PandoraPartyProject

シナリオ詳細

羽うさぎはとても遊びたい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

「皆さん、うさぎは好きですかっ?」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は唐突にそう切り出した。
「小さくて、とっても手触りの良い毛並みの……えっと、ミニレッキスってうさぎを知ってますか? ちょうどあのうさぎに羽が生えたような、羽うさぎさんが出るんですよ!」
 ……勢い込んで言われても、話が全然分かりません。
 皆の顔にそう書いてあることに気づき、ユリーカははっと我に返った。

 こほん、と咳払いのあと、ユリーカは改めて説明を始めた。
「トレル村からすぐのところに、丘があるんです。子どもたちが遊ぶのにちょうどいい、なだらかで緑に覆われた場所なんですけど、最近、そこから怪我をして帰ってくる子が目立つようになったそうなんです」
 その原因が、丘に現れるようになった羽うさぎなのだという。
「うさぎさんには悪気はないんですけど、とにかく遊びたいみたいなんです。それで、遊んでくれそうな人を見つけると、思いっきり体当たりしてくるんですよ」
 ぶつかられて、驚いて転んだり、逆に思いっきり遊びすぎて怪我をしたり。そんなこんなで、子どもが怪我をしてしまうのだという。
「羽うさぎさんは賢いので、ちゃんと教えてあげれば、加減も覚えてくれるんです。けど、なかなかそれにつきあってくれる人がいないんですよー」
 子どもたちでは羽うさぎにちゃんと遊び方を教えることが難しい。そしてトレル村の大人たちは忙しくて羽うさぎにまで手が回らないから、丘に行ってはいけないと子どもを諭すことぐらいしかできない。
「で、丘に行く人が減れば減るほど、羽うさぎさんは遊び相手がいなくなる。そのせいで、もっともっと遊びたくなるんです」
 悪循環ですね、とユリーカは集まった皆を見る。
「だから皆さんには、丘の羽うさぎさんとたくさん遊んで……その中で遊び方や力加減を教えてあげてほしいんです!」
 人とうさぎは仲良しなのがいいですよねと、ユリーカは言った後、つけ加える。
「羽うさぎさんは普通のうさぎと違うので、ニンジンとかは食べないです。もし餌付けに挑戦するなら、甘いお菓子を持って行くのがいいのです!」

GMコメント

 うさぎと遊びましょ☆

 成功条件は、
・羽うさぎとたくさん遊ぶこと
 羽うさぎに力加減や遊び方を教えて、トレル村の子どもたちがまた丘で安心して遊べるようにすること
 の2つです。

 うさぎは8羽。毛色は指定すると誰がどの色にするか割り振りを決めるのが大変になりそうなので、今回、自分が遊ぶうさぎの色は自分で決めてしまって構いません。実際のうさぎにある色からお選びください。指定されていない場合は白うさぎになります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 ではでは、皆さまのご参加、羽うさぎとともにお待ちしております。

  • 羽うさぎはとても遊びたい完了
  • GM名月舘ゆき乃
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年08月02日 20時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

トリーネ=セイントバード(p3p000957)
飛んだにわとり
Q.U.U.A.(p3p001425)
ちょう人きゅーあちゃん
キュウビ・M・トモエ(p3p001434)
超病弱少女
ラデリ・マグノリア(p3p001706)
再び描き出す物語
アルル・キャラハン(p3p001781)
鋼鉄の小姫
アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)
煌きのハイドランジア
西園寺 姫乃(p3p005034)
想拳
セーレン・キリザリ(p3p006191)
真昼のような夜

リプレイ


 丘に続くゆるやかな道を進みながら、『真昼のような夜』セーレン・キリザリ(p3p006191)は空を仰いだ。
 頭上に広がる空は青く、どこまでも穏やかだ。
「……まさか初陣がウサギと遊ぶ依頼とは、な」
 そう言いつつも、どんな依頼でも手を抜く気はない。それを示すようにセーレンの背には準備してきた物品がしっかりと背負われていた。
「ウサちゃん、ウサちゃん、あそぼうね!」
 『!!OVERCLOCK!!』Q.U.U.A.(p3p001425)は羽うさぎに会えるのが楽しみでしょうがなくて、持参してきたレジャーパラソルを振り回す。
「私がいた世界にもウサギさんはいたけれど、混沌にも似たような生き物がいるんだね。この世界のウサギもモフモフしてて、ぴょんぴょん跳ねたりする?」
 だったら思いっきりもふろうと、『想拳』西園寺 姫乃(p3p005034)が尋ねると、『超病弱少女』キュウビ・M・トモエ(p3p001434)はそうねと頷いた。
「加えて、羽うさぎはポンポンぶつかってくるわ。それも勢いよくくるから、私にとっては結構致命的だったりするのよね」
 トモエは蒼白い頬に手を当てて、ふぅと息をついた。
「え? 羽うさぎってそんな危険生物?」
 聞いていた話と違うと姫乃が聞き返すと、トモエは首を振った。
「いえ、あくまでも私にとっては、の話よ。別に危険動物というわけではないわ」
 ギフトであり病である『死生循環病』を患っているトモエにとって、羽うさぎにぶつかられるのは、生死に直結する衝撃だったりする。
「危険とまでは言わないが……」
 『信風の』ラデリ・マグノリア(p3p001706)は尻尾をふっさりと揺らした。。
「連中には、小さいころに散々襲われたな」
 まさか……あれが遊びたいという意思表示だったとは、そのときは全く思わなかった。通りかかるとぶつかってくる羽うさぎは、その理由を知らない子どもにとって困った襲撃者でしかなかった。羽うさぎが出没する地域を、必死に駆け抜けた昔が思い起こされる。
「それで? その羽うさぎは、自然と子どもとの遊び方を覚えたのかい?」
 豪華な車椅子を走らせながら、『鋼鉄の小姫』アルル・キャラハン(p3p001781)はラデリに視線を向けた。
「いつの間にか見かけなくなった」
 遊んでくれる相手がいなかったためか、ある日を堺に羽うさぎはばったりと姿を見せなくなってそれっきりだ。
「遊びたいだけなのに、相手を傷つけたり、怖がらせたりしちゃうっていうのは、とっても悲しいことだよね」
 そういうことなら、と『魔法少女』アリス・フィン・アーデルハイド(p3p005015)は胸を張る。
「魔法少女のアリスちゃんが一肌脱いじゃいましょう!」
 悲しみを倒す。それがアリスの心に決めた使命なのだから。
「ええ。私たち、きっと仲良くなれるはず!」
 翼を高く掲げ、『聖なるトリ』トリーネ=セイントバード(p3p000957)は羽うさぎとの遭遇に胸膨らませるのだった。


 緑の丘に到着すると、アルルは車椅子を止めた。
「ここが羽うさぎが出る丘だね」
 緑の草に覆われた丘は、風が吹くたびさわさわと心地良い音がする。所々に低い灌木が生えているが、おおむね見通しが良く、確かに子どもが遊ぶのにも良さそうな場所だ。
「あ、あそこにウサちゃんはっけんー!」
 Q.U.U.A.が前方を指さした。ふわふわと飛んでいるのは確かに、羽の生えたウサギたちだ。地面からぴょんと跳びあがり、しばらくは羽を使って低空にとどまっている。ここから見る限りでは、ゆったりと飛んでいてスピードを出している様子はない。
「ほんとだ。えへへ、羽うさぎさん、今日1日仲良くしよ……って、アイターッ!」
 小走りに羽うさぎに近づこうとしたアリスは、腰に衝撃を感じて振り返った。
 そこには、パンケーキについた焼き色のような、きれいなレッドカラーの羽うさぎが、いかにも得意げにぱたぱた浮いていた。
「話に聞いてた通り、やんちゃさんだね」
 ぶつかられても、アリスなら転んだりすることはないが、相手が子どもだったら当たり方によっては危ないかもしれない。
「駄目だよ、羽うさぎさん。相手を怪我させちゃったらもう遊べないでしょ。だから」
 めっ、とアリスは指先で羽うさぎの額にふれた。
 しゅん、として地面に降りたうさぎを、
「ん、分かってくれたかな。良い子良い子!」
 今度は撫でてやる。ベルベットのような手触りがたまらなく気持ちよくて、このまま触っていたいくらいだ。
「追いかけっこしようか。危なくないように、でもいっぱい遊ぼうっ」
 アリスが笑顔を向けると、羽うさぎは宙に舞い上がり、アリスの顔の周りを1周してからすいっと誘うように飛んで行った。

「む」
 顔の近くに飛んできた羽うさぎを、セーレンはすっと身を屈めて避けた。
「おっと、ついかわしてしまったか。ほら、こっちだ。剣術修行で鍛えた足腰を見せてやろう」
 むきになって追いかけてくる、白と茶のまざったブロークンオレンジの羽うさぎを引きつけて、セーレンは走る。
 途中でわざと速度をゆるめると、追いついた羽うさぎはここぞとばかりにセーレンの肩を蹴り、ぴょーんと反動で高く飛んだ。。追いかけてきた勢いもあって、結構強い蹴りだ。
 セーレンは顔をしかめ、痛そうに肩を押さえてみせた。
 空をくるくる飛んでいた羽うさぎは、心配そうにセーレンの近くに降りてきた。それに向かって、もう一度来るようにとセーレンは指で促す。
 羽うさぎは恐る恐る、今度は軽くセーレンの足に当たった。
「よし、その力加減だ」
 満面の笑みで羽うさぎを撫でると、セーレンはポーチからマカロンを取りだして与えた。
 ぱり、と小さな音を立てて羽うさぎがマカロンを囓る。
 表情によって相手への力加減を理解してもらい、うまくいったらご褒美のお菓子、というのがセーレンの作戦だ。

 茶の毛並みの羽うさぎが、右から左へと目の前を横切った。と思いきやくるりと回って逆側からラデリの左脇に体当たりしてくる。
(フェイントのつもりなのか?)
 なんだか可笑しくもあるが表情には出さず、ラデリは仰向けに草の上に倒れた。
「げほっ……ごほ、ごほっ……」
 次いで、身体を丸めて咳き込んでみせた。唸り声だけは上げないように気を付ける。今のところ、ラデリが狐の獣人であっても羽うさぎは警戒をみせていないが、肉食獣の唸りを聞いたらどういう反応をするかわからないからだ。
 咳き込むラデリに、尚も羽うさぎはぶつかってきた。
 追い打ちかと思う勢いだが、ラデリの顔の辺りに着地した羽うさぎは、気がかりそうに黒い目で覗き込んでくる。
「本当に手加減をまったくわかっていないのか」
 ラデリが起き上がると、羽うさぎは嬉しそうにまた空へと飛びあがった。
 強くぶつかってきたときは咳き込んだり、当たったところを押えて身体を丸めたり。逆にやさしく当たってきたときは、持参したクッキーを小さく割って与えた。
 そうしていると、徐々に羽うさぎは『どうすると相手が痛がらないか』『どういうときにお菓子をもらえるのか』を覚えていった。

「追いかけっこ、ね」
 トモエは自分に言い聞かせるように呟くと、丘を走る。それだけでも倒れてしまいそうだが、ここはぐっと我慢だ。
 白い袂が風になびく。
 遊び相手だと認識した羽うさぎは、トモエの頭の上で弾んだ。――と。
 ばったりとトモエは倒れ伏した。転んだというレベルではなく、まさに息絶えたというレベルで。
 羽うさぎはすぐにトモエの横に降り、起こそうとするように鼻先でつんつんとつついた。
 トモエはぴくりとも動かない……だがやがて、トモエは大きく息を吐いて、何事もなかったかのように起きあがった。
 羽うさぎはちょっと混乱していたが、遊びたい気持ちのほうが上回ったのだろう。またトモエに体当たりし、そのために体力がなくなったトモエは倒れる。
 自分が遊ぶことで、危険な状態になってしまう相手がいることを、羽うさぎなりに感じ取ったのだろう。空から様子をうかがっていた羽うさぎは、トモエが立ち上がったのを見て、飛び去っていった。

「ばねっさちゃーん!」
 Q.U.U.A.が宙に高く跳躍し、羽うさぎに手を振った。
 ばねっさというのは、『はね』と『ばにー』をあわせてQ.U.U.A.が白い羽うさぎにつけた名前だ。跳ねる、軽業で魅せる、全力でのQ.U.U.A.の遊びがばねっさを興奮させるのか、いつも以上に強烈なタックルをかましてくる。
 それをQ.U.U.A.は枕をクッションにして受け止め、
「こら、あばれちゃだめっ!」
 ぴんっとばねっさの額を人差し指で弾いた。
「すっごくたのしくなっても、かげんをわすれちゃだめなんだよ!」
 思いっきり遊ぶのは悪いことじゃない。でも、その中でも遊ぶ相手への力加減ができるようにならないと、子どもといっしょに遊ばせられない。
「だいじょーぶ。つぎから気をつければいいんだよ! これもべんきょうだからねっ」
 ばねっさを励ましながらも、Q.U.U.A.は自分も楽しんで丘を駆け回った。

「さて。ではまず、子どもにぶつかるときの勢いはこのくらい!」
 トリーネは羽うさぎに力加減を教授するため、ウィズ・マスコットで召喚したうさぎ先生に実際に飛び込んでもらった。
 ごく軽く、うさぎ先生はトリーネに接触する。完璧だ。
「よし、さあやってみて!」
 翼を広げて合図すると、羽うさぎはうさぎ先生のしたのを真似て……。
「へぶぅ!」
 トリーネはふっとんだ。
「い、良いタックルだったわ……けど、求めているものとは違うわね」
 もう1回、とトリーネは何度も羽うさぎに突進させ、身体を張って力の加減を教え込んだ。
「ふ、ふふふ。元気、元気だわ……! 次は甘噛みね。うさぎ先生の見本を良く憶えてね。これが上手にできたら、永久氷のかき氷をプレゼントするからがんばるのよ」
 うさぎ先生に軽く羽うさぎを噛んでもらったあと、トリーネは次は私にと羽うさぎを促したのだが。
「いたいいたいいたい!」
 トリーネの白い羽が周囲に飛び散る。
「え、トリーネちゃんが羽うさぎさんに食べられてる?」
 驚く姫乃に、トリーネは違うのよ、と乱れた羽をくちばして整えた。
「この子、やんちゃで苦戦中なのよ。でも大丈夫。うさぎとにわとりは、学校のシイクゴヤというところで共存している羽仲間だもの。きっと分かり合えるわ」
「ああ、きっとそうだね」
 羽うさぎによっても、性格の違いはある。おとなしい子、怖がりな子、やんちゃな子、言うことにすぐ従う子、なかなか言う通りにしてくれない子、憶えても楽しければノリに引きずられる子。遊んでいると、それぞれの羽うさぎの個性が見えてくる。
 姫乃が担当している羽うさぎは他の子よりも大きめで、その分パワーもある。これではぶつかられた子どもが怪我をしても無理はない、というほどに元気すぎるため、子どもたちにはボスと呼ばれ敬遠されているうさぎだが、教えてみれば性格は素直だった。
 姫乃が手を叩いて促すと、ボスうさぎは喜んで飛びついてくる。それを受け止めて、背中で受け身を取りながら姫乃は後ろに転がった。
「まだちょっと勢いが強すぎるかな。勢いをつけて飛び込むんじゃなくて、下からぴょんっと跳び乗る感じ! ほら、やってみて!」
 地面に下ろして手を叩くと、ボスうさぎはまた姫乃に跳びつく。さきほどより勢いは弱まっているが、体重がある分、子ども相手だともっと衝撃を抑えておきたい。
「さっきよりずっといいね。もうちょっとだけやさしく、腕の辺りを狙ってみて」
 なかなかうまくいかないが、素直に学んでくれるボスうさぎのことを思えば、途中で投げたしたりはできない。
「そうそう! そんな感じ! よくできました!」
 やっと及第点をあげられたときには、ちょうどランチタイムになっていた。


 丘に散らばって個別に羽うさぎと遊んでいた皆はいったん集まった。Q.U.U.A.が地面にさしたレジャーパラソルの付近に、セーレンの持ってきたレジャーシートを敷いて、皆で腰を下ろす。
「よかったらどうぞ」
 アリスがサンドイッチの包みを広げると、姫乃も自作したサンドイッチを出した。
「えんそくのおやつといえばバナナ!」
 食べる? とQ.U.U.A.は羽うさぎにバナナを差し出したが、果物には興味がないようだ。サンドイッチや弁当にも羽うさぎは興味を示さない。
 お菓子に属するものは食べるが、自然界で生きる羽うさぎの主食がお菓子というのは考えにくい。
「果物のドライチップスは食べるみたい。生の果物となにが違うのかな?」
 もしかしてバナナが嫌いなのかと、アリスはバナナチップを選んで差し出してみたが、羽うさぎは普通に食べた。
「不思議ね」
 羽うさぎにバタークッキーを与えながら、トモエは首を傾げた。
 クッキーをコリコリ食べる羽うさぎと、薬草をもしゃもしゃと口に運ぶトモエ。その対比もなんだか不思議だ。

 ランチを食べて一休憩したあとは、皆で集まって羽うさぎと遊ぶ。
 子どもたちと遊ぶには集団遊びも覚えてもらったほうが良い。
「さあ、まずはみんなでぴよちゃん踊りよ。はい、ぴょん! ぴょん! ぴょぴょんのぴょん! おまけにもひとつぴょんぴょんぴょん!」
 トリーネが跳ねてみせると、羽うさぎも真似して跳ねる。幼稚園でのお遊戯会のようなかわいらしさだ。
「良い感じよー」
 トリーネは翼で拍手した。
「しゅうだんでも暴走しなければ、ごうかく! できるかな、それっ!」
 Q.U.U.A.がボールを投げ上げると、一斉に羽うさぎが寄ってきて互いにぽんぽんぶつかりあった。
「そんなにかたまったら、あぶないよー! かわりばんこに遊ぼうね!」
 こんな風に、とQ.U.U.A.はラデリにボールを投げ、ラデリはそれをアリスに投げる。
 何度かやってみせるうちに、理解してくれたらしい。ボールを投げ返すことはできないから、自分の身体に当ててはじいて、それを別のうさぎが追う。
「風船ではどうだ?」
 セーレンは膨らませた風船を手でついて、宙に浮かばせた。
 新たなおもちゃに、羽うさぎは集まり。
 バーン!
 破裂した風船に驚いて、大慌てで逃げた。
「爪も歯も禁止だ。そっと、な」
 もう1つ風船を膨らませ、遊び方の見本を見せる。遠巻きにしていた羽うさぎたちだったが、好奇心に負けて寄ってきて、風船遊びに加わった。
 はじめはボールとは違うスピードや感触に戸惑っていたが、これもうまく遊べるようになっていった。
 安全な遊び、と考えて、トモエは羽うさぎにだるまさんがころんだを教えてみた。これもイレギュラーズが遊ぶところを見せて、覚えてもらう。
 地面より空中を移動することが多い羽うさぎは、空中で羽ばたきを止めることができないし、捕虜となっても鬼と手をつなぐことができないが、だいたいのルールは飲み込んでくれた様子だった。動かない時間がある遊びは、羽うさぎの勉強になったことだろう。
「じゃあ、皆で追いかけっこしようか。行くよー!」
 アリスの掛け声で、最後は全員での追いかけっこだ。これができれば、子どもと遊んでも大丈夫だろう。
 逃げる、追いかける。
 入れ替わって、逃げる、追いかける。
 中にはまだうまく加減できない子もいたけれど、イレギュラーズやできるようになった羽うさぎと一緒に遊ぶことによって、上手になっていった。

 楽しい時間はすぐ過ぎる。
 太陽が傾いてくると、ラデリはゴミを回収して帰り支度を始めた。
「いい子で遊んでたら、またお菓子をもって遊びにくるからな」
 セーレンは名残惜しく、ブロークンオレンジの羽うさぎを撫でた。こちらを見上げてくる羽うさぎをみていると、その場に留まりたくなってしまう。
「今度来たときは、もっといっぱい遊ぼうね」
 アリスは約束するように、レッドカラーの羽うさぎの脚をそっと握る。
「またあそびにくるよ! またねー!」
 丘で跳ねる羽うさぎたちに、Q.U.U.A.は大きく大きく手を振った。

 遊ぶなら、みんな楽しく。
 そのためには、相手への配慮もルールも大切。
 丘の羽うさぎたちは、今日それを学んだのだった――。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
羽うさぎにとって、楽しくも勉強になる1日でした。
みなさまにとっても、楽しい1日となっていましたらうれしく思います。

ご参加ありがとうございました。

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