PandoraPartyProject

シナリオ詳細

時々現れる黒き使徒(アレ)~※お食事中の方はお気を付けください~

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 地球によく似た世界によくある、とあるマンションの一室。
 足の踏み場もなく散らかり放題のこの部屋で、家主はスースーと寝息を立てて眠っているわけなのだが、そこにひそかに忍び寄る、複数の影。

 ーーカサッ……

 隙間風かしら、と小さな音で家主の女は目を覚ます。
 しかし雲一つない夜空には満月が煌々と輝いており、窓から見える街路樹の枝が揺れている様子は見当たらない。
 気のせいか、と女は布団に潜り込む。
 カーテンの隙間から差し込む、明るい月の光が、インスタントラーメンのカップを捨てたであろう真っ白なビニール袋を照らし出す。
 背景の白と正反対ともいうべき黒が、彼女の視界を横切った。

 ーーカサカサカサカサカサカサ……

 間違いなく目に見えるハズなのに、素早くその近くの暗闇「それ」は潜り込んでいく。
 1つ、2つそして3つとその足音は増えていく。
 
「ひっ……」

 女が小さく悲鳴を上げる。
 そしてその影のうちの一つが、彼女の布団の隙間から顔を出した。

「やぁ」

 響き渡る女の悲鳴、部屋はやってきてしまった黒き使徒により占拠されてしまったようだ。

●そもそもだけど

「まぁ、言ってみれば汚部屋の住人のためにゴ……奴を退治、と言ったところだね」
 境界案内人カストルは、自業自得ではあるんだけどもと苦笑する。
 汚部屋なのもそれに伴って『奴』が出るのも無理はないしそれくらいは何とかしろよとこの場にいる誰もが思うだろう。それは、カストルにとっても例外ではないのだが、彼は話を続ける。
「君たちに今から行ってもらうところの『奴』の退治ってね、その……大きいんだよ。サイズが。」
 通常、この手の黒光りするであろう「それ」は体長30 ~40mmが一般的な大きさなのだが、おそらくその二回りは大きいであろう『奴』が彼女の部屋を縦横無尽に駆け回っているのが分かる。
「いや、ね、気は進まないだろうけどさ、うん、退治してもらったうえで彼女の部屋にもう二度と『奴』が出ないようにするまでワンセットでやったほうが良いと思うんだ。まぁ、滞在分の負担はあっちがしてくれるみたいだし。」

 暫くして、あ、とカストルが思い出したかのように話しかけるころには、イレギュラーズたちはすでに出発していた。
「あそこに出る『奴ら』は、どうやら人語を解せるくらいには賢いみたいなんだよね……まぁ、大丈夫でしょ」

 カストルは本棚にパンパンとはたきをかけていく。
 ここにも『奴』が出たら、それこそたまったものではないからだ。

NMコメント

 こんにちは、水野です。
 ちなみに私はゴキb……いや、黒き使徒がとても恐ろしくて倒せません。
 誰か守って。

●世界説明
 いわゆる地球上のとある地域のマンションの一室が舞台です。
 文明の発展具合としては、現代と同等と考えていただいて差し支えありません。
 しかし、この世界のゴキブリは通常の家に出てくるそれの二回りほど大きい、まぁプリっぷりのゴキブリです。大きくなった分見た目は醜悪です。
 そしてゴキブリたちは人語を喋ります。
 なお家主の部屋は足の踏み場がなくとてもつもなく汚いです。

●目標
 みんなで『奴』もといゴキブリたちを駆除しましょう!
 可能であれば家主の部屋の掃除も手伝ってください。

●敵
 ゴキブリ……別名『奴』『黒き使徒』です。
 沢山います。カサカサ……。

●味方
 家主の女性です。
 基本的には『奴ら』を見るたびにギャーギャー騒ぎます。
 一応殺虫剤とか買ってきてくれます。もちろんイレギュラーズの皆様にも協力的。
 ただし人がドン引きするレベルのズボラです。

 それではみなさん、ちょっと知的な「黒き使徒」たちと、良きお戯れを!!

  • 時々現れる黒き使徒(アレ)~※お食事中の方はお気を付けください~完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年02月05日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
城火 綾花(p3p007140)
Joker
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
シュナーベ=カファール=スカラファッジョ(p3p010319)
黒き宣教

リプレイ

●捨てる神あれば救う神あり

「いやー中々ぐちゃぐちゃになってるわね、これじゃ掃除も大変よ」
 『Joker』城火綾花(p3p007140)は掃除しがいがある依頼人の汚部屋をぐるりと見渡す。
 雑多に置かれたカップ麺の容器や脱ぎ散らかされた洋服や下着、しまいには生乾きのよくわからないかほりのする靴下などが、床を埋め尽くしている。
「こりゃぁひでぇな。いくら時間があっても足りない」
 『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)も、この惨状に目を背けてそうになりながら、鼻をつまむ。
 それもそのはず、ここは紛れもない汚部屋・ゴミ屋敷なのである。
 今回の依頼はこのゴミ屋敷の掃除、そして部屋に巣食うゴキb……奴を駆除すること。
 そんな中、駆除とはまた違った考えを持つイレギュラーズもいる。
「ずっと、海育ちだった、わたしには、いまだに、理由が、わかりませんの……。どうして皆様、そんなにもかれらを、きらわれるのでしょうか……。」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は、うつむいてポツリとつぶやいた。
 海種の彼女は、「奴」を見たことがないゆえか、彼らを海にすむエビと同じだと思っているようだ。
確かにキチン質っていう意味では確かにエビと奴とでは一緒なのだが。
 そしてもう一人、今度は奴の姿を知ったうえで、崇める者がいる。
「嗚呼……遂に我らと言葉を交わして下さる寛大な神々に巡り会えた。これも日々の信仰の賜物なのだな」
 『黒き宣教』シュナーベ=カファール=スカラファッジョ(p3p010319)は、恍惚とした表情で彼にとっての「神」を探す。
 宗教上の理由で不潔にしていることを推奨している彼にとって、まさにここは神の住まう楽園なのだ。
「おいおい、待て待て」
 世界は簡易召喚魔方陣で精霊を呼び出すためのスペースだけ無理やり作りながら、彼の中で引っかかったことを口に出す。
「例の黒い奴を駆除する依頼だと聞いていたんだが……なんでそれを崇める奴が参加してるんだ?」
「おや、ここに愚かにも迷える子羊が」
「は?」
「神の持つあまりの神々しさに正気をやられ神殺しなどという愚かな行為に走ってしまうようだ」
 怪訝な顔をする世界をよそに、気分を高揚させてカサカサと動くシュナーベ。
「いや、愚かって……あとノリアさん、エビと奴は全く違う生き物だからな?」
「でも……この世界のかれらは、意志疎通ができる、ということなので……ええと、わたしには、神には、おもえませんけれど……すくなくとも、海種仲間も、同然ですの。だから……」
 ノリアは呼吸を一つ置いて、そして真面目に掃除を始めようとする綾花を見ながら、まだ何も入っていないゴミ袋を手に取った。
「その、仲間たちが、こんな、汚らしい部屋で、生活しているとあれば……どうにも、お節介したくなってしまいますの……! 聞けば、かれらは、きれい好きだというでは、ありませんか…なのに、ほら!」
 視線の先には、どこまでも堆く積まれたゴミの山。そして、窓の淵や棚の上にも、うっすらと誇りがかぶさっている。
 ノリアが掃除への意気込みを見せたところで、綾花はノリアに微笑みかける。
「綺麗なお店には良い客が通う! こうなったら徹底的にキレイにしていくわよ!」
 カチン、と火ばさみを鳴らす同時にウインクをした次の瞬間。

 ――カサカサッ

綾花の視界の端を「ソレ」は横切った。

「……ん? え、待って今何か黒いのいなかった!?」
「いた、な。……あ、今とりあえず助っ人だけは呼んどいた。掃除道具足りないだろうから買ってくるわ」
「やはり、いちゃだめ、ですか?」
「ダメに決まってるわよあんなの。さ、とりあえずまずは部屋の片付けをしましょ?」
「あぁ、神よ! 今日は我々に言葉を与えてくださると聞きました! どうかそのお姿を!」
 奴に出くわす前に、さっさと片付けてしまおうという綾花と、どうにか奴の存在を許してほしいと思うノリア、そして助っ人として精霊を呼んだあと、そそくさと汚部屋を出ていく世界。……そして、神を崇め奉るシュナーベ。

 道具の買い出しに出た世界は、ポツリと一言つぶやいた。
「……いやほんと、臭いがヤバイんだよあの部屋。本音を言えば一秒たりとも部屋に居たくねぇ」
 依頼を受ける前は楽観視していたが想像以上にキツイ。
 それでも買うものが無くなったら戻っておとなしく掃除をしよう。そう決めて、近くのホームセンターまでとぼとぼ歩いていく。
 一瞬、汚部屋の中の独特な香りが、服の袖についていた気がした。
●きゃぁぁぁ!! 喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 掃除を始めること40分。
 「まずは足場を作ること」というモットーで、黙々とゴミをゴミ袋に入れてく最中、ついに綾花が悲鳴を上げた。

「い、いやあああぁぁ!?」

 依頼人含め、声がしたほうを見ると、確かにそこに奴がいた。
 黒光りするその肢体、普通のものより二回りは大きいであろうそれは、頭部の触角をゆらゆらと揺らしている。
 綾花以上の大きな悲鳴を上げて部屋の隅に退避しようとする依頼人。
「ちょっと何なの! 話に聞いてた通りデカいし気持ち悪っ!!」
 獲物を「奴」に向けるその手は、そのおぞましさに震えている。
「わぁ、あなたが、ゴキブリさん、ですか?」
「さん付けなんかしなくていいから!」
「おお……われらが神よ……」
「なんで擁護派が来ちゃったのよぉっ!」
 あまり見たことのない奴の姿を純粋な目で見つめるノリアと、先ほど以上に高揚してカサカサと動くシュナーベに、綾花は入れるべき突っ込みを入れていく。
「マって、話ヲ聞いテヨぉ」
「うわぁしかも何か喋った!」
 生まれて初めての、喋る黒き使途。
半狂乱になりながら、事の発端となった依頼人にも、「あのねぇっ!」と声を上げる。
「あなたもあんなのがいる環境でよく今まで過ごせたわね! て言うか良く見なさいよ!部屋がこんな感じだから、ああいうのが現れるのを少しは自覚したらどうかしら!?」
 ――ひぃ、すみませぇん!
 半狂乱になる依頼人と獲物を向けたまま「居座るなら撃つ」と言わんばかりの殺気にあふれる綾花たちの前に、シュナーベがまぁ待てと前に出る。
「神は肉体の死を察知すると無数の眷属を産み落としたり、人の子の顔に飛びかかり神罰を与えたりする場合がある。我々教徒にとっては神のあらゆる行動は祝福であり恵みに他ならないが、異教徒は神の神秘に脳が追いつかずに悲鳴を上げ、恐怖し、挙句の果てには気を失うことがあるそうではないか」
「本当に、生命力が、強いんですねぇ……。」
 シュナーベの後ろから、ノリアもひょっこりと顔を出す。
 話を聞いてくれという以上は、まずは彼らの話を聞くことになった。
●彼らの望むもの
「ボクたちハ、タダ食べ物ヲ貰いに来てルだけなんダ」
 つぶらな瞳(?)をウルウルさせて、申し訳なさそうに触角を下げる。なんだか本当に申し訳ないと思っているようだ。
「神よ……大変不躾な願いを聞いて欲しい。この様な迷える子羊の巣では神々への反逆がいつ起きてもおかしくない為、大変心苦しくはあるが神聖なゴミ捨て場などに聖地を移して頂けないだろうか」
 シュナーベは恭しく彼の神に頭を垂れる。
「あの……ここは、食事の場としては、都合がいいかもしれませんけれど、生活の場としては、最悪ですのこんな場所に、なれてしまうと、あんなふうに、なってしまいますの」
 依頼人を指さすノリア。
 こら、指ささないの、と綾花にたしなめられるが、ノリアはいかにここで生活するのがよろしくないかを説得する。
「それに……いるだけで、殺されてしまうかもしれない、住処だなんて……!」
「じゃア、ボクたちハどうシたら良いンだ?」
「それについては、我々教徒が一心不乱に探し、最適な環境を見つけよう。例えば近くのごみ捨て場などに、住処を移してもらえないだろうか……」
 うーんと考え込んだ末、彼は分かったヨと触角を上下に揺らし、そそくさとほかの者たちにも指示して、出ていく準備を始める。
 トラップに引っかかった彼らをノリアとシュナーベが逃がそうとするちょうどそのタイミングで、掃除道具を買い終えた世界が戻ってきた。
「ただい……お……おう、結構でかかったんだな……」
 まぁ、話は終わったみたいだし、と各々は再び掃除に戻っていった。

●掃除のやり方
 少しずつ掃除が進む中、一番困ったのは依頼人の「もったいない病」だ。
 それを、世界と綾花が容赦なく捨てていく。
「この箱は?」
「あ、可愛いし使えるかもしれないかr」
「捨てるわよ」
「え?」
「おーい、このボロいタオルなんだが」
「雑巾として使えるかm」
「捨てるぞ」
「えぇ?!」
 彼女が捨てられないものを、バンバン捨てていく2人。
「ホラ、あなたも「メンドくさい」じゃなくて手伝うのよ!」
 依頼人自身は手伝ってるじゃないですかという顔をしているが、その実は出てきた昔の雑誌や漫画を読んでいる。
「まぁ……もったいない気持ちはわかるが、使わないものは使わないからな。ほら、これも捨てるぞ」
「あっ……」
「掃除は思い切りの良さが大事なのよ。何か役になるかもしれない微妙なカードは思い切って切る! 渋ってもいい事ないわよ」
「そうそう、城火さんの言う通りだ。あとは使ったら元の位置に返す、だな。」

 片付けと奴らの引っ越し作業開始から8時間。ようやく、人が住んでいるきれいな部屋にまで片付いた。
 ――ちゃんと、次からは片付けますから!!

世界とはその言葉について後程こう語っている。
「しかし、家主の性格がアレだから綺麗な状態を何週間維持できるだろうか……。また数カ月後には元の木阿弥になってないといいがね」
「ゴキブリさんたちのお食事の場所なら、大丈夫ですの。なぜなら……どうせ、この家はまた、すぐによごれるに、きまってますから……」

成否

成功

状態異常

なし

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