PandoraPartyProject

シナリオ詳細

黄金の果てに掴んだ正義

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●失って得られたものは
「入りたまえ」
 深みのある落ち着いた声が来訪者を誘う。通された社長室。その広い窓からは、水面きらめく海の景色が広がっていた。
「宝石の様だろう? 月が出ている時、この部屋から見下ろす眺めが絶景でね。見た瞬間に、ここへオフィスを建てようと決めたよ」
 革張りのソファーから立ち上がり、部屋の主である男は両手を広げ、親しい者との再会を喜ぶように集まった四人を迎え入れる。

『正義の社長』鵜来巣 朝時(うぐるす あさとき)。彼は『イデア崩壊』において特異運命座標の奮闘により、いい意味で"運命を歪められ"悪の道から弾き出された航海王国の資産家だ。以降、彼は特異運命座標へ信頼を寄せており、『ダブルフォルト・エンバーミング』では鋼鉄帝国へ助っ人として駆けつけて、己が財を存分に奮いあらゆる支援を行った。

――この世には金で買えないものが三つある。運命と、信頼と、そして友だ。

「あれから暫く経つが、わざわざクエストのために航海くんだりまで来てくれた事に感謝するよ。
 本来なら歓迎パーティーのひとつでも陽気(bubbly)に行いたいところだが、"ヤツら"に知られてしまっては意味がないからね」

 さっそく本題に入らせてもらおう。そう告げる朝時の目に正義の輝きが熱く灯る。
 町の発展。それは資産家である朝時にとって、地元で企業を支えてくれる人々への恩返しだった。
 この港町にオフィスを構えてから、彼はビジネスで稼いだ金の幾分かを町へ投資し、支援を行う事で豊かにしようと工夫してきた。しかしそれを煙たがる組織が、朝時の殺害を企てているというのだ。
 航海マフィア『オストリカ』――暴力で町を掌握しようという彼らにとって、いきなり現れ町の人々の信頼を得た朝時は目の上のコブでしかない。
 剣吞な空気を感じ取った朝時は『オストリカ』に偵察を送り込み、自分を標的にした襲撃事件の用意がされている事を知った。
 その決行日が、今夜なのだ。

「これから俺は取引先との商談があって、外に出る。商談成立のためというのもあるが、奴らの暴力には屈しないという証明を兼ねての強行だ。
 俺は、金の力で世界を平和にしていきたい。皆が豊かになれば、今よりきっと争いも減ると信じている。……どうか、護衛を頼まれてくれないか」

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 はじめてのクエストテイル、緊張しますが精一杯やらせていただきます!

●クエスト
 朝時の護衛を完遂する

●護衛対象
『正義の社長』鵜来巣 朝時(うぐるす あさとき)
 シャーマナイトの秘宝種で、航海王国の資産家。
 バグの影響で弟がギョスり続ける病(?)にかかったり、伝承国の本社ビルから弾き出されて資産がゼロになっても、
 バブリーな性格と謎の人当たりの良さによって再び成り上がった豪胆な男。
 戦闘力はなくはないですが、マフィアをどうにかできる程ではありません。

●エネミー
『ボスの左腕』ファハカ
 マフィア『オストリカ』の幹部。褐色肌で金髪の、耳ヒレを持った海種の男。白いスーツを着ています。
 言葉より先に拳が出る狂暴な性格で、掌から【猛毒】を生成したり、毒の槍を投擲してくる様子。
 攻撃も体力も優れており、手ごわい相手となるでしょう。

マフィア構成員
 ファハカが引き連れてきた組織の構成員。どうやら海種で構成されているようです。
 黒いスーツを身に纏い、銃撃による遠距離攻撃をしてくる者や、殴り込みによる近接攻撃をして来る者もいます。
 体力豊富なタフガイ揃いで、攻撃力はさほどでないものの、群がられると厄介な相手となるでしょう。


●フィールド
 航海の港町。海辺にある朝時のオフィスから商談を行う予定のレストランへは港町の大通りを歩く必要がありますが、
 マフィア達は正体がばれる事も器物破損も気にせず急襲してくるでしょう。
 サクラメントは町の入口にあり、一度死ぬとリスポーンしてから前線に復帰するまで遅くても3ターンはかかる見込みです。

●情報制度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

説明は以上となります。それでは、よい旅を!

  • 黄金の果てに掴んだ正義完了
  • NM名芳董
  • 種別クエストテイル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年01月21日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

樹里(p3x000692)
ようじょ整備士
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
H(p3x009524)
ダークナイツ
ヘル・フローズヴィトニル(p3x010212)
災厄の獣

リプレイ


 テラス席のテーブルで蠟燭の灯りが揺れる。若い男女がワイングラスで乾杯し、優雅な一口を楽しもうとしたところで――唐突に噴いた。
「何だありゃ。マーライオンの求愛行動か?」
 その理由が"フルフェイスの仮面の男がストローでビールを啜ってたから"とは知らず、『ダークナイツ』H(p3x009524)は自分の席からレストラン内を眺めた。隠れ潜む場所や射線の通る場所がないか、事前に商談の場となる店へ下見に来たのだ。小粋なトークでウェイトレスから店の様子も伺い、腕を組んで考える。
(商談部屋の窓は狙撃出来ない位置だ。当日見るのはテーブルの下と不審な店員がいないか。それから……)
 ふと視線を投げた先で、二人がけの席にポツンと一人で座っている青年を見つける。青白く輝く髪の彼は、待ち人が来ないのか、料理に手をつけず浮かない顔をしていた。クシュン、と彼がくしゃみした直後、背中に温もりが降る。Hが上着をかけてやったのだ。
「鼻の頭が赤いぜ。イケメンが台無しだ」
「ぁ……、ありがとうございます。でも貴方が」
 二の句を告げられる前に颯爽と去る仮面の怪人。――依頼前夜の話である。


「大変ですぜ兄貴……ふぎゃ!」
 偵察にやった手下が息を切らせて戻って来る。その顔をまず一発殴り、ハファカは腕の力を確かめた。もんどりうって倒れた手下をソファーから見下ろし、冷酷な目を向ける。周りの部下達に緊張が走った。
「前置きはいい。とっとと話せ」
「はひぃ! 朝時は予定通り商談のためにオフィスを出やがりました!ただ、変なんです!」
 立ち上がり再び拳を振り上げたハファカに怯えながら、手下は早口で話を続ける。
「いつものボディーガードの代わりに、シスター幼女と妖艶秘書、鉄仮面とロリ獣っ娘がついてるんスよぉ!!」

「バブリーなきせつにやみうちとはかんしんしませんね」
 うんうん、と『シュレティンガーの受理』樹里(p3x000692)は頷きつつ、朝時の前を守る様に先行していた。さも当然と言わんばかりの言動に、秘書の姿に変装している『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)は小首をかしげる。
「闇討ちはオールシーズン、関心できる事じゃないと思うけど。どう思いますか社長」
「俺はそれよりBubblyな季節という語感の方に惹かれたな」
 フランクに言葉返す鵜来巣 朝時から人のよさを感じ取り、イズルは微かに俯いた。現実での彼は金の力ではなく魔種の力へ縋り、特異運命座標と対立している。それを想うと複雑だった。
 イズルの心の中に落ちた影を広げる様に、ぞる……と不穏な気配を滲ませながら虚ろな瞳の 『災厄の獣』ヘル・フローズヴィトニル(p3x010212)が朝時へと歩み寄る。
「クックックッ! 我こそは災厄の獣、ヘル・フローズヴィトニルだ!悪徳なる商人よ、今宵はどの様な契約で港の民草を地獄へ導くのだ?」
「うん? 今日は孤児院に支給する食料についての商談だが」
「なん……だと…。普通にいいやつじゃないか! 事前に調べた情報だと、確かに魔種だと――」
「アンタそのページの情報は現実のだぜ。R.O.Oの人物情報はこっちな」
 慌てて空中にコンソールパネルを現し、調べたデータを再確認するヘル。現れた情報をHが正しい表示に変えてやる。そこには『正義』の社長って目立つ太文字で書いてあった。読めば読むほどクリーンな経歴。驚きの白さである。
「あ゛ーーーッ!!」
「おまけにこんやも、ぜんこーをかさねるのはかくていです」
 樹里は最初、じゅりセンサーでマフィアの気配を探そうとしていた。しかしびんびんにセンサーに反応したのは護衛対象の朝時で、それはつまり、交渉さえ出来れば商談が確実に『受理』されるという事なのだろう。
 今しがたじゅりアイズで捉えた、マフィア達を倒しきればの話だが。

「かくれていてもむだですよ?」

 かける声は手下の動揺を誘い、その隙にヘルが両手を向けてラグナロクをぶちかます。氷結と炎獄が襲い来る終末めいた一撃が何人かをフッ飛ばし、派手な開戦にヒュウとHが口笛を吹く。
「来たぜ……朝時。頭は低く、だが偉そうにしてな!」
「luxury(贅沢)な勝利を頼むぞ!」
 身を屈めながら調子よく返す朝時。その眼前に手下が振り上げた鉄パイプが迫る。と――周囲を白銀のオーラが一閃し、何人かを纏めてなぎ倒す。夜告鳥の護る揺り籠からの加護を受けたイズルは、徹底的に手下の動きを封殺した。
「皆の攻撃を搔い潜ってきたのは褒めてあげるけど、社長に近づいた輩はぶちのめし……」
「ノーマナーだ!」
 イズルの言葉にビシリと朝時が両手で✕マークを作る。依頼主からの突然の駄目出しに戸惑いの表情を浮かべるイズル。
「変装でも俺の秘書(Secretary)を名乗るからには、バブリーかつお上品が鉄則だ」
「えぇ、でも相手はヤクザだしぶち殺……」
「ノーマナーだ!!」
 諦めろと言わんばかりに首を振る樹里とH。依頼においてクライアントの要望は絶対なのだ。イズルは少し考えた後、手下の方へと向き直る。
「朝時さんに近づく人は、先手打ってぶち……、ぺしぺしするよ?」
「秘書さんにぺちぺちされたい!」「俺も俺も!」
 満足そうに頷く朝時と、ご褒美めいた言葉に歓喜しながら突撃してくる手下達。この時点で既に現場は混沌としているが、押し寄せる手下の延長線上には不運にもヘルが立っていた。とうの本人はというと、全く気付かず別の手下を相手している。
「はっーはっはっ! コレコレ!やはりゴミムシ共が無様に死に逝く姿は愉快痛快!この上ない悦楽よな……って、ぎょわあぁあーー!?」
 引き倒されて光の粒子と化したヘル。だが彼女もタダでは死なない。無意識のうちに発動していた悪獣顕現が狂気と呪縛、泥沼を振りまいて周囲の者を巻き込んで逝く。

 味方が倒れた。その事実に緊張感が走った瞬間、追い打ちをかける様に飛来する大きな影。
「っと! 味方を活け造りにでもする気か?いい上司じゃねぇか」
 投擲された手下を蹴り飛ばしてHが笑うと、ハファカはチッと舌打ちした。
「うぜェんだよてめぇら、妙なナリしてる癖に手間取らせやがって!」
「ことばよりさきにこぶしがでる、なるほど。まず口からうまれたとうわさされる戯言遣いたるわたしとはたいきょくですね。
 いえ、口からうんぬんはただのざれごとですが」
「ごちゃごちゃ言ってねぇでかかって来いやァ!!」
 手元に槍を生成し、突き出すハファカ。獰猛さを見せつける様に襲い掛かる彼へ、樹里はぺこりと頭を下げる。
「たいせんよろしくおねがいします」
 そして紡ぐは聖句・外典より一節。

 『全身に巡る、この言の葉』

――語りませ、語りませ。耳のある者は聞くがよい。たえなる調べ、バブリーに溶けるRC、対価こそ我らが受理である!

「なんっ、……!?」
 一撃、二撃。雨の様に降り注ぐ熱線がハファを焼く。痛みと怒りに吠える男の反撃を受け止めるべく、Hは魔剣を翻す。
「三枚におろされたいのか?」
「ッハ! 鉄くずにしてやんよ!」
 剣と槍が激しく撃ち合う音が夜の街に響く。Hと樹里の二人を相手取り立ち回るハファカは、確かに"左腕"を名乗るに相応しい力を有しているのだろう。が――恐怖政治は絆を生まない。手下の連携はバラバラで、殆どの者が戦況を把握しきれていない。
「やっちまえ! 他の奴らはこえーけど、あの女はなんか倒せそうだ!」
「ぜえぜえ! サクラメントが遠すぎる……き、貴様ら許さん!私の誇りにかけて皆殺しだ!」
 戻ってきたばかりのヘルに再び群がりだす手下。それが【怒り】による引き付けだとも気付かずに、一人また一人と巻き込んで地獄の釜へ道連れていく。
(ヘルさんが盾になってくれるから大分楽に戦えたかな。あとは残りをぶち殺――)
「イズル。めっ!」
「心の中まで読む方がマナー違反だよ社長」
\あばれシャークだー!/と突っ込んできたマフィアの乗り物をふわりと飛んで避け、流れる様な動きで放つ一撃で仕留める美人秘書。
 その着地点には瀕死の手下が群がっていた。そもそもあのハファカの手下をやっている者達だ。Mが多くても仕方がない。
「君の手下は全滅だけど、まだやるつもり?」
「知った事かァ!」
 ハファカの手刀がHの腹を抉る。
「――ッ!」
 指先から毒が滲み、痛みに呻くH。追撃しようと踏み込んだハファカは――しかし。
 とてて、と予測不能の起動で懐へ入り込んだ樹里に足を掴まれ、バランスを崩して倒れ込む!
「じゅりの呼吸、サイズアップの型……いまです」
「何処までもテメェは邪魔をぉっッ!!」
 立ち上がったハファカの意識がそのまま樹里に向く。隙は一瞬。その刹那の間に、円月は死線を捉えた。

「海に帰りな。鮮度が落ちるぜ」

 暗黒のエネルギーがハファカの身体を抉り上げ――
「ばか、な……」
 金色の稲妻が迸り、崩れ落ちると共に爆発するハファカ。トドメの後に倒れかけたHをイズルが駆け寄り、しっかりと支える。
「待ってて。いま解毒を」
「頼む。……いてて。しばらく魚介はいらねぇな」
 多少の犠牲はありつつも朝時の身は守られた。ヘルが戻って来ると同時、『クエストクリア』の文字がフィールドにポップする。

「なんだと!? 我が厄災を振りまくチャンスがーー!」
「ヘルさんはしんだかずが、ばぶりーだったのです」
 それはさておき、抗争には見せしめがつきものだ。倒れているハファカの前で、イズルは薬を取り出して――


「文字通り派手にやられましたね」
『返す言葉もねぇ』
 ハファカとその手下達は、通信画面ごしでも目が痛くなる程、全身ぴっかぴかの虹色に輝いていた。イズルのアクセスファンタズムによるお仕置きである。
『ボス、もう一度チャンスをくれ!』
 悔し気なゲーミングハファカの声に、ボスと呼ばれた青年は青白く光る髪をサラリと揺らす。
「構いませんよ。僕も彼らに興味がわいたところですから」

成否

成功

状態異常

H(p3x009524)[死亡]
ダークナイツ
ヘル・フローズヴィトニル(p3x010212)[死亡×3]
災厄の獣

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