「うむ……その様じゃ。しかし、これは何が原因だったのじゃろうなぁ……迷惑この上ないのじゃよ……」
「そうね……まぁ、ここの人達からすれば、これも色々と発生した事件の一つ、と思われて、記憶から消えていくのかしら……ここの人達って、そういうのがわからないようになっている様だし。まぁ、竜種の被害を乗り越えたんだもの、なんとかなるわよ、きっと」
 苦笑する荒流。
 ともあれ警備システムの大多数が停止したので……後は、連れ去られたりした一般人が何処に居るかを探らねば成るまい。
「流石に監禁されていたりはしないと思うんだがのう……どこかに閉じ込められているとかは考えられそうじゃ。市役所のメンバーが戻ってきたら、その辺りを探しに歩くとするかの?」
「そうだな。暴走した警備機械は人々をどこかに連れて行ったんだろう……どこかの広場か、街の外か?」
「そうだな。市役所の高い所からその辺り一度見て貰えないかを調べて貰うか」
 伽耶とイズマにジェイクが頷き、市役所班に連絡。
 まずは、マザーコンピューターの最後の画面で映っていた、警備システムがここ以外で集まっている場所をリストアップ。
 そのリストアップされた場所を共有した上で、屋上から街を見渡す事で……その場所を発見。
 稼働停止した警備システムが転がる横で、牢屋の様なものに囚われた市民が数人。
「大丈夫です!? あ、ちょっと離れておいて欲しいのです!」
 とブランシュが囚われた街のイト達に呼びかけ、離れて貰う。
 そして、その手のメイスを大きく振りかぶって、ドッカンと檻の鍵を破壊し扉諸共破壊。
 街の人達を解放し、そして……周りに転がっている警備システムにも。
「叩けば治るって、昔の人は言っていたのを聴いてたですよ、治れ治れー!!」
 とそのメイスをドカンドカンと叩きつける。
 もう動作停止しているし、そのメイスの一撃は決し叩いて直す様なレベルではないので、次々とロボット達の残骸が量産されていく。
 ……ともあれ、警備システムのマザーシステムを破壊したので、簡単に治ることはないだろう。
 そして一通り警備システムをたたき直し、街の人達の安全も確保出来たのを確認した所で。
「それじゃ、帰ろうか。中々面倒くさい敵だったけど、ま……この程度だったか」
 と、ヨハンは軽く笑いつつ、仲間達を促し飾間町を後にするのであった。

成否

成功

MVP

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼

状態異常

なし

あとがき

飾間町に事件再来……という事でしたが、皆様のおかげで再び平和が取り戻されました。
とは言え竜種の事件もあり、これから先も油断は大敵ですね……。

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